JP6147644B2 - ワンタッチボタン - Google Patents

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Description

この発明は、衣服等に使用するワンタッチボタンに係り、特に、ボタン本体と止め具で構成され、止め具によりボタン本体を衣服等へワンタッチで取付できるようにしたものに関する。
ワンタッチボタンを、ボタン本体と止め具で構成し、ボタン本体を衣服等の表側に配置し、裏側から止め具を差して係合することにより、ボタン本体を衣服等へワンタッチ式に取付けるものは公知である(特許文献1及び2参照)。
特許文献1には、ボタン本体(同文献中の「ボタン」に相当)と、柱状部を有する止め具を備え、ボタン本体の中央に貫通孔を設け、これに止め具の柱状部を差し込み、その先端に形成されている傘状に広がる頭部を弾性変形させてボタンへ係合させることが記載されている。
特許文献2にも、同様にボタン本体と止め具(同文献中の「固定具」に相当)からなり、ボタン本体は中央に挿入孔を備えかつ固定具よりも柔らかい材料で形成するとともに、止め具は、柱状部(同文献中の「軸部」に相当)とその柱状部先端に形成されている傘状のガイド部を備え、ガイド部をボタン本体中央の挿入孔へ差し込み、挿入孔の周囲部分を弾性変形させて食い込ませることにより、ガイド部をボタン本体と係合することが記載されている。
実開平4−110507号公報 特許第4095858号公報
ところで、特許文献1のボタン本体は、止め具の頭部側を弾性変形させてボタンと係合させるものであり、ボタン本体の貫通孔周囲部分は比較的剛性が高い構造になっているため、止め具の柱状部先端に形成された頭部をボタン本体の貫通孔へ押し込んでも、貫通孔を拡径するように変形させることはできず、逆に、柱状部の頭部側を大きく弾性変形させる必要がある。
このため、柱状部を押し込むとき、比較的大きな力が必要であり、取付が容易でないばかりか押し込みに手間がかかるので、迅速なワンタッチ取付ができにくくなる。
また、押し込みを容易にするため、頭部の径を小さくすれば係合部分が小さくなるので、取付後に係合部が貫通穴周囲から外れやすくなり、ボタン本体が止め具から外れ易くなる。したがって、取付けやすさと外れにくさを両立させることが難しかった。
一方、特許文献2では、ボタン本体を止め具よりも柔らかくすることにより、止め具のガイド部をボタン本体の挿入孔へ押し込むとき、ボタン本体における挿入孔の周囲部分側を比較的容易に弾性変形させ、挿入孔の周囲部分を拡径させながら押し込まれるようになっている。この場合、止め具のガイド部を弾性変形させず、逆に、ボタン本体の挿入孔周囲部分へ食い込ませて抜け出さないように係合することになる。このため、固定具による取付が迅速になり、ボタン本体を取付けやすくなる。
しかし、ボタン本体が柔らかい構造の場合は、取付後にボタン本体が止め具のガイド部が抜けやすくなり、ボタン本体が止め具から外れ易くなってしまう。
また、ワンタッチ性を向上させるためには、迅速な取付が要求され、これを実現するには、ボタン本体をより一層柔らかくしなければならない。しかし、ボタン本体が柔らかければ柔らかいほど取付けが容易になる反面、固定具のガイド部が外れ易くなってしまう。
したがって、挿入孔側を拡径する形式のものでも、やはり取付けやすさと外れにくさの両立を図ることが難しくなってしまう。
そこで本願は、取り付けやすさと外れにくさを両立させ、かつ迅速にワンタッチ取付できるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するため請求項1に記載した発明は、中央に係合穴(11)を備えたボタン本体(10)と、その係合穴(11)に係合する柱状部(21)を備えた止め具(20)とからなるワンタッチボタン(40)において、
前記柱状部(21)の先端に、前記柱状部(21)の外径(f)より大径の係止部(22)を設け、
前記係止部(22)を、前記係合穴(11)の入り口(17)側から出口(16)側へ押し込んで貫通させ、前記出口(16)の開口周囲部分へ係合させるとともに、
前記係合穴(11)の出口(16)周囲部分における剛性を部分的に低下させる拡径手段(14)を設け、
