[第1実施形態]
以下、本発明を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(加熱調理器の全体構成)
図1に示す加熱調理器1は、調理鍋等の調理器具を加熱可能なビルトインコンロとして構成されている。この加熱調理器1は、加熱調理器本体1aの上面を構成する天板2(トッププレート)から露出するように、右こんろ部4a、左こんろ部4b、が夫々設けられ、その左右のこんろ部4a,4bの間で後方寄りに小こんろ部4cが設けられている。そして、天板2の下方において加熱調理器本体1aの内部中央付近にはグリル3が設けられている。なお、グリル3は、被調理物を収納してグリルバーナ(ガスバーナ54:図2)で加熱調理するグリル庫(図示略)を備えており、このグリル庫は、加熱調理器本体1aの前面部に設けられたグリル扉3bによって開閉可能とされている。
図1に示す右こんろ部4a、左こんろ部4b、小こんろ部4c、グリル3には、図2に示すガスバーナ51,52,53,54がそれぞれ設けられている。そして、ガス供給路としては、複数のガスバーナ51,52,53,54への共通のガス経路となる共通供給路60と、共通供給路60から各ガスバーナ51,52,53,54に向けてそれぞれ分岐する複数の分岐供給路61,62,63,64とが設けられている。そして、共通供給路60には、この共通供給路を開閉する元電磁弁N1が設けられ、各々の分岐供給路61,62,63には、火力調整弁と、開閉弁とが設けられている。また、分岐供給路64には、複数の電磁弁54g,54h,54i,54jが設けられている。
図2のように、例えば、ガスバーナ51への分岐供給路61には、この分岐供給路61を開閉可能な電磁弁(安全弁)51gと、分岐供給路61を開閉可能な閉止弁51fと、ガスバーナ51へのガス供給量を調整可能な火力調整弁51eとが設けられている。これら電磁弁51g、閉止弁51f、火力調整弁51eは、図3、図4に示すステッピングモータM1(以下、単にモータM1ともいう)によって駆動されるようになっており、ステッピングモータM1の駆動軸MS1(図5等)が正方向に回転して回転角度が第1角度になったときに電磁弁51gが開放し、駆動軸MS1の回転角度が正方向に回転して第2角度になったときに閉止弁51fが開放するようになっている。なお、駆動軸MS1の回転角度が上記第2角度から正方向に回転した範囲では閉止弁51fは開放し続ける。また、駆動軸MS1が正方向に回転して回転角度が第3角度になった以降は、駆動軸MS1の回転角度に応じて火力調整弁51eの開度が設定されるようになっている。つまり、ステッピングモータM1の駆動軸MS1の回転角度を制御することで、電磁弁51g、閉止弁51fの開閉、及び火力調整弁51eの開度を制御できるようになっている。
また、図2のように、ガスバーナ52への分岐供給路62にも、分岐供給路61と同様の電磁弁52g,閉止弁52f、火力調整弁52eが設けられ、ガスバーナ53への分岐供給路63にも、分岐供給路61と同様の電磁弁53g,閉止弁53f、火力調整弁53eが設けられている。なお、分岐供給路62での電磁弁52g,閉止弁52f、火力調整弁52eの制御は、分岐供給路61と同様であり、ステッピングモータM2(以下、単にモータM2ともいう。図3、図4を参照)の回転角度を制御することで、電磁弁52g、閉止弁52fの開閉、及び火力調整弁52eの開度を制御できるようになっている。また、分岐供給路63での、電磁弁53g,閉止弁53f、火力調整弁53eの制御も分岐供給路61と同様であり、ステッピングモータM3(以下、単にモータM3ともいう。図3、図4を参照)の回転角度を制御することで、電磁弁53g、閉止弁53fの開閉、及び火力調整弁53eの開度を制御できるようになっている。
また、図2のように、グリル3のガスバーナ54への分岐供給路64には、この分岐供給路64を開閉可能な電磁弁(安全弁)54gと、閉止弁54fと、複数の電磁弁54h,54i,54jが設けられている。電磁弁54g及び閉止弁54fは、図3、図4に示すステッピングモータM4(以下、単にモータM4ともいう)によって駆動されるようになっており、ステッピングモータM4の駆動軸が正方向に回転して回転角度が第1角度になったときに電磁弁54gが開放するようになっている。また、その駆動軸が正方向に回転して回転角度が第2角度になったときに閉止弁54fが開放するようになっている。そして、その駆動軸の回転角度が上記第2角度から正方向に回転した範囲では閉止弁51fは開放し続ける。また、下バーナ54bへの供給路65bを開閉するように電磁弁54jが設けられ、上バーナ54aへの供給路65aを開閉する電磁弁54h,54iが設けられている。図3のように、これら電磁弁54h,54i,54jの開閉は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンともいう)10によって制御されるようになっている。この構成では、上バーナ54aへの供給路65aの電磁弁54iを迂回するように供給路65aと並列のバイパス路66aが設けられ、電磁弁54hが開放した状態で電磁弁54iが閉じているときにはバイパス路66aによって上バーナ54aにガスを供給する。この場合、上バーナ54aでの火力は相対的に弱い状態となる。また、電磁弁54h,54iがいずれも開いているときには供給路65aとバイパス路66aの両方によって上バーナ54aにガスを供給する。この場合、上バーナ54aでの火力は相対的に強い状態となる。また、下バーナ54bへの供給路65bの電磁弁54jを迂回するように供給路65bと並列のバイパス路66bが設けられ、電磁弁54jが閉じているときにはバイパス路66aによって下バーナ54bにガスを供給する。この場合、下バーナ54bでの火力は相対的に弱い状態となる。また、電磁弁54jが開いているときには供給路65bとバイパス路66bの両方によって下バーナ54bにガスを供給する。この場合、下バーナ54bでの火力は相対的に強い状態となる。
また、図2、図3に示す元電磁弁N1は、例えば公知の電磁弁として構成され、マイクロコンピュータ10からの制御信号に応じて開状態と閉状態に切り替えられるようになっている。この元電磁弁N1が閉状態に切り替えられた場合には、全てのガスバーナ51,52,53,54へのガス供給が停止することになる。
また、各ガスバーナ(以下、単にバーナともいう)51,52,53,54での駆動源となるステッピングモータM1,M2,M3,M4は、例えば二組の巻線を備えた二相式の公知のステッピングモータとして構成されており、二相励磁方式及び一相励磁方式のいずれでも駆動可能となっている。これらステッピングモータM1,M2,M3,M4は、いずれも駆動軸を備え、外部からの駆動制御信号(具体的に、マイクロコンピュータ10からの制御信号に応じて各駆動回路41,42,43,44で生成される駆動電流)に応じて駆動され、駆動軸の回転角度が設定される構成となっている。
また、本構成では、図4のように、各モータM1,M2,M3,M4を駆動するためのモータ駆動回路(以下、単に駆動回路ともいう)41,42,43,44がそれぞれ設けられている。これらモータ駆動回路41〜44はいずれも、図3で示す電源回路14で生成された駆動電圧V3が印加されるようになっており、いずれも、マイクロコンピュータ10からの制御信号に応じて対応するモータを駆動するように動作する。つまり、本構成では、マイクロコンピュータ10及び各駆動回路41,42,43,44が駆動制御部に相当し、これらにより各モータM1,M2,M3,M4に駆動制御信号を与えることができるようになっている。マイクロコンピュータ10は、モータ駆動回路41,42,43,44に与える制御信号を、二相励磁方式での駆動を指示する制御信号と、一相励磁方式での駆動を指示する制御信号とで切り替えるようになっている。そして、各モータ駆動回路41,42,43,44は、一相励磁方式での駆動を指示する制御信号を受けた場合には対応するステッピングモータの巻線を一本だけ励磁してウェーブドライブ方式(直線波形駆動)により駆動し、二相励磁方式での駆動を指示する制御信号を受けた場合には対応するステッピングモータの巻線を二本励磁してフルステップ駆動方式で駆動する。
また、本構成では、図3のように、回転角度センサP1,P2,P3,P4が設けられている。これら回転角度センサP1,P2,P3,P4は、検出部の一例に相当し、対応するステッピングモータM1,M2,M3,M4のそれぞれの駆動軸の回転角度を検出する構成となっており、例えば、対応する駆動軸の回転角度に応じた電圧値を出力するようになっている。
また、本構成では、図3のように、各ステッピングモータM1,M2,M3,M4にそれぞれ対応する原点検出スイッチG1,G2,G3,G4が設けられている。これら原点検出スイッチG1,G2,G3,G4は、対応するステッピングモータの駆動軸の回転角度が所定の原点位置にある状態を検出するものであり、具体的には、図9のように、原点検出スイッチG1は、ステッピングモータM1の駆動軸MS1(図5等)が所定の原点位置にあるときに駆動軸MS1に連結された回転部材の70に押圧される接触式のセンサとなっており、回転部材の70に押圧されたときに原点検出信号を出力するように構成されている。なお、図9では、ステッピングモータM1に対応する原点検出スイッチG1を例示しているが、他の原点検出スイッチG2,G3,G4も同様の構成となっている。
