JP6146583B2 - 鉄損特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トランスの鉄心材料などに用いて好適な、低鉄損の方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
電磁鋼板は、各種電気機器等の鉄心材料としてに広く用いられている。中でも方向性電磁鋼板は、結晶方位がGoss方位と呼ばれる{110}<001>方位に高度に集積し、エネルギーロスの低減に直接つながる良好な磁気特性(低鉄損、高磁束密度)を有していることから、主として変圧器や発電機の鉄心材料に用いられている。
方向性電磁鋼板の鉄損を低減する手段としては、板厚の低減、SiやAl等、固有抵抗を高める成分添加量の増加、結晶方位の配向性向上、鋼板への張力付与、鋼板表面の平滑化、二次再結晶粒の細粒化などが有効であることが知られている。
上記手段のうち、二次粒径を細粒化させる技術としては、特許文献1〜4等に、脱炭焼鈍(一次再結晶焼鈍)の加熱過程を急速加熱したり、脱炭焼鈍の直前に急速加熱処理を施したりすることで、一次再結晶集合組織を改善する、即ち、Goss方位強度を高める技術が提案されている。
特開平08−29593号公報 特開2003−096520号公報 特開平10−280040号公報 特開平06−049543号公報
しかしながら、上記の従来技術を方向性電磁鋼板の製造に適用するためには、誘導加熱炉等、大規模な急速加熱装置の導入が必要となり、設備コストやランニングコストが嵩むという問題がある。そのため、急速加熱を必要としないで、二次再結晶粒を細粒化することができる技術の開発が求められている。
本発明は、従来技術に対する上記要求に鑑みてなされたものであり、その目的は、一次再結晶焼鈍で急速加熱することなく二次再結晶粒を微細化することができる方向性電磁鋼板の製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題の解決に向けて、鋭意検討を重ねた。その結果、一次再結晶焼鈍を施す前の、二次再結晶にインヒビターを用いないインヒビターフリー系の成分組成を有する冷延後の鋼板表面に、放射率が鋼板表面と異なる線状部を形成し、その後、一次再結晶焼鈍し、二次再結晶させる仕上焼鈍を施すことで、二次再結晶粒を細粒化できることを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明は、C:0.08mass%以下、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%を含有し、インヒビター形成成分であるAlが0.0100mass%以下、N,SおよびSeがそれぞれ0.0050mass%以下で、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなく、あるいは、熱延板焼鈍を施した後、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍し、仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、上記一次再結晶焼鈍の前の冷延板の表面に、圧延方向と直角な方向に対するずれ角を±30°以下、幅を500μm以下、圧延方向の間隔を30mm以下とする線状の放射率変更部を形成することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法である
本発明の方向性電磁鋼板の製造方法は、上記線状の放射率変更部の放射率Bと放射率変更部以外の部分の放射率Aとの比(B/A)を1.5以上とすることを特徴とする。
また、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法における上記鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、Ni:0.03〜1.5mass%、Sn:0.01〜1.50mass%、Sb:0.005〜1.50mass%、Cu:0.03〜3.0mass%、P:0.03〜0.50mass%、Mo:0.005〜0.1mass%およびCr:0.03〜1.50mass%のうちから選ばれる1種または2種類以上を含有することを特徴とする。
