JP6143292B2 - ポリビニルアセタールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリビニルアセタールの製造方法に関し、さらに詳しくは、ポリビニルアルコール(以下「PVA」ということがある)系樹脂とアルデヒドをアセタール化反応させることによりポリビニルアセタールを製造する際に、反応後の混合物から未反応アルデヒドを効率的に除去することのできるポリビニルアセタールの工業的有利な製造方法に関するものである。
PVA系樹脂とアルデヒドとをアセタール化反応させることにより得られるポリビニルアセタールは、上記アルデヒドの種類を適宜選択することによって、各種所望の物性を備えたものを製造することができ、これらポリビニルアセタールは、例えば、塗料、膜材、シート等の各種用途に用いることができる。
このポリビニルアセタールの製造方法としては、通常、PVA系樹脂を酸触媒の存在下、トルエンなどの有機溶剤中でアルデヒドとアセタール化反応させる方法が一般的に知られているが、この反応におけるアルデヒドの反応率は低く反応混合物中に多量の未反応アルデヒドが残留することとなる。従来、アセタール反応後の混合物にメタノールなどの貧溶媒を加え、析出したポリビニルアセタールを分離し、これをトルエンなどの有機溶媒で繰り返し洗浄することにより、未反応アルデヒドを除去する方法が知られているが、この場合、有機溶媒の洗浄廃液が増大することになるので、その改善策として洗浄に用いた有機溶媒をポリビニルアセタールを析出させる工程に再利用する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2000−297116号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示のポリビニルアセタールの製造方法でも、最終的に分離されたポリビニルアセタールの洗浄廃液は再利用されるものの、貧溶媒であるメタノールによる析出及び分離後のポリビニルアセタールのトルエンによる溶解、洗浄などを繰り返し行なう必要があるため、工業操作上、好ましいとはいえなかった。
本発明は、上記事情に鑑み、PVA系樹脂のアセタール化反応により得た反応混合物から、未反応アルデヒドを効率的に除去することのできる工業的に有利なポリビニルアセタールの製造方法を提供するものである。
本発明者は、このような観点で検討した結果、アセタール反応後の混合物に亜硫酸水素アルカリ金属塩の水溶液を混合することにより、未反応アルデヒドを水溶性塩として水層に除去する方法を採用すると、貧溶媒および大量の洗浄有機溶媒を用いなくてもよく工業的に望ましいプロセスになり得ることに着目した。
ところが、この方法では、反応混合物に亜硫酸水素アルカリ金属塩水溶液を混合した後の、該混合液の分液性が悪く、そのため、分液により回収したポリビニルアセタールを含む有機溶媒層の処理操作において悪影響が出る欠点がある。
そこで、本発明者は、更に検討を続けた結果、アセタール反応後の混合物に、残留するアルデヒドに対して特定量以上の亜硫酸水素アルカリ金属塩及び、特定量以上の水を混合することより、未反応アルデヒドが水溶塩化され、かつ、該混合液の分液性が向上するとともに、分液後の有機溶媒層の取り扱い性も良好となり工業的に有利なプロセスとなることを見出し本発明に想到した。
《本発明の要旨》
すなわち、本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系樹脂とアルデヒドを芳香族炭化水素溶媒中、酸触媒の存在下、反応させ、ポリビニルアセタールを含有する反応混合液を得る工程、上記反応混合液に、該液中に残留するアルデヒドに対して1モル当量以上の亜硫酸水素アルカリ金属塩を含有する水を0.5重量倍以上混合し、残留アルデヒドを硫酸アルカリ金属塩の水性塩とする工程、上記亜硫酸水素アルカリ金属塩を含有する水を混合した混合液を、ポリビニルアセタールを含有する芳香族炭化水素溶媒層と、上記水性塩を含有する水層とに分液し、ポリビニルアセタールを含有する芳香族炭化水素溶媒層を回収する工程、とを備えたことを特徴とするポリビニルアセタールの製造方法に存するものである。
本発明は、PVA系樹脂とアルデヒドを反応させることにより得られたポリビニルアセタールを含有する反応混合液に、上記反応混合液中に残留するアルデヒドに対して特定量以上の亜硫酸水素アルカリ金属塩を含有する水を特定量以上混合して、上記残留アルデヒドと硫酸アルカリ金属塩の水性塩を形成させた後、上記反応混合液を、ポリビニルアセタールを含有する芳香族炭化水素溶媒層と、上記残留アルデヒドと硫酸アルカリ金属塩の水性塩を含有する水層とに分液して、ポリビニルアセタールを含有する芳香族炭化水素溶媒層を回収するため、メタノールなどの貧溶媒を用いることなく、また、回収したポリビニルアセタールを大量のトルエンなどの有機溶媒で繰り返し洗浄する必要もなく、更に、反応混合液に亜硫酸水素アルカリ金属塩の水溶液を混合した後の分液性が良好であるため、その後の操作性も良好となり、工業的製法として優れたものである。