なお、ここでは、原点状態検出部の例として、原点検出スイッチG1,G2,G3,G4を用いているが、ステッピングモータのモータ本体に対する駆動軸の回転角度が所定の原点角度となったことを検出する手段であればよい。特に、本構成では、後述する図19のS74のように、駆動軸MS1が閉止弁51fや電磁弁51gを閉じる回転角度まで確実に戻ったかを把握するために、原点検出スイッチG1を用いているが、駆動軸MS1が閉止弁51fや電磁弁51gを閉じる回転角度まで確実に戻ったかを把握可能な構成であれば、その把握に用いる手段は、原点検出スイッチG1でなくてもよい。例えば、駆動軸MS1の回転角度に応じて回転角度センサP1の出力(例えば検出電圧)が変化するように構成した場合、回転角度センサP1の出力(例えば検出電圧)が所定値となった場合を原点位置とするように構成し、回転角度センサP1が所定値であるか否かを判別することで駆動軸MS1が所定の原点角度であるか否かを把握するようにしてもよい。つまり、回転角度センサP1自体を原点状態検出部として用いてもよい。
また、図1に示すように、右こんろ部4a、左こんろ部4b、小こんろ部4c、グリル3にそれぞれ対応するように4つの回転操作部6が設けられている。第1の回転操作部6a、第2の回転操作部6b、第3の回転操作部6cは、右側の前面パネル7aから露出するように設けられている。尚、実際の各こんろ部との位置関係と一致するよう、右こんろ部4aに対応する回転操作部6aが右側に、左こんろ部4bに対応する回転操作部6bが左側に、小こんろ部4cに対応する回転操作部6cが回転操作部6a,6bの間に配置されている。また、グリル3に対応する第4の回転操作部6dは、左側の前面パネル7bから露出するように設けられている。
第1の回転操作部6aは、右こんろ部4aの点火、消火、火力調整を行うものであり、押圧操作可能に構成され、且つ回転操作可能に構成されている。例えば、消火時には、図1の実線のように、円筒状に構成された回転操作部6aの前面部が後方に退避するようになっている。そして、この状態から前面部を押圧することで、右こんろ部4aの点火がなされ、二点鎖線6’で示すように前面部が消火時よりも前方位置になるように回転操作部6aが突出するようになっている。また、このような突出状態のときに回転操作部6aを一方の回転方向に回転させることで、対応する右こんろ部4aの火力を増大することができ、逆に、回転操作部6aを他方の回転方向に回転させることで、対応する右こんろ部4aの火力を減少することができるようになっている。また、二点鎖線6’で示す突出状態のときに前面部を押圧すると、実線で示す退避状態に戻り、このときには右こんろ部4aの消火がなされる。
なお、回転操作部6bは、左こんろ部4bの点火、消火、火力調整を行い、回転操作部6cは、小こんろ部4cの点火、消火、火力調整を行い、回転操作部6dは、グリル3の点火、消火、火力調整を行うものである。これらは対象が異なるだけで、基本的な構造、機能は回転操作部6aと同様である。
また、図3の電気的構成で示すように、回転操作部6a,6b,6c,6dにそれぞれ対応するようにスイッチ部30a,30b,30c,30dが設けられている。これらスイッチ部30a,30b,30c,30dは、点火スイッチとして機能し、対応する回転操作部6が退避位置(消火位置)のときにマイクロコンピュータ10にオフ信号(消火信号)を与え、対応する回転操作部6が突出位置(点火位置)のときにマイクロコンピュータ10にオン信号(点火信号)を与えるように構成されている。図1の例では、いずれの回転操作部6a,6b,6c,6dも、使用者が押す毎に退避位置と突出位置とに切り替わるようになっており、使用者は、例えば図1の回転操作部6aのように退避位置に向けて押したときにマイクロコンピュータ10にオフ信号(消火信号)を与えることができ、この退避位置のときに回転操作部を押して図1の二点鎖線6’のように変位させたときに、マイクロコンピュータ10にオン信号(点火信号)を与えることができるようになっている。
更に、回転操作部6a,6b,6c,6dにそれぞれ対応するように火力変更ダイアル32a,32b,32c,32dが設けられている。これら火力変更ダイアル32a,32b,32c,32dは、対応する回転操作部6が突出位置(点火位置)になっているときに、その回転操作部6の回転位置に応じた信号(火力指示信号)をマイクロコンピュータ10に与えるものである。例えば、回転操作部6aが図1の二点鎖線6’のように突出位置(点火位置)となっている場合、使用者はこの回転操作部6aを操作して所望の回転位置に設定することで、火力変更ダイアル32aにより回転操作部6aの回転位置に応じた信号をマイクロコンピュータ10に入力できるようになっている。
また、図2、図3のように、各ガスバーナ51,52,53,54a,54bにそれぞれに隣接して熱電対51c,52c,53c,54c、54dが設けられている。これら熱電対51c,52c,53c,54c、54dは、隣接するガスバーナの燃焼炎を検出するものであり、各熱電対51c,52c,53c,54c,54dの温度に対応した起電力を出力するようになっている。なお、マイクロコンピュータ10は、いずれかの熱電対51c,52c,53c,54c,54dの起電力が所定の第1閾値(点火閾値)以上である場合に、その熱電対に対応するガスバーナが点火していると判定する。また、いずれかの熱電対51c,52c,53c,54c,54dの起電力が所定の第2閾値(消火閾値)以下である場合に、その熱電対に対応するガスバーナが消火していると判定する。
また、本構成では、各種情報を記録するための不揮発性メモリEpが設けられている。この不揮発性メモリEpは、例えばEEPROMなどの公知の半導体不揮発性メモリによって構成されており、加熱調理器1の電源オフ後も情報の残しておくことができるようになっている。
(駆動ユニット)
ここで、各モータM1,M2,M3,M4を駆動源として各分岐供給路の開閉を調節する駆動ユニットについて説明する。なお、ここでは、モータM1に対応する駆動ユニットを代表例として説明するが、モータM2,M3に対応するそれぞれの駆動ユニットもモータM1に対応する駆動ユニットと同様の構成となっている。また、モータM4に対応する駆動ユニットは、図5等で例示されるような火力調整弁51eは存在しないが、電磁弁54g(安全弁)などの駆動方式は図5等で示す電磁弁51gの駆動方式と同様とすることができる。
例えば、モータM1に対応する駆動ユニットでは、図8(A)の矢印A1〜A7のようにガスが流れるようになっている。なお、図8(A)は、電磁弁51g及び閉止弁51fが全開となり、且つ火力調整弁51eが全開となった様子を示しており、分岐供給路61を構成する各通路61a,61b,61c,61fgを通ってガスが流れるようになっている。モータM1に対応する駆動ユニット(ガスバーナ51に対応する駆動ユニット)では、図5、図9のように、駆動軸MS1に連動して回転する回転部材70と、回転部材70に隣接した位置に配置される隣接部材75とが設けられている。回転部材70は、駆動軸MS1に連結されて駆動軸MS1と一体的に回転するようになっている。そして、駆動軸MS1が所定の正方向(図9の矢印F1の方向)に回転する場合を開動作として、駆動軸MS1の回転角度に応じて回転部材70の回転位置が定まり、且つ回転部材70の回転位置に対応して開閉調整部材(弁体89,98,99)の開放状態が設定される構成となっている(図5〜図8を参照)。本構成では、火力調整弁51e,閉止弁51f,電磁弁(安全弁)51gの一部をなす弁体89,98,99が開閉調整部材の一例に相当しており、ガス供給路内(分岐供給路61内)に変位可能に配置され、分岐供給路61の開閉状態を設定するように機能する。そして、駆動軸MS1は、これら弁体89,98,99を連動させて駆動するように機能する。
図5、図9等に示すように、回転部材70は、第1ギア71と、カム部72とが一体的に連結された構成となっており、第1ギア71とカム部72とが駆動軸MS1(図5等)と連動して一体的に回転するようになっている。この例では、カム部72に形成された張出部74が回転軸を中心とする周方向に張り出しており、駆動軸MS1が所定回転角度範囲にあるときに張出部74が原点検出スイッチG1を押し下げるようになっている。
また、カム部72には、作用部73が形成されている。この作用部73は、隣接部材75と接触すると共に隣接部材75側に突出する2個の半割円筒状の部材が回転軸を挟むように、且つ互いに半径方向に位置ずれするように設けられている。また、この作用部73には、隣接部材75側の端面(各半割円筒状の部材の端面73a’,73a”)が傾斜状(具体的には、周方向一方側に進むにつれて徐々にモータM1側に近づく傾斜状)に構成されている。隣接部材75は、モータM1の回転軸の方向に往復動可能に構成されており、カム部72の作用部73からの作用を受ける被作用部75aが形成されている。この被作用部75aも、カム部72と接触すると共にカム部72側に突出する2個の半割円筒状の部材が回転軸を挟むように、且つ互いに半径方向に位置ずれするように設けられている。具体的には、この被作用部75aは、カム部72側の端面(各半割円筒状の部材の端面75a’,75a”)が傾斜状(具体的には、周方向一方側に進むにつれて徐々にモータM1側に近づく傾斜状)に構成されると共に、作用部73の各半割円筒状の部材の端面73a’,73a”とそれぞれ接触し、これら端面73a’,73a”から作用を受ける構成となっている。
