JP7028215B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は、変圧器や発電機の鉄心材料として用いられる軟磁性材料であり、鉄の磁化容易軸である{110}<001>方位(Goss方位)が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組織を有する、磁気特性に優れた鋼板である。
一般に、方向性電磁鋼板の鉄損特性は、製品の結晶粒径が小さいほど低減されることが知られている。そして、製品の結晶粒径は、一次再結晶板の時点での結晶方位がGoss方位へ強く集積するほど、小さくなることが知られている。
Goss方位への集積を高める方法としては、例えば特許文献1には、冷間圧延中の冷延板を低温で熱処理し、時効処理を施す方法が開示されている。また、特許文献2には、熱延板焼鈍または最終冷間圧延前の中間焼鈍時の冷却速度を30℃/s以上とし、さらに、最終冷間圧延中に、板温150~300℃で2分間以上のパス間時効を2回以上行う技術が開示されている。さらに、特許文献3等には、圧延中の鋼板温度を高めて温間圧延することにより、圧延時に導入された転位を直ちにCやNで固着させる動的歪時効を利用する技術が開示されている。
これら特許文献1~3に記載された技術は、いずれも圧延中あるいは圧延のパス間で鋼板温度を適正温度に保持することによって、固溶元素である炭素(C)や窒素(N)を低温で拡散させ、冷間圧延で導入された転位を固着して、それ以降の圧延での転位の移動を妨げ、剪断変形をより起こさせて、圧延集合組織を改善しようとするものである。これらの技術の適用によって、一次再結晶板の時点でGoss方位種結晶が数多く形成される。二次再結晶時にそれらのGoss方位種結晶が粒成長することにより、二次再結晶後の結晶粒径を微細化させることが可能となる。
また、上記歪時効の効果を更に高める技術として、特許文献4では冷間圧延工程の最終冷間圧延の直前に、熱処理を行い、鋼中に微細カーバイドを析出させておき、この最終圧延を前半部と後半部の二つに分け、前半部では圧下率30~75%の範囲で140℃以下の低温にて、後半部では少なくとも2回の圧下パスを150~300℃の高温にて、かつ前半部、後半部を合わせた総圧下率80~95%で圧延を行うことで、安定してゴス方位に高度に集積した材料を得られる技術が開示されている。
また、さらなる集合組織の制御技術として、特許文献5には、中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延工程のうち1回目の冷間圧延を1パス以上で、総圧下率を25%~50%として行い、かつ、最初の噛込温度を100℃以下として行い、2回目の冷間圧延は、2パス以上で、総圧下率を80%~95%として行い、さらに、少なくとも1パス間で200℃~300℃の温度でパス間時効を行うことで集合組織を改善し、磁気特性に優れた材料を得る技術が開示されている。
特開昭50-016610号公報 特開平08-253816号公報 特開平01-215925号公報 特開平09-157745号公報 特開2013-139629号公報
しかしながら、以上のような先行技術をもってしてもコイル長手方向での鉄損がばらつくという課題が残存していた。
そこで、本発明の目的は上記従来技術が抱える問題点を解決し、コイル長手方向における鉄損のばらつきを解消する新規な方向性電磁鋼板の製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記鉄損のコイル長手方向におけるばらつきの原因について検討を重ねた。その結果、中間焼鈍後の再結晶粒径がコイル長手方向でばらつくことにより、次工程の2回目の冷間圧延におけるゴス方位の再結晶核形成頻度がコイル長手方向で変化し、その結果、二次再結晶後の結晶粒径がコイル長手方向でばらつくことが、鉄損のばらつきにつながることを見出した。なお、中間焼鈍後の再結晶粒径のばらつきの原因は明確にはなっていないが、熱間圧延時に発生するコイル先尾端の非定常部がインヒビターもしくは材料の組織に与える影響が要因となっている、と考えられる。
次に、発明者らは、中間焼鈍後の再結晶粒径のばらつきを緩和させる方法について検討した。その結果、1回目の冷間圧延のワークロールの粗度を低下すると、中間焼鈍後の再結晶粒径がコイル全長にわたって粗大化し、粒径のばらつきが緩和されることを見出した。以下に、この発明を導くに至った実験について説明する。なお、以下では、ワークロールを単にロールとも示す。
