JP3789382B2 - ガス流量制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガステーブルのバーナに対して供給されるガスの流量を制御するガス流量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のガス流量制御装置としては、たとえば特開平11−63505号公報により、ガスバーナへのガス供給路の途中に介設され、直線方向に進退することによりガス供給路の通路面積を増減するガス量調節子であるニードル弁と、このニードル弁を進退させる電動モータおよび手動操作によりニードル弁を進退させる手動操作部とを備えたものが知られている。
【0003】
この公報に記載されたものでは、手動操作部としてガスコンロの前面操作パネルに開設した水平方向に長手のスリット穴から前方に突出するレバーを手動操作部として設け、このレバーをスリット穴内において左右にスライドさせることによりニードル弁を進退させ、火力の調節を行うように構成されている。
【0004】
そして、このレバーの揺動中心部近傍に、電動モータによりレバーをスライドさせる駆動ユニットを取り付け、火力を自動制御する際にはこの電動モータの駆動力を駆動ユニットを介してレバーに伝達するように構成されている。
【0005】
この駆動ユニットは、ループ状のベルトを電動モータの回転軸に係合させ、かつレバーに係合するスライド部材をこのベルトの一部に固定し、電動モータを駆動することによりスライド部材がスライドし、そのスライド部材に係合しているレバーを連動してスライドさせている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載された従来のものでは、電動モータの回転速度が減速されることなくそのままの状態でレバーに作用するように構成されている。従って、電動モータの回転速度が速いとレバーが高速でスライドし、きわめて使用しづらいものとなる。そのため、電動モータは通常の使用状態より低速で回転させて使用しなければならない。
【0007】
ところが、電動モータは効率よく回転する回転速度が比較的高速回転領域に設定されており、効率がよい回転速度範囲よりも低速で回転させると通常の使用状態よりも大きなトルクが発生するが、より多くの電流が流れ、非常に効率の悪い状態で回転することになる。
【0008】
従って、上記公報に記載された構成では、電動モータを効率の悪い状態で回転させなければならないため大きな電動モータを用いなければならない。このように電動モータで火力調節を自動で行うガステーブルでは、電源として乾電池を用いる場合があり、大きな電動モータを効率の悪い状態で使用すると電池の寿命を著しく短縮してしまうという不具合が生じる。
【0009】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、電動モータを用いて火力調節を行う場合に、特に電池を電源とする場合であっても電池の寿命を長くすることのできるガス流量制御装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明によるガス流量制御装置は、ガスバーナへのガス供給路の途中に介設され、ガス供給路の通路面積を増減するガス量調節子と、このガス量調節子を駆動させる電動モータおよび手動操作によりガス量調節子を駆動させる手動操作部とを備えたガス流量制御装置において、上記電動モータの回転速度を減速しガス量調節子に対する駆動力を発生させる減速機構を設けると共に、上記手動操作部を操作する手動による操作力を増速機構を介してこの減速機構に連結し、減速機構の少なくとも一部を介してガス量調節子に伝達しガス量調節子を駆動させることを特徴とする。
【0011】
本発明では、電動モータの回転速度を減速機構により減速している。そのため、電動モータを高速で回転させても、ガス量調節子を低速で駆動させることができる。そして、電動モータを高速で回転させると効率よく回転するので電動モータを小さくすることができ、電動モータの消費電力を少なくすることができる。また、手動操作部からの操作力は減速機構を介してガス量調節子に伝達されるため火力の微調節を行いやすく、また適度な抵抗感を得ることができ、操作性がよい。
【0012】
上記減速機構としては、たとえば複数のギヤからなるギヤトレインで構成してもよい。
【0013】
また、上記手動操作部は回動式のつまみであり、このつまみの一部にギヤ部を形成し、このギヤ部で上記増速機構に連結させれば、たとえばガステーブルの前面パネルにスリット状の開口を開設する必要がなく、デザイン性を向上させることができる。
【0014】
