<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図7を用いて説明する。まず、図1(a)により、本実施形態の画像形成装置の概略構成について説明する。
[画像形成装置]
本実施形態の画像形成装置100は、搬送体としての中間転写ベルト24の走行方向(搬送方向)に複数の画像形成部43a、43b、43c、43dを並べて配置した、所謂タンデム型の画像形成装置である。各画像形成部43a、43b、43c、43dでは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像を形成する。図1(a)では詳しい図示は省略するが、各画像形成部は、それぞれ、像担持体としての感光ドラム12a、12b、12c、12dを有し、それぞれの感光ドラム上に各色のトナー画像を形成するようにしている。
そして、各感光ドラム12a、12b、12c、12d上にそれぞれ形成されたトナー画像を、それぞれの一次転写部T1a、T1b、T1c、T1dで中間転写ベルト24上に重ねて転写することで、フルカラーのトナー画像を形成する。中間転写ベルト24は、駆動ローラ36、従動ローラ37、二次転写ローラ38に張架され、駆動ローラ36が不図示のモータにより駆動されることで、図の矢印方向に走行する。中間転写ベルト24上に形成されたトナー画像は、二次転写部T2で用紙、OHPシートなどの記録材に転写される。記録材は、不図示の記録材搬送装置により、中間転写ベルト24上に転写されたトナー画像と同期して二次転写部T2に搬送される。
画像形成部の構成について、画像形成部43bを例に図1(b)を用いて説明する。なお、各画像形成部の構成は、トナーの色が異なる点、最上流の画像形成部43aに後述する潜像センサがない点以外は、ほぼ同様の構成である。画像形成を行う場合、感光ドラム12bの表面を帯電手段としての帯電ローラ14bにより所定の電位に帯電させる。次に、露光手段としての露光装置16bにより画像情報に基づいてレーザ光を照射して、感光ドラム12bの表面に静電潜像を形成する。そして、現像手段としての現像装置15bにより静電潜像をトナーにより現像することで、感光ドラム12bの表面にトナー画像を形成する。このトナー画像は、中間転写ベルト24を挟んで感光ドラム12bに対向する位置に配置された転写手段としての一次転写ローラ4bと感光ドラム12bとの間に所定の一次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト24に一次転写される。一次転写後に感光ドラム12bの表面に残ったトナーは、クリーニング装置17bにより除去される。
これら、帯電ローラ14b、露光装置16b、現像装置15bにより画像形成手段を構成する。また、画像形成部43aの帯電ローラが第1帯電手段に、露光装置が第1露光手段に、現像装置が第1現像装置に、それぞれ相当し、これらで第1画像形成手段を構成する。また、画像形成部43b、43c、43dのそれぞれの帯電ローラが第2帯電手段に、露光装置が第2露光手段に、現像装置が第2現像装置に、それぞれ相当し、これらでそれぞれ第2画像形成手段を構成する。また、画像形成部43aの一次転写ローラ4aが第1転写手段に、画像形成部43b、43c、43dのそれぞれの一次転写ローラ4b、4c、4dが第2転写手段に、それぞれ相当する。
[画像の位置情報]
このように各画像形成部では、各色のトナー画像が形成され中間転写ベルト24に重ねて転写される。このとき、各一次転写部で各色のトナー画像の位置を合致させるべく、中間転写ベルト24及び各感光ドラムに画像の位置に関する位置情報を形成し、この位置情報を検出することで、画像の位置合わせを行って色ずれを低減するようにしている。本実施形態では、このような位置情報を、それぞれ静電潜像により形成した潜像目盛りとしている。また、本実施形態の場合、中間転写ベルト24の潜像目盛りは、最上流の第1像担持体としての感光ドラム12aに形成された静電目盛りが中間転写ベルト24に転写されることで形成される。一方、感光ドラム12aの中間転写ベルト24の搬送方向下流の第2像担持体としての感光ドラム12b、12c、12dの潜像目盛りは、中間転写ベルト24に転写されない。
このような潜像目盛りは、上述のようにトナー画像が形成される画像領域から外れた非画像領域に形成される。即ち、非画像領域は、各感光ドラム12a〜12d及び中間転写ベルト24の表面のうち、画像領域から感光ドラム及び中間転写ベルトの搬送方向に交差する幅方向に外れた領域である。本実施形態では、感光ドラム及び中間転写ベルトのそれぞれの幅方向両端部を非画像領域としている。そして、中間転写ベルト24の非画像領域250に形成される潜像目盛り50が第1位置情報に、感光ドラム12b、12c、12dに形成される潜像目盛り31b、31c、31dが第2位置情報に、それぞれ相当する。また、感光ドラム12aに形成される潜像目盛り31aは第1位置情報に相当し、この潜像目盛り31が中間転写ベルト24に転写されることで、潜像目盛り50が形成される。
また、中間転写ベルト24の搬送方向に関して感光ドラム12aの上流には、中間転写ベルト24に形成された潜像目盛り50を消去する消去手段としての消去ローラ53及び対向電極52が配置されている。消去ローラ53は、中間転写ベルト24の非画像領域250に接触するように配置され、消去ローラ53と対向電極52との間に所定の消去バイアスを印加することで、非画像領域250に形成された潜像目盛り50を消去する。
潜像目盛り50が形成される非画像領域250は、中間転写ベルト24の表面または裏面の端部に積層された体積抵抗率1014Ω・cm以上の高抵抗材料から成る。このような高抵抗材料は、中間転写ベルトに形成できるものであればよく、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、ポリイミドなどの樹脂材料である。このような非画像領域250に転写された潜像目盛り50は、少なくとも最下流の感光ドラム12dに到達するまで保持される。
[潜像目盛りの形成]
潜像目盛り50の形成方法について具体的に説明する。画像形成部43aにおいて感光ドラム表面にトナー画像を形成する際、感光ドラム12aの画像領域から外れた非画像領域に、露光装置により画像を書き込む前後のレーザ光の照射により静電潜像目盛り31aを形成する。そして、一次転写部T1aで、中間転写ベルト24の表面の両端部に設けられた非画像領域に対し、静電潜像目盛り31aが接触する。このとき、非画像領域まで延長された、一次転写バイアス(電位Vt)に帯電したトナー転写用の一次転写ローラ4aによって、中間転写ベルト24の画像領域にはトナー画像が転写される。これと同時に、非画像領域250には、静電潜像目盛り31aを形成している電荷の一部が転写され、静電潜像目盛り50が転写される。したがって、本実施形態の場合、中間転写ベルト24に第1位置情報としての潜像目盛り50を形成する第1位置情報形成手段は、画像形成部43aの露光装置及び一次転写ローラ4aにより構成される。また、このとき、画像形成部43aの露光装置が、第1位置情報形成部に、一次転写ローラ4aが情報転写部に、それぞれ相当する。本実施形態では、一次転写ローラ4aが情報転写部を兼ねている。
第1位置情報形成手段は、第1位置情報形成部としての露光装置により、潜像目盛り31aを、感光ドラム12aの表面のうち、搬送方向に交差する幅方向と平行な複数の第1の線を感光ドラム12aの搬送方向に並べることで形成する。即ち、これら複数の第1の線を静電潜像として形成し、上述の第1位置情報としての潜像目盛り31aとしている。そして、このように形成された潜像目盛り31aが、一次転写ローラ4aにより中間転写ベルト24に転写され、潜像目盛り50となる。
また、第2位置情報形成手段としての露光装置16bは、潜像目盛り31bを、感光ドラム12bの表面のうち、搬送方向に交差する幅方向と平行な複数の第2の線を感光ドラム12bの搬送方向に並べることで形成する。即ち、これら複数の第2の線を静電潜像として形成し、上述の第2位置情報としての潜像目盛り31bとしている。これら複数の第1の線からなる潜像目盛り50、複数の第2の線からなる潜像目盛り31bの詳しい説明については後述する。
なお、静電潜像目盛り31aを形成する感光ドラム12aの非画像領域は、ドラム片端だけの場合もあればドラム両端の場合もある。なおトナー転写用と潜像目盛り転写用で印加バイアスを個別に設定したい場合は、図1(c)のようにトナー用の一次転写ローラ4aと同軸で潜像目盛り転写用の潜像転写ローラ51を分離してもよい。この場合、潜像転写ローラ51が情報転写部に相当する。
一方、図1(a)の画像形成部43bでは、潜像目盛りを読み取る潜像センサ34bを用いて、感光ドラム12b上の潜像目盛り31bと、中間転写ベルト24に設けられた非画像領域250上の潜像目盛り50の両方を読み取る。図1(b)は、画像形成部43bを感光ドラムの軸方向から見た断面図であり、潜像センサ34bは、感光ドラム12bと中間転写ベルト24との間のニップ位置に挟持されるように配置される。画像形成部43c、43dにおいても同様に、潜像センサ34c、34dが、感光ドラム12c、12dと中間転写ベルト24との間のそれぞれのニップ位置に挟持されるように配置される。これら潜像センサ34b、34c、34dの詳しい構造については後述し、まず、これら潜像センサにより潜像目盛り31b、50を読み取って画像の位置ずれ(色ずれ)を行う制御の概略について説明する。
[色ずれ補正]
中間転写ベルト24上にカラートナー画像を形成する際、各色の色ずれ補正を行う。このために、トナー画像と対応した潜像目盛りの電位変化を、潜像センサ34b内の潜像検出用プローブで読み取り、ドラムとベルト間の目盛りのずれ量を算出する。次に、算出したずれ量分に対応し、ドラムとベルトの目盛りの位置が合うよう感光ドラム12bを制御する。即ち、画像形成部43aで中間転写ベルト24上に形成されたトナー画像に対して、画像形成部43bの感光ドラム12bから中間転写ベルト24上に形成されるトナー画像を色合わせするように、感光ドラム12bを制御し、トナー画像の転写を行う。
以下、図1(a)の画像形成部43c、43dにおいても同様の検出が行われ、対応するドラムとベルトの目盛り同士を常に位置合わせするように、中間転写ベルト24に対して、感光ドラム12cおよび12dを、トナー転写直前に制御する。
目盛りを消去する消去ローラ53と対向電極52は、中間転写ベルト上の潜像目盛りの非画像領域250におけるベルト電位を初期化するために設置されたもので、交流電位と直流電位を重畳して印加できるようになっている。そして、前に転写された潜像目盛りの消去、つまり、ベルト上の電位の凹凸をならして平滑化するために用い、正弦波、矩形波、パルス波などを使用できる。
消去ローラ53および対向電極52の位置は、最下流の画像形成部43d以降、最上流の画像形成部43aの手前までの間のどこに配置してもよい。中間転写ベルト搬送中に外来ノイズなどの影響で、ベルト表面の電位状態が変化してしまう可能性を減らすために、望ましくは最上流の画像形成部43aの直前がよい。なお、潜像目盛りの消去には、コロナ帯電器など他の手段を用いることも可能である。
以上により、中間転写ベルト上のトナー画像の色ズレに相当する量を、ドラムとベルト上の潜像目盛りを用いて高精度に補正することが可能となり、色ずれの少ないカラー画像形成装置を提供することができる。なお、潜像目盛り50を中間転写ベルト24の表面側に転写するか裏面側に転写するかは、感光ドラム、中間転写ベルトを含む潜像プロセスの特性と製品仕様に応じて選択できる。
[潜像目盛りの検出原理]
次に、図2を用いて、潜像センサによる潜像目盛りを検出する原理について、画像形成部43bでの検出を例に説明する。潜像センサは、銅などの導体により構成される潜像検出プローブ330(以下、単にプローブ330と表記する、後述する信号検出部333、335に相当)を有する。なお、ここでは検出の原理の説明を行うので、ドラム回転方向に対し、垂直な目盛りとプロ−ブにて説明を行う。
図2では、潜像目盛り31bを一本のみ図示している。プローブ330は検出用の増幅電気回路5へ接続されている。潜像目盛り31bは、感光ドラム12bの表面に電位差として存在し、プローブ330は感光ドラム12bの表面から僅かに(数μm〜数十μm)離れた位置に設置されている。図2において、(a)→(b)→(c)→(d)と時間的にプローブ330と静電目盛り31bは相対移動をしている。相対移動時、プローブ330は感光ドラム12bの表面からの距離を一定に保ったまま移動する。図2において、潜像目盛り31bの電位をプラスで表記しているが、これは周囲がマイナス500Vで潜像目盛り31bがマイナス100Vに帯電している場合を想定しているので、潜像目盛り31bをプラスで表記している。
まず図2(a)で、プローブ330が潜像目盛り31bに近づいてくると潜像目盛り31bのプラス電位に、プローブ330と増幅電気回路5までの電気配線内の自由電子が、ほんの少し引きつけられる。次に図2(b)では、さらにプローブ330が潜像目盛り31bに近づき、引きつけられる自由電子が増える。次に図2(c)では、プローブ330が潜像目盛り31bに最も近づき、最も自由電子の引きつけられる量が増大する。最後に図2(d)では、プローブ330が潜像目盛り31bから離れ始める、すると引きつけられていた自由電子が戻り始める。この自由電子の流れ(誘導電流)を増幅電気回路5で検出して出力してやることにより、潜像目盛り31bの位置を電気信号として取り出すことが可能となる。この時の増幅電気回路5の出力をグラフ化した図が、図2(e)と(f)である。
図2(e)と(f)の違いは、「プローブ330の幅、潜像目盛り31bの幅、プローブ330と潜像目盛り31bの距離、プローブ330と潜像目盛り31bの相対速度」等のさまざまな条件により発生する。潜像目盛り31bの幅が広い場合は、図2(e)の波形となる。潜像目盛り31bの幅が狭くなるにつれ図2(f)の波形に近づく。波形の説明をすると、プローブ330が潜像目盛り31bに近づくにつれて出力が増え、プローブ330と潜像目盛り31bが重なった(最も近づいた)時に誘導電流は一瞬ゼロになる(図2(f)のゼロクロスポイント3411)。プローブ330が潜像目盛り31bから離れるにつれてマイナスの出力となり、次第にプローブ330と潜像目盛り31bの距離が離れていくにつれ出力信号もゼロになる。このゼロクロスポイント3411が、プローブ330が潜像目盛り31bの真上を通過した瞬間である。以上が、潜像目盛り31bをプローブ330で検出する原理である。
[潜像センサ]
次に、上述のような潜像センサの具体的な構成について説明する。なお、各潜像センサ34b、34c、34dの構成は同じであるため、以下、特に必要がない限り、各画像形成部に関するものであることを示すために符号に添えられる添え字を省略して説明する(以下の各実施形態でも同様)。本実施形態では、潜像センサ34をフレキシブルプリント基板にて作成している。この構成を図3に示す。図3の潜像センサ34は、通常電気機器内の配線で用いられる「一層のフレキシブルプリント基板」であり、その銅パターンで、位置情報としての潜像を検出する部分を形成している。なお、以下の説明では、このフレキシブルプリント基板の例を説明するが、同様の(導体と絶縁体での)構成が実現できれば、どのような素材を使用しても良い。図3(a)がその平面図、Y−Y’面で切り取った断面図が図3(b)である。
潜像センサ34は、第1センサ部331と第2センサ部332とを有する。第1センサ部331は、第1情報検出部としての信号検出部333と、信号伝達部334とを有する。また、第2センサ部332は、第2情報検出部としての信号検出部335と、信号伝達部336とを有する。信号検出部333、335が、上述したプローブ330に相当し、それぞれ潜像目盛り31、50の検出を行う。また、信号検出部333、335により情報検出手段を構成する。信号伝達部334、336は、検出した信号を伝達する部分である。これら信号検出部333、335及び信号伝達部334、336は、それぞれ導体により構成されており、本実施形態の場合、上述した銅パターンにより形成される。また、信号検出部333、335は、中間転写ベルト24の表面のうち、搬送方向に交差する幅方向に平行な同一直線状に配置される。これにより、潜像目盛り31と潜像目盛り50が同時に検出されれば、潜像目盛り31と潜像目盛り50は一直線上に存在していることとなる。第1センサ部331及び第2センサ部332には、それぞれ増幅電気回路5が接続されており、増幅電気回路5は、図3(c)に示すように、このようにして検出された信号を増幅して出力する。