前記係止部(22)押し込まれたとき、前記係合穴(11)の出口(16)拡径変形されるとともに、
前記拡径手段は、ボタン本体(10)を貫通する複数の小穴(14)からなり、
前記止め具(20)は、柱状部(21)の基部にフランジ部(23)を備え、
前記ボタン本体(10)に前記止め具(20)を取付けたとき、前記柱状部(21)の軸方向視で、前記小穴(14)は、前記フランジ部(23)の外周部よりも外側に位置していることを特徴とする。
請求項に記載した発明は、上記請求項1において、前記係合穴(11)は、前記入り口(17)の径(b)が出口(16)の径(a)より大きくなっていることを特徴とする。
請求項に記載した発明は、上記請求項1又は2において、前記係合穴(11)の出口(16)は、前記柱状部(21)の外径(f)より小さい径(a)をなす部分を備えたことを特徴とする。
請求項に記載した発明は、上記請求項1〜のいずれか1項において、前記ボタン本体(10)における前記係合穴(11)の出口(16)周囲に前記係止部(22)が係合する係合面(15a)を設けるとともに、その係合面(15a)を前記ボタン本体(10)の表面(10A)より低い位置に設けたことを特徴とする。
請求項に記載した発明は、上記請求項1〜のいずれか1項において、前記柱状部(21)の軸直交方向における前記係止部(22)の最大幅は、前記係合穴(11)の径(a)より大きい所定長さ(g)を備えることを特徴とする。
請求項に記載した発明は、上記請求項1〜のいずれか1項において、前記止め具(20)は、前記柱状部(21)の基部にフランジ部(23)を備え、そのフランジ部(23)の最大径(k)は、前記柱状部(21)の外径(f)の約2倍であることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、ボタン本体(10)の中央に形成された係合穴(11)の出口(16)周囲における剛性を部分的に低下させる拡径手段(14)としてボタン本体(10)を貫通する複数の小穴(14)を設けたので、止め具(20)の柱状部(21)先端に形成された係止部(22)を係合穴(11)の出口(16)へ差し込むと、係合穴(11)の出口(16)周囲は、拡径手段により剛性低下しているため、係合穴(11)の出口(16)部分が容易に拡径して係止部(22)を通過させる。したがって、比較的弱い力で軽く止め具(20)を押すだけで、係止部(22)は迅速に係合穴(11)の出口(16)を通過して、係合穴(11)周囲部分へ係合でき、取付が容易になるとともに、ワンタッチ取付が可能になる。
また、係止部(22)を係合穴(11)に対して、係合穴(11)の拡径量に相当するだけ十分に大径化できるので、外れにくくなるから、取り付けやすさと外れにくさを両立させることができる。
また、拡径手段としてボタン本体(10)を貫通する複数の小穴(14)としたので、拡径手段を容易に形成することができる。
そのうえ、従来のように糸でボタン本体を衣服等の布地へ取り付けようとする場合には、糸通し穴としても利用できる。
請求項の発明によれば、係合穴(11)は、入り口(17)側の径(b)が出口(16)側の径(a)よりも大きくなっているので、係止部(22)の押し込みをガイドでき、取付を容易かつスムーズにする。
請求項の発明によれば、係合穴(11)の出口(16)における径(a)を柱状部(21)の外径(f)よりも小さくしたので、柱状部(21)が係合穴(11)へ密に嵌合することにより、取付後のガタがなくなる。
請求項の発明によれば、係合穴(11)の出口(16)周囲の係合面(15a)をボタン本体(10)の表面(10A)よりも低くしたので、係止部(22)が表面(10A)から外方へ突出することを避け、取付時の外観を良好にするとともに、係止部(22)が周囲へ引っかからないようにすることができる。
請求項の発明によれば、係止部(22)の最大幅(g)は、係合穴(11)の出口(16)における径(a)及び柱状部(21)の外径(f)よりも大きな所定長さを有する。これにより係合を確実にし、外れにくくすることができる。
請求項の発明によれば、止め具(20)のフランジ部(23)の最大径(k)を柱状部(21)の外径(f)の約2倍としたので、取付時において、フランジ部(23)が適宜な剛性を有し、ボタン本体(10)の掛け外しに際して適度な弾性変形を可能にし、ボタン本体(10)の掛け外しが容易になる。