さらに、上記手動操作部を環状に形成し、点消火を行う点消火ボタンを手動操作部の環状内側に配設すれば、手動操作部と点消火ボタンとを1カ所に設けることができ、デザイン性がさらに向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1および図2を参照して、1は本発明による流量制御装置である。この流量制御装置1はガスが供給される導入口11を備えており、この導入口11から内部にガスを導入し、流量を制御して排出口12から図外のガスバーナへとガスを供給するものである。この流量制御装置1の前部には押しボタン式の点消火ボタン13が設けられている。この点消火ボタン13を押し操作すると、流量制御装置1に内蔵されているロッド10が後方へと押され、ロッド10に固定されている開閉弁16が開弁する。また、ロッド10の後端が安全弁15を押し開ける。
【0016】
また、点消火ボタン13が押されたことを点消火スイッチ14が検出して電動モータ2を作動させ、ニードル弁4を中火位置に強制的に移動させる。すると、導入口11からのガスはニードル弁4で中火に応答する流量に制御されて排気口12からバーナへと供給される。また、同時にバーナの近傍に配設した図外の点火プラグが作動してバーナとの間に火花放電を発生させてバーナへの点火が行われる。
【0017】
バーナの近傍には更に熱電対が配設されており、バーナが点火されると熱電対が加熱され熱起電力が発電される。その熱起電力は電磁石ユニット14に供給され、安全弁15を開弁状態で保持する。その後点消火ボタン13から手を離すと、ロッド10はプッシュプッシュ機構17によって中間位置まで戻され、安全弁15から離れる。なお、開閉弁16は開弁状態のままロッド10と共に保持される。
【0018】
3は手動式の火力調節つまみであり、この火力調節つまみ3を回動させると減速機構5を介してニードル弁4が進退し、バーナへ供給されるガスの流量が増減制御される。
【0019】
図3を参照して、火力調節つまみ3の後端にはギヤ部31が形成されており、このギヤ部31が減速機構5に係合することによって、火力調節つまみ3の回動力が減速機構5に伝達される。ケース本体1aには1対の長窓1bが形成されており、火力調節つまみ3の弾性片32が長窓1b内に係合することによって火力調節つまみ3はケース本体1aから外れることなく回動することができる。
【0020】
一方、ケース本体1aの上面には減速機構5の出力軸であるピニオンギア51が突出している。そしてこのピニオンギヤ51にラック61が係合する。このラック61はケース本体1aの上面に形成されたL字状のガイド18によって進退自在にガイドされる。このラック61には板状のカム部62とU字状の係合部63とが一体に連結されている。ラック61は上方からブラケット64で覆われており、このブラケット64にはマイクロスイッチ7が取り付けられる。このマイクロスイッチ7はカム部62によってオンされる。なお、本実施の形態ではマイクロスイッチ7は2段階に差動する接点を内蔵しており、プローブ71が1段押し込まれると第1の接点がオンし、更に2段まで押し込まれると第2の接点がオンするように構成されている。
【0021】
また、係合部63にはニードル弁4の端部に突設された係合ピン41が係合し、ラック61が進退すると、係合ピン41を介してニードル弁4がラック61に連動して進退する。
【0022】
上述の減速機構5は複数のギヤからなるギヤトレインにより構成されており、ケース本体1a内に格納されている。図4を参照して、減速機構5の途中に係合している電動モータ2が作動すると、電動モータ2の回転は出力軸であるピニオンギヤ51に伝達されるまでに減速される。回転速度は減速されるが逆にトルクは増幅されピニオンギヤ51に伝達される。従って、電動モータ2を効率のよい高速回転で作動させても、ピニオンギヤ51は低速で、かつ高トルクで回転する。そのため、ラック61を安定して進退させることができる。
【0023】
また、本実施の形態では、減速機構5のギヤトレインの端部に火力調節つまみ3のギヤ部31を係合させた。これにより、電動モータ2を作動させない状態で火力調節つまみ3を回動すると、その回動力はギヤトレインの端部からピニオンギヤ51に伝達され、同じくラック61を進退させることができる。
【0024】
係合部63には上述のように、ニードル弁4の係合ピン41が係合しているので、電動モータ2が作動しても火力調節つまみ3を回動してもラック61が進退し、これに連動してニードル弁4も進退する。
【0025】
図5では、ニードル弁4が弱火状態に相当する位置にある状態を示しているが、ニードル弁4が2点鎖線で示す位置まで引き出されると、排出口12からバーナへ供給されるガスの流量は強火状態に相当する流量となる。
【0026】
なお、ニードル弁4の進退位置は上記マイクロスイッチ7で検知することができる。すなわち、ニードル弁4が押し込まれ弱火状態ではマイクロスイッチ7の2つの接点は共にオフになっている。そしてニードル弁4が引き出され、所定の中火状態になると、カム部62によってマイクロスイッチ7の第1の接点がオンになる。更にニードル弁4が引き出され強火状態になると同じくカム部62によってマイクロスイッチ7の第2の接点がオンする。
【0027】
