(第一の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第一の実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法について詳しく説明する。ここで、本実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法を実施する際に用いるカッティング装置の例を図1〜図3に示す。
図1は、本実施形態に係るカッティング装置1の概略斜視図(正面方向からの概略斜視図)である。また、図2は、当該カッティング装置1の主要部の概略正面図(部分拡大図)である。また、図3は、当該カッティング装置1の制御系統図である。説明の便宜上、各図において矢印方向でカッティング装置1の前後、左右、および上下方向を示す。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
本実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法を実施する際に用いるカッティング装置1として、メディアM上を走査しながら当該メディアMの切断を行うカッティングユニット50と共に、メディアM上に印刷を行う印刷ユニット60を備える構成を例に挙げて説明する。ただし、カッティング装置は、上記に限定されるものではなく、印刷ユニットを備えない構成としてもよい。
カッティング装置1は、図1に示すように、左右一対の支持脚2a、2aからなる支持部2と、この支持部2に支持されて左右に延びる本体部3とを主体に構成される。本体部3の左右端部にはそれぞれ、左本体部5および右本体部6が形成されており、これらの外周部分は本体カバー4により覆われている。左本体部5の前面側には、操作スイッチ類や表示装置類等からなる操作部7が設けられている。左本体部5の内部には、操作部7からの操作信号が入力される制御演算部9が設けられている。
上記制御演算部9は、後述する各構成部材と電気接続されており、これらに作動信号を出力して作動制御を行うようになっている。具体的には、図3に示すように、後述する前後駆動モータの駆動、左揺動機構11aの駆動、右揺動機構13aの駆動、カッタホルダ52の上下動、プリンタヘッド62(吐出ノズル)からのインクの吐出、上下移動機構74の駆動、左右駆動モータ83の駆動、第1連結機構86による連結、および第2連結機構87による連結を制御するようになっている。また、制御演算部9には、後述する基準マーク検出部54における検査光の受光結果が入力される。
左本体部5と右本体部6との間には、媒体送り機構20、プリンタヘッド62に対向する領域が平板状に形成され、印刷および切断の対象であるメディアMを支持するプラテン30、当該プラテン30の上方において左右に延びて設けられ、後述のキャリッジを主走査方向(Y方向)に直線的にガイドするガイド部材40、カッティングユニット50、印刷ユニット60、メンテナンスユニット70およびユニット駆動装置80等が配設されている。
媒体送り機構20は、図2に示すように、ガイド部材40の下部に左右に並ぶように配設されて回転自在な複数のピンチローラ15、およびこのピンチローラ15の下方においてプラテン30の上面から突出するように設けられた送りローラ(不図示)を主体に構成される。この送りローラは、前後駆動モータ(不図示)により回転されるようになっている。この構成から、送りローラとピンチローラ15との間にメディアMを挟んだ状態で、前後駆動モータにより送りローラを回転させることにより、メディアMを所定距離だけ前後に送ることができる。
カッティングユニット50は、図2に示すように、カッティングキャリッジ51、カッタホルダ52および基準マーク検出部54を主体に構成される。カッティングキャリッジ51は、ガイド部材40の前面側に形成されたガイドレール40aに対して左右へ移動可能に取り付けられており、カッタホルダ52および基準マーク検出部54の取り付けベースとなっている。
カッタホルダ52は、上記カッティングキャリッジ51に対して上下移動可能に搭載されており、このカッタホルダ52の下端部にはカッタ刃53が着脱可能に取り付けられている。基準マーク検出部54は、その下面に発光部(不図示)および受光部(不図示)を備えている。この発光部からメディアMに向けて発射された検査光の反射光が、受光部で受光される構成となっている。例えば、印刷が施されていないメディアMの表面においては、検査光(強度の高い検査光)が反射されて受光部で受光される一方、後述する基準マークT1〜T4が印刷された部分においては検査光が反射されない(強度の低い検査光が反射される)ように、受光部の受光感度が設定されている。
この構成によれば、基準マーク検出部54によって、基準マークの検出を行った後、当該基準マークから算定される基準点に基づいて境界位置を決定し、メディアMを媒体送り機構20によりプラテン30に対して前後に移動させると共に、カッタホルダ52の下部に設けられたカッタ刃53の刃先をプラテン30に保持されたメディアMの表面に向けながらカッティングキャリッジ51を左右に移動させることによって、メディアMの境界位置から算定された所定位置が切断される作用が得られる。
印刷ユニット60は、印刷キャリッジ61および複数のプリンタヘッド62を主体に構成される。印刷キャリッジ61は、上記カッティングキャリッジ51と同様に、ガイドレール40aに対して左右へ移動可能に取り付けられており、プリンタヘッド62の取り付けベースとなっている。また、印刷キャリッジ61の左面には、後述する左フック12と係合可能な係合部61aが形成されている。複数のプリンタヘッド62は、例えばマゼンダ、イエロー、シアン、ブラックの各色から構成される。また、各プリンタヘッド62の下面には、下方に向けてインクが吐出される複数の吐出ノズル(不図示)が形成されている。
この構成によれば、メディアMを媒体送り機構20によりプラテン30に対して前後に移動させると共に、プリンタヘッド62の吐出ノズルをプラテン30に保持されたメディアMの表面に対向させながら印刷キャリッジ61を左右に移動させ、その移動時に吐出ノズルからインクを噴射させることによって、メディアMの表面に所望の文字や図柄が印刷される作用が得られる。
ここで、メンテナンスユニット70は、プリンタヘッド62のメンテナンスを行う装置であり、一例として、プリンタヘッド62の下面の形状に応じて形成された(4つの)吸引キャップ71、この吸引キャップ71が搭載されたステージ72、メンテナンス装置本体73、およびこのメンテナンス装置本体73の内部に設けられた上下移動機構74を有して構成される。
また、ユニット駆動装置80は、ガイド部材40の左右端部に位置して設けられた駆動プーリ81および従動プーリ82、この駆動プーリ81を回転駆動する左右駆動モータ83、両プーリ81,82に掛け回された帯状の歯付駆動ベルト84、および歯付駆動ベルト84に連結された駆動キャリッジ85を主体に構成される(図2参照)。駆動キャリッジ85の左面側には、印刷キャリッジ61と駆動キャリッジ85とを分離可能に連結する第1連結機構86が形成されている。一方、駆動キャリッジ85の右面側には、上記第1連結機構86と同様に構成されて、カッティングキャリッジ51と駆動キャリッジ85とを分離可能に連結する第2連結機構87が形成されている。なお、上記第1連結機構86および第2連結機構87としては、例えば係止孔に係合突起を係合させて連結させる構成や、磁気を利用して連結させる構成等を用いることが可能である。
この構成から、制御演算部9により左右駆動モータ83、第1連結機構86および第2連結機構87の駆動制御が行われることにより、カッティングユニット50または印刷ユニット60を駆動キャリッジ85に連結させた状態で、ガイドレール40aに沿って左右に移動させる制御を行うことができるようになっている。
図2に示すように、左本体部5の内部には、左揺動機構11aが内蔵された左フック支持部11が固設されている。この左揺動機構11aにより左フック12を上下に揺動させて、印刷キャリッジ61の係合部61aと左フック12とを係合させたり、または係合を解除させることができるようになっている。一方、右本体部6の内部には、右揺動機構13aが内蔵された右フック支持部13が固設されている。上記左フック支持部11と同様に、右揺動機構13aにより右フック14を上下に揺動させて、カッティングキャリッジ51の係合部と右フック14とを係合させたり、または係合を解除させることができる。
以上ここまでは、カッティング装置1の構成について説明した。以下においては、上述のように構成されたカッティング装置1を用いて、メディアMにおける境界の位置を決定する境界決定方法およびメディアMの切断を行うメディア切断方法について説明する。ここで、図4は本実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法の基本的な手順を示すフローチャートであり、図5は本実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法を説明するための説明図である。なお、図5中における斜線部は、基準マークの検出を可能とするために、印刷が禁止される領域(すなわち、基準マーク以外の画像の印刷が禁止される領域)である(他の図において同様)。
