以下、本発明の窓ユニットを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の窓ユニット(第1実施形態)が装着された工作機械の一例を示す斜視図、図2は、図1中のA−A線断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1および図2中(図3〜図6についても同様)の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。また、図2中(図3、図5についても同様)の右側を「内側」、左側を「外側」と言う。また、図2中(図3、図5についても同様)では、第1の基板および第2の基板に関して、それぞれ、その厚さ方向を強調して描いている。
図1に示す工作機械は、NC加工で機械加工を自動的に行なうことができ、そして、その機械加工に応じて、工具と(母材)とを自動的に交換可能なマシニングセンタ10である。このマシニングセンタ10は、加工対象物に対して実際に機械加工を行なう構造体101と、構造体101全体を覆う外装102と、構造体101の作動を操作、制御する操作パネル103とを有している。
図2に示すように、構造体101は、本実施形態では、旋削、すなわち、ターニング(外丸削り)を行なう旋盤を一例として挙げている。旋盤である構造体101は、加工対象物である円柱体20を把持してその軸回りに回転する回転機構部(図示せず)と、バイト104とを有している。なお、マシニングセンタ10であるため、構造体101は、旋盤としての機能を有するのに限定されず、その他、例えば、ボール盤、中ぐり盤、フライス盤、歯切り盤、研削盤としての機能も有している。
外装102は、金属板で構成され、マシニングセンタ10の骨格を構成するフレーム(図示せず)に例えばボルトを介して固定されている。これにより、構造体101で機械加工が行なわれる加工領域S1と、マシニングセンタ10を操作する操作者が立ち入り可能な操作領域S2とを確実に仕切ることができる。よって、操作者に対する安全性を確保することができる。
操作パネル103は、各種の機械加工を施すためのプログラムが予め記憶された制御部105と、プログラムを呼び出す等の操作を行なう液晶パネル106や操作ボタン107を有している。
ところで、図2に示すように、旋削を行なっている最中には、バイト104が例えば金属疲労によって寿命に達して破断した破片104’や、加工時に生じる円柱体20からの多数の切りくず201、加工を円滑に行なうための潤滑油30が液滴や霧状(オイルミスト)となったもの等が飛翔物40として加工領域S1内を飛散する(飛翔する)ことがある。この場合、飛翔物40は、その飛散の程度によっては外装102に内側から衝突して、それ以上の飛散が確実に防止される。これにより、飛翔物40が操作領域S2にまで飛散して侵入するのが防止される。よって、操作者は、飛翔物40で怪我を負ったり、汚れてしまうのが防止される。
なお、飛翔物40としては、破片104’、切りくず201、潤滑油30の他に、バイト104を固定するボルト等の固定部材(治具)等も含まれることがある。
さて、図2に示すように、マシニングセンタ10は、外装102に装着され、その状態で当該外装102の一部を構成する窓ユニット(工作機械用窓)1を有している。窓ユニット1は、マシニングセンタ10の内部、すなわち、加工領域S1を視認したり、操作領域S2にある例えば蛍光灯からの光を加工領域S1に採り込んで視認性を向上させたりするのに用いられる。このように窓ユニット1は、視認用窓としての機能と、採光用窓としての機能とを有している。
窓ユニット1は、第1の基板2aと、第2の基板2bと、第1のパッキン3aと、第2のパッキン3bと、枠体(窓枠)4とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
第1の基板2aと第2の基板2bとは、中間層5を介して互いに対向しており、第1の基板2aが内側、第2の基板2bが外側となるように配置されている。そして、この配置状態で各基板が枠体4に一括して支持されている。上記中間層5は、接着剤層、基材層、空気層などが挙げられ、空気層、接着剤層が好ましい。接着剤層は、第1の基板2aと第2の基板2bを接着させるものであれば特に限定されるものではなく、透明性が確保できるものあればよい。基材としては、樹脂基材が挙げられる。空気層とは、空気のみが含有されたものではなく、空気以外の気体が入っていてもよい。空気以外の気体としては、不活性ガスなどが挙げられる。
第1の基板2aと第2の基板2bとは、いずれも透明性を有する透明基板であり、構成が同じであるため、第1の基板2aについて代表的に説明する。なお、「透明」には、無色透明と有色透明とが含まれ、マシニングセンタ10では、無色透明が好ましい。
第1の基板2aは、その平面視で長方形をなし、板部材21とハードコート層22とを備える積層体である。
板部材21は、ポリカーボネート系樹脂で構成されている。これにより、板部材21は、透明性に優れるとともに、破片104’等に対する耐衝撃性に優れたものとなる。なお、板部材21の厚さt1は、一定であるのが好ましい。
ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ビスフェノールと、ホスゲンまたはジフェニルカーボネートとがカーボネート結合されている芳香族系ポリカーボネート樹脂を用いることができる。この芳香族系ポリカーボネート樹脂は、一般に、界面重縮合や、エステル交換反応などで合成される。
ビスフェノールとしては、ビスフェノールAや、式(1)に示すビスフェノール(変性ビスフェノール)等が挙げられる。
(式中、Xは、炭素数1〜18のアルキル基、芳香族基、および環状脂肪族基から選ばれるものであり、Ra、Rbは、炭素数1〜12のアルキル基であり、m、nはそれぞれ0〜4である。)