そして、上記芳香族炭化水素溶媒層と水層とに分液する工程に続いて、上記芳香族炭化水素溶媒層を共沸脱水することにより上記芳香族炭化水素溶媒層から水分を除去する工程を加え経由すると、より一層精製されたポリビニルアセタールを含有する芳香族炭化水素溶媒層を回収することが可能となる。
本発明の実施例におけるアセタール化反応に使用した反応装置を示す概略図である。 本発明の実施例における共沸脱水工程にて使用した脱水装置を示す概略図である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に限定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
[1]《アセタール化反応工程》
本発明においては、まず、芳香族炭化水素溶媒中、酸触媒の存在下、PVA系樹脂とアルデヒドとを反応させ、ポリビニルアセタールを含有する反応混合液を得るが、このアセタール化反応は公知であり、公知法に従って実施することができる。このアセタール化反応は、反応初期においてはPVA系樹脂の粉末が芳香族炭化水素溶媒中に分散しているが、反応の進行とともに生成したポリビニルアセタールは前記溶媒に溶解し、最終的には前記溶媒の溶液となる。
〈PVA系樹脂〉
原料となるPVA系樹脂は、通常、ビニルエステル系化合物を重合して得られたビニルエステル系重合体をケン化することにより得られるものであり、上記ビニルエステル系化合物としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸等があげられ、実用上は酢酸ビニルが好適である。
なお、ビニルエステル系化合物は場合により2種以上用いてもよい。
上記PVA系樹脂の平均ケン化度としては、通常80〜99.9モル%、好ましくは85〜99.5モル%である。平均ケン化度が低いと、ポリビニルアセタールの軟化点が低くなる傾向があり、高いと、再分散し難くなる傾向がある。なお、上記の平均ケン化度は、JIS K 6726に記載のケン化度の算出方法に従って求めることができる。
また、上記PVA系樹脂の平均重合度としては、通常50〜3,000、好ましくは200〜2,000、特に好ましくは200〜1,500である。上記平均重合度が低いと、製造されるポリビニルアセタールの強度が低下する傾向があり、高いと、得られたポリビニルアセタール溶液の粘度が高くなる傾向がある。なお、上記の平均重合度は、JIS K 6726に記載の平均重合度の算出方法に従って求められる。
本発明において用いられるPVA系樹脂としては、通常はビニルエステルの重合体のケン化物があげられるが、場合によっては共重合物または後変性物であってもよい。上記後変性物の変性度は、通常20モル%以下、好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
上記変性PVA系樹脂としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基をはじめとするアニオン性基で変性されたアニオン変性PVA系樹脂、4級アンモニウム基を含むカチオン基で変性されたカチオン変性PVA系樹脂、アセトアセチル基、ジアセトンアクリルアミド基、メルカプト基、シラノール基をはじめとする各種官能基等により変性された変性PVA系樹脂や、側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂等をあげることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
これらPVA系樹脂は粉末として反応に供される。
〈アルデヒド〉
もう一方の原料として用いられるアルデヒドとしては、例えば、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピオンアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等の芳香族アルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等の炭素数1〜5の脂肪族アルデヒド等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができるが、製造すべき目的とするポリビニルアセタールの物性に応じて選択され、一般的にはフェニルアセトアルデヒド、もしくはブチルアルデヒド単独、またはこの併用が好適に用いられ、併用の場合にはフェニルアセトアルデヒドに対して0.1〜0.8mol倍のブチルアルデヒドを用いるのが好ましい。