以下の説明では、図5に示すように、所定の各画像領域内において所望の画像等と共に所定位置に基準マーク(本実施形態では、二箇所の基準マークT1およびT2)が形成された(すなわち、予め印刷された)メディアMに対して、各画像領域の境界の位置を決定し、その境界の位置を基準として定められる所定の切断位置において切断を行う場合を例に挙げる。より具体的には、矩形で同形同大の画像領域がX方向およびY方向にM行N列(M、Nは自然数)のマトリクス状に配置されたシート状のメディアから各画像領域を順次切り出すメディア切断方法を例に挙げて説明する。
なお、各画像領域に印刷される画像はそれぞれ同一の画像、あるいは、異なる画像のいずれでもよい。また、当該メディアMへの印刷は、本実施形態に係るカッティング装置1(印刷ユニット60)を用いて行ってもよく、あるいは、他のプリンタ等(不図示)を用いて行ってもよい。
図5は、メディアMにおける所定位置を、基準点となる原点Oとして設定し、原点Oを起点としてX方向にM行、Y方向にN列のマトリクス状に各画像領域Aが配置されている状態を示している。例えば、第1行第1列の画像領域はA(1,1)、第1行第2列の画像領域はA(1,2)、第m行第n列の画像領域はA(m,n)のように表示する場合がある(ここで、m、nは自然数であり、1≦m≦M、1≦n≦Nである)。また、各画像領域の輪郭(境界)については、図中、二点鎖線で示すが、実際に印刷されている訳ではない。
本実施形態においては、メディアMとして、各画像領域A内において、原点Oに最も近い隅部に基準マーク(後述の第1の基準マーク)が形成され、上記隅部と対角線上で対向する隅部に基準マーク(後述の第2の基準マーク)が形成されたものを用意する(図5参照)。なお、原点OはメディアMの四隅のどの位置に設定してもよい。例えば、本実施形態においては、図5中の紙面に向かって右隅に設定しているが、左隅に設定した場合であっても、以下に説明する手順と同様となる。このように、基準マークをできる限りメディアMの隅部等の外縁部寄りに形成すれば、目的の印刷を行う印刷可能領域を広く確保することができるため好適である。ちなみに、少なくとも画像領域がマトリクス状に配設される場合には、基準マークが同形・同大で同位置に配設される。
初めに、メディアMから第1行第1列の画像領域A(1,1)を切り出す方法の例(以下、「第1例」という)について説明する。
先ず、メディアMの第1行第1列の画像領域A(1,1)内の、メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された(予め印刷された)基準マークを検出して第1の基準点BP1の位置を把握する工程(ステップS1)を実施する。
なお、各画像領域A内の、メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された基準マークを「第1の基準マークT1」と称し、例えば、画像領域A(1,1)内の第1の基準マークT1は、T1(1,1)のように表示する。
また、各画像領域A内の、第1の基準マークT1が形成された隅部と対角線上で対向する隅部に形成された基準マークを「第2の基準マークT2」と称し、例えば、画像領域A(1,1)内の第2の基準マークT2は、T2(1,1)のように表示する。
本実施形態に係る基準マーク(第1の基準マークT1および第2の基準マークT2)は、一例として、図17に示した形状と同様のL字状に形成されている。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、矩形、円形等の形状を採用してもよい。
ステップS1について、より詳しくは、メディアMにおいて第1の基準マークT1(1,1)が形成された位置が、基準マーク検出部54が取り付けられたカッティングキャリッジ51の直下となるように、メディアMを所定位置に配置する。次いで、カッティングキャリッジ51をガイドレール40aに対して左右方向(Y方向)へ移動させて、基準マーク検出部54による第1の基準マークT1(1,1)の検出を行う。このように、カッティングキャリッジ51の移動によって主走査方向(Y方向)における近傍の基準マークを探し、それが無い場合あるいは検出できない場合には、メディアM搬送方向(X方向)における基準マークを探す手順としている。これは、通常、メディアM搬送方向(X方向)における位置決め精度よりも主走査方向(Y方向)における位置決め精度の方が高いためである。
前述のように、基準マークが印刷された部分においては検査光が反射しないため、基準マーク検出部54の受光部における検査光の受光結果より、L字状に形成された基準マーク(ここでは第1の基準マークT1(1,1))の形状(具体的には、エッジ(輪郭)形状)を検出することができ、特に、t1およびt2の寸法・形状を検出することができる。さらに当該検出結果を用いて、第1の基準マークT1(1,1)内の所定位置に設定される基準点としての第1の基準点BP1の位置を把握することができる。なお、画像領域A(1,1)内に形成された第1の基準マークT1(1,1)内の第1の基準点BP1は、BP1(1,1)のように表示する。
次に、第1行第1列の画像領域A(1,1)内の、第1の基準マークT1が形成された隅部と対角線上で対向する隅部に形成された第2の基準マークT2を検出して第2の基準点BP2の位置を把握する工程(ステップS2)を実施する。
当該ステップS2は、上記ステップS1と同様の手順で実施すればよい。なお、画像領域A(1,1)内の第2の基準マークT2(1,1)内に形成された第2の基準点BP2は、BP2(1,1)のように表示する。
次に、この時点では余白が存在するか否か不明であるため、メディアMの第2行第2列の画像領域内の、メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された余白検出用の基準マークTRを検出して余白検出用の参照基準点RPの位置を把握する工程(ステップS3)を実施する。この余白検出の詳細については後述する。
ステップS3について、より詳しくは、当該余白検出用の基準マークTRとして、第2行第2列の画像領域A(2,2)内に形成された第1の基準マークT1(2,2)を兼用で用いることができる。また、当該参照基準点RPとして、第1の基準マークT1(2,2)内に形成された第1の基準点BP1(2,2)を兼用で用いることができる。したがって、当該ステップS3は、画像領域A(1,1)に対するステップS1と同様の工程を画像領域A(2,2)対して実施すればよい。
これによれば、参照基準点RPの位置情報と、第2の基準点BP2(1,1)の位置情報とを用いて、制御演算部9によって、画像領域A(1,1)と画像領域A(2,2)との間のX方向およびY方向の余白の幅を算定することができる。理論上は、画像領域A(1,1)と画像領域A(2,2)とを隙間なく隣接させる設定とした場合であっても、メディアMにおける伸縮の発生、画像データの形成方法、画像データ形成に用いるプリンタの仕様等の様々な原因によって、実際上は、画像領域A(1,1)と画像領域A(2,2)との間に余白が生じることが想定され得る。あるいは、誤って余白を設けてしまう場合等も想定され得る。したがって、当該余白を算定することによって、後述の予測基準点(第1の予測基準点、第2の予測基準点等)の位置予測を行う際に、当該余白のデータを用いて位置補正を行うことができる。
具体的な余白の算定方法としては、参照基準点RPの位置と、第2の基準点BP2(1,1)の位置とを検出し、当該検出位置が、理論上の位置からX方向およびY方向にどれだけずれているかを演算することで、それぞれの方向における余白が算定できる。ここで、算定されたX方向の余白の幅(寸法)をSXと表示し、Y方向の余白の幅(寸法)をSYと表示する。
なお、本実施形態においては、基準点(第2の基準点BP2(1,1)、第1の基準点BP1(2,2)、等)から所定距離だけ離れた位置を境界位置として定める方法を採用しているが、これに限定されるものではなく、上記により算定された余白を用いて、例えば、余白幅(SX、SY)の中央位置を境界位置として定めるといった方法を採用してもよい。
上記のステップS3の工程を含むことによって、画像領域Aの周囲に余白が存在する場合であっても、以下に説明する境界位置決定工程において、境界位置を正確に、且つ、特許文献1に例示されるような画像領域の四隅に基準マークを形成して検出する方法よりも短時間で決定することが可能となる。さらに、印刷可能領域(画像領域から作図データ不可領域を除いた部分)を確保しつつ、余白を減少させてメディアを有効利用できるという効果が奏される。