衣服へワンタッチボタンを取付けた状態の断面図 ボタン本体と止め具とを示す斜視図 ボタン本体の平面図及び側面図 ボタン本体の係合穴近傍部を拡大した断面図 止め具の拡大断面図
以下、図面に基づいて一実施形態を説明する。
図1は、ワンタッチボタン40を衣服30へ取付けた状態の断面図であり、その断面部位は図3の1−O−1線断面に相当している。Oはボタン本体10の中心である。なお、図1の上側を上方もしくは衣服30並びにボタンの表側とする。
図1において、衣服30の表布32と裏布34が上下に合わさり、この合わせ部における裏布34側にワンタッチボタン40が取付けられている。
図2は、ワンタッチボタン40を構成するボタン本体10と止め具20とを示す斜視図であり、Aにボタン本体10の表側、Bにボタン本体10の裏側を示す。また、Bにはボタン本体10の裏側へ取付けられる止め具20を同時に示してある。
これらの図1及び図2において、ボタン本体10と止め具20は、ほぼ同様の硬さを有する適宜材料、例えば、硬質合成樹脂から形成される。但し、ボタン本体10と止め具20の材料や硬さを相対的に異ならせることは自由である。いずれの場合にも、ボタン本体10は止め具20を取付ける際に、ボタン本体10における止め具20が取り付けられる部分が弾性変形するように構成されている。
ボタン本体10は略円板状をなし、中央部に表裏を貫通する係合穴11を有する。裏面10B側における係合穴11の周囲は筒状の凸部12をなす。
表面10A側において、係合穴11の周囲は凹部13とされ、その周囲に肉抜き穴14が係合穴11及び凹部13を囲んで設けられている。肉抜き穴14は剛性低下構造をなし、本願発明の小穴に相当するが、従来のように糸でボタン本体10を衣服等の布地へ取り付けようとする場合には、糸通し穴としても利用できる。
凹部13の底部で、係合穴11の周囲かつ肉抜き穴14の内側となる部分は本体側係合部15をなし、その表面は、止め具20に設けられている係止部22が係合する係合面15aになっている。
係合穴11は、小径穴16と大径穴17からなる2段の段付き穴状に形成され、小径穴16が係合面15aに開口している。大径穴17は凸部12の穴部内径をなしている。
また、係止部22を係合穴11へ押し込む際において、大径穴17は入口となり、小径穴16は出口となる。
肉抜き穴14は、ボタン本体10の表裏を貫通する係合穴11(小径穴16及び大径穴17)より大径の穴であり、小径穴16の同心円上に周方向へ所定間隔で複数(この例では等間隔に4個)設けられ、各穴の、小径穴16側は一部が本体側係合部15の外周部へ食い込んでおり、小径穴16の径方向における本体側係合部15の剛性を低下させている。
肉抜き穴14は、小径穴16の拡径手段であり、係止部22が小径穴16へ押し込まれたとき、小径穴16の拡径を容易にするため、小径穴16の径方向における本体側係合部15の剛性を低くすることにより、小径穴16周囲部分における弾性変形が容易になるようにすることを目的に設けられる。肉抜き穴14の数や大きさは、所定の剛性低下が得られるように調整される。
ボタン本体10の表面10A側において、外周部18は本体側係合部15よりも厚肉の環状枠部をなし、ボタン本体10全体の剛性を高くしている。外周部18の表面には飾り凹部19が環状に形成されている。この飾り凹部19は本体側係合部15の剛性を下げる機能も有している。
止め具20は、係合穴11へ差し込まれる柱状部21と、その一端である差し込み方向先端側に形成される傘状の係止部22と、柱状部21の他端側である基部に形成されるフランジ部23とを一体に有する。
図3は、ボタン本体10を示し、Aは表面10A側を示す平面図、Bは側面図である。図4は、係合穴11の近傍部を拡大した断面図であり、その断面部位は図3のAにおける4−O−1線断面に相当している。
これらの図において、凹部13は係合穴11の小径穴16における内径aよりも大径の有底丸穴状凹部として形成され、その底部である本体側係合部15は薄肉部とされ、中心線CL方向における肉厚が外周部18よりも薄肉になっている。中心線CLは係合穴11及び柱状部21の各中心軸線である。
