JP4857761B2 - 低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、変圧器や発電機の鉄心に利用される方向性電磁鋼板、なかでも鉄損特性に優れた方向性電磁鋼板に関するものである。
Siを含有し、かつ結晶方位が(110)[001]方位に配向した方向性電磁鋼板は、優れた軟磁気特性を有することから、商用周波数域での各種鉄心材料として広く使用されている。この種の電磁鋼板に要求される特性としては、特に鉄損(一般に50Hzの周波数で1.7Tに磁化させた時の損失であるW17/50(W/kg)で表される)が低いことが重要である。
鉄損を低減させる方法としては、渦電流損の低減に有効なSiを含有させて電気抵抗を高める方法、鋼板板厚を薄くする方法、結晶粒径を小さくする方法、およびヒステリシス損の低減に有効な結晶粒の方位を揃える方法等がある。このうちSiを含有させて電気抵抗を高める方法は、Siを過度に含有させると飽和磁束密度の低下を招き、鉄心のサイズ拡大の原因ともなるので、自ずと限界があり、また鋼板板厚を薄くする方法も極端な製造コストの増大を招くことから限界があった。
従って、鉄損低減のための技術開発は、結晶方位の集積度向上(これは、一般に800Amの磁化力における磁束密度B8(T)で表される)並びに結晶粒径の低減に注力されたが、結晶方位の集積度を向上させると必然的に結晶粒径が大きくなり、鉄損が劣化するという二律背反性が存在するため、最小の鉄損値を得るためには、最適な結晶方位集積度すなわち最適なB8値に調整する必要があった。
ところが、近年、プラズマジェット(特許文献1参照)やレーザー光(特許文献2参照)を照射して人工的に磁区幅を細分化する技術が開発され、鉄損低減のために結晶粒径を細粒化する必要性がなくなったことから、結晶方位の集積度を高めて鉄損を低減する方法が主流となってきた。
しかしながら、プラズマジェットやレーザー光による磁区細分化は、鋼板表面に線状または点状に微少な熱歪みを導入することによって磁区を細分化する手法であり、磁区細分化後に800℃程度の温度で熱処理を施すと鉄損低減効果は消失してしまう。従って、照射後800℃以上の歪み取り焼鈍を必要とする、巻鉄心用素材として用いることは出来なかった。
そこで、800℃以上の歪み取り焼鈍にも耐える磁区細分化方法として、鋼板への溝形成を行う手法が種々提案されてきた。例えば、最終仕上げ焼鈍後すなわち二次再結晶後の鋼板に局所的に溝を形成し、その反磁界効果によって磁区を細分化させる方法がある。この場合の溝形成手段としては、特許文献3に開示されている機械的な加工による方法や、特許文献4に示されているレーザー光照射等により絶縁被膜及び下地被膜を局所的に除去したのち電解エッチングする方法等がある。また、特許文献5には、歯車型ロールで圧刻後、歪取焼鈍することで溝形成および再結晶焼鈍を行い磁区細分化する方法が開示されている。さらに、特許文献6には最終冷間圧延後、最終仕上げ焼鈍を施すまでの間において、鋼板表面に局所的なエッチング処理を施すことにより、磁区細分化を施す方法が示されている。
しかしながら、これらの手法においても、溝を掘るためのコストが非常にかかる問題、溝形成により鋼板の平均断面積が減少し、磁束密度が下がってしまうという問題が発生する。このため磁区細分化のための溝間隔は、コストや磁束密度の観点から広げる必要があり、必ずしも鉄損のみでは決めることができなかった。
特開昭62−96617号公報 特公昭57−2252号公報 特公昭50−35679号公報 特開昭63−76819号公報 特公昭62−53579号公報 特公平6−57857号公報
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、歪取焼鈍後においても鉄損が劣化することなしに、安定して低い鉄損が得られる方向性電磁鋼板の製造方法について提案することを目的とする。