次に、これまでの工程によって得られた、第1の基準点BP1(1,1)の位置情報と、第2の基準点BP2(1,1)の位置情報と、余白検出用の参照基準点RPを用いて算定される第1行第1列の画像領域A(1,1)に隣接するX方向の余白の幅SXおよびY方向の余白の幅SYの形状(寸法)情報と、を用いて、第1行第1列の画像領域A(1,1)における境界の位置(ここでは、図5中の二点鎖線で示される位置として例示する)を決定する工程(ステップS4)を実施する。
ステップS4について、より詳しくは、第1の基準点BP1(1,1)の位置情報と、第2の基準点BP2(1,1)の位置情報とを用いて、制御演算部9において演算を行い、第1行第1列の画像領域A(1,1)における境界の位置、すなわち図5中の画像領域A(1,1)を矩形状に囲む二点鎖線で示される辺(L1,L2,L3,L4)の位置を算定することができる。ここで、X方向の余白の幅SXおよびY方向の余白の幅SYの形状(寸法)情報を用いて補正を行うことによって、メディアMの伸縮の影響をフィードバックすることができるため、境界位置の算定精度を飛躍的に高めることが可能となる。したがって、より精緻な境界位置決定および切断加工を行うことが可能となる。
以上のようにして本実施形態に係る境界決定方法が実施される。
次に、第1行第1列の画像領域A(1,1)を、境界の位置(L1,L2,L3,L4)に基づいて切断を行う工程(ステップS5)を実施する。なお、本実施形態においては、境界の位置(L1,L2,L3,L4)を切断位置とする場合を例に挙げて説明する。ただし、これに限定されるものではなく、境界の位置(L1,L2,L3,L4)に基づいて算定される所定位置を切断位置としてもよい。
ステップS5について、より詳しくは、制御演算部9はステップS4において得られた境界の位置情報に基づいて、各駆動機構を制御して、メディアMをプラテン30に対して前後に移動させると共に、カッティングキャリッジ51を左右に移動させて、所定の切断位置(本実施形態においては、一例として上記の境界の位置)においてメディアMの切断を行う。
以上のようにして本実施形態に係るメディア切断方法が実施される。
続いて、メディアMから第1行第1列の画像領域A(1,1)を切り出す方法の他の例(以下、「第2例」という)について説明する。
第2例は、前述の第1例とステップS1〜S3までの工程が同様である。相違点として、第1例におけるステップS4、S5の工程に代えて、以下に示すステップS6〜S11までの工程を実施する。第2例の基本的な手順を示すフローチャートを図6に示す。
先ず、ステップS6について説明する。
ステップS6として、メディアMの第2行第1列の画像領域A(2,1)内の、メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された第1の基準マークT1(2,1)(特許請求の範囲に記載した「第3の基準マーク」に対応する)を検出して、当該基準マーク内の第1の基準点BP1(2,1)(特許請求の範囲に記載した「第3の基準点」に対応する)の位置を把握する工程を実施する。
ステップS6について、より詳しくは、前述の第1例において説明した画像領域A(1,1)に対するステップS1と同様の工程を画像領域A(2,1)対して実施すればよい。
次に、メディアMの第1行第2列の画像領域A(1,2)内の、メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された第1の基準マークT1(1,2)(特許請求の範囲に記載した「第4の基準マーク」に対応する)を検出して、当該基準マーク内の第1の基準点BP1(1,2)(特許請求の範囲に記載した「第4の基準点」に対応する)の位置を把握する工程(ステップS7)を実施する。
ステップS7について、より詳しくは、前述の第1例において説明した画像領域A(1,1)に対するステップS1と同様の工程を画像領域A(1,2)対して実施すればよい。
次に、第1行第1列の画像領域A(1,1)内の、第2行第1列の画像領域A(2,1)における第1の基準マークT1(2,1)(「第3の基準マーク」)が形成された隅部と隣接する隅部に、第2行第1列の画像領域A(2,1)における第1の基準点BP1(2,1)(「第3の基準点」)を用いて第1の予測基準点CP1の位置を予測する工程(ステップS8)を実施する。なお、画像領域A(1,1)内における位置が予測された第1の予測基準点CP1は、CP1(1,1)のように表示する。
ステップS8について、より詳しくは、第2行第1列の画像領域A(2,1)における第1の基準点BP1(2,1)(「第3の基準点」)の位置情報を用いて、制御演算部9によって演算を行い、画像領域A(2,1)の第1の基準マークT1(2,1)(「第3の基準マーク」)形成位置と隣接する画像領域A(1,1)内の隅部の所定位置を画像領域A(1,1)内における第1の予測基準点CP1(1,1)として算定する。
具体的な算定方法としては、画像領域A(2,1)の第1の基準点BP1(2,1)(「第3の基準点」)の位置から所定方向(ここでは、X方向)に所定距離だけ離れた位置を演算によって求め、その位置を画像領域A(1,1)の第1の予測基準点CP1(1,1)として算定する。
次に、第1行第1列の画像領域A(1,1)内の、第1行第2列の画像領域A(1,2)における第1の基準マークT1(1,2)(「第4の基準マーク」)が形成された隅部と隣接する隅部に、第1行第2列の画像領域A(1,2)における第1の基準点BP1(1,2)(「第4の基準点」)を用いて第2の予測基準点CP2の位置を予測する工程(ステップS9)を実施する。なお、画像領域A(1,1)内における位置が予測された第2の予測基準点CP2は、CP2(1,1)のように表示する。
ステップS9について、より詳しくは、第1行第2列の画像領域A(1,2)における第1の基準点BP1(1,2)(「第4の基準点」)の位置情報を用いて、制御演算部9によって演算を行い、画像領域A(1,2)の第1の基準マークT1(1,2)(「第4の基準マーク」)形成位置と隣接する画像領域A(1,1)内の隅部の所定位置を画像領域A(1,1)内における第2の予測基準点CP2(1,1)として算定する。
具体的な算定方法としては、画像領域A(1,2)の第1の基準点BP1(1,2)(「第4の基準点」)の位置から所定方向(ここでは、Y方向)に所定距離だけ離れた位置を演算によって求め、その位置を画像領域A(1,1)の第2の予測基準点CP2(1,1)として算定する。
なお、ステップS6〜S9までの実施手順としては上記に限定されるものではなく、
S6、S8、S7、S9の順、S7、S6、S9、S8の順、またはS7、S9、S6、S8の順、に実施してもよい。
次に、これまでの工程によって得られた、第1の基準点BP1(1,1)の位置情報と、第2の基準点BP2(1,1)の位置情報と、第1の予測基準点CP1(1,1)の位置情報と、第2の予測基準点CP2(1,1)の位置情報と、余白検出用の参照基準点RPを用いて算定される第1行第1列の画像領域A(1,1)に隣接するX方向の余白の幅SXおよびY方向の余白の幅SYの形状(寸法)情報と、を用いて、第1行第1列の画像領域A(1,1)における境界の位置(ここでは、図5中の二点鎖線で示される位置として例示する)を決定する工程(ステップS10)を実施する。
ステップS10について、より詳しくは、第1の基準点BP1(1,1)の位置情報と、第2の基準点BP2(1,1)の位置情報と、第1の予測基準点CP1(1,1)の位置情報と、第2の予測基準点CP2(1,1)の位置情報とを用いて、制御演算部9において演算を行い、第1行第1列の画像領域A(1,1)における境界の位置、すなわち図5中の二点鎖線で示される辺(L1,L2,L3,L4)の位置を算定することができる。
前述の第1例では二点の位置情報および余白の情報を用いて境界位置の算定していたのに対して、第2例においては四点(四隅)の位置情報(第1の基準点BP1、第2の基準点BP2、第1の予測基準点CP1、第2の予測基準点CP2)および余白の情報を用いて境界位置の算定を行うため、算定精度をより一層高めることが可能となる。特に、メディアMにおいて余白に加えてスキューが存在する場合にも、高精度に境界位置の算定を行うことができる。したがって、第一例よりもさらに精緻な境界位置決定および切断加工を行うことが可能となる。
以上のようにして本実施形態に係る境界決定方法が実施される。
次に、第1行第1列の画像領域A(1,1)を、境界の位置(L1,L2,L3,L4)に基づいて切断を行う工程(ステップS11)を実施する。
ステップS11について、より詳しくは、前述の第1例におけるステップS5と同様の工程となる。
以上のようにして本実施形態に係るメディア切断方法が実施される。
以上は、メディアMから第1行第1列の画像領域A(1,1)を切り出す方法の例(第1例、第2例)についての説明であった。
続いて、メディアMから第m行第k列の画像領域A(m,k)を切り出す方法の例について説明する。ここでは、k=n+1、ただし2≦k≦N−1の場合について説明する。すなわち、以下に示す工程は、前記の第1例もしくは第2例を実施した後に実施する工程である。図7に、その基本的な手順を示すフローチャートを示す。