式(1)に示すビスフェノールとしては、具体的には、例えば4,4’−(ペンタン−2,2−ジイル)ジフェノール、4,4’−(ペンタン−3,3−ジイル)ジフェノール、4,4’−(ブタン−2,2−ジイル)ジフェノール、1,1’−(シクロヘキサンジイル)ジフェノール、2−シクロヘキシル−1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,3−ビスシクロヘキシル−1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン等が挙げられる。
そして、ポリカーボネート系樹脂の中でも、ビスフェノール骨格を有するビスフェノール型ポリカーボネート樹脂であること好ましい。これにより、板部材21は、透明性にさらに優れるとともに、破片104’等に対する耐衝撃性にさらに優れたものとなる。
また、板部材21の構成材料には、必要に応じて、例えば、可塑剤、酸化防止剤、フィラー等を含んでいてもよい。
また、板部材21には、ハードコート層22との密着性を向上させる目的で、サンドブラスト法や溶剤処理法等による表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理、電子線照射処理等の表面の酸化処理を施してもよい。
ハードコート層22は、板部材21の片面側、すなわち、加工領域S1側の面211に形成されている。これにより、第1の基板2aは、ハードコート層22が板部材21よりも加工領域S1に臨むように配置された状態となる。このような配置により、飛翔物40から板部材21をハードコート層22で保護することができる。なお、ハードコート層22の厚さt2も、厚さt1と同様に、一定であるのが好ましい。
なお、ハードコート層22は、当該ハードコート層22となるワニス状の材料を板部材21の面211上に塗布して、この塗布されたものに紫外線を照射することにより硬化したものである。
このようなハードコート層22は、多官能(メタ)アクリレートを含有する材料(以下「ハードコート層形成用組成物」と言う)で構成されている。
多官能(メタ)アクリレートは、1分子中に、重合反応に寄与する(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物である。
ハードコート層形成用組成物には、上記多官能(メタ)アクリレートが含まれていればよいが、多官能(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基の数が、(A)3個以上の多官能(メタ)アクリレートと、(B)2個の2官能(メタ)アクリレートとの双方が含まれるものが好ましく用いられる。これらを多官能(メタ)アクリレートとして含むハードコート層形成用組成物は、その取扱性が容易であり、得られるハードコート層22を、硬質で、高強度なものとすることができる。
以下では、多官能(メタ)アクリレートとして、(A)3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと、(B)2個の(メタ)アクリロイル基を有する2官能(メタ)アクリレートとの双方が含まれるものを一例に説明する。
(A)3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート(以下、単に「(A)多官能アクリレート」ということもある)とは、1分子中に、重合反応に寄与する(メタ)アクリロイル基が3個以上含まれている(メタ)アクリレートを意味する。
なお、本明細書では、アクリロイル基およびメタクリロイル基を総称して(メタ)アクリロイル基という。
(A)多官能(メタ)アクリレートは、3個以上有しているため、硬化後の硬度が比較的高くなる。そのため、(A)多官能(メタ)アクリレートを含むことにより、硬質で、高強度なハードコート層22を得ることができる。
また、(A)多官能(メタ)アクリレートとは、1分子中に重合反応に寄与する(メタ)アクリロイル基が3個以上含まれている(メタ)アクリレートであればよく、モノマー、オリゴマー全般を示し、その分子量および分子構造を特に限定するものではない。すなわち、(A)多官能(メタ)アクリレートとは、1分子中に重合反応に寄与する(メタ)アクリロイル基が3個以上含まれている(メタ)アクリレートモノマーである多官能(メタ)アクリレートモノマーや、1分子中に重合反応に寄与する(メタ)アクリロイル基が3個以上含まれている(メタ)アクリレートオリゴマーである多官能(メタ)アクリレートオリゴマーを含む。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。
また、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、多官能エポキシ(メタ)アクリレート、多官能ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとの反応生成物である。
ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合で、数平均分子量が600未満のものが望ましい。600以上では、硬化物の柔軟すぎてハードコート性能が得られない可能性があるからである。なお、ポリエステルポリオールは、例えば、ジオールとジカルボン酸もしくはジカルボン酸クロライドとを重縮合反応させたり、ジオールまたはジカルボン酸をエステル化して、エステル交換反応させたりすることにより得ることができる。ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸など、ジオールとしてはエチレングリコール、1、4− ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコールなどが用いられる。
ポリカーボネートジオールとしては、1、4− ブタンジオール、1、6−へキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2− プロピレングリコール、1、3− プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2− エチル−1、3− ヘキサンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、1、4−シクロヘキサンジオール、ポリオキシエチレングリコールなどが用いられ、1種でも2種以上を併用しても良い。