さて、方向性電磁鋼板は、その製造工程の最終仕上焼鈍中に二次再結晶を起こさせ、(110)[001]方位のゴス組織を得ることにより、所定の電磁特性を得ている。このゴス方位を得るためには、ゴス粒である(110)[001]方位粒と、ゴス粒が蚕食しやすい(111)[112]方位粒等とが一次再結晶焼鈍後の一次再結晶集合組織に多く含まれることが必要である。しかしながら、(110)[001]方位粒は一次再結晶焼鈍の加熱速度を速めるに従い増加するのに対し、(111)[112]方位粒は加熱速度を遅くした方が増加するといった、矛盾が存在する。そこで、更に詳細な検討を行った結果、人工的に加熱速度が速い箇所と加熱速度の遅い箇所とを作ることによって、積極的に(110)[001]方位粒の存在頻度を高めた箇所と、(111)[112]方位粒の存在頻度を高めた場所とを配置することができ、極めて鉄損の低い方向性電磁鋼板が得られることを見出した。
すなわち、(110)[001]方位粒の存在頻度が高い場所を設置することによって、二次粒の発生箇所をある程度限定し、二次粒界の間隔もある程度揃えることができ、この粒界によって磁区が細分化される。鋼板を部分的に一次再結晶焼鈍時に加熱速度を変更する方法を鋭意研究した結果、鋼板の圧延方向に対して溝を形成し、部分的に板厚を薄くしてやることが非常に有効であることを想到した。なぜなら、板厚を減じることは、同じ熱量を加えた場合により速く加熱されることを意味する。
以上の知見に基づいて、さらにこれら知見を有効に活用するために更に詳細な検討を行い、本発明を導くに到った。
本発明の要旨は、次のとおりである。
方向性電磁鋼板用の溶鋼を出発素材として、熱間圧延、冷間圧延、一次再結晶焼鈍および仕上焼鈍の一連の工程を経て方向性電磁鋼板を製造するに当り、最終冷間圧延後の鋼板表面に、エッチング処理を施して下記式(1)ないし(3)を満足する線状溝を形成した後、その後の一次再結晶焼鈍は、鋼板温度が500℃以上750℃以下の温度域における加熱速度を、線状溝以外の部分に比べて線状溝部分で速くすることを特徴とする低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法。

0.075×t<d<0.15×t ----(1)
0.5×t<L<1.5×t ----(2)
Ra(D)>Ra(R) ----(3)
ここで、t:最終冷延板板厚
d:溝深さ
L:溝幅
Ra(D):溝底部の算術平均粗さ
Ra(R):最終冷間圧延板表面の算術平均粗さ
本発明によれば、歪取焼鈍後においても鉄損が劣化することなく極めて低い鉄損が維持される方向性電磁鋼板を安定して製造することができる。
まず、本発明を由来するに至った実験結果について述べる。
方向性電磁鋼用の素材を熱間圧延次いで製品厚まで冷間圧延して得た、板厚0.23mmの最終冷延板に、エッチングレジスト剤を塗布した後、電解エッチングまたは酸洗することにより、線状溝を圧延方向とほぼ直角の方向に7mmの間隔を置いて導入し、ついでレジスト剤を除去した。この際、溝の幅および深さを種々に変化させて、どのような条件下で所期した成果が得られるかの検討を行った。かように溝形状を変化させた鋼板を、一次再結晶焼鈍に供した。この際、放射温度計を用いて、溝形成部分とそれ以外の部分における加熱速度を詳細に測定した。その後、MgOを主体とした焼鈍分離剤を塗布してから、仕上焼鈍を行った。かくして得られた鋼板からサンプルを採取し、820℃および3時間の歪取焼鈍を施した後、W17/50(1.7T,50Hzでの鉄損)値の測定を行った。
その測定結果を図1に示す様に、ある範囲で鉄損が最も低下することが判明した。すなわち、溝深さdが17μm<d<34.5μmで、かつ溝幅Lが、115μm<L<345μmの範囲である。ただし、この範囲にあっても、鉄損の低下代にバラツキが発生していた。このバラツキの原因を、先に測定していた放射温度計データを用いて解析した結果、溝形成部で加熱速度が十分に上昇していないことが判明した。すなわち、溝形状が同じであっても加熱速度が上がらない場合のあることが新たに判明したのである。
そこで、控えとして採取していた鋼板の溝を光学顕微鏡にて観察したところ、加熱速度が上がらなかった鋼板は、溝底部の凹凸がほとんど無く、冷間圧延した部分より算術平均粗さRaが低いことがわかった。すなわち、溝を形成することには、溝形成部分の加熱速度を上げて溝直下に(110)[001]方位粒を多く発生させることの狙いがあるが、溝底部分が凹凸の少ない鏡面に近づくと、放射で伝わる熱を反射してしまい同底部の加熱速度が十分に速くならないことが判明した。従って、溝底部は冷延板の表面粗さRaより荒いことが必要となる。すなわち、溝底部の算術平均粗さをRa(D)および最終冷間圧延板表面の算術平均粗さをRa(R)としたとき、次式(3)の関係にある必要がある。
