JP2009292129A - 記録装置及び記録装置における記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ターゲットの記録面に送風方向全域に亘り必要な流速で気流を供給できるうえ、送風手段の送風口寄りのエリアにおける風速を不要に高くすることを防止できる記録装置及び記録方法を提供する。
【解決手段】プラテン17を幅方向挟む両側には送風ユニット41と負圧吸引機構42がそれぞれの送風口41a及び吸引口47を対向させた状態で配置されている。コントローラは、記録媒体12の媒体幅に応じて送風ユニット41内のファンモータ43の回転速度を制御する。すなわち、コントローラは、記録媒体12の媒体幅が狭い場合にはファンモータ43を低速回転駆動させ、記録媒体12の媒体幅が広い場合にはファンモータ43を高速回転駆動させる。また、記録ユニット18には、その進行方向後側にできる着弾直後のインクの流れやすいインク流れ領域への空気流を遮蔽する遮蔽板54が走査方向にスライド可能に設けられている。
【選択図】図8

Description

本発明は、液体をターゲットに付着させて記録を行うとともに、付着した液体の乾燥を促進させるべく送風する送風手段を備えた記録装置及び記録方法に関する。
従来、インクジェット式プリンタでは、記録ヘッドから液体としてのインク滴を吐出し、搬送されたターゲット(用紙等)に付着させることで、文字や画像等の記録を行うようになっている(例えば特許文献1〜4等)。
また、インク記録面は高い印刷画質を確保するためには早期に乾燥させる必要があるが、例えばターゲットがインクを吸収しにくい光沢紙やフィルム等の材質である場合は、インク記録面の乾燥が比較的遅く、乾燥までの間にインクのにじみや流れ等が発生して相対的に高い印刷品質が得られにくい。また、乾燥を妨げる要因としては、ターゲット上のインク中の溶液や溶媒成分が蒸発してインク記録面の表面近くにできた拡散層の存在が挙げられる。拡散層は飽和蒸気圧に近く、このような拡散層がインク記録面の表面を覆うため、インク記録面からインク中の溶液や溶媒成分が蒸発しにくくなり、これがインクの乾燥を遅らせる原因となっている。
この種の問題を解消するため、例えば特許文献1〜3には、印刷直後のターゲットの表面に沿って送風し、送風した空気流により乾燥を促進させる送風装置を備えたインクジェット式プリンタが開示されている。これらのプリンタでは、送風装置が記録ヘッドに設けられ、記録ヘッドが移動しながら送風装置から送風する構成となっていた。
特開2007−253613号公報(段落0010、0011等、図1及び図4等) 特開2003−211652号公報 特開2001−341296号公報 特開2001−191507号公報(図5等)
しかしながら、特許文献1〜3のように、記録ヘッドの進行方向後側に送風したり、特許文献4のように、用紙搬送方向に沿って記録媒体に送風する構成の場合、以下の問題があった。
特許文献1〜3のように、送風装置が記録ヘッドに設けられている場合、空気流を用紙の記録面に対して垂直あるいはある角度をもって吹き付け、コアンダ効果によって空気流(圧縮空気)を記録面に対して水平でかつ記録ヘッドに向かう方向とは反対の方向に変える構成であるため、空気流の風速を弱めに設定しておく必要があった。しかし、フィルム等のインク浸透性の低い記録媒体に印刷する場合、空気流の風速を高めたいという要望がある。
そのため、例えば特許文献4のように、記録領域を挟んだ両側に送風装置と負圧吸引装置とを設け、記録面に沿って平行に空気流を吹き付ける構成が好ましい。しかしながら、例えば用紙の幅方向を送風方向とした場合、どの用紙幅サイズでも記録面全域に適切な風速で空気流を吹き付けるためには、最大用紙幅の用紙でも、用紙の送風方向における奥行き方向端部に至る記録面全域に所望の風速が得られるように送風装置の風速を設定しておく必要がある。しかし、用紙幅の狭い記録媒体に印刷する場合、不要に風速が強く、例えばフィルム等のインク浸透性の低い材質の記録媒体に印刷する場合に、特に送風口寄りの領域で過大な風速によりインク滴着弾直後のエリアでインク流れが発生する心配があった。この種のインク流れが発生すると印刷品質を著しく低下させる問題がった。そして、この種の問題を回避すべく風速を弱く設定すると、最大用紙幅の記録媒体に印刷する際に送風方向の奥行き方向まで十分にインクの乾燥を促進できなくなるという問題がった。
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、ターゲットの記録面に送風方向全域に亘り必要な流速で気流を供給できるうえ、送風手段の送風口寄りのエリアにおける風速を不要に高くすることを防止できる記録装置及び記録方法を提供することにある。
上記問題点を解決するために、本発明の記録装置では、ターゲットを搬送する搬送手段と、搬送されたターゲットに液体を付着させて記録を施す記録手段と、前記ターゲットの記録が施された記録面に沿って送風可能な位置に固定配置された送風手段と、前記送風手段の送風方向におけるターゲットの奥行き方向先端位置までの距離に応じて当該距離が短いときより長いときの方が気流の流速が高くなるように前記送風手段を制御する制御手段とを備えたことを要旨とする。
この発明によれば、制御手段により、送風手段の送風方向におけるターゲットの奥行き方向先端位置までの距離に応じて当該距離が短いときより長いときの方が気流の流速が高くなるように送風手段が制御される。よって、ターゲットの記録面に送風方向全域に亘り必要な流速で気流を供給できるうえ、送風手段の送風口寄りのエリアにおける風速を不要に高くすることを防止できる。
また、本発明の記録装置では、前記ターゲットの搬送経路を前記送風方向に挟む両側のうち一方の側に前記送風手段の送付口は配置され、前記ターゲットを幅方向に位置決めする位置決め手段をさらに備え、前記位置決め手段は前記ターゲットを幅方向に位置決めする際の基準となる固定ガイドを備え、該固定ガイドは前記両側のうち前記送風口が配置された側に設けられていることが好ましい。
この発明によれば、ターゲットは位置決め手段の固定ガイドにより、送風方向にターゲットの搬送経路を挟む両側のうち送風口が配置された側を基準にして幅方向に位置決めされる。このため、幅の短いターゲットは送風口から送風方向奥行き先端までの距離が短くなり、幅の広いターゲットは送風口から送風方向奥行き先端までの距離が長くなるようにターゲットが配置される。このため、ターゲットの幅に応じて送風手段からの気流の風速を変えられるようになる。
また、本発明の記録装置では、前記ターゲットの前記送風方向の幅を取得する幅取得手段をさらに備え、前記制御手段は、前記幅取得手段が取得した前記幅に基づき当該幅が短いときより長いときの方が前記気流の流速が高くなるよう前記送風手段を制御することが好ましい。
この発明によれば、ターゲットの送風方向の幅が幅取得手段により取得される。そして、送風手段は、幅取得手段が取得した幅に基づき当該幅が短いときより長いときの方が気流の流速が高くなるように制御手段により制御される。
さらに本発明の記録装置では、前記送風手段の送風エリアのうち前記記録手段の前記ターゲットに対する相対移動方向後側にできる液体付着直後の領域であって気流によって液体が流れうる液体流れ領域への気流を抑制する液体流れ抑制手段をさらに備えていることが好ましい。
この発明によれば、送風手段の送風エリアのうち記録手段のターゲットに対する相対移動方向後側にできる液体付着直後の領域であって気流によって液体が流れうる液体流れ領域への気流が液体流れ抑制手段により抑制される。液体流れ領域への気流が抑制されることで、液体流れ領域において送風による液体流れを効果的に抑制できる。
また、本発明の記録装置では、前記液体流れ抑制手段は、前記ターゲットの種類と前記液体の種類とのうち少なくとも一方を制御情報として取得する情報取得手段を備え、前記制御情報に応じて前記液体流れ領域への気流を抑制すべきエリアを調整することが好ましい。
この発明によれば、液体流れ抑制手段は、情報取得手段によりターゲットの種類と液体の種類とのうち少なくとも一方を制御情報として取得し、この制御情報に応じて液体流れ領域への気流を抑制すべきエリアを調整する。よって、ターゲットの種類と液体の種類とのうち少なくとも一方に応じて決まる液体流れ領域のサイズ(領域幅)に応じて、気流を抑制するエリアが変化することで、インク流れが発生する心配のない領域まで不要に気流を抑制してしまうことを回避できる。
また、本発明の記録装置では、前記液体流れ防止抑制は、前記送風手段から前記液体流れ領域へ向かう気流を遮蔽する遮蔽手段であることが好ましい。
この発明によれば、送風手段から液体流れ領域へ向かう気流を遮蔽手段により遮蔽できる。例えば送風手段の駆動を停止する構成であると、その風速が低下するまでに遅延が起きたり、風速を戻すときに遅延が起きたりするが、遮蔽手段により気流を遮蔽する構成であれば、この種の遅延がさほど起きず、液体流れ領域への気流の抑制を、その他の領域への気流を妨げずに行うことができる。
また、本発明の記録装置では、前記遮蔽手段は、前記液体流れ領域への気流を遮蔽する遮蔽体と、前記液体流れ領域への気流を遮蔽すべきエリアを調整可能に前記遮蔽体を駆動させる駆動手段と、前記気流を遮蔽すべきエリアを調整するように前記駆動手段を制御する制御手段とを備えていることが好ましい。
この発明によれば、制御手段が気流を遮蔽すべきエリアを調整するように駆動手段を制御することで、液体流れ領域への気流を遮蔽すべきエリアを調整可能に遮蔽体が駆動される。よって、遮蔽体が液体流れ領域への気流を遮蔽すべきエリアが調整され、液体流れ領域以外の領域まで不要に気流が遮蔽されることを回避できる。
さらに本発明の記録装置では、前記記録手段は液体を吐出する構成であり、前記記録手段から吐出される液体の飛行領域への前記気流を遮蔽する防風手段をさらに備えていることが好ましい。
この発明によれば、防風手段により記録手段の液体の飛行領域への気流が防風手段により遮蔽される。よって、記録手段から吐出された液体の着弾位置が気流によってずれることを防止できる。