また、ジイソシアネートとしては、直鎖式または環式の脂肪族ジイソシアネートが用いられる。芳香族ジイソシアネートももちろん使用可能であり、より容易に硬さや耐擦傷性といった優れたハードコート性を得ることができる半面、ハードコートの骨格を形成する主成分で多官能オリゴマーにこれら芳香族系の成分を用いた場合、耐光性が低下し、光への暴露により黄変しやすいため、実用面において透明ハードコートとしての機能を損なうからである。直鎖式または環式の脂肪族ジイソシアネートの代表的なものとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
水酸基を有するアクリレートモノマーの例として、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレートが挙げられる。
また、多官能エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環と(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得ることができる。
また、多官能ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる、両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。また、多官能ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、前述した中でも、多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いるのが好ましい。多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化物は、比較的高い硬度を有するとともに、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとが反応することにより形成された骨格を備えているため、適度な柔軟性を有している。このため、多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることにより、より優れた硬度と、より優れた靱性とを有するハードコート層22を得ることができる。
また、多官能(メタ)アクリレートモノマーは、1分子中における(メタ)アクリロイル基の数が、4以上であることが好ましく、4以上13以下であることがより好ましく、5以上8以下であるのがより好ましい。(メタ)アクリロイル基の数が前記数値範囲内の多官能(メタ)アクリレートモノマーは、硬化性(硬化速度)に特に優れており、その硬化物は、硬度が比較的高い。そのため、(メタ)アクリロイル基の数が前記数値範囲内の多官能(メタ)アクリレートモノマーを用いることにより、飛翔物40に対する耐衝撃性、耐擦傷性により優れたハードコート層22を得ることができる。
また、多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、1分子中における(メタ)アクリロイル基の数が、6以上であることが好ましく、8以上15以下であることがより好ましく、9以上13以下であるのがさらに好ましい。(メタ)アクリロイル基の数が前記数値範囲内の多官能(メタ)アクリレートオリゴマーは、硬化後には、特に表面硬度が高く、適度な柔軟性を有するものとなる。そのため、(メタ)アクリロイル基の数が前記数値範囲内の多官能(メタ)アクリレートモノマーを用いることにより、より優れた硬度と、より優れた靱性とを有するハードコート層22を得ることができる。
また、ハードコート層形成用組成物中における(A)多官能(メタ)アクリレートの含有率は、特に限定されないが、20質量%以上80質量%以下であるのが好ましく、30質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。(A)多官能(メタ)アクリレートの含有率が、前記下限値未満であると、ハードコート層形成用組成物を構成する材料の組み合わせ等によっては、ハードコート層22の硬度が若干低くなる可能性がある。また、(A)多官能(メタ)アクリレートの含有率が、前記上限値を超えると、ハードコート層形成用組成物を構成する材料の組み合わせ等によっては、ハードコート層22の靱性が若干低下する可能性がある。
(B)2個の(メタ)アクリロイル基を有する2官能(メタ)アクリレート(以下、単に「(B)2官能(メタ)アクリレート」ということもある)とは、1分子中に、重合反応に寄与する(メタ)アクリロイル基が2個含まれている(メタ)アクリレートを意味する。
(B)2官能(メタ)アクリレートは、(A)多官能(メタ)クリレートと比較して低粘度であるため、ハードコート層形成用組成物の希釈剤として寄与する。このため、(B)2官能(メタ)アクリレートを含むことにより、ハードコート層形成用組成物を低粘度化することができ、ハードコート層形成用組成物の取扱性を向上させることができる。
また、(B)2官能(メタ)アクリレートとは、1分子中に重合反応に寄与する(メタ)アクリロイル基が2個含まれている(メタ)アクリレートであればよく、モノマー、オリゴマー全般を示し、その分子量および分子構造を特に限定するものではない。すなわち、(B)2官能(メタ)アクリレートとは、1分子中に重合反応に寄与する(メタ)アクリロイル基が2個含まれている(メタ)アクリレートモノマーである2官能(メタ)アクリレートモノマーや、1分子中に重合反応に寄与する(メタ)アクリロイル基が2個含まれている(メタ)アクリレートオリゴマーである2官能(メタ)アクリレートオリゴマーを含む。
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、その主骨格が鎖状である鎖式構造の2官能(メタ)アクリレートモノマーや、その主骨格が環状である環式構造の2官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