Ra(D)>Ra(R) ----(3)
次に、溝の幅や深さに最適値が存在する理由は、次のとおりである。すなわち、溝の幅は広い方がより有効に(110)[001]の核を発生させることができるが、広くなりすぎることにより(111)[112]方位粒が多く存在する、溝の無い部分までの距離が長くなりすぎ、二次再結晶が起こりにくくなること、また鉄を削ることは磁束密度の低下を招いてしまうことから、溝幅には上限が存在する。一方、溝の幅が狭すぎると伝熱で有効に溝形成部の温度が上昇しない。伝熱や鉄の空隙から、板厚に応じて最適な溝幅が決定されると考えられる。また、溝の深さについても、鉄がない部分が増えることで磁束密度が低下してしまうため、深すぎることは問題である。
ところで、(110)[001]方位の存在頻度は、一次再結晶焼鈍板の表面から板厚の1/5深さ付近が高いことがよく知られており、1/5層すなわち0.2t(t:板厚)近傍まで溝を形成すると、(110)〔001〕をかえって減じてしまう結果を招くものと考えられる。
かような理由から、最適な溝深さや溝幅は、板厚によって決まるものと考え、上記した0.27mm厚の鋼板についても、溝形状と磁気特性との関係について検討を行った。この検討結果を図2に示すように、0.27mm厚材の最適値は、溝深さが20μm<d<40.5μmで、かつ溝幅が135μm<L<400μmの範囲であった。
さらに、他の0.20mm厚や0.18mm厚の鋼板についても実験し、先の0.23mm厚および0.27mm厚の鋼板との結果と併せて考察した結果、下記の範囲が最適な溝形状であることが判明した。

0.075×t<d<0.15×t ----(1)
0.5×t<L<1.5×t ----(2)
ここで、t:最終冷延板板厚
d:溝深さ
L:溝幅
なお、線状溝の幅は、例えばレジストインクの塗布幅で決定することができ、溝深さおよび溝底部の表面粗さは、例えば電界エッチングを用いる場合、電流密度、電解時間および液温で調整することができる。また、化学エッチングの場合は、Fe3Cl、NHO3、HCl、H2SO4等を用いることが適当であり、溝深さは、酸濃度、酸洗時間および液温にて調整する。溝底部の表面粗さは、前記条件と酸液の種類との兼ね合いで調整するが、鏡面になりやすいフッ酸は、使用しないことが望ましい。
集合組織は、750℃までの加熱速度で決定するため、750℃までの加熱速度が溝底部と溝の無い部分との間で差がつけば良く、750℃以上の温度ではさほど重要では無い。加熱速度が速い場合は、伝熱の影響が小さくなるために、溝の無い部分と溝形成部分との温度差がつきやすい。このため、750℃までの加熱速度は平均板温度で15℃/s以上望ましくは20℃/s以上とし、溝形状、特に溝底部と冷延板表面の表面粗さの関係を適切にした上で、加熱速度を制御することにより、溝部分と溝のない部分との加熱速度に差が付くように調整する。
なお、両者の加熱速度の差は、500〜750℃の昇温区間でつけることが望ましい。なぜなら、500〜750℃で圧延組織の回復・再結晶がおこり、このときの加熱速度の差で集合組織の差が生じるためである。
また、一次再結晶焼鈍の加熱方法は、炉に設置された電気ヒーター、ラジアントチューブまたはバーナー加熱によるのが一般的であるが、鋼板の電気抵抗を用いた加熱方法、すなわち誘導加熱や直接通電加熱を用いても良い。とりわけ、溝形成部は、断面積が少ないため電気抵抗が高く、加熱速度も放射による加熱と同様に速くなる。
ちなみに、一次再結晶焼鈍は、脱炭焼鈍を兼ねるのが一般的であるが、一次再結晶焼鈍後の仕上焼鈍や平坦化焼鈍で脱炭を行っても良い。また、一次再結晶焼鈍の後半において、鋼板に窒化を施して抑制力を強くする方法にも適用することができる。
以下、本発明の構成要件の限定理由を説明する。
まず、本発明で対象とする方向性電磁鋼板の好適成分組成範囲について述べる。
Cは、熱間圧延および冷間圧延中の組織の均一微細化のみならず、ゴス方位粒の発達に有用な成分であり、0.015mass%以上で含有することが好ましい。しかしながら、0.1mass%を超えて含有するとかえってゴス方位にずれを生じ、また脱炭も困難となる為、0.1mass%以下とする。