本実施の形態の流量制御装置は、通常の火力調節は火力調節つまみ3によって行い、自動制御を行う際には電動モータ2で火力調節を行うことができる。電動モータ2で自動制御を行う場合には、ニードル弁4の開度をマイクロスイッチ7で検知することによってフィードバック制御をすることができる。すなわち、火力を弱火にする場合にはマイクロスイッチ7がオフになるまで電動モータ2を作動させてニードル弁4を閉弁方向に移動させればよく、中火にする場合には弱火側からでは第1の接点がオンするまで電動モータ2を作動させることによってニードル弁4を開弁し、強火側からでは第1の接点がオフになるまで電動モータ2を作動させてニードル弁4を閉弁させればよい。また、強火にする場合には第2の接点がオンするまで電動モータ2を作動させてニードル弁4を開弁させればよい。
【0028】
ここで、中火位置は必要に応じて設定すればよいが、ガスバーナで炊飯を行う場合には炊飯に適した火力を中火として設定することが望ましい。また、火力調節をスライド式のレバーで行う従来のものでは、スリット窓を開口しなければならず、操作パネルのデザインが損なわれていた。ところが本実施の形態では、火力調節つまみ3の外形が円形であるため、ガステーブルに組み付けた場合に、操作パネルと火力調節つまみ3との間に無駄な隙間が生じず、デザイン性を高めることができる。更に、火力調節つまみ3の内側に点消火ボタン13を配置したので更にデザイン性を高めることができる。
【0029】
ところで、上記実施の形態では、ガス量調節子としてニードル弁を用いたものを示したが、ガス量調節子は他の形式のものを採用してもよい。例えば、図6に示すように、中空の回転子81をギヤ82を介してピニオンギヤ51に係合させ、電動モータ2や火力調節つまみ3によって回転子81を回転させるようにした。この回転子81の円筒周壁に各々位相が相違する貫通口83を設け、この貫通口83とケーシングに形成したガス通路84が一致すると導入口86から排出口87へのガスが流れるようにした。なお、85はガス流量をガス種に応じて設定する整流板である。
【0030】
また、図7に示すように、同一円周上に所定の長さにわたって形成された長穴93が形成された回転板92を、ピニオンギヤ51に対してギヤ91を介して連結させ、電動モータ2および火力調節つまみ3によって回転板92を回転させるように構成した。この回転板92の上面には相互に大きさの異なる複数の貫通口93aが形成された固定板93が配設されている。従って、導入口95から導入されたガスは、回転板92が回転し、長穴93と一致した貫通口93aを通って上方へと排出される。なお、94は整流板である。
【0031】
更に、図8に示すように、導入口103に連通するガス通路101を開閉するスライド式の開閉子102を上述のラック61に連結し、開閉子102をスライドさせることによりガス通路101の開口面積を増減させるようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、電動モータの回転力を減速機構を介してニードル弁に伝達させるようにしたので、電動モータを小型化でき、かつその電動モータを効率よく運転することができるので、電動モータが消費する電力を可及的に減少させることができ、特に電池を電源とする場合には電池の寿命を延ばすことができる。また、手動操作部からの操作力は減速機構を介してガス量調節子に伝達されるため火力の微調節を行いやすく、また適度な抵抗感を得ることができ、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】流量制御装置の断面図
【図3】主要部の分解斜視図
【図4】減速機構の構成を示す図
【図5】ニードル弁の近傍を示す部分拡大図
【図6】第2の実施の形態の構成を示す図
【図7】第3の実施の形態の構成を示す図
【図8】第4の実施の形態の構成を示す図
【符号の説明】
1 流量制御装置
2 電動モータ
3 火力調節つまみ
4 ニードル弁
5 減速機構
7 マイクロスイッチ

Claims (4)

  1. ガスバーナへのガス供給路の途中に介設され、ガス供給路の通路面積を増減するガス量調節子と、このガス量調節子を駆動させる電動モータおよび手動操作によりガス量調節子を駆動させる手動操作部とを備えたガス流量制御装置において、上記電動モータの回転速度を減速しガス量調節子に対する駆動力を発生させる減速機構を設けると共に、上記手動操作部を操作する手動による操作力を増速機構を介してこの減速機構に連結し、減速機構の少なくとも一部を介してガス量調節子に伝達しガス量調節子を駆動させることを特徴とするガス流量制御装置。
  2. 上記減速機構は複数のギヤからなるギヤトレインで構成されていることを特徴とする請求項1記載のガス流量制御装置。
  3. 上記手動操作部は回動式のつまみであり、このつまみの一部にギヤ部を形成し、このギヤ部で上記増速機構に連結させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス流量制御装置。
  4. 上記手動操作部を環状に形成し、点消火を行う点消火ボタンを手動操作部の環状内側に配設したことを特徴とする請求項3に記載のガス流量制御装置。
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