本発明によれば、多大な設備投資やランニングコストを必要とする急速加熱装置を用いることなく、二次再結晶粒を細粒化することができるので、鉄損特性に優れた方向性電磁鋼板を安定してかつ安価に提供することが可能となる。
鋼板表面の放射率に対する放射率変更部の放射率の比およびインヒビター形成成分の含有有無が、鉄損W17/50に及ぼす影響を示すグラフである。 鋼板表面の放射率に対する放射率変更部の放射率の比およびインヒビター形成成分の含有有無が、二次再結晶粒の粒径に及ぼす影響を示すグラフである。 放射率変更部の幅が鉄損W17/50に及ぼす影響を示すグラフである。 放射率変更部の幅が二次再結晶粒の粒径に及ぼす影響を示すグラフである。 放射率変更部の圧延方向の間隔(ピッチ)が鉄損W17/50に及ぼす影響を示すグラフである。 放射率変更部の圧延方向の間隔(ピッチ)が二次再結晶粒の粒径に及ぼす影響を示すグラフである。 放射率変更部の圧延方向と直角方向とのずれ角が鉄損W17/50に及ぼす影響を示すグラフである。 放射率変更部の圧延方向と直角方向とのずれ角が二次再結晶粒の粒径に及ぼす影響を示すグラフである。
先述したように、発明者らは、一次再結晶焼鈍で急速加熱することなく二次再結晶粒を微細化する方法について検討を重ねた。その結果、一次再結晶焼鈍を施す前のインヒビターフリー系の成分組成を有する冷延後の鋼板表面に、放射率が、鋼板表面の放射率と異なる線状部を形成し、その後、一次再結晶焼鈍し、二次再結晶させる仕上焼鈍を施すことで、二次再結晶粒を細粒化できることを見出した。以下、上記知見を導くに到った実験について説明する。
<実験1>
表1に示すインヒビター形成成分を含有しない鋼a、および、インヒビター形成成分としてAl,Nを含有する鋼bの2種類の鋼スラブを連続鋳造法で製造し、該スラブを1200℃に再加熱した後、熱問圧延して板厚1.8mmの熱延板に仕上げ、1100℃×80秒の熱延板焼鈍を施した後、冷間圧延して最終板厚0.30mmの冷延板とし、PH2O/PH2:0.35の酸化雰囲気で脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した。次いで、上記鋼板表面に、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、二次再結晶を起こさせる仕上焼鈍を施した。なお、上記仕上焼鈍は、乾水素雰囲気中で、1200℃×5時間の条件で行った。仕上焼鈍後の鋼板は、未反応の焼鈍分離剤を除去した後、50mass%のコロイダルシリカとリン酸マグネシウムからなる張力絶縁被膜を被成し、方向性電磁鋼板の製品板とした。
その際、上記製造工程の一次再結晶焼鈍の前において、冷間圧延後の鋼板表面に種々の条件で塗料を線状に塗布することで、放射率が鋼板表面とは異なる部分を形成し、二次再結晶粒の粒径および鉄損特性に及ぼす影響を調査した。なお、放射率は、熱電対を取り付けた板の放射温度計の出力を測定し、プランクの式を用いて算出した。また、鉄損は、方向性電磁鋼板のコイル長手方向中央部から、JIS C2550に従って試験片を採取し、鉄損W17/50を測定した。また、二次再結晶粒の粒径は、1m×1mのサンプル内に存在する二次再結晶粒の個数を測定し、円相等径に換算して求めた。なお、直径3mmの円に収まる微細粒は、測定個数から除外した。
Figure 0006146583
図1および図2は、線状部に放射率比が、鉄損W17/50および二次再結晶粒の粒径に及ぼす影響を示したものである。ここで、上記放射率比は、鋼板表面の放射率Aに対する線状の放射率変更部の放射率Bの比(B/A)のことをいう。これらの図から、インヒビター形成成分を含有する鋼板bでは、放射率比を変更しても鉄損はほとんど変化していないが、インヒビター形成成分を含有していない鋼板aでは、放射率比を変化させることで、鉄損が低減し、二次再結晶粒の粒径の小さくなっている。特に放射率比B/Aが1.5以上では、二次再結晶粒が顕著に細粒化し、鉄損特性も大きく改善されている。
上記のように、放射率比B/Aを変えることによって、二次再結晶粒が細粒化し、鉄損特性が改善された理由について、発明者らは、以下のように考えている。
二次再結晶粒は、圧延方向に成長しやすい傾向があるため、細粒化するためには、圧延方向へ粒成長を抑える必要がある。