このような第1センサ部331及び第2センサ部332は、それぞれ、潜像目盛り31、50の第1の線、第2の線が信号検出部333、335に対向する位置を通過する際に出力される、図2で説明した信号の変化を検出する。これにより、第1センサ部331及び第2センサ部332が潜像目盛り31、50の読み取りを行う。
潜像センサ34は、図3(b)に示すように層構造となっており、保持部材340により、第1センサ部331及び第2センサ部332を一体的に保持することで構成される。保持部材340は、表面に信号検出部333、335及び信号伝達部334、336がプリントされた基板347と、基板347の表面を覆うフィルム状のカバー346と、基板347とカバー346とを接着する接着剤345と、を有する。基板347には、信号検出部333、335及び信号伝達部334、336の周囲にアース344を形成している。
アース344は、導体により構成され接地されている。なお、アース344は、任意の一定電位であればよく、必ずしもアース(接地)電位である必要はない。以降の他の実施形態に於いても同様であるが、以下の説明では、便宜上「アース344」と表現する。
また、接着剤345は、信号検出部333、335及び信号伝達部334、336とアース344との間部分、及び、アース344の周囲部分に入り込んで、基板347とカバー346とを接着する。また、これら基板347、カバー346、接着剤345は樹脂などの絶縁材料により構成されている。例えば、基板347はポリイミド製の基板とし、カバー346は、ポリイミド製のフィルムとする。このため、図2で説明したように、潜像目盛りをプローブ330で検出する際に、これら基板347、カバー346、接着剤345が影響を与えることはない。
各部の厚さは、例えば、基板347が25μm、信号検出部333、335、信号伝達部334、336及びアース344が9μm、カバーが12μm、接着剤のアース344などを除く部分が15μmである。このように構成される潜像センサ34全体の厚さは、例えば、50〜70μmとすることが好ましい。これにより、上述したように、感光ドラム12と中間転写ベルト24との間に潜像センサ34を挟持しても、感光ドラム12の画像領域と中間転写ベルト24との接触部にほとんど影響を与えることはない。この結果、潜像センサ34の存在が、感光ドラム12から中間転写ベルト24へのトナー画像の転写に与える影響は殆どない。
次に、図4にて潜像センサ34の設置の様子を説明する。図4では、図3での「アース344」を省略して図示してある。以降の他の実施形態に於いても同様に、センサの設置図において、「アース344」を省略して図示する。潜像目盛り31と潜像目盛り50は、主走査方向(幅方向、図4(a)(c)の左右方向)に関して異なる位置に形成される。また、信号検出部333と信号検出部335とについても、主走査方向に関して異なる位置で、保持部材340の基板347に描かれる。そして、潜像センサ34の設置状態で、信号検出部333が潜像目盛り50と、信号検出部335が潜像目盛り31と、それぞれ対向するようにしている。
また、潜像センサ34は、図4(b)に示すように、感光ドラム12と中間転写ベルト24とに挟まれる状態に設置される。また、信号検出部333は、中間転写ベルト24の潜像目盛り50と平行となるように、信号検出部335は、感光ドラム12の潜像目盛り31と平行となるように、それぞれ設置される。また、図4(b)の断面図のように、信号検出部333と信号検出部335とは、ニップ位置(一次転写部T1)に設置される。
次に、図5において、感光ドラム12上の潜像目盛り31の検出の詳細について説明する。感光ドラム12の表面は、帯電ローラ14により所定電位に帯電された後、露光装置16により露光される。そして、感光ドラム12の画像領域270に画像情報に基づいた静電潜像35が、非画像領域260に潜像目盛り31が、それぞれ形成される。静電潜像35は、図示を省略した現像装置により現像されトナー画像となる。
感光ドラム12の非画像領域260の表面電位は、画像領域270と同様の電位の値である。即ち、潜像目盛り31において、例えば−500Vの低電位部342と−100Vの高電位部341の方形波となり、図5(b)のような波形になる。この方形波の表面電位を潜像センサ34で検出すると、図5(c)に示すような、0(V)中心の振幅を持つサイン波形として検出される。図5(c)のゼロクロスポイント3411が潜像目盛り31の幅の中心として検出することが可能となる。なお、図5(a)では、便宜上、潜像センサ34の感光ドラム側のセンサ部のみを示し、中間転写ベルト24と挟み込まない状態にて示している。
同様に、中間転写ベルト24に転写された潜像目盛り50についても、表面電位の分布の形状は図5(b)、出力波形の形状は図5(c)に準じたものになり、潜像目盛り50の幅の中心を検出することが可能となる。
次に、上述のような潜像目盛りを用いた、本実施形態のトナー画像の色合わせ制御の詳細について、図6及び図7を用いて説明する。なお、図6では、説明を簡単にするために、画像形成部43a、43bとの関係のみを示すが、図1の画像形成部43c、43dについても同様である。
図6に示すように、感光ドラム12a、12bは、それぞれドラム駆動モータ6a、6bにより回転駆動される。ドラム駆動モータ6a、6bには、それぞれドラムエンコーダ8a、8bが設けられ、制御部48は、これらドラムエンコーダ8a、8bの信号に基づいて、ドラム駆動モータ6a、6bの回転速度を制御している。
感光ドラム12aには、露光装置16aを用いてトナー画像の画像領域(現像領域)の主走査方向外側の非画像領域に、第1位置情報としての潜像目盛り31aが、画像情報に基づく静電潜像(第1潜像)と同時に書き込まれる。同様に、感光ドラム12bには、露光装置16bを用いて画像領域の主走査方向外側の非画像領域に第2位置情報としての潜像目盛り31bが、画像情報に基づく静電潜像(第2潜像)と同時に書き込まれる。
感光ドラム12a上の第1潜像には、図示しない現像装置から第1色(イエロー)のトナーが転写される。しかし、潜像目盛り31aには第1色のトナーは転写されない。この状態で、感光ドラム12aから中間転写ベルト24へ、「第1潜像は、第1色のトナー画像」として、「潜像目盛り31aは静電潜像」のまま、副走査方向に同位置にて転写される。中間転写ベルト24上の、「第1色のトナー画像」と「潜像目盛り31aを転写した潜像目盛り50」は、感光ドラム12bと接するニップ位置へと移動していく。
潜像センサ34bは、感光ドラム12bと中間転写ベルト24に挟まれたニップ位置に設置され、「潜像目盛り31b及び潜像目盛り50」を検出する。制御手段である制御部48は、潜像センサ34bの検出結果に基づいて感光ドラム12bを回転駆動するドラム駆動モータ6bを制御する。これにより、感光ドラム12aから中間転写ベルト24へ転写された第1色のトナー画像に重ね合わせて、感光ドラム12bの第2色(マゼンタ)のトナー画像が転写される。即ち、潜像センサ34bの第1センサ部331により潜像目盛り50を、第2センサ部332により潜像目盛り31bをそれぞれ読み取る(図4など参照)。制御部48は、この読み取った情報から、感光ドラム12bから中間転写ベルト24に第2色のトナー画像が転写される際に、この第2色のトナー画像が、第1色のトナー画像の位置と合致するように、感光ドラム12bの回転を制御する。
図7のフローチャートを用いてより詳しく説明する。制御部48は、印字開始信号を受け取ると(S1)、ドラム駆動モータ6a、6bと図示しないベルト駆動モータとを起動させる(S2)。制御部48は、ドラム駆動軸に直結されているドラムエンコーダ8a、8bの信号を読み取りながらドラム駆動モータ6a、6bを等速回転制御して感光ドラム12a、12bを矢印R1方向に等速回転させる。同様に、ベルト駆動モータを等速回転駆動して、駆動ローラ36により中間転写ベルト24を一定速度で矢印R2方向に回転させる。
次に、制御部48は、帯電ローラ14a、14bに帯電電圧を印加して、感光ドラム12a、12bの表面を例えば−600Vに帯電させる。一次転写ローラ4a、4bに予め設定された所定の電圧を印加する(S3)。
次に、制御部48は、画像信号を受け取ると、露光装置16aにより露光動作を開始させる(S4)。先端余白部分から潜像目盛り31aを所定のピッチで形成させる。画像データの露光動作が開始されたら、潜像目盛り31aとともに、1ページ分の画像データが終了するまで露光動作を継続する。
次に、制御部48は、露光装置16aによる露光動作の開始から、0.833秒が経過すると(S5のYes)、露光装置16bによる露光動作を開始させる(S6)。本実施形態では、感光ドラムの外径を84mm、画像形成部43aと画像形成部43bとの間のピッチ(ステーション間ピッチ)を250mmとしている。また、感光ドラム表面の露光位置からトナー画像を中間転写ベルトへ転写する位置までの露光−転写間距離を125mm、プロセススピードを300mm/secとしている。そして、0.833秒は、感光ドラム12aから中間転写ベルト24に転写される位置から、感光ドラム12bから中間転写ベルト24に転写される位置まで中間転写ベルト24が搬送される時間分に相当させて定めている。
次に制御部48は、カウントi=0とする(S7)。制御部48は、潜像センサ34bによってi番目(i=0)の潜像目盛り(ベルト目盛り)50と潜像目盛り(ドラム目盛り)31bを検出する(S8a、S8b)。検出した「ベルト目盛り50の信号タイミング」と「ドラム目盛り31bの信号タイミング」の時間差から、色ずれ相当量Δtiを算出する(S9)。
次に制御部48は、Δtiを元に「感光ドラム12bの潜像目盛り31b」と「中間転写ベルト24の潜像目盛り50」の位置ズレがなくなるように画像形成部43bのドラム駆動モータ6bの速度の補正量を算出する(S10)。制御部48は、算出した補正量でドラム駆動モータ6bの回転速度を補正する(S11)。このように目盛り同士の位置ズレが小さくなるようにドラム駆動モータ6bの回転速度を補正するように制御していく。
制御部48は、1ページ分の画像データが終了するまでドラム駆動モータ6bの制御を繰り返し、1ページ分の印字を終了する(S13)。
制御部48は、画像形成部43aで一次転写されたトナー画像に対応した静電潜像目盛り50に対して、画像形成部43b、43c、43dでトナー画像に対応したドラムの目盛り31b、31c、31dの位置を合わせる。これにより、中間転写ベルト24上に形成されたトナー画像に対して画像形成部43b、43c、43dで高精度にトナー画像を重ね合わせて転写できるため、色ずれのない高品質のフルカラー画像を出力できる。
以上のように、対応する感光ドラムと中間転写ベルトの潜像目盛り同士がズレないよう、中間転写ベルト24に対する、感光ドラム12b、12c、12dの位置を、算出したずれ量に応じて変動させる。これにより、中間転写ベルト24にトナー画像が転写されて生じる中間転写ベルト24の伸縮によるトナー画像の位置ズレに対しても、高精度に補正することが可能となる。例えば、本実施形態に基づいて色ずれを制御した結果、トナー4色間の色ずれ量を従来の150μmから40μmに抑えることができた。
また、本実施形態の場合、保持部材340により第1センサ部331及び第2センサ部332を一体的に保持している。言い換えれば、感光ドラム側の潜像目盛りを読み取るセンサ部と、中間転写ベルト側の潜像目盛りを読み取るセンサ部とを、別々に設けずに、保持部材340により一体に保持している。このため、センサ部同士の相対位置の温度変化等による変動や、各々の情報検出部の振動の違いなどの画像を合致させる際の誤差要因を低減できる。
また、保持部材340は、感光ドラムと中間転写ベルトとの間に挟持されるように配置される。このため、第1センサ部331及び第2センサ部332を一体的に保持していても、中間転写ベルトに形成された潜像目盛り50及び感光ドラム12に形成された潜像目盛り31を、それぞれのセンサで読み取ることができる。即ち、本実施形態の場合、潜像センサ34は、保持部材により第1センサ部331及び第2センサ部332を一体的に保持している。このため、感光ドラム12の潜像目盛り31と中間転写ベルト24の潜像目盛り50とを、精度良く読み取ることができる位置は、両者に同時に接触或いは近接配置できる、感光ドラム12と中間転写ベルト24との間となる。本実施形態では、このように構成され作用することで、色ずれが低減された、高品位な画像出力が可能となる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図8を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、潜像センサ34の「信号検出部333と信号検出部335」は、「潜像目盛り31と潜像目盛り50」に平行となるように設置している。また、第1の実施形態では、信号検出部として、感光ドラム12用に1個、中間転写ベルト24用に1個の銅パターンを使用していた。但し、このような構成の場合、潜像センサ34の潜像目盛りとの平行度が失われた場合、そのまま検出誤差となってしまう。取り付け誤差や経時変化などの場合は、印字結果からの補正が可能であるが、印字中に振動等の影響で、平行度が動的に失われると補正は困難である。
そこで、本実施形態では、潜像センサ34Aの信号検出部として、図8(a)に示すように、感光ドラム12用に2個、中間転写ベルト24に1個の銅パターンを使用している。即ち、本実施形態の潜像センサ34Aは、第1情報検出部として1個の信号検出部333を、第2情報検出部として2個の信号検出部335A、335Bを有する。また、これに合わせて、感光ドラム12に、第2位置情報として2列の潜像目盛り31A、31Bを形成するようにしている。以下、詳細に説明する。
まず、図8(b)に示すように、潜像センサ34Aには、「信号検出部333と信号検出部335A、335B」が、3個の銅パターンとして、主走査方向と平行な同一直線上に配置されている。また、信号検出部333を主走査方向に挟むよう(主走査方向両側)に信号検出部335A、335Bを配置している。これに伴い、2列の潜像目盛り31A、31Bを、中間転写ベルト24に形成する潜像目盛り50を主走査方向に挟むよう(主走査方向両側)に、感光ドラム12に形成している。
本実施形態の場合、感光ドラム12に2個の位置情報としての潜像目盛り31A、31Bを形成する位置情報形成手段は、第1位置情報形成手段と第2位置情報形成手段とのうちの一方の位置情報形成手段に相当する。また、中間転写ベルト24に位置情報としての潜像目盛り50を形成する位置情報形成手段が、他方の位置情報形成手段に相当する。そして、2個の位置情報としての潜像目盛り31A、31Bを、潜像目盛り50の幅方向両側(主走査方向両側)に形成するようにしている。
また、信号検出部335A、335Bは、第1情報検出部と第2情報検出部とのうち、一方の位置情報形成手段により形成された位置情報を検出する一方の情報検出部に相当する。また、信号検出部333は、他方の位置情報形成手段により形成された位置情報を検出する他方の情報検出部に相当する。そして、信号検出部335A、335Bを、信号検出部333の幅方向両側に2個配置するようにしている。そして、図8(a)に示すように、信号検出部335Aは感光ドラム12の潜像目盛り31Aを、信号検出部333は中間転写ベルト24の潜像目盛り50を、信号検出部335Bは感光ドラム12の潜像目盛り31Bを、それぞれ検出する。
このように、本実施形態では、信号検出部335A、335Bは、中間転写ベルト24の潜像目盛り50を主走査方向に挟むように形成された感光ドラム12の潜像目盛り31A、31Bを検出する。ここで、潜像センサ34Aの潜像目盛りに対する平行度が確保されていれば、信号検出部335A、335Bにより2列の潜像目盛り31A、31Bの信号を同時に検出できる。但し、図8(d)のように、潜像センサ34Aが傾いた場合(潜像目盛りに対する平行度が失われた場合)、信号検出部335A、335Bにより検出される2つの信号に時間差が生じる。
本実施形態では、このように、信号検出部335A、335Bにより検出される2つの信号に時間差が生じた場合に、これら2つの信号の検出時間の平均をとるようにしている。これにより、信号検出部335A、335Bに挟まれた位置に有る信号検出部333と、疑似的に副走査方向の同じ位置で、感光ドラム12の潜像目盛りを検出する状態となる。この結果、潜像センサ34Aが潜像目盛りに対して傾いた場合でも、リアルタイムで信号検出の補正が可能となり、色ずれ補正を高精度に行うことができる。