鎖式構造の2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、1,4−ブタジエンアクリレート、1,6−ヘキサジアクリレート、1,9−ノナンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
環式構造の2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等の脂環式アクリレート;エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジアクリレート等のビスフェノールA型アクリレート等の芳香環式アクリレートの等が挙げられる。
また、2官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、2官能ウレタン(メタ)アクリレート、2官能エポキシ(メタ)アクリレート、2官能ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、上述したような2官能(メタ)アクリレートの中でも特に、ビスフェノール型(メタ)アクリレートであるのがより好ましく、ビスフェノールA型アクリレートであるのがさらに好ましい。ビスフェノール型(メタ)アクリレートを用いることで、板部材21を構成する材料にビスフェノール型ポリカーボネート樹脂を用いた場合、板部材21を構成する材料とハードコート層形成用組成物とは共に、ビスフェノール骨格を有することとなる。このため、板部材21を構成する材料にビスフェノール型ポリカーボネート樹脂を用い、ハードコート層22を構成する材料(ハードコート層形成用組成物)にビスフェノール型(メタ)アクリレートを用いることで、板部材21を構成する材料とハードコート層形成用組成物との親和性と特に優れたものとすることができる。これにより、板部材21とハードコート層22との密着性を向上させることができる。
また、ハードコート層形成用組成物中における(B)2官能(メタ)アクリレートの含有率は、特に限定されないが、8質量%以上40質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上35質量%以下であるのがより好ましい。(B)2官能(メタ)アクリレートの含有率が、前記下限値未満であると、ハードコート層形成用組成物を構成する材料の組み合わせや、板部材21を構成する材料の種類等によっては、板部材21とハードコート層22との密着性が若干低下する可能性がある。また、(B)2官能(メタ)アクリレートの含有率が、前記上限値を超えると、(B)2官能(メタ)アクリレート以外のハードコート層形成用組成物を構成する材料の含有率が減少し、ハードコート層22の硬度が低くなるおそれがある。
また、ハードコート層形成用組成物には、上述した多官能(メタ)アクリレートの他に、シロキサン変性(メタ)アクリルレートおよびフィラーが含まれていてもよい。
シロキサン変性(メタ)アクリルレートは、(メタ)アクリル系化合物と、シロキサン結合(−Si−O−Si−)を有する化合物とが結合したものである。
上記構成のシロキサン変性(メタ)アクリルレートは、シロキサン結合(−Si−O−Si−)を有することで、優れた撥油性を発揮するため、シロキサン変性(メタ)アクリルレートを含むハードコート層形成用組成物から得られる硬化物、すなわち、ハードコート層22は、潤滑油の液滴や霧状(オイルミスト)等の飛翔物40に対する耐油性に優れたものとなる。
シロキサン結合(−Si−O−Si−)を有する化合物は、具体的には、下記式(2)および式(3)で表されるシロキサン結合を有する構造単位のうちの少なくとも一方の構造単位を有するものが挙げられる。これにより、潤滑油の液滴や霧状(オイルミスト)等の飛翔物40に対する耐油性に特に優れたハードコート層22となる。
(式(2)中、X
1は、それぞれ独立して炭化水素基または水酸基を示す。)
(式(3)中、X
2、X
3は、それぞれ独立して炭化水素基または水酸基を示す。)
前記炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基等のアリール基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基等が挙げられる。
シロキサン結合(−Si−O−Si−)を有する化合物としては、具体的には、ポリオルガノシロキサンや、シルセスキオキサンが挙げられ、中でもシルセスキオキサンが好ましい。シルセスキオキサンの硬化物は、比較的高い硬度を有するとともに、適度な柔軟性を有する。そのため、シルセスキオキサンを用いることで、飛翔物40に対する耐衝撃性や耐擦傷性に優れるとともに、靱性により優れたハードコート層22を得ることができる。
また、シルセスキオキサンとしては、ランダム構造、籠型構造、ラダー構造(はしご型構造)等、いかなる構造であってもよいが、特にラダー構造であるのが好ましい。これにより、飛翔物40に対する耐衝撃性や耐擦傷性に特に優れたハードコート層22を得ることができる。
また、前述したように、シロキサン変性(メタ)アクリルレートは、シロキサン結合を有する化合物に、(メタ)アクリル系化合物が結合したものである。シロキサン変性(メタ)アクリルレートは、(メタ)アクリル系化合物を有しているため、前述した(A)多官能アクリレートおよび(B)2官能アクリレートとの親和性に優れている。そのため、シロキサン変性(メタ)アクリルレートが均一に混ざった状態のハードコート層22を得ることができる。その結果、ハードコート層22全体として、より表面硬度に優れ、より強靭なハードコート層22を得ることができる。
また、(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、下記式(4)、式(5)で表される構造を有するものが挙げられ、特に、式(4)および式(5)の双方を備えるものが好ましい。式(4)および式(5)の双方を備えるものとしては、例えば、下記式(6)で表される構造が挙げられる。上記構造を有するシロキサン変性(メタ)アクリルレートを用いることにより、ハードコート層22全体の表面硬度および靱性を特に優れたものとすることができ、よって、飛翔物40に対する耐衝撃性、耐擦傷性、および耐油性に特に優れた第1の基板2a、第2の基板2bを得ることができる。