そして、図5〜図8、或いは図9〜図15に示すように、モータM1の駆動軸MS1の回転角度に応じて回転部材70の回転角度が定まり、回転部材70の回転角度に応じて隣接部材75の軸方向(モータM1の回転軸方向)の位置が定まるようになっている。隣接部材75には、モータM1の回転軸方向に延びる軸部材77が連結されており、隣接部材75と一体的に往復動するようになっている。
この構成では、モータM1の駆動軸MS1が停止位置にあるときに図5(A)のような状態となり、ここから駆動軸MS1の回転角度が正方向に進むと、図5(B)のような状態となる。このとき、軸部材77と連動する軸部78によって電磁弁51g(安全弁)の弁体99が押し出され、電磁弁51gが開放する。この図5(B)の状態から、駆動軸MS1の回転角度が更に正方向に進むと、軸部78によって弁体99が更に押し出され、図6(A)のように電磁弁51gが全開した状態となる。なお、このときの回転部材70と隣接部材75の関係は図11のようになる。図6(A)の状態から、駆動軸MS1の回転角度が更に正方向に進むと、図6(B)のような状態(ロック解除状態)となる。このときには、軸部材77と連動する機構によって軸部78がモータM1側に退避され、軸部78は弁体99から離れた状態となる。また、この状態では、電磁弁51gにおいてソレノイドScが通電され、弁体99は、ばね部材97の付勢(モータM1側への付勢)に抗してソレノイドSc側に吸着された状態となる。このようにして、電磁弁51gは開放状態で維持される。なお、このときの回転部材70と隣接部材75の関係は図12のようになる。
図6(B)のロック解除状態から、駆動軸MS1の回転角度が更に正方向に進むと、図7(A)のような状態(弱火力の状態)となる。また、このときの回転部材70と隣接部材75の関係は図13のようになる。この弱火力の状態では、弁体89が分岐供給路61(具体的には流路61g)の内壁に密着し、弁体89内に形成された通路のみを通じてガスが通るようになっている。そして、図7(A)の弱火力の状態から、駆動軸MS1の回転角度が更に正方向に進むと、図7(B)のような状態(中火力の状態)となる。このときの回転部材70と隣接部材75の関係は図14のようになる。この中火力の状態では、弱火力の状態よりも弁体89がある程度進み、弁体89が分岐供給路61(具体的には流路61g)の内壁からある程度離れた状態となる。更に、図7(B)の中火力の状態から、駆動軸MS1の回転角度が正方向に進むと、図8(A)のような状態(強火力の状態)となる。また、このときの回転部材70と隣接部材75の関係は図15のようになる。この強火力の状態では、中火力の状態よりも弁体89が更に進み、弁体89が分岐供給路61(具体的には流路61g)の内壁から更に離れた状態となる。なお、本構成では、図7(A)に示す弱火力の回転角度以降、正方向に回転しても隣接部材75を前方向(回転部材70から離れる方向)に移動する力が生じしないようになっている。つまり、この回転角度範囲では、隣接部材75が回転軸の方向に移動しないようになっている。本構成では、弁体89を第2ギア81側に押し出す力(ばね部材87による力)よりも、弁体98を回転部材70側に押し出す力(ばね部材91等による力)や弁体99を回転部材70側に押し出す力(ばね部材97等による力)の方が大きくなっている。このように、回転部材70側への付勢に逆らうように隣接部材75を回転軸方向に移動させるために必要な力よりも、第2ギア81側への付勢に逆らうように被作用部材83を回転軸方向に移動させるために必要な力の方が小さくなっており、図7(A)に示す弱火力の回転角度以降の角度範囲(即ち、第2角度範囲)では、隣接部材75を回転軸(駆動軸MS1の回転軸)の方向に移動させる必要が無く、被作用部材83のみを回転軸(第2ギア81の回転軸)の方向に移動させれば良いため、相対的に動作に必要となるエネルギーが小さくなり、電力消費が抑えられる。
本構成では、図13等に示すように、回転部材70の第1ギア71と連動する第2ギア81が設けられており、更に、第2ギア81に連結された作用部81aが駆動軸MS1の回転に応じて回転するようになっている。一方、作用部81aには、被作用部材83が隣接して配置されており、この被作用部材83は、第2ギア81の回転軸(モータM1の回転軸と平行な回転軸)の方向に往復動するようになっている。図7(A)、図13のような弱火力の回転角度からは回転角度が進むにつれて作用部81aが被作用部材83の端面83aを押し出すように作用するため、この回転角度範囲では、駆動軸MS1の回転角度に応じて軸部材85の軸方向の位置が定まり、この位置に応じて火力調整弁51eの弁体89の位置が定まることになる(図7,図8(A)参照)。また、本構成では、図8(A)のような状態から、電磁弁51gのソレノイドScの励磁が解除されると、ばね部材97の付勢によって弁体99が押し出され、電磁弁51gが閉塞状態となる。つまり、ロック解除状態となっていればモータM1を駆動しなくても、ソレノイドScの励磁を解除することで、失火の場合等、ガス供給の停止を可及的速やかに行う必要がある場合等に強制的に電磁弁51gを閉塞状態に速やかに切り替えることができる。
更に、本構成では、図9のようにモータM1の駆動軸MS1(図5等)が原点位置にある状態から駆動軸MS1が逆方向に回転すると、図10のように逆方向の所定の回転角度(規制回転角度)のときに回転部材70に形成された被規制部73bが隣接部材75に形成された規制部75bに接触する。このように、駆動ユニットでは、駆動軸MS1が規制回転角度よりも逆方向に回転することが規制される構成となっている。
(制御処理)
次に、マイクロコンピュータ10で行われる制御処理について説明する。なお、以下では、ステッピングモータM1に対応するガスバーナ51に対して行われる制御処理を代表例として図16〜図22を参照して説明するが、他のガスバーナ52,53,54に対しても同様の処理(図16〜図22の処理)をそれぞれ別個に行うことができる。
まず、図16、図17を参照して停止中の処理等について説明する。図16の処理では、電源スイッチがONされた場合にS1の処理を終了してS2に移り、S2にて所定のモータ初期化操作がなされたか否かを判断する。例えば、図示しない操作部に対して予め定められた初期化操作がなされた場合にはS2にてYesに進み、S3の初期化中の処理に移行する。
初期化中の処理は、例えば図21、図22のような流れで行われる。この処理では、まず、図21のS101のように、他のガスバーナ52,53,54が点火又は火力操作中であるか否かを判断し、点火又は火力操作中である場合にはS101にてYesに進んで待機状態を継続する。他のガスバーナ52,53,54が点火及び火力操作中でなければ、S101にてNoに進み、「トライ回数」を「1」に設定し(S102)、タイマーT41のカウントを開始する(S103)。その後、原点検出スイッチG1が検出状態であるか否かを判断する(S104)。原点検出スイッチG1が検出状態であればS104にてYesに進み、そうでなければS104にてNoに進む。S104にてNoに進む場合、モータM1を所定の回転速度で逆方向に回転させる(S105)。なお、S105での回転速度は、S105が1回目の処理のとき(即ち、トライ回数が1のとき)には所定の回転速度(例えば400pps)で行い、2回目の処理であれば、これよりも低い回転速度(例えば200pps)で行う。そして、S105の後には、S103でのカウント開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判
断し(S106)、経過していなければS106にてNoに進んでS104以降の処理を繰り返す。つまり、原点検出スイッチG1で検出状態となるまでは、S103から10秒を超えない範囲でモータM1を逆方向に回転させることになる。
S106において、S103から10秒を超えたと判断される場合は、S106にてYesに進み、S107において、「トライ回数」が2回に達しているか否かを判断する。そして、トライ回数が2回に達していなければS107にてNoに進み、トライ回数を1回増やすようにインクリメントし(S108)、所定回転角度量(例えば20°)に相当するパルス数の分だけモータM1を正方向に回転する(S109)。そして、S109の後には、S103以降の処理を繰り返す。一方、S107にてトライ回数が2回に達していると判断される場合は、S107にてYesに進み、S110でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、モータ異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。
このように、本構成では、駆動制御部に相当するマイクロコンピュータ10及び駆動回路41によってモータM1を所定方向(図21のS105の例では逆回転方向)に回転させる所定方向制御信号が与えられた場合に、モータM1の駆動軸MS1の回転角度が所定時間内に予め設定された目標回転角度(図21のS104の例では原点角度)に到達したか否かを判定している。そして、駆動軸MS1の回転角度が所定時間内に目標回転角度に到達しなかったと判定された異常時には、モータM1に対して所定方向とは反対方向(図21のS109の例では正回転方向)に回転させる反転方向制御信号を与えた後、再びモータM1に対して所定方向制御信号を与えている。