2種類以上のアルデヒドを用いる場合、各々のアルデヒドは反応系に同時に加えてもよいし、別々に加えてもよい。
上記アルデヒドの使用量は、通常、上記PVA系樹脂の水酸基2molに対してアルデヒドが、好ましくは0.1〜2mol、特に好ましくは0.7〜1.5mol、さらに好ましくは0.7〜1molである。そして、2種類以上のアルデヒドの併用において、例えば、上記脂肪族アルデヒドと芳香族アルデヒドの併用における両者の割合(mol比)は、好ましくは脂肪族アルデヒド:芳香族アルデヒド=0.05:1〜0.5:1であり、特に好ましくは脂肪族アルデヒド:芳香族アルデヒド=0.1:1〜0.3:1である。
〈芳香族炭化水素溶媒〉
アセタール化反応に用いる芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、アニソール、メシチレン、キシレン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。中でも、工業的にはトルエンが実用上好ましく用いられる。
芳香族炭化水素溶媒の使用量は、原料である上記PVA系樹脂とアルデヒドの合計仕込み量に対して、通常1〜10重量倍、好ましくは6〜8重量倍である。
〈酸触媒〉
上記アセタール化反応において用いられる酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、硼酸等の鉱酸、タングスト燐酸、モリブド燐酸、タングスト珪酸、モリブド珪酸等のヘテロポリ酸、強酸性イオン交換樹脂等の固体酸、および、これらの部分中和塩等の酸、ならびに、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸、蟻酸、酢酸、ラウリン酸、オレイン酸等の有機カルボン酸、樹脂等の有機酸等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。中でも、鉱酸,有機スルホン酸が好ましく用いられ、具体的には、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸が好ましく用いられる。特に好ましくは、コストおよび反応後の中和・除去の容易さから、塩酸が用いられる。
上記酸触媒の使用量は、反応混合液重量100重量部に対して、通常0.2〜1重量部、好ましくは0.2〜0.7重量部である。
〈アセタール化反応条件〉
上記生成原料を用いたアセタール化反応における温度としては、通常、20〜90℃、好ましくは40〜70℃である。また、圧力としては、通常、常圧下または減圧下であり、好ましくは常圧下である。そして、反応時間としては、通常、3〜10時間、好ましくは4〜7時間である。
アセタール化反応は、通常、還流冷却器及び撹拌機を備えた加熱ジャケットを有する槽型反応器を用いて実施される。例えば、反応器に所定量の芳香族炭化水素溶媒、PVA系樹脂の水溶液、アルデヒドを仕込み、これを撹拌し均一溶液状態とした後、酸触媒を加え、所定のアセタール化条件にて、PVA系樹脂とアルデヒドとを反応させる(アセタール化反応)ことにより、ポリビニルアセタールを含有する反応混合液を得ることができる。
この反応においては多量の未反応アルデヒドが残留することとなる。
特に、フェニルアセトアルデヒドなどの芳香族アルデヒドを原料とした場合には、反応率が低く多量の未反応物が残るので、本発明の処理工程の適用効果は大きい。
上記アセタール化反応の終了時における残存アルデヒド(未反応アルデヒド)量は、例えば、つぎのようにして定量分析を行なうことができる。すなわち、アセタール化反応終了後、反応混合液を採取し、芳香族炭化水素溶媒にて2倍量に希釈して、GC・7890A(Agilent社製)−MS・5975C(Agilent社製)(ガスクロマトグラフ質量分析計)カラムHP−5MSにて含有するアルデヒドおよび不純物の量を定量することができる。
[2]《亜硫酸水素アルカリ金属塩の混合工程》
本発明においては、上記アセタール化反応工程にて得られたポリビニルアセタールを含有する反応混合液に、特定量以上の濃度の亜硫酸水素アルカリ金属塩及び特定量以上の水を混合することを必須要件とする。具体的には、亜硫酸水素アルカリ金属塩の水溶液を特定量以上混合する。この操作により、下記に示すように、残存アルデヒドと亜硫酸水素アルカリ金属塩とが反応し、相当する水溶性塩であるヒドロキシスルホン酸金属塩を生成させることにより上記反応混合液中の残存アルデヒドをトラップするのである。