ここで、放射率比B/Aが1.0未満というのは、放射率変更部の方が他の放射率非変更部より放射率が低いので、放射率変更部の温度が低下し、一次再結晶焼鈍後の放射率変更部の一次再結晶粒の粒径は、それ以外の部分と比べて小さくなる。この状態で、仕上焼鈍を施すと、一次再結晶粒の粒径が小さい放射率変更部は、粒成長の駆動力が大きいため、一次再結晶粒のまま粗大化する。そのため、その他の放射率変更部以外の部分から発生した二次再結晶粒が、放射率変更部の粗大一次再結晶粒を蚕食しようとしても、粗粒のため時間がかかる。これは、すなわち、圧延方向への成長が抑制されることを意味する。その間に、従来であれば、成長せずに蚕食されていた放射率変更部以外の部分に存在する二次再結晶粒も成長可能になるため、細粒化する。
なお、放射率比が1.0未満では、細粒化効果および鉄損改善効果が小さいのは、放射率変更部は、外部からは入熱され難いが、熱伝導によって放射率非変更部から熱が供給されるので、放射率変更部と放射率非変更部の一次再結晶粒の粒径に大きな差が生じないためであると考えられる。
一方、放射率比B/Aが1.0超えというのは、放射率変更部の方が他の放射率非変更部より放射率が高いので、放射率変更部の温度が上昇し、一次再結晶焼鈍後の放射率変更部の一次再結晶粒の粒径は、それ以外の部分と比べて大きくなる。この状態で、仕上焼鈍を施すと、一次再結晶粒の粒径が大きい放射率変更部は、サイズ効果によって一次再結晶粒のまま粒成長していく。そのため、その他の放射率変更部以外の部分から発生した二次再結晶粒が、放射率変更部の粗大一次再結晶粒を蚕食しようとしても、粗粒のため時間がかかり、やはり、圧延方向への成長が抑制される。その間に、従来であれば、成長せずに蚕食されていた放射率変更部以外の部分に存在する二次再結晶粒も成長可能になるため、細粒化する。特に放射率比B/Aが1.5以上で、細粒化効果および鉄損改善効果が大きい理由は、上記一次再結晶粒の粒径変化が大きいためであると考えられる。
また、インヒビター形成成分を含有する鋼bで、上記細粒化効果および鉄損改善効果が得られない理由は、インヒビターによる粒成長抑制力が非常に高いので、放射率の差による入熱量の変化程度では、粒径に変化が起こらないためと考えられる。これに対して、インヒビター形成成分を含有していない鋼aでは、インヒビターによる抑制力が働かないため、放射率差による小さな入熱量変化でも、敏感に一次再結晶粒の粒径に変化が生じる。
<実験2>
次に、上記<実験1>の結果に基き、インヒビターを含有しない成分系の鋼aのみを用いて、先述した一次再結晶焼鈍前に付与する放射率が異なる線状部の幅、圧延方向に直角方向(以降、「圧延直角方向」ともいう)とのずれ角、および、線状部の圧延方向の間隔(ピッチ)を種々に変更して方向性電磁鋼板を製造する実験を行い、<実験1>と同様にして、二次再結晶粒の粒径および鉄損特性に及ぼす影響を調査した。
図3および図4は、放射率比B/Aを1.8とした線状部の圧延直角方向とのずれ角を0°、圧延方向のピッチを12mmとし、線状部の幅を50〜1000μmの範囲で種々に変化させたときの鉄損W17/50および二次再結晶粒の粒径の変化を示したものである。これらの図から、上記条件範囲内では、線状部の幅によらず、すべての条件で、二次再結晶粒径は細粒化し、鉄損も低減しているが、線状部の幅が500μm超えでは、鉄損改善効果は小さくなることがわかる。この理由は、線状部の幅が広がることは、仕上焼鈍時に二次再結晶粒が蚕食しなければならない粗大な一次再結晶粒が増えることから、ある一定量になると、最終的に全ての粗大一次再結晶粒を蚕食できずに、一部が一次再結晶粒のままで残留するためであると考えられる。
また、図5および図6は、放射率比を1.6とした線状部の幅を150μm、圧延直角方向とのずれ角を5°とし、圧延方向のピッチを5〜50mmの範囲で種々に変化させたときの鉄損W17/50および二次再結晶粒の粒径の変化を示したものである。これらの図から、線状部のピッチを30mm以下とすることで、二次再結晶粒の粒径が小さくなり、鉄損特性も大きく改善されていることがわかる。線状部の間隔が30mm超えで二次再結晶粒の粒径が大きくなるのは、二次再結晶粒の成長を阻害する部分が減少し、粗大な一次再結晶粒に遭遇することなく通常の二次再結晶粒の粒成長挙動で粒成長が完了する二次再結晶粒の比率が増加するためであると考えられる。