また、本発明は、ターゲットを搬送する搬送手段と、ターゲットに液体を付着させて記録を施す記録手段とを備えた記録装置における記録方法であって、前記記録手段による記録が施されたターゲットの記録面に沿って送風可能な送風手段の送風口からターゲットの送風方向奥行き先端までの距離を取得する距離取得ステップと、前記距離が短いときより長いときの方が前記送風手段からの気流の流速が高くなるように前記送風手段を前記距離に応じて制御する制御ステップとを備えたことを要旨とする。この発明によれば、上記記録装置の発明と同様の効果を得ることができる。
(第一実施形態)
以下、本発明をラテラルスキャン方式のインクジェット式プリンタに適用した第一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、インクジェット式プリンタの模式側面図、図2はその模式平面図を示す。
図1及び図2に示すように、記録装置(液体噴射装置)としてのインクジェット式プリンタ(以下、単に「プリンタ11」という)は、ターゲットとしての長尺状の連続記録媒体(以下、単に「記録媒体12」という)を供給する媒体供給ユニット13と、媒体供給ユニット13から繰り出されて間欠的に停止する記録媒体12に印刷を施す印刷部14と、印刷部14から印刷後の記録媒体12を排出すべく巻き取る排出ユニット15とを備えている。
印刷部14は、複数本の脚部(図示省略)を有する台状の本体フレーム16の基台16a上に水平配置された平板状のプラテン17と、プラテン17上に配置された記録媒体12に液体としてのインクを噴射して記録を施す記録手段としての記録ユニット18とを備える。記録ユニット18は、プラテン17の幅方向(つまり図2の上下方向である媒体幅方向Y)両側に配置された一対のガイドレール19(図2に示す)に案内されて媒体搬送方向(以下、単に搬送方向という)と平行な走査方向Xに沿って往復移動可能に設けられている。
記録ユニット18は、図1及び図2に示すように、キャリッジ20と、キャリッジ20の下部に支持された記録ヘッド21とを有している。キャリッジ20は、キャリッジモータ76(図10参照)から図示しない動力伝達機構を介して伝達される動力により両ガイドレール19に案内されつつ走査方向Xに往復移動する。なお、本実施形態では、記録ヘッド21はキャリッジ20に対して媒体幅方向Yにスライド可能に支持され、プラテン17に対して走査方向Xと媒体幅方向Yとの2方向に相対移動可能となっているが、走査方向Xのみ移動可能な構成としてもよい。
また、プリンタ11には、液体としての各色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のインクを個別に貯留するタンク又はインクカートリッジ(図示せず)が設けられている。記録ヘッド21の下面(ノズル形成面)には多数個のノズル開口が媒体幅方向Yに一定のノズルピッチで形成されてなるノズル列21a(図2参照)がインク色と同数列(本例では4列)設けられている。記録ヘッド21は走査方向Xに移動しながら、各タンク又はインクカートリッジから供給されたインクを停止中の記録媒体12に向かって噴射することで記録を行う。また、印刷部14には、プラテン17の搬送方向上流側位置に、記録ヘッド21のクリーニング等を行うメンテナンス装置22が設けられている。なお、記録ヘッド21は、複数の単位ヘッドが媒体幅方向Yに沿って千鳥配置されて構成されるマルチヘッドタイプのものであってもよい。
図1及び図2に示すように、媒体供給ユニット13は、本体フレーム16から延出する支持板16bに回転可能に支持されるとともに媒体供給用のロール24が取着される繰り出し駆動軸23と、繰り出し駆動軸23の回転駆動によりロール24から繰り出された記録媒体12を案内する中継ローラ25、駆動ローラ26、昇降ローラ27及び中継ローラ28とを備えている。記録媒体12は各ローラ25〜28を経由して印刷が行われるプラテン17上へと搬送される。
記録ユニット18による印刷はプラテン17上に記録媒体12を停止させた状態で行われ、この印刷中に繰り出し方向へ回転駆動される繰り出し駆動軸23及び駆動ローラ26の回転に連動して昇降ローラ27が下降することで、1回分の搬送長さの記録媒体12が予め繰り出される。そして、1回の印刷が終了して媒体排出ユニット15による巻取りが開始されると、これに連動して昇降ローラ27が上昇することで、予め繰り出されていた1回分の搬送長さの記録媒体12が印刷部14内へ搬送される。
図1に示すように、中継ローラ28の上面、プラテン17の上面、及び転換ローラ29の上面は面一になっており、印刷部14へ搬送された記録媒体12はプラテン17上に水平に配置される。そして、印刷時の記録媒体12はプラテン17に形成された多数の負圧吸引孔(図示せず)を通じてその裏面に作用する負圧によりプラテン17上に吸着され、印刷終了後にその吸着状態が解除される。
排出ユニット15は、印刷後の記録媒体12をプラテン17上から排出する際の排出経路を規定する転換ローラ29、反転ローラ30、中継ローラ31、駆動ローラ32及び中継ローラ33,34と、媒体巻取用のロール35を取着するための巻取り駆動軸36とを備える。1回の印刷が終了する度に、駆動ローラ32及び巻取り駆動軸36が巻取り方向に回転駆動され、印刷後の記録媒体12はプラテン17の上面から各ローラ29〜34を経由して1回分の搬送長さずつ間欠的にロール35に巻き取られる。なお、図1に示すように、中継ローラ28の搬送方向上流側位置には、記録媒体12を媒体幅方向Yに位置決めするための位置決め手段としてのガイド装置37が設けられている。また、印刷部14は、基台16a上に区画形成された印刷室38内に収容されている。
転換ローラ29の下方には強制乾燥装置39が配設され、印刷後の記録媒体12は強制乾燥装置39内を通って強制乾燥される。この強制乾燥装置39による強制乾燥前に、記録媒体12の記録面は印刷部14において予備乾燥される。次にこのプリンタ11の特徴部分である印刷部14における予備乾燥機構について説明する。
図1に示すように、プラテン17の裏面側(図1では下側)にはヒータ40が設けられている。プラテン17はヒータ40に通電されることで加熱され、その表面(上面)に吸着された記録媒体12を加熱して記録面上のインクの乾燥を促進させるホットプラテンとして機能する。
本実施形態のプリンタ11では、記録媒体12として、普通紙、光沢紙、フィルム等が用いられる。また、媒体幅サイズは、例えばLo〜Lxの範囲の種々のサイズのものが用いられる。このLo〜Lxは、本実施形態では、例えば50〜400mm程度の範囲である。
図2に示すように、プリンタ11には、ホットプラテン以外の他のインク乾燥手段として、送風により記録媒体12上のインクの乾燥を促進するための送風機構が設けられている。プラテン17の幅方向(媒体幅方向Y)両側には、送風機構を構成する送風手段としての送風ユニット41と、負圧吸引機構42とが対向配置されている。
送風ユニット41は、搬送方向(走査方向X)には印刷領域PA(印刷可能領域)の範囲に亘って固定配置されている。送風ユニット41は、ファンモータ43(図10参照)の駆動により回転可能なファン44を内部に有する複数個(本実施形態では3個)の送風機45と、ファン44の回転により発生した空気流を走査方向X(搬送方向)と直交する方向へ案内し、プラテン17上の記録媒体12の記録面に沿うほぼ水平の空気流を吹き付けるための長尺状の送風ガイド46とを有する。送風ガイド46は、送風機45を構成する箱状のハウジング45aの前面開口に連通する状態に接合され、その先端部に走査方向X(搬送方向)に沿って延びる長孔状の送風口41aを有している。送風ユニット41の送風口41aからは媒体幅方向Yと平行となる方向へ空気流が吹き出される。
一方、負圧吸引機構42は、送風ユニット41の送風口41aと媒体幅方向Yに対向して位置するとともに送風口41aと走査方向X(搬送方向)にほぼ等しい長さを有する吸引口47を備えている。負圧吸引機構42は負圧発生装置と流路(いずれも図示せず)を通じて連通されており、負圧発生装置から負圧吸引機構42内に導入した負圧により、吸引口47には空気を引き込む吸引気流が発生する。そして、送風ユニット41の送風口41aから吹き付けられた空気流が、負圧吸引機構42の吸引口47へ吸い込まれることにより、送風口41aから、プラテン17上の記録媒体12の上面を媒体幅方向Yに横切って吸引口47へ流入する空気の層流が発生するようになっている。
ラテラルスキャン方式のプリンタ11の場合、記録ヘッド21のノズル列21aは、図2に示すように媒体幅方向Yと平行であることから、送風ユニット41からの送風方向(空気流の流れ方向)が、ノズル列21aの列方向(ノズル列方向)と同一の方向となっている。送風方向をノズル列方向と同一とすることで、記録ユニット18の長手方向が送風方向と平行になり、この状態で印刷時に走査方向Xに移動する記録ユニット18が空気流をその流れ方向に対してほぼ直交するように横切ることで、記録ユニット18が空気流を横切る際に乱流を誘発しにくくしている。なお、記録ヘッド21が印刷可能な最大領域として印刷領域PA(図2参照)(記録領域)は規定される。記録媒体12に印刷すべき印刷実行領域は、印刷領域PAの範囲内で媒体サイズに応じて設定される。
送風ユニット41による送風がインクの乾燥を促進させる理由は以下のとおりである。記録媒体12の記録面の上層には、インク中の溶液又は溶媒(例えば水)が蒸発してできた例えば10〜20mm程度の層厚の拡散層(境界層)が形成される。拡散層は飽和蒸気圧に近い蒸気圧であるため、記録面上のインクからの溶液又は溶媒の蒸発速度を著しく低下させる。そのため、プラテン17で記録媒体12が加熱されても、記録媒体12上のインク中の溶液又は溶媒の蒸発速度が低下していることから、インクの乾燥が促進されにくい。
本実施形態では、送風ユニット41から記録媒体12の記録面に沿って空気流を吹き付けて、この種の拡散層を吹き飛ばして記録面上から除去することで、インクの乾燥速度を促進させるようにしている。本実施形態では、送風ユニット41の送風口41aからの空気流の風速を拡散層の除去に有効な4m/秒以上としており、例えば4〜15m/秒の風速の範囲で送風制御を行う構成としている。もちろん、風速の設定は適宜変更できる。
