JP6148870B2 - 硬化性樹脂組成物、及び、硬化物 - Google Patents
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(A)エポキシ樹脂と、
(B)Si−OR基(Rは、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜22のアルキル置換アリール基、又は、炭素数7〜22のアラルキル基を表す。)を有する有機ケイ素化合物と、
(C)有機アルミニウム化合物と、
(D)1分子中に少なくとも1つのヒンダードアミン基を有する化合物とを必須成分として含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
本発明はまた、上記硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物でもある。
以下に、本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
有機ケイ素化合物と有機アルミニウム化合物とは、エポキシ樹脂の硬化促進剤(触媒)として働くが、有機ケイ素化合物と有機アルミニウム化合物のみの場合、エポキシ樹脂の硬化が活発に進行し過ぎるため、組成物が充分な貯蔵安定性を発揮することができない。エポキシ樹脂、有機ケイ素化合物、有機アルミニウム化合物の3成分に更に1分子中に少なくとも1つのヒンダードアミン基を有する化合物を加えることで、有機ケイ素化合物と有機アルミニウム化合物が有するエポキシ樹脂の硬化促進剤としての作用が過度に発揮されることを抑え、組成物を貯蔵安定性に優れたものとすることができる。
また、有機ケイ素化合物は、上記エポキシ樹脂の硬化促進剤(触媒)としての作用の他、エポキシ樹脂と反応してエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤としても働く。つまり、本発明の硬化性樹脂組成物において、有機ケイ素化合物は、エポキシ樹脂の硬化促進剤(触媒)としても働き、また、硬化剤としても働くことになる。
具体的には、例えば、硬化性を有する樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物は、
(A)エポキシ樹脂、及び、(B)Si−OR基(Rは、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜22のアルキル置換アリール基、又は、炭素数7〜22のアラルキル基を表す。)を有する有機ケイ素化合物の反応物と、
(C)有機アルミニウム化合物と、
(D)1分子中に少なくとも1つのヒンダードアミン基を有する化合物とを必須成分として含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
また、硬化性を有する樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物は、
(A)エポキシ樹脂と、
(B)Si−OR基(Rは、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜22のアルキル置換アリール基、又は、炭素数7〜22のアラルキル基を表す。)を有する有機ケイ素化合物と、
(C)有機アルミニウム化合物、及び、(D)1分子中に少なくとも1つのヒンダードアミン基を有する化合物の反応物とを必須成分として含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
本発明の硬化性樹脂組成物が含む(A)エポキシ樹脂としては、構造中にエポキシ基を有する樹脂であれば特に制限されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ヒダントインエポキシ樹脂等の含窒素環エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロ環型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、用途に応じて適宜選択すればよく、単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。
すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物が含む(A)エポキシ樹脂が、脂環式エポキシ樹脂からなる成分(以下、この成分を(A−1)とも記載する)を含むことは本発明の好適な実施形態の1つである。
上記エポキシシクロヘキサン基中のエポキシ基の位置は限定されず、任意の位置に設けることができる。また、上記エポキシシクロヘキサン基が置換基を有する形態における、該置換基の位置も限定されない。
上記有機基として好ましくは、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基である。
上記脂環式エポキシ樹脂として具体的には、例えば、上記式(2−1)で表される化合物としてセロキサイド2021P(ダイセル化学工業社製)、上記式(2−4)で表される化合物としてセロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085(いずれも、ダイセル化学工業社製)等が好適である。