S104でYesに進む場合には、「トライ回数」を「1」に設定し(S111)、タイマーT42のカウントを開始する(S112)。その後、モータM1の回転角度に変化がないか(具体的には、モータM1の回転角度が1秒以上変化がないか否か)を判断する(S113)。モータM1の回転角度に1秒以上変化がない状態であればS113にてYesに進み、そうでなければS113にてNoに進む。S113にてNoに進む場合、モータM1を所定の回転速度で逆方向に回転させる。なお、S113での回転速度は、S113が1回目の処理のとき(即ち、トライ回数が1のとき)には所定の回転速度(例えば500pps)で行い、2回目の処理であれば、これよりも低い回転速度(例えば300pps)で行う。そして、S112でのカウント開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判断し、経過していなければS115にてNoに進んでS113以降の処理を繰り返す。S115において、S112から10秒を超えたと判断される場合は、S115にてYesに進み、S116でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、モータ異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。
S113でYesに進む場合、モータM1の回転角度(駆動軸の回転角度)が正常範囲内であるか否かを判断する。本構成では、原点位置からの回転角度量の正規範囲(例えば、第1回転角度量θ1以上かつ第2回転角度量θ2未満)が定められており、S117では、S104でYesに進む時点での回転角度からS113でYesに進む時点での回転角度までの回転角度量が上記正規範囲内であるか否かを判断する。そして、正規範囲内でなければ、S117にてNoに進み、S118において、「トライ回数」が2回に達しているか否かを判断する。そして、トライ回数が2回に達していなければS118にてNoに進み、トライ回数を1回増やすようにインクリメントし(S119)、所定回転角度量(例えば20°)に相当するパルス数の分だけモータM1を正方向に回転する(S120)。そして、S120の後には、S112以降の処理を繰り返す。一方、S118にてトライ回数が2回に達していると判断される場合は、S118にてYesに進み、S121でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、モータ異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。
S117でYesに進む場合、図22のS122において、「トライ回数」を「1」に設定し、不揮発性メモリEpへの書き込みを行う。このときに書き込む値は、S117でYesに進むときの駆動軸MS1の回転角度(規制回転角度)の値である。このように、本構成では、マイクロコンピュータ10が記憶制御部として機能しており、駆動軸MS1が規制回転角度となっているときに回転角度センサP1で検出される値を反映した反映値(規制回転角度を特定する値)を不揮発性メモリEpに記憶している。そして、駆動制御部に相当するマイクロコンピュータ10は、このように不揮発性メモリEpに記憶された反映値に基づいて駆動軸MS1の回転角度を定める制御を行っている。
ここで、回転角度検出の考え方を説明する。
図5等に示す駆動ユニットでは、図10のような規制回転角度から予め定められた一定値(基準値)Δθだけ進んだ位置が原点位置となるべき回転角度(本来の原点角度)であり、この本来の原点角度から回転角度α1だけ進んだ回転角度(規制回転角度からΔθ+α1の回転角度)で電磁弁51gが開き始める。更に、本来の原点角度から回転角度α2だけ進んだ回転角度(規制回転角度からΔθ+α2の回転角度)で図6(A)のように電磁弁51gが全開となる。更に、本来の原点角度から回転角度α3だけ進んだ回転角度(規制回転角度からΔθ+α3の回転角度)で図6(B)のように電磁弁51gのロック状態が解除される。また、本来の原点角度から回転角度α4だけ進んだ回転角度(規制回転角度からΔθ+α4の回転角度)で図7(A)のように弱火力の位置となる。また、本来の原点角度から回転角度α5だけ進んだ回転角度(規制回転角度からΔθ+α5の回転角度)で図7(B)のように中火力の位置となる。そして、この中火力のときの回転角度が点火位置(点火時の回転角度)である。また、本来の原点角度から回転角度α6だけ進んだ回転角度(規制回転角度からΔθ+α6の回転角度)で図8(A)のように強火力の位置となる。
本構成では、このような機械的な設定を前提として、各回転角度の正確な位置を補正によって把握している。具体的には、マイクロコンピュータ10が把握するモータM1の回転角度(モータ角度)として、回転角度センサP1で検出された回転角度(原点検出スイッチG1での検出時点からの相対的な回転角度量)そのものを用いるのではなく、回転角度センサP1で検出された回転角度を補正した値をマイクロコンピュータ10が把握する「モータ角度」として用いている。この場合、S104でYesに進むときの回転角度(即ち、原点検出スイッチG1で検出された回転位置(原点位置)のときに回転角度センサP1が示す値で特定される回転角度)とS117でYesに進むときの回転角度(規制回転角度となったときに回転角度センサP1が示す値で特定される回転角度)との差Δθa(即ち、初期化処理で検出された原点位置での実測値と規制回転角度での実測値の差)の基準値Δθからのずれを求め、そのずれ量(Δθ−Δθa)を補正量として回転角度センサP1で検出された回転角度(計測値)を補正すればよい。例えば、上記回転角度差Δθaが基準値Δθよりも大きい場合、ΔθとΔθaの差の絶対値を、回転角度センサP1で検出された回転角度(原点検出スイッチG1での検出時点から実測される相対的な回転角度量)に加えるように補正すればよい。逆に、上記回転角度差Δθaが基準値Δθよりも小さい場合、ΔθとΔθaの差の絶対値を、回転角度センサP1で検出された回転角度(原点検出スイッチG1での検出時点から実測される相対的な回転角度量)から減ずるように補正すればよい。
具体的には、例えば原点検出スイッチG1での検出時点における回転角度センサP1での出力値によって特定される検出回転角度(実測値)から上述のずれ量(Δθ−Δθa)を補正した回転角度を「補正後の原点角度」としている。例えば、上記回転角度差Δθaが基準値Δθよりも大きい場合、原点検出スイッチG1での検出時点における回転角度センサP1での出力値によって特定される検出回転角度(実測値)に、ΔθとΔθaの差の絶対値を加えた回転角度を「補正後の原点角度」とすればよい。逆に、上記回転角度差Δθaが基準値Δθよりも小さい場合、原点検出スイッチG1での検出時点における回転角度センサP1での出力値によって特定される検出回転角度(実測値)に、ΔθとΔθaの差の絶対値を減じた回転角度を「補正後の原点角度」とすればよい。そして、実際の使用時には、この「補正後の原点角度」と、回転角度センサP1での出力値によって特定される検出回転角度(実際の使用時の実測値)との回転角度差を補正後の回転角度θbとし、この補正後の回転角度θbを、マイクロコンピュータ10が把握するモータM1の回転角度(モータ角度)とすればよい。そして、このようにして補正した回転角度θbが、後述するS18.S27、S46、S49、S58、S83、S87、S94、S113、S117、S124などで用いる「モータ角度」となる。なお、本構成では、予め回転角度センサP1の出力値(例えば電圧値)と検出回転角度(回転角度センサP1が示す回転角度)とが対応付けられており、回転角度センサP1から出力値が得られれば、回転角度センサP1が示す検出回転角度(出力値によって特定される回転角度)を把握できるようになっている。
図22のS122の後には、タイマーT43のカウントを開始し(S123)、モータM1の回転角度が補正によって得られた原点を基準として10°以上であるか否かを判断する。モータM1の回転角度が10°以上であればS124にてYesに進み、そうでなければS124にてNoに進む。S124にてNoに進む場合、モータM1を所定の回転速度で正方向に回転させる(S125)。なお、S125での回転速度は、S125が1回目の処理のとき(即ち、トライ回数が1のとき)には所定の回転速度(例えば500pps)で行い、2回目の処理であれば、これよりも低い回転速度(例えば300pps)で行う。そして、S123でのカウント開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判断し、経過していなければS126にてNoに進んでS124以降の処理を繰り返す。S126において、S123から10秒を超えたと判断される場合は、S126にてYesに進み、S127において、「トライ回数」が2回に達しているか否かを判断する。そして、トライ回数が2回に達していなければS127にてNoに進み、トライ回数を1回増やすようにインクリメントし(S128)、所定回転角度量(例えば20°)に相当するパルス数の分だけモータM1を逆方向に回転する(S129)。そして、S129の後には、S123以降の処理を繰り返す。一方、S127にてトライ回数が2回に達していると判断される場合は、S127にてYesに進み、S130でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、モータ異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。また、S124でYesに進む場合には、図16の停止中の処理に移行する。
ここで、図16に戻って、S2以降の処理を説明する。S2にて初期化操作がなされていないと判断される場合にはS2にてNoに進み、点火スイッチ(回転操作部6a)のオン状態を待つ。そして、点火スイッチ(回転操作部6a)に対してオン操作がなされた場合には、S4の処理を終了し、S5の処理を行う。
S5の処理では、所定のブザー音を発し、火力ランプを点灯し、不揮発性メモリEpから記録値(反映値)を読み出す。これにより、以降の処理では、回転角度センサPS1が示す回転角度(実測値)を上述したように補正した回転角度θbを「モータ角度」として用いることができる。
S5の後には、他のバーナ52,53,54が点火、操作中であるか否かを判断し、他のバーナ52,53,54が点火、操作中でなければ、「トライ回数」を「1」に設定し(S7)、タイマーT11のカウントを開始する(S8)。その後、原点検出スイッチG1で検出がなされたか否かを判断する(S9)。検出がなされた場合にはS9にてYesに進み、そうでなければS9にてNoに進む。S9にてNoに進む場合、モータM1を所定の回転速度で逆方向に回転させる。なお、S9での回転速度は、S9が1回目の処理のとき(即ち、トライ回数が1のとき)には所定の回転速度(例えば400pps)で行い、2回目の処理であれば、これよりも低い回転速度(例えば200pps)で行う。そして、S8でのカウント開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判断し、経過していなければS11にてNoに進んでS9以降の処理を繰り返す。S11において、S8から10秒を超えたと判断される場合は、S11にてYesに進み、S12において、「トライ回数」が2回に達しているか否かを判断する。そして、トライ回数が2回に達していなければS12にてNoに進み、トライ回数を1回増やすようにインクリメントし(S13)、所定回転角度量(例えば20°)に相当するパルス数の分だけモータM1を正方向に回転する(S14)。そして、S14の後には、S8以降の処理を繰り返す。一方、S12にてトライ回数が2回に達していると判断される場合は、S12にてYesに進み、S15でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、モータ異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。
S9でYesに進む場合には、「トライ回数」を「1」に設定し(S16)、タイマーT12のカウントを開始する(S17)。その後、モータ角度が上記補正によって得られた原点を基準としてβ1(例えば20°)以上となったか否かを判断する(S18)。モータ角度(補正後の回転角度θb)がβ1以上となった場合にはS18にてYesに進み、そうでなければS18にてNoに進む。S18にてNoに進む場合、モータM1を所定の回転速度で正方向に回転させる(S19)。なお、S19での回転速度は、S19が1回目の処理のとき(即ち、トライ回数が1のとき)には所定の回転速度(例えば500pps)で行い、2回目の処理であれば、これよりも低い回転速度(例えば300pps)で行う。そして、S17でのカウント開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判断し、経過していなければS20にてNoに進んでS18以降の処理を繰り返す。S20において、S17から10秒を超えたと判断される場合は、S20にてYesに進み、S21において、「トライ回数」が2回に達しているか否かを判断する。そして、トライ回数が2回に達していなければS21にてNoに進み、トライ回数を1回増やすようにインクリメントし(S22)、所定回転角度量(例えば20°)に相当するパルス数の分だけモータM1を逆方向に回転する(S23)。そして、S23の後には、S17以降の処理を繰り返す。一方、S21にてトライ回数が2回に達していると判断される場合は、S21にてYesに進み、S24でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、モータ異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。
そして、S18にてYesに進む場合(即ち、モータ角度がβ1に達している場合)には、図17のS25にてガスバーナ51に対応するイグナイタをオン動作する。そして、タイマーT13のカウントを開始し、「トライ回数」を「1」に設定する(S25)。更に、タイマーT14のカウントを開始する。S26の後には、補正によって得られた原点を基準としてモータ角度(補正後の回転角度θb)がβ2(例えば195°)となったか否かを判断する(S27)。モータ角度(補正後の回転角度θb)がβ1以上となった場合にはS27にてYesに進み、そうでなければS27にてNoに進む。S27にてNoに進む場合、S25のタイマーT13開始時点から7秒経過したか否かを判断する(S23)。S25のタイマーT13開始時点から7秒経過している場合にはS28にてYesに進み、そうでない場合にはS28にてNoに進む。S28にてNoに進む場合、モータM1を所定の回転速度で正方向に回転させる(S29)。なお、S29での回転速度は、S29が1回目の処理のとき(即ち、トライ回数が1のとき)には所定の回転速度(例えば500pps)で行い、2回目の処理であれば、これよりも低い回転速度(例えば300pps)で行う。そして、S26でのカウント開始から所定時間(例えば3秒)経過したか否かを判断し、経過していなければS30にてNoに進んでS27に戻る。経過していれば、S30にてYesに進んでトライ回数を1回増やすようにインクリメントし(S31)、S26に戻る。また、S28にてYesに進む場合には、S32でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、不着火異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。
S27でYesに進む場合には、ガスバーナ51での着火が検出されたか否か(具体的には、熱電対51cの起電力が所定閾値を超えたか否か)を判断する(S33)。着火が検出された場合にはS33にてYesに進み、使用中の処理に移行する。着火が検出されない場合には、S33にてNoに進み、S25のタイマーT13の開始から所定時間(例えば7秒)経過したか否かを判断する。経過していない場合には、S34にてNoに進み、S33の判断処理を行う。経過している場合には、S34にてYesに進み、S35でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、不着火異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。
次に、図18を参照し、ガスバーナ51の使用中(着火中)の処理について説明する。
まず、S41において点火スイッチがオフとなったか否か(即ち、回転操作部6aが消火位置に操作されたか否か)を判断する。回転操作部6aが消火位置に操作された場合には、S41にてYesに進み、図19、図20で示す消火中の処理に移行する。一方、回転操作部6aが消火位置に操作されていない場合には、S41にてNoに進み、火力操作があったか否か(即ち、回転操作部6aに対する回転操作があったか否か)を判断する(S43)。そして、火力操作がなければS43にてNoに進み、火力操作があればS43にてYesに進む。S43でYesに進む場合には、他のガスバーナ52,53,54が点火又は火力操作中であるか否かを判断する(S44)。他のガスバーナ52,53,54が点火又は火力操作中であればS44にてYesに進み、そうでなければS44にてNoに進む。
S44にてNoに進む場合は、S43でYesと判断された火力操作(即ち回転操作部6aの回転操作)に対応した目標モータ角度を算出する(S45)。そして、S45の後には、回転角度センサPS1での検出値に基づいて得られるモータ角度(補正後の回転角度θb)がS45で算出された目標モータ角度未満であるか否かを判断する(S46)。そして、S46以降では、S46〜S55において、現在のモータ角度よりも目標モータ角度が大きい場合(即ち、火力を増大する場合)の処理を行い、S56〜S64において、現在のモータ角度よりも目標モータ角度が小さい場合(即ち、火力を減少する場合)の処理を行うようになっている。例えば、S46において、現在のモータ角度(補正後の回転角度θb)が目標モータ角度未満であればS46にてYesに進み、「トライ回数」を「1」に設定し(S47)、タイマーT21のカウントを開始する(S48)。S48の後には、回転角度センサPS1での検出値に基づいて得られるモータ角度(補正後の回転角度θb)がS45で算出された目標モータ角度を超えたか否かを判断し(S49)、超えた場合にはS49にてYesに進み、そうでなければS49にてNoに進む。S49にてNoに進む場合、モータM1を所定の回転速度で正方向に回転させる。なお、S50での回転速度は、S50が1回目の処理のとき(即ち、トライ回数が1のとき)には所定の回転速度(例えば400pps)で行い、2回目の処理であれば、これよりも低い回転速度(例えば200pps)で行う。そして、S48でのカウント開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判断し、経過していなければS51にてNoに進んでS49以降の処理を繰り返す。S51において、S48から10秒を超えたと判断される場合は、S51にてYesに進み、S52において、「トライ回数」が2回に達しているか否かを判断する。そして、トライ回数が2回に達していなければS52にてNoに進み、トライ回数を1回増やすようにインクリメントし(S53)、所定回転角度量(例えば20°)に相当するパルス数の分だけモータM1を逆方向に回転する(S54)。そして、S54の後には、S48以降の処理を繰り返す。一方、S52にてトライ回数が2回に達していると判断される場合は、S52にてYesに進み、S55でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、モータ異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。
一方、S46にてNoに進む場合、「トライ回数」を「1」に設定し(S56)、タイマーT22のカウントを開始する(S57)。S57の後には、回転角度センサPS1での検出値に基づいて得られるモータ角度(補正後の回転角度θb)がS45で算出された目標モータ角度以下であるか否かを判断し(S49)、モータ角度(補正後の回転角度θb)がS45で算出された目標モータ角度以下である場合にはS58にてYesに進み、S43に戻る。一方、S58の判断において、モータ角度(補正後の回転角度θb)がS45で算出された目標モータ角度以下でないと判断される場合には、S58にてYesに進み、モータM1を所定の回転速度で逆方向に回転させる(S59)。なお、S59での回転速度は、S59が1回目の処理のとき(即ち、トライ回数が1のとき)には所定の回転速度(例えば400pps)で行い、2回目の処理であれば、これよりも低い回転速度(例えば200pps)で行う。そして、S57でのカウント開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判断し、経過していなければS60にてNoに進んでS58以降の処理を繰り返す。S60において、S57から10秒を超えたと判断される場合は、S60にてYesに進み、S61において、「トライ回数」が2回に達しているか否かを判断する。そして、トライ回数が2回に達していなければS61にてNoに進み、トライ回数を1回増やすようにインクリメントし(S62)、所定回転角度量(例えば20°)に相当するパルス数の分だけモータM1を正方向に回転する(S63)。そして、S63の後には、S57以降の処理を繰り返す。一方、S61にてトライ回数が2回に達していると判断される場合は、S61にてYesに進み、S64でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、モータ異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。
次に、ガスバーナ51に対して行われる消火中の処理について説明する。
図19、図20に示す消火中の処理の基本動作としては、まず、消火操作に応じてモータM1の駆動軸を原点位置(原点検出スイッチG1で検出される位置)まで戻す動作を行い、この間はS74〜S80の処理を繰り返すようになっている。そして、原点位置まで戻った後には、更にS81からS91の処理を行い、モータM1の駆動軸を上記規制回転角度まで確実に戻す動作を行っている。そして、モータM1の駆動軸が上記規制回転角度まで戻った後には、S92〜S100の処理を行い、モータM1の駆動軸を待機位置(モータ角度10°の位置)に停止させる動作を行っている。
図19に示す消火中の処理では、まず、他のバーナ52,53,54が点火、操作中であるか否かを判断し(S71)、他のバーナ52,53,54が点火、操作中でなければ、「トライ回数」を「1」に設定し(S72)、タイマーT31のカウントを開始する(S73)。その後、原点検出スイッチG1で検出がなされたか否かを判断する(S74)。検出がなされた場合にはS74にてYesに進み、そうでなければS74にてNoに進む。S74にてNoに進む場合、モータM1を所定の回転速度で逆方向に回転させる。なお、S75での回転速度は、S75が1回目の処理のとき(即ち、トライ回数が1のとき)には所定の回転速度(例えば400pps)で行い、2回目の処理であれば、これよりも低い回転速度(例えば200pps)で行う。そして、S73でのカウント開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判断し、経過していなければS76にてNoに進んでS74以降の処理を繰り返す。S76において、S73から10秒を超えたと判断される場合は、S76にてYesに進み、S77において、「トライ回数」が2回に達しているか否かを判断する。そして、トライ回数が2回に達していなければS77にてNoに進み、トライ回数を1回増やすようにインクリメントし(S78)、所定回転角度量(例えば20°)に相当するパルス数の分だけモータM1を正方向に回転する(S79)。そして、S79の後には、S73以降の処理を繰り返す。一方、S77にてトライ回数が2回に達していると判断される場合は、S77にてYesに進み、S80でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、モータ異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。
S74でYesに進む場合には、「トライ回数」を「1」に設定し(S81)、タイマーT32のカウントを開始する(S82)。その後、モータM1の回転角度に変化がないか(具体的には、モータM1の回転角度が1秒以上変化がないか否か)を判断する(S83)。モータM1の回転角度に1秒以上変化がない状態であれば、上記規制回転角度に戻ったものとしてS83にてYesに進み、そうでなければS83にてNoに進む。S83にてNoに進む場合、回転角度センサの故障や空回り等の虞があるのでモータM1を所定の回転速度で逆方向に回転させる。なお、S83での回転速度は、S83が1回目の処理のとき(即ち、トライ回数が1のとき)には所定の回転速度(例えば500pps)で行い、2回目の処理であれば、これよりも低い回転速度(例えば300pps)で行う。そして、S82でのカウント開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判断し、経過していなければS85にてNoに進んでS83以降の処理を繰り返す。S85において、S82から10秒を超えたと判断される場合は、S85にてYesに進み、S86でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、モータ異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。
S83でYesに進む場合、モータM1の回転角度(駆動軸の回転角度)が上述の正常範囲内(例えば、第1回転角度量θ1以上かつ第2回転角度量θ2未満)であるか否かを判断する(S87)。このS87では、S74でYesに進む時点での回転角度からS83でYesに進む時点での回転角度までの回転角度量が上記正規範囲内であるか否かを判断する。そして、正規範囲内でなければ、S87にてNoに進み、S88において、「トライ回数」が2回に達しているか否かを判断する。そして、トライ回数が2回に達していなければS88にてNoに進み、トライ回数を1回増やすようにインクリメントし(S89)、所定回転角度量(例えば20°)に相当するパルス数の分だけモータM1を正方向に回転する(S90)。そして、S90の後には、S82以降の処理を繰り返す。一方、S88にてトライ回数が2回に達していると判断される場合は、S88にてYesに進み、S91でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、モータ異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。