また、図7および図8は、放射率比を2.0とした線状部の幅を200μm、圧延方向のピッチを15mmとし、圧延直角方向とのずれ角を5〜60°の範囲で種々に変化させたときの鉄損W17/50および二次再結晶粒の粒径の変化を示したものである。これらの図から、ずれ角が30°を超えると、二次再結晶粒の粒径が粗大化し、鉄損が劣化する傾向が認められた。この原因は、ずれ角が大きくなると、放射率を変更した線状部による圧延方向への二次再結晶粒の粒成長に対する抑制力が低下するためであると考えている。
以上の実験結果から、インヒビターフリー系において、放射率を鋼板表面とは変更した線状部の幅、圧延方向の間隔(ピッチ)および圧延直角方向に対するずれ角のすべてを適正範囲に制御することで、二次再結晶粒を効果的に細粒化し、より低鉄損の方向性電磁鋼板を得ることができることがわかった。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造に用いる鋼素材(スラブ)の成分組成について説明する。
C:0.08mass%以下
Cは、0.08mass%を超えて含有していると、製造過程の脱炭焼鈍で磁気時効の起こらない0.0050mass%以下まで低減することが困難になる。よって、上限は0.08mass%とする。一方、Cを含まない鋼板でも、二次再結晶は十分に可能であるので、Cの下限値は特に設ける必要はない。好ましくは0.02〜0.07mass%の範囲である。
Si:2.0〜8.0mass%
Siは、鋼の電気抵抗を高め、鉄損を低減するのに有効な元素である。しかし、2.0mass%未満では、上記効果に乏しく、一方、8.0mass%を超えると、加工性(製造性)が著しく低下し、また、磁束密度も低下する。よって、Siは2.0〜8.0mass%の範囲とする。好ましくは2.5〜4.0mass%の範囲である。
Mn:0.005〜1.0mass%
Mnは、熱間加工性を向上するために必要な元素であり、0.005mass%以上含有させる。しかし、1.0mass%を超えると、磁束密度が低下するようになる。よって、Mnは0.005〜1.0mass%の範囲とする。好ましくは0.02〜0.12mass%の範囲である。
インヒビター形成成分(Al,N,SおよびSe)
上述した<実験1>の結果から明らかなように、インヒビター形成成分を含有する成分系では、本発明の効果を得ることができない。また、インヒビター形成成分を含有していると、スラブを1400℃程度の高温に加熱することが必要となり、製造コストがアップする。そこで、本発明においては、急速加熱なしでも二次再結晶粒を細粒化するとともに、スラブ加熱温度を1200℃程度の低温とするため、インヒビター形成成分であるAl,N,SおよびSeを、Al:0.0100mass%以下、N,SおよびSe:それぞれ0.0050mass%以下に制限する。好ましくは、Al:0.0070mass%以下、N,SおよびSe:それぞれ0.0035mass%以下である。
本発明の方向性電磁鋼板の製造に用いる鋼素材(スラブ)における上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。ただし、磁気特性の向上を目的として、Ni,Sn,Sb,Cu,P,MoおよびCrのうちから選ばれる1種または2種以上を下記の範囲で含有していてもよい。
Niは、熱延板組織を改善し、磁気特性を向上するのに有用な元素であり、上記効果は0.03mass%以上の添加で発現する。一方、1.5mass%を超えると、二次再結晶が不安定となり、磁気特性が劣化する。よって、Niは0.03〜1.5mass%の範囲で含有することができる。
また、Sn,Sb,Cu,P,MoおよびCrは、いずれも、磁気特性の向上に有用な元素であるが、添加量が少なすぎると磁気特性向上効果が小さく、一方、過剰に添加すると、二次再結晶粒の発達が阻害されるので、それぞれSn:0.01〜1.50mass%、Sb:0.005〜1.5mass%、Cu:0.03〜3.0mass%、P:0.03〜0.50mass%、Mo:0.005〜0.1mass%、Cr:0.03〜1.50mass%の範囲で含有させることができる。
次に、本発明に係る方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