なお、上述の説明では、信号検出部を感光ドラム12の潜像目盛りの検出用に2個、中間転写ベルト24の潜像目盛りの検出用に1個それぞれ設けた。但し、信号検出部を感光ドラム12の潜像目盛りの検出用に1個、中間転写ベルト24の潜像目盛りの検出用に2個それぞれ設けるようにしても良い。この場合、感光ドラム12には1列の潜像目盛りを、中間転写ベルト24に2列の潜像目盛りを形成する。また、信号検出部の配置は、2列の潜像目盛りを検出する2個の信号検出部が隣り合うようにしても良い。但し、上述のように、これら2個の信号検出部を他の1個の信号検出部を挟むように配置して、これら2個の信号検出部の主走査方向の距離をなるべく離すことが好ましい。これにより、潜像センサの傾きによる2つの信号の時間差をより大きくでき、信号検出の補正をより正確に行える。その他の構造及び作用は、上述の第1の実施形態と同様である。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、図9及び図10を用いて説明する。上述の第2の実施形態では、潜像センサ34Aの傾き補正のため、主走査方向に感光ドラム12の潜像目盛りを2つ描く必要があり、感光ドラム12、中間転写ベルト24とも主走査方向に長くなってしまう。
そこで、本実施形態では、潜像センサ34Bの信号検出部333、335を基板347の表側と裏側とにそれぞれ形成し、且つ、これら信号検出部333、335の副走査方向の位置を同じとしている。これにより、潜像センサ34Bの傾きの影響を無くしつつ、且つ、感光ドラム12、中間転写ベルト24を主走査方向にコンパクトにできる。以下、詳細に説明する。
本実施形態の潜像センサ34Bは、二層のフレキシブルプリント基板である。具体的には、図9(b)に示すように、その断面構造は、順にカバー346、接着剤345、信号検出部335及びアース344、基板347、信号検出部333及びアース344、接着剤345、カバー346となっている。これら各部材は、保持部材340Aにより保持されている。本実施形態の場合、第1情報検出部としての信号検出部333及び第2情報検出部としての信号検出部335は、搬送体としての中間転写ベルト24の表面に直交する厚さ方向に異なる位置に配置される。
また、信号検出部333、335は、図9(a)に示すように、フレキシブルプリント基板の表面に直交する厚さ方向から見て互いに重畳するように配置される。言い換えれば、主走査方向及び副走査方向の位置が、互いに一致するように配置されている。これに伴い、感光ドラム12に潜像目盛りを形成する第2位置情報形成手段は、主走査方向に関し、少なくとも潜像目盛り31と潜像目盛り50との一部が同じとなる位置に潜像目盛り31を形成するようにしている。本実施形態では、潜像目盛り31と潜像目盛り50との主走査方向の位置を、ほぼ一致させている。
上述のように構成される潜像センサ34Bは、図10に示すように設置される。即ち、信号検出部333が中間転写ベルト24側に、信号検出部335が感光ドラム12側にそれぞれ配置される。そして、信号検出部333が中間転写ベルト24の潜像目盛り50を、信号検出部335が感光ドラム12の潜像目盛り12をそれぞれ検出する。なお、図10にて、信号検出部333をハッチングで表示しているが、これは信号検出部333と区別しやすくしたものであり、材質等は、信号検出部333と何ら変わらないものである。中間転写ベルト24側の潜像目盛りを検出する信号検出部をハッチングで示す表示方法は、以降の実施形態でも同様である。
本実施形態の場合、潜像センサ34Bが傾いた場合でも、信号検出部333と信号検出部335とは副走査方向に同じ位置にあるので、検出誤差となることはない。また、主走査方向に最低限の潜像目盛り幅で実現可能である。なお、フレキシブルプリント基板の製造上の誤差で、信号検出部333と信号検出部335が、ずれている場合が考えられるが、工場出荷時に印字結果からの補正が可能であり、以降の実施形態でも、銅パターンのずれに対し同様の補正が可能である。その他の構造及び作用は、上述の第1の実施形態と同様である。
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態について、図11ないし図14を用いて説明する。上述の第3の実施形態では、信号検出部335は感光ドラム12の潜像目盛り31を検出するよう設置されているが、僅かながら中間転写ベルト24の潜像目盛り50からの影響も受けてしまい、検出誤差となる可能性がある。同様に信号検出部333も感光ドラム12の潜像目盛り31からの影響を受ける。本実施形態では、このように検出すべきでない潜像目盛りからの影響を低減できる構成を提案する。なお、本実施形態では、図11、図12に示す例と、図13、図14に示す例との二例を示すが、まず、図11、図12に示す例ついて説明する。
図11、図12の例では、中間転写ベルト24の潜像目盛りの検出用に導体としての2本の銅パターンを使用する。潜像センサ34Cは、層構造が第3の実施形態の潜像センサ34Bと同じである二層のフレキシブルプリント基板である。そして、感光ドラム12の潜像目盛り31の検出用として信号検出部335の1本、中間転写ベルト24の潜像目盛り50の検出用に信号検出部333A、333Bの2本の、それぞれ導体としての銅パターンを使用する。これら各部材は、保持部材340Bにより保持されている。
また、信号検出部333A、333Bの2本は、中間転写ベルト24の潜像目盛り50のピッチに合わせて、その2本の間隔を設定されている。例えば、潜像目盛り50のピッチと銅パターン2本の間隔を同じにして、2本の出力信号の和を取り、中間転写ベルト24の潜像目盛り50の検出信号とする。または、潜像目盛り50のピッチの半分を銅パターン2本の間隔として、2本の出力信号の差を取り、中間転写ベルト24の潜像目盛り50の検出信号とする等である。
ここで、信号検出部333A、333Bの2本は、潜像センサ34Cを感光ドラム12と中間転写ベルト24とのニップ部に設置した状態で、そのニップ部の範囲内に存在する必要がある。このため、信号検出部333A、333Bの間隔はニップ幅以下であることが望ましい。以降の実施形態においても同様に、複数本で潜像目盛りを検出する場合、ニップ部の範囲内に存在する必要があるので、その間隔はニップ幅以下であることが望ましい。
このように潜像目盛り50の検出用に2本の銅パターンを使用することにより、この2本の信号検出部333A、333Bの間に、一定電位に保持された第1導体としてのアース344のパターンを設けることが可能となる。即ち、第1導体としてのアース344は、信号検出部333A、333Bの周囲で厚さ方向に同じ位置に配置される。そして、このアース344の基板347を挟んだ反対側に、感光ドラム12の電気的信号としての潜像目盛り31を検出する信号検出部335を配置するようにしている。即ち、信号検出部335は、導体としての銅パターンにより形成されて、第1導体としてのアース344と厚さ方向から見て重畳する位置に配置される。これにより、信号検出部335と中間転写ベルト24との間にアース344が存在するため、信号検出部335が中間転写ベルト24の潜像目盛り50から受ける影響をなくすことが可能となる。
同様に、信号検出部335の周囲には、一定電位に保持された第2導体としてのアース344のパターンがある。即ち、第2導体としてのアース344は、信号検出部335の周囲で厚さ方向に同じ位置に配置される。そして、このアース344の基板347を挟んだ反対側に、中間転写ベルト24の潜像目盛り50を検出する信号検出部333A、333Bを配置するようにしている。即ち、信号検出部333A、333Bは、導体としての銅パターンにより形成されて、第2導体としてのアース344と厚さ方向から見て重畳する位置に配置される。これにより、信号検出部333A、333Bと感光ドラム12との間にアース344が存在するため、信号検出部333A、333Bが感光ドラム12の潜像目盛り31から受ける影響をなくすことが可能となる。
このように、本実施形態では、信号検出部333A、333Bと信号検出部335との厚さ方向にそれぞれ重畳する位置にアース344を配置することで、検出すべきでない潜像目盛りからの影響を低減できる。なお、感光ドラム12の潜像目盛り31の検出用に2本の銅パターンを、中間転写ベルト24の潜像目盛り50の検出用に1本の銅パターンを使用しても良い。
次に、図13、図14の例について説明する。この例では、感光ドラム12の潜像目盛り31の検出用に2本の銅パターンを、中間転写ベルト24の潜像目盛り50の検出用にも2本の銅パターンを使用する。潜像センサ34Dは、層構造が第3の実施形態の潜像センサ34Bと同じである二層のフレキシブルプリント基板である。そして、感光ドラム12の潜像目盛り31の検出用として信号検出部335C、335Dの2本、中間転写ベルト24の潜像目盛り50の検出用に信号検出部333A、333Bの2本の、それぞれ導体としての銅パターンを使用する。これら各部材は、保持部材340Cにより保持されている。
信号検出部335C、335Dの2本の設置間隔は、上述した図11、12の例での信号検出部333A、333Bの間隔の設置方法と同様に、感光ドラム12の潜像目盛り31のピッチから計算する。また、信号検出部335C、335Dは、信号検出部333A、333Bの間のアース344と厚さ方向から見て重畳する位置に配置される。その他の点については、図11、12の例と同様である。このような図13、14の例の場合も、図11、12の例と同様の効果を得られる。その他の構成及び作用は、上述の第3の実施形態と同様である。
<第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態について、図15及び図16を用いて説明する。本実施形態では、第4の実施形態と異なる、検出すべきでない潜像目盛りからの影響を低減できる構成を提案する。
潜像センサ34Eは、三層のフレキシブルプリント基板である。図15(b)に示すように、その断面構造は、順にカバー346、接着剤345、信号検出部335及びアース344、基板347B、アース344A、基板347A、信号検出部333及びアース344、接着剤345、カバー346となっている。これら各部材は、保持部材340Dにより保持されている。本実施形態の場合、第1情報検出部としての信号検出部333及び第2情報検出部としての信号検出部335は、搬送体としての中間転写ベルト24の表面に直交する厚さ方向に異なる位置に配置される。
本実施形態の場合、上述の第3の実施形態の潜像センサ34Bに対し、2つの基板347A、347Bを有し、これら2つの基板347A、347Bの間に、一定電位に保持された導体としてのアース344Aを配置したものである。基板347Aのアース344Aと反対側には信号検出部333を、基板347Bのアース344Aと反対側には信号検出部335を配置している。
即ち、第1情報検出部としての信号検出部333は、中間転写ベルト24側の基板347A上に導体としての銅パターンにより形成されて、中間転写ベルト24に形成された電気的信号としての潜像目盛り50を検出する。また、第2情報検出部としての信号検出部335は、感光ドラム12側の基板347B上に導体としての銅パターンにより形成されて、感光ドラム12に形成された電気的信号としての潜像目盛り31を検出する。そして、アース344Aは、信号検出部333、335の間で、厚さ方向から見て信号検出部333、335と重畳する位置に配置される。
このように、本実施形態の場合、信号検出部333と信号検出部335との間に、一定電位に保持されたアース344Aが存在するため、検出すべきでない潜像目盛りからの影響を低減できる。その他の構成及び作用は、上述の第3の実施形態と同様である。
<第6の実施形態>
本発明の第6の実施形態について、図17ないし図31を用いて説明する。上述の各実施形態では、情報検出手段が、中間転写ベルト24の潜像目盛りを検出する信号検出部333等(第1情報検出部)と、感光ドラム12の潜像目盛りを検出する信号検出部335等(第2情報検出部)とを有する構成について説明した。これに対して本実施形態では、情報検出手段は、搬送体としての中間転写ベルト24の搬送方向(副走査方向)に並べて配置される2個の情報検出部としての信号検出部22A、22Bと、情報処理部としての検出信号抽出回路30とを有する。2個の信号検出部22A、22Bは、それぞれが、中間転写ベルト24に形成された潜像目盛り50Aと、感光ドラム12に形成された潜像目盛り31Cとの両方を検出する。そして、検出信号抽出回路30により、2個の信号検出部22A、22Bの検出信号を処理し、色ずれ補正を行うようにしている。以下、詳細に説明する。
[潜像センサ]
本実施形態でも、上述の各実施形態と同様に、潜像センサ34Fをフレキシブルプリント基板にて作成している。この構成を図17に示す。図17の潜像センサ34Fは、通常電気機器内の配線で用いられる「一層のフレキシブルプリント基板」であり、その銅パターンで、位置情報としての潜像を検出する部分を形成している。なお、以下の説明では、このフレキシブルプリント基板の例を説明するが、同様の(導体と絶縁体での)構成が実現できれば、どのような素材を使用しても良い。図17(a)はその平面図、図17(b)は図17(a)のA−A’の断面図である。なお、説明しやすいように、平面図と断面図との各寸法とは相関は無視している。
このような潜像センサ34Fは、中間転写ベルト24の搬送方向(副走査方向)に並べて配置される2個の情報検出部としての信号検出部22A、22Bと、信号伝達部25A、25Bとを有する。信号検出部22A、22Bは、それぞれ主走査方向に配設された細長い形状を有し、副走査方向に距離D離れて平行に配置されている。これら信号検出部22A、22Bが、前述の図2に示したプローブ330に相当し、それぞれ、後述する図18、19などに示す潜像目盛り31C、50Aの検出を行う。信号伝達部25A、25Bは、それぞれ信号検出部22A、22Bからの信号を引出すための検出信号引き出し線で、潜像目盛りの電位変動を検出しない様に、副走査方向に引出される。信号伝達部25A、25Bの端部には、信号を外部に取り出すための接続端子29A、29Bを設けている。これら信号検出部22A、22B及び信号伝達部25A、25Bは、それぞれ導体により構成されており、本実施形態の場合、上述した銅パターンにより形成される。
潜像センサ34Fは、図17(b)に示すように層構造となっており、保持部材340Eにより、信号検出部22A、22B、信号伝達部25A、25B及び接続端子29A、29Bを一体的に保持することで構成される。保持部材340Eは、基板26と、カバー28と、接着剤27とを有する。基板26は、ベース層でポリイミドの様な高強度で絶縁性が高く、線膨張係数が金属に近い材質が用いられ、この表面上に導電性の高い金属で信号検出部22A、22B、信号伝達部25A、25B及び接続端子29A、29Bを形成する。例えば、基板26の表面に信号検出部22A、22B、信号伝達部25A、25B及び接続端子29A、29Bを、銅パターンでプリントする。
カバー28は、信号検出部22A、22B及び信号伝達部25A、25Bを保護するカバー層で、ベース層とおなじポリイミドなどを用いる。例えば、基板26の表面をフィルム状のカバー28で覆う。接着剤27は、基板26とカバー28とを接着する接着層である。各部の厚さは、例えば、基板26が38μm、信号検出部22A、22B及び信号伝達部25A、25Bが9μm、カバー28が12.5μm、接着剤27のアースなどを除く部分が15μmである。このように構成される潜像センサ34F全体の厚さは、例えば、65.5〜74.5μmとすることが好ましい。
なお、図17(b)の断面図では同じ厚みになっているが、実際には信号検出部22A、22B及び信号伝達部25A、25Bが有る部分は74.5μm、これらが無い部分は65.5μmと云うように厚みは異なる。但し、信号検出部22A、22B及び信号伝達部25A、25Bが無い部分(周囲部分)に、これらに接しないダミーの平面パターンを設けることにより、厚みを74.5μmに均一化が可能となる。このダミーの平面パターンを接地(シールド)することにより、検出したい潜像目盛りに隣接する潜像目盛りの電位の影響を防止できる。即ち、基板26には、信号検出部22A、22B及び信号伝達部25A、25Bの周囲に不図示のアースを形成する。このアースは、上述の各実施形態で説明したアース344に相当する。
[信号検出部と潜像目盛りとの関係]