Figure 0006143292
〈亜硫酸水素アルカリ金属塩〉
亜硫酸水素アルカリ金属塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等、好ましくは亜硫酸水素ナトリウムがあげられる。
上記亜硫酸水素アルカリ金属塩の使用量としては、反応混合液中に残留するアルデヒドに対して1mol当量以上であり、好ましくは1〜10mol当量、特に好ましくは1〜5mol当量、更に好ましくは1〜3mol当量、殊に好ましくは1〜2mol当量である。亜硫酸水素アルカリ金属塩の使用量が少ないと、反応混合液(アセタール化液)と亜硫酸水素アルカリ金属塩の水溶液が高度に乳化される傾向にあり、芳香族炭化水素溶媒層と水層との分液性が悪いうえ、例えば、後の共沸脱水工程〜濾過工程における濾過残渣量が極めて大きくなり、濾過操作が困難となり長時間を要したり、濾過そのものができなくなる。また、亜硫酸水素アルカリ金属塩の使用量が多すぎても発明の効果には変わりなく経済的ではない。
上記亜硫酸水素アルカリ金属塩を含有する水(水溶液)の使用量は、反応混合液全量に対して、0.5重量倍以上であり、好ましくは0.5〜4重量倍、特に好ましくは0.5〜3.5重量倍、更に好ましくは0.5〜3重量倍、殊に好ましくは0.5〜2.5重量倍である。この水の使用量が少なすぎると、反応混合液の芳香族炭化水素溶媒と水が乳化分散して分液操作が困難になるとともに、脱水工程後の析出物の量が大量となって、濾過が困難となったり、あるいは濾過に長時間を要することとなる。
また、水の使用量が多すぎても発明の効果には変わりはないので、処理対象量が大きくなり操作面、経済面から望ましくない。
上記反応混合液に対する亜硫酸水素アルカリ金属塩の水溶液の配合方法としては、撹拌を停止した状態にて配合するか、または低速撹拌下にて配合することが好ましく、特に好ましくは撹拌を停止した状態にて配合する方法があげられる。なお、上記低速撹拌とは、具体的には、撹拌羽根の周速でおおよそ、0.5m/s以下が好ましい。
上記亜硫酸水素アルカリ金属塩の水溶液の配合において、残存する未反応アルデヒドと酸性亜硫酸水素アルカリ金属塩とが反応して、上記残留アルデヒドと硫酸アルカリ金属塩の水性塩(ヒドロキシスルホン酸金属塩)を生成するが、この生成した化合物は強力な乳化剤として作用する傾向があるため、高速撹拌下にて配合した場合、芳香族炭化水素溶媒層と水層とが混合されて、系を乳化させることとなる。この乳化は、次工程の分液工程での静置時間の延長、および、芳香族炭化水素溶媒層へ水分や分解生成物等を乳化分散させ同伴させるため、分液後の脱水操作の析出物を増加させ、濾過量の増大や濾過時間の延長、場合によっては濾過不能等の不都合を招くことがあるため好ましいものでない。従って、上記亜硫酸水素アルカリ金属塩の配合に際しては、上述のように、撹拌を停止した状態、もしくは低速撹拌状態を維持して行なうことが好ましい。
〈混合条件〉
上記亜硫酸水素アルカリ金属塩の水溶液の混合工程の処理時間は、通常1〜10時間、好ましくは2〜5時間である。また、その際の処理温度は、通常20〜100℃、好ましくは30〜80℃である。
上記亜硫酸水素アルカリ金属塩の水溶液の混合工程の処理において、上記反応混合液が乳化・混合することなく容易にポリビニルアセタールを含有する芳香族炭化水素溶媒層と、上記残留アルデヒドと硫酸アルカリ金属塩の水性塩を含有する水層とに分液することが可能となる点から、水層の撹拌レイノルズ数(Re)を1,000〜25,000の範囲に制御して撹拌することが好ましく、特に好ましくは2,000〜25,000、更に好ましくは3,000〜25,000、殊に好ましくは5,000〜20,000である。撹拌レイノルズ数(Re)が小さすぎると、残留アルデヒドの分解速度が遅くなりすぎ、撹拌レイノルズ数(Re)が大きすぎると、水層と反応混合液との乳化が起こり、分液が難しくなったり、脱水工程での脱水量が増加し、熱エネルギーロスが大きくなる。
上記水層の撹拌レイノルズ数(Re)は、下記の式(1)にて算出される値である。なお、水層の温度は、60℃である。
撹拌レイノルズ数(Re)=(ρ・n・d2)/μ・・・(1)
〔式(1)中、ρ:水層密度[kg/m3]、n:撹拌回転数[rps]、d:撹拌翼スパン[m]、μ:水層粘度[Pa・s]である。〕
上記使用される亜硫酸水素アルカリ金属塩は、過剰に添加されることから、後の分液によって回収される水層を残留アルデヒドのトラップ効果が持続する限り繰り返し使用することが可能である。繰り返し使用可能な回数(リサイクル回数)としては、未反応アルデヒド(残留アルデヒド)全量モル数に対する添加された亜硫酸水素アルカリ金属塩モル数の整数部分回数である。例えば、(添加された亜硫酸水素アルカリ金属塩モル数)/(未反応アルデヒド全モル数)=3.66の場合、その整数部分である「3」が全使用回数、すなわち、リサイクル回数である。