先ず、メディアMの第m行第n列(1≦m≦M、1≦n≦N)の各画像領域A(m,n)内の、メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成(予め印刷)された第1の基準マークT1(m、n)を検出して第1の基準点BP1(m、n)の位置を把握する工程(ステップS21)を実施する。
ステップS21について、より詳しくは、前述の画像領域A(1,1)に対するステップS1と同様の工程を各画像領域A(m,n)対して順に実施すればよい。なお、画像領域A(1,1)に対してはステップS1で既に実施済みであるため、重複実施をする必要はない。
次に、メディアMの第m行第n列(1≦m≦M、1≦n≦N)の各画像領域A(m,n)内の、第1の基準マークT1(m、n)が形成された隅部と対角線上で対向する隅部に形成された第2の基準マークT2(m、n)を検出して第2の基準点BP2(m、n)の位置を把握する工程(ステップS22)を実施する。
ステップS22について、より詳しくは、前述の画像領域A(1,1)に対するステップS2と同様の工程を各画像領域A(m,n)対して順に実施すればよい。なお、画像領域A(1,1)に対してはステップS2で既に実施済みであるため、重複実施をする必要はない。
次に、メディアMの第m行第k列の各画像領域A(m,k)内の、第m行第k−1列の画像領域A(m,k−1)における第2の基準マークT2(m,k−1)が形成された隅部と隣接する隅部に、第m行第k−1列の画像領域における第2の基準点BP2(m,k−1)を用いて第1の予測基準点CP1(m,k)の位置を予測する工程(ステップS23)を実施する。ただし、k=n+1、2≦k≦N−1とする(以下同様)。
ステップS23について、より詳しくは、ステップS22において取得された第m行第k−1列の画像領域A(m,k−1)における第2の基準点BP2(m,k−1)の位置情報を用いて、制御演算部9によって演算を行い、画像領域A(m,k−1)の第2の基準マークT2(m,k−1)形成位置と隣接する第m行第k列の画像領域A(m,k)内の隅部の所定位置を画像領域A(m,k)内における第1の予測基準点CP1(m,k)として算定する。
具体的な算定方法としては、画像領域A(m,k−1)の第2の基準点BP2(m,k−1)の位置から所定方向(ここでは、Y方向)に所定距離だけ離れた位置を演算によって求め、その位置を画像領域A(m,k)の第1の予測基準点CP1(m,k)として算定する。
次に、メディアMの第m行第k列の各画像領域A(m,k)内の、第m行第k+1列の画像領域A(m,k+1)における第1の基準マークT1(m,k+1)が形成された隅部と隣接する隅部に、第m行第k+1列の画像領域A(m,k+1)における第1の基準点BP1(m,k+1)を用いて第2の予測基準点CP2(m,k)の位置を予測する工程(ステップS24)を実施する。
ステップS24について、より詳しくは、ステップS21において取得された第m行第k+1列の画像領域A(m,k+1)における第1の基準点BP1(m,k+1)の位置情報を用いて、制御演算部9によって演算を行い、画像領域A(m,k+1)の第1の基準マークT1(m,k+1)形成位置と隣接する第m行第k列の画像領域A(m,k)内の隅部の所定位置を画像領域A(m,k)内における第2の予測基準点CP2(m,k)として算定する。なお、当該ステップS24は、前述の第2例におけるステップS9と同様の工程となる。
具体的な算定方法としては、画像領域A(m,k+1)の第1の基準点BP1(m,k+1)の位置から所定方向(ここでは、Y方向)に所定距離だけ離れた位置を演算によって求め、その位置を画像領域A(m,k)の第2の予測基準点CP2(m,k)として算定する。
ここで、ステップS21〜S24までの実施手順としては、各画像領域A(m,k)毎にステップS21〜S24を順に実施してもよく、あるいは、全画像領域A(m,k)に対して、ステップS21〜S24を順に実施してもよく、あるいは、列毎、行毎の単位の画像領域A(m,k)に対して、ステップS21〜S24を順に実施してもよい等、様々な実施手順が考えられる。
なお、上記ステップS24のように、予測基準点(ここでは、第2の予測基準点CP2(m,k))の位置予測を行う際に、Y方向に隣接する画像領域Aの基準点(ここでは、第1の基準点BP1(m,k+1))を用いて位置予測を行うことが好適である。これは、メディア搬送を伴うX方向よりも、キャリッジの移動によるY方向のスキャンのほうが、より高精度に制御・動作させることが可能なためである。これは他の工程(予測基準点の位置予測を行う工程)においても同様にいえることである。
ただし、Y方向において基準となる基準点が無い場合あるいは検出できない場合には、X方向に隣接する画像領域Aの基準点を用いて予測を行えばよい。
また、カッティング装置1のX方向およびY方向の移動精度やメディアMの特性等との関係によって、隣接する画像領域ではなく、ある程度離れた画像領域における基準マークの基準点であっても、それを基準として用いて予測基準点の位置予測を行うことは可能である。しかしながら、最も近い(すなわち隣接する)画像領域における基準マークの基準点を用いて予測基準点の位置予測を行うことが、予測(位置決定)の精度を最も高めることができ、且つ、処理時間を最も短くすることができるため、有利となる。
次に、これまでの工程によって得られた、第1の基準点BP1(m,k)の位置情報と、第2の基準点BP2(m,k)の位置情報と、第1の予測基準点CP1(m,k)の位置情報と、第2の予測基準点CP2(m,k)の位置情報と、ステップS3において補正用データとして取得されたX方向の余白の幅SXおよびY方向の余白の幅SYの形状(寸法)情報と、を用いて、第m行第k列の画像領域A(m,k)における境界の位置(ここでは、図5中の各画像領域A(m,k)を矩形状に囲む二点鎖線で示される位置L1〜L4とするが、図の簡略化のため画像領域A(1,1)の周囲においてのみ符号を付し、その他の画像領域A(m,k)の周囲においては同様として、符号記載を省略する)を決定する工程(ステップS25)を実施する。
ステップS25について、より詳しくは、前述の第2例におけるステップS10と同様の工程となる。
以上のようにして本実施形態に係る境界決定方法が実施される。
次に、第m行第k列の画像領域A(m,k)を、ステップS25において算定した境界の位置に基づいて切断を行う工程(ステップS26)を実施する。なお、実施手順としては、各画像領域A(m,k)毎に境界の決定(ステップS25)と切断(ステップS26)とを連続して行う手順とする。これによれば、各画像領域Aについて、境界決定工程から切断工程に至るまでに、カッティングキャリッジ51(基準マーク検出部54)およびメディアMを移動させる量が少なくて済むため、画像領域の境界決定と切断とを高精度で行うことができるという効果が奏される。ただし、この手順に限定されるものではなく、全画像領域A(m,k)に対して境界の決定(ステップS25)を行った後、各画像領域A(m,k)を順次、切断(ステップS26)する手順としてもよい。
ステップS26について、より詳しくは、前述のステップS5、S11と同様の工程となる。
以上のようにして本実施形態に係るメディア切断方法が実施される。
ここで、各基準点の位置を検出・算定(予測)して特定していく手順の一例を図8に示す。同図8に示すように、丸囲み数字を付した順に各基準点の位置を特定をしていけばよい(なお、丸囲み数字の3と11とは同じ位置である)。ただし、これに限定されるものではなく、原点Oの設定位置を変えること等によって、様々な手順を採り得る。
なお、画像領域Aの位置によっては、上記の工程がそのまま適用できない場合があるため、以下の例外処理(ステップES1、ES2、ES3、ES4)を行う(不図示)。
第2例における画像領域A(m,1)(ただし、2≦m≦M−1)の場合に対しては、第1の予測基準点CP1(m,1)を予測する工程(ステップES1)として、ステップS8と同様の工程を実施すればよい。具体的には、画像領域A(m+1,1)における第1の基準点BP1(m+1,1)の位置情報を用いて、制御演算部9によって演算を行い、画像領域A(m+1,1)の第1の基準マークT1(m+1,1)形成位置と隣接する画像領域A(m,1)内の隅部の所定位置を画像領域A(m,1)内における第1の予測基準点CP1(m,1)として算定する。
第2例における画像領域A(M,1)の場合に対しては、第1の予測基準点CP1(m,1)を予測する工程(ステップES2)として、仮想の画像領域としてA(M+1,1)を想定して当該領域における第1の基準点BP1(M+1,1)を算定したうえで、ステップS8と同様の工程を実施すればよい。具体的には、例えば、画像領域A(M,1)における第1の基準点BP1(M,1)の位置情報、画像領域A(M−1,1)における第1の基準点BP1(M−1,1)の位置情報、画像領域A(M−2,1)における第1の基準点BP1(M−2,1)の位置情報等を適宜用いて、制御演算部9によって演算を行い、仮想の画像領域A(M+1,1)における第1の基準マークT1(M+1,1)を算定する。次いで、算定された第1の基準マークT1(M+1,1)における第1の基準点BP1(M+1,1)の位置を算定する。次いで、ステップS8と同様にして、当該第1の基準点BP1(M+1,1)の位置情報を用いて、第1の基準マークT1(M+1,1)の位置と隣接する画像領域A(M,1)内の隅部の所定位置を画像領域A(M,1)内における第1の予測基準点CP1(M,1)として算定する。