次に、上述の信号検出部22A、22Bと、本実施形態で形成する潜像目盛り50A、31Cとの関係について、図18ないし図21により説明する。まず、潜像目盛り50A、31Cは、図18又は図19に示すように形成される。即ち、潜像目盛り50Aは、搬送体としての中間転写ベルト24に、第1位置情報として、中間転写ベルト24の搬送方向(副走査方向)に関し、2種類の信号をデューティ比50%で等間隔となるように連続して形成される。潜像目盛り31Cも、第2像担持体としての感光ドラム12に、第2位置情報として、感光ドラム12の搬送方向(副走査方向)に関し、2種類の信号をデューティ比50%で等間隔となるように連続して形成される。本実施形態の場合、2種類の信号は、上述の各実施形態と同様に、中間電位に対して高い電位と低い電位とを副走査方向に繰り返すことで形成される。
ここで、潜像目盛り50Aの信号の間隔をP1、潜像目盛り31Cの信号の間隔をP2、n、mを自然数とした場合に、P1=P2/(2×n)、又は、P1=P2×2×mを満たす関係となっている。なお、図18では、潜像目盛り50Aのピッチが潜像目盛り31Cのピッチの2倍となる例を示している。一方、図19では、潜像目盛り50Aのピッチが潜像目盛り31Cのピッチの4倍となる例を示している。
また、潜像目盛り31Cは、感光ドラム12の表面のうち、感光ドラム12の搬送方向に交差する幅方向(主走査方向)に関し、少なくとも潜像目盛り31Cと潜像目盛り50Aとの一部が同じとなる位置に形成される。本実施形態では、潜像目盛り31Cと潜像目盛り50Aとが主走査方向に関し、ほぼ同じ位置に形成される。このような潜像目盛り50A、31Cは、図20(a)に示す画像領域外の非画像領域に形成される。
潜像センサ34Fは、図20及び図21に示すように、これら潜像目盛り31C及び潜像目盛り50Aと、中間転写ベルト24の表面に直交する厚さ方向から見て重畳する位置に、信号検出部22A、22Bが存在するように配置される。なお、潜像目盛り31Cと潜像目盛り50Aとは、少なくとも一部が主走査方向に同じとなれば良く、この場合、この部分に、信号検出部22A、22Bが厚さ方向に重畳するようにする。
このように潜像目盛り50A、31Cが主走査方向に同じ位置となる部分に、信号検出部22A、22Bを配置することで、潜像センサ34Fは、信号検出部22A、22Bにおいて、それぞれ、潜像目盛り50A、31Cの検出を行う。そして、潜像センサ34Fから、信号検出部22A、22Bでそれぞれ検出した信号を合成して出力する。
ここで、2個の信号検出部22A、22Bの副走査方向の間隔をDとした場合に、P1<P2の場合にD=P2/2、P1>P2の場合にD=P1/2を満たすように、信号検出部22A、22Bの副走査方向の間隔Dが設定されている。また、図20(b)において、角度θの区間は感光ドラム12と中間転写ベルト24とが接触し、感光ドラム12に形成された静電潜像が中間転写ベルト24に転写される転写区間である。潜像センサ34Fの取り付け位置は、主走査方向に対しては図20(a)に示すように、画像領域外の非画像領域で、潜像目盛り50A、31Cが形成される領域とする。副走査方向に対しては、図20(b)に示すように、感光ドラム12と中間転写ベルト24との間に挟持される位置とする。そして、2個の信号検出部22A、22Bが転写区間内に位置し、且つ、接続端子29A、29Bが転写区間外に位置するように、潜像センサ34Fを配置する。なお、潜像センサ34Fは、取り付け位置が変動しない様に図に示さない支持部材により固定する。
まとめると以下のようになる。即ち、潜像目盛り50A(第1マーク)のピッチをP1、潜像目盛り50Aの副走査方向の幅をL1、潜像目盛り31C(第2マーク)のピッチをP2、潜像目盛り31Cの副走査方向の幅をL2、2個の信号検出部22A、22Bの距離をDとする。
この場合に、潜像目盛り50Aは、P1=2×L1というようにデューティ比が50%であり、潜像目盛り31CもP2=2×L2というようにデューティ比が50%である。なお、潜像目盛りの電位が矩形波のような電位ではない場合には、1/2周期で電位の最大値と最小値の中間電位に対する電位差が正負反転した電位の潜像目盛りでも良い。
また、潜像目盛り50Aと潜像目盛り31Cとの関係は、P1=P2/(2×n)、(nは正の整数)、又は、P1=P2×2×m(mは正の整数)という様に、ピッチの長い目盛りの半周期がピッチの短い目盛りのピッチの整数倍の関係となる。また、信号検出部22A、22Bと潜像目盛り50A、31Cとの関係は、P1<P2の場合にはD=P2/2、P1>P2の場合にはD=P1/2というように、信号検出部22A、22bの間隔Dは、ピッチの長い目盛りの半周期の関係となる。
[検出信号の抽出]
次に、潜像センサ34Fにおける潜像目盛り50A、31Cの検出信号の抽出について、図22ないし図25を用いて説明する。本実施形態では、2個の信号検出部22A、22Bの検出信号を合成して出力された2種類の検出信号から、潜像目盛り50Aの検出信号と潜像目盛り31Cの検出信号とを抽出する。ここで、2個の信号検出部22A、22Bの検出信号をS1、S2、潜像目盛り50Aに関する検出信号をM1、潜像目盛り31Cに関する検出信号をM2とする。この場合に、後述する検出信号抽出回路30(図25)は、P1<P2の場合にM1=S1+S2、M2=S1−S2、P1>P2の場合にM1=S1−S2、M2=S1+S2を満たすように、2個の信号検出部22A、22Bの検出信号を処理する。以下、詳細に説明する。
図22では、上側が感光ドラム12、下側が中間転写ベルト24、その間に図示していない潜像センサ34Fが挟まっている。潜像センサ34Fには、2個の信号検出部22A、22Bが副走査方向に並べて配置される。ここで、副走査方向下流に信号検出部22Aが、副走査方向上流に信号検出部22Bが、それぞれ配置される。また、感光ドラム12には、第2マークとしての潜像目盛り31Cが、中間転写ベルト24には、第1マークとしての潜像目盛り50Aが、それぞれ形成される。また、潜像目盛り31CのピッチP2と潜像目盛り50AのピッチP1の比は1:2の関係(P1>P2)で、表面の電位は同じとする。
信号検出部で潜像目盛りを検出した波形は、信号検出部と潜像目盛りとの距離に反比例するため、距離が遠くなると波形は小さくなる。したがって、信号検出部22Aと感光ドラム12との距離は、信号検出部22Bと感光ドラム12との距離と等しくすることが好ましい。これは信号検出部22A、22Bで検出した合成波形から潜像目盛り50Aの検出信号を抽出する場合、潜像目盛り31Cの検出波形をキャンセルするためには、潜像目盛り31Cの検出波形の振幅の大きさを同じとすることが好ましいためである。同様に、信号検出部22A、22Bで検出した合成波形から潜像目盛り31Cの検出信号を抽出する場合、潜像目盛り50Aの検出波形をキャンセルするためには、潜像目盛り50Aの検出波形の振幅の大きさを同じとすることが好ましい。このため、信号検出部22Aと中間転写ベルト24との距離は、信号検出部22Bと中間転写ベルト24との距離と等しくすることが好ましい。
但し、この距離関係が成り立っていれば、信号検出部22Aと感光ドラム12との距離は、信号検出部22Aと中間転写ベルト24との距離とは異なっていても良い。なお、上述の距離関係は成り立っていなくても、増幅器を用いて検出波形の振幅の大きさを等しくするようにすれば良い。
図22では、便宜的に、感光ドラム12と中間転写ベルト24を固定し、潜像センサ34Fを図の右方向に等速で移動させたとして説明する。これは、潜像センサ34Fを固定し、感光ドラム12と中間転写ベルト24を図の左側(副走査方向)に移動させた場合と同様である。このため、上述したように、信号検出部22Aが副走査方向下流に、信号検出部22Bが副走査方向上流に、それぞれ位置することになる。
図22に示す第1マーク検出波形は、潜像センサ34Fで抽出して得たい第1マークとしての潜像目盛り50Aの検出信号の波形である。第2マーク検出波形は、潜像センサ34Fで抽出して得たい第2マークとしての潜像目盛り31Cの検出信号の波形である。マーク検出信号Aは、信号検出部22Aが実際に検出した検出信号(S1)の波形である。マーク検出信号Bは、信号検出部22Bが実際に検出した検出信号(S2)の波形である。A+B信号の波形は、マーク検出信号Aとマーク検出信号Bを加算(S1+S2)した波形である。A−B信号の波形は、マーク検出信号Aからマーク検出信号Bを減算(S1−S2)した波形である。
ここで、本実施形態では、潜像目盛り31CのピッチP2と潜像目盛り50AのピッチP1との関係は、P1>P2であるため、検出信号抽出回路30は、M1=S1−S2、M2=S1+S2を満たすように処理する。したがって、A+B信号(S1+S2)はM2に相当し、A−B信号(S1−S2)はM1に相当する。
なお、図22に示す各波形の横軸は時間であるが、信号検出部22Aの位置と時間が一致するようにしている。また、図22の信号検出部22Aと信号検出部22Bは、時刻t1の時の位置を示している。また、以下で説明する潜像目盛り(マーク)の検出原理は、前述の図2で説明した通りである。
[時刻t1]
時刻t1においては、潜像目盛り50Aと潜像目盛り31Cとのマーク開始部(マークの搬送方向先端)が共に、信号検出部22Aにより検出されているため、マーク検出信号Aとして、+側に2倍の電圧が出力される。一方、潜像目盛り31Cのマーク開始部と、潜像目盛り50Aのマーク終了部(マークの搬送方向後端)とが、信号検出部22Bにより検出されている。このため、2つのマークの電位が同じで、距離も同じであるためにお互いに相殺され、マーク検出信号Bとして、0(V)が出力される。A+B信号は、マーク検出信号Bが0(V)であるため、マーク検出信号Aがそのまま出力される。A−B信号も、マーク検出信号Bが0(V)であるため、マーク検出信号Aがそのまま出力される。
[時刻t2]
時刻t2においては、潜像目盛り31Cのマーク終了部が信号検出部22Aにより検出されているため、マーク検出信号Aとして、−側の電圧が出力される。一方、潜像目盛り31Cのマーク終了部が信号検出部22Bにより検出されているため、マーク検出信号Bとして、−側の電圧が出力される。A+B信号は、マーク検出信号Aとマーク検出信号Bが共に−側の電圧であるため、−側に2倍の電圧が出力される。A−B信号は、マーク検出信号Aとマーク検出信号Bが共に−側の電圧であるため相殺され、0(V)が出力される。
[時刻t3]
時刻t3においては、潜像目盛り31Cのマーク開始部と潜像目盛り50Aのマーク終了部とが、信号検出部22Aにより検出されている。このため、2つのマークの電位が同じで、距離も同じであるためにお互いに相殺され、マーク検出信号Aとして、0(V)が出力される。一方、潜像目盛り31Cと潜像目盛り50Aとのマーク開始部が共に、信号検出部22Bにより検出されているため、マーク検出信号Bとして、+側に2倍の電圧が出力される。A+B信号は、マーク検出信号Aが0(V)であるため、マーク検出信号Bがそのまま出力される。A−B信号は、マーク検出信号Aが0(V)であるため、マーク検出信号Bの電圧の極性が反転された−側に2倍の電圧が出力される。
[時刻t4]
時刻t4においては、潜像目盛り31Cのマーク終了部が信号検出部22Aにより検出されているため、マーク検出信号Aとして、−側の電圧が出力される。一方、潜像目盛り31Cのマーク終了部が信号検出部22Bにより検出されているため、マーク検出信号Bとして、−側の電圧が出力される。A+B信号は、マーク検出信号Aとマーク検出信号Bが共に−側の電圧であるため、−側に2倍の電圧が出力される。A−B信号は、マーク検出信号Aとマーク検出信号Bが共に−側の電圧であるため相殺され、0(V)が出力される。
このようにしてA+B信号とA−B信号が出力される。このとき、A+B信号は第2マーク検出信号と同じ波形になっている。同様にA−B信号は第1マーク検出信号と同じ波形になっている。つまり、第2マーク検出信号はマーク検出信号Aとマーク検出信号Bを加算して抽出を行う。同様に第1マーク検出信号はマーク検出信号Aからマーク検出信号Bを減算して抽出を行う。したがって、上述したように、A+B信号(S1+S2)はM2に相当し、A−B信号(S1−S2)はM1に相当するため、第2マーク検出信号がM2、第1マーク検出信号がM1となる。
なお、A+B信号およびA−B信号の出力は演算が解りやすいように2倍の電圧にしているが、出力電圧を減衰して1倍の電圧になるようにすることが好ましい。ただし、以降の実施形態においても演算が解りやすいように減衰しない波形で説明する。
また、本実施形態の場合、信号検出部22Aと信号検出部22Bとの副走査方向の位置が入れ替わっても良い。この場合、図22(b)で、マーク検出信号Aとマーク検出信号Bとの波形も入れ替わることになる。この結果、A−B信号(S1−S2)=M1は、図22(a)の第1マーク検出信号の波形と正負が逆転することになる。この場合でも、A−B信号の波形のピークの位置は第1マーク検出信号の波形と同じとなるため、第1マーク検出信号と同様に扱える。
図23は、図22に対して、潜像目盛り50A(第1マーク)と潜像目盛り31C(第2マーク)との位相が異なる場合の図である。2つのマークの位相がずれているため、全てのマークのマーク開始部とマーク終了部とが検出されるため、マーク検出信号Aとマーク検出信号Bは、図23より複雑な波形になっている。但し、抽出された第1マーク検出信号と第2マーク検出信号は、それぞれ第1マーク検出波形と第2マーク検出波形と同じ形の波形が得られる。よって、2つのマークの位相に関係なく抽出が行えることが分かる。
図24は、更に潜像目盛り50A(第1マーク)のピッチを2倍にしたときの図である。詳細の説明は省略するが、この場合でも2つのマークの抽出が行えていることが分かる。
図25は、上述のように検出した検出信号の抽出を行う回路図である。信号検出部22Aで検出されたマーク検出電流信号201A、及び、信号検出部22Bで検出されたマーク検出電流信号201Bは、電流電圧変換回路23で、それぞれ、電流信号から電圧信号に変換される。そして、信号検出部22Aの検出信号は、電圧信号に変換されたマーク検出信号202Aとして、信号検出部22Bの検出信号は、電圧信号に変換されたマーク検出信号202Bとして、それぞれ電流電圧変換回路23から出力される。
これらのマーク検出信号202A、202Bは、情報処理部としての検出信号抽出回路30で処理される。検出信号抽出回路30は、加算回路301及び減算回路302を有する。加算回路301で処理された信号は、第2マーク検出信号204として出力される。減算回路302で処理された信号は、第1マーク検出信号203として出力される。即ち、検出信号抽出回路30では、信号検出部22Aで検出したマーク検出信号202Aと、信号検出部22Bで検出したマーク検出信号202Bとを、加算回路301で加算して第2マーク検出信号204を抽出する。同様に信号検出部22Aで検出したマーク検出信号202Aと、信号検出部22Bで検出したマーク検出信号202Bとを、減算回路302で減算して第1マーク検出信号203を抽出する。なお、本回路図では、説明に必要のない抵抗器やコンデンサなどの部品は省略している。同様の理由により、抵抗器の値も省略している。
[色ずれ補正]
次に、上述のようにして抽出された2つのマーク検出信号による色ずれ補正の方法について、図26を用いて説明する。中間転写ベルト24には、第1マークとしての潜像目盛り50Aが形成される。また、感光ドラム12には、露光装置16により第2マークとしての潜像目盛り31Cが形成される。この感光ドラム12は、ドラム駆動モータ6により回転駆動される。なお、感光ドラム12の画像領域に形成されたトナー画像は、一次転写ローラ4により中間転写ベルト24に転写される。
感光ドラム12と中間転写ベルト24との間には、潜像センサ34Fが挟持されている。潜像センサ34Fの信号検出部22A、22B(図26では省略)により検出されたマーク検出電流信号201A、201Bは、電流電圧変換回路23で電流信号を電圧信号に変換されて、マーク検出信号202A、202Bとして出力される。このとき、変換された電圧信号の大きさが揃うように増幅を行う。マーク検出信号202A、202Bは、検出信号抽出回路30で第1マーク検出信号203と第2マーク検出信号204として抽出される。
