以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るインクジェット印刷方法およびインクジェット印刷装置を適用した印刷装置について説明する。この印刷装置は、業務用の大型カラープリンタであり、インクジェット方式によりラベルを連続的に印刷するものである。すなわち、印刷装置は、連続紙である剥離付きの印刷テープに、後に切り抜いてラベルとして用いる多数の単位画像を連続して印刷するものであり、例えば生鮮食料品のラップフィルム上に貼着するラベルなどを、小ロットで印刷することを可能とするものである。
図1は印刷装置を模式的に表した平面図であり、図2はその断面図であり、図3は印刷装置の外観斜視図である。これらの図に示すように、印刷装置1は、機台2と、機台2上に設置したプリント機構3と、機台2上を縦断するテープ送り経路(紙送り経路)4に沿って印刷テープAを送るテープ送り機構5と、テープ送り経路4の中央に配設した吸着テーブル6と、各機構3,5を制御するコントローラ(制御手段:図11参照)7とを備えている。また、印刷装置1は、ロール状に巻回した印刷テープAを繰り出しながらテープ送り機構5に供給するテープ供給機構8と、テープ送り機構8から受け取った印刷済みの印刷テープAをロール状に巻き取るテープ巻取り機構9とを備えている。
一方、印刷対象物である印刷テープAはいわゆる剥離紙付のロール紙であり、テープ幅50mm〜150mmの複数種のものが用意されている。印刷にあたっては、この印刷テープAの延在方向にラベルとなる画像(単位画像)Bが連続的に印刷され(図12参照)、この各単位画像Bが別のカット装置によりハーフカットされて粘着剤付のラベルが作成される。
また、この印刷に用いられるインク、すなわち1ラインのカラー印刷に用いるインクは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)に、ライトシアン(LC)およびライトマゼンタ(LM)を加えた、計6色の基準色で構成されている。そして、詳細は後述するが、これら6色のインクは、インクタンク(固定タンク)からインクチューブを介してヘッドユニット21の各インクジェットヘッド22に供給される。
図示では省略したが、機台2上には、上記の各機構等を一体として覆う安全カバーが設けられており、安全カバーの正面には開閉扉11が設けられている(図1参照)。そして、安全カバーには、開閉扉11の閉塞を検出する検出スイッチ(検出センサ)12が取り付けられており、この検出スイッチ12が開閉扉11の閉塞を検出している状態でのみ、主電源がONできるようになっている。また、主電源がONの状態で開閉扉を開放すると、検出スイッチ12を介して、主電源がOFFするようになっている。
なお、図3中の符号13は警告灯であり(実際には安全カバーの上面に立設されている)、インクエンドを表示するインク表示灯部13aと、テープエンドを表示するテープ表示灯部13bと、印刷動作中(装置稼動中)を表示する動作表示灯部13cとを有している。また、同図中の符号14はインクランプ群であり、後述する6色のインクの有無をそれぞれ表示する。さらに、同図中の符号15は操作パネルであり、その表面には、電源スイッチ(主電源)、非常停止スイッチ、一時停止スイッチ、再スタートスイッチ、テープフィードスイッチ(空送り)、ヘッドクリーニングスイッチ等が配設されている。そして、この操作パネル15の内部に上記のコントローラ7を構成する回路基板が内蔵されている。
機台2は、アングル材17を直方体形状に組み、その上部に台板18を固定して構成されている。機台2の下部には、6個の脚部19が高さ調節自在に取り付けられている。そして、台板18の長手方向一方の端部には、印刷テープAの継足し作業を行うための継足し作業部18aが延設されている(図3参照)。
なお、図示しないが、台板18上には小形架台を介して各色のインクを貯留するメインインクタンク(固定タンク)が設置され、台板上に設置したサブインクタンク(固定タンク)にインクを供給できるようになっている。また、このサブインクタンクからインクチューブを介して、後述する各インクジェットヘッドに各色のインクが供給される。そして、上記のインク表示灯部13aやインクランプ群14における表示は、メインインクタンクで検出したインクの有無等の検出結果に基づいて行われる。