Siは、電気抵抗を高めて鉄損を向上するのに有効に寄与する元素であり、含有量が2.5mass%に満たないと十分な鉄損低減効果が得られないため、2.5mass%以上で含有することが好ましい。一方、7mass%を超えると加工性が劣化するため、7mass%を上限とすることが好ましい。
その他の成分については、特に制限はなく、従来の方向性電磁鋼板に使用されてきた成分のいずれもが有利に適合する。例えば、以下の成分組成が推奨される。
すなわち、Mn:0.02〜0.2mass%を含有し、必要に応じて、Se:0.001〜0.03mass%、Sb:0.01〜0.08mass%、Al:0.001〜0.04mass%、N:0.001〜0.012mass%、S:0.001〜0.03mass%、Cu:0.05〜0.2mass%、Sn:0.005〜0.4mass%、Cr:0.02〜0.08mass%、Mo:0.01〜0.1mass%、P:0.01〜0.03mass%およびBi:0.001〜0.04mass%のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成である。
上記の成分組成を有する鋼スラブを、熱間圧延、そして熱延板焼鈍を施した後、最終冷間圧延を施して最終板厚に仕上げる。これらについては公知の方法でよい。ついで、前述の条件で、一次再結晶焼鈍を行い、その後、二次再結晶焼鈍及び純化焼鈍を行う。
C:0.065 mass%、Si:3.1 mass%、Mn:0.082 mass%、S:0.026 mass%、Al:0.029 mass%、Sn:0.08 mass%、Cr:0.05 mass%、Cu:0.10 mass%およびN:0.0085 mass%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる珪素鋼スラブを、1460℃で10min加熱した後、熱間圧延により母板厚2.4mmとし、1170℃で2minの母板焼鈍を施した後、30℃/sで急冷した。この後、冷間圧延により1.8mm厚まで圧延し、1100℃で1minの中間焼鈍後40℃/sで急冷したのち、冷間圧延によって0.27 mm厚の最終板厚まで圧延した。
かかる圧延コイルを10個用意し、表1に示す溝形状になるようにグラビアオフセット印刷にてレジスト剤を塗布後、電解エッチングを行った。その後、レジスト剤を除去し、一次再結晶焼鈍を行った。このときの一次再結晶焼鈍の条件は、750℃までの鋼板の平均加熱速度を23℃/sとし、750℃超から840℃までは10℃/sとし、840℃で2min保持した。なお、焼鈍雰囲気は、露点60℃、H2濃度60%−N2濃度40%とした。この際、溝形成部と溝底部と圧延板表面との粗度の差によって、溝形成部とそれ以外の部分の加熱速度との間に差を設けた。
引き続いて、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、H2雰囲気中で1180℃、15時間の最終仕上焼鈍を行ったのち平坦化焼鈍を行った。これらのコイルからサンプルを切り出して磁気測定を行った。この測定結果を表2に示す。
同表に示したように、本発明に従うことにより、工業的に安定した低鉄損の方向性電磁鋼板が得られている。
Figure 0004857761
Figure 0004857761
C:0.045 mass%、Si:3.4 mass%、Mn:0.082 mass%、S:0.016 mass%、Al:0.022 mass%、Sb:0.022 mass%、Cr:0.02 mass%、Cu:0.10 mass%およびN:0.0075 mass%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる珪素鋼スラブを、1360℃、20min加熱した後熱間圧延により母板厚1.8mmとし、1140℃で1minの母板焼鈍を施した後、50℃/sで急冷した。この後、冷間圧延により0.23mmの最終板厚まで圧延した。