検出信号抽出回路30で抽出された第1マーク検出信号203及び第2マーク検出信号204は、制御手段としての制御部48Aに送られる。制御部48Aでは、第1マーク検出信号203と第2マーク検出信号204の時間のずれから位置ずれ量(色ずれ量)を算出する。そして、制御部48Aが、このずれ量が0になるように、言い換えれば、上述のM1とM2との位相が一致するように、モータ駆動部60に速度指令信号205を出力する。即ち、ずれ量を0にするための感光ドラム12の速度を算出する。例えば、感光ドラム12に形成された潜像目盛り31Cの方が潜像目盛り50Aよりも遅かった場合には、感光ドラム12の速度として中間転写ベルト24より速い速度を指令する。そして、潜像目盛り31Cが潜像目盛り50Aに追いついて時間差が無くなったら、感光ドラム12の速度として中間転写ベルト24と同じ速度を指令する。
モータ駆動部60は、この速度指令信号205に従ってドラム駆動信号206をドラム駆動モータ6に出力し、ドラム駆動モータ6は、このドラム駆動信号206に従って感光ドラム12を回転駆動する。このとき、トナー画像の一次転写の効率を良くするために感光ドラム12と中間転写ベルト24との速度差が予め決められた速度差になるように感光ドラム12を駆動する。
[色ずれ補正の制御フロー]
次に、本実施形態の色ずれ補正の制御フローについて、図27ないし図30を用いて説明する。まず、図27を用いて制御フローの概略について説明する。上述のように、潜像センサ34Fの信号検出部22A、22Bにより、潜像目盛り50A(第1マーク)及び潜像目盛り31C(第2マーク)の通過を監視する。そして、検出信号抽出回路30で抽出された第1マーク検出信号203及び第2マーク検出信号204から第1マークの通過を検出する(S101)、第1マークの通過を検出したら通過した時刻T1を記録する(S102)。次に、第2マークの通過を検出する(S103)。第2マークの通過を検出したら通過した時刻T2を記録する(S104)。これら第1マークと第2マークの両方が検出されるまで上述のステップを繰り返す(S105)。2つのマークが検出された、それぞれの通過した時刻を比較する(106)。
S106で通過した時刻が同じ(T1=T2)であれば、感光ドラム12の速度Vedとして、中間転写ベルト24の速度Vebと同じ速度(Ved=Veb)に指令する(S107)。一方、中間転写ベルト24の第1マーク(潜像目盛り50A)の方が早く通過した場合(T1<T2)には(S108のYES)、感光ドラム12の速度Vedとして中間転写ベルト24の速度Vebより速い速度(Ved=Veb+ΔVe)を指令する(S109)。これに対して、中間転写ベルト24の第1マークの方が遅く通過した場合(T1>T2)には(S108のNO)、感光ドラム12の速度Vedとして中間転写ベルト24の速度Vebより遅い速度(Ved=Veb−ΔVe)を指令する(S110)。画像形成が終了したらフローを終了する(S111)。
[色ずれ補正の制御の具体例]
上述の図27では、本実施形態の色ずれ補正の制御フローの概略を説明したが、次に、図28ないし図30を用いて、このような制御をより具体的に説明する。図28及び図29は、時刻t1〜t10における2つのマークである潜像目盛り50A、31Cと、2個の信号検出部22A、22Bの位置関係を示した図である。ここでは、信号検出部22A、22Bは固定し、感光ドラム12及び中間転写ベルト24が図の右方向に移動した図になっている。また、図の丸で囲った部分は、制御部48Aにて第1マーク検出信号(A−B)と第2マーク検出信号(A+B)との位相を合わせる位置を示す。
図30は、各信号の波形で、図30(a)は、信号検出部22Aが検出したマーク検出信号A、信号検出部22Bが検出したマーク検出信号Bである。図30(b)は、2つのマーク検出信号から抽出した第2マーク検出信号(A+B)、2つのマーク検出信号から抽出した第1マーク検出信号(A−B)である。図30(c)は、色ずれを補正するための感光ドラム12への速度指令信号である。
図28(a)に示すように、時刻t1は、信号検出部22Bに1つ目の潜像目盛り50Aが到達した時刻である。図30の時刻t1のように、マーク検出信号Bのみ+側に信号が出力されている。検出信号抽出回路30は単純な加算と減算で信号抽出を行うため、2つの検出部が共にマークを検出していないと正しく抽出できない。信号検出部22Aは未だ1つ目のマークを検出していないため制御部48Aでは位相合わせ制御を行わない。よって、感光ドラム12の速度指令信号は中間転写ベルト24の速度Vebを出力する。
図28(b)に示すように、時刻t2は、信号検出部22Bに1つ目の潜像目盛り31Cが到達した時刻である。図30の時刻t2のように、マーク検出信号Bのみ+側に信号が出力されている。信号検出部22Aは未だ1つ目のマークを検出していないため制御部48Aでは位相合わせ制御を行わない。よって、引き続き感光ドラム12の速度指令信号は中間転写ベルト24の速度Vebを出力する。
図28(c)に示すように、時刻t3は、信号検出部22Bを1つ目の潜像目盛り31Cが通過した時刻である。図30の時刻t3のように、マーク検出信号Bのみ−側に信号が出力されている。信号検出部22Aは未だ1つ目のマークを検出していないため制御部48Aでは位相合わせ制御を行わない。よって、引き続き感光ドラム12の速度指令信号は中間転写ベルト24の速度Vebを出力する。
図28(d)に示すように、時刻t4は、信号検出部22Aに1つ目の潜像目盛り50Aが到達し、信号検出部22Bを1つ目の潜像目盛り50Aが通過した時刻である。図30の時刻t4のように、マーク検出信号Aは+側に信号が出力され、マーク検出信号Bは−側に信号が出力されている。マーク検出信号Aは+の信号で、マーク検出信号Bは−の信号であるため、第2マーク検出信号は相殺されて信号は0のままである。つまり信号検出部22Aに潜像目盛り31C(第2マーク)が到達していないのと一致する。一方、第2マーク検出信号は+側に出力されるため、この時刻t4を潜像目盛り50A(第1マーク)の1つ目の検出時刻として記録する。2個の信号検出部22A、22Bがそれぞれマークを検出し、第1マーク及び第2マークに相当する信号を検出できたため、制御部48Aは、位相合わせ制御を開始する。この時刻では、未だ第1マークしか検出していないため、感光ドラム12の速度指令信号は中間転写ベルト24の速度Vebを継続して出力する。
図28(e)に示すように、時刻t5は、信号検出部22Aに1つ目の潜像目盛り31Cが到達し、信号検出部22Bに2つ目の潜像目盛り31Cが到達した時刻である。図30の時刻t5のように、マーク検出信号Aは+側に信号が出力され、マーク検出信号Bも+側に信号が出力されている。マーク検出信号Aは+の信号で、マーク検出信号Bも+の信号であるため、第2マーク検出信号は+の信号が出力され、第1マーク検出信号は相殺されて信号は出力されない。第2マーク検出信号は+側に出力されるため、この時刻t5を潜像目盛り31C(第2マーク)の1つ目の検出時刻として記録する。
第1マークと第2マークとの両方を検出したため、制御部48Aでは、2つの時刻(t4、t5)を比較する。ここでは、第2マークの通過時刻t5が第1マーク通過時刻t4より遅いため、中間転写ベルト24の速度VebよりΔVeだけ速い速度Veb+ΔVeを、感光ドラム12の速度指令信号として出力する。ΔVeは予め決められた速度又は時間差に応じて算出された速度である。
図29(a)に示すように、時刻t6は、信号検出部22Aを1つ目の潜像目盛り31Cが通過し、信号検出部22Bを2つ目の潜像目盛り31Cが通過した時刻である。図30の時刻t6のように、マーク検出信号Aは−側に信号が出力され、マーク検出信号Bも−側に信号が出力されている。マーク検出信号Aは−の信号で、マーク検出信号Bも−の信号であるため、第2マーク検出信号は−の信号が出力され、第1マーク検出信号は相殺されて信号は出力されない。第2マーク検出信号は−側に出力されるが、第1マーク(潜像目盛り50A)のピッチは第2マーク(潜像目盛り31C)のピッチの2倍であるため、第1マーク側には第2マークを合わせる位置がない。よって、第2マーク検出信号の−側の信号は無視する。第1マーク検出信号は何も検出していないため、感光ドラム12の速度指令信号は時刻t5で決めた速度Veb+ΔVeを継続して出力する。
図29(b)に示すように、時刻t7は、信号検出部22Aを1つ目の潜像目盛り50Aが通過し、信号検出部22Bに2つ目の潜像目盛り50Aが到達した時刻である。図30のt7のように、マーク検出信号Aは−側に信号が出力され、マーク検出信号Bは+側に信号が出力される。マーク検出信号Aは−の信号で、マーク検出信号Bは+の信号であるため、第2マーク検出信号は相殺されて出力されず、第1マーク検出信号は−の信号を出力する。第1マーク検出信号は−側に出力されたため、この時刻t7を第1マークの2つ目の検出時刻として記録する。この時刻では、2つ目のマークは第1マークしか検出していないため、感光ドラム12の速度指令信号は速度Veb+ΔVeを継続して出力する。
図29(c)に示すように、時刻t8は、信号検出部22Aに2つ目の潜像目盛り31Cが到達し、信号検出部22Bに3つ目の潜像目盛り31Cが到達した時刻である。図30の時刻t8のように、マーク検出信号Aは+側に信号が出力され、マーク検出信号Bも+側に信号が出力されている。マーク検出信号Aは+の信号で、マーク検出信号Bも+の信号であるため、第2マーク検出信号は+の信号が出力され、第1マーク検出信号は相殺されて信号は出力されない。第2マーク検出信号は+側に出力されるため、この時刻t8を第2マークの2つ目の検出時刻として記録する。第1マークと第2マーク共に2つ目のマークを検出したため、制御部48Aでは2つの時刻(t7、t8)を比較する。ここでは、第2マークの通過時刻t8が第1マークの通過時刻t7より遅いため、引き続き、中間転写ベルト24の速度VebよりΔVeだけ速い速度Veb+ΔVeを感光ドラム12の速度指令信号として出力する。
図29(d)に示すように、時刻t9は、信号検出部22Aを2つ目の潜像目盛り31Cが通過し、信号検出部22Bを3つ目の潜像目盛り31Cが通過した時刻である。図30の時刻t9のように、マーク検出信号Aは−側に信号が出力され、マーク検出信号Bも−側に信号が出力される。マーク検出信号Aは−の信号で、マーク検出信号Bも−の信号であるため、第2マーク検出信号は−の信号が出力され、第1マーク検出信号は相殺されて信号は出力されない。第2マーク検出信号の−側は第1マーク側に合わせる位置がないため無視する。第1マーク検出信号は何も検出していないため、感光ドラム12の速度指令信号は速度Veb+ΔVeを継続して出力する。
図29(e)に示すように、時刻t10は、信号検出部22Aに3つ目の潜像目盛り31Cと2つ目の潜像目盛り50Aが同時に到達した時刻である。また、信号検出部22Bに4つ目の潜像目盛り31Cが到達し、信号検出部22Bを2つ目の潜像目盛り50Aが通過した時刻でもある。図30のt10のように、マーク検出信号Aは+側に信号が出力され、マーク検出信号Bは相殺されて出力されない。マーク検出信号Aは+の信号で、マーク検出信号Bは0であるため、第2マーク検出信号は+の信号を出力し、第1マーク検出信号も+の信号を出力する。第2マーク検出信号は+側に出力されたためこの時刻t10を第2マークの3つ目の検出信号として記録する。また、第2マーク検出信号も+側に出力されたため、この時刻t10を第1マークの3つ目の検出時刻として記録する。この時刻では、共に3つ目のマークを検出したため、制御部48Aでは2つの時刻を比較し、第1マークの通過時刻t10と第2マークの通過時刻t10が同時であるため、中間転写ベルト24の速度Vebを感光ドラム12の速度指令信号として出力する。つまり感光ドラム12が中間転写ベルト24に追いついたため、中間転写ベルト24と同じ速度に戻す。以上のようにして位相合わせを行うことで色ずれ補正が行われる。
このような本実施形態の場合も、色ずれが低減できるため高品質な画像を得られる。また、2個の信号検出部22A、22Bを一体的に保持した、各画像形成部で1個の潜像センサ34Fで、感光ドラム12側と中間転写ベルト24側との2つのマークが検出できる。このため、それぞれのマークを検出するために2つのセンサを設けた場合に、取り付け時に行われていたこれら2つのセンサの副走査方向の位置調整作業や経時変化による再調整が不要となるなど、メンテナンス性が向上する。
更に、潜像センサ34Fの製造において、センサを構成する層構成は、検出部が1つしかないセンサと同様に、同じ1層構成で実現できるため、製造工程を変えることなく2個の信号検出部を一体化した潜像センサ34Fが製造できる。このため、潜像センサ34F自体の製造コストを増加を抑えられる。また、2つの信号を抽出する回路も、2つの信号の加算と減算というような簡単かつ低価格な演算器の組み合わせで実現できるため、低コストで実現できる。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様である。
<第7の実施形態>
本発明の第7の実施形態について、図31ないし図42を用いて説明する。上述の第6の実施形態では、2個の信号検出部の信号から2つのマーク検出信号を抽出した。これに対して本実施形態では、4つの信号検出部22A、22B、22C、22Dの信号から2つのマーク検出信号を抽出するようにしている。このように4つの信号検出部の信号からマーク検出信号の抽出を行うことで、第6の実施形態では除去が難しかった外来ノイズの除去が可能となるのが特徴である。
まず、この外来ノイズについて説明する。感光ドラム12の周囲には、高圧の電圧が印可される帯電ローラや現像装置、一次転写ローラ、クリーニング装置などが配置されている。これらの電圧の一部は、交流であったり、画像間に極性が反転したりする。この高圧の電圧変動が感光ドラムを伝わって、複数の信号検出部に同じ波形のノイズが混入する。このノイズが外来ノイズである。
上述の第6の実施形態で示した図22に外来ノイズが混入した図の一例を図31に示す。図31の丸で囲った波形が外来ノイズで、2つのマーク検出信号に対して同じ時刻に同じ波形のノイズが混入する。A+B信号は2つの信号を加算するため、外来ノイズも同様に加算されてしまう。A−B信号は減算するため、外来ノイズは除去できる。このように第6の実施形態では抽出した第2マーク検出信号(A+B)に2倍に増幅された外来ノイズが混入する。この外来ノイズは第2マークの通過した時間に誤差を生じ、位相合わせ制御の精度を低下させてしまう。
そこで、本実施形態では、第2マーク検出信号の抽出に減算を含ませるために、信号検出部を4つにして、4つの信号から減算と加算を組み合わせて第2マーク検出信号の抽出を行うようにしたものである。なお、第1マーク検出信号は第6の実施形態でも外来ノイズの除去ができているため、本実施形態でも第1マーク検出信号の抽出は2つの信号検出部の信号から抽出を行う。
本実施形態の潜像センサ34Gも、上述の第6の実施形態と同様に、一層のフレキシブルプリント基板により作成している。このような潜像センサ34Gは、図32及び図33に示すように、副走査方向に並べて配置される4個の情報検出部としての信号検出部22A、22B、22C、22Dと、信号伝達部25A、25B、25C、25Dとを有する。信号検出部22A〜22Dは、それぞれ主走査方向に配設された細長い形状を有する。これら4個の信号検出部は、副走査方向下流から順に、第1情報検出部と信号検出部22A、第2情報検出部として信号検出部22B、第3情報検出部として信号検出部22C、第4情報検出部として信号検出部22Dを並べて配置している。そして、信号検出部22Aと信号検出部22Bとの副走査方向の間隔をD12、信号検出部22Cと信号検出部22Dとの副走査方向の間隔をD34、信号検出部22Aと信号検出部22Cとの副走査方向の間隔をD13としている。これら信号検出部22A〜22Dが、前述の図2に示したプローブ330に相当し、それぞれ、図32、33などに示す潜像目盛り31C、50Aの検出を行う。
信号伝達部25A〜25Dは、それぞれ信号検出部22A〜22Dからの信号を引出すための検出信号引き出し線で、潜像目盛りの電位変動を検出しない様に、副走査方向に引出される。信号伝達部25A〜25Dの端部には、信号を外部に取り出すための接続端子29A〜29Dを設けている。これら信号検出部22A〜22D及び信号伝達部25A〜25Dは、それぞれ導体により構成されており、本実施形態の場合、基板上に銅パターンにより形成される。
本実施形態の場合も、上述の第6の実施形態と同様に、潜像目盛り50Aは、搬送体としての中間転写ベルト24に第1位置情報として、副走査方向に関し、2種類の信号をデューティ比50%で等間隔となるように連続して形成される。潜像目盛り31Cも、第2像担持体としての感光ドラム12に第2位置情報として、副走査方向に関し、2種類の信号をデューティ比50%で等間隔となるように連続して形成される。