[3]《分液操作工程》
上記亜硫酸水素アルカリ金属塩の混合工程の終了後、生成したヒドロキシスルホン酸金属塩(水溶性塩)を含有する反応混合液を分液器に移し、所定の条件にて静置した後、上層(芳香族炭化水素溶媒層)と下層(水層)に分離した反応混合液の下層(水層)部分を分液する。
本発明によれば、ポリビニルアセタールを含む芳香族炭化水素層と、未反応アルデヒドがトラップされた水溶性塩と亜硫酸水素アルカリ金属塩を含む水層とを良好に分液することができる。
〈分液条件〉
静置温度は、通常5〜30℃、好ましくは15〜25℃であり、静置時間は、通常3〜10時間、好ましくは3〜5時間である。
本発明では前記分液工程により未反応アルデヒドが1重量%以下、特に0.1重量%以下に除去されたポリビニルアセタールは用途によってそのまま利用することも可能だが、通常、上記分液操作工程の後の芳香族炭化水素溶媒層を、共沸脱水工程を経由することにより、上層に存在する水分を除去することが好ましい。
<共沸脱水>
共沸脱水は、常法に従って芳香族炭化水素溶媒層を、通常、窒素雰囲気で撹拌下、加熱し共沸して留出する水を芳香族炭化水素溶媒とともに分留することにより実施することができる。共沸脱水の条件としては、例えば、液温92〜105℃で、塔頂温度が70〜75℃である。また、共沸脱水に要する時間は、上層(芳香族炭化水素溶媒層)に含まれる水分量により適宜設定されるが、具体的には、通常0.5〜1.5時間程度である。
[4]《回収工程》
共沸脱水後の芳香族炭化水素溶媒は水に溶解していた水溶性塩などの不純物が析出することになるため、通常、該溶媒を常温まで冷却することにより、不純物を晶析させる。ついで、これを、例えば加圧濾過などの固液分離により析出した不純物を分離除去する。
そして、更に、必要に応じて、分離した芳香族炭化水素溶媒に、例えば炭酸ナトリウムなどのアルカリを加え中和することにより、溶液中に残留する酸触媒を中和析出させ、これを固液分離することにより、更に精製された高品質のポリビニルアセタール含有芳香族炭化水素溶液を得ることができる。
芳香族炭化水素溶液中にポリビニルアセタール濃度は、用途によって適宜選択されるが、通常1〜30重量%、好ましくは6〜10重量%である。
なお、前記中和処理は共沸脱水工程の前に行なってもよい。
上記操作により精製された高品質のポリビニルアセタールを含有する芳香族炭化水素溶媒層が回収されるが、このポリビニルアセタールを含有する芳香族炭化水素溶媒は高品質であるため多種用途に向けた製品として供することができ、例えば、塗料、被膜形成材料、シート形成材料、各種記録部材等の各種用途として有用である。
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」は、重量基準を意味する。
〔実施例1〕
〈アセタール化反応工程〉
図1に示す構成からなる反応装置を準備した。まず、加熱ヒーター1、温度調節器(図示せず)、温度計2、先端にテフロン(登録商標)製撹拌翼3[2枚パドル翼(翼長=0.1m)]が取り付けられた撹拌装置4、窒素導入装置(図示せず)、水冷却コンデンサー5が周囲に取り付けられた上昇管6を備えた2Lのガラス製フラスコ7を準備し、このフラスコ7内に、PVA(日本合成化学工業社製:商品名「ゴーセノール NM−11」;ケン化度98モル%以上、平均重合度1100)11.7部(0.272mol)およびトルエン302.4部を仕込み撹拌分散させた。つぎに、n−ブチルアルデヒド(以下、「BA」と略す)をPVAに対し0.061mol倍およびフェニルアセトアルデヒド(以下、「PAA」と略す)をPVAに対し0.667mol倍仕込み、ついで、35%塩酸を2.04部添加した。その後、系全体を60℃に保持し、5時間反応させることによりアセタール化反応を実施し反応混合液を調製した。
〈精製工程[I]:残留アルデヒドのトラップ工程(亜硫酸水素ナトリウムの混合工程)〉
亜硫酸水素ナトリウム56部(0.54mol)〔反応混合液中に残留する未反応アルデヒド0.27molに対して3.9mol倍相当〕を水560g(反応混合液に対して1.63重量倍)に溶解して、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を調製した。そして、アセタール化終了後、系全体を40℃に保持して、撹拌を停止し、反応混合液に上記亜硫酸水素ナトリウム水溶液を徐々に添加した。その後、再度撹拌を開始し、撹拌下にて5時間保持し、未反応のアルデヒドを分解した。