本発明の方向性電磁鋼板は、上記に説明した成分組成を有する鋼スラブを熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなく、あるいは、熱延板焼鈍を施した後、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍し、二次再結晶を起こさせる仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、一次再結晶焼鈍の前に、冷間圧延後の鋼板表面に線状の放射率変更部を付与する方向性電磁鋼板の製造方法である。
ここで、上記成分組成を有する鋼は、転炉や電気炉で鋼を溶解後、二次精錬する常法の精錬プロセスで溶製すればよく、特に制限はない。また、鋼スラブの製造は、従来公知の造塊−分塊圧延法や連続鋳造法で行ってもよいし、直接鋳造法で100mm以下の厚さの薄鋳片としてもよい。
上記スラブは、常法に従って加熱炉で1200℃程度以下の温度に再加熱した後、熱間圧延に供して熱延板とするが、鋳造後、再加熱することなく直ちに熱間圧延に供してもよい。なお、薄鋳片の場合には、熱間圧延してもよいし、熱間圧延を省略し、そのまま以後の工程に進めてもよい。
次いで、上記熱延板には、必要に応じて熱延板焼鈍を施すが、この焼鈍温度は、製品板のゴス組織を高度に発達させるためには、800〜1100℃の範囲とするのが好ましい。800℃未満では、熱延でのバンド組織が残留し、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しく、二次再結晶の発達が阻害される。一方、1100℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化し過ぎ、整粒の一次再結晶組織を得ることが難しくなる。
熱間圧延後あるいは熱延板焼鈍後の熱延板は、その後、中間焼鈍を挟む1回または2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とする。なお、上記冷間圧延を鋼板温度を100〜250℃に上昇させて行う温間圧延としたり、冷間圧延の途中で100〜250℃の範囲で時効処理を1回または複数回施したりすることは、ゴス組織を発達させる上で有効な手段である。
最終板厚とした冷延板は、その後、一次再結晶焼鈍、あるいは、脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施す。この際、一次再結晶焼鈍の前に、鋼板表面に線状の放射率変更部を形成する。この方法は、放射率を変えられる方法であれば、いずれの方法を用いてもよく、例えば、鋼板表面と異なる放射率の塗料を塗布する方法や、酸化膜を形成して放射率を鋼板表面と異ならせる方法等を用いることができる。なお、上記脱炭焼鈍は、一次再結晶焼鈍と兼ねて行ってもよいし、一次再結晶焼鈍と別に行ってもよい。
ここで、上記放射線変更部の、二次再結晶粒を細粒化し、鉄損を低減する効果をより効果的に発現させるためには、
1)鋼板表面の放射率Aに対する放射率変更部の放射率Bの比(B/A)を1.5以上とすること、
2)線状の放射線変更部の圧延直角方向に対するずれ角を±30°以下とすること、
3)線状の放射線変更部の幅を500μm以下とすること、および、
4)線状の放射線変更部の圧延方向の間隔(ピッチ)を30mm以下とすること、
が好ましい。
一次再結晶焼鈍を施した鋼板は、その後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布・乾燥した後、コイルに巻き取り、二次再結晶を起こさせる仕上焼鈍を施す。このとき、仕上焼鈍でフォルステライト被膜を形成させる場合には、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を用いのが好ましい。一方、フォルステライト被膜を形成させない場合は、鋼板と反応しない(鋼板表面にサブスケールを形成しない)シリカ粉末やアルミナ粉末を主成分とする焼鈍分離剤を使用するのが好ましい。
仕上焼鈍後の鋼板は、未反応の焼鈍分離剤を除去した後、必要に応じて、形状矯正のための平坦化焼鈍を施すのが好ましい。また、上記鋼板表面には、上記平坦化焼鈍において、あるいはその前後において、張力絶縁被膜を形成するのが好ましい。上記被膜の形成方法は、従来公知の方法を適用すればよく、特に限定されないが、例えば、コロイダルシリカとリン酸マグネシウムからなる張力被膜であれば、好適に用いることができる。また、CVD法やPVD法のような蒸着法を用いて窒化物、炭化物、炭窒化物からなるセラミック被膜を形成させる方法を用いてもよい。