質量%で、C:0.050%、Si:3.4%およびMn:0.05%を含有し、SおよびSeをそれぞれ0.007%、Nを0.007%、Alを0.020%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを1350℃に加熱後、熱間圧延して板厚2.4mmとした。その後、900℃で60秒の熱延板焼鈍を施してから酸洗し、表1に示す条件に従う1回目の冷間圧延を全4スタンドの圧延機によって行った。すなわち、条件No.1~8については、表1に示す表面粗さのロールを4スタンド中の全スタンドに適用して板厚1.5mmまで300m/minにて冷間圧延を行った。残りの条件No.9および10については、それぞれ表1に示す表面粗さのロールを1スタンド目、4スタンド目に適用し、残りのスタンドにはRa0.3μmの表面粗さのロールを適用して、同様に、板厚1.5mmまで300m/minにて冷間圧延を行った。その後、1000℃で120秒の中間焼鈍を施したのち6パスの2回目の冷間圧延により0.23mm厚の最終冷延板とした。このとき4パス目と5パス目との間で250℃の温度でパス間時効を行った。なお、2回目の冷間圧延にはRa0.3μmの表面粗さのロールを適用した。
上記冷延板は、その後、均熱温度を840℃、均熱時間を100秒とする脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施してから、鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、仕上焼鈍を施して二次再結晶させ、次いで、上記二次再結晶焼鈍後の鋼板表面に、リン酸塩-クロム酸塩-コロイダルシリカを重量比3:1:2で含有する塗布液を塗布し、800℃×30秒の平坦化焼鈍を施し、製品コイルとした。得られた製品板の鉄損を熱延コイルの先端、中央および尾端に相当する部分においてそれぞれ3回測定し、得られた鉄損の平均値と標準偏差を表1に併記する。
Figure 0007028215000001
表1における磁気特性の結果を考察するため、表1の各条件における中間焼鈍後の鋼板の表面から板厚の1/10の深さの位置(板厚1/10層)における、平均結晶粒径および、一次再結晶後のゴス方位強度をそれぞれ測定した。ゴス方位強度は、板厚1/10層まで研磨して減厚したサンプルを10%硝酸で30秒間エッチングし、X線シュルツ法にて(110)、(200)、(211)面を測定し、そのデータからODF(Orientation Distribution Function)解析を行い、各結晶方位の強度を算出して求めた。なお、解析には、ResMat社のソフトウェアTextoolsを用い、ADC(Arbitrarily Defined Cell)法で算出した。上記測定結果のうち、中間焼鈍後の結晶粒径および一次再結晶後のゴス方位強度を表1に示す。
表1より、粗度の低いロールで圧延を施した条件では中間焼鈍終了後に結晶粒径が粗大化しており、同時に、一次再結晶後のゴス方位強度が高くなり、良好な製品板鉄損が得られることがわかる。
上記実験で磁気特性が改善されたメカニズムは以下であると考えられる。まず、表面粗さの低いロールで圧延すると中間焼鈍終了後の結晶粒が粗大化する原因としては、表面粗さの低いロールで低摩擦圧延することにより圧延時に導入される剪断ひずみが抑えられ、再結晶核生成サイトとなる変形帯や剪断帯の形成が阻害されるため、再結晶核の数が減少する結果、中間焼鈍後の再結晶粒径が粗大化したものと考えられる。かように、中間焼鈍後の再結晶粒径が粗大化した場合、中間焼鈍後の圧延における、一つの結晶粒当たりに働く応力が大きくなる。その結果、結晶粒内に剪断帯が導入されやすくなり、ゴス方位種結晶が増加し、良好な磁気特性が得られたと考えられる。
以上の知見を基に、さらに検討を行って本発明を完成させるに到った。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0~8.0%、Mn:0.005~0.500%、Al:0.010~0.065%およびN:0.005~0.012%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有する鋼スラブに、熱間圧延を施して熱延板とし、該熱延板に中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚の冷延板とし、ついで該冷延板に脱炭焼鈍を施して脱炭焼鈍板としたのち、二次再結晶焼鈍を施す一連の工程よりなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
前記1回目の冷間圧延の少なくとも1パスは、表面粗さがRa0.15μm以下のワークロールを用いて行う方向性電磁鋼板の製造方法。
2.前記1回目の冷間圧延の少なくとも1パスは、該パスの出側での圧延速度を400m/min以上として行う前記1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
3.前記鋼スラブは、さらに質量%で、
S:0.005~0.03%および/またはSe:0.005~0.03%を含有する前記1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
4.前記鋼スラブは、さらに質量%で、
Sb:0.005~0.50%、
Cu:0.01~1.50%、
P:0.005~0.50%、
Cr:0.01~1.50%
Ni:0.005~1.50%、
Sn:0.01~0.50%、
Nb:0.0005~0.0100%、
Mo:0.01~0.50%、
B:0.0010%~0.007%および
Bi:0.0005~0.05%