(式(4)中、nは、1以上の整数を示し、R1は、独立して炭化水素基、有機基、または水素を示し、R0は、独立して炭化水素基または水素を示す。)
(式(5)中、mは、1以上の整数を示し、R2は、独立して炭化水素基、有機基、または水素を示し、R0は、独立して炭化水素基または水素を示す。)
(式(6)中、m、nは、1以上の整数を示し、R1、R2、R3は、それぞれ独立して炭化水素基、有機基、または水素を示し、R0は、独立して炭化水素基または水素を示す。)
また、(メタ)アクリル系化合物の重合度については特に限定されず、(メタ)アクリル系化合物は、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー等いずれでのものあってもよいが、(メタ)アクリル系化合物は、重合度(例えば、式(6)中のn、mの合計)が100以上200以下のものであるのが好ましい。これにより、シロキサン変性(メタ)アクリルレートが均一に混ざった状態のハードコート層22をより容易かつ確実に得ることができ、よって、ハードコート層22全体として、より表面硬度に優れ、より強靭なハードコート層22を得ることができる。
以上のような構成を有するシロキサン変性(メタ)アクリルレートとしては、上記のような理由から、例えば、下記式(7)、式(8)で表される化合物が好ましく用いられる。
(式(7)中、Meは、メチル基を示し、m、n、pは、それぞれ1以上の整数を示す。)
(式(8)中、Meは、メチル基を示し、m、n、pは、それぞれ1以上の整数を示し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して炭化水素基、有機基、または水素を示す。)
また、ハードコート層形成用組成物中におけるシロキサン変性(メタ)アクリルレートの含有率[質量%]は、特に限定されないが、5質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、8質量%以上20質量%以下であるのがより好ましい。シロキサン変性(メタ)アクリルレートの含有率が、前記下限値未満であると、ハードコート層形成用組成物を構成する材料の組み合わせ等によっては、潤滑油の液滴や霧状(オイルミスト)等の飛翔物40に対する耐油性が若干低下する可能性がある。また、シロキサン変性(メタ)アクリルレートの含有率が、前記上限値を超えると、シロキサン変性(メタ)アクリルレート以外のハードコート層形成用組成物を構成する材料の含有率が減少し、ハードコート層22の硬度が若干低下するおそれがある。
フィラーは、ハードコート層22の表面硬度の更なる向上に寄与している。そのため、フィラーを含むハードコート層形成用組成物を用いて得られたハードコート層22は、飛翔物40に対する耐久性に特に優れたものとなる。
フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、湿式、乾式等の非結晶シリカや結晶シリカ等のシリカ、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、ガラス、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属酸化物等の無機フィラー、木粉、パルプ、および熱硬化性樹脂硬化物等の有機フィラー等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特に、無機フィラーであることが好ましい。無機フィラーは、一般的に有機フィラーに比べて硬く、破損しにくい。したがって、ハードコート層形成用組成物に無機フィラーを含むことで、ハードコート層22の硬度をより高くすることができる。その結果、第1の基板2a、第2の基板2bの、飛翔物40に対する耐衝撃性をより高めることができる。
また、フィラーとしては、無機フィラーの中でも特にシリカであることが好ましい。これにより、得られるハードコート層22の硬度をさらに高くすることができる。
また、フィラーの形状としては、繊維状、破砕状、球状等が挙げられるが、中でも特に、球状であるのが好ましく用いることができる。
フィラーの形状が粒状である場合、フィラーの平均粒径は、特に限定されないが、0.001μm以上5μm以下であるのが好ましく、0.005μm以上1μm以下であるのがより好ましい。これにより、平滑性に特に優れ、硬度が特に高いハードコート層22を形成することができる。
なお、前記フィラーの平均粒径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布計(HORIBA製「LA−500」)により測定することができる。
また、フィラーは、粒子状をなし、その粒子表面に(メタ)アクリロイル基を有する化合物が導入されているものであるのが好ましい。フィラーの表面に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を導入することにより、フィラーと、(A)多官能アクリレート、(B)2官能アクリレートと、シロキサン変性(メタ)アクリル樹脂とは、全て(メタ)アクリロイル基を有していることとなる。このため、各材料((A)多官能アクリレート、(B)2官能アクリレート、およびシロキサン変性(メタ)アクリル樹脂、およびフィラー)の親和性を特に優れたものとすることができる。各材料の親和性が優れることで、各材料が均一に混ざった状態のハードコート層22を得ることができる。また、フィラーの表面に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を導入することにより、フィラーと、(A)多官能アクリレート、(B)2官能アクリレート、およびシロキサン変性(メタ)アクリル樹脂とを化学的に結合させることができる。このようなことから、均質で、かつ、硬度が特に高いハードコート層22を得ることができ、よって、ハードコート層22全体の、飛翔物40に対する耐衝撃性、耐擦傷性をより優れたものとすることができる。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物をフィラーの表面に導入する方法としては、シラン系カップリング剤を用いた方法が特に好ましく用いられる。これにより、フィラーの表面に(メタ)アクリロイル基をより容易に導入することができる。