ここで、潜像目盛り50Aの信号の間隔をP1、潜像目盛り31Cの信号の間隔をP2、n、mを自然数とした場合に、P1=P2/(2×n)、又は、P1=P2×2×mを満たす関係となっている。なお、図32では、潜像目盛り50Aのピッチが潜像目盛り31Cのピッチの2倍となる例を示している。一方、図33では、潜像目盛り50Aのピッチが潜像目盛り31Cのピッチの4倍となる例を示している。
また、4個の信号検出部22A〜22Dは、P1<P2の場合にD12=P1/2、D34=P1/2、D13=P2/2、P1>P2の場合にD12=P2/2、D34=P2/2、D13=P1/2を満たすように配置されている。これらの信号検出部22A〜22Dを有する潜像センサ34Gは、第6の実施形態と同様に、感光ドラム12と中間転写ベルト24との間の転写区間内に取り付ける(図21及び図22参照)。
まとめると以下のようになる。即ち、潜像目盛り50A(第1マーク)のピッチをP1、潜像目盛り50Aの副走査方向の幅をL1、潜像目盛り31C(第2マーク)のピッチをP2、潜像目盛り31Cの副走査方向の幅をL2とする。また、4個の信号検出部22A〜22Dの距離を、上述したようにD12、D34、D13とする。
この場合に、潜像目盛り50Aは、P1=2×L1というようにデューティ比が50%であり、潜像目盛り31CもP2=2×L2というようにデューティ比が50%である。なお、潜像目盛りの電位が矩形波のような電位ではない場合には、1/2周期で電位の最大値と最小値の中間電位に対する電位差が正負反転した電位の潜像目盛りでも良い。また、潜像目盛り50Aと潜像目盛り31Cとの関係は、P1=P2/(2×n)、(nは正の整数)、又は、P1=P2×2×m(mは正の整数)という様に、ピッチの長い目盛りの半周期がピッチの短い目盛りのピッチの整数倍の関係となる。
また、信号検出部22A〜22Dと潜像目盛り50A、31Cとの関係は、検出部間距離D12とD13はピッチの短いマークの半周期、検出部間距離D13はピッチの長いマークの半周期の関係となる。即ち、P1<P2の場合にD12=P1/2、D34=P1/2、D13=P2/2、P1>P2の場合にD12=P2/2、D34=P2/2、D13=P1/2となる。
[検出信号の抽出]
次に、潜像センサ34Gにおける潜像目盛り50A、31Cの検出信号の抽出について、図34ないし図37を用いて説明する。本実施形態では、4個の信号検出部22A〜22Dの検出信号を合成して出力された4種類の検出信号から、潜像目盛り50Aの検出信号と潜像目盛り31Cの検出信号とを抽出する。ここで、4個の信号検出部22A〜22Dの検出信号をS1、S2、S3、S4、潜像目盛り50Aに関する検出信号をM1、潜像目盛り31Cに関する検出信号をM2とする。この場合に、検出信号抽出回路30A(図37)は、P1<P2の場合にM1=(S1−S2)+(S3−S4)、M2=S1−S3、P1>P2の場合にM1=S1−S3、M2=(S1−S2)+(S3−S4)を満たすように検出信号を処理する。以下、詳細に説明する。
図34では、上側が感光ドラム12、下側が中間転写ベルト24、その間に図示していない潜像センサ34Gが挟まっている。潜像センサ34Gには、4個の信号検出部22A〜22Dが副走査方向に並べて配置される。ここで、副走査方向下流から順に信号検出部22A〜22Dが、それぞれ配置される。また、感光ドラム12には、第2マークとしての潜像目盛り31Cが、中間転写ベルト24には、第1マークとしての潜像目盛り50Aが、それぞれ形成される。また、潜像目盛り31CのピッチP2と潜像目盛り50AのピッチP1の比は1:2の関係(P1>P2)で、表面の電位は同じとする。
信号検出部で潜像目盛りを検出した波形は、信号検出部と潜像目盛りとの距離に反比例するため、距離が遠くなると波形は小さくなる。したがって、信号検出部22Aと感光ドラム12との距離は、信号検出部22Bと感光ドラム12との距離と等しくすることが好ましい。これは信号検出部22A、22Bで検出した合成波形から潜像目盛り31Cの検出信号を抽出する場合、潜像目盛り50Aの検出波形をキャンセルするためには、潜像目盛り50Aの検出波形の振幅の大きさを同じとすることが好ましいためである。同様の理由により信号検出部22Cと感光ドラム12との距離は、信号検出部22Dと感光ドラム12との距離と等しくすることが好ましい。
中間転写ベルト24に対しては、信号検出部22Aと中間転写ベルト24の距離は、信号検出部22Cと中間転写ベルト24との距離と等しくすることが好ましい。これは信号検出部22Aと信号検出部22Cで検出した合成波形から潜像目盛り50Aを抽出する場合、潜像目盛り31Cの検出波形をキャンセルするためには潜像目盛り31Cの検出波形の振幅の大きさを同じとすることが好ましいためである。
但し、この距離関係が成り立っていれば、信号検出部22Aと感光ドラム12との距離は、信号検出部22Aと中間転写ベルト24との距離とは異なっていても良い。同様に、信号検出部22Cと感光ドラム12との距離は、信号検出部22Cと中間転写ベルト24との距離とは異なっていても良い。なお、第6の実施形態のように増幅器を用いて検出波形の振幅を等しくすると外来ノイズの振幅が逆に異なってしまいキャンセルできなくなってしまう。よって、本実施形態においては上記に示した距離関係は成り立っていることが好ましい。
図34では、便宜的に、感光ドラム12と中間転写ベルト24を固定し、潜像センサ34Gを図の右方向に等速で移動させたとして説明する。これは、潜像センサ34Gを固定し、感光ドラム12と中間転写ベルト24を図の左側(副走査方向)に移動させた場合と同様である。このため、上述したように、信号検出部22A〜22Dが副走査方向下流から順に、それぞれ位置することになる。
図34に示す第1マーク検出波形は、潜像センサ34Gで抽出して得たい第1マークとしての潜像目盛り50Aの検出信号の波形である。第2マーク検出波形は、潜像センサ34Gで抽出して得たい第2マークとしての潜像目盛り31Cの検出信号の波形である。マーク検出信号Aは、信号検出部22Aが実際に検出した検出信号(S1)の波形である。マーク検出信号Bは、信号検出部22Bが実際に検出した検出信号(S2)の波形である。マーク検出信号Cは、信号検出部22Cが実際に検出した検出信号(S3)の波形である。マーク検出信号Dは、信号検出部22Dが実際に検出した検出信号(S4)の波形である。A−B信号の波形は、マーク検出信号Aとマーク検出信号Bを減算(S1−S2)した波形である。C−D信号の波形は、マーク検出信号Cからマーク検出信号Dを減算(S3−S4)した波形である。(A−B)+(C−D)信号の波形は、マーク検出信号Aからマーク検出信号Bを減算した波形とマーク検出信号Cからマーク検出信号Dを減算した波形を加算((S1−S2)+(S3−S4))した波形である。A−C信号の波形は、マーク検出信号Aからマーク検出信号Cを減算(S1−S3)した波形である。
ここで、本実施形態では、潜像目盛り31CのピッチP2と潜像目盛り50AのピッチP1との関係は、P1>P2であるため、検出信号抽出回路30Aは、M1=S1−S3、M2=(S1−S2)+(S3−S4)を満たすように処理する。したがって、(A−B)+(C−D)信号((S1−S2)+(S3−S4))はM2に相当し、A−C信号(S1−S3)はM1に相当する。
なお、図34に示す各波形の横軸は時間であるが、信号検出部22Aの位置と時間が一致するようにしている。また、図34の信号検出部22A〜22Dは、時刻t1の時の位置を示している。また、以下で説明する潜像目盛り(マーク)の検出原理は、前述の図2で説明した通りである。
[時刻t1]
時刻t1においては、信号検出部22Aは、潜像目盛り50Aと潜像目盛り31Cとのマーク開始部(マークの搬送方向先端)を共に検出しているため、マーク検出信号Aとして、+側に2倍の電圧が出力される。また、信号検出部22Bは、潜像目盛り31Cのマーク終了部(マークの搬送方向後端)を検出しているため、マーク検出信号Bとして、−側の電圧が出力される。また、信号検出部22Cは、潜像目盛り31Cのマーク開始部と、潜像目盛り50Aのマーク終了部とを検出している。このため、2つのマークの電位が同じであるためにお互いに相殺され、マーク検出信号Cとして、0(V)が出力される。また、信号検出部22Dは、潜像目盛り31Cのマーク終了部を検出しているため、マーク検出信号Dとして、−側の電圧が出力される。
A−B信号は、マーク検出信号Aが+側に2倍の電圧で、マーク検出信号Bは−側の電圧であるため、+側に3倍の電圧が出力される。C−D信号は、マーク検出信号Cが0(V)の電圧で、マーク検出信号Dは−側の電圧であるため、+側の電圧が出力される。(A−B)+(C−D)信号は、+側に3倍の電圧のA−B信号と+側の電圧のC−D信号を加算した、+側に4倍の電圧が出力される。A−C信号は、マーク検出信号Aが+側に2倍の電圧で、マーク検出信号Cが0(V)の電圧であるため、+側に2倍の電圧が出力される。
外来ノイズは4つのマーク検出信号に同じ波形の外来ノイズが混入しているが、A−B信号、C−D信号、A−C信号にて相殺することで除去される。よって、(A−B)+(C−D)信号にも外来ノイズは除去される。
[時刻t2]
時刻t2においては、信号検出部22Aは、潜像目盛り31Cのマーク終了部を検出しているため、マーク検出信号Aとして、−側の電圧が出力される。信号検出部22Bは、潜像目盛り50Aのマーク終了部と、潜像目盛り31Cとのマーク開始部とを検出しているためお互いに相殺され、マーク検出信号Bとして、0(V)が出力される。信号検出部22Cは、潜像目盛り31Cのマーク終了部を検出しているため、マーク検出信号Cとして、−側の電圧が出力される。信号検出部22Dは、潜像目盛り31Cと潜像目盛り50Aとのマーク開始部を共に検出しているため、マーク検出信号Dとして、+側に2倍の電圧が出力される。
A−B信号は、マーク検出信号Aが−側の電圧で、マーク検出信号Bは0(V)であるため、−側の電圧が出力される。C−D信号は、マーク検出信号Cが−側の電圧で、マーク検出信号Dは+側に2倍の電圧であるため、−側に3倍の電圧が出力される。(A−B)+(C−D)信号は、−側の電圧のA−B信号と−側に3倍の電圧のC−D信号を加算した、−側に4倍の電圧が出力される。A−C信号は、マーク検出信号Aが−側の電圧で、マーク検出信号Cが−側の電圧であるため、相殺された0(V)が出力される。
[時刻t3]
時刻t3においては、信号検出部22Aは、潜像目盛り31Cのマーク開始部と潜像目盛り50Aのマーク終了部とを検出しているためお互いに相殺され、マーク検出信号Aとして、0(V)が出力される。信号検出部22Bは、潜像目盛り31Cのマーク終了部を検出しているため、マーク検出信号Bとして、−側の電圧が出力される。信号検出部22Cは、潜像目盛り31Cと潜像目盛り50Aとのマーク開始部を共に検出しているため、マーク検出信号Cとして、+側に2倍の電圧が出力される。信号検出部22Dは、潜像目盛り31Cのマーク終了部を検出しているため、マーク検出信号Dとして、−側の電圧が出力される。
A−B信号は、マーク検出信号Aが0(V)の電圧で、マーク検出信号Bは−側の電圧であるため、+側の電圧が出力される。C−D信号は、マーク検出信号Cが+側に2倍の電圧で、マーク検出信号Dは−側の電圧であるため、+側に3倍の電圧が出力される。(A−B)+(C−D)信号は、+側の電圧のA−B信号と+側に3倍の電圧のC−D信号を加算した、+側に4倍の電圧が出力される。A−C信号は、マーク検出信号Aが0(V)で、マーク検出信号Cが+側に2倍の電圧であるため、−側に2倍の電圧が出力される。
[時刻t4]
時刻t4においては、信号検出部22Aは、潜像目盛り31Cのマーク終了部を検出しているため、マーク検出信号Aとして、−側の電圧が出力される。信号検出部22Bは、潜像目盛り31Cと潜像目盛り50Aとのマーク開始部を共に検出しているため、マーク検出信号Bとして、+側に2倍の電圧が出力される。信号検出部22Cは、潜像目盛り31Cのマーク終了部を検出しているため、マーク検出信号Cとして、−側の電圧が出力される。信号検出部22Dは、潜像目盛り31Cのマーク開始部と、潜像目盛り50Aのマーク終了部とを検出しているためお互いに相殺され、マーク検出信号Dとして、0(V)が出力される。
A−B信号は、マーク検出信号Aが−側の電圧で、マーク検出信号Bは+側に2倍の電圧であるため、−側に3倍の電圧が出力される。C−D信号は、マーク検出信号Cが−側の電圧で、マーク検出信号Dは0(V)であるため、−側の電圧が出力される。(A−B)+(C−D)信号は、―側に3倍の電圧のA−B信号と−側の電圧のC−D信号を加算した、−側に4倍の電圧が出力される。A−C信号は、マーク検出信号Aが−側の電圧で、マーク検出信号Cが−側の電圧であるため、相殺された0(V)が出力される。
このようにして(A−B)+(C−D)信号とA−C信号が出力される。このとき、(A―B)+(C−D)信号は、第2マーク検出波形と同じ波形になっている。同様に、A−C信号は第1マーク検出波形と同じ波形になっている。つまり、第2マーク検出信号は、マーク検出信号Aからマーク検出信号Bを減算した信号と、マーク検出信号Cからマーク検出信号Dを減算した信号を加算して抽出を行う。同様に、第1マーク検出信号は、マーク検出信号Aからマーク検出信号Cを減算して抽出を行う。したがって、上述したように、(A−B)+(C−D)信号はM2に相当し、A−C信号はM1に相当するため、第2マーク検出信号がM2、第1マーク検出信号がM1となる。
図35は、図34に対して、潜像目盛り50A(第1マーク)と潜像目盛り31C(第2マーク)との位相が異なる場合の図である。2つのマークの位相がずれているため、全てのマークのマーク開始部とマーク終了部とが検出されるため、マーク検出信号A〜Dは、図34より複雑な波形になっている。但し、抽出された第1マーク検出信号と第2マーク検出信号は、それぞれ第1マーク検出波形と第2マーク検出波形と同じ形の波形が得られる。よって、2つのマークの位相に関係なく抽出が行えることが分かる。
図36は、更に潜像目盛り50A(第1マーク)のピッチを2倍にしたときの図である。詳細の説明は省略するが、この場合でも2つのマークの抽出が行えていることが分かる。
図37は、上述のように検出した検出信号の抽出を行う回路図である。信号検出部22A〜22Dで検出された信号を、それぞれマーク検出電流信号201A〜201Dとする。各マーク検出電流信号201A〜201Dは、電流電圧変換回路23で、それぞれ、電流信号から電圧信号に変換される。そして、信号検出部22Aの検出信号は、電圧信号に変換されたマーク検出信号202Aとして出力される。信号検出部22Bの検出信号は、電圧信号に変換されたマーク検出信号202Bとして出力される。信号検出部22Cの検出信号は、電圧信号に変換されたマーク検出信号202Cとして出力される。信号検出部22Dの検出信号は、電圧信号に変換されたマーク検出信号202Dとして出力される。
これらのマーク検出信号202A〜202Dは、情報処理部としての検出信号抽出回路30Aで処理される。検出信号抽出回路30は、加算回路301及び減算回路302を有する。マーク検出信号202Aとマーク検出信号202Cとは、減算回路302で処理されて第1マーク検出信号203として出力される。マーク検出信号202Aとマーク検出信号202Bとは、減算回路302で処理されてA−B信号207として出力される。マーク検出信号202Cとマーク検出信号202Dとは、減算回路302で処理されてC−D信号208として出力される。何れの信号も減算回路302により外来ノイズは除去される。そしてA−B信号207とC−D信号208を加算回路301にて加算して第2マーク検出信号204を抽出する。なお、本回路図では、説明に必要のない抵抗器やコンデンサなどの部品は省略している。同様の理由により、抵抗器の値も省略している。
[色ずれ補正]
次に、上述のようにして抽出された2つのマーク検出信号による色ずれ補正の方法について、図38を用いて説明する。感光ドラム12と中間転写ベルト24との間には、潜像センサ34Gが挟持されている。潜像センサ34Gの信号検出部22A〜22D(図38では省略)により検出されたマーク検出電流信号201A〜201Dは、電流電圧変換回路23で電流信号を電圧信号に変換されて、マーク検出信号202A〜202Dとして出力される。このとき、変換された電圧信号の大きさが揃うように増幅を行う。マーク検出信号202A〜202Dは、検出信号抽出回路30Aで第1マーク検出信号203と第2マーク検出信号204として抽出される。その他の点に関しては、第1の実施形態で説明した図26と同じである。
[色ずれ補正の制御の具体例]
次に、図39ないし図42を用いて、このような制御をより具体的に説明する。図39ないし図41は、時刻t1〜t14における2つのマークである潜像目盛り50A、31Cと、4個の信号検出部22A〜22Dの位置関係を示した図である。ここでは、信号検出部22A〜22Dは固定し、感光ドラム12及び中間転写ベルト24が図の右方向に移動した図になっている。また、図の丸で囲った部分は、制御部48Aにて第1マーク検出信号と第2マーク検出信号との位相を合わせる位置を示す。
図42は、各信号の波形で、図42(a)は、信号検出部22Aが検出したマーク検出信号A、信号検出部22Bが検出したマーク検出信号B、信号検出部22Cが検出したマーク検出信号C、信号検出部22Dが検出したマーク検出信号Dである。図42(b)は、マーク検出信号Aからマーク検出信号Bを減算したA−B信号、マーク検出信号Cからマーク検出信号Dを減算したC−D信号である。及び、A−B信号とC−D信号を加算して抽出した第2マーク検出信号、マーク検出信号Aからマーク検出信号Cを減算して抽出した第1マーク検出信号である。図42(c)は、色ずれを補正するための感光ドラム12への速度指令信号である。
図39(a)に示すように、時刻t1は、信号検出部22Dに1つ目の潜像目盛り31Cが到達した時刻である。図42の時刻t1のように、マーク検出信号Dのみ+側に信号が出力されている。検出信号抽出回路30Aは単純な加算と減算で信号抽出を行うため、4つの検出部が共にマークを検出していないと正しく抽出できない。信号検出部22Aは未だ1つ目のマークを検出していないため制御部48Aでは位相合わせ制御を行わない。よって、感光ドラム12の速度指令信号は中間転写ベルト24の速度Vebを出力する。
図39(b)に示すように、時刻t2は、信号検出部22Dに1つ目の潜像目盛り50Aが到達した時刻である。図42の時刻t2のように、マーク検出信号Dのみ+側に信号が出力されている。信号検出部22Aは未だ1つ目のマークを検出していないため制御部48Aでは位相合わせ制御を行わない。よって、感光ドラム12の速度指令信号は中間転写ベルト24の速度Vebを出力する。
図39(c)に示すように、時刻t3は、信号検出部22Cに1つ目の潜像目盛り31Cが到達し、信号検出部22Dを1つ目の潜像目盛り31Cが通過した時刻である。図42の時刻t3のように、マーク検出信号Cに+側の信号、マーク検出信号Dに−側に信号が出力されている。信号検出部22Aは未だ1つ目のマークを検出していないため制御部48Aでは位相合わせ制御を行わない。よって、感光ドラム12の速度指令信号は中間転写ベルト24の速度Vebを出力する。
図39(d)に示すように、時刻t4は、信号検出部22Cに1つ目の潜像目盛り50Aが到達した時刻である。図42の時刻t4のように、マーク検出信号Cに+側に信号が出力される。信号検出部22Aは未だ1つ目のマークを検出していないため制御部48Aでは位相合わせ制御を行わない。よって、感光ドラム12の速度指令信号は中間転写ベルト24の速度Vebを出力する。
図39(e)に示すように、時刻t5は、信号検出部22Bに1つ目の潜像目盛り31Cが到達し、信号検出部22Cを1つ目の潜像目盛り31Cが通過し、信号検出部22Dに2つ目の潜像目盛り31Cが到達した時刻である。図42の時刻t5のように、マーク検出信号Bは+側に信号が出力され、マーク検出信号Cに−側に信号が出力され、マーク検出信号Dに+側の信号が出力される。信号検出部22Aは未だ1つ目のマークを検出していないため制御部48Aでは位相合わせ制御を行わない。よって、感光ドラム12の速度指令信号は中間転写ベルト24の速度Vebを出力する。
図40(a)に示すように、時刻t6は、信号検出部22Bに1つ目の潜像目盛り50Aが到達し、信号検出部22Dを1つ目の潜像目盛り50Aが通過した時刻である。図42の時刻t6のように、マーク検出信号Bは+側に信号が出力され、マーク検出信号Dは−側に信号が出力される。信号検出部22Aは未だ1つ目のマークを検出していないため制御部48Aでは位相合わせ制御を行わない。よって、感光ドラム12の速度指令信号は中間転写ベルト24の速度Vebを出力する。
図40(b)に示すように、時刻t7は、信号検出部22Aに1つ目の潜像目盛り31cが到達し、信号検出部22Bを1つ目の潜像目盛り31Cが通過した時刻である。また、信号検出部22Cに2つ目の潜像目盛り31Cが到達し、信号検出部22Dを2つ目の潜像目盛り31Cが通過した時刻でもある。図42のt7のように、マーク検出信号Aは+側に信号が出力され、マーク検出信号Bは−側に信号が出力され、マーク検出信号Cは+側に信号が出力され、マーク検出信号Dは−側に信号が出力される。ここでは、信号検出部22Aで信号を検出したため、位相合わせ制御を行う。
A−B信号は+側に2倍の信号、C−D信号も+側に2倍の信号となるため、加算して抽出される第2マーク検出信号は+側に4倍の信号が出力される。この時刻t7を潜像目盛り31C(第2マーク)の1つ目の検出時刻として記録する。マーク検出信号Aからマーク検出信号Cを減算して抽出した第1マーク検出信号はお互いに相殺されて出力されない。この時刻では、第2マークしか検出していないため、感光ドラム12の速度指令信号は中間転写ベルト24の速度Vebを出力する。
図40(c)に示すように、時刻t8は、信号検出部22Aに1つ目の潜像目盛り50Aが到達し、信号検出部22Cを1つ目の潜像目盛り50Aが通過した時刻である。図42の時刻t8のように、マーク検出信号Aは+側に信号が出力され、マーク検出信号Bは出力されず、マーク検出信号Cは−側に信号が出力され、マーク検出信号Dは出力されない。A−B信号は+側の信号、C−D信号は−側の信号となるため、加算すると相殺された第2マーク検出信号は出力されない。マーク検出信号Aからマーク検出信号Cを減算して抽出した第1マーク検出信号は+側に2倍の信号が出力されるため、この時刻t8を潜像目盛り50A(第1マーク)の1つ目の検出時刻として記録する。
第1マークと第2マークとの両方を検出したため、制御部48Aでは、2つの時刻(t7、t8)を比較する。ここでは、第2マークの通過時刻t7が第1マーク通過時刻t8より速いため、中間転写ベルト24の速度VebよりΔVeだけ遅い速度Veb−ΔVeを、感光ドラム12の速度指令信号として出力する。ΔVeは予め決められた速度又は時間差に応じて算出された速度である。
図40(d)に示すように、時刻t9は、信号検出部22Aを1つ目の潜像目盛り31Cが通過し、信号検出部22Bに2つ目の潜像目盛り31Cが到達した時刻である。また、信号検出部22Cを2つ目の潜像目盛り31Cが通過し、信号検出部22Dに3つ目の潜像目盛り31Cが到達した時刻でもある。図42の時刻t9のように、マーク検出信号Aは−側に信号が出力され、マーク検出信号Bは+側に信号が出力され、マーク検出信号Cは−側に信号が出力され、マーク検出信号Dは+側に信号が出力される。
A−B信号は−側に2倍の信号、C−D信号も−側に2倍の信号となるため、加算して抽出される第2マーク検出信号は−側に4倍の信号が出力される。第2マークの−側の位置に相当する第1マークの信号がないため、第2マーク検出信号の−側は無視する。マーク検出信号Aからマーク検出信号Cを減算して抽出した第1マーク検出信号はお互いに相殺されて出力されない。この時刻では、感光ドラム12の速度指令信号は時刻t8で決めた速度Veb−ΔVeを継続して出力する。
図40(e)に示すように、時刻t10は、信号検出部22Bを1つ目の潜像目盛り50Aが通過し、信号検出部22Dに2つ目の潜像目盛り50Aが到達した時刻である。図42の時刻t10のように、マーク検出信号Aは出力されず、マーク検出信号Bは−側の信号が出力され、マーク検出信号Cは出力されず、マーク検出信号Dは−側の信号が出力される。A−B信号は+側の信号、C−D信号は−側の信号となるため加算すると相殺され、第2マーク検出信号は出力されない。マーク検出信号Aからマーク検出信号Cを減算して抽出した第1マーク検出信号は出力されない。第1マークと第2マーク共に検出していないため、感光ドラム12の速度指令信号は速度Veb−ΔVeを継続して出力する。
図41(a)に示すように、時刻t11は、信号検出部22Aに2つ目の潜像目盛り31Cが到達し、信号検出部22Bを2つ目の潜像目盛り31Cが通過した時刻である。また、信号検出部22Cに3つ目の潜像目盛り31Cが到達し、信号検出部22Dを3つ目の潜像目盛り31Cが通過した時刻である。図42のt11のように、マーク検出信号Aは+側に信号が出力され、マーク検出信号Bは−側に信号が出力され、マーク検出信号Cは+側に信号が出力され、マーク検出信号Dは−側に信号が出力される。
A−B信号は+側に2倍の信号、C−D信号も+側に2倍の信号となるため、加算して抽出される第2マーク検出信号は+側に4倍の信号が出力される。この時刻t11を第2マークの2つ目の検出時刻として記録する。マーク検出信号Aからマーク検出信号Cを減算して抽出した第1マーク検出信号はお互いに相殺されて出力されない。この時刻では、第2マークしか検出していないため、感光ドラム12の速度指令信号は速度Veb−ΔVeを継続して出力する。
図41(b)に示すように、時刻t12は、信号検出部22Aを1つ目の潜像目盛り50Aが通過し、信号検出部22Cに2つ目の潜像目盛り50Aが到達した時刻である。図42の時刻t12のように、マーク検出信号Aは−側に信号が出力され、マーク検出信号Bは出力されず、マーク検出信号Cは+側に信号が出力され、マーク検出信号Dは出力されない。
A−B信号は−側の信号、C−D信号は+側の信号となるため、加算すると相殺された第2マーク検出信号は出力されない。マーク検出信号Aからマーク検出信号Cを減算して抽出した第1マーク検出信号は−側に2倍の信号が出力されるため、この時刻t12を第1マークの2つ目の検出時刻として記録する。第1マークと第2マーク共に検出したため、制御部48Aでは2つの時刻(t11、t12)を比較する。ここでは、第2マークの通過時刻t11が第1マーク通過時刻t12より速いため、引き続き、中間転写ベルト24の速度VebよりΔVeだけ遅い速度Veb−ΔVeを感光ドラム12の速度指令信号として出力する。
図41(c)に示すように、時刻t13は、信号検出部22Aを2つ目の潜像目盛り31Cが通過し、信号検出部22Bに3つ目の潜像目盛り31C及び2つ目の潜像目盛り50Aが到達した時刻である。また、信号検出部22Cを3つ目の潜像目盛り31Cが通過し、信号検出部22Dに4つ目の潜像目盛り31Cが到達すると共に、信号検出部22Dを2つ目の潜像目盛り50Aが通過した時刻でもある。図42の時刻t13のように、マーク検出信号Aは−側に信号が出力され、マーク検出信号は+側に2倍の信号が出力され、マーク検出信号Cは−側に信号が出力され、マーク検出信号Dは相殺されて出力されない。
A−B信号は−側に3倍の信号、C−D信号は−側の信号となるため、加算して抽出される第2マーク検出信号は−側に4倍の信号が出力される。第2マークの−側の位置に相当する第1マークのがないため、第2マーク検出信号の−側は無視する。マーク検出信号Aからマーク検出信号Cを減算して抽出した第1マーク検出信号はお互いに相殺されて出力されない。この時刻では、感光ドラム12の速度指令信号は速度Veb−ΔVeを継続して出力する。
図41(d)に示すように、時刻t14は、信号検出部22Aに3つ目の潜像目盛り31C及び2つ目の潜像目盛り50Aが同時に到達し、信号検出部22Bを3つ目の潜像目盛り31Cが通過した時刻である。また、信号検出部22Cに4つ目の潜像目盛り31Cが到達すると同時に、信号検出部22Cを2つ目の潜像目盛り50Aが通過し、信号検出部22Dを4つ目の潜像目盛り31Cが通過した時刻でもある。図42の時刻t14のように、マーク検出信号Aは+に2倍の信号が出力され、マーク検出信号Bは−側に信号が出力され、マーク検出信号Cは相殺されて出力されず、マーク検出信号Dは−側に信号が出力される。
A−B信号は+側に3倍の信号、C−D信号も+側の信号となるため、加算して抽出される第2マーク検出信号は+側に4倍の信号が出力される。この時刻t14を第2マークの3つ目の検出時刻として記録する。マーク検出信号Aからマーク検出信号Cを減算して抽出した第1マーク検出信号は+側に2倍の信号が出力される。この時刻t14を第1マークの3つ目の検出時刻として記録する。
第1マークと第2マーク共に検出したため、制御部48Aでは2つの時刻を比較し、第1マークの通過時刻t14と第2マーク通過時刻t14が同時であるため、中間転写ベルト24の速度Vebを感光ドラム12の速度指令信号として出力する。つまり中間転写ベルト24が感光ドラム12に追いついたため、中間転写ベルト24と同じ速度に戻す。以上のようにして外来ノイズの影響を受けずにマークの位相合わせを行うことで色ずれ補正を行える。その他の構造及び作用は、上述の第6の実施形態と同様である。
<第8の実施形態>
本発明の第8の実施形態について、図43ないし図50を用いて説明する。上述の各実施形態では、情報検出手段が、複数の信号検出部を有する構成について説明した。これに対して本実施形態は、1個の情報検出部としての信号検出部により、感光ドラム側と中間転写ベルト側とにそれぞれ形成された第1位置情報及び第2位置情報としての潜像目盛りを検出し、色ずれ補正を行うものである。以下、詳細に説明する。
図43に示すように、本実施形態の場合も、潜像センサ34Hを、第2像担持体としての感光ドラム12と搬送体としての中間転写ベルト24との間(ニップ位置)に挟持されるように配置されている。そして、潜像センサ34Hにより、感光ドラム12に形成された第2位置情報としての潜像目盛り31Dと、中間転写ベルト24に形成された第1位置情報としての潜像目盛り50Bとをそれぞれ検出するようにしている。なお、潜像センサ34Hの位置は、ベルト裏面のニップ位置直下で、かつ一次転写ローラ4との間にあっても良い。即ち、感光ドラム12の潜像目盛り31Dと中間転写ベルト24の潜像目盛り50Bを、中間転写ベルト24の裏側から読むこともできる。
このような本実施形態の潜像センサ34Hは、図44に示すように、「フレキシブルプリント基板」であり、その銅パターンで、位置情報としての潜像を検出する部分を形成している。なお、以下の説明では、このフレキシブルプリント基板の例を説明するが、同様の(導体と絶縁体での)構成が実現できれば、どのような素材を使用しても良い。
潜像センサ34Hは、図44(a)に示すように、1個の情報検出部としての信号検出部333Cと、信号伝達部334Aとを有する。信号検出部333Cは、中間転写ベルト24の表面のうち、搬送孔に交差する幅方向(主走査方向)に配設された細長い形状を有する。この信号検出部333Cが、図2で説明したプローブ330に相当し、潜像目盛り31D、50Bの検出を行う。本実施形態では、1個の信号検出部333Cにより情報検出手段を構成する。信号伝達部334Aは、検出した信号を伝達する部分で、潜像目盛りの電位変動を検出しない様に、副走査方向に引出される。これら信号検出部333C及び信号伝達部334Aは、それぞれ導体により構成されており、本実施形態の場合、銅パターンにより形成される。
また、潜像センサ34Hは、図44(b)に示すように層構造となっており、保持部材340Fにより、信号検出部333Cなどを一体的に保持することで構成される。保持部材340Fは、表面に信号検出部333C及び信号伝達部334Aがプリントされた基板347と、基板347の表面を覆うフィルム状のカバー346と、基板347とカバー346とを接着する接着剤345と、を有する。基板347には、信号検出部333C及び信号伝達部334Aの周囲にアース344を形成している。
このような潜像センサ34Hは、例えば、一般に電気製品の内部配線に使われているフレキシブルプリント基板を用いて製造される。具体的には、ポリイミド製フレキシブルプリント基板347に電極層を形成し、ウェットエッチングによりパタ−ンをL字型に形成して、上述の信号検出部333C及び信号伝達部334Aとする。そして、この基板を磨耗防止用に接着剤345(例えば厚さ15μm)を介してポリイミドフィルムにより形成されたカバー346(例えば厚さ15μm)により覆っている。図44(c)に示すように、信号伝達部334Aの端部はコネクタ(不図示)に接続され、その先は増幅電気回路5へ接続されている。
次に、図45において、感光ドラム12上の潜像目盛り31の検出の詳細について説明する。感光ドラム12の表面は、帯電ローラ14により所定電位に帯電された後、露光装置16により露光される。そして、感光ドラム12の画像領域270に画像情報に基づいた静電潜像35が、非画像領域260に潜像目盛り31Dが、それぞれ形成される。静電潜像35は、図示を省略した現像装置により現像されトナー画像となる。
感光ドラム12の非画像領域260の表面電位は、画像領域270と同様の電位の値である。即ち、潜像目盛り31Dにおいて、例えば−500Vの低電位部342と−100Vの高電位部341の方形波となり、図45(b)のような波形になる。この方形波の表面電位を潜像センサ34Hで検出すると、図45(c)で示すような、0(V)中心の振幅を持つ微分波形として検出される。同様に、中間転写ベルト24に転写された潜像目盛り50Bについても、表面電位の分布の形状は図45(b)、出力波形の形状は図45(c)に準じたものになる。
なお、潜像目盛り31Dの最適なサイズは、使用する電子写真プロセスの露光用レーザによる解像度、感光ドラムの回転速度、中間転写ベルトの速度、潜像センサの幅などによって決められる。以下の説明では、潜像目盛り31Dのサイズとして、感光ドラム12の露光部と非露光部、すなわち電位の高い領域と低い領域を、ラインとスペースの値で表現することとする。
[潜像目盛り]
本実施形態の場合、1個の信号検出部333Cから感光ドラム12と中間転写ベルト24との潜像目盛り31D、50Bをシリアルに読み取る。このためには、お互いの信号が重ならず、分離できることが前提となる。本実施形態の場合、第1位置情報としての潜像目盛り50Bと、第2位置情報としての潜像目盛り31Dとをそれぞれ形成する信号を、露光部と非露光部、即ち、ラインとスペースとで構成している。そして、このような信号が、中間転写ベルト24の表面に直交する厚さ方向から見て重ならない領域が存在するように、潜像目盛り50B及び潜像目盛り31Dをそれぞれ形成している。即ち、潜像目盛り50Bを構成するラインと、潜像目盛り31Dを構成するラインとを厚さ方向から見た場合に、これらのラインが重ならない領域が存在する。
このために、潜像目盛り50Bと潜像目盛り31Dとをそれぞれ形成する信号が中間転写ベルト24の搬送方向(副走査方向)にずれるように、潜像目盛り50B及び潜像目盛り31Dをそれぞれ形成している。即ち、潜像目盛り50Bを構成するラインと、潜像目盛り31Dを構成するラインとを副走査方向にずらして形成している。このように感光ドラム12と中間転写ベルト24との潜像目盛り31D、50Bをお互いにずらして書き込む場合、実際の色ずれとの関係を適切に把握して潜像目盛りのサイズと互いの書き込みのずらし量を設定しなければならない。潜像目盛りのサイズの設定方法の一例について、図46を用いて説明する。図の横軸は副走査方向の長さである。
図46の例では、中間転写ベルト24と感光ドラム12との潜像目盛り50B、31Dのサイズが、同じラインとスペースであり、その比を1:1としている。また、感光ドラム12の潜像目盛り31D(ドラム目盛り)を、中間転写ベルト24の潜像目盛り50B(ベルト目盛り)よりも、1/4周期ずらして書き込むとする。
ベルト目盛りの電位の高い領域、すなわちラインのサイズをLp(μm)、各色トナーのずれ量を±Xc/2(μm)、潜像センサ34Hの出力の微分波形の幅をXwとする。この場合に、次の(1)式を満たすように、潜像目盛りのサイズを決める。
Lp>Xc+2Xw・・・(1)
次に、各色トナーの色ずれが140μmの画像形成装置で本実施形態を適用する場合の潜像目盛りのサイズの一例について説明する。この画像形成装置の解像度が600dpiであれば、最小目盛りの幅は25,400μm÷600=約42μmである。例えば潜像目盛り31Dのサイズに4ライン/4スペース(4ライン分の露光部と、4ライン分の非露光部を繰り返すこと)を設定すると、ラインサイズは42μmの4倍の168μmで、ピッチは42μmの8倍の336μmのサイズとなる。潜像センサ34Hの出力の微分波形の幅を10μmとする。
この目盛りサイズは、ラインサイズ168μm>色ずれ140μm+センサ出力の微分波形の幅20μmで、上述の(1)式を満たすため、色ずれを検出するサイズとして妥当である。
[1個の信号検出部による潜像目盛りの検出原理]
次に、潜像センサ34Hの1個の信号検出部333Cによる、感光ドラム12bの潜像目盛り31D(ドラム目盛り)と、中間転写ベルト24の潜像目盛り50B(ベルト目盛り)との検出方法について、図47及び図48を用いて説明する。上述したように、潜像目盛り50B、31Dを同一の信号検出部333C(アンテナ)で読むため、両者の出力が重なってしまわず識別できるよう、予め定めた分だけ目盛りをずらして書き込む。潜像目盛りのサイズを、電位の高い領域と低い領域で「ライン」および「スペース」と定義する。
目盛りサイズを例えば4ライン、4スペースとすると、以下の説明は、ベルト目盛りよりドラム目盛りを1/4周期相当の2ライン遅らせて設定した例である。ここではドラム目盛りとベルト目盛りの出力の順番を記憶装置などに予め記憶させておき、波形の順序は正しく認識できるとする。
図47(a)に示す目盛りで、「+」部分が電位の低い領域、ドラム目盛りの場合、例えば−500Vで、それ以外の領域が電位の高い領域、ドラム目盛りの場合、例えば−100Vである。ベルト目盛りについても同様に、「+」部分を電位の低い領域、例えば−500V、それ以外の領域が電位の高い領域,例えば−310Vとなる。但し、これらの電位の値は、感光層とベルトの高抵抗層の厚みやそれぞれの誘電率などによって変わる。信号検出部333Cは、図47(b)のように、ベルト目盛りとドラム目盛りからの出力信号を順番に受け取る。
ここで、ドラム目盛りとベルト目盛りとの位置情報を、潜像センサ34Hの出力波形から読み取る方法について説明する。図48に示すように、目盛りの位置情報として、信号検出部333Cの出力波形のピーク値を、順にベルト目盛りの位置b1、b2、b3・・・と、ドラム目盛りの位置d1、d2、d3・・・として読み取る。図48は横軸が時間である。
図48(b)に示すように、潜像センサ34Hの出力波形に対して、しきい値V1とV2を設定し、これをA/D変換することで、図48(c)に示すような時間幅ウィンドウWを有する波形Pを得る。次に、図48(d)に示すように、この波形Pの微分波形Rを求める。次いで、ウィンドウWと微分波形Rが0(V)になる点(ゼロクロスポイント)とのAND演算を行い、図48(e)に示すように、ピーク位置を検出する。この検出したピーク位置の信号を波形Xとする。各ピーク位置は、ベルト目盛りとドラム目盛りとのそれぞれの位置に相当する。そして、ベルト目盛りとドラム目盛りの出力の順番を記憶装置から読み出し、ピーク位置を順に、b1、d1、b2、d2、b3、d3・・・とする。このようにして、ドラム目盛りとベルト目盛りとの位置情報を、潜像センサ34Hの出力波形から読み取ることができる。
上述の例では、ベルト目盛りとドラム目盛りとが規則正しく順序良く並んで出力され続ける場合を想定した。しかしながら、途中エラーで信号が一つスキップしたり、ノイズで誤信号が入ったりして、信号の順番を誤認してしまうことがある。このため、ベルト目盛りの信号位置を順番に認識できているかどうかを確認する方法の一例について、図49を用いて説明する。横軸を時間とし、潜像センサ34Hからの出力biを受け取った時点をt_biとする。
ベルト目盛りの電位の低い領域、即ちラインのサイズLbとベルト走行速度Vebから、信号検出部333Cがベルト目盛りのラインを通過する時間tlb(tlb=Lb/Veb)が求まる。また、tlbは潜像センサ34Hからの目盛り一つ分の出力間隔でもある。同様に、信号検出部333Cがドラム目盛りのラインを通過する時間tldも求まる。
図49(d)に示すように、出力biの次に信号検出部333Cに到達するベルト目盛りからの理想的な出力b(i+1)の想定位置t_b(i+1)は、次のようになる。即ち、図49(a)のように、ベルト目盛りのラインとスペースが1:1なので、t_b(i+1)=t_bi+tlbとなる。
実際は、ベルト目盛りのピッチに若干の書き込みと読み込みの誤差があり、その誤差の最大値を±twpとする。ベルトの目盛り位置bi(i=1,2,3・・・)に対し、次に信号検出部333Cに到達するベルト目盛りb(i+1)の想定位置t_b(i+1)は、t_b(i+1)=t_bi+tlb±twpとなる。
ここで、図49(c)に示すように、ベルト目盛りの位置biを検出した時点で、時間幅2twpの時刻(t_bi+tlb−twp)から時刻(t_bi+tlb+twp)まで「H」レベルになる波形Sを生成する。そして、潜像センサ34Hからの出力信号Xと波形SとのAND演算を行い、b(i+1)を決定する。
信号b(i+1)が何らかのエラーによってスキップし出力されなかった場合、信号Xと波形SとのAND演算で、信号b(i+1)は得られない。信号のスキップが一過性の現象なら、信号b(i+1)のダミー信号を用いることで制御を継続することができる。何らかの原因でベルト目盛りの信号が連続して検出できなくなった場合は、その時点で制御を中止すれば良い。
一方、信号に突発的にノイズが入り、信号Xと波形SとのAND演算で、信号b(i+1)相当の信号が2つ以上検出された場合、もっとも時刻t_(bi+tlb)に近い信号を一つだけをb(i+1)とみなし、その時点での制御を行うこととする。同様に、ドラム目盛りの信号位置を順番に認識するのも、ドラム目盛りのラインサイズLbと回転速度Vedを用いて上記の方法に準じて求めることができる。
[色ずれ量相当の見積もり]
上述のように得られるドラム目盛りとベルト目盛りとのそれぞれの位置から、異なる画像形成部(ステーション)間で転写されたトナー画像の色ずれ量相当を見積もる方法の二例について、図50を用いて説明する。
一例目を図50(a)に示す。ベルト目盛りとドラム目盛りは、予め定められた量だけずれて書かれる。本実施形態では1/4周期相当の2ラインずらしている。そのため、ベルト目盛りの位置を読み取れば、そこからドラム目盛りが到達すべき想定位置を、目盛りの1/4周期のサイズとベルト速度を使って計算できる。それを、s1、s2、s3・・・とする。
異なるステーション間で、トナー画像の色ずれがゼロの理想的な場合は、実際のドラムの目盛りの測定位置d1、d2、d3・・・は、想定位置s1、s2、s3と一致するはずである。例えば、図50(a)では、s2=d2で、その時点では色ずれゼロである。一方、ステーション間のトナー画像にずれが存在する場合、それに相当する量は差分Δt1=(d1−s1)、Δt3=(d3−s3)、Δt5=(d5−s5)になる。
このようにドラム目盛りが到達すべき位置を算出して、実際の測定値とのずれを見積もることで、色ずれ量相当を見積もることができる。この方法は、中間転写ベルト24の速度が一定の場合に有効である。
一方、実際のベルトは速度変動していて、色ずれ量に与える影響は無視できない場合が多い。そこで、色ずれ量相当を見積もる二つ目の方法として、ベルトの速度変動分も加味した例を図50(b)に示す。
ベルト目盛りの測定位置はb1、b2・・に対し、ドラム目盛りの測定位置はd1、d2・・・である。丁度ドラム目盛りが設定通り1/4周期ずれて書かれ、色ずれがなく理想的な場合、ドラム目盛りd1とベルト目盛りの隣接2点間の平均位置(b1+b2)/2が一致するはずである。一方、色ずれが存在する場合、その差分Δt1=d1−{(b1+b2)/2}が理想的な位置からのずれに相当する。ドラム目盛りd2とベルト目盛りの隣接2点間の平均位置(b2+b3)/2との差分Δt2、ドラム目盛りd3とベルト目盛りの隣接2点間の平均位置(b3+b4)/2との差分Δt3・・・についても以下同様に考えることができる。
このように、ベルト目盛りの隣接2点間の平均位置をドラム目盛りが到達する位置と想定して、実際の測定値とのずれを見積もることで、ベルトの速度変動が生じても、色ずれ量相当を見積もることができる。なお、ドラム目盛りの隣接2点間の平均位置をベルト目盛りが到達する位置と想定しても、同様に、色ずれ量相当を見積もることができる。
このような本実施形態の場合、例えば、前述の図6及び図7で説明したように、トナー画像の色合わせ制御を行う。即ち、上述のよう算出した色ずれ量相当に対し、対応するドラム目盛りとベルト目盛りとの位置を合わせるように、中間転写ベルト24に対する、感光ドラム12の速度を変動させる。これにより、中間転写ベルト24にトナー画像が転写されて生じる中間転写ベルト24の伸縮によるトナー画像の位置ズレに対しても、高精度に補正することが可能となる。本実施形態に基づいて色ずれを制御した結果、トナー4色間の色ずれ量を従来の150μmから40μmに抑えることができた。その他の構造及び作用は、上述の第1の実施形態と同様である。
<第9の実施形態>
本発明の第9の実施形態について、図51及び図52を用いて説明する。上述の第8の実施形態の場合、ドラム目盛りとベルト目盛りとを同形状としているため、どちらの目盛りかを識別できないと、ずれ量を算出しても、ベルト目盛りの方が進んでいるのか遅れているのかの判断を誤る可能性がある。そこで、本実施形態では、確実にドラム目盛りとベルト目盛りとを判別すべく、ドラム目盛りとベルト目盛りとの形状が互いに異なるように、潜像目盛り50C、31Eをそれぞれ形成している。特に本実施形態では、ドラム目盛りとベルト目盛りとの主走査方向の長さが互いに異なるようにしている。以下、詳細に説明する。
図51(a)に示すように、潜像目盛り31E(ドラム目盛り)と潜像目盛り50C(ベルト目盛り)では、ピッチが同じで、ドラム目盛りの方が例えば1/4周期遅れて書き込まれる。本実施形態では、ドラム目盛りがベルト目盛りよりも主走査方向に幅を広くしている。そのため、同一の信号検出部333C(図44参照)で検出しても、図51(b)に示すように、ドラム目盛りの静電荷が多い分、誘導電流が多く、出力信号の振幅が大きくなる。
ここで、ドラム目盛りとベルト目盛りとの位置情報を、潜像センサ34H(図44参照)の出力波形から読み取る方法について説明する。図52に示すように、目盛りの位置情報として、信号検出部333Cの出力波形のピーク値を、順にベルト目盛りの位置b1、b2、b3・・・と、ドラム目盛りの位置d1、d2、d3・・・として読み取る。図52は横軸が時間である。
図52(b)に示すように、潜像センサ34Hの出力波形に対して、ベルト目盛りの出力振幅より低い電位である、しきい値V2とV3を設定し、これをA/D変換することで、図52(c)に示すような時間幅ウィンドウW1を有する波形Pを得る。また、図52(b)に示すように、潜像センサ34Hの出力波形に対して、ベルト目盛りの出力振幅より高く、且つ、ドラム目盛りの出力振幅より低い電位である、しきい値V1とV4を設定する。そして、これをA/D変換することで、図52(c)に示すような時間幅ウィンドウW2を有する波形Qを得る。
次に、図52(d)に示すように、この波形P、Qの微分波形Rを求める。次いで、ウィンドウW2と微分波形Rが0(V)になる点(ゼロクロスポイント)とのAND演算を行い、図52(e)に示すように、ピーク位置を検出する。この検出したピーク位置の信号を波形Yとする。各ピーク位置は、ドラム目盛りの位置に相当する。そして、ピーク位置を順に、d1、d2、d3・・・とする。
また、ウィンドウW1で且つウィンドウW2でない領域と微分波形Rが0(V)になる点とのAND演算を行い、図52(e)に示すように、ピーク位置を検出する。この検出したピーク位置の信号を波形Zとする。各ピーク位置は、ベルト目盛りの位置に相当する。そして、ピーク位置を順に、b1、b2、b3・・・とする。
このようにして、ドラム目盛りとベルト目盛りとの位置情報を、潜像センサ34Hの出力波形から読み取ることができる。得られたドラム目盛りとベルト目盛りとの位置から、第8の実施形態と同様に、ずれ量を算出し、色ずれの補正を行う。
第8の実施形態では、同じ形状をしているベルト目盛りとドラムの目盛りが混同しないよう、出力の順番を記憶しておく装置が必要だったが、本実施形態では、このような記憶装置が不要である。本実施形態に基づいて色ずれを制御した結果、トナー4色間の色ずれ量を従来の150μmから39μmに抑えることができた。その他の構造及び作用は、上述の第8の実施形態と同様である。
<第10の実施形態>
本発明の第10の実施形態について、図53及び図54を用いて説明する。本実施形態では、確実にドラム目盛りとベルト目盛りとを判別すