JP6327003B2 - イミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
法において、該アミノ化反応に特定の触媒を用いることにより、上記の課題が解決されることを見出したものである。
即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[11]に存する。
[1]クロロメチル化スチレン系架橋共重合体とイミノジ酢酸エステルとをアミノ化反応させて得られたアミノ化スチレン系架橋共重合体を加水分解することによるイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法において、該イミノジ酢酸エステルとして後述する式(1)で表される化合物を用い、該アミノ化反応の触媒としてヨウ化ナトリウム及び/又はヨウ化カリウムを用いることを特徴とするイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
(式(1)中、R 1 及びR 2 は互いに異なっていてもよい炭素数2〜4のアルキル基である。)
[2]R 1 及びR 2 が、エチル基である、[1]に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
[3]該アミノ化反応の溶媒として炭素数2〜4の脂肪族アルコールを用いることを特徴とする[1]又は[2]に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
[4]クロロメチル化スチレン系架橋共重合体とイミノジ酢酸エステルとをアミノ化反応させて得られたアミノ化スチレン系架橋共重合体を加水分解することによるイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法において、該アミノ化反応の溶媒として炭素数2〜4の脂肪族アルコールを用い、該アミノ化反応の触媒としてヨウ化ナトリウム及び/又はヨウ化カリウムを用いることを特徴とするイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
[5]該アミノ化反応の溶媒が、エタノール、イソプロパノールである、[3]又は[4]に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
[6]該アミノ化反応の溶媒が、エタノールである、[3]又は[4]に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
[7]前記触媒の使用量がクロロメチル化スチレン系架橋共重合体100重量部(乾燥樹脂ベース、以下同じ)あたり0.1〜30重量部であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
[8]前記イミノジ酢酸エステルの使用量が前記クロロメチル化スチレン系架橋共重合体100重量部あたり40〜200重量部であることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
[9]前記イミノジ酢酸エステルの使用量が前記クロロメチル化スチレン系架橋共重合体100重量部あたり60〜180重量部であることを特徴とする、[8]に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
[10]前記アミノ化反応の反応温度が40〜120℃、反応時間が0.5〜15時間であることを特徴とする、[1]〜[9]のいずれかに記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
[11]前記加水分解反応を、酸又はアルカリを用いて行い、かつ酸を用いる場合は、塩酸、硫酸、及び硝酸からなる群から少なくとも1種以上を用い、アルカリを用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を用いることを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
本発明のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法は、クロロメチル化スチレン系架橋共重合体とイミノジ酢酸エステルとをアミノ化反応させ、得られたアミノ化スチレン系架橋共重合体を加水分解させるイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法であって、該アミノ化反応の触媒としてヨウ化ナトリウム及び/又はヨウ化カリウムを用いることを特徴とする。なお、本発明における「イミノジ酢酸型キレート樹脂」とは、スチレン系架橋共重合体にキレート形成能を有するイミノジ酢酸基を官能基として導入したものを意味する。
本発明の製造方法は、原料として、クロロメチル化スチレン系架橋共重合体とイミノジ酢酸エステルとを用いてアミノ化反応を行うに際し、アミノ化反応の触媒としてヨウ化ナトリウム及び/又はヨウ化カリウムを用いる。このアミノ化反応によりアミノ化スチレン系架橋共重合体を得ることができる。
芳香族モノマーとを共重合させて得られる架橋高分子であり、特開平5−320233号公報、特開2010−42395号公報等に記載の公知の方法により得ることができる。なお、このスチレン系架橋共重合体は、ゲル型であっても、ポーラス型であってもよい。
スチレン系架橋共重合体の原料であるモノビニル芳香族モノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン等のアルキル置換スチレン類、ブロモスチレン等のハロゲン置換スチレン類が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。モノビニル芳香族モノマーとしては、中でも、スチレンまたはスチレンを主体とするモノマーが好ましい。
本発明ではクロロメチル化スチレン系架橋共重合体のアミノ化反応において、イミノジ酢酸エステルをアミノ化剤として用いる。なお、未反応のイミノジ酢酸エステルはアミノ化反応の終了後、後述するアミノ化反応の溶媒により抽出して再利用することもできる。
、150重量部以下であることが更に好ましい。
アミノ化反応において、ヨウ化ナトリウム及び/又はヨウ化カリウムの他に、本発明の効果を著しく阻害しない範囲でその他の触媒を用いてもよい。その他の触媒としては例えばジメチルアニリン等が挙げられる。
アミノ化反応の圧力は特に限定されず、大気圧付近〜やや加圧下で実施すればよい。具体的には、絶対圧として0.1〜0.5MPa、好ましくは0.1〜0.3MPaである。
アミノ化反応の反応時間は、反応が順調に進行すれば特に限定されないが、通常0.5時間以上、15時間以下であり、好ましくは2時間以上、12時間以下である。反応時間を上記範囲内とすることで、生成するアミノ化スチレン系架橋共重合体の副反応を抑制しながら、反応を十分に進行させることができる。
前述したアミノ化反応により得られたアミノ化スチレン系架橋共重合体を加水分解することにより、目的とするイミノジ酢酸型キレート樹脂を得ることができる。
本発明の製造方法においては、アミノ化スチレン系架橋共重合体が、イミノジ酢酸エステルに由来するエステル基を有しており、この酢酸エステル基を加水分解することにより、イミノジ酢酸基を導入することができる。
加水分解反応に用いる酸としては強酸が好ましく、例えば塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられ、中でも硫酸が好ましい。これらの酸は1種のみでも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加水分解反応の圧力は特に限定されず、大気圧付近〜やや加圧下で実施すればよい。具体的には、絶対圧として0.1〜0.5MPa程度で、0.1〜0.3MPaがより好ましい。
本発明のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法によれば、従来の触媒反応を用いた製造方法と比較してイミノジ酢酸基を効率的に導入することができる。このため、本発明により得られたイミノジ酢酸型キレート樹脂は重金属の吸着性が良好であり、例えば、以下の実施例でその一例を示すように銅(Cu)の吸着性が非常に良好である。
以下の実施例及び比較例における評価方法を下記に示す。
(1)収量
一連の反応によって得られたNa形イミノジ酢酸型キレート樹脂の収量は、この樹脂を回転式遠心濾過器を用いて3000rpmで7分間水切りを行った後、電子天秤を用いて重量を測定して求めた。
付着した水分を遠心分離して除去したNa形キレート樹脂(試料)6gを採取し、その重量を精秤した。これを1L共栓付き三角フラスコに入れ、0.05M−CuCl2水溶液200mLをホールピペットを用いて添加した。この三角フラスコを(30±2)℃の恒温振盪器中で6時間振盪した。振盪終了後、上澄み液5mLをホールピペットを用いて300mLのコニカルビーカーに採取した。
ブランク試験として、0.05M−CuCl2水溶液のみについて、上記と同様にして
滴定を行った(滴定値:b(mL))。
Cu吸着量が多いほど、イミノジ酢酸基が効率的に導入されているものと評価され、また、Cuの吸着能が優れることを意味するために好ましい。
[銅吸着容量(mmol/mL)]=[{(b−a)×F×0.01×(200/5)}]/[試料(g)/{(見掛密度)/1000}]
(注1)緩衝液:氷酢酸5.8mLを水100mLに溶解した溶液と、酢酸ナトリウム13.6gを水100mLに溶解した溶液とを、それぞれ全量を混合して緩衝液とした。
(注2)指示薬:PAN-0.1gをメタノール100mLに溶解して用いた。
(注3)F:0.01M−EDTAの力価である。
(注4)見掛け密度:Na形キレート樹脂試料約150gを採取し、精秤した(x1(g))。次にこれを脱塩水を500mL含むメスシリンダーに添加し、体積が減少しなくなるまで底部を軽く叩き、その体積x2(mL)を読み取り、次式から見掛密度を求めた。[見掛密度(g/L)]={(x1(g))/(x2(mL))}×1000
<クロロメチル化反応>
攪拌翼を備えた3Lの四つ口フラスコに、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体(DP)150gにクロロメチルメチルエーテル(CME)900gを加え、30分間、室温(25℃)で膨潤させた。その後、塩化亜鉛(II)を105g加え、2時間で50℃まで昇温し、9時間反応させた。反応終了後、40℃以下まで冷却し、35重量%塩酸を384g加え、触媒を失活させ、クロロメチル化架橋共重合体を得た。
クロロメチル化後、ト字管と留去アダプターを四つ口フラスコに取り付け、4時間40分間かけてバス温度を113℃まで昇温し、この温度で2.5時間保持することで、CMEを留去した。昇温の際に内温46℃で561gの35重量%塩酸を2時間かけて添加した。
<アミノ化反応>
攪拌翼を備えた3Lの四つ口フラスコに、上記で得た含水状態のクロロメチル化ポリマー(CMP)310g(乾燥重量217g)について、エタノールによるバッチ溶媒置換(1550mL×3回)を行なった。その後、エタノールを1085mL加え、イミノジ酢酸ジエチル(IDE)を266.6g、ヨウ化カリウム18.6g、炭酸ナトリウム68.2gを加え、75℃で10時間反応させてアミノ化スチレン系架橋共重合体を得た。
得られた共重合体を水で洗浄して、残留する原料を除去した。
上記で得たアミノ化スチレン系架橋共重合体(全量)を含むフラスコに、48重量%水酸化ナトリウム水溶液を31mL加え、60℃で6時間加水分解反応を行った。反応終了後、水洗と2N−塩酸100mLによる洗浄を行い、次いで2N−水酸化ナトリウム水溶液100mLを用いて再生を行い、イミノジ酢酸型キレート樹脂を得た。
得られた樹脂を再度水洗した上、回転式遠心濾過器を用いて3700rpm×7分間、水
切りを行った。
上記で得られたイミノジ酢酸型キレート樹脂の収量及びCu吸着容量を前記の方法で評価したところ、収量は981.0g(含水物)、Cu吸着容量は0.65mmol/mLであった。
触媒としてヨウ化カリウムに代えてジメチルアニリンを用いたこと(比較例1)及び、触媒を用いなかったこと(比較例2)以外は、上記と同様にアミノ化反応・加水分解反応を行い、イミノジ酢酸型キレート樹脂を作成した。
これらの樹脂について上記と同様にして評価を行ったところ、比較例1の樹脂については、収量:18.7g、Cu吸着容量:0.44mmol/mLであり、比較例2の樹脂では、それぞれ、11.0g、0.06mmo;/mLであった。
上記結果から、本発明方法で得られたイミノジ酢酸型キレート樹脂は、比較例の樹脂に比べて、収量、Cu交換容量とも優れていることが判る。
Claims (11)
- R 1 及びR 2 が、エチル基である、請求項1に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
- 該アミノ化反応の溶媒として炭素数2〜4の脂肪族アルコールを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
- クロロメチル化スチレン系架橋共重合体とイミノジ酢酸エステルとをアミノ化反応させて得られたアミノ化スチレン系架橋共重合体を加水分解することによるイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法において、該アミノ化反応の溶媒として炭素数2〜4の脂肪族アルコールを用い、該アミノ化反応の触媒としてヨウ化ナトリウム及び/又はヨウ化カリウムを用いることを特徴とするイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
- 該アミノ化反応の溶媒が、エタノール、イソプロパノールである、請求項3又は4に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
- 該アミノ化反応の溶媒が、エタノールである、請求項3又は4に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
- 前記触媒の使用量がクロロメチル化スチレン系架橋共重合体100重量部(乾燥樹脂ベース、以下同じ)あたり0.1〜30重量部であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
- 前記イミノジ酢酸エステルの使用量が前記クロロメチル化スチレン系架橋共重合体100重量部あたり40〜200重量部であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
- 前記イミノジ酢酸エステルの使用量が前記クロロメチル化スチレン系架橋共重合体100重量部あたり60〜180重量部であることを特徴とする、請求項8に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
- 前記アミノ化反応の反応温度が40〜120℃、反応時間が0.5〜15時間であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
- 前記加水分解反応を、酸又はアルカリを用いて行い、かつ酸を用いる場合は、塩酸、硫酸、及び硝酸からなる群から少なくとも1種以上を用い、アルカリを用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のイミノジ酢酸型キレート樹脂の製造方法。
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