プリント機構3は、多数のインクジェットヘッド22を搭載したヘッドユニット21と、ヘッドユニット21を主走査方向および副走査方向に自在に移動させるX・Y移動機構23と、インクジェットヘッド22の保管用(非稼動時)およびフラッシング用として使用する保管ユニット24と、インクジェットヘッド22のクリーニング用(マニュアル操作)として使用するクリーニングユニット25とを有している。
X・Y移動機構23は機台2上に設置した、いわゆるX・Yロボットであり、ヘッドユニット21をX軸方向(主走査方向)に移動させるX軸ステージ27と、X軸ステージ27をY軸方向(副走査方向)に移動させるY軸ステージ28と、X軸ステージ27の移動をガイドするY軸ガイドレール29とで、構成されている。X軸ステージ27は、ヘッドユニット21を主走査方向(X軸方向)往復動させる主走査ボールねじ31と、主走査ボールねじ31を正逆回転させる主走査モータ32と、これら構成部材を収容するX軸ケース33とで構成されている。
Y軸ステージ28は、ヘッドユニット21を副走査方向(Y軸方向)往復動させる副走査ボールねじ34と、副走査ボールねじ34を正逆回転させる副走査モータ35と、これら構成部材を収容するY軸ケース36とで構成されている。Y軸ガイドレール29は、Y軸ステージ28に平行に配設され、Y軸ステージ28と共にX軸ステージ27を両持ちで支持し、且つX軸ステージ27の往復動をガイドしている。
なお、図1中の符号37は、ヘッドユニット21のX軸方向の基準位置(ホーム位置)を検出するX方向検出センサであり、符号38は、X軸ステージ27を介して、ヘッドユニット21のY軸方向の基準位置(ホーム位置)を検出するY方向検出センサ38である。印刷装置1の主電源がONされると、X・Y移動機構23は常にこの基準位置にリセットされる。
図示しないが、ヘッドユニット21には、X軸ケース33に形成した水平スリットからX軸ケース33内に延びる雌ねじブロックが取り付けられており、この雌ねじブロックが主走査ボールねじ31に螺合している。同様に、X軸ステージ27の一方の端部には、Y軸ケース36に形成した水平スリットからY軸ケース36内に延びる雌ねじブロックが取り付けられており、この雌ねじブロックが副走査ボールねじ34に螺合している。また、X軸ステージ27の他方の端部には、2個のガイドローラ39,39が取り付けられており、このガイドローラ39,39がY軸ガイドレール29のレール部29aに転動するようになっている(図3参照)。
主走査モータ32および副走査モータ35は、上記のコントローラ7に接続されており、主走査モータ32を正逆回転させることにより、ヘッドユニット21が主走査方向に往復動し、副走査モータ35を正逆回転させることにより、X軸ステージ27を介してヘッドユニット21が副走査方向に往復動する。そして、この主走査方向へのヘッドユニット21の移動により1ラインの印刷が行われ、副走査方向への移動により次ラインへのヘッドユニット21の移動が行われる。
より具体的には、図1および図4を参照して説明すると、例えば左上を印刷開始位置P1として印刷を開始する場合、この位置からヘッドユニット21を右方向(主走査方向)に移動させることにより第1ラインの印刷(主走査)が行われ、右端においてヘッドユニット21を手前に移動させることにより、ヘッドユニット21を第2ラインに移動(副走査)させ、ここから更にヘッドユニット21を左方向(主走査方向)に移動させることにより第2ラインの印刷(主走査)が行われる。このように動作を繰り返して全ラインの印刷を行う(図4(b)参照)。また、例えば右下の位置で印刷を完了した場合、次のテープ送り後の印刷は、この印刷終了位置P2から上記と逆の動作で上記の印刷開始位置P1に向かって、全ラインの印刷を行うようにしている(図4(c)参照)。これにより、ヘッドユニット21の移動ロスを少なくしている。
一方、図3および図5に示すように、ヘッドユニット21は、背面に上記の雌ねじブロックを取り付けた支持ブラケット41と、支持ブラケット41の下部に水平に取り付けた統一キャリッジ42と、統一キャリッジ42に着脱自在に装着した4つの部分キャリッジ43とを有し、部分キャリッジ43には、それぞれ横並び3個、すなわち全部分キャリッジ43に合計で12個のインクジェットヘッド22が取り付けられている。
この場合、各インクジェットヘッド22は部分キャリッジ43に接着固定され、各部分キャリッジ43は、複数のピンからなる位置決め装着手段44により統一キャリッジ42に着脱自在に装着されている。また、各部分キャリッジ43に搭載したインクジェットヘッド22は、インクノズルを形成した本体部分22aを統一キャリッジ42から下方に突出させ、且つこの本体部分22aを対向配置するようにして、そのインクノズル列群46を集約配置するようにしている(図6参照)。
図6に模式的に示すように、1ラインの基準色を構成する6色のインクノズル列群46は4分割されており、分割された6色の分割インクノズル列群47が、3個のインクジェットヘッド22に組み込まれて、各部分キャリッジ43に搭載されている。具体的には、各部分キャリッジ43に搭載される3個のインクジェットヘッド22の第1ヘッド22−1には、ブラック(K)およびシアン(C)の2つの分割インクノズル列47aが組み込まれ、第2ヘッド22−2には、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の2つの分割インクノズル列47aが組み込まれ、第3ヘッド22−3には、ライトシアン(LC)およびライトマゼンタ(LM)の2つの分割インクノズル列47aが組み込まれている。
そして、これら分割ノズル列群47は、一部を重複するようにして千鳥状に配設され、全体としてほぼ4インチ(1ライン)の各色インクノズル列群46を構成している。このように、1ライン分のインクノズル列群46を4分割し、これを組み込んでインクジェットヘッド22を構成しているため、不良なインクジェットヘッド22を適宜交換することで、ヘッドユニット21の歩留まりを向上させることができる。
保管ユニット24は、機台2上において、テープ走り経路4から手前側に外れたX軸ステージ27の近傍に配設されている。図7および図8に示すように、保管ユニット24は、保管用キャップ51と、保管用キャップ51をヘッドユニット21に向かって離接させる昇降機構52と、保管用キャップ51から流下するインクを貯留する廃インクタンク54とを備えている。なお、昇降機構52は上記のコントローラ7に接続されていることは、いうまでもない。
保管用キャップ51は、キャップ本体54と、キャップ本体54の底部に敷設したインク吸収材55と、キャップ本体54の上端に装着した略方形のOリングで構成したシール部材56とで構成されている。この場合、シール部材56は、ヘッドユニット21の全インクジェットヘッド22を包含する大きさに形成されており、統一キャリッジ42の下面に密着して、全インクジェットヘッド22を封止するようになっている。
昇降機構52は、フラッシングのために保管用キャップ51の直上部に臨んだヘッドユニット21に対し、保管用キャップ51を下降位置に維持する一方、保管のために直上部に臨んだヘッドユニット21に対し、保管用キャップ51を上昇させてヘッドユニット21に密接させる。フラッシングにより吐出されたインクは、インク吸収材55に吸収されるが、インク吸収材55が飽和状態になるとインクは、チューブ57を介して台板18の下側に配設した廃インクタンク53に流下する。一方、保管のために保管用キャップ51がヘッドユニット21に密接した状態では、保管用キャップ51の内側は、インク吸収材55に吸収されているインクにより高湿度状態に維持されており、インクジェットヘッド(インクノズル)22の乾燥が有効に防止される。
クリーニングユニット25は、機台2上において、テープ送り経路4から手前側に外れた位置に配設されている。図9および図10に示すように、クリーニングユニット25は、それぞれ3個のクリーニング用キャップ61を搭載した一対のキャップベース61A,61Aと、一対のキャップベース61A,61Aを介して計6個のクリーニング用キャップ61をヘッドユニット21に向かって離接させる昇降機構62と、各クリーニング用キャップ61を介してインクを吸引する計6台のインクポンプ63とを備えている。なお、昇降機構62および各インクポンプ63は上記のコントローラ7に接続されている。
各クリーニング用キャップ61は、キャップ本体64と、キャップ本体64の底部に敷設したインク吸収材65と、キャップ本体64の上端に装着したシール部材66とで構成されている。一対のキャップベース61A,61Aは、相互に連結されており、各キャップベース61Aには、部分キャリッジ43に搭載した3個のインクジェットヘッド(各ヘッド群48)22に対応するように、横並びに3個の各クリーニング用キャップ61が搭載されている。
すなわち、第1ヘッド群48−1(および第3ヘッド群48−3)に、一方のキャップベース(図示キャップ1)61Aが対応し、第2ヘッド群48−2(および第4ヘッド群48−4)に、他方のキャップベース(図示キャップ2)61Aが対応している。また、一対のキャップベース61A,61Aは、隣接する2つのヘッド群(第1・第2ヘッド群および第3・第4ヘッド群)48に対応するように、Y軸方向に位置ずれして配設されている。そして、昇降機構62は、一対のキャップベース61A,61Aを一体として昇降させるようになっている。
クリーニングのために第1ヘッド群48−1および第2ヘッド群48−2が、クリーニングユニット25の一対のキャップベース61A,61A上に臨むと、昇降機構62が駆動し、一対のキャップベース61A,61Aを介して、全クリーニング用キャップ61を上昇させてヘッドユニット21に密接させる。続いて、各インクポンプ63が駆動し、第1ヘッド群48−1および第2ヘッド群48−2の各インクジェットヘッド22からインクを吸引する(クリーニング)。
ここで再度、昇降機構62が駆動して全クリーニング用キャップ61を下降させると共に、X・Y移動機構23が駆動して、ヘッドユニット21の第3ヘッド群48−3および第4ヘッド群48−4が、一対のキャップベース61A,61Aに臨むようにY軸方向に移動させる。そして、各クリーニング用キャップ61の上昇とポンプ吸引とが行われ、第3ヘッド群48−3および第4ヘッド群48−4の各インクジェットヘッド22のインク吸引(クリーニング)が行われる。
一方、各インクポンプ63で吸引したインクは、それぞれインクチューブ67を介して上記の廃インクタンク53に導かれるようになっている。このように、X・Y移動機構23によりヘッドユニット21を適宜移動させることにより、キャップ数を少なくすることができ、クリーニングユニット25をコンパクトに構成することができる。なお、キャップ数を、より少なくするのであれば、一方のキャップベース(図示キャップ2)61Aを省略するようにする。かかる場合には、4回のポンプ吸引でクリーニングが完了する。もちろん、ポンプ吸引の回数は多くなるが、クリーニングユニット25を1個のクリーニング用キャップ61で構成することも可能である。
図2および図3に示すように、吸着テーブル6は、機台2上に固定した筐体71と、筐体71の上面に取り付けられた吸引プレート72と、吸引プレート72の下側に構成した吸引チャンバ73と、吸引チャンバ73に連なる一対の吸引ファン74,74とで構成されている。吸引プレート72は、テープ送り経路4の延在方向に長く形成され、その上面には吸引チャンバ73に連通する多数の吸引孔75が形成されている。また、吸引プレート72は水平に配設され、その直上部をX・Y方向に移動するインクジェットヘッド22と平行に対峙している。すなわち、吸引プレート72の上面に吸着された印刷テープAは、インク吐出のための所定の空間を存して、インクジェットヘッド22と平行に対峙する。
この場合、一対の吸引ファン74,74は上記のコントローラ7に接続され、主電源の投入に同期して駆動するようになっている。すなわち、印刷テープAの停止時は元より、印刷テープAの送り時にあっても印刷テープAを吸着しており、特に印刷テープAの送りは、吸着テーブル6の吸引力に抗して行われる。また、吸引エアーのリークを防止すべく多数の吸引孔75の配設幅は、最小幅の印刷テープ(テープ幅50mm)Aに対応したものとなっている。なお、一対の吸引ファン74,74の排気エアーを、吸着テーブル6の下流側のテープ送り経路4に導いて、インクの乾燥を促進する構成にしてもよい。
図1ないし図3に示すように、テープ送り機構5は、吸着テーブル6の送り方向下流側に配設した紙送りローラ81と、紙送りローラ81を回転駆動する紙送りモータ82と、吸着テーブル6の送り方向上流側に配設したテンションローラ83と、吸着テーブル6の上流側および下流側に近接した配設した一対のガイドローラ84,84とを有している。紙送りローラ81は、印刷テープAを挟んで対峙する駆動ローラ81aおよびフリーローラ81bから成り、この駆動ローラ81aに紙送りモータ82が接続されている。
同様にテンションローラ83は、印刷テープAを挟んで対峙する制動ローラ83aおよびフリーローラ83bから成り、この制動ローラ83aにはトルクリミッタ85が軸着されている。また、一対のガイドローラ84,84は、吸着テーブル6の前後(上流側および下流側)にあって、印刷テープAの幅方向を位置決めすると共に、印刷テープAを吸着テーブル6上に水平に臨ませる。このような構成では、紙送りモータ82を駆動すると、印刷テープAはテンションローラ83との間で張った状態で精度良く送られる。したがって、印刷テープAの吸着テーブル6上に臨む部分も、張った状態で且つ位置決め状態で吸着テーブル6に水平に吸着される。
また、紙送りローラ81と吸着テーブル6との間には、テープ送り経路4に臨んで紙送りセンサ86が配設されている。この紙送りセンサ86と上記の紙送りモータ82とは、コントローラ7に接続されており、紙送りセンサ86により、後述する印刷テープAのマークCが検出され、この検出結果に基づいて紙送りモータ82の駆動(送り停止)が制御されるようになっている。これにより、印刷テープAの送り、すなわち後述の印刷可能領域Aaを単位とする間欠送りが常に精度良く行われる。
テープ供給機構8およびテープ巻取り機構9は、機台2を挟んでテープ送り方向の前後(上流側および下流側)に配設され、テープ供給機構8は自由回転により印刷テープAを繰り出し、テープ巻取り機構9は強制回転により印刷テープAを巻き取るようになっている。テープ供給機構8は、供給ケース91と、ロール状に巻回して印刷テープ(生テープ)Aを回転自在に支持する支軸92とを有している。なお、繰り出される印刷テープAは、テープ送り機構5への影響(テンションや斜行)を排除すべく、弛みをもってテープ送り機構5に導入されることが好ましい。
テープ巻取り機構9は、巻取りケース94と、巻取りケース94に設けた巻取り軸95と、巻取り軸95を介して印刷テープ(印刷済みテープ)Aを巻き取る巻取りモータ96とを有している。そしてこの場合も、巻き取られる印刷テープAは、テープ送り機構5への影響(テンションや斜行)を排除すべく、テープ送り機構5との間で弛みを持たせることが好ましい。
次に、コントローラ7により構成される主制御系および各種の印刷方法について、詳細に説明する。図11のブロック図に示すように、印刷装置1の制御系は、パーソナルコンピュータなどの外部装置で作成した画像データを、操作パネル15の操作により入力する入力部101と、プリント機構(ヘッドユニット21、X・Y移動機構23)3および紙送りモータ82を有して印刷テープAの所定位置に画像の印刷を行う印刷部102と、プリンタドライバおよび紙送りドライバなどを有して各構成機構を駆動する駆動部103と、紙送りセンサ86を有する検出部104と、印刷装置1の各機構を統括制御する制御部(コントローラ7)105とを備えている。
制御部105は、CPU111、ROM112、CG−ROM113、RAM114およびP−CON115を有しており、これらは互いにバス116を介して接続されている。ROM112は、CPU111で処理する制御プログラムを記憶する制御プログラム領域の他、キャラクタテーブルや色変換テーブルなどを含む制御データを記憶する制御データ領域を有している。CG−ROM113は、文字、記号、図形等のビットマップデータを記憶していて、文字等を特定するコードデータが与えられたときに、対応するビットマップデータを出力する。
RAM114は、外部から入力した画像データを記憶する画像データ領域、印刷のための画像データを記憶する印刷画像データ領域の他、各色(ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ライトシアン(LC)およびライトマゼンタ(LM))に対応する色変換バッファ領域や各種レジスタ群を有し、制御処理のための作業領域として使用される。
P−CON115には、CPU111の機能を補うと共に周辺回路とのインターフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成して、組み込まれている。このため、P−CON115は、操作パネル15と接続され、入力部101からの各種指令や画像データなどをそのまま或いは加工してバス116に取り込む。また、P−CON115はCPU111と連動して、CPU111等からバス116に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して駆動部103に出力する。
そして、CPU111は、上記の構成により、ROM112内の制御プログラムに従って、P−CON115を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、CG−ROM113からのビットマップデータ、RAM114内の各種データ等を処理し、P−CON115を介して駆動部103に制御信号を出力する。これにより、プリント機構3および紙送りモータ82が制御され、印刷テープAに対して所定の印刷条件で画像印刷やテープ送りを行うなど印刷装置全体を制御している。
例えば、入力した画像データがカラーの場合は、カラー画像データをRAM114内の色変換バッファに色別に格納し、ROM112内の制御プログラムに従って、3個のインクジェットヘッド22を制御する。具体的には、ブラック(K)およびシアン(C)のバッファから読み出したデータに基づいて第1ヘッド22−1を、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)のバッファから読み出したデータに基づいて第2ヘッド22−2を、また、ライトシアン(LC)およびライトマゼンタ(LM)のバッファから読み出したデータに基づいて第3ヘッド22−3を制御する。
ここで、図1、図3および図12を参照して、画像の印刷方法について説明する。この印刷装置1では、先ずテープ送り機構5が駆動して印刷テープAの印刷すべき部分、すなわち印刷可能領域Aaを吸着テーブル6上に送る。この状態では、吸着テーブル6は駆動しており、送りを停止した印刷テープAの印刷可能領域Aaは吸着テーブル6に吸着され、不動に保持された状態となる。続いて、X・Y移動機構23が駆動してヘッドユニット21を主走査方向および副走査方向に移動させ(図4参照)、且つヘッドユニット21の各インクジェットヘッド22からインクが吐出されて、画像の印刷が行われる。
画像の印刷は、単位画像Bとしてのラベル部分を、相互に間隙(非印刷部分Ab)を存して複数、連続して印刷するものであり、印刷と印刷テープAの送りを繰り返すことにより、印刷テープAに所望の数の単位画像Bが印刷される。また、この単位画像Bと共に、各単位画像Bの位置を表すためのマークCも印刷される。そして、印刷可能領域Aaへの単位画像BおよびマークCの印刷が終了すると、X・Y移動機構23が停止し、続いてテープ送り機構5が駆動して、次の印刷可能領域Aaが吸着テーブル6上に導入される。ここで再度、X・Y移動機構23が駆動して、元の印刷開始位置P1に向かってヘッドユニット21を主走査方向および副走査方向に移動させながら、インク吐出により、画像(単位画像BおよびマークC)の印刷が行われる(図4参照)。
このように、印刷テープAを吸着テーブル6上に保持しておいて、ヘッドユニット21の主走査および副走査による1の印刷可能領域Aaへの印刷と、次の印刷可能領域Aaを吸着テーブル6に導入する送りとを繰り返して、長い印刷テープAに任意の数のラベルを印刷するようにしているため、ドットレベルでの印刷を精度良く行うことができると共に、ヘッドユニット21の実印刷時間に対する加減速時間の比率を極端に小さくすることができ、実印刷以外の無駄時間を極端に少なくすることができる。したがって、印刷時間を短縮することができる。しかも、ラベルを必要とする数、無駄なく印刷することができる。
なお、上記の実施形態において、印刷テープAを送っている間に、X・Y移動機構23によりヘッドユニット21を元の印刷開始位置P1に移動させ、常に印刷開始位置P1から印刷を開始するようにしてもよい。また、単位画像Bの印刷とマークCの印刷とを別に行うようにし、マークCの印刷動作を、印刷テープAを送っている間に行ってもよい。すなわち、印刷可能領域Aaにおいて画像を印刷する部分(画像印刷領域AB)の外側にマークCを印刷する部分(マーク印刷領域AC)を設定しておいて(図12(a)参照)、このマークCを印刷する部分にヘッドユニット21を移動させ、この状態で印刷テープAを送るときにマークCの印刷を行うようにする。
このマーク印刷方法は、印刷テープAの送りを主走査とするものであり、本来、印刷休止時間となる印刷テープAの送り時間を、比較的高い解像度を必要としないマーク印刷に宛がうものである。このため、全体として印刷時間を短縮することができる。またこの場合、画像印刷に比しマーク印刷を低い解像度で行うようにすれば、印刷テープAの送りを比較的速く行うことができる。
図12は、印刷テープの1の印刷可能領域Aaへの印刷結果を表している。同図(a)では、印刷テープAの延在方向に複数の単位画像(ラベル)Bが所定の間隙を存して印刷され、且つこれに平行して多数のマークCが均等間隔に印刷されている。また、同図(b)では、各単位画像Bに対応させて、複数のマークCが印刷されている。このように印刷されたマークCは、後にこの印刷済みテープにハーフカットを行うときに、単位画像Bの位置を検出するために用いられると共に、上述したように、次の印刷可能領域Aaを吸着テーブル6に正確に送り込むときに用いられる。なお、1の印刷可能領域Aaと次の印刷可能領域Aaとの境界部分に、上記画像間の間隙(非印刷部分Ab)が位置するように、印刷テープAの送りが行われることは、いうまでもない。
一方、同図(c)および(d)は、インクジェットヘッド22のフラッシングを上記の保管ユニット24に対しを行うのではなく、印刷テープAに行う場合を表している。同図(c)では、1の印刷可能領域Aaにおける単位画像BおよびマークCの印刷が完了すると、定期フラッシングとして、最後部の間隙(非印刷領域Ab)に対し、全インクジェットヘッド22を駆動してインク吐出を行うようにしている。
上述したように、エンドユーザは、印刷テープAのハーフカットされたラベル部分のみを使用し、他の部分は廃棄する。したがって、非印刷部分Abにフラッシングを行っても支障を生ずるものではなく、逆にこのような形態で定期フラッシングを行うことで、保管ユニット24にフラッシングを行う場合に比して、フラッシングのためのヘッドユニット21の移動時間が短縮され、全体として印刷速度を速くすることができる。
また、同図(d)では、定期フラッシングとマークCの印刷とを兼ねる構成になっている。すなわち、隣接する単位画像Bの間隙(非印刷領域Ab)に対し、全インクジェットヘッド22によるインク吐出を行ってマークCを印刷するようにしている。このように、定期フラッシングとマークCの印刷とを兼ねることで、フラッシングのための時間的ロスをゼロにすることができ、より一層印刷速度を速くすることができる。
なお、定期フラッシングを印刷テープ(印刷対象物)に対して行う構成は、ヘッドユニットを主走査方向に往復動させながら印刷対象物を副走査方向に送る、一般的なインクジェットプリンタにも適用できることは、いうまでもない。
(発明の効果)
以上のように、本発明のインクジェット印刷方法およびインクジェット印刷装置によれば、全ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドのフラッシングとマーク印刷とを兼ねるようにしているため、フラッシングのための印刷休止時間をゼロにすることができ、その分印刷速度をアップすることができる。
また、本発明の他のインクジェット印刷方法およびインクジェット印刷装置によれば、定期フラッシングを印刷対象物の非印刷領域に行うようにしているため、定期フラッシングのためのヘッド移動時間を短縮することができ、その分印刷速度をアップすることができる。