第2例における画像領域A(1,N)の場合に対しては、第2の予測基準点CP2(1,N)を予測する工程(ステップES3)として、仮想の画像領域としてA(1,N+1)を想定して当該領域における第1の基準点BP1(1,N+1)を算定したうえで、ステップS9と同様の工程を実施すればよい。具体的には、例えば、画像領域A(1,N)における第1の基準点BP1(1,N))の位置情報、画像領域A(1,N−1)における第1の基準点BP1(1,N−1)の位置情報、画像領域A(1,N−1)における第1の基準点BP1(1,N−1)の位置情報等を適宜用いて、制御演算部9によって演算を行い、仮想の画像領域A(1,N+1)における第1の基準マークT1(1,N+1)を算定する。次いで、算定された第1の基準マークT1(1,N+1)における第1の基準点BP1(1,N+1)の位置を算定する。次いで、ステップS9と同様にして、当該第1の基準点BP1(1,N+1)の位置情報を用いて、第1の基準マークT1(1,N+1)の位置と隣接する画像領域A(1,N)内の隅部の所定位置を画像領域A(1,N)内における第2の予測基準点CP2(1,N)として算定する。
第2例における画像領域A(m,N)(ただし、2≦m≦M)の場合に対しては、第2の予測基準点CP2(m,N)を予測する工程(ステップES4)として、画像領域A(m−1,N)における第2の基準点BP2(m−1,N)を用いて予測する工程を実施すればよい。具体的には、画像領域A(m−1,N)における第2の基準点BP2(m−1,N)の位置情報を用いて、制御演算部9によって演算を行い、画像領域A(m−1,N)の第2の基準マークT2(m−1,N)形成位置と隣接する画像領域A(m,N)内の隅部の所定位置を画像領域A(m,N)内における第2の予測基準点CP2(m,N)として算定する。
上記の例外処理は、例えば、マトリクス状に配置された画像領域に空白領域がある場合にも適用が可能である。すなわち、本実施形態において説明に用いたマトリクス状に各画像領域Aが配置されたメディアMに関して、必ずしも全ての画像領域がメディア上で隙間なく隣接配置されている場合のみが想定される訳ではなく、実際には、1行内に列数よりも少ない数の画像領域が配される場合(空白領域がある場合)等も想定される。そのような場合であっても、画像領域が互いに隙間なく隣接配置されている部分については、基本処理工程(ステップS1〜S26)を適用することが可能であり、一方、1行内に列数と同じ数だけ画像領域が配されていない部分に対しては、例外処理工程(ステップES1〜4の工程から適宜選択すればよい)を行えば、メディアM全体に対して境界決定および切断を行うことが可能となる。
続いて、以上の実施形態から抽出される境界決定方法の特徴的な構成について説明する。
すなわち、メディア上に配された第1の画像領域と第2の画像領域との境界の位置を決定する境界決定方法は、第1の画像領域内に形成(予め印刷)された、当該第1の画像領域の位置を示す基準マークを検出して当該第1の画像領域の位置情報を把握する検出工程(例えば、上記ステップS3、S6、S7)と、当該第1の画像領域の位置情報に基づいて、第2の画像領域における位置情報を予測する予測工程(例えば、上記ステップS8、S9)と、上記検出工程および予測工程で得られた第1の画像領域および第2の画像領域の位置情報を用いて算定された第1の画像領域と第2の画像領域との位置関係に基づいて、境界の位置を決定する決定工程(例えば、上記ステップS4、S10)とを含む構成を基本とする。これによれば、特に予測工程を含むことによって、決定工程を実施する際に、実際に形成されている位置情報(基準点)よりも多くの位置情報(基準点および予測基準点)を用いることができるため、境界の決定(算定)精度を高めることが可能となっている。
また、第1の画像領域および第2の画像領域は、前記メディア上に互いに隣接して配された同形同大の画像領域である場合には、第1の画像領域の位置情報および形状情報(画像領域自体の形状、ならびに第2の画像領域の形状情報を用いて、第2の画像領域の位置情報を予測する工程を含む構成とすることにより、境界の決定(算定)精度をさらに高めることが可能となる。
したがって、上記の実施形態において例示したように、第1の画像領域および前記第2の画像領域が、前記メディア上にマトリクス状に配置された複数の矩形の画像領域のうちの隣接する二つの画像領域である場合には、第2の画像領域の位置情報を予測する工程は、第1の画像領域の位置情報を平行移動させる単純な演算方法で算定することが可能になるという効果が奏される。
以上説明した通り、本実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法によれば、切断対象であるメディアMにおける各画像領域A内には基準マークを二つだけ(ここでは、T1およびT2)形成すれば、境界の決定および切断を行うことが可能となる。したがって、基準マーク(T1、T2)の形成時(印刷時)に必要な時間を大幅に短縮(例えば、特許文献1に示される方法の二分の一以下)することができ、当該基準マーク(T1、T2)の検出時に必要な時間も大幅に短縮(例えば、特許文献1に示される方法の二分の一以下)することができる。これにより、基準マーク(T1、T2)の形成から各画像領域Aの切断までに要する時間を極めて短くすることができるため、加工のタクトタイムを大幅に短縮して、加工効率を向上させることが可能となる。
さらに、メディアMにおける各画像領域A内に基準マークを二つだけ(T1、T2)対角位置に形成すればよいため、隣接する各画像領域Aにおいて基準マーク(T1、T2)同士が隣接配置されることがない構成が実現できる。すなわち、隣接する画像領域A間に余白が無い場合であっても各基準マーク(T1、T2)の検出を行うことが可能となり、境界位置の決定および当該境界位置に基づいて設定される所定位置の切断を行うことが可能となる。したがって、特許文献1に例示される従来の方法の実施の際には必要であった隣接する画像領域間の余白を無くすことができるため、メディアMの余白部分が無駄になってしまうという課題が解決でき、またメディア自体も小型化ができるため、コストの低減を図ることが可能となる。
(第二の実施形態)
続いて、本発明の第二の実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法について説明する。
第二の実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法、およびこれに用いるカッティング装置1は、前述の第一の実施形態(第2例)と基本的な構成は同様であるが、特に基準マークの位置に関する相違点を有している。以下、当該相違点を中心に本実施形態について説明する。
なお、前述の第一の実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法と同様の構成、作用効果等については、繰り返しの説明を省略する場合がある。
本実施形態においては、メディアMとして、各画像領域A内において、原点Oに最も近い隅部に基準マーク(第1の基準マークT1)が形成され、上記隅部とX方向において並ぶ隅部に基準マーク(第2の基準マークT2)が形成されたものを用意する(図9参照)。
初めに、メディアMから第1行第1列の画像領域A(1,1)を切り出す方法の例について説明する。本実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法の基本的な手順を示すフローチャートを図10、図11に示す。
先ず、メディアMの第1行第1列の画像領域A(1,1)内の、メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された(予め印刷された)第1の基準マークT1(1,1)を検出して第1の基準点BP1(1,1)の位置を把握する工程を実施する。当該工程は、前述のステップS1と同様の工程である。
次に、第1行第1列の画像領域A(1,1)内の、第1の基準マークT1(1,1)が形成された隅部とX方向において並ぶ隅部に形成された第2の基準マークT2(1,1)を検出して第2の基準点BP2(1,1)の位置を把握する工程(ステップS2A)を実施する。なお、検出および位置把握の方法は、前述のステップS2と同様に行えばよい。
次に、メディアの第2行第2列の画像領域A(2,2)内の、メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された余白検出用の基準マークTRを検出して余白検出用の参照基準点RPの位置を把握する工程を実施する。前述の第一の実施形態と比較して、第2の基準点BP2(1,1)の位置が参照基準点RPの位置に最も近い隅部ではない隅部に形成されている点で相違するものの、前述のステップS3と同様の工程により実施することができる。これによって、画像領域A(1,1)と画像領域A(2,2)との間のX方向およびY方向の余白の幅SX、SYを算定することができる。
次に、メディアMの第1行第2列の画像領域A(1,2)内の第2の基準マークT2(1,2)(特許請求の範囲に記載した「第3の基準マーク」に対応する)を検出して、当該基準マーク内の第2の基準点BP2(1,2)(特許請求の範囲に記載した「第3の基準点」に対応する)の位置を把握する工程(ステップS6A)を実施する。なお、検出および位置把握の方法は、前述のステップS7と同様に行えばよい。
次に、メディアMの第1行第2列の画像領域A(1,2)内のメディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された第1の基準マークT1(1,2)(特許請求の範囲に記載した「第4の基準マーク」に対応する)を検出して、当該基準マーク内の第1の基準点BP1(1,2)(特許請求の範囲に記載した「第4の基準点」に対応する)の位置を把握する工程(ステップS7)を実施する。当該工程は、前述のステップS7と同様の工程である。
上記ステップS6Aと、ステップS7とは、どちらを先に実施してもよい。
次に、第1行第1列の画像領域A(1,1)内の、第1行第2列の画像領域A(1,2)における第2の基準マークT2(1,2)(「第3の基準マーク」)が形成された隅部と隣接する隅部に、第1行第2列の画像領域A(1,2)における第2の基準点BP2(1,2)(「第3の基準点」)を用いて第1の予測基準点CP1(1,1)の位置を予測する工程(ステップS8A)を実施する。なお、検出および位置把握の方法は、前述のステップS9と同様に行えばよい。
次に、前述のステップS9、S10と同様の工程を順に実施する。
以上のようにして本実施形態に係る境界決定方法が実施される。
次に、前述のステップS11と同様の工程を実施する。
以上のようにして本実施形態に係るメディア切断方法が実施される。
続いて、メディアMから第m行第k列の画像領域A(m,k)を切り出す方法の例について説明する。ここでは、k=n+1、ただし2≦k≦N−1の場合について説明する。
図11のフローチャートに示すように、先ず、メディアMの第m行第n列(1≦m≦M、1≦n≦N)の各画像領域A(m,n)内の、メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成(予め印刷)された第1の基準マークT1(m、n)を検出して第1の基準点BP1(m、n)の位置を把握する工程を実施する。当該工程は、前述のステップS21と同様の工程である。
次に、メディアMの第m行第n列(1≦m≦M、1≦n≦N)の各画像領域A(m,n)内の、第1の基準マークT1(m、n)が形成された隅部とX方向において並ぶ隅部に形成された第2の基準マークT2(m、n)を検出して第2の基準点BP2(m、n)の位置を把握する工程(ステップS22A)を実施する。
ステップS22Aについて、より詳しくは、前述の画像領域A(1,1)に対するステップS2Aと同様の工程を各画像領域A(m,n)対して順に実施すればよい。なお、画像領域A(1,1)に対してはステップS2Aで既に実施済みであるため、重複実施をする必要はない。
次に、メディアMの第m行第k列の各画像領域A(m,k)内の、第m行第k+1列の画像領域A(m,k+1)における第2の基準マークT2(m,k+1)が形成された隅部と隣接する隅部に、第m行第k+1列の画像領域における第2の基準点BP2(m,k+1)を用いて第1の予測基準点CP1(m,k)の位置を予測する工程(ステップS23A)を実施する。当該ステップS23Aは、前述のステップS6Aと同様にして実施すればよい。
次に、メディアMの第m行第k列の各画像領域A(m,k)内の、第m行第k+1列の画像領域A(m,k+1)における第1の基準マークT1(m,k+1)が形成された隅部と隣接する隅部に、第m行第k+1列の画像領域A(m,k+1)における第1の基準点BP1(m,k+1)を用いて第2の予測基準点CP2(m,k)の位置を予測する工程を実施する。当該工程は、前述のステップS24と同様の工程である。
上記ステップS23Aと、ステップS24とは、どちらを先に実施してもよい。
次に、前述のステップS25と同様の工程を実施する。
以上のようにして本実施形態に係る境界決定方法が実施される。
次に、前述のステップS26と同様の工程を実施する。
以上のようにして本実施形態に係るメディア切断方法が実施される。
(第三の実施形態)
続いて、本発明の第三の実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法について説明する。
第三の実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法、およびこれに用いるカッティング装置1は、前述の第二の実施形態と基本的な構成は同様である。
なお、前述の実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法と同様の構成、作用効果等については、繰り返しの説明を省略する場合がある。
本実施形態においては、メディアMとして、各画像領域A内において、原点Oに最も近い隅部に基準マーク(第1の基準マークT1)が形成され、上記隅部とY方向において並ぶ隅部に基準マーク(第2の基準マークT2)が形成されたものを用意する(図12参照)。
本実施形態に係る工程は、前述の第二の実施形態においてX方向とY方向とを入れ替えて考えればよいため、ここでは繰り返しの説明を省略する。
(第四の実施形態)
続いて、本発明の第四の実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法について説明する。
第四の実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法は、各画像領域A内に基準マークを一つ形成して、当該基準マークに基づいてメディアの切断を行う点に特徴を有している。なお、本方法に用いられるカッティング装置1の構成は前述の実施形態と同様である。
また、前述の実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法と同様の構成、作用効果等については、繰り返しの説明を省略する場合がある。
本実施形態においては、メディアMとして、各画像領域A内において、原点Oに最も近い隅部に基準マーク(第1の基準マークT1)が形成されたものを用意する(図13参照)。
初めに、メディアMから第1行第1列の画像領域A(1,1)を切り出す方法の例について説明する。本実施形態に係る境界決定方法およびメディア切断方法の基本的な手順を示すフローチャートを図14、図15に示す。
先ず、メディアMの第1行第1列の画像領域A(1,1)内の、メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された(予め印刷された)第1の基準マークT1(1,1)を検出して第1の基準点BP1(1,1)の位置を把握する工程を実施する。当該工程は、前述のステップS1と同様の工程である。
次に、第1行第1列の画像領域A(1,1)内の、第2行第2列の画像領域A(2,2)における第1の基準マークT1(2,2)が形成された隅部と隣接する(角を接する)隅部に、第2行第2列の画像領域A(2,2)における第1の基準点BP1(2,2)を用いて第3の予測基準点CP3の位置を予測する工程(ステップS2B)を実施する。なお、画像領域A(1,1)内における位置が予測された第3の予測基準点CP3は、CP3(1,1)のように表示する。
ステップS2Bについて、より詳しくは、第2行第2列の画像領域A(2,2)における第1の基準点BP1(2,2)の位置情報を用いて、制御演算部9によって演算を行い、画像領域A(2,2)の第1の基準マークT1(2,2)形成位置と隣接する画像領域A(1,1)内の隅部の所定位置を画像領域A(1,1)内における第1の予測基準点CP3(1,1)として算定する。
具体的な算定方法としては、画像領域A(2,2)の第1の基準点BP1(2,2)の位置から所定方向(ここでは、X方向およびY方向)に所定距離だけ離れた位置を演算によって求め、その位置を画像領域A(1,1)の第3の予測基準点CP3(1,1)として算定する。
次に、メディアの第2行第2列の画像領域A(2,2)内の、メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された余白検出用の基準マークTRを検出して余白検出用の参照基準点RPの位置を把握する工程(ステップS3A)を実施する。ステップS3Aは、前述の第一の実施形態のステップS3において、第2の基準点BP2(1,1)に代えて第1の基準点BP1(1,1)を用いることによって、当該ステップS3と同様の工程により実施することができる。これによって、画像領域A(1,1)と画像領域A(2,2)との間のX方向およびY方向の余白SX、SYの幅を算定することができる。
次に、メディアMの第2行第1列の画像領域A(2,1)内の第1の基準マークT1(2,1)(特許請求の範囲に記載した「第3の基準マーク」に対応する)を検出して、当該基準マーク内の第1の基準点BP1(2,1)(特許請求の範囲に記載した「第3の基準点」に対応する)の位置を把握する工程を実施する。当該工程は、前述のステップS6と同様の工程である。
次に、メディアMの第1行第2列の画像領域A(1,2)内の、メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された第1の基準マークT1(1,2)(特許請求の範囲に記載した「第4の基準マーク」に対応する)を検出して、当該基準マーク内の第1の基準点BP1(1,2)(特許請求の範囲に記載した「第4の基準点」に対応する)の位置を把握する工程を実施する。当該工程は、前述のステップS7と同様の工程である。
上記ステップS6と、ステップS7とは、どちらを先に実施してもよい。
次に、前述のステップS8〜S10と同様の工程を順に実施する。
以上のようにして本実施形態に係る境界決定方法が実施される。
次に、前述のステップS11と同様の工程を実施する。
以上のようにして本実施形態に係るメディア切断方法が実施される。
続いて、メディアMから第j行第k列の画像領域A(j,k)を切り出す方法の例について説明する。本実施形態においては、j=m+1、2≦j≦M−1、k=n+1、2≦k≦N−1の場合について説明する。
図15のフローチャートに示すように、先ず、メディアMの第m行第n列(1≦m≦M、1≦n≦N)の各画像領域A(m,n)内の、メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成(予め印刷)された第1の基準マークT1(m、n)を検出して第1の基準点BP1(m、n)の位置を把握する工程を実施する。当該工程は、前述のステップS21と同様の工程である。
次に、メディアMの第j行第k列の各画像領域A(j,k)内の、第j+1行第k+1列の画像領域A(j+1,k+1)における第1の基準マークT1(j+1,k+1)が形成された隅部と隣接する(角を接する)隅部に、画像領域A(j+1,k+1)における第1の基準点BP1(j+1,k+1)を用いて第3の予測基準点CP3(j,k)の位置を予測する工程(ステップS22B)を実施する。ただし、j=m+1、2≦j≦M−1、k=n+1、2≦k≦N−1とする(以下同様)。
ステップS22Bについて、より詳しくは、ステップS21において取得された第j+1行第k+1列の画像領域A(j+1,k+1)における第1の基準点BP1(j+1,k+1)の位置情報を用いて、制御演算部9によって演算を行い、画像領域A(j+1,k+1)の第1の基準マークT1(j+1,k+1)形成位置と隣接する(角を接する)第j行第k列の画像領域A(j,k)内の隅部の所定位置を画像領域A(j,k)内における第3の予測基準点CP3(j,k)として算定する。
具体的な算定方法としては、画像領域A(j+1,k+1)の第1の基準点BP1(j+1,k+1)の位置から所定方向(ここでは、X方向およびY方向)に所定距離だけ離れた位置を演算によって求め、その位置を画像領域A(j,k)の第3の予測基準点CP3(j,k)として算定する。
次に、メディアMの第j行第k列の各画像領域A(j,k)内の、第j+1行第k列の画像領域A(j+1,k)における第1の基準マークT1(j+1,k)が形成された隅部と隣接する隅部に、第j+1行第k列の画像領域A(j+1,k)における第1の基準点BP1(j+1,k)を用いて第1の予測基準点CP1(j,k)の位置を予測する工程(ステップS23B)を実施する。当該ステップS23Bは、前述のステップS6と同様の工程である。
次に、メディアMの第j行第k列の各画像領域A(j,k)内の、第j行第k+1列の画像領域A(j,k+1)における第1の基準マークT1(j,k+1)が形成された隅部と隣接する隅部に、第j行第k+1列の画像領域A(j,k+1)における第1の基準点BP1(j,k+1)を用いて第2の予測基準点CP2(j,k)の位置を予測する工程を実施する。当該工程は、前述のステップS24と同様の工程である。
上記ステップS23Bと、ステップS24とは、どちらを先に実施してもよい。
次に、前述のステップS25と同様の工程を実施する。
以上のようにして本実施形態に係る境界決定方法が実施される。
次に、前述のステップS26と同様の工程を実施する。
以上のようにして本実施形態に係るメディア切断方法が実施される。
本実施形態に係るメディア切断方法によれば、前述の実施形態と同様の作用効果が奏される。特に、切断対象であるメディアMにおける各画像領域内には基準マークを一つだけ形成すれば、境界の決定および切断を行うことが可能となる。したがって、前述の実施形態よりもさらに、基準マークの形成から各画像領域の切断までに要する時間を短くすることができるため、加工のタクトタイムを大幅に短縮することが可能となる。
以上説明した通り、開示の境界決定方法によれば、メディア上の各画像領域の境界の位置を決定するにあたり、メディア上に基準マークを形成する時間および当該基準マークを検出する時間を共に短縮することができる。したがって、境界の位置決定に要する時間および境界に基づいてメディアの切断加工に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。また、メディアの切断加工を行うにあたり、加工対象であるメディアの余白部分を無くすことができるため、メディアの無駄を無くし、コストの低減を図ることが可能となる。
また、特に、本実施形態によって以下の特徴的な作用効果が奏される。
開示の境界決定方法は、いずれもメディアM上に配された第1の画像領域と第2の画像領域との境界の位置を決定する境界決定方法であって、前記第1の画像領域内に形成された、前記第1の画像領域の位置を示す基準マークを検出して前記第1の画像領域の位置情報を把握する検出工程と、前記第1の画像領域の位置情報に基づいて、前記第2の画像領域の位置情報を予測する予測工程と、前記第1の画像領域および前記第2の画像領域の位置情報を用いて算定された第1の画像領域と第2の画像領域との位置関係に基づいて、前記境界の位置を決定する決定工程と、を含むことを特徴とする。これによれば、予測工程を含むことによって、決定工程を実施する際に、実際に形成されている位置情報よりも多くの位置情報を用いることができるため、境界の決定(算定)精度を高めることが可能となる。
また、本発明において、前記第1の画像領域および前記第2の画像領域は、前記メディアM上に互いに隣接して配された同形同大の画像領域であり、前記予測工程は、前記第1の画像領域の位置情報および形状情報、ならびに前記第2の画像領域の形状情報を用いて、前記第2の画像領域の位置情報を予測する工程であることが好ましい。これによれば、第1の画像領域および第2の画像領域の位置情報に加えて、それぞれの形状情報を用いて、第2の画像領域の位置情報を予測することによって、当該第2の画像領域の位置情報の精度をより一層高めることができる。したがって、境界の決定(算定)精度がさらに向上するという効果が得られる。
また、本発明において、前記第1の画像領域および前記第2の画像領域は、前記メディアM上にマトリクス状に配置された複数の矩形の画像領域のうちの隣接する二つの画像領域であり、前記予測工程は、前記第1の画像領域の位置情報を平行移動させる算定によって、前記第2の画像領域の位置情報を予測する工程であることが好ましい。これによれば、単純な演算方法によって第2の画像領域の位置情報を予測(算定)することが可能となる。
また、開示の境界決定方法は、矩形で同形同大の画像領域がX方向およびY方向にマトリクス状に配置されたシート状のメディアMにおいて各画像領域Aの境界の位置(一例として、L1〜L4)を決定する境界決定方法であって、(S1)前記メディアMの第1行第1列の画像領域A(1,1)内の、前記メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された第1の基準マークT1(1,1)を検出して第1の基準点BP1(1,1)の位置を把握する工程と、(S2)前記第1行第1列の画像領域A(1,1)内の、前記第1の基準マークが形成された隅部とは異なる隅部に形成された第2の基準マークT2(1,1)を検出して第2の基準点BP1(1,1)の位置を把握する工程と、(S3)前記メディアMの第2行第2列の画像領域A(2,2)内の、前記メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された余白検出用の基準マークTRを検出して余白検出用の参照基準点RPの位置を把握する工程と、(S4)前記第1行第1列の画像領域A(1,1)における境界の位置(一例として、L1〜L4)を、前記第1の基準点BP1(1,1)と、前記第2の基準点BP2(1,1)と、前記余白検出用の参照基準点Rpを用いて算定される該第1行第1列の画像領域A(1,1)に隣接するX方向およびY方向の余白の幅SX、SYと、を用いて決定する工程と、を含むことを特徴とする。
これによれば、矩形で同形同大の画像領域がX方向およびY方向にマトリクス状に配置されたシート状のメディアMにおいて、各画像領域A内には基準マークを二つだけ(ここでは、T1およびT2)形成すれば、メディアMにおける第1行第1列の画像領域A(1,1)の境界の位置(一例として、L1〜L4)を決定することができ、当該境界(一例として、L1〜L4)の位置に基づいて設定される所定の切断位置において当該画像領域A(1,1)の切断を行うことが可能となる。したがって、基準マーク(T1、T2)の形成(印刷)に必要な時間および検出に必要な時間を共に短縮することができる。これにより、基準マーク(T1、T2)の形成から各画像領域Aの切断までに要する時間を極めて短くすることができるため、加工のタクトタイムを大幅に短縮して、加工効率を向上させることが可能となる。
さらに、隣接する各画像領域Aにおいて基準マーク(T1、T2)同士が隣接配置されることがない構成が実現できる。したがって、隣接する画像領域間に余白が無い場合であっても各基準マーク(T1、T2)の検出を行うことが可能となるため、当該余白を無くすことができる。これにより、余白部分が無駄になってしまうという課題が解決でき、またメディア自体も小型化ができるため、コストの低減を図ることが可能となる。
また、本発明において、前記(S1)〜(S3)の工程を含み、且つ前記(S4)の工程に代えて、(S6)前記メディアの第2行第1列の画像領域A(2,1)内の、前記メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された第3の基準マーク(ここではT1(2,1)である)を検出して第3の基準点(ここではBP1(2,1)である)の位置を把握する工程と、(S7)前記メディアの第1行第2列の画像領域A(1,2)内の、前記メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された第4の基準マーク(ここではT1(1,2)である)を検出して第4の基準点(ここではBP1(1,2)である)の位置を把握する工程と、(S8)前記第1行第1列の画像領域A(1,1)内の、前記第2行第1列の画像領域A(2,1)における第3の基準マーク(ここではT1(2,1)である)が形成された隅部と隣接する隅部に、前記第2行第1列の画像領域A(2,1)における第3の基準点(ここではBP1(2,1)である)を用いて第1の予測基準点CP1(1,1)の位置を予測する工程と、(S9)前記第1行第1列の画像領域A(1,1)内の、前記第1行第2列の画像領域A(1,2)における第4の基準マーク(ここではT1(1,2)である)が形成された隅部と隣接する隅部に、前記第1行第2列の画像領域A(1,2)における第4の基準点(ここではBP1(1,2)である)を用いて第2の予測基準点CP2(1,1)の位置を予測する工程と、(S10)前記第1行第1列の画像領域A(1,1)における境界の位置(一例として、L1〜L4)を、前記第1の基準点BP1(1,1)と、前記第2の基準点BP2(1,1)と、前記第1の予測基準点CP1(1,1)と、前記第2の予測基準点CP2(1,1)と、および前記余白検出用の参照基準点RPを用いて算定される該第1行第1列の画像領域A(1,1)に隣接するX方向およびY方向の余白の幅SX、SYと、を用いて決定する工程と、を含むことが好ましい。これによれば、メディアMにおける各画像領域A内に基準マークを二つ(ここでは、T1およびT2)形成するだけで、四点の位置情報(第1の基準点BP1(1,1)、第2の基準点BP2(1,1)、第1の予測基準点CP1(1,1)、第2の予測基準点CP2(1,1))および余白の情報SX、SYを得ることが可能となる。したがって、当該情報を用いて境界位置(一例として、L1〜L4)の算定を行うことによって、算定精度をより一層高めることが可能となる。特に、余白に加えてスキューが存在する場合にも、高精度に境界位置の算定を行うことが可能となる。
また、開示の境界決定方法は、矩形で同形同大の画像領域AがX方向およびY方向にM行N列(M、Nは自然数)のマトリクス状に配置されたシート状のメディアにおいて各画像領域の境界の位置(一例として、L1〜L4)を決定する境界決定方法であって、前記(S1)〜(S4)の工程、もしくは(S1)〜(S3)、(S6)〜(S10)の工程を備える境界決定方法を実施し、次いで、(S21)前記(S1)の工程と重複して、もしくは重複しないように、前記メディアMの第m行第n列(1≦m≦M、1≦n≦N)の各画像領域A(m,n)内の、前記メディアMの原点Oに最も近い隅部に形成された第1の基準マークT1(m,n)を検出して第1の基準点BP1(m,n)の位置を把握する工程と、(S22)前記(S2)の工程と重複して、もしくは重複しないように、前記第m行第n列の各画像領域A(m,n)内の、前記第1の基準マークT1(m,n)が形成された隅部とは異なる隅部に形成された第2の基準マークT2(m,n)を検出して第2の基準点BP2(m,n)の位置を把握する工程と、(S23)前記メディアの第m行第k列(k=n+1、ただし2≦k≦N−1)の各画像領域A(m,k)内の、第m行第k−1列の画像領域域A(m,k−1)における第2の基準マークT2(m,k−1)が形成された隅部と隣接する隅部に、第m行第k−1列の画像領域A(m,k−1)における第2の基準点BP2(m,k−1)を用いて第1の予測基準点CP1(m,k)の位置を予測する工程と、(S24)前記メディアの第m行第k列の各画像領域A(m,k)内の、第m行第k+1列の画像領域A(m,k+1)における第1の基準マークBP1(m,k+1)が形成された隅部と隣接する隅部に、第m行第k+1列の画像領域A(m,k+1)における第1の基準点BP1(m,k+1)を用いて第2の予測基準点CP2(m,k)の位置を予測する工程と、(S25)前記第m行第k列の各画像領域A(m,k)における境界の位置(一例として、L1〜L4)を、該第m行第k列の各画像領域A(m,k)における前記第1の基準点BP1(m,k)と、前記第2の基準点BP2(m,k)と、前記第1の予測基準点CP1(m,k)と、前記第2の予測基準点CP2(m,k)と、前記余白の幅SX、SYとを用いて決定する工程と、を含むことを特徴とする。
これによれば、矩形で同形同大の画像領域A(m,k)がX方向およびY方向にマトリクス状に配置されたシート状のメディアMにおいて、各画像領域A(m,k)内には基準マークを二つだけ(ここでは、T1およびT2)形成すれば、メディアMにおける第m行第k列の各画像領域A(m,k)の境界の位置(一例として、L1〜L4)を決定することができ、当該境界の位置(一例として、L1〜L4)に基づいて設定される所定の切断位置において当該各画像領域A(m,k)の切断を行うことが可能となる。したがって、前記同様に、基準マーク(T1、T2)の形成(印刷)に必要な時間および検出に必要な時間を共に短縮することができる。これにより、基準マーク(T1、T2)の形成から各画像領域A(m,k)の切断までに要する時間を極めて短くすることができるため、加工のタクトタイムを大幅に短縮して、加工効率を向上させることが可能となる。また、隣接する各画像領域Aにおいて基準マーク(T1、T2)同士が隣接配置されることがない構成が実現できる。したがって、隣接する画像領域間に余白が無い場合であっても各基準マーク(T1、T2)の検出を行うことが可能となるため、当該余白を無くすことができる。これにより、余白部分が無駄になってしまうという課題が解決でき、またメディア自体も小型化ができるため、コストの低減を図ることが可能となる。
また、開示のメディア切断方法は、前記の境界決定方法を実施して、前記境界の位置(一例として、L1〜L4)を決定し、次いで、前記境界の位置(一例として、L1〜L4)に基づいて算定される所定位置において、前記メディアMの切断を行うことを特徴とする。これによれば、基準マーク(T1、T2)の形成から各画像領域Aの切断までに要する時間を極めて短くすることができるため、加工のタクトタイムを大幅に短縮することができる。また、メディアの無駄を無くして、コストの低減を図ることができる。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
特に、メディアMとして、各画像領域A内において、隅部に基準マーク(T1、T2)が形成される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、隅部以外の外縁部に設ける構成としてもよい。また、外縁部に限らず、中央部寄りに設けることも考えられなくはないが、画像形成領域をより広く確保する点において、外縁部寄りに形成することが好適である。
また、上述の実施形態においては、1つの画像領域において二つ(もしくは一つ)の基準マークを形成する構成を例に挙げて説明したが、例えば、1つの画像領域において三つの基準マークを形成する構成としてもよい。