のうちから選んだ少なくとも1種を含有する前記1から3のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、インヒビター成分を含有し、冷間圧延工程の間に中間焼鈍工程を有する方向性電磁鋼板の製造過程において、1回目の冷間圧延工程は低粗度ロールを用いて行うことにより、一次再結晶ゴス方位強度のばらつきを低減させることができ、従来にも増して鉄損特性に優れ、かつコイル長手方向における鉄損ばらつきの少ない方向性電磁鋼板を安定して製造することが可能となる。
本発明は、従来以上の集合組織改善効果が得られる冷間圧延技術を提供しようとするものである。従って、本発明の方向性電磁鋼板の製造に用いる鋼スラブ(鋼素材)は、従来公知の方法で製造されたものであれば、特に制限はない。例えば、転炉や電気炉等で得た溶鋼を真空脱ガス等の二次精錬を経て所望の成分組成とする通常公知の精錬プロセスで鋼を溶製し、その後、連続鋳造法あるいは造塊-分塊圧延法で鋼スラブとする方法である。
また、鋼スラブが有する成分組成についても、方向性電磁鋼板の製造に適したものであれば、基本的に特に制限はないが、優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板を得るためには、基本成分としてC、SiおよびMnを、質量%で下記の範囲で含有することが必要である。
C:0.08%以下
Cは、一次再結晶集合組織改善のために必要な元素であるが、Cが0.08%を超えると、脱炭焼鈍で、磁気時効の起こらない0.0050%以下に低減することが困難になる。よって、Cは0.08%以下の範囲とする。しかし、Cが0.01%未満ではスラブ加熱時に組織が粗大化し、以後の工程での再結晶が起こり難くなるため、好ましくは、0.01%以上とする。
Si:2.0~8.0%
Siは、鋼の電気抵抗を高め、鉄損を改善するのに有効な元素であるが、含有量が8.0%を超えると、加工性が著しく低下するため、圧延して製造することが難しくなる。よって、Siは8.0%以下の範囲である。また、2.0%未満では、十分な鉄損低減効果が得難くなるため、2.0~8.0%の範囲とする。好ましくは、2.5~4.5%である。
Mn:0.005~0.5%
Mnは、熱間加工性を改善するために必要な元素であり、0.005%以上で添加する。一方、含有量が0.5%を超えると、一次再結晶集合組織が劣化し、Goss方位が高度に集積した二次再結晶粒が得難くなる。よって、Mnは0.5%以下とする。より好ましくは、0.01~0.4%の範囲とする。
次に、二次再結晶に必要なインヒビター成分として、Al:0.010~0.065%およびN:0.005~0.012%を含有させる。これらの成分が下限に満たないと所期したインヒビター効果が得られず、上限を超えると析出物の分散状態が不均一化し、やはり効果が得られないので、上記の範囲で含有させる。
AlNに加えて、硫化物(MnS,CuS等)やセレン化物(MnSe、CuSe等)を用いる場合、それぞれS:0.005~0.03%、Se:0.005~0.03%を含有させる。硫化物、セレン化物は複合して使用してもよい。Al、Nの範囲同様、S、Seともにインヒビターとして用いるため、上記範囲未満では効果が十分ではなく、範囲を超えると分散が不均一化し、効果が得られない。
また、本発明の方向性電磁鋼板は、磁気特性改善を目的として、上記成分組成に加えてさらに、質量%でSb:0.005~0.50%、Cu:0.01~1.50%、P:0.005~0.50%およびCr0.01~1.50%のいずれか少なくとも1種以上を含有してもよい。
Sb,Cu,Pは、磁気特性の向上に有用な元素であるが、いずれも上記下限値未満では磁気特性向上効果が小さく、一方、上記した各上限値を超えると、二次再結晶粒の発達が阻害されるようになるため、それぞれ上記範囲で含有させることが好ましい。
同様に、Crも磁気特性改善に有効な元素であるので、必要に応じて0.01~1.50%の範囲で含有させても良い。但し、上記の上限値を超えると二次再結晶粒の発達が阻害されるため、上記範囲で含有させることが好ましい。
さらに、本発明の方向性電磁鋼板は、磁気特性改善を目的として、上記成分組成に加えてさらに、質量%でNi:0.0005~1.50%、Sn:0.01~0.50%、Nb:0.0005~0.010%、Mo:0.01~0.50%、B:0.001~0.007%およびBi:0.0005~0.05%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有させてもよい。
Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させるのに有用な元素である。しかし、0.0005%未満では上記効果が小さく、一方1.50%を超えると二次再結晶が不安定となり磁気特性が劣化する。
また、Sn、Nb、Mo、BおよびBiは、磁気特性の向上に有用な元素であるが、いずれも上記下限値未満では磁気特性向上効果が小さく、一方、上記した各上限値を超えると、二次再結晶粒の発達が阻害されるようになるため、それぞれ上記範囲で含有させることが好ましい。