また、さらなる鉄損低減を目的として、上記鋼板表面に、レーザーあるいはプラズマ炎等を照射する、あるいは、機械的な歪を付与する常法の磁区細分化を施してもよい。また、冷間圧延後の鋼板表面に、エッチング溝を形成して、磁区細分化を図ってもよい。
表2に示した各種成分組成を有する鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした後、該スラブを1250℃に再加熱し、熱間圧延して板厚2.0mmの熱延板とした後、該熱延板に1000℃×180秒の熱延板焼鈍を施した。次いで、1回目の冷間圧延で中間板厚0.75mmとし、PH2O/PH2:0.30の酸化性雰囲気下で、830℃×300秒の中間焼鈍を施し、塩酸酸洗して表面のサブスケールを除去した後、2回目の冷間圧延して最終板厚0.23mmの冷延板とした。
Figure 0006146583
その後、グラビアロールによって、表3に示したように、放射率の異なる塗料を種々の条件で鋼板表面に線状に塗布し、放射率変更部を形成した。
その後、PH20/PH2:0.40の酸化性雰囲気下で、均熱条件を840℃×200秒とする脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し、二次再結晶と純化を目的とした仕上焼鈍を、H雰囲気下で1250℃×30時間の条件で施した後、50mass%のコロイダルシリカとリン酸マグネシウムからなる絶縁被膜を鋼板表面に塗布し、方向性電磁鋼板の製品板とした。
Figure 0006146583
斯くして得た方向性電磁鋼板のコイル長手方向中央部から、JIS C2550に従って試験片を採取し、鉄損W17/50を測定するとともに、1mの鋼板表面における二次再結晶粒の数(ただし、直径3mmの円に収まる微細粒は、測定個数から除外)を測定し、円相当径を求め、それらの結果を表3に併記した。この結果から、本発明に適合する条件で製造した方向性電磁鋼板は、いずれも放射率変更部を形成しない鋼板より二次再結晶粒が細粒化し、良好な鉄損特性が得られている。特に、線状放射率変更部の幅、ピッチおよび圧延直角方向に対するずれ角を適正範囲に制御した鋼板では、鉄損が大きく低減していることがわかる。

Claims (3)

  1. C:0.08mass%以下、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%を含有し、インヒビター形成成分であるAlが0.0100mass%以下、N,SおよびSeがそれぞれ0.0050mass%以下で、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍を施すことなく、あるいは、熱延板焼鈍を施した後、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍し、仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、
    上記一次再結晶焼鈍の前の冷延板の表面に、圧延方向と直角な方向に対するずれ角を±30°以下、幅を500μm以下、圧延方向の間隔を30mm以下とする線状の放射率変更部を形成することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 上記線状の放射率変更部の放射率Bと放射率変更部以外の部分の放射率Aとの比(B/A)を1.5以上とすることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 上記鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、Ni:0.03〜1.5mass%、Sn:0.01〜1.50mass%、Sb:0.005〜1.50mass%、Cu:0.03〜3.0mass%、P:0.03〜0.50mass%、Mo:0.005〜0.1mass%およびCr:0.03〜1.50mass%のうちから選ばれる1種または2種類以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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