S87でYesに進む場合、図20のS92において、「トライ回数」を「1」に設定し、S93にてタイマーT43のカウントを開始する。そして、S94にてモータM1の回転角度(補正後の回転角度θb)が10°以上であるか否かを判断する。モータM1の回転角度が10°以上であればS94にてYesに進み、そうでなければS94にてNoに進む。S94にてNoに進む場合、モータM1を所定の回転速度で正方向に回転させる(S95)。なお、S95での回転速度は、S95が1回目の処理のとき(即ち、トライ回数が1のとき)には所定の回転速度(例えば500pps)で行い、2回目の処理であれば、これよりも低い回転速度(例えば300pps)で行う。そして、S93でのカウント開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判断し、経過していなければS96にてNoに進んでS94以降の処理を繰り返す。S96において、S93から10秒を超えたと判断される場合は、S96にてYesに進み、S97において、「トライ回数」が2回に達しているか否かを判断する。そして、トライ回数が2回に達していなければS97にてNoに進み、トライ回数を1回増やすようにインクリメントし(S98)、所定回転角度量(例えば20°)に相当するパルス数の分だけモータM1を逆方向に回転する(S99)。そして、S99の後には、S93以降の処理を繰り返す。一方、S97にてトライ回数が2回に達していると判断される場合は、S97にてYesに進み、S100でエラー処理を行う。このエラー処理では、例えばブザー音を4秒鳴らし、モータ異常である旨のエラーコードを図示しない表示部に表示する。また、S94でYesに進む場合には、正常に待機位置にあるとして図16の停止中の処理に移行する。
(本構成の主な効果)
本構成のように、回転部材70の被規制部73bと隣接部材75の規制部75bとが接触する回転角度(規制回転角度)となっているときに回転角度センサP1で検出される値を反映した反映値が把握できれば、この反映値に基づき、実際の使用時に回転角度センサP1が示す値が規制回転角度からどの程度の回転角度量に相当する値であるかをより正確に特定することができる。従って、実際の使用時に駆動軸MS1の回転角度を制御する際には、機械的な接触位置(回転部材70の被規制部と隣接部材75の規制部とが接触する回転角度)を目安として駆動軸MS1を目標とする回転角度に正確に設定しやすくなり、駆動軸MS1の回転角度の設定が製品毎にばらつくような問題を解消しやすくなる。
また、本構成では、ステッピングモータM1,M2,M3,M4の駆動軸の回転角度が所定の原点位置にある状態を検出する原点検出スイッチG1,G2,G3,G4(原点状態検出部)を備えている。例えば、ステッピングモータM1に対応する原点検出スイッチG1を設けることで、原点位置に基づいて駆動軸MS1の回転角度を設定することができ、更に、ステッピングモータM1の駆動軸MS1が原点位置まで戻ったか否かを、回転角度センサP1とは別の方法で検出できるようになる。
但し、この場合、原点検出スイッチG1,G2,G3,G4の位置が、組み付け精度や寸法公差などに起因してばらつくことが懸念される。そこで、本発明では、例えば原点検出スイッチG1によって駆動軸MS1が原点位置にある状態が検出されたときの回転角度センサP1での検出値と、駆動軸MS1が規制回転角度となっているときの回転角度センサP1での検出値とに基づき、原点検出スイッチG1での検出位置(原点位置)を基点とする駆動軸MS1の相対回転角度を補正するための補正値を算出する算出部(マイクロコンピュータ10)を設けている。そして、駆動制御部は、算出部で算出される補正値に基づいて駆動軸MS1の回転角度を定める制御を行う構成となっている。
このようにすれば、原点検出スイッチG1によって駆動軸MS1が原点位置にある状態が検出されたときの回転角度が上述の規制回転角度に対してどの程度の回転角度量の位置であるかをより正確に特定した上で補正を行うことができる。そして、原点位置を基準として回転角度制御を行う場合、原点位置が規制回転位置からどの程度ずれているかをより正確に把握した上で回転角度制御を行うことができるため、原点位置を基準とする回転角度制御において駆動軸MS1を目標とする回転角度により正確に設定しやすくなる。
なお、上記構成に代えて、例えば原点検出スイッチG1によって駆動軸MS1が原点位置にある状態が検出されたときの回転角度センサP1での検出値(検出回転角度)と、駆動軸MS1が規制回転角度となっているときの回転角度センサP1での検出値(検出回転角度)との差Δθaに基づき、予め設定された複数の目標回転角度を補正するようにしてもよい。例えば、図10のような規制回転角度から予め定められた一定値(基準値)Δθだけ進んだ位置が原点位置となるべき回転角度(本来の原点角度)であり、本来の原点角度から回転角度α4だけ進んだ回転角度(規制回転角度からΔθ+α4の回転角度)で図7(A)のように弱火力の位置となり、本来の原点角度から回転角度α5だけ進んだ回転角度(規制回転角度からΔθ+α5の回転角度)で図7(B)のように中火力の位置(点火位置)となり、本来の原点角度から回転角度α6だけ進んだ回転角度(規制回転角度からΔθ+α6の回転角度)で図8(A)のように強火力の位置となるように、弱火力、中火力、強火力の目標回転角度(本来の原点角度からの目標回転角度α4、α5、α6)が定められている場合、原点位置や原点位置からの相対回転角度量を補正せずに、ΔθとΔθaとの差に基づいてこれらの目標回転角度を補正するようにしてもよい。例えば、Δθaが基準値Δθよりも大きい場合、各目標回転角度(本来の原点角度からの目標回転角度量)α4、α5、α6のそれぞれから、ΔθとΔθaの差の絶対値を減じた回転角度を、補正後のそれぞれの目標回転角度(原点位置からの目標回転角度量)とすればよい。逆に、上記回転角度差Δθaが基準値Δθよりも小さい場合、各目標回転角度α4、α5、α6のそれぞれに対し、ΔθとΔθaの差の絶対値を加えた回転角度を、補正後のそれぞれの目標回転角度(原点位置からの目標回転角度量)とすればよい。
また、上記構成に代えて、記憶制御部に相当するマイクロコンピュータ10は、駆動軸MS1が上述の規制回転角度となっているときに回転角度センサP1で検出される値(回転角度センサP1の出力値又はその出力値で特定される検出回転角度)を不揮発性メモリEpに記憶するように構成されていてもよい。この場合、規制回転角度を原点として、不揮発性メモリEpに記憶される値と、回転角度センサP1で検出される値(実際の使用時に計測される値)とに基づいて、駆動軸MS1の回転角度を定める制御を行うようにしてもよい。具体的には例えば、実際の使用時に回転角度センサP1での出力値によって特定される検出回転角度(実際の使用時に計測される値)と、不揮発性メモリEpに記憶される値(例えば、規制回転角度のときの回転角度センサP1での出力値によって特定される検出回転角度)との差を、原点からの回転角度量を示す値(モータ角度)として用い、S18、S27、S46、S49、S58、S83、S87、S94、S113、S117、S124等でこのような「モータ角度」を利用して駆動軸MS1の回転角度を定める制御を行うようにしてもよい。この方法によれば、機械的な接触位置である規制回転角度を原点として、当該規制回転角度を正確に把握した上で回転角度制御を行うことができ、駆動軸MS1を目標とする回転角度により正確に設定しやすくなる。
また、駆動制御部としてのマイクロコンピュータ10は、不揮発性メモリEpに記憶される反映値に基づき、少なくとも点火時に、駆動軸MS1が規制回転角度となっているときの回転角度センサP1での検出値(検出回転角度)に対し点火時用に予め定められた一定値を追加した回転角度で駆動軸MS1を停止させる構成となっている。このようにすることで、規制回転角度から一定量回転した回転角度で安定的に点火を行うことができ、点火時の回転角度が製品毎にばらつきにくくなる。
また、駆動制御部としてのマイクロコンピュータ10は、不揮発性メモリEpに記憶される反映値に基づき、少なくともガスバーナ51で調整可能となる火力範囲において所定の基準火力時(具体的には、図7(A)のような弱火力時、又は図7(B)のような中火力時、若しくは図8(A)のような強火力時)に、駆動軸MS1が規制回転角度となっているときの回転角度センサP1での検出値(検出回転角度)に対しこれら基準火力時用に予め定められた各一定値を追加した回転角度で駆動軸MS1を停止させる制御を行う構成となっている。例えば、図7(A)のような弱火力時には、駆動軸MS1が規制回転角度となっているときの回転角度センサP1での検出値(検出回転角度)に対し、この基準火力時用に予め定められた第1の値を追加した回転角度で駆動軸MS1を停止させる制御を行うようになっている。或いは、図7(B)のような中火力時には、駆動軸MS1が規制回転角度となっているときの回転角度センサP1での検出値(検出回転角度)に対し、この基準火力時用に予め定められた第2の値を追加した回転角度で駆動軸MS1を停止させる制御を行うようになっている。若しくは、図8(A)のような強火力時には、駆動軸MS1が規制回転角度となっているときの回転角度センサP1での検出値(検出回転角度)に対し、この基準火力時用に予め定められた第3の値を追加した回転角度で駆動軸MS1を停止させる制御を行うようになっている。この構成では、規制回転角度から所定量回転した回転角度を基準火力時の回転角度として正確に定めることができ、基準火力時の回転角度が製品毎にばらつきにくくなる。
また、本構成では、駆動軸MS1の回転角度が所定の第1角度範囲内(具体的には、図5(A)のような停止位置から図7(A)のような弱火力の位置となるまでの回転角度範囲内)のときには、弁体98,99を開動作するために必要な駆動軸MS1のトルクが、第2角度範囲(具体的には、図7(A)のような停止位置から図6(A)のような強火力の位置となるまでの回転角度範囲)のときに弁体89を開動作するために必要な駆動軸MS1のトルクよりも大きくなっている。従って、駆動制御部に相当するマイクロコンピュータ10は、回転角度センサPS1で検出される駆動軸MS1の回転角度(具体的には補正後の回転角度θb)が第1角度範囲内のときに弁体98,99を開動作する場合には二相励磁モードでステッピングモータM1を駆動する。一方、駆動軸MS1の回転角度(具体的には補正後の回転角度θb)が第2角度範囲内のときに弁体89を開動作する場合には一相励磁モードでステッピングモータM1を駆動する構成となっている。
この構成では、開閉調整部材を開動作するために必要なトルクが大きくなる第1角度範囲では二相励磁モードでステッピングモータM1を駆動することにより、相対的に高いトルクで駆動軸MS1を安定的に動作させることができる。一方、開閉調整部材を開動作するために必要なトルクが相対的に小さい第2角度範囲では、一相励磁モードでステッピングモータM1を駆動することにより、駆動時の消費電力を抑えることができる。
また、本構成では、図19、図20のように、消火操作がなされた後の消火時に開閉調整部材を閉動作する場合には、駆動軸MS1の回転角度が第1角度範囲及び第2角度範囲のいずれの場合でも二相励磁モードでステッピングモータM1を駆動する構成となっている。消火時には閉動作がより迅速に行われることが望ましいため、このような場合に二相励磁モードでステッピングモータM1を駆動し、より大きい回転速度で駆動軸MS1を回転させれば、開閉調整部材をより迅速に閉状態に切り替えやすくなる。
また、本構成のように、駆動軸MS1によって開閉弁(閉止弁51f,電磁弁51g)と火力調整弁51eをいずれも駆動する場合、開閉弁(閉止弁51f,電磁弁51g)の駆動はより高いトルクでより迅速に行うことが望ましく、火力調整弁51eについてはある程度低いトルクでも動作に支障が生じにくいという事情がある。従って、本構成のように、開閉弁(閉止弁51f,電磁弁51g)を構成する弁体98,99を変位させる際には二相励磁モードでステッピングモータM1,M2,M3,M4を駆動し、火力調整弁51eを構成する弁体89を変位させる際には一相励磁モードでステッピングモータM1を駆動すれば、各回転角度でより適切な駆動力を生じさせつつ、消費電力を抑えやすくなる。
また、本構成では、開閉弁(閉止弁51f,電磁弁51g)は、分岐供給路61(ガス供給路)に介在する第1弁部としての弁体98,99が所定の第1軸(モータM1の回転軸)に沿って当該第1軸の方向に往復動する構成であり、且つ弁体98,99が少なくとも第1軸に沿った所定の向きの付勢(ばね部材91,93,95,97等による付勢)がなされる構成となっている。一方、火力調整弁51eは、分岐供給路61(ガス供給路)に介在する第2弁部としての弁体89が第1軸とは別軸の第2軸に沿って当該第2軸の方向に往復動する構成となっている。そして、駆動軸MS1の回転角度が第1角度範囲内のときには、開閉弁(閉止弁51f,電磁弁51g)の開動作時に所定の向きの付勢に抗して弁体98,99を移動させる構成となっている。このように、所定の向きに付勢されるように弁体98,99が構成される場合、開閉弁の開動作時には、この付勢に抗して弁体89を移動させ得る程度の大きいトルクが必要となる。従って、弁体89を開動作する回転角度範囲(第1角度範囲)のときに二相励磁モードでステッピングモータM1,M2,M3,M4を駆動する構成とすれば、弁体89を付勢する構成を実現しつつ、開動作時にも安定して弁体89を移動させることができるようになる。一方、駆動軸MS1の回転角度が第2角度範囲のときには、弁体98,99(第1弁部)が開位置で維持された状態で駆動軸MS1の変位に応じて弁体89(第2弁部)のみが変位する構成となっている。
また、本構成では、ガスバーナ51,52,53のいずれの経路でも、図18のような使用中の場合において、ステッピングモータM1,M2,M3の駆動軸が火力調整弁51e,52e,53eの弁体(図5等に示す弁体89を参照)を変位させる回転角度範囲(第1角度範囲)の場合、即ち、火力調整弁51e,52e,53eを動作させる回転角度範囲の場合には、ステッピングモータM1,M2,M3のいずれも、火力調整弁の開度を大きくする場合でも、小さくする場合でも、一相励磁モードで動作する構成となっている。このように構成されているため、ガスバーナ51,52,53のいずれか2つ又は3つが同時に使用中になる場合に、回転操作部6a,6b、6cのいずれか2つに対して同時に火力操作がなされても、それら2つの回転操作部に対応するステッピングモータを共に一相励磁モードで電力を抑えて駆動することができる。つまり、火力調整操作がなされた2つの回転操作部に対応するステッピングモータのいずれにおいても消費電力が抑えられるため、いずれか一方のステッピングモータの駆動を強制的に停止せずに電源回路14から供給される電力の範囲内で2つのステッピングモータを同時に動かすことができ、それら2つのステッピングモータに対応する両火力調整弁をいずれも指示された開度に迅速に設定しやすくなる。
また、本構成では、マイクロコンピュータ10(判定部)により駆動軸MS1の回転角度が所定時間内に目標回転角度に到達しなかったと判定された異常時(即ち、S12、S21、S52、S61、S77、S88、S97、S107、S118、S127等でNoに進む時)には、このマイクロコンピュータ10(駆動制御部)により、モータM1に対して所定方向(即ち、その異常判定前のS10、S19、S50、S59、S75、S84、S95、S105、S114、S125等の回転方向)とは反対方向に回転させる反対方向制御信号を与え(S14、S23、S54、S63、S79、S90、S99、S109、S120、S129等参照)、その後、再びモータM1に対して所定方向制御信号を与える構成となっている(S10、S19、S29、S50、S59、S75、S84、S95、S105、S114、S125等参照)。この構成によれば、駆動軸MS1に回転不良が生じた場合に一旦反対方向に回転させることができるため、反対方向の回転時や再度の再度の所定方向の回転時に回転不良の原因(例えば異物の噛み込み等)が除去され易くなる。従って、目標回転角度に到達しない回転不良が生じた場合であってもその回転不良を自動的に解除して動作を安定的に継続しやすく、メンテナンス負担を抑えやすくなる。
また、駆動制御部に相当するマイクロコンピュータ10は、異常時において反対方向制御信号を与えた後に再び所定方向制御信号を与える場合の回転速度を、反対方向制御信号を与える前の所定方向制御信号での回転速度よりも小さくしている。この構成によれば、再度の所定方向の回転時に、前回の所定方向の回転時よりも高いトルクで駆動軸MS1を回転させることができるため、再度の所定方向の回転時に回転不良が解消されやすくなる。また、本構成では、通常時には相対的に高い回転速度で回転させて開閉動作を迅速に行うことができ、回転不良が生じた場合には限定的に回転速度を抑えることで回転不良の解消を図り易くなる。
また、駆動制御部に相当するマイクロコンピュータ10は、異常時にモータM1に対し所定パルス数の反対方向制御信号を与え、所定パルス数の終了後にモータM1に対して再び所定方向制御信号を与える構成となっている。このように、反対方向の回転時には、モータM1の回転角度を回転終了の条件とするのではなく、所定パルス数の終了(即ち、所定時間の経過)を回転終了の条件としているため、反対方向の回転が進まなくても一定時間で反対方向の回転を打ち切って再度の所定方向の回転を試みることができる。従って、再度の所定方向の回転がより早期に行われやすく、回転不良がより迅速に解消されやすくなる。なお、上述の実施形態では、S14、S23、S54、S63、S79、S90、S99、S109、S120において、反対方向(それまでの回転方向(所定方向)に対して反対方向)に回転する際に所定パルス数をカウントし、所定パルス数の終了を反対方向の回転終了の条件としているが、これら処理において、反対方向の回転開始から一定時間をタイマによって計測し、一定時間の経過を反対方向の回転終了の条件としてもよい。このようにしても、同様の効果が得られる。
また、駆動制御部に相当するマイクロコンピュータ10は、異常時に、モータM1に対して反対方向制御信号を与え、その後に再び所定方向制御信号を与える回転切替制御を所定回数行う構成となっており、更に、所定回数の回転切替制御によって駆動軸MS1の回転角度が目標回転角度に到達しなかった場合にエラー報知を行う報知部が設けられている。この構成によれば、反対方向の回転と再度の所定方向の回転が際限なく長時間繰り返される事態を防ぐことができ、代わりに、使用者による対応を促すことができる。また、回転不良を解消できない場合に限定して使用者による対応を促すことができるため、メンテナンス負担をより抑えることができる。なお、本構成では、S15、S24、S32、S55、S64、S80、S91、S100、S110、S121、S131等の報知処理を行うマイクロコンピュータ10及び報知手段(ブザーや表示部)が報知部の一例に相当する。