なお、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
上記の好適成分組成範囲に調整した鋼スラブを、再加熱することなくあるいは再加熱したのち、熱間圧延に供する。なお、スラブを再加熱する場合には、再加熱温度は1200℃以上とすることが望ましい。再加熱する場合の目的はインヒビター成分の完全固溶であるため、Alを0.01%以上含む系では、少なくとも1200℃以上の加熱が必要になる。1200℃未満では、目的であるインヒビター成分の完全固溶を達成できない。上限は特に制限しないが、1450℃を超える温度では、鋼の融点に近くスラブの形状を保てないため好ましくない。
なお、熱間圧延条件については特に制限はなく、通常公知の方法で施せば良い。
また、上記熱延鋼板は、必要に応じて熱延板焼鈍を施したものであってもよい。熱延板焼鈍を施す場合は、その焼鈍条件も通常公知の条件で施せば良く、特に制限はない。
次いで、上記熱延鋼板に、必要に応じて酸洗等の脱スケールを行った後、中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施す。まず、1回目の冷間圧延は、表面粗さRaが0.15μm以下のワークロールを用いて行うことが必要である。なお、圧延機は、表面粗さRaが0.15μm以下のワークロールを用いるのであれば、リバース圧延機およびタンデム圧延機のいずれを用いても良い。
本発明は、上記1回目の冷間圧延で剪断ひずみの導入を低減し、中間焼鈍での再結晶粒を粗大化させ、一次再結晶後の集合組織制御効果を高める技術である。したがって、上記した表1に示したとおり、中間焼鈍以前の冷間圧延では剪断ひずみの導入を抑制するため、表面粗さRaが0.15μm以下のロールで圧延する必要がある。すなわち、1回目の冷間圧延を複数パスで行う場合は、少なくとも1パスを表面粗さがRa0.15μm以下のワークロールを用いて行う必要がある。好ましくは、全てのパスでRa0.15μm以下のワークロールを用いるのが良い。
また、ひずみ速度上昇による単一すべり誘発も中間焼鈍後の再結晶粒径粗大化に有効である。上記効果を発現するためには、1回目の冷間圧延の少なくとも1パスは当該パスの出側での圧延速度を400m/min以上にすることが望ましい。好ましくは600m/min以上あればよい。ただし、1200m/minを超えると変形双晶が多く発生し、圧延時の破断の原因となるので、好ましくは600m/min~1200m/minの範囲である。より好ましくは、全てのパスでRa0.15μm以下のワークロールを用いるのが良い。なお、前記圧延速度の規定は、最も圧延速度が大きいパスでの速度とする。
上記1回目の冷間圧延後、中間焼鈍を施すが、この焼鈍条件は通常公知の方法に従えばよく、特に制限はない。好ましくは、800℃~1200℃の範囲で3秒以上180秒以下にて均熱すればよい。
中間焼鈍後、最終板厚に仕上げる2回目の冷間圧延を施すが、この条件は通常公知の方法に従えばよく、特に制限はない。好ましくは、少なくとも1パス間で200~300℃の温度でのパス間時効を行うか、もしくは、少なくとも1パスで200℃以上の温度での温間圧延を行うことがよい。パス間時効および温間圧延は全パスの後段で行うことがさらに好ましい。なお、ロールの表面粗さについても特に制限する必要はないが、冷延板における剪断帯を増やすためには表面粗さの粗いロールを用いることが望ましい。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法においては、上述した条件で最終2回目の冷間圧延した冷延鋼板を、脱炭焼鈍し、次いで、二次再結晶焼鈍し、さらに必要に応じて通常公知の絶縁被膜を被成し、製品(方向性電磁鋼板)とするのが好ましい。
上記脱炭焼鈍は、一般的に一次再結晶焼鈍を兼ねることが多く、その条件は通常公知の条件で行えばよい。例えば、温水素雰囲気中で800℃×2分の焼鈍条件などが好ましく適合する。
脱炭焼鈍を施した鋼板は、その後、鋼板表面に焼鈍分離材を塗布した後、二次再結晶させる仕上焼鈍を施す。上記焼鈍分離材としては、従来公知のものを用いることができ、たとえば、MgOを主成分とし、必要に応じて、TiOなどを添加したものや、SiOやAlを主成分としたものを用いることができる。
上記仕上焼鈍後の鋼板は、その後、鋼板表面に絶縁被膜を塗布し焼き付けた後、必要に応じて、平坦化焼鈍して鋼板形状を整えるのが好ましい。なお、上記絶縁被膜の種類については、特に制限はないが、鋼板表面に引張張力を付与する絶縁被膜を形成する場合には、特開50-79442号公報や、特開昭48-39338号公報、特開昭56-75579等に記載されているリン酸塩―コロイダルシリカを含有する塗布液を用いて、800℃程度で焼き付けるのが好ましい。
質量%で、C:0.06%、Si:3.4%、Mn:0.06%、sol.Al:0.025%、N:0.009%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを1400℃、30分加熱後、熱間圧延して板厚2.4mmの熱延板とした。次いで、1000℃×60秒の熱延板焼鈍を施した後、1回目の冷間圧延を施し、冷延板とした。このとき、表2に示すように、1回目の冷間圧延における圧延ロールの表面粗さおよび圧延速度を変化させ、2回目の冷間圧延の条件は全ての事例で一定にした。表2における圧延ロール表面粗さと圧延速度は特に断りが無い場合、全パスにおけるものとする。」
次いで、1100℃×80秒の中間焼鈍を施してから、2回目の冷間圧延により最終板厚0.23mmの冷延板とした。この2回目の冷間圧延の全6パスのうち4パス目と5パス目との間で270℃の温度でパス間時効を行った。
上記冷延板は、その後、均熱温度を840℃、均熱時間を100秒とする脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施してから、鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、仕上焼鈍を施して二次再結晶させ、次いで、上記二次再結晶焼鈍後の鋼板表面に、リン酸塩-クロム酸塩-コロイダルシリカを重量比3:1:2で含有する塗布液を塗布し、800℃×30秒の平坦化焼鈍を施し、製品コイルとした。かくして得られた製品板の鉄損を熱延コイルの先端、中央、尾端に相当する部分においてそれぞれ3回測定した。得られた鉄損の平均値および標準偏差を表2に併記する。ここでは、標準偏差が0.015W/kg以下であれば、コイル長手方向の鉄損のばらつきはないと判断している。
Figure 0007028215000002
表3に示す組成で含有する鋼を溶製し、鋼スラブとし、実施例1と同様に加熱、熱間圧延、熱延板焼鈍を施したのち、表面粗さRaが0.11μmのロールを用いて1回目の冷間圧延の全パスを800m/minにて行って、板厚1.7mmの冷延板とした。その後、実施例1と同じ方法で中間焼鈍を施し、次いで、2回目の冷間圧延を施し、最終板厚0.23mmの冷延板とした。この2回目の冷間圧延の全7パスのうちの5パス目と6パス目との間で230℃の温度でパス間時効を行った。
その後、実施例1と同じ条件で、脱炭を兼ねた一次再結晶を施した後、鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、仕上焼鈍を施して二次再結晶させ、次いで、上記二次再結晶焼鈍後の鋼板表面に、リン酸塩-クロム酸塩-コロイダルシリカを重量比3:1:2で含有する塗布液を塗布し、800℃×30秒の平坦化焼鈍を施し、製品コイルとした。その後、製品板鉄損を熱延コイルの先端、中央、尾端に相当する部分においてそれぞれ3回測定した。得られた鉄損の平均値と標準偏差を表3に併記する。同表に示すように、本発明鋼はばらつきを含めた良好な磁気特性を示している。
Figure 0007028215000003

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0~8.0%、Mn:0.005~0.500%、Al:0.010~0.065%およびN:0.005~0.012%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有する鋼スラブに、熱間圧延を施して熱延板とし、該熱延板に中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚の冷延板とし、ついで該冷延板に脱炭焼鈍を施して脱炭焼鈍板としたのち、二次再結晶焼鈍を施す一連の工程よりなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    前記1回目の冷間圧延の少なくとも1パスは、表面粗さがRa0.15μm以下のワークロールを用いて行う方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記1回目の冷間圧延の少なくとも1パスは、該パスの出側での圧延速度を400m/min以上として行う請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記鋼スラブは、さらに質量%で、
    S:0.005~0.03%および/またはSe:0.005~0.03%を含有する請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 前記鋼スラブは、さらに質量%で、
    Sb:0.005~0.50%、
    Cu:0.01~1.50%、
    P:0.005~0.50%、
    Cr:0.01~1.50%
    Ni:0.005~1.50%、
    Sn:0.01~0.50%、
    Nb:0.0005~0.0100%、
    Mo:0.01~0.50%、
    B:0.0010%~0.007%および
    Bi:0.0005~0.05%
    のうちから選んだ少なくとも1種を含有する請求項1から3のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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