また、ハードコート層形成用組成物中におけるフィラーの含有率は、特に限定されないが、15質量%以上40質量%以下であるのが好ましく、20質量%以上35質量%以下であるのがより好ましい。フィラーの含有率が前記下限値未満であると、ハードコート層形成用組成物を構成する材料の組み合わせ等によっては、ハードコート層22全体の硬度が若干低下するおそれがある。また、フィラーの含有率が前記上限値を超えると、フィラー以外のハードコート層形成用組成物を構成する材料の含有率が減少し、ハードコート層22の撥油性が若干低下する可能性がある。
ハードコート層形成用組成物は、上述した材料(多官能アクリレート、2官能アクリレート、シロキサン変性(メタ)アクリル樹脂、およびフィラー)以外のその他の材料を含んでいてもよい。
その他の材料としては、例えば、上述した多官能アクリレート、2官能アクリレート、およびシロキサン変性(メタ)アクリル樹脂以外の樹脂材料(例えば、単官能(メタ)アクリレート等)、重合開始剤、増感剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、酸化防止剤、還元防止剤、帯電防止剤、表面調整剤、および溶剤等が挙げられる。
光重合開始剤は、ハードコート層形成用組成物が紫外線によって硬化する際の重合開始剤としての機能を有しており、公知のものを単独でもしくは組み合わせで使用することができ、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインまたはベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸などの芳香族ケトン類、ベンジルなどのアルファ−ジカルボニル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、アセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパノン−1などのアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノンなどのアントラキノン類、2、4−ジメチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのフォスヒンオキサイド類、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアルファ−アシルオキシム類、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルなどのアミン類などを使用することができる。
溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、メチルエチルケトン、2−ぺンタノン、イソホロンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、メトキシブタノールなどのグリコール系溶剤などが挙げられる。これらは単独または混合して使用することができる。
表面調整剤は、塗膜の基材への濡れ性や均一性、表面の平滑性および硬化した塗膜の表面スリップ性の向上を目的として添加されるものであり、例えばフッ素系、変性シリコーン系、アクリル系の調整剤を使用することができる。中でも、フッ素系および変性シリコーン系のうちの少なくとも一方を含むものが好ましい。これらは、ポリエーテル変性体、アルキル変性体、ポリエステル変性体から構成されているものが好ましく、特にポリエーテル系から構成されているものが好ましい。
なお、板部材21の厚さt1とハードコート層22の厚さt2との合計である第1の基板2aの総厚ttotalは、特に限定されないが、例えば、5mm以上20mm以下であるのが好ましく、8mm以上15mm以下であるのがより好ましい。
また、このような数値範囲を満足した上で、厚さt1を、好ましくは5mm以上20mm以下とすることができ、より好ましくは8mm以上15mm以下とすることができる。また、厚さt2も、好ましくは3μm以上30μm以下とすることができ、より好ましくは6μm以上15μm以下とすることができる。
前述したように、第2の基板2bも第1の基板2aと同じ構成のものである、すなわち、板部材21とハードコート層22とを備えたものである。これにより、透明基板として部品を共通化することができ、よって、窓ユニット1の製造コストを低減することができる。
また、前述したように、第2の基板2bは、第1の基板2aよりも外側に配置されている。これにより、例えば万が一にも飛翔物40である破片104’が第1の基板2aに衝突して、第1の基板2aが破損したとしても、その破片等の操作領域S2への侵入を第2の基板2bで阻止することができる。このようにマシニングセンタ10は、フェールセーフな構造となっている。
この外側にある第2の基板2bは、ハードコート層22が板部材21よりも操作領域S2に臨むように配置された状態となっている。これにより、例えば操作領域S2にいる操作者が構造体101の調整のために六角レンチやドライバ等の工具を把持していた場合、誤って当該工具を第2の基板2bにぶつけてしまったとしても、ハードコート層22で板部材21を保護することができる。
そして、このような配置になっていることにより、結果、第1の基板2aと第2の基板2bとは、板部材21同士が互いに空気層(中間層5)に臨む、すなわち、第1の基板2aと第2の基板2bとは、互いに反転した状態となっている。これにより、窓ユニット1をマシニングセンタ10の外装102に取り付ける組立作業をしようとした場合、窓ユニット1の表裏を問わずに、その組立作業を行なうことができる。このように窓ユニット1は、組立時の姿勢や方向を考えなければないという煩わしさを低減した構造となっている。