より多官能な脂環式エポキシ樹脂として具体的には、例えば、EHPE3150(ダイセル化学工業社製)等が好適である。
なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ−N 4.6*150を2本、溶離液:テトラヒドロフラン、標準サンプル:TSKポリスチレンスタンダード)により測定することができる。
上記水添エポキシ樹脂としては、飽和脂肪族環状炭化水素骨格に直接的又は間接的に結合したグリシジルエーテル基を平均2個以上有する多官能グリシジルエーテル化合物であることが好ましい。このような水添エポキシ樹脂は、芳香族多官能エポキシ化合物の完全又は部分水添物であることが好ましく、より好ましくは、芳香族多官能グリシジルエーテル化合物の水添物である。具体的には、下記式(3−1)で表される水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、下記式(3−2)で表される水添ビスフェノールF型エポキシ化合物が好ましい。成分(A−2)が水添ビスフェノールA型エポキシ化合物及び/又は水添ビスフェノールF型エポキシ化合物であると、成形体がより耐ヒートサイクル性に優れたものとなる。
式(3−1)、(3−2)においては、シクロヘキシル環やメチレン鎖などの炭化水素の一部の水素原子が炭化水素基で置換されたものであってもよい。炭化水素基の中ではアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
上記水添ビスフェノールF型エポキシ化合物としては、具体的には、ビスフェノールF型エポキシ化合物を水添することにより得られるものを使用することができる。
水添エポキシ樹脂の重量平均分子量は、上述した脂環式エポキシ樹脂の重量平均分子量と同様の方法により測定することができる。
上記成分(A−1)及び成分(A−2)以外のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ヒダントインエポキシ樹脂等の含窒素環エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロ環型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記ビスフェノールA型エポキシ化合物として具体的には、例えば、基本液状タイプエポキシ樹脂・グレード828(三菱化学社製)などが挙げられる。
特に、本発明の硬化性樹脂組成物を光半導体封止材に用いる場合、上記(A)エポキシ樹脂中の全塩素量が200ppm以下であることが好ましい。上記(A)エポキシ樹脂中の全塩素量が200ppm以下であると、上記硬化性樹脂組成物から得られる成形体をLED封止材に用いた場合、長時間の使用においてより高い輝度を保持することができる。上記(A)エポキシ樹脂中の全塩素量は、より好ましくは100ppm以下であり、更に好ましくは50ppm以下である。
エポキシ樹脂中の全塩素量は、JIS K 7243−3に基づき測定することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、Si−OR基(Rは、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜22のアルキル置換アリール基、又は、炭素数7〜22のアラルキル基を表す。)を有する有機ケイ素化合物を含有する。上記硬化性樹脂組成物において、Si−OR基を有する有機ケイ素化合物は、有機アルミニウム化合物の存在下で、エポキシ樹脂の優れた硬化促進剤として作用する。さらには、有機ケイ素化合物中に含有されるSi−OR基の数や配合量によっては、硬化促進剤としてのみならず、エポキシ樹脂の硬化剤の役割も果たし、より耐熱性及び耐クラック性に優れた硬化物を与え、光半導体封止材や半導体封止材、配線基板のような厳しい使用条件下における用途においても、長時間にわたって初期特性の保持を可能にする。
SiR3 a(OR4)4−a (4)
(式中、R3は、同一又は異なって、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜22のアルキル置換アリール基、炭素数7〜22のアラルキル基、又は、オキセタニル基を有する1価の有機基を表す。R4は、独立して上記で定義したRと同様である。aは、1〜3の整数である。)で表される化合物を好適に用いることができる。
Si(OR5)4 (5)
(式中、R5は、独立して上記で定義したRと同様である。)で表される化合物もまた、好適に用いることができる。
R6 b(OR7)cSiO(4−b―c)/2 (6)
(式中、R6は、同一又は異なって、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜22のアルキル置換アリール基、炭素数7〜22のアラルキル基、エポキシ基を有する1価の有機基、又は、オキセタニル基を有する1価の有機基を表す。R7は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜22のアルキル置換アリール基、又は、炭素数7〜22のアラルキル基を表す。b及びcは、1.0≦b≦1.7、0.05≦c≦1.0の数であり、1.05≦b+c≦2.0を満たす。)で表される化合物であることが好ましい。