この薄肉程度は、本体側係合部15が係止部22と係合するとともに、中心線CL方向において、止め具20をボタン本体10と結合一体化しておくために必要な比較的高い剛性を確保することができる程度の最低限の肉厚を有するものである。なお、中心線CL方向の剛性は、後述する小径穴16の拡径を可能にする径方向の剛性程度まで低くなってはいない。
本体側係合部15の外周部は図4の下方へ筒状に突出して凸部12となっている。
凸部12の内径すなわち大径穴17の穴径bはaより大きい(a<b)。これにより、係合穴11を小径部分(小径穴16)と大径部分(大径穴17)との2段穴としている。
また、凸部12は裏面10Bより寸法cなる突出量を有する。この突出量は、表布32の厚さ(図1)より若干大きい程度である。なお、凹部13の内径mはこれらa及びbよりは大きくなっている。
凸部12の下端内周側はR形状部12aとなっている。下端面12bは、フランジ部23に対面して裏布34へ当接する座面部をなす。
さらに、凹部13は、表面10Aよりも深さdだけ下方へ入り込んでいる。この深さdは、その底部である本体側係合部15を薄肉にするとともに、止め具20を取り付けたとき、その先端の係止部22を表面10Aより外方へ突出させない程度になっている。
本体側係合部15の表面すなわち係合面15aと凸部12の下端面12bまでの距離eは、止め具20の締め代を設定している。
図5は止め具20の柱状部21における軸線方向の縦断面を示す。この図において、柱状部21は円柱状の軸部をなし、その外径fは、小径穴16の内径aよりも大きい。なお、柱状部21は軸線CLに対する軸直交方向における断面が非円形等をなす軸部であってもよよい。さらに、係止部22の外径(最大径)gはfよりも大きく、bよりも小さい(a<f<g<b)。なお、gは柱状部21の軸直交方向における係止部22の最大幅であり、本例におけるように係止部22が円錐状をなす場合は最大径部となる。
係止部22は、軸線CLと平行なフラット部24と、それより先端側の尖頭部25を有する。尖頭部25は円錐状をなし、先端はR形状とされ、エッジ部を無くしてある。但し尖頭部25は半球状にしてもよい。係止部22の下端が柱状部21から軸直交方向外方へ張り出す段差部26をなし、ここが小径穴16周囲の係合面15aへ係合する。
段差部26とフランジ部23上面までの距離hは、eと同程度又は裏布34(図1)の厚さ分を考慮して若干大きい程度とされ、止め具20をボタン本体10へ取付けたときの締め代調整がなされている。
フランジ部23は、柱状部21と比較的大きなR形状部27で接続することにより、柱状部21からフランジ部23へ加わる応力集中を緩和している。
また、フランジ部23の最大径kは、柱状部21の外径fの2〜4倍程度が好ましく、約2倍程度が最も好ましい。
次に作用を説明する。
このボタンを衣服30へ取付けるには、図1に示すように、まずボタン本体10の裏面10Bを裏布34の表面に重ね、裏布34の裏側から止め具20の係止部22を図の上方へ差し込む。
すると、係止部22が、係合穴11の大径穴17へ入り、さらに小径穴16へ押し込まれ、ここで、本体側係合部15の小径穴16周囲部分を弾性変形させることにより、小径穴16を拡径しながら貫通する。
係止部22が、小径穴16の上方へ突出した段階で、段差部26が係合面15a上へ係合することにより、係合一体化し、ワンタッチで取付けられる。
したがって、比較的弱い力で軽く止め具20を押すだけで、係止部22は迅速に小径穴16を通過して、小径穴16周囲の係合面15aへ係合でき、取付が容易になるとともに、ワンタッチ取付が可能になる。
しかも、尖頭部25を有することにより、作業着などの比較的厚手の布地でも簡単に通すことができる。
このとき、凹部13の本体側係合部15が薄肉部をなし、かつ周囲に肉抜き穴14が形成されているため、小径穴16周囲の本体側係合部15は容易に弾性変形して小径穴16を拡径することにより係止部22を通過させ、その後、本体側係合部15が復元変形して小径穴16を元の穴径まで縮径するので、段差部26が係合面15a上へ抜け出しを阻止するに十分な係合面積で重なることにより、ボタン本体10が止め具20と係合一体化することができる。このため、ボタン本体10を止め具20と同等の硬さの部材で形成しても容易に係合できることになり、しかも、ボタン本体10が比較的硬いため、確実に係合状態を維持して外れにくくなる。
そのうえ、係止部22の最大径gは、係合穴11における小径穴16の内径a及び柱状部21の外径fよりも大きな所定長さを有するので、係止部22を係合穴11に対して十分に大径化でき、係合を確実にし、外れにくくすることができる。
このため、拡径手段により、小径穴16(係合穴11)の拡径を可能にして、取り付けやすさと外れにくさを両立させることができる。また、肉抜き穴14により拡径手段を容易に実現することができる。
さらに、小径穴16の最小径aを柱状部21の外径fよりも小さくしたので、柱状部21が小径穴16へ密に嵌合することにより、取付後のガタがなくなる。
また、係合穴11が2段穴になっているため、まず大径穴17にて係止部22を係合穴11内へ案内するので係止部22の差し込みを容易にすることができる。
すなわち、係合穴11は、入り口側である大径穴17の径bが出口側である小径穴16の径aよりも大きくなっているので、係止部22の押し込みをガイドでき、取付を容易かつスムーズにする。
さらに、係合穴11の小径穴16周囲の係合面15aをボタン本体10の表面10Aよりも低くしたので、係止部22が表面10Aから外方へ突出することを避け、取付時の外観を良好にするとともに、係止部22が周囲へ引っかからないようにすることができる。
また、柱状部21の長さhを調整することにより、適度な締め代により、ボタン本体10を裏布34へガタなく取付けることができる。このとき、凸部12の下端面12bがフランジ部23へ対面して裏布34を押さえつけることにより、さらにガタなく取付可能になる。このとき、柱状部21よりフランジ部23に大きな応力が加わるが、R形状部27により応力集中を緩和することができる。
さらに、凸部12が突出していることにより、裏面10Bとフランジ部23の間に表布32の厚さより若干大きい程度の程度の間隙を形成できる。このため、ボタン本体10を表布32の裏側からボタン穴36へ入れて表側へ出すと、ボタンを掛けることができ、同時に表布32をボタン本体10の裏面10Bと裏布34の間へ容易に収容できる。
しかも、フランジ部23の最大径kを柱状部21の外径fの約2倍としたので、ボタン本体10を表布32のボタン穴36へ出し入れするとき、適度に弾性変形してボタン本体10の出し入れを容易にし、表布32に対するボタン本体10の着脱を容易にする。
なお、フランジ部23の最大径kを柱状部21の外径fの約2倍とするのは、kを種々に変更してボタン本体10の着脱をする実験の結果、2〜4倍にすることでボタン本体10の掛け外しを容易にすることが判明したことによる。
4倍を超えると、フランジ部23の剛性が高くなって、ボタン本体10の掛け外しが困難になる。また、2倍よりも小さくなると、フランジ部23の剛性が低くなりすぎて、衣服
30に対するワンタッチボタン40の取付が不安定になる。特に、約2倍にしたとき、掛け外しの容易さと、取付安定性とのバランスが最も良好になることが判った。
したがって、kは、fの2〜4倍程度が好ましく、特に、約2倍程度が最も好ましいことになる。
なお、本願発明は、種々に変形や応用が可能である。例えば、係合穴11に対する係止部22の係合を容易にするため本体側係合部15に設ける拡径手段(剛性低下構造)は、肉抜き穴14のような貫通穴ではなく、図4に仮想線で示すような、本体側係合部15に形成された拡径凹部50としてもよい。この拡径凹部50は環状等の連続した溝として形成されている。但し、この拡径凹部50は連続した溝ではなく、独立した複数の有底凹部とすることもでき、さらにこの有底凹部は、円形もしくは非円形の適宜形状をなすものでもよい。また、中心線CL方向へ貫通する複数の小穴であってもよい。さらに、この拡径凹部50と肉抜き穴14を組み合わせて一緒に設けてもよい。
この拡径凹部50も、本体側係合部15における係合穴11の周囲をさらに弾性変形容易にするとともに、弾性変形の程度を自由に調整して、係合しやすさと、外れにくさのバランスを容易に調整することができることは、肉抜き穴14と同じである。このように、小穴や溝等の凹部からなる拡径凹部50を設けることで、拡径手段を容易に構成できる。