なお、上記アセタール化反応における未反応アルデヒドの定量分析はつぎのようにして行なった。
<未反応アルデヒドの定量分析>
上記アセタール化反応終了後、反応混合液をサンプリングし、トルエンで2倍量に希釈して、GC・7890A(Agilent社製)−MS・5975C(Agilent社製)(ガスクロマトグラフ質量分析計)カラムHP−5MSを用いて、含有する各アルデヒド(ブチルアルデヒドおよびフェニルアセトアルデヒド)、さらに不純物の量を定量した。
〈精製工程[II]:分液、分離工程(分液操作工程)〉
アルデヒド分解終了後、系の内容物を1L分液ロートに移し、20℃で3時間静置し、ポリフェニルアセタール(以下、「PVPA」と略す)を含有する上層(トルエン層)とアルデヒド分解物を含有する下層(水層)とに分離させた。その後、下層(水層)と上層(トルエン層)とを分液し、PVPAのトルエン溶液を回収した。この分液操作における水層とトルエン層との分液性は良好なものであった。またトルエン溶液中の未反応アルデヒドの含有量は0.05重量%であった。
〈精製工程[III]:共沸脱水工程〉
図2に示す脱水装置にて、先に述べたような操作を行なうことにより、系全体を最終温度95〜105℃まで徐々に昇温しながら、上層(トルエン層)に含まれていた水分を、トルエンとの共沸により系外に分離除去した。分離の終点は、脱水装置に取り付けた上昇管6の塔頂温度(温度計2′の測定温度)が75℃以下になった時点とした。また、脱水工程(共沸脱水)に要した時間は50分であった。なお、図2においては、図1と同一部分には同じ符号を付している。また、8は分液槽、9は分離した水の排出口、10は上昇管6と水冷却コンデンサー5との接続部であり、テフロン(登録商標)製撹拌翼3は図1と同様、2枚パドル翼(翼長=0.1m)である。
〈晶析分離工程〉
上層の脱水終了後、系を20℃で5時間保持して、系に含まれる不純物を晶析させた。その後、濾紙(東洋濾紙社製、No5A濾紙)を用いた加圧濾過装置(アドバンテック社製、KST−90型)を使用して、加圧条件0.2MPaにて、反応液を加圧濾過し、析出した不純物を分離除去した。
〈中和分離工程〉
不純物を分離除去した後、分離液に炭酸ナトリウムを分離液のpHに相当する等倍量添加し、20℃撹拌下に1時間保持し、分離液を中和した。その後、上記晶析分離工程と同様に、上記濾紙を用いた上記加圧濾過装置を使用して、中和してなる分離液を加圧条件0.2MPaにて加圧濾過し、不純物を分離除去することにより、PVPAを含有するトルエン溶液(濃度6.5%)を得た。
上記PVPAを含有するトルエン溶液を得る際の、中和分離工程における濾過に要した時間(分)、および、残留アルデヒド量(%)を後記の表1に示した。なお、上記残留アルデヒド量の定量分析は、前述の未反応アルデヒドの定量分析と同様にして行なった。さらに、トルエン溶解性(最終製品の外観)に関しても、目視にて、濁り等の有無を確認し評価した。そして、濁り等が確認されなかったものを「○」、濁り等が確認されたものを「×」として後記の表1に示した。上記評価に関して、濾過に要した時間は短いほど好ましく、残存アルデヒド量は少ないほど好ましく、具体的には残存アルデヒド量は1重量%未満が良好であり、0.5重量%未満が特に良好である。また、トルエン溶解性に関しては濁り等が確認されないことが好ましい。
〔実施例2〜15、比較例1〜2〕
アルデヒド(ブチルアルデヒド,フェニルアセトアルデヒド)の使用量、亜硫酸水素ナトリウム水溶液における亜硫酸水素ナトリウムの添加量および水の添加量を、後記の表1に示す使用量とした。それ以外は実施例1と同様にして、PVPAを含有するトルエン溶液(濃度6.0〜7.5%)を得た。なお、後記の表1中のアルデヒドの使用量、亜硫酸水素ナトリウム水溶液における亜硫酸水素ナトリウムの添加量および水の添加量は、PVA系樹脂1molを基準として換算した数値である。
上記PVPAを含有するトルエン溶液を得る際の、中和分離工程における濾過に要した時間(分)、および、残留アルデヒド量(%)を後記の表1に併せて示した。なお、上記残留アルデヒド量の定量分析は、前述の未反応アルデヒドの定量分析と同様にして行なった。さらに、トルエン溶解性(最終製品の外観)に関しても、目視にて、濁り等の有無を確認し評価した。そして、濁り等が確認されなかったものを「○」、濁り等が確認されたものを「×」として後記の表1に併せて示した。
Figure 0006143292
上記結果から、反応混合液中に残留する未反応アルデヒド量に対して特定の濃度の亜硫酸水素ナトリウム水溶液を特定量使用してなる全ての実施例品は、濾過時間は非常に短く作業工程時間の短縮化が図られ、かつ残留アルデヒド量も非常に少ないものであった。
これに対して、亜硫酸水素ナトリウムの濃度(mol当量)が低過ぎる設定となる比較例1では、濾過時間が長くなり、かつ残留アルデヒド量が多い結果となった。
一方、亜硫酸水素ナトリウム水溶液の添加量が著しく少ない設定となる比較例2では、濾過が不可能となった。
〔実施例16〕
〈アセタール化反応工程〉
図1に示す構成からなる反応装置を準備した。まず、加熱ヒーター1、温度調節器(図示せず)、温度計2、先端にテフロン(登録商標)製撹拌翼3[2枚パドル翼(翼長=0.1m)]が取り付けられた撹拌装置4、窒素導入装置(図示せず)、水冷却コンデンサー5が周囲に取り付けられた上昇管6を備えた2Lのガラス製フラスコ7を準備し、このフラスコ7内に、PVA(日本合成化学工業社製:商品名「ゴーセノール NM−11」;ケン化度98モル%以上、平均重合度1100)13.2部(0.300mol)およびトルエン302.4部を仕込み撹拌分散させた。つぎに、n−ブチルアルデヒド(以下、「BA」と略す)をPVAに対し0.176mol倍およびフェニルアセトアルデヒド(以下、「PAA」と略す)をPVAに対し0.696mol倍仕込み、ついで、35%塩酸を2.04部添加した。その後、系全体を60℃に保持し、5時間反応させることによりアセタール化反応を実施し反応混合液を調製した。
〈精製工程[I]:残留アルデヒドのトラップ工程(亜硫酸水素ナトリウムの混合工程)〉
亜硫酸水素ナトリウム17部(0.164mol)〔反応混合液中に残留する未反応アルデヒド0.137molに対して1.2mol倍相当〕を水300g(反応混合液に対して0.87重量倍)に溶解して、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を調製した。そして、アセタール化終了後、系全体を40℃に保持して、撹拌を停止し、反応混合液に上記亜硫酸水素ナトリウム水溶液を徐々に添加した。その後、再度撹拌を開始し、回転数50rpmの撹拌下にて5時間保持し、未反応のアルデヒドを分解した。この時の水層の撹拌レイノルズ数(Re)を前記式(1)にて算出した結果、撹拌レイノルズ数(Re)は、15,684であった。なお、式(1)において、60℃における水層密度ρは1054kg/m3、撹拌翼スパンdは0.1m、60℃における水層粘度μは0.00056Pa・sである。
なお、上記アセタール化反応における未反応アルデヒドの定量分析はつぎのようにして行なった。
<未反応アルデヒドの定量分析>
上記アセタール化反応終了後、反応混合液をサンプリングし、トルエンで2倍量に希釈して、GC・7890A(Agilent社製)−MS・5975C(Agilent社製)(ガスクロマトグラフ質量分析計)カラムHP−5MSを用いて、含有する各アルデヒド(ブチルアルデヒドおよびフェニルアセトアルデヒド)、さらに不純物の量を定量した。
〈精製工程[II]:分液、分離工程(分液操作工程)〉
アルデヒド分解終了後、系の内容物を1L分液ロートに移し、20℃で3時間静置し、ポリフェニルアセタール(以下、「PVPA」と略す)を含有する上層(トルエン層)とアルデヒド分解物を含有する下層(水層)とに分離させた。その後、下層(水層)と上層(トルエン層)とを分液し、PVPAのトルエン溶液を回収した。この分液操作における水層とトルエン層との分液性は良好なものであった。またトルエン溶液中の未反応アルデヒドの含有量は0.05重量%であった。
〈精製工程[III]:共沸脱水工程〉
図2に示す脱水装置にて、先に述べたような操作を行なうことにより、系全体を最終温度95〜105℃まで徐々に昇温しながら、上層(トルエン層)に含まれていた水分を、トルエンとの共沸により系外に分離除去した。分離の終点は、脱水装置に取り付けた上昇管6の塔頂温度(温度計2′の測定温度)が75℃以下になった時点とした。また、脱水工程(共沸脱水)に要した時間は50分であった。なお、図2においては、図1と同一部分には同じ符号を付している。また、8は分液槽、9は分離した水の排出口、10は上昇管6と水冷却コンデンサー5との接続部であり、テフロン(登録商標)製撹拌翼3は図1と同様、2枚パドル翼(翼長=0.1m)である。
〈晶析分離工程〉
上層の脱水終了後、系を20℃で5時間保持して、系に含まれる不純物を晶析させた。その後、濾紙(東洋濾紙社製、No5A濾紙)を用いた加圧濾過装置(アドバンテック社製、KST−90型)を使用して、加圧条件0.2MPaにて、反応液を加圧濾過し、析出した不純物を分離除去した。
〈中和分離工程〉
不純物を分離除去した後、分離液に炭酸ナトリウムを分離液のpHに相当する等倍量添加し、20℃撹拌下に1時間保持し、分離液を中和した。その後、上記晶析分離工程と同様に、上記濾紙を用いた上記加圧濾過装置を使用して、中和してなる分離液を加圧条件0.2MPaにて加圧濾過し、不純物を分離除去することにより、PVPAを含有するトルエン溶液(濃度6.5%)を得た。