SiR8 d(OR9)4−d (7)
(式中、R8は、平均組成式(6)のR6と同様である。R9は、平均組成式(6)のR7と同様である。dは1〜3の整数である。)で表わされるシラン化合物を加水分解縮合させることにより、あるいは、上記一般式(7)で表わされるシラン化合物と、下記一般式(8):
Si(OR10)4 (8)
(式中、R10は、平均組成式(6)のR7と同様である。)で表わされるアルキルシリケートとを共加水分解縮合させることにより得られる。
上記ポリシロキサンの重量平均分子量としては、より好ましくは、1,000〜15,000であり、更に好ましくは、1,500〜10,000である。
ポリシロキサン化合物の重量平均分子量は、上述した脂環式エポキシ樹脂の重量平均分子量と同様の方法により測定することができる。
有機ケイ素化合物の粘度は、R/Sレオメーター(ブルックフィールド社製)により測定することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、有機アルミニウム化合物を含有する。上記硬化性樹脂組成物が有機アルミニウム化合物を含有することにより、有機ケイ素化合物の存在下、エポキシ樹脂、さらにはエポキシ樹脂と有機ケイ素化合物間での硬化反応を比較的マイルドな条件下で促進させることができ、耐熱性や耐光性に優れた硬化物を得ることができる。これにより、被着体が無機材料と比較して耐熱性の低い樹脂材料からなる場合、熱硬化工程における加熱による被着体への影響を低減することも可能となる。
なお、「R11は、同一又は異なって、炭素数1〜22のアルキル基又はアルコキシル基を表す」とは、fを付した()の中の構造部分が複数ある場合、当該複数の構造部分におけるR11の構造が同一であってもよく、異なっていてもよいことを意味する。R12についても同様である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、1分子中に少なくとも1つのヒンダードアミン基を有する化合物を含有する。上記硬化性樹脂組成物が1分子中に少なくとも1つのヒンダードアミン基を有する化合物を含有することにより、上記硬化性樹脂組成物が貯蔵安定性に優れたものとなり、硬化性樹脂組成物配合後、本配合物を用いて成形物を作製したり、あるいは光半導体封止を実施するに際し、作業完了まで充分な時間を確保することができたり、配合後長時間にわたっての使用が可能となる。また、通常のアミン配合では、比較的低温下で配合物成分のエポキシ樹脂を変質させたり、所望の硬化反応以外の反応を引き起こしたり、硬化に際しても170〜200℃の高温で長時間の加熱を要するのに対し、ヒンダードアミン基を有する化合物を用いることにより、これらの不具合を抑制することが可能となる。また、ヒンダードアミン基を有する化合物を用いることにより、常温で充分な作業時間を確保しつつも、硬化に際しては120〜150℃程度の比較的マイルドな条件下、短時間で硬化完了をさせることができる。さらに、ヒンダードアミン基を有する化合物は、通常のアミン化合物に比べて酸素共存下でも着色物質を生成し難いため、上記硬化性樹脂組成物を光半導体封止材やレンズなどの光学部材に用いた場合、通常のアミン化合物を用いた組成物から得られる成形体に比べて変色が起こりにくく、優れた光透過率を発揮することができる。
なお、上記硬化性樹脂組成物が、酸無水物、芳香族アミン化合物、及び、フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の化合物のいずれも含まずに、(B)有機ケイ素化合物の含有量が、(A)エポキシ樹脂の総量100質量部に対して、0.05〜20質量部であり、(C)有機アルミニウム化合物の含有量が、(A)エポキシ樹脂の総量100質量部に対して、0.05〜10質量部である場合、有機ケイ素化合物と有機アルミニウム化合物はエポキシ樹脂のみによる自己硬化を促進する硬化促進剤(触媒)として機能することになる。このようなエポキシ樹脂が自己硬化する形態も、本発明の硬化性樹脂組成物の好ましい形態の1つである。
上記硬化性樹脂組成物が酸無水物を含む場合、酸無水物の具体例としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸などが挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
上記硬化性樹脂組成物が芳香族アミン化合物を含む場合、芳香族アミン化合物は、その構造中に芳香環骨格を有するアミン化合物であり、第一級アミン化合物、第二級アミン化合物、第三級アミン化合物等が挙げられるが、第一級アミン化合物及び/又は第二級アミン化合物を用いることが好適である。また、1分子内のアミノ基の数は特に限定されないが、例えば、1〜10個であることが好ましい。より好ましくは2〜4個である。