また、係合穴11の周囲に凹部13を設けることなく、本体側係合部15を外周部と肉厚一定の厚肉部としてもよい。この場合にも、拡径手段として、係合穴11の周囲へ溝や小穴等の剛性低下構造を形成することに変わりはない。但し、実施形態のように本体側係合部15を薄肉化すれば、小穴や凹部の数を少なくしたり寸法を小さくできる。
さらに、係合穴11は小径穴16及び大径穴17からなる2段の段付き状に形成されるばかりでなく、より多段に形成してもよく、段のないテーパー状に形成してもよい。この場合には、f及びgに対して大小関係を判断するaは小径穴16の最小径部とする。
10:ボタン本体、11:係合穴、12:凸部、13:凹部、14:肉抜き穴、15:本体側係合部、15a:係合面、16:小径穴(出口)、17:大径穴(入り口)、18:外周部、20:止め具、21:柱状部、22:係止部、23:フランジ部、24:フラット部、25:尖頭部、26:段差部、30:衣服、40:ワンタッチボタン、50:拡径凹部

Claims (7)

  1. 中央に係合穴(11)を備えたボタン本体(10)と、その係合穴(11)に係合する柱状部(21)を備えた止め具(20)とからなるワンタッチボタン(40)において、
    前記柱状部(21)の先端に、前記柱状部(21)の外径(f)より大径の係止部(22)を設け、
    前記係止部(22)を、前記係合穴(11)の入り口(17)側から出口(16)側へ押し込んで貫通させ、前記出口(16)の開口周囲部分へ係合させるとともに、
    前記係合穴(11)の出口(16)周囲部分における剛性を部分的に低下させる拡径手段(14)を設け、
    前記係止部(22)押し込まれたとき、前記係合穴(11)の出口(16)拡径変形されるとともに、
    前記拡径手段は、ボタン本体(10)を貫通する複数の小穴(14)からなり、
    前記止め具(20)は、柱状部(21)の基部にフランジ部(23)を備え、
    前記ボタン本体(10)に前記止め具(20)を取付けたとき、前記柱状部(21)の軸方向視で、前記小穴(14)は、前記フランジ部(23)の外周部よりも外側に位置していることを特徴とするワンタッチボタン。
  2. 前記係合穴(11)は、前記係止部(22)の押し込み方向において、前記入り口(17)の径(b)が前記出口(16)の径(a)より大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載したワンタッチボタン。
  3. 前記係合穴(11)の出口(16)は、前記柱状部(21)の外径(f)より小さい径(a)をなす部分を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載したワンタッチボタン。
  4. 前記ボタン本体(10)における前記係合穴(11)の出口(16)周囲に前記係止部(22)が係合する係合面(15a)を設けるとともに、その係合面(15a)を前記ボタン本体(10)の表面(10A)より低い位置に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載したワンタッチボタン。
  5. 前記柱状部(21)の軸直交方向における前記係止部(22)の最大幅は、前記係合穴(11)の径(a)より大きい所定長さ(g)を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載したワンタッチボタン。
  6. 前記止め具(20)は、柱状部(21)の基部にフランジ部(23)を備え、そのフランジ部(23)の最大径(k)は、前記柱状部(21)の外径(f)の約2倍であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載したワンタッチボタン。
  7. 前記ボタン本体(10)の前記入り口(17)周囲は筒状の凸部(12)をなし、
    前記ボタン本体(10)に前記止め具(20)を係合したとき、前記フランジ(23)に前記凸部(12)が当接されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載したワンタッチボタン。
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