上記PVPAを含有するトルエン溶液を得る際の、中和分離工程における濾過に要した時間(分)を後記の表3に示した。さらに、トルエン溶解性(最終製品の外観)に関しても、目視にて、濁り等(クリアーに近いか否か等)の状態を確認し評価した。その結果を後記の表3に示した。上記評価に関して、濾過に要した時間は短いほど好ましい。また、トルエン溶解性に関しては濁り等が確認されずクリアーに近いことが好ましい。
〔実施例17〜26、比較例3〕
アルデヒド(ブチルアルデヒド,フェニルアセトアルデヒド)、トルエンの使用量、亜硫酸水素ナトリウム水溶液における亜硫酸水素ナトリウムの添加量および水の添加量を、後記の表2に示す使用量とした。それ以外は実施例16と同様にして、PVPAを含有するトルエン溶液(濃度6.0〜7.5%)を得た。なお、後記の表2中のアルデヒドの使用量、亜硫酸水素ナトリウム水溶液における亜硫酸水素ナトリウムの添加量および水の添加量は、PVA系樹脂1molを基準として換算した数値である。
また、精製工程[I]:残留アルデヒドのトラップ工程(亜硫酸水素ナトリウムの混合工程)における水層の撹拌レイノルズ数(Re)を、実施例1と同様、前記式(1)にて算出した。その際の、撹拌翼スパンdは0.1mであり、撹拌翼の撹拌回転数[rpm]、水層の60℃での密度ρ[kg/m3]、水層の60℃での粘度μ[Pa・s]、さらには算出した水層の撹拌レイノルズ数(Re)を後記の表3に示した。
そして、上記PVPAを含有するトルエン溶液を得る際の、中和分離工程における濾過に要した時間(分)を後記の表3に併せて示した。さらに、トルエン溶解性(最終製品の外観)に関しても、目視にて、濁り等(クリアーに近いか否か等)の状態を確認し評価した。その結果を後記の表3に示した。
Figure 0006143292
Figure 0006143292
上記結果から、反応混合液中に残留する未反応アルデヒド量に対して特定の濃度の亜硫酸水素ナトリウム水溶液を特定量使用してなる全ての実施例品は、濾過時間は非常に短く作業工程時間の短縮化が図られ、かつトルエン溶解性においても良好な結果が得られた。
これに対して、亜硫酸水素ナトリウムを含有する水の添加量が少な過ぎる比較例3は、分液が不可能となり、結晶が大量に残り濁った状態となった。
本発明のポリビニルアセタールの製造方法では、低コストで、作業工程や作業時間の短縮化が図られ、製造効率にも優れた製造方法を提供することが可能となり、これにより得られてなるポリビニルアセタールは、例えば、塗料、被膜形成材料、シート形成材料、各種記録部材等の各種用途として有用である。

Claims (3)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂とアルデヒドを芳香族炭化水素溶媒中、酸触媒の存在下、
    反応させ、ポリビニルアセタールを含有する反応混合液を得る工程、
    上記反応混合液に、該液中に残留するアルデヒドに対して1モル当量以上の亜硫酸水素アルカリ金属塩を含有する水を0.5重量倍以上混合し、残留アルデヒドを硫酸アルカリ金属塩の水性塩とする工程、
    上記亜硫酸水素アルカリ金属塩を含有する水を混合した混合液を、ポリビニルアセタールを含有する芳香族炭化水素溶媒層と、上記水性塩を含有する水層とに分液し、ポリビニルアセタールを含有する芳香族炭化水素溶媒層を回収する工程、
    とを備えたことを特徴とするポリビニルアセタールの製造方法。
  2. 回収したポリビニルアセタールを含有する芳香族炭化水素溶媒層を、次いで、共沸脱水する工程が付加されていることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアセタールの製造方法。
  3. 上記反応混合液に、該液中に残留するアルデヒドに対して1モル当量以上の亜硫酸水素アルカリ金属塩を含有する水を0.5重量倍以上混合し、残留アルデヒドを硫酸アルカリ金属塩の水性塩とする工程において、下記の式(1)にて算出される60℃での水層の撹拌レイノルズ数(Re)を1,000〜25,000の範囲に制御して撹拌することを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアセタールの製造方法。
    撹拌レイノルズ数(Re)=(ρ・n・d2)/μ・・・(1)
    〔式(1)中、ρ:水層密度[kg/m3]、n:撹拌回転数[rps]、d:撹拌翼スパン[m]、μ:水層粘度[Pa・s]である。〕
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