第1の基板2aと第2の基板2bとの間には、空気層である中間層5が介在している。破片104’が第1の基板2aに衝突した際に、第1の基板2aが空気層(中間層5)側に、すなわち、衝突方向に撓むことができ、よって、衝撃が吸収される。このように空気層(中間層5)は、衝撃吸収層として機能する。そして、飛翔物40が第1の基板2aに衝突しても、この衝撃吸収性と、ハードコート層22の前述した機能とが相まって、当該第1の基板2aは、破損したり、傷が生じたりする等が防止され、耐久性(耐衝撃性、耐傷性)に優れたものとなる。
なお、空気層(中間層5)の厚さ(間隙距離)t3は、第1の基板2aの総厚ttotalと同じかまたはそれよりも薄いのが好ましい。これにより、厚さt3が過剰になるのが抑制され、よって、窓ユニット1の薄型化に寄与する。また、厚さt3が総厚ttotalを超えたとしても、空気層(中間層5)での衝撃吸収性の向上は望めない。
枠体4は、第1の基板2aと第2の基板2bとを一括支持する部材である。これにより、窓ユニット1は、予め第1の基板2aと第2の基板2bと枠体4とが組み立てられた図2に示す組立状態となり、よって、この組立状態のまま外装102に容易に取り付けることができる。
なお、枠体4の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等の各種金属材料や、各種樹脂材料を用いることができる。
枠体4は、第1の基板2a(第2の基板2b)の縁部に沿うような、すなわち、平面視で四角形の枠状をなし、その四隅にそれぞれ貫通孔41が形成されている。マシニングセンタ10では、外装102の窓ユニット1が設置される部分が開口しており、その周辺に4本のスタッドボルト102aが支持、固定されている。そして、枠体4の各貫通孔41にそれぞれスタッドボルト102aを挿通させて、当該スタッドボルト102aにナット102bを螺合させることができる。これにより、窓ユニット1が外装102に装着されることとなる。
また、枠体4の内周部には、その周方向に沿って第1の凹部(第1の溝)421と第2の凹部(第2の溝)422とが形成されている。第1の凹部421には、第1の基板2aの縁部が嵌め込まれており、第2の凹部422には、第2の基板2bの縁部が嵌め込まれている。これにより、第1の基板2aおよび第2の基板2bが枠体4に確実に支持される。
第1の凹部421と第2の凹部422との間の凸部は、第1の基板2aと第2の基板2bとの間に介挿されるスペーサ43となる。枠体4が前述した構成材料で構成されている場合、スペーサ43も実質的に硬質な部分となる。そして、この硬質のスペーサ43により、第1の基板2aと第2の基板2bとの離間距離を一定に規制することができ、よって、空気層(中間層5)が確実に確保される。
また、第1の凹部421には、第1の基板2aとともに第1のパッキン3aが挿入されている。第2の凹部422にも、第2の基板2bとともに第2のパッキン3bが挿入されている。第1のパッキン3a、第2のパッキン3bは、それぞれ、弾性を有する長尺な帯体で構成されている。
第1のパッキン3aは、第1の基板2aに対して加工領域S1側に配置され、第1の基板2aと枠体4との間で圧縮された状態となっている。これにより、空気層(中間層5)を加工領域S1側から気密的に封止することができる。一方、第2のパッキン3bは、第2の基板2bに対して操作領域S2側に配置され、第2の基板2bと枠体4との間で圧縮された状態となっている。これにより、空気層(中間層5)を操作領域S2側から気密的に封止することができる。
このように空気層(中間層5)が気密的に封止されていることにより、例えば、塵や埃、水分等(以下「塵」を代表的に扱う)が空気層(中間層5)内に侵入するのを防止することができる。仮に空気層(中間層5)に塵が一旦侵入してしまうと、この塵によって第1の基板2aや第2の基板2bが曇ってしまい、その曇りを除去するのは困難となる場合がある。しかしながら、前述したように塵の侵入が防止されていることにより、このような不具合の発生を防止することができる。
また、気密的封止により、空気層(中間層5)内の圧力を大気圧と同じかまたはそれよりも高く設定することもできる。これにより、空気層(中間層5)内が減圧状態となっている場合に比べて、空気層(中間層5)での衝撃吸収性の向上を図ることができる。
空気層(中間層5)内の圧力としては、特に限定されず、例えば、1〜10気圧であるのが好ましい。好ましく、5〜10気圧であるのがより好ましい。
また、空気層(中間層5)内には、例えば窒素等のような不活性ガスも充填されていてもよい。この場合、第1の基板2a、第2の基板2bの各板部材21の構成材料にもよるが、例えば、当該板部材21の空気層(中間層5)側からの経時的な劣化を防止または抑制することができる。
第1のパッキン3a、第2のパッキン3bの構成材料としては、特に限定されず、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料(特に加硫処理したもの)、各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
<第2実施形態>
図3は、本発明の窓ユニットの第2実施形態を示す断面図(第1の基板の変位状態を示す図)、図4は、図3(a)中の矢印B方向から見た図(平面図)である。
以下、これらの図を参照して本発明の窓ユニットの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、スペーサの構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図3に示すように、本実施形態では、スペーサ43Aは、弾性を有する複数の部材、すなわち、複数の圧縮コイルバネ431で構成されている。図4に示すように、圧縮コイルバネ431の設置数は、4つであり、各圧縮コイルバネ431は、それぞれ、長方形をなす第1の基板2aの角部付近に当接している(第2の基板2bについても同様)。なお、第1の基板2aの圧縮コイルバネ431が当接する当接部212は、板部材21をその厚さ方向の途中まで凹没して形成した凹部の底部で構成されているのが好ましい。これにより、圧縮コイルバネ431の位置ズレを防止することができる。
圧縮コイルバネ431の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等のような各種金属材料を挙げることができる。
このような圧縮コイルバネ431を有することにより、第1の基板2aが全体としても外側へ変位することができる。
例えば飛翔物40が前記第1実施形態で例示した(想定している)破片104’、切りくず201よりも質量が大きいものの場合、第1の基板2aに作用する衝撃は、前記第1実施形態での衝撃よりも大きくなる。本実施形態では、窓ユニット1は、前述したハードコート層22と空気層(中間層5)との相乗効果の他に、さらに、第1の基板2a全体の変位、すなわち、圧縮コイルバネ431の弾性による効果も加わり、当該衝撃に十分に耐え得る構成となっている。
<第3実施形態>
図5は、本発明の窓ユニットの第3実施形態を示す断面図(第1の基板の変位状態を示す図)である。
以下、この図を参照して本発明の窓ユニットの第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、スペーサの構成が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
図5に示すように、本実施形態では、スペーサ43Bは、下側に配された圧縮コイルバネ431と、上側に配され圧縮コイルバネ432とで構成されている。圧縮コイルバネ432は、圧縮コイルバネ432よりもバネ定数が小さいものとなっている。これにより、第1の基板2aは、その上側の部分の方が下側の部分よりも変位し易い、すなわち、優先的に変位する。
例えば、質量が比較的大きい飛翔物40の飛翔方向が、図5中の右斜め下方からであるという傾向がある場合、このように変位の程度に差があることにより、当該飛翔物40からの衝撃に十分に耐えることができる。
<第4実施形態>
図6は、本発明の窓ユニットの第4実施形態を示す分解斜視図である。
以下、この図を参照して本発明の窓ユニットの第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、枠体の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図6に示すように、本実施形態では、枠体4は、本体部44と、本体部44に対して着脱自在な蓋部45との2つの部材で構成されている。本体部44は、平面視で四角形状をなす枠体4の3本の辺に相当する部分を構成し、蓋部45は、残りの1本の辺に相当する部分を構成する。そして、第1の基板2aおよび第2の基板2bがそれぞれ差し込まれた本体部44と、蓋部45とを組み立てた状態で、これらの部材同士を、4本のボルト46により締結することができる。これにより、窓ユニット1が得られる。
ところで、窓ユニット1を長期間使用しており、その最中に例えば第1の基板2aが劣化により破損してしまった場合、各ボルト46を緩めて本体部44と蓋部45とを分解することができる。これにより、前記破損した第1の基板2aを本体部44から取り出すことができ、それに代えて、新たな第1の基板2aを本体部44に差し込むことができる。このように窓ユニット1は、第1の基板2a(第2の基板2bについても同様)は、枠体4に対して着脱自在であり、交換可能である。
このような構成により、窓ユニット1全体を交換しなくとも、破損した部材のみを交換すれば、窓ユニット1をそのまま使用することができる、すなわち、窓ユニット1の使用をそのまま継続することができる。よって、窓ユニット1のMTBF(Mean Time between Failure)をできる限り長くすることがきる。
なお、本体部44には、ボルト46が螺合する4つの雌ネジ441が設けられている。また、蓋部45には、雌ネジ441に螺合するボルト46が挿通する貫通孔451が設けられている。
また、窓ユニット1は、本実施形態では第1の基板2aおよび第2の基板2bの双方が交換可能に構成されているが、これに限定されず、第1の基板2aおよび第2の基板2bのうちの一方のみが交換可能に構成されていてもよい。
以上、本発明の窓ユニットを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、窓ユニットを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の窓ユニットは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、窓ユニットは、前記各実施形態では視認用窓としての機能と、採光用窓としての機能との2つの機能を有しているが、これに限定されず、マシニングセンタでの設置箇所によっては、当該2つの機能のうちの一方の機能のみを有する場合もある。
また、窓ユニットは、前記各実施形態では第1の基板と第2の基板とを有する構成であるが、これに限定されず、例えば、さらに第3の基板を有する構成であってもよい。
また、窓ユニットは、前記各実施形態では第1の基板と第2の基板との間に中間層が形成されているが、これに限定されず、例えば、第1の基板と第2の基板との間にこれら基板同士を接合する接着剤層が介在されていてもよい。この場合、接着剤層が中間層となり、弾性を有しているため、その結果、衝撃吸収層として機能することができる。
また、窓ユニットは、枠体や各パッキンが省略され、第1の基板および第2の基板が直接的にマシニングセンタの外装に装着されてもよい。
また、第1の基板および第2の基板は、それぞれ、板部材とハードコート層との間に中間層が介在していてもよい。中間層としては、例えば、板部材とハードコート層との親和性が比較的低い場合に、板部材にハードコート層を接合する接合層とすることができる。
第2の基板は、ハードコート層を有する構成であったが、これに限定されず、例えば、ハードコート層に代えて、PET(ポリエチレンテレフタレート)で構成された樹脂層を有する構成であってもよい。