上記硬化性樹脂組成物がフェノール樹脂を含む場合、フェノール樹脂としては、エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものである限り特に制限されないが、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類等を用いることができる。
芳香族アミン化合物とフェノール樹脂との配合比率は、両者の官能基当量(モル当量)比で、80/20〜20/80であることが好ましい。硬化剤として作用する芳香族アミン化合物とフェノール樹脂とがこのような割合であると、上記硬化性樹脂組成物から得られる硬化物が、高い耐熱性と柔軟性、機械的強度の全ての特性をよりバランスよく発揮するものとなる。芳香族アミン化合物とフェノール樹脂との質量割合は、より好ましくは、70/30〜30/70であり、更に好ましくは、60/40〜40/60である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂と、(B)特定の有機ケイ素化合物と、(C)有機アルミニウム化合物と、(D)1分子中に少なくとも1つのヒンダードアミン基を有する化合物とを必須成分として含有するものであるが、本発明の効果を妨げない範囲でその他の成分を含んでいてもよく、また、これらの成分は1種又は2種以上を用いることができる。該その他の成分としては、例えば、溶媒成分、他の重合成分(オキセタン樹脂、ビニルモノマー等)あるいはポリマー成分、各種添加剤等を挙げることができる。
硬化物のガラス転移温度は、動的粘弾性のtanδの最大値を示す際の温度により測定することができる。
透過率は、UV−VIS分光光度計(Agilent 8453、アジレント・テクノロジー社製)により、厚み1mmのサンプルを用いて測定することができる。
合成例1
温度計、還流用の冷却管、および撹拌機を備えた反応器に、メチルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、Z−6366)208g、メチルイソブチルケトン57.4g、ギ酸21.1gを仕込み、内温35℃で撹拌しながら水44.2gを添加して10分間撹拌した。その後、90℃のオイルバスを用いて、撹拌しながら反応系内を昇温し、還流を開始した。還流開始から1時間経過後、セパラブルフラスコから還流用の冷却管を取り外し、再び加熱撹拌して溶剤を常圧留去した。留出物量が117.4gとなった時点で留去を停止する為にオイルバスを外し、降温した。内温53℃に到達後、53℃のオイルバスで加熱撹拌しながら、10kPaにて溶媒を1時間減圧留去し、その後、撹拌しながら、53℃、1kPaにて溶媒を30分間減圧留去した。更に、昇温して撹拌しながら、80℃、1kPaにて溶媒を30分間減圧留去し、115.7gの有機ケイ素化合物(1)を得た。得られた有機ケイ素化合物(1)の重量平均分子量は4,101、25℃における粘度は1630Pa・sであった。
有機ケイ素化合物の粘度の測定は、R/Sレオメーター(米国ブルックフィールド社製)を用いて、40℃、回転速度D=1/sの条件下で行った。なお、粘度20Pa・s以上では、RC25−1の測定治具を使用し、粘度20Pa・s未満では、RC50−1の治具を使用した。また、回転速度D=1/s時点の粘度が測定できないものについては、回転速度D=5〜100/sの値を外挿して、粘度として評価した。
調製例1
ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ALCH、川研ファインケミカル社製)274.3mg及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)(LA57、ADEKA社製)257.1mgを量り取り、これに溶媒としてセロキサイド2021P(ダイセル化学工業社製、脂環式エポキシ樹脂)4.78gを加え、60℃に加熱して30分混合し、硬化触媒(1)を調製した。これをアルミニウム・アミン化合物の固形分換算で既定の含有率になるように樹脂組成物の調製に用いた。
ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ALCH、川研ファインケミカル社製)274.3mg及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルー4−ピペリジル)セバケート)(Tinuvin765、BASF社製)330.9mgを量り取り、これに溶媒としてセロキサイド2021P(ダイセル化学工業社製、脂環式エポキシ樹脂)5.45gを加えたこと以外は、調製例1と同様にして、硬化触媒(2)を調製した。これをアルミニウム・アミン化合物の固形分換算で既定の含有率になるように樹脂組成物の調製に用いた。
ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ALCH、川研ファインケミカル社製)274.3mg及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン183.6mgを量り取り、これに溶媒としてセロキサイド2021P(ダイセル化学工業社製、脂環式エポキシ樹脂)4.12gを加えたこと以外は、調製例1と同様にして、硬化触媒(3)を調製した。これをアルミニウム・アミン化合物の固形分換算で既定の含有率になるように樹脂組成物の調製に用いた。
ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ALCH、川研ファインケミカル社製)274.3mg及びトリエチルアミン131.5mgを量り取り、これに溶媒としてセロキサイド2021P(ダイセル化学工業社製、脂環式エポキシ樹脂)3.65gを加えたこと以外は、調製例1と同様にして、硬化触媒(4)を調製した。これをアルミニウム・アミン化合物の固形分換算で既定の含有率になるように樹脂組成物の調製に用いた。
ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ALCH、川研ファインケミカル社製)274.3mg及びジエタノールアミン136.7mgを量り取り、これに溶媒としてセロキサイド2021P(ダイセル化学工業社製、脂環式エポキシ樹脂)3.7gを加えたこと以外は、調製例1と同様にして、硬化触媒(5)を調製した。これをアルミニウム・アミン化合物の固形分換算で既定の含有率になるように樹脂組成物の調製に用いた。
実施例1
温度計、および撹拌機を備えた反応器に、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業社製、脂環式エポキシ樹脂)90部、有機ケイ素化合物(1)10部を量り取り、60℃に加熱して30分間混合した。室温に冷却後、硬化触媒(1)を0.3部加えて15分間混合し、樹脂組成物(1)を得た。エポキシ樹脂、有機ケイ素化合物及び硬化触媒の配合量を表1に示す。
表1及び2に示す種類及び配合量でエポキシ樹脂、有機ケイ素化合物及び硬化触媒を混合する点以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(2)〜(4)、(6)〜(7)、(比較1)、(比較3)〜(比較4)を得た。
温度計、および撹拌機を備えた反応器に、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業社製、脂環式エポキシ樹脂)20部及び基本液状タイプエポキシ樹脂・グレード828(三菱化学社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)70部、有機ケイ素化合物(1)10部を量り取り、60℃に加熱して30分間混合した。室温に冷却後、硬化触媒(1)を0.3部加えて15分間混合し、樹脂組成物(5)を得た。
温度計、および撹拌機を備えた反応器に、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業社製、脂環式エポキシ樹脂)40部及びYX−8040(三菱化学社製、固形水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂)20部を量り取り、窒素雰囲気下で140℃に加熱して1時間混合した。70℃に冷却後、有機ケイ素化合物(1)40部を加え、30分間混合した。室温に冷却後、硬化触媒(3)を0.3部加えて30分間混合し、樹脂組成物(8)を得た。
硬化触媒(3)の代わりに硬化触媒(1)を用い、表2に示す配合量でエポキシ樹脂、有機ケイ素化合物及び硬化触媒を混合する点以外は、実施例8と同様にして、樹脂組成物(9)を得た。
硬化触媒(1)の代わりに硬化触媒(4)を用いること以外は、実施例5と同様にして、樹脂組成物(比較2)を得た。
各温度に調節したホットプレート上に、実施例1〜9及び比較例1〜4で得た樹脂組成物(1)〜(9)、(比較1)〜(比較4)を1cc測り取り、流動性がなくなるまでの時間を測定した。結果を表1及び表2に示す。
実施例1〜5及び比較例1〜2で得た樹脂組成物(1)〜(5)及び樹脂組成物(比較1)〜(比較2)を、25℃の環境下で1日間静置した。各樹脂組成物の調製直後、及び、1日後の粘度を以下のようにして測定した。
上記粘度の測定は、樹脂組成物について、R/Sレオメーター(米国ブルックフィールド社製)を用いて、25℃、回転速度D=1/sの条件下で行った。なお、粘度20Pa・s以上では、RC25−1の測定治具を使用し、粘度20Pa・s未満では、RC50−1の治具を使用した。また、回転速度D=1/s時点の粘度が測定できないものについては、回転速度D=5〜100/sの値を外挿して、樹脂組成物の粘度として評価した。測定した粘度を表1に示す。
実施例1、6〜9及び比較例3〜4で得た樹脂組成物(1)、(6)〜(9)及び樹脂組成物(比較3)〜(比較4)を、25℃で放置し、増粘して流動性がなくなるまでの時間を計った。結果を表2に示す。
実施例1、6〜9及び比較例3〜4で得た樹脂組成物(1)、(6)〜(9)及び樹脂組成物(比較3)〜(比較4)を、1mmのスペーサーを挟んだ2枚のガラス板間に注入して硬化させ、厚さ1mmの板状の試料を作製した。得られた試料について、100℃のオーブン中に500時間放置する試験を行い、試験後の着色の有無や程度について評価した。
具体的には、試験前後の400nm光に対する透過率の変化率(ΔT)を測定し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。なお、透過率は、UV−VIS分光光度計(Agilent 8453、アジレント・テクノロジー社製)により測定した。
○:ΔT<5%
△:5%≦ΔT<10%
×:ΔT≧10%
実施例1、6〜9及び比較例3〜4で得た樹脂組成物(1)、(6)〜(9)及び樹脂組成物(比較3)〜(比較4)を、青色LEDチップ(チップサイズ300μm×600μm)を3チップを載せたLEDパッケージ(外形寸法5mm×5mm)にパッケージ内が満たされるように注入し、150℃のオーブンで1時間加熱硬化して試料を作製した。得られた試料を85℃に保持したオーブン中に入れ、60mAの電流を流してLEDを点灯させ、500時間放置する試験を行った。そして、試験後の輝度の保持率について評価した。結果を表2に示す。
なお、輝度は、光源配光測定システム(IS−LI−TE−1、Radiant Imaging社製)により測定した。
一方、ヒンダードアミン基を有する化合物を含まない樹脂組成物を用いた比較例1〜4では、貯蔵安定性において劣るものであることが分かる。また、比較例3〜4では、いずれも得られる成形体が耐熱性、及び、長時間使用した際の輝度において劣るものであることが分かる。
また、実施例2と実施例4との比較、及び、実施例6と実施例7との比較から、1分子中に4つ以上のヒンダードアミン基を有する化合物を含む樹脂組成物を用いた実施例2及び6では、樹脂組成物が貯蔵安定性においてより優れるものであることが分かる。
さらに、実施例6〜7と実施例8〜9との比較から、エポキシ樹脂として脂環式エポキシ樹脂のみを用いると、得られる成形体が耐熱性に特に優れるものとなり、その結果、長時間使用した際の輝度において優れるものとなることが分かる。
また、実施例1と実施例2〜3との比較から、有機ケイ素化合物の含有量が、エポキシ樹脂の総量100質量部に対して、0.05〜10質量部である樹脂組成物を用いた実施例2及び3では、樹脂組成物が貯蔵安定性においてより優れるものであることが分かる。
さらに、実施例6〜9と実施例1との比較から、有機ケイ素化合物の含有量が、エポキシ樹脂の総量100質量部に対して、15〜300質量部であると、得られる成形体が耐熱性に特に優れるものとなり、その結果、長時間使用した際の輝度において優れるものとなることが分かる。
Claims (7)
- 硬化性を有する樹脂組成物であって、
該硬化性樹脂組成物は、
(A)エポキシ樹脂と、
(B)Si−OR基(Rは、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜22のアルキル置換アリール基、又は、炭素数7〜22のアラルキル基を表す。)を有する有機ケイ素化合物と、
(C)有機アルミニウム化合物と、
(D)1分子中に少なくとも1つのヒンダードアミン基を有する化合物とを必須成分として含有し、
該(A)エポキシ樹脂は、脂環式エポキシ樹脂を含み、
該(B)有機ケイ素化合物は、25℃において液体であって、25℃における粘度が1〜3000Pa・sであり、かつ下記一般式(4)又は(5):
SiR 3 a (OR) 4−a (4)
Si(OR) 4 (5)
(式中、R 3 は、同一又は異なって、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜22のアルキル置換アリール基、炭素数7〜22のアラルキル基、又は、オキセタニル基を有する1価の有機基を表す。Rは、独立して上記で定義したRと同様である。aは、1〜3の整数である。)で表される低分子有機ケイ素化合物の加水分解縮合物であるシルセスキオキサンであることを特徴とする硬化性樹脂組成物。 - 前記硬化性樹脂組成物における(C)有機アルミニウム化合物の含有量は、(A)エポキシ樹脂及び(B)有機ケイ素化合物の合計100質量部に対して、0.05〜5質量部であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化性樹脂組成物における(D)1分子中に少なくとも1つのヒンダードアミン基を有する化合物の含有量は、(A)エポキシ樹脂及び(B)有機ケイ素化合物の合計100質量部に対して、0.05〜5質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(D)1分子中に少なくとも1つのヒンダードアミン基を有する化合物は、1分子中に2つ以上のヒンダードアミン基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化性樹脂組成物における脂環式エポキシ樹脂の含有量は、(A)エポキシ樹脂の合計100質量部中、5質量部以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記脂環式エポキシ樹脂の重量平均分子量は、1500未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
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