図3は、印刷部の模式斜視図を示す。図3に示すように、プラテン17に対して記録媒体12の搬送方向上流側位置には、プラテン17上へ搬送される記録媒体12の媒体幅方向Yの位置決めをするための前述のガイド装置37が配設されている。ガイド装置37は中継ローラ28よりも下方(搬送方向上流側)に位置し、媒体幅方向Yにプラテン17の幅方向長さと同程度の長さで延びる案内部材48と、案内部材48の一端側に固定配置された固定ガイド49と、案内部材48の案内孔48aに係合案内されて媒体幅方向Yにスライド可能に取着された可動ガイド50とを備える。固定ガイド49は、印刷領域PAの媒体幅方向Yの範囲において送風口41a側端部位置を、記録媒体12を幅方向に位置決めする際の基準位置とするように位置設定されている。このため、図3に示すように、記録媒体12は幅方向一端が固定ガイド49に支持されることで、どの媒体サイズでも常に送風ユニット41側に一杯に寄せた状態に位置決めされる。
図3に示す記録媒体12の上面には、記録ヘッド21のノズルから噴射されたインク滴が記録媒体12上に着弾してできたインクドットを模式的に描いている。記録媒体12が例えばフィルムのようにインクの浸透吸収性の低い材質の場合、インクの乾燥がある程度進むまでの間、インクが記録面上で液滴状態を保ち、空気流が吹き付けられるとインク流れが発生する。このようなインク流れが発生する恐れのある着弾直後のインクドットに網掛けを施し、インク流れの心配がないインクドットを白抜きで描いている。なお、インクドットサイズは、例えばドット径が10〜100μm程度であり、図3に示すインクドットは実際のサイズとは異なるものを模式的に示したものである。
本実施形態の記録ユニット18には、送風ユニット41からの空気流が記録ヘッド21のノズル形成面に当たることを防止するための防風部材51が取り付けられている。図2及び図3に示すように、防風部材51は、記録ヘッド21の側面のうち送風口41aと対向する側の面と、走査方向Xに交差する両面(送風方向と平行な面)とを囲む平面視略コ字形状の部材からなる。すなわち、防風部材51は、送風口41aと対向する防風板部51aと、記録ユニット18が走査方向Xに移動する際にヘッド進行方向正面側で受ける空気流が記録ヘッド21の直下領域(インク滴の飛行領域)へ流入することを防止する一対の防風側板部51bとから構成されている。
図4に示すように、防風板部51aはプラテン17の上面より下側の位置まで下方へ延びており、空気流がプラテン17の上面側へ漏れることを確実に防止できる構成となっている。一方、防風側板部51bは、記録ヘッド21と記録媒体12との想定される最小ギャップの際でも、その下端が記録媒体12の記録面に接触することのないように下方への延出長が設定されている。そのため、防風側板部51bは、記録媒体12の表面に接触しない程度の僅かな隙間を隔てて、記録媒体12の記録面と対峙しうる構成となっている。この防風部材51により、空気流が記録ヘッド21のインク噴射域へ及ぶことが回避されることで、空気流によるインク滴飛翔経路が曲がることを防止し、空気流による印刷品質の低下を防止することが可能となっている。また、記録ヘッド21の下方域に空気流が及ぶと、ノズル内のインクが空気流に晒されてノズル内のインクが増粘しやすくなってインク吐出不良を招く恐れがあるが、このような空気流に起因するインク吐出不良発生の恐れも回避することが可能となっている。
ここで、記録媒体12が普通紙であれば着弾したインク滴は直ちに紙繊維に浸透吸収されて着弾直後に記録面に液滴が残らない。しかし、記録媒体12が光沢紙やフィルムなどのインク浸透吸収性の低い材質である場合は、インク滴の着弾直後(インク滴着弾後、例えば50〜1000ミリ秒の範囲内の所定時間)は、記録面上にインクが液滴状を保ったまま残ることになる。このようにインク浸透吸収性の低い材質の記録媒体12に対しインク滴着弾直後に拡散層の除去に有効な例えば風速4m/秒以上の比較的強い空気流が吹き付けられると、液滴状のインクが記録面上を流れ、印刷画質を著しく低下させる恐れがある。よって、本実施形態では、インク滴着弾直後の空気流の吹き付けによりインク流れが発生する可能性の高い記録媒体12(例えば光沢紙やフィルム)では、送風ユニット41の送風エリア(つまり印刷領域PA)のうち、予備実験結果に基づきインク流れが発生すると判断されたインク流れ領域LA(液体着弾直後エリア)への空気流を遮蔽する遮蔽機構53を設けている。
図5(a),(b)は遮蔽機構の構成及び動作を説明する模式側面図、図6及び図7は同じく構成及び動作を説明する模式平面図を示す。なお、図6及び図7では、記録ヘッド21のノズルから噴射されたインク滴がフィルムからなる記録媒体12上に着弾してできたインクドットを模式的に描いており、図3と同様にインク流れ領域にあるインクドットに網掛けを施し、インク流れの心配のないインク静止領域にあるインクドットを白抜きで描いている。
図5、図6、図7に示すように、遮蔽機構53は、本実施形態では、キャリッジ20にスライド可能に設けられたスライド式遮蔽板(以下、単に「遮蔽板54」という)を有する。すなわち、図3及び図4に示すように、キャリッジ20の前面には、防風板部51aに対して走査方向Xに移動可能に遮蔽板54が取り付けられている。遮蔽板54はその側面(遮蔽面)を送風口41aと対向させた向きに配置され、キャリッジ20の端面(詳しくは防風部材51の端面)に対してスライド機構55を介して走査方向Xに移動可能に取り付けられている。キャリッジ20側には小型のリニアモータ79(図10参照)が取り付けられ、リニアモータ79の動力により遮蔽板54は走査方向Xに往復移動する。
本例ではスライド機構55として、例えば複数個のローラ(コロ)で遮蔽板54を挟持してローラの転動を利用して遮蔽板54をスライドさせるローラ式が採用されている。もちろん、スライド機構はローラ式に限定されずレール式でもよい。なお、遮蔽板のスライド駆動方式は、リニアモータを用いたリニアモータ式スライド機構に限定されず、電動モータの動力をベルト式動力伝達機構あるいはワイヤ式動力伝達機構を介して遮蔽板に伝達してこれをスライド駆動させる方式でもよい。また、遮蔽板54の動力源として用いるアクチュエータは、モータに限定されず、ソレノイドやエアシリンダ等も採用できる。
図5〜図7に示すように、遮蔽板54は記録ヘッド21の進行方向に応じて記録ヘッド21の進行方向後側のインク流れ領域への空気流を遮蔽すべく、記録ヘッド21に対しその進行方向と反対側へ延出するようにスライド制御される。
図5(a)及び図6に示すように、記録ヘッド21の進行方向(ヘッド進行方向)が搬送方向と同一の正方向であるときには、その方向への走査を開始する際にリニアモータ79が負方向に駆動され、遮蔽板54はヘッド進行方向後側(負方向)(図5(a)では左方向、図6では下方向)にスライド移動する。そして、遮蔽板54のヘッド進行方向後側へ延出した部分でインク流れ領域LAへの空気流AFを遮蔽しつつキャリッジ20は正方向へ移動する。
また、図5(b)及び図7に示すように、記録ヘッド21の進行方向が搬送方向と反対の負方向であるときには、その方向への走査を開始する際にリニアモータ79が正方向に駆動され、遮蔽板54はヘッド進行方向後側(正方向)(図5(b)では右方向、図6では上方向)にスライド移動する。そして、遮蔽板54のヘッド進行方向後側へ延出した部分でインク流れ領域LAへの空気流AFを遮蔽しつつキャリッジ20は負方向へ移動する。この遮蔽板54のスライド方向及びスライド量の制御についての詳細は後述する。
また、本実施形態では、送風ユニット41からの空気流の風速を、記録媒体12の媒体サイズ(媒体幅)に応じて変化させている。図8及び図9は、媒体サイズに応じた風速制御を説明するための印刷部の模式平面図である。図8は記録媒体12の媒体幅が狭い場合、図9は記録媒体12の媒体幅が広い場合の風速制御を説明するものである。
図8に示すように、媒体幅の狭い記録媒体12の場合は風速を低くし、一方、媒体幅の広い記録媒体12の場合は風速を高くしている。これは、記録媒体12の媒体幅方向Y(送風方向)全幅に亘り拡散層を吹き飛ばすためには規定以上の風速が必要だからである。また、風速は、送風口41aから離れるほど徐々に低下するが、送風方向と平行な奥行き方向反対側の端部まで必要な風速を確保しようとすると、送風口41aでの風速を媒体幅が広いほど高める必要がある。このため、記録媒体12の送風方向奥行き先端まで必要な風速の空気流を確保できるように、送風口41aでの風速を記録媒体12の媒体幅が広くなるほど高めるようにファンモータ43の回転速度制御を行っている。すなわち、媒体幅の広い記録媒体12の場合はファンモータ43の回転速度を高速とし、媒体幅が狭い記録媒体12の場合はファンモータ43の回転速度を低速とし、媒体幅が広くなるほどファンモータ43の回転速度を高速にする制御を行うようにしている。
図10は、プリンタ11の電気的構成を示すブロック図である。図10に示すように、プリンタ11は、プリンタ全体の制御を司るコントローラ70を備えている。コントローラ70は、搬送駆動系の繰出用モータ71、駆動モータ72、昇降ローラ用モータ73、駆動モータ74及び巻取用モータ75と電気的に接続され、これらのモータを駆動することで、繰り出し駆動軸23、駆動ローラ26、昇降ローラ27、駆動ローラ32、巻取り駆動軸36をそれぞれ回転駆動させる。
また、コントローラ70は、走査駆動系のキャリッジモータ76、記録ヘッド21、送風駆動系の複数個(本例では3個)のファンモータ43、負圧発生装置を構成する負圧発生用モータ78及び遮蔽板駆動用のリニアモータ79が電気的に接続されている。コントローラ70がキャリッジモータ76を駆動制御することで、キャリッジ20が走査方向Xに移動し、この移動の過程で記録ヘッド21を駆動することでノズルからインク滴を噴射させて印刷動作を行わせる。なお、記録ヘッド21には、各ノズルと個々に対応する吐出駆動素子がノズル数と同数内蔵されている。吐出駆動素子は、例えば圧電振動素子又は静電駆動素子からなり、所定電圧波形の電圧パルスが印加されると、電歪作用又は静電駆動作用により振動し、その振動圧によりノズルからインク滴を吐出させる。もちろん吐出駆動素子はノズル通路内のインクを加熱してインク内に沸騰により発生した気泡の膨張を利用してノズルからインク滴を吐出させるヒータでもよい。
また、コントローラ70は、ファンモータ43を駆動することで送風ユニット41の送風を開始し、ファンモータ43の回転速度を制御することで送風口41aから吹き出される空気流の風速を制御する。さらにコントローラ70は、負圧発生用モータ78を駆動することで負圧吸引機構42を起動し、起動後の負圧発生用モータ78の回転速度を制御することで吸引口47へ引き込まれる吸引気流の流速を制御する。また、コントローラ70は、リニアモータ79を駆動制御することで、遮蔽板54のスライド駆動を制御する。
また、コントローラ70はプラテン加熱用のヒータ40及び温風用のヒータ80と電気的に接続されている。コントローラ70がヒータ40に通電することでプラテン17が加熱され、ヒータ80に通電することで送風ユニット41から温風が送風される。
また、コントローラ70には、入力系として、記録ヘッド21の走査方向Xにおける位置を検出するためのリニアエンコーダ82、搬送駆動系を構成する一のローラ(例えば中継ローラ28又は転換ローラ29)の回転を検出するエンコーダ83、紙幅センサ84が電気的に接続されており、これらから検出信号を入力する。
コントローラ70はコンピュータ86(マイクロコンピュータ)、モータ駆動回路87〜92,94〜96及びヒータ駆動回路97,98を内蔵している。また、コンピュータ86は、CPU101(中央処理装置)、メモリ102、位置カウンタ103、搬送カウンタ104、カウンタ105及び位置カウンタ106などを内蔵している。CPU101は、メモリ102に記憶された制御プログラムを実行して、モータ駆動回路87〜92,94〜96を介して各モータ71〜79を駆動制御する。また、CPU101はヘッド駆動回路93を介して記録ヘッド21を駆動制御する。さらにCPU101はヒータ駆動回路97,98を介して各ヒータ40,80を通電制御する。
また、CPU101は、リニアエンコーダ82から90度位相のずれたA相・B相の各エンコーダパルスを入力し、例えばA相のパルスの立ち上がり・立ち下がり時にB相のレベルがHiかLowかをみることで記録ヘッド21の進行方向がホーム位置(原点位置)から離れる正方向か、ホーム位置へ向かう負方向かを把握する。
さらにCPU101は、記録ヘッド21がホーム位置にあると検出された際に位置カウンタ103をリセットする。そして、記録ヘッド21の正方向移動中においてリニアエンコーダ82からパルスエッジを入力する度に位置カウンタ103をインクリメントし、記録ヘッド21の負方向移動中においてリニアエンコーダ82からパルスエッジを入力する度に位置カウンタ103をデクリメントする。こうしてCPU101は、位置カウンタ103のカウント値から、ホーム位置を原点とする記録ヘッド21の走査方向Xにおける位置(ヘッド位置Xh)を把握する。
また、CPU101は、エンコーダ83からパルスエッジ入力の度に搬送カウンタ104をインクリメントすることで記録媒体12の搬送位置を把握し、この搬送位置を監視しつつ、印刷1回毎に記録媒体12を所定搬送量だけ搬送させる際の各モータ73〜75の駆動制御を行う。なお、記録媒体を繰り出す際の各モータ71〜73の制御は、図示しない媒体検出センサの検出信号に基づき行う。
また、CPU101は、リニアエンコーダ82から単位時間当たりに入力されるA相・B相のエンコーダパルスのパルスエッジ数をカウンタ105で計数することで、その単位時間当たりのカウント値から記録ヘッド21の移動速度(ヘッド移動速度Vh)(つまりキャリッジ移動速度)を把握する。
さらにCPU101は、リニアモータ79のモータステップ数を位置カウンタ106で計数することでそのカウント値から遮蔽板54の位置を把握する。
また、プリンタ11のコントローラ70にはインターフェイス107を介してホスト装置(図示せず)から印刷データが入力される。印刷データには印刷条件情報、制御コマンド、記録用データ(ラスタデータ)が含まれており、CPU101はこれら各データに基づいて搬送制御、キャリッジ制御、記録ヘッド制御など印刷動作に必要な各種制御を行う。なお、印刷データに関するコマンド解析や記録用データの展開処理等はASIC(Application Specific Integrated Circuit)に行わせても構わない。
CPU101は、印刷データをコマンド解析して制御コマンドの他、媒体サイズ(例えば連続紙の紙幅)や媒体種(例えば普通紙、光沢紙、フィルム等)を含む印刷条件情報を取得する。
CPU101は、印刷条件情報から記録媒体12の媒体幅を取得すると、媒体幅に応じてファンモータ43の回転速度を制御する。本実施形態の場合、図3〜図9に示すように、印刷領域PAの媒体幅方向Yにおいて送風ユニット41が配置されている側の一端部に、ガイド装置37の固定ガイド49を位置させて、送風口41a側を位置基準として記録媒体12の媒体幅方向Yの位置決めを行うようにしている。このため、送風口41aから記録媒体12の送風方向奥行き先端までの距離(「送風必要距離」ともいう)は、媒体幅に応じて異なる。そして、送風口41aから記録媒体12の送風方向奥行き先端に至るまで必要な風速以上の空気流を吹き付ける必要があるため、送風口41aからの送風必要距離が長い媒体幅の広い記録媒体12ではファンモータ43を高速回転させるが、送風必要距離が短く済む媒体幅の狭い記録媒体12では、ファンモータ43を低速回転させる設定としている。そのため、記録媒体12の媒体サイズ(媒体幅)に応じてファンモータ43の回転速度を変化させている。
詳しくは、メモリ102には、媒体幅毎にファンモータ43の回転速度が設定された図11に示すテーブルデータTDが記憶されている。このテーブルデータTDには、媒体幅ランクW1,W2,W3,W4,W5にそれぞれ対応してファンモータ回転速度V1,V2,V3,V4,V5が設定されている。媒体幅ランクとは、媒体幅の範囲を指し、例えば媒体幅ランクW2が150〜200mmの場合、この範囲内に媒体幅が属する記録媒体12は媒体幅ランクW2に属する。この媒体幅ランクW2の場合、コントローラ70はファンモータ43を回転速度V2で駆動制御する。これにより、送風ユニット41から送風される空気流が記録媒体12の媒体幅方向(送風方向奥行き方向)全域に適切に行き渡るように吹き付けられ、記録媒体12の記録面上から拡散層を媒体幅方向Y全域に亘って除去できる。
また、メモリ102には、遮蔽板54のスライド位置を制御する際に参照する図12に示すマップデータMDが記憶されている。図12に示すマップデータMDのグラフでは、横軸がインク着弾後遮風時間Ts、縦軸がファンモータ回転速度Vmである。図11のテーブルデータTDを参照して媒体幅から決まったファンモータ回転速度Vmを基に、マップデータMDを参照してインク着弾後遮風時間Tsを求める。ここで、インク着弾後遮風時間Tsとは、そのときのファンモータ回転速度Vmから決まる風速で空気流を吹き付けても、着弾したインクが流れなくなるまでに必要なインク着弾時からの経過時間を指し、着弾直後のインクを遮蔽板54で遮風する必要がある時間に相当する。このインク着弾後遮風時間Tsにヘッド移動速度Vhを乗じて得られる遮蔽長Lが、遮蔽板54で遮蔽する必要があるインク流れ領域LAの走査方向Xのサイズ(幅)となる。
図12に示すグラフでは、媒体種が「普通紙」、「光沢紙」、「フィルム」のマップを示す曲線が示されている。例えばフィルムを例にすると、フィルムの曲線より上側の領域はインク流れが発生する「インク流れ領域」となっており、この曲線を含めこれ以下の領域がインク流れが発生しない「インク静止領域」となっている。この曲線は、ファンモータ回転速度Vmから決まるインク静止領域(インク流れを発生させないインク着弾後経過時間)のうち最小時間をインク着弾後遮風時間Tsとして選択できるラインである。なお、風速のバラツキやインク乾燥速度のバラツキ等を考慮して確実にインク流れが発生しない値が選択されるように図12のグラフにおける曲線は設定されている。
また、図12に示す光沢紙の曲線から分かるように、光沢紙はフィルムに比べ相対的にインク着弾後遮風時間Tsが短く済む。また、普通紙の曲線から分かるように、普通紙の場合、ファンモータ回転速度Vmの値に関わらずインク着弾後遮風時間Tsとして零が選択される。これは、普通紙の場合、着弾したインクが直ちに紙繊維に浸透吸収されてある程度高い風速の空気流を吹き付けてもインク流れが発生しないからである。これに対し、フィルムは、浸透吸収性が極めて低く、着弾後にインクの液がそのまま表面に残るので、溶媒等が蒸発してその液の体積が減ったり液がある程度まで増粘したりしてインク流れが発生しなくなるまで、そのときのファンモータ回転速度Vmから決まる風速の空気流の吹き付けを待つ必要がある。なお、このマップデータMDでは、媒体種を3種類のみ示しているが、実際にはもう少し多くの媒体種が設定されている。
次に図13に示すフローチャートに基づいてCPU101が実行する液体流れ防止処理について説明する。
まずステップS10では、媒体サイズを取得する。本例では、紙幅センサ84の検出結果に基づき媒体幅を取得する。
ステップS20では、媒体サイズに応じた回転速度でファンモータ43を駆動する。すなわち、CPU101は、その媒体サイズが属する媒体幅ランクに基づいてメモリ102のテーブルデータTDを参照してファンモータ回転速度Vmを取得し、その取得したファンモータ回転速度Vmに応じた指示データをモータ駆動回路94に指令することでファンモータ43を駆動制御する。
ステップS30では、媒体種を取得する。本例では、印刷データに含まれる印刷条件情報から媒体種を取得する。例えば媒体種として、普通紙、光沢紙、フィルムのうちいずれか一つを取得する。
ステップS40では、インク着弾後遮風時間Ts(以下、単に「着弾後遮風時間Ts」ともいう)を求める。すなわち、CPU101は、メモリ102のマップデータMDを参照して、そのときの媒体種とファンモータ回転速度Vmとに基づき着弾後遮風時間Tsを取得する。例えば図12に示すように、媒体種がフィルムであり、ファンモータ回転速度Vmが「V4」であれば、着弾後遮風時間Tsが「T4(ミリ秒)」として取得される。
次のステップS50では、ヘッド移動速度Vh(つまりキャリッジ移動速度)を取得する。CPU101は、リニアエンコーダ82から単位時間当たりに入力するA相・B相のエンコーダパルスのパルスエッジ数をカウンタ105で計数することで、その単位時間当たりのカウント値からヘッド移動速度Vhを把握する。
ステップS60では、遮蔽長Lを算出する。ここで遮蔽長Lとは、遮蔽板54を記録ユニット18の進行方向後側へ延出させる延出長に相当する。詳しくは、遮蔽長Lは、複数のノズル列21aのうち記録ヘッド進行方向最後列のノズル列21aの位置(正確にはこの最後列のノズル列から吐出されたインク滴の着弾位置)を基準点(原点)とし、そのヘッド進行方向に応じた基準点(原点)から進行方向後側にできるインク流れ領域LAの後端位置までの距離に相当する。CPU101は、この遮蔽長LをL=Vh×Tsにより演算する。
ステップS70では、ヘッド移動方向を判断する。すなわち、CPU101はリニアエンコーダ82から入力するA相・B相のエンコーダパルスのうち一方(例えばA相)のパルスエッジを検出したときの他方(B相)のパルスのレベルがHiかLowかをみることでヘッド移動方向(つまりキャリッジ移動方向)を把握する。ヘッド移動方向が正方向であればステップS80に進み、負方向であればステップS90に進む。
ステップS80では、遮蔽板54を負方向へ遮蔽長Lだけ延出させる。つまり、CPU101は、位置カウンタ106のカウント値から遮蔽板54の現在位置を把握し、その現在位置から、その負方向における基準点から遮蔽長Lだけ負方向に進んだ位置までの移動に必要なモータステップ数を演算し、そのモータステップ数をモータ駆動回路96に指令してリニアモータ79をそのモータステップ数に応じた駆動量だけ負方向に駆動させる。その結果、遮蔽板54は負方向の基準点から遮蔽長Lだけ負方向(ヘッド進行方向後側)へ延出する位置までスライドする。
一方、ヘッド移動方向が負方向である場合は、ステップS90において、遮蔽板54を正方向へ遮蔽長Lだけ延出させる。つまり、CPU101は、位置カウンタ106のカウント値から遮蔽板54の現在位置を把握し、その現在位置から、その正方向における基準点から遮蔽長Lだけ正方向に進んだ位置までの移動に必要なモータステップ数を演算し、そのモータステップ数をモータ駆動回路96に指令してリニアモータ79をそのモータステップ数に応じた駆動量だけ正方向に駆動させる。その結果、遮蔽板54は正方向の基準点から遮蔽長Lだけ正方向(ヘッド進行方向後側)へ延出する位置までスライドする。
このとき、ヘッド移動速度Vhは、反転位置(又は停止位置)に近づくと減速するが、その減速したヘッド移動速度Vhから算出される延出長Lに基づきリニアモータ79が駆動制御されることで、ヘッド移動速度Vhが低下するに連れて延出長Lを短くするように遮蔽板54が記録ユニット18の減速に追従して位置制御される。これは記録ユニット18の反転後の加速過程でも同様で、遮蔽板54は記録ユニット18が加速されるに連れてその延出長Lを長くするように位置制御される。この結果、記録ユニット18の加減速域においても、インク流れ領域以外の領域(インク静止領域)への空気流まで不要に遮蔽する事態が防止される。
以上詳述したように、この第一実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)走査方向X(搬送方向)と直交する方向にプラテン17を挟んだ両側に、印刷領域PA(記録領域)に沿って延びる送風口41aを有する送風ユニット41と、送風口41aと対向する吸引口47を有する負圧吸引機構42(吸引ユニット)とを配置し、媒体幅方向を横切るように記録媒体12の記録面に空気流を吹き付けるようにした。よって、インク記録面の上層にできる拡散層を空気流により吹き飛ばしてインクの蒸発を促進させることができ、その結果、インクの乾燥を効率よく行うことができる。そして、記録ユニット18に遮蔽機構53を設け、記録ユニット18の進行方向後側にできるインク流れ領域LAへの空気流を遮蔽板54により遮蔽することができる。このため、比較的高い風速で空気流を吹き付けても着弾直後のインクが流れることが回避され、インク流れに起因する印刷品質の低下を防止することができる。
(2)遮蔽板54をスライド可能に設け、媒体種に応じたインク流れ領域LAのサイズに応じて遮蔽板54のスライド位置を位置調整する構成としたので、インク流れ領域LA以外の領域への空気流を不要に遮蔽することを回避できる。
(3)遮蔽板54はその下端がプラテン17の上面よりも下方に至るまで下方へ延出しているので、送風ユニット41からの空気流のプラテン17上への漏れを効果的に抑制することができる。例えば遮蔽板がプラテン17の上面や印刷領域PAに対峙する位置ニア位置されている構成であると、遮蔽板とプラテン17との隙間、あるいは遮蔽板と記録媒体12との隙間を抜けた空気流によりインク流れが発生することが心配されるが、そのような問題も回避できる。また、隙間を抜けた空気流が防風部材51と記録媒体12との隙間を抜けて記録ヘッド21の下側領域に流れることも効果的に抑制できるので、ノズルから噴射されたインク滴の空気流による飛行曲がりや、空気流によるノズル内のインクの増粘や乾燥も回避できる。
(4)遮蔽機構53を記録ユニット18に取り付ける構成を採用した。このため、遮蔽板54の移動ストロークを短くでき、遮蔽機構53を比較的コンパクトに構成できる。また、遮蔽板が記録ユニット18と別体の構成に比べ、遮蔽板54が記録ユニット18に位置ずれなく正確に追従できるので、例えば遮蔽板が別体の構成の場合に問題となる、遮蔽板が記録ユニット18に追従できずインク流れ領域LAを確実に遮風できなくなる事態を回避しやすい。
(5)防風部材51を設けたので、記録ユニット18が移動する際に進行方向前側から受ける空気流が防風できる。よって、ノズルから噴射されたインク滴の空気流による飛行曲がりや、空気流によるノズル内のインクの増粘や乾燥を回避できる。
(6)ファンモータ43を記録媒体12の媒体幅(媒体サイズ)に応じた回転速度Vmに制御し、媒体幅が広い場合に回転速度Vmを高くして空気流の風速を高め、媒体幅が短い場合に回転速度Vmを低くして空気流の風速を低くする送風制御を採用した。そのため、媒体幅全域に亘り必要な風速で空気流を吹き付けることができ、媒体幅全域に亘って拡散層を除去してインク中の溶媒や分散媒(水等)の蒸発を促進させ、媒体幅全域に亘ってむらなくインクの乾燥を促進させられる。
(7)例えば広い媒体幅の場合に幅方向全域に亘り比較的高い風速で空気流を吹き付けようとすると、送風口近くの風速をかなり高くする必要があり、この場合、送風口側の領域でのインク流れが心配される。しかし、本実施形態では、前述の遮蔽機構53によりインク流れ領域LAへの空気流は遮蔽されることから、インク流れが発生する心配がない。よって、インク流れを心配することなく高い風速で空気流を吹き付けることができる。その結果、インク浸透性がほとんどないフィルム等の記録媒体12でもインクの乾燥を効果的に促進させることができる。
(8)また、媒体幅が狭い場合に空気流AFの風速(回転速度Vm)を相対的に低くすることで、インク流れ領域LAを相対的に狭くすることができる。このため、遮蔽される領域をできるだけ減らして効率よくインクの溶媒等を乾燥させることができる。
(9)送風方向をノズル列方向と平行になる方向に設定した。このため、記録ユニット18により空気流が遮られる領域を狭くして、送風エリアのうち空気流が実際に吹き付けられる領域を相対的に広く確保できる。よって、より広い範囲に亘って拡散層を吹き飛ばすことができ、インク中の溶媒等の蒸発を促進してインクを効率よく乾燥させることができる。また、空気流を横切るように移動する記録ユニット18により空気流の層流が乱されにくくすることができる。例えば層流が記録ユニット18により乱されて乱流が発生すると、例えば遮蔽板54の裏側へ乱流による空気が流れ込んでインク流れを誘発することが危惧されるが、乱流の発生を回避しやすいことから、この種のインク流れが発生する心配もない。
(第二実施形態)
第二実施形態は、ラテラルスキャン式のプリンタに適用した例であり、本実施形態の場合、液体流れ抑制手段(遮蔽手段)が前記第一実施形態と異なる。プリンタ11の構成は前記第一実施形態と同様であるので、特に異なる構成部分のみ図14及び図15に基づいて説明する。図14は記録装置としてのプリンタの模式平面図、図15はその一部破断した模式正面図である。
図14に示すように、プラテン17の幅方向両側のうち一方側(図14における下側)には、送風ユニット111が印刷領域PAに沿って配置されている。送風口111aは、走査方向Xにほぼ直交する空気流を記録媒体12の表面に沿って発生可能な高さ位置及び向きに設定されている。
送風ユニット111とプラテン17との間には、送風口111aからの空気流を遮蔽可能な遮蔽機構112が設けられている。本例の遮蔽機構112は、送風口111aからの空気流を遮蔽可能な複数枚のシャッタ113と、シャッタ113を個別に開閉駆動させる複数個のアクチュエータ114とを備える。
図14及び図15に示すように、シャッタ113は送風ユニット111のハウジング115の送風口側先端部に回動可能に取り付けられている。シャッタ113は図15に示すように側面視略L字形状をなし、その基端側の回動中心からハウジング115の外側へ向かって延びるレバー部113aを有している。シャッタ113は図示しない付勢手段(例えばバネ)により開き方向(図15では時計方向)に付勢されている。アクチュエータ114はハウジング115上に配置され、その出退可能な駆動軸114aがレバー部113aに当接している。アクチュエータ114が駆動軸114aを伸長させる方向に駆動されると、駆動軸114aがレバー部113aを付勢手段の付勢力に抗して押してシャッタ113が閉じ、アクチュエータ114が駆動軸114aを退避させる方向に駆動されると、駆動軸114aが退避して付勢手段の復元力によりシャッタ113が開く構成となっている。こうして各シャッタ113は対応するアクチュエータ114の駆動により個別に開閉駆動される。なお、送風ユニット111のハウジング115内には、第一実施形態と同様の複数のファン44及びファンモータ43が内蔵されている。また、各アクチュエータ114は第一実施形態と同様のコントローラ70により駆動制御される。
なお、記録ユニット18にはキャリッジ20の側壁に平面視コ字形状の防風部材51が設けられている。この防風部材51は、記録ユニット18の走査方向Xに両側に位置する防風側板部51bの下端が記録媒体12の上面より若干上方に位置するのに対し、送風口111aと対向する防風板部51aはその下端がプラテン17の上面より下方に位置するように下方へ延出しており、この防風板部51aを有する防風部材51により記録ヘッド21の直下領域へ空気流の流入を効果的に防止できるようになっている。
コントローラ70内のCPU101は、位置カウンタ103のカウント値から記録ユニット18の位置(ヘッド位置)を把握する。CPU101はメモリ102に記憶されている図11のテーブルデータTDを参照して、そのときの媒体幅に応じたファンモータ回転速度Vmを得て、ファンモータ43をその回転速度Vmで駆動制御し、送風ユニット111から媒体幅に応じた風速で空気流を吹き付ける。さらにCPU101は、図12のマップデータMDを参照して、そのときのファンモータ回転速度Vmに対応するインク着弾後遮風時間Tsを求める。そして、CPU101は、ヘッド移動速度Vhとインク着弾後遮風時間Tsとから遮蔽長L(=Vh×Ts)を求める。
シャッタ113は送風口111aからの送風エリア(本例では印刷領域PAにほぼ等しい)のうち遮風分担範囲が個々に決められている。CPU101は、ヘッド移動方向が正方向のときにはヘッド位置Xhから遮風開始位置Xstart(=Xh−D1)を演算し、ヘッド移動方向が負方向のときにはヘッド位置Xhから遮風開始位置Xstart(=Xh+D1)を演算する。ここで、D1はヘッド位置Xhに対するシャッタ113の閉タイミングを図る定数である。また、CPU101は、ヘッド位置Xhからそのときのヘッド移動方向に応じて前記第一実施形態における基準点の位置座標Xoを求め、ヘッド移動方向が正方向のときには負方向の基準点の座標Xoと遮蔽長Lとから遮風停止位置Xstop(=Xo−L)を演算し、ヘッド移動方向が負方向のときには正方向の基準点の座標Xoと遮蔽長Lとから遮風停止位置Xstop(=Xo+L)を演算する(但し、正方向と負方向で基準点の座標Xoは異なる)。なお、この遮風開始位置Xstart及び遮風停止位置Xstopは、インク流れ領域LAが確実に遮風されるタイミングでシャッタ113の開閉を行いうる値として算出される。
CPU101は、記録ユニット18の移動に連れて変化する遮風開始位置Xstartの座標を監視し、遮風開始位置Xstartが各シャッタ113に対応する各遮風分担範囲に順次入ると、遮風分担範囲に入ったタイミングでその遮風分担範囲を分担するシャッタ113に対応するアクチュエータ114をシャッタ閉じ方向に駆動する。その結果、記録ユニット18の進行方向後側にできるインク流れ領域LAが各シャッタ113の遮風分担範囲に到達する少し前のタイミングで対応するシャッタ113が順次閉じる。また、CPU101は、遮風停止位置Xstopが遮風分担範囲から出たタイミングで、その遮風分担範囲を分担するシャッタ113に対応するアクチュエータ114をシャッタ開き方向に駆動する。その結果、インク流れ領域LAが遮風分担範囲を通り過ぎたタイミングで対応するシャッタ113が順次開く。
このように記録ユニット18の進行方向後側にできるインク流れ領域LAが各シャッタ113の遮風分担範囲に到達する少し前のタイミングで対応するシャッタ113が順次閉じ、インク流れ領域LAが遮風分担範囲を通り過ぎたタイミングで対応するシャッタ113が順次開くことで、インク流れ領域LAへの空気流が、閉じたシャッタ113により遮蔽される。なお、記録ユニット18の反転位置近くでの加減速過程では、そのヘッド移動速度Vhの速度変化に応じて遮蔽長Lが変化し、その遮蔽長Lの変化に応じてシャッタ113の開閉タイミングが制御される。そのため、記録ユニット18の加減速過程でも、インク流れ領域LA以外の領域が不要に空気流から遮蔽されることが回避される。
よって、この第二実施形態によれば、前記第一実施形態と遮蔽機構の構成が異なるものの、この遮蔽機構112によっても、インク流れの発生を抑制できるなど第一実施形態と同様の効果が得られる。例えば媒体幅に応じた回転速度Vmでファンモータ43が速度制御されるので、記録媒体12の幅方向全域に亘り必要な風速で空気流を吹き付けることができ、インクの溶媒等の蒸発を媒体幅方向全域に亘って効率よく行って、媒体幅方向におけるインクの乾燥むらを防止できる。
(第三実施形態)
次に第三実施形態の構成を図16に基づいて説明する。本実施形態は、液体流れ抑制手段が前記第一及び第二実施形態と異なる。液体流れ抑制手段を構成する遮蔽手段は、第二実施形態と同様に記録ユニット18と別体で設けられているが、遮蔽機構が自走式である点が異なる。
図16は印刷部の模式平面図である。図16に示すように、遮蔽機構121は、送風ユニット41とプラテン17との間に敷設されたガイドレール122と、ガイドレール122上を移動する板状の遮蔽体123とを備える。遮蔽体123は電動モータ124を動力源として図示しない動力伝達機構を介して走行のための動力が伝達され、ガイドレール122に沿って印刷領域PAをカバーしうる範囲に亘って往復移動可能となっている。電動モータ124は、第一実施形態で説明したものと同様のコントローラ70(図10参照)により駆動制御される。
コントローラ70内のCPU101は、位置カウンタ103のカウント値からヘッド位置Xhを把握する。CPU101はメモリ102に記憶されている図11のテーブルデータTDを参照して、そのときの媒体幅に応じたファンモータ回転速度Vmを得て、ファンモータ43をその回転速度Vmで駆動制御する。このため、媒体幅に応じた風速の空気流が送風口41aから記録媒体12の記録面に沿って吹き付けられる。さらにCPU101は、図12のマップデータMDを参照して、そのときのファンモータ回転速度Vmに対応するインク着弾後遮風時間Tsを求める。そして、CPU101は、ヘッド移動速度Vhとインク着弾後遮風時間Tsとから遮蔽長L(=Vh×Ts)を求める。
CPU101は、ヘッド位置Xhからヘッド移動方向に応じた基準点の位置座標Xoを算出する。つまり、ヘッド移動方向が正方向の場合は負方向の基準点の座標Xo=Xh+D1を算出し、ヘッド移動方向が負方向の場合は正方向の基準点の座標Xo=Xh−D1を算出する。そして、ヘッド移動方向が正方向のときには、負方向の基準点の座標Xoから負方向(ヘッド進行方向後側)に遮蔽長Lの範囲を遮蔽しうるように電動モータ124を駆動制御して遮蔽体123を位置制御する。また、ヘッド移動方向が負方向のときには、正方向の基準点の座標Xoから正方向(ヘッド進行方向後側)に遮蔽長Lの範囲を遮蔽しうるように電動モータ124を駆動制御して遮蔽体123を位置制御する。
こうして記録ユニット18が印刷時に走査方向Xに往復移動すると、これに追従するように遮蔽体123が移動し、このとき記録ヘッド21に対して遮蔽体123がヘッド進行方向後側に延出長Lだけ遅れて追従することで、遮蔽体123がヘッド進行方向後側にできたインク流れ領域LAを空気流AFから遮蔽する。このとき記録ユニット18の加減速域では、ヘッド移動速度Vhが変化して延出長Lが変化し、その変化した延出長Lに応じて記録ヘッド21に対する遮蔽体123の遅れ量が変化する。そのため、記録ユニット18の加減速域においても、遮蔽体123によって不要に空気流が遮蔽されることが回避される。なお、記録ユニット18には第二実施形態と同様の防風部材51が設けられ、防風部材51によって記録ヘッド21の直下領域への空気流AFの流入が回避されるようになっている。
(第四実施形態)
次に第四実施形態を図17〜図19に基づいて説明する。本実施形態はラインプリンタに適用した例である。図17はラインプリンタの模式側面図である。また、図18は媒体幅が狭い場合の送風制御を説明するための印刷部の模式平面図、図19は媒体幅が広い場合の送風制御を説明するための印刷部の模式平面図である。
図17に示すように、ラインプリンタ131は、媒体供給ユニット13、媒体排出ユニット15及び印刷部132を備える。媒体供給ユニット13及び媒体排出ユニット15は、第一実施形態におけるラテラルスキャン式のプリンタ11のものと同様の構成である。印刷部132も基本的に同様の構成であるが、ライン記録方式を採用するゆえ記録ユニットの構成のみが異なる。ライン記録方式の記録ユニット133は、印刷中は走査方向Xにおける所定の記録位置に配置され、一定速度で搬送される記録媒体12に対して記録ヘッド21のノズルからインク滴を噴射することで印刷を施す。なお、記録ヘッド21は、印刷領域PAの媒体幅方向全域に亘ってノズル列21aが延びている構成に限定されず、例えば複数個の単位ヘッドを媒体幅方向に沿って千鳥状に配置したマルチヘッドタイプのものも採用できる。さらに、本例の場合、記録ユニット133は、メンテナンス装置22への移動が可能となっているが、記録ユニット133は基台16a上に固定されていてもよい。また、本例の昇降ローラ27は、ロール24からの記録媒体12の繰り出し速度と、プラテン17上における記録媒体12の搬送速度との差分に基づく弛みを解消するように昇降する。
図18に示すように、プラテン17の幅方向外側には印刷領域PAに沿って送風ユニット135が配置され、これとプラテン17を挟んで対向する位置に負圧吸引機構136が配置されている。送風ユニット135及び負圧吸引機構136は、第一実施形態のものと同様の構成であるが、ライン記録方式の場合、記録ヘッド21が印刷を施した部分(印刷面)はその搬送方向下流側へ移動するので、その搬送方向下流側のエリアを挟んで送風口135aと吸引口136aは対峙している。
また、記録ユニット18には防風部材137が設けられ、記録ヘッド21の直下領域への空気流AFの流入を回避できるようになっている。さらに防風部材137の送風口135aと対向する壁面上には、第一実施形態と同様の遮蔽機構53が設けられている。つまり、記録ユニット133にはスライド機構55を介して遮蔽板54が搬送方向と平行な方向に往復移動可能に取り付けられている。
また、ラインプリンタ131の電気的構成は、前記第一実施形態におけるラテラルスキャン式のプリンタ11と、その記録方式の違いによる電気的構成上の差異を除き基本的に同様である。例えばラテラルスキャン式ではあったキャリッジモータが無くなることを除けば、基本的に同様の構成である。
コントローラ70内のCPU101は、図13にフローチャートで示す液体流れ抑制処理を実行する。CPU101は紙幅センサ84により検出された媒体サイズ(媒体幅)から決まる媒体幅ランクに基づき図11のテーブルデータTDを参照し、その媒体幅ランクWに対応するファンモータ回転速度Vmを取得する。そして、取得した回転速度Vmでファンモータ43を駆動する。その結果、図18に示すように記録媒体12の媒体幅(送風方向幅)が狭い場合は、ファンモータ43が低速の回転速度Vm(例えばV1)で駆動され、送風ユニット135から風速の低い空気流AFが記録媒体12の記録面に沿って吹き付けられる。一方、図19に示すように記録媒体12の媒体幅が広い場合は、ファンモータ43が高速の回転速度Vm(例えばV5)で駆動され、送風ユニット135から高い風速の空気流AFが記録媒体12の記録面に沿って吹き付けられる。
また、CPU101は媒体種を取得し、マップデータMDを参照して媒体種とファンモータ回転速度Vmに応じたインク着弾後遮風時間Tsを求める。そして、ヘッド移動速度Vhと着弾後遮風時間Tsとから遮蔽長L(=Vh×Ts)を求める。
そして、CPU101はヘッド移動方向を判断する。ヘッド移動方向が正方向であれば、遮蔽板54を負方向へ遮蔽長Lだけ延出させる。つまり、CPU101は、位置カウンタ106のカウント値から遮蔽板54の現在位置を把握し、その現在位置から、その負方向における基準点から遮蔽長Lだけ負方向に進んだ位置までの移動に必要なモータステップ数を演算し、そのモータステップ数をモータ駆動回路96に指令してリニアモータ79をそのモータステップ数に応じた駆動量だけ負方向に駆動させる。その結果、遮蔽板54は負方向の基準点から遮蔽長Lだけ負方向(ヘッド進行方向後側)へ延出する位置までスライドする。
一方、ヘッド移動方向が負方向である場合は、遮蔽板54を正方向へ遮蔽長Lだけ延出させる。つまり、CPU101は、位置カウンタ106のカウント値から遮蔽板54の現在位置を把握し、その現在位置から、その正方向における基準点から遮蔽長Lだけ正方向に進んだ位置までの移動に必要なモータステップ数を演算し、そのモータステップ数をモータ駆動回路96に指令してリニアモータ79をそのモータステップ数に応じた駆動量だけ正方向に駆動させる。その結果、遮蔽板54は正方向の基準点から遮蔽長Lだけ正方向(ヘッド進行方向後側)へ延出する位置までスライドする。
こうしてラインプリンタ131においても、送風ユニット135の送風口135aから負圧吸引機構136の吸引口136aへ至る空気流AF(層流)が発生し、インク着弾後の記録面上に拡散層が形成されない。このため、記録面上のインクの溶媒等の蒸発が促進される。
そして、図18に示すように媒体幅が狭い場合は、低い風速の空気流AFであっても、記録媒体12の送風方向奥行き先端に至るまで(つまり媒体幅方向全域に亘って)必要な風速が確保できる。また、図19に示すように媒体幅が広い場合は、高い風速の空気流AFが発生するので、媒体幅が広くても、記録媒体12の送風方向奥行き先端に至るまで(つまり媒体幅方向全域に亘って)必要な風速が確保できる。このため、どんな媒体幅の記録媒体12でも媒体幅方向にインク乾燥むらが発生しにくい。
また、媒体幅が狭い場合に空気流AFの風速(つまりファンモータ回転速度Vm)を相対的に低くするので、送風口135a近くのインクが受ける空気流が相対的に弱くなり、インク流れ領域LAを相対的に狭くすることができる。このため、遮蔽板54の空気流遮蔽領域をできるだけ減らしてインクの溶媒等の蒸発を効果的に促進させることができる。
また、媒体幅が広い場合に空気流AFの風速(つまりファンモータ回転速度Vm)を相対的に高くするので、送風口135a近くのインクが受ける空気流が相対的に強くなるものの、インク流れ領域LAが相対的に広くなって遮蔽板54による空気流遮蔽領域が相対的に増えることでインク流れを確実に回避できる。その他、このラインプリンタ131においても、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
前記実施形態は上記に限定されず、以下の態様に変更することもできる。
(変形例1)ターゲットの種類(材質)以外の情報に応じて液体流れ領域(インク流れ領域LA)のサイズを調整してもよい。例えば液体(インク)の種類に応じて液体流れ領域のサイズを調整したり、ターゲットの種類と液体の種類の組み合わせに応じて液体流れ領域のサイズを調整したりしてもよい。
(変形例2)前記第一及び第四実施形態において、遮蔽板を記録ユニットに固定してもよい。例えば想定される最長の延出長Lが確保されるように遮蔽板を記録ヘッドに対して進行方向後側に延出させた状態で固定する。例えばラテラルスキャン式のプリンタ11では、遮蔽板を記録ヘッドの走査方向両側に延出させた状態で固定し、ラインプリンタ131では、遮蔽板を記録ヘッドの搬送方向下流側に延出させた状態で固定する。このように遮蔽板を記録ユニットに固定させた構成でも、インク流れ領域LAを空気流から遮蔽できるので、空気流によるインク流れに起因する印刷品質の低下を回避できる。
(変形例3)遮蔽機構を複数段のスライド方式としてもよい。複数段のスライド方式を採用する場合、例えば二段又は三段のスライド方式が好ましい。前記第一実施形態のように遮蔽板が一段スライド方式であると、インク流れ領域が狭い記録媒体の場合に遮蔽板の一部が記録ヘッドの進行方向前側に延出する場合が発生し、この場合、空気流を不要に遮蔽してしまうことになる。しかし、この複数段スライド方式であれば、記録ヘッドの進行方向後側への遮蔽板の延出長を、ヘッド進行方向前側への遮蔽板の一部の延出を伴うことなく調整できるので、遮蔽板によって空気流を不要に遮蔽することを回避でき、インクの乾燥を一層促進できる。
(変形例4)各実施形態において遮蔽機構を廃止してもよい。遮蔽機構を廃止しても、例えば風速が低ければインク流れは発生しない。また、インク流れが発生しにくいターゲットしか使用されない記録装置や、インク流れが発生しにくい液体(インク)しか使用されない記録装置では、空気流の風速を媒体幅に応じて制御することで、ターゲットの送風方向全域に亘り液体の乾燥を促進させつつ、媒体幅が狭い場合にファンモータ43を低速回転させてその消費電力を節約できる。
(変形例5)負圧吸引機構を廃止してもよい。送風口からの風速を高めれば送風方向奥行き先端に至るまで必要な風速を確保できるうえ、送風口とプラテンを挟んだ反対側に気流が衝突する障害物が無ければ、記録媒体の記録面上における気流の層流は確保される。
(変形例6)風速制御は媒体幅に応じて行うことのみに限定されない。さらに媒体種に応じても風速制御を行ってもよい。例えば、媒体幅と媒体種の両方に応じてファンモータ回転速度Vmを制御して、風速制御を行う構成も採用できる。この場合、媒体幅が狭いほど、かつインク流れが発生しやすい媒体種(記録媒体材質)ほど、送風手段からの気流の風速を低くする風速制御を行う。
(変形例7)前記各実施形態では、送風方向をノズル列方向と平行となる方向に設定したが、例えばノズル列方向と直交する方向など、ノズル列方向と交差する方向を送風方向に設定してもよい。記録媒体の記録面に沿って気流を吹き付けられるのであれば拡散層を効率よく除去することができる。例えばライン記録方式の記録装置(ラインプリンタ等)において、記録ヘッドに対し記録媒体搬送方向下流側の位置から上流側へ向かって送風してもよい。
(変形例8)送風口からの送風方向を記録媒体の記録面に沿うように設定したが、これに限定されない。最終的に記録媒体の記録面に沿う空気流を吹き付けられればよく、例えば送風口からガイド板に吹き付け、ガイド板で案内された空気流が記録媒体の記録面に沿って流れる構成でもよい。この場合、ガイド板は送風手段の一部を構成する。
(変形例9)送風手段を記録領域に沿って固定配置する場合、記録領域の全域に亘って送風手段を配置する必要は必ずしもない。例えば記録領域のうち記録面上の液体の乾燥を促進すべく気流を吹き付ける必要がある領域に限って送風手段を配置する構成でもよい。要するに、記録領域に送風できるように記録領域に周の一部に沿って送風手段が配置されていれば足りる。
(変形例10)記録媒体の記録面に沿って吹き付ける気体は、空気に限定されない。窒素、ヘリウム、酸素等のその他の気体であっても構わない。この場合、気体は、記録面上の記録ドットの酸化防止等の乾燥促進以外の他の目的に応じて、その目的に適合する気体を適宜選択できる。また、複数の気体元素を所定比で混合した混合気体や、化合物の気体(二酸化炭素等)であってもよい。
(変形例11)複数のファンモータのうち液体付着直後エリアへの送風を抑制すべく液体付着直後エリアへの送風を行う一部のファンの回転を停止させる構成も採用できる。
(変形例12)インクジェット式記録装置(液体噴射装置)に限定されない。例えばディスペンサで液体をターゲットに付着させる記録手段を有する記録装置や、液体をターゲットに塗布する記録手段を有する記録装置でもよい。要するにターゲットにインク等の液体を付着させて記録を行う記録手段を有する記録装置であれば足りる。
(変形例13)ターゲットとしての記録媒体12は、連続紙等の連続記録媒体に限定されない。単票紙(カット紙)等のカット記録媒体でも構わない。また、記録媒体12も紙、フィルムに限定されず、CDやDVD等のディスクや布でもよい。
(変形例14)ラインプリンタやシリアルプリンタにおいて、第二実施形態や第三実施形態の遮蔽機構を採用してもよい。
(変形例15)インク種類によって遮蔽板の延出長Lが変化する構成も採用できる。例えば工業生産用のインクジェット式記録装置では、噴射する液体(液状体)として、配線用の金属粉末を含有するインクや、画素材料を含むインクなど種々のインクが用いられ、基板等の記録媒体に着弾後のインク乾燥性能がインク種類に影響される。このため、図12に示すようなマップデータを、さらにインク種類毎に用意する。例えば同じ記録媒体であってもインクの記録媒体に対する濡れ性によってインクの記録媒体への浸透吸収性が異なり、使用されるインクの濡れ性に応じて濡れ性の良いインクに比べ濡れ性の悪いインクの方が、延出長Lが長くなるように設定する。
(変形例16)前記実施形態では、記録装置をインクジェット式プリンタに具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して吐出できる固体を含む)を吐出したりするシリアル式の液体吐出装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を吐出する液状体吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する液体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液体吐出装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を吐出する液状体吐出装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体吐出装置に本発明を適用できる。
前記実施形態及び各変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(1)前記送風手段の送風口に対して前記送風方向に前記ターゲットの搬送経路を挟んで対向する位置に吸引口を有する負圧吸引手段が設けられ、前記制御手段は、前記距離に応じて該距離が短いときより長いときの方が前記吸引口への気流の吸引力を強くするように前記負圧吸引手段を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の記録装置。
(2)前記ターゲットへの着弾後の液体が気流により流れうる液体着弾後経過時間を求める時間取得手段と、
前記記録手段と前記ターゲットとの相対移動速度を検出する速度検出手段と、
前記液体着弾後経過時間と、前記相対移動速度とから、前記液体流れ領域の前記相対移動方向における領域サイズを求める領域サイズ取得手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記領域サイズに応じた範囲で前記遮蔽体が気流を遮蔽可能となるように前記領域サイズに応じて前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
(3)前記記録手段は前記ターゲットに付着させるべく液体を排出する複数のノズルからなるノズル列を有し、前記送風手段は送風方向が前記記録手段のノズル列方向と略平行になるように設定されていることを特徴とする請求項1乃至8いずれか一項に記載の記録装置。
第一実施形態におけるプリンタの模式側面図。 同じくプリンタの模式平面図。 印刷部の模式斜視図。 印刷部の模式正断面図。 (a),(b)遮蔽機構の動作を説明する模式側面図。 遮蔽機構の動作を説明する模式平面図。 遮蔽機構の動作を説明する模式平面図。 媒体幅が狭い場合の風速制御を説明するための印刷部の模式平面図。 媒体幅が広い場合の風速制御を説明するための印刷部の模式平面図。 プリンタの電気的構成を示すブロック図。 媒体幅に応じたファンモータ回転速度が設定されたテーブルデータ図。 媒体種及びファンモータ回転速度に応じたインク着弾後遮風時間が設定されたマップデータ図。 液体流れ防止処理を示すフローチャート。 第二実施形態におけるプリンタの印刷部を示す模式平面図。 同じく印刷部の一部破断した模式正面図。 第三実施形態におけるプリンタの印刷部を示す模式平面図。 第四実施形態におけるラインプリンタの模式側面図。 媒体幅が狭い場合の送風制御を説明するための印刷部の模式平面図。 媒体幅が広い場合の送風制御を説明するための印刷部の模式平面図。
符号の説明
11…記録装置としてのプリンタ、12…ターゲットとしての記録媒体、13…搬送手段を構成する媒体供給ユニット、14…印刷部、15…搬送手段を構成する媒体排出ユニット、16…本体フレーム、17…プラテン、18…記録手段としての記録ユニット、19…移動手段を構成するガイドレール、20…キャリッジ、21…記録手段を構成する記録ヘッド、21a…ノズル列、24…ロール、25〜28…搬送手段を構成するローラ、29〜34…搬送手段を構成するローラ、37…位置決め手段としてのガイド装置、40…ヒータ、41…送風手段としての送風ユニット、41a…送風口、42…負圧吸引機構、43…送風手段を構成するファンモータ、44…ファン、47…吸引口、49…固定ガイド、50…可動ガイド、51…防風手段としての防風部材、51a…防風板部、51b…防風側板部、53…液体流れ抑制手段を構成するとともに遮蔽手段としての遮蔽機構、54…液体流れ抑制手段及び遮蔽手段を構成するとともに遮蔽体としての遮蔽板、55…スライド機構、70…制御手段としてのコントローラ、72…搬送手段を構成する繰出用モータ、75…搬送手段を構成する巻取用モータ、76…移動手段を構成するキャリッジモータ、78…負圧発生用モータ、79…液体流れ抑制手段及び遮蔽手段を構成するとともに駆動手段としてのリニアモータ、80…ヒータ、82…リニアエンコーダ、83…エンコーダ、84…幅取得手段としての紙幅センサ、87〜92,94〜96…モータ駆動回路、93…ヘッド駆動回路、97,98…ヒータ駆動回路、101…制御手段を構成するとともに情報取得手段としてのCPU、102…メモリ、103…位置カウンタ、104…搬送カウンタ、105…カウンタ、106…位置カウンタ、111…送風手段としての送風ユニット、111a…送風口、112…液体流れ抑制手段を構成するとともに遮蔽手段としての遮蔽機構、113…液体流れ抑制手段及び遮蔽手段を構成するとともに遮蔽体としての遮蔽板、114…液体流れ抑制手段及び遮蔽手段を構成するとともに駆動手段としてのアクチュエータ、121…液体流れ抑制手段を構成するとともに遮蔽手段としての遮蔽機構、122…液体流れ抑制手段及び遮蔽手段を構成するガイドレール、123…液体流れ抑制手段及び遮蔽手段を構成する遮蔽体、124…液体流れ抑制手段及び遮蔽手段を構成するとともに駆動手段としての電動モータ、131…記録装置としてのラインプリンタ、132…印刷部、133…記録手段としての記録ユニット、135…送風手段としての送風ユニット、135a…送風口、136…負圧吸引機構、136a…吸引口、137…防風手段としての防風部材、141…記録装置としてのシリアルプリンタ、142…移動手段を構成するガイド軸、143…記録手段を構成するキャリッジ、144…移動手段を構成するタイミングベルト、148…記録手段を構成する記録ヘッド、149…プラテン、150…ヒータ、151…紙送りローラ、152…排紙ローラ、153…リニアエンコーダ、155…送風手段としての送風ユニット、155a…送風口、156…負圧吸引機構、156a…吸引口、158…防風手段としての防風部材、AF…気流としての空気流、PA…記録領域としての印刷領域、LA…液体流れ領域としてのインク流れ領域、X…走査方向、Y…媒体幅方向、X1…主走査方向、Y1…搬送方向(副走査方向)。

Claims (9)

  1. ターゲットを搬送する搬送手段と、
    搬送されたターゲットに液体を付着させて記録を施す記録手段と、
    前記ターゲットの記録が施された記録面に沿って送風可能な位置に固定配置された送風手段と、
    前記送風手段の送風方向におけるターゲットの奥行き方向先端位置までの距離に応じて当該距離が短いときより長いときの方が気流の流速が高くなるように前記送風手段を制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする記録装置。
  2. 前記ターゲットの搬送経路を前記送風方向に挟む両側のうち一方の側に前記送風手段の送風口は配置され、
    前記ターゲットを幅方向に位置決めする位置決め手段をさらに備え、
    前記位置決め手段は前記ターゲットを幅方向に位置決めする際の基準となる固定ガイドを備え、該固定ガイドは前記両側のうち前記送風口が配置された側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記ターゲットの前記送風方向の幅を取得する幅取得手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記幅取得手段が取得した前記幅に基づき当該幅が短いときより長いときの方が前記気流の流速が高くなるよう前記送風手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
  4. 前記送風手段の送風エリアのうち前記記録手段の前記ターゲットに対する相対移動方向後側にできる液体付着直後の領域であって気流によって液体が流れうる液体流れ領域への気流を抑制する液体流れ抑制手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の記録装置。
  5. 前記液体流れ抑制手段は、前記ターゲットの種類と前記液体の種類とのうち少なくとも一方を制御情報として取得する情報取得手段を備え、前記制御情報に応じて前記液体流れ領域への気流を抑制すべきエリアを調整することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
  6. 前記液体流れ抑制手段は、前記送風手段から前記液体流れ領域へ向かう気流を遮蔽する遮蔽手段であることを特徴とする請求項4又は5に記載の記録装置。
  7. 前記遮蔽手段は、前記液体流れ領域への気流を遮蔽する遮蔽体と、
    前記液体流れ領域への気流を遮蔽すべきエリアを調整可能に前記遮蔽体を駆動させる駆動手段と、
    前記気流を遮蔽すべきエリアを調整するように前記駆動手段を制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
  8. 前記記録手段は液体を吐出する構成であり、
    前記記録手段から吐出される液体の飛行領域への前記気流を遮蔽する防風手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の記録装置。
  9. ターゲットを搬送する搬送手段と、ターゲットに液体を付着させて記録を施す記録手段とを備えた記録装置における記録方法であって、
    前記記録手段による記録が施されたターゲットの記録面に沿って送風可能な送風手段の送風口からターゲットの送風方向奥行き先端までの距離を取得する距離取得ステップと、
    前記距離が短いときより長いときの方が前記送風手段からの気流の流速が高くなるように前記送風手段を前記距離に応じて制御する制御ステップと
    を備えたことを特徴とする記録装置における記録方法。
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