かかる圧延コイルを10個用意し、表3に示す溝形状になるようにグラビアオフセット印刷にてレジスト剤を塗布後、電解エッチングを行った。その後レジスト剤を除去し、一次再結晶焼鈍を行った。このときの一次再結晶焼鈍の条件は、750℃までの鋼板の平均加熱速度を、通電加熱によって55℃/sと急速度とし、750℃超から820℃までは12℃/sとし、820℃で2min保持した。このときの焼鈍雰囲気は、露点58℃、H2濃度60%−N2濃度40%とした。この際、溝形成部と溝底部と圧延板表面との粗度の差によって、溝形成部とそれ以外の部分の加熱速度との間に差を設けた。
引き続いて、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、H2雰囲気中で1200℃で8時間の最終仕上焼鈍を行ったのち平坦化焼鈍を行った。これらのコイルからサンプルを切り出し、磁気測定を行った。この測定結果を表4に示す。
同表に示したように、本発明に従うことにより、工業的に安定した低鉄損の方向性電磁鋼板が得られている。
Figure 0004857761
Figure 0004857761
C:0.035 mass%、Si:3.2 mass%、Mn:0.105 mass%、S:0.006 mass%、Al:0.022 mass%、Sn:0.022 mass%、Cr:0.10 mass%、Cu:0.10 mass%およびN:0.0025 mass%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる珪素鋼スラブを、1240℃で20min加熱した後、熱間圧延により母板厚2.2mmとし、1120℃で1minの母板焼鈍を施した後、50℃/sで急冷した。この後、冷間圧延により0.23mmの最終板厚まで圧延した。
かかる圧延コイルを10個用意し、表5に示す溝形状になるようにグラビアオフセット印刷にてレジスト剤を塗布後、電解エッチングを行った。その後レジストを除去し、一次再結晶焼鈍を行った。このときの一次再結晶焼鈍の条件は、750℃までの鋼板の平均加熱速度を35℃/sとし、750℃超から850℃までは8℃/sとし、850℃で2min保持した。このときの焼鈍雰囲気は、露点58℃、H2濃度60%−N2濃度40%とした。この際、溝形成部と溝底部と圧延板表面との粗度の差によって、溝形成部とそれ以外の部分の加熱速度との間に差を設けた。
引き続いて、抑制力を強化する目的で、アンモニア窒化を行い鋼中窒素量を0.0090%とし、更にMgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した。H2雰囲気中で1165℃,17hrの最終仕上焼鈍を行ったのち平坦化焼鈍を行った。これらのコイルからサンプルを切り出し、磁気測定を行った。この測定結果を表6に示す。
同表に示したように、本発明に従うことにより、工業的に安定した低鉄損の方向性電磁鋼板が得られている。
Figure 0004857761
Figure 0004857761
0.23mm製品厚の鋼板の溝形状と製品の鉄損(W17/50)との関係を示すグラフである。 0.27mm製品厚の鋼板の溝形状と製品の鉄損(W17/50)との関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 方向性電磁鋼板用の溶鋼を出発素材として、熱間圧延、冷間圧延、一次再結晶焼鈍および仕上焼鈍の一連の工程を経て方向性電磁鋼板を製造するに当り、前記一次再結晶焼鈍における、鋼板温度が500℃以上750℃以下の温度域における加熱速度を、線状溝以外の部分に比べて線状溝部分で速くする際に、前記一次再結晶焼鈍に先立つ最終冷間圧延後の鋼板表面に、エッチング処理を施して下記式(1)ないし(3)を満足する線状溝を形成するとともに、前記一次再結晶焼鈍における750℃までの加熱速度を、平均板温度で15℃/s以上とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。

    0.075×t<d<0.15×t ----(1)
    0.5×t<L<1.5×t ----(2)
    Ra(D)>Ra(R) ----(3)
    ここで、t:最終冷延板板厚
    d:溝深さ
    L:溝幅
    Ra(D):溝底部の算術平均粗さ
    Ra(R):最終冷間圧延板表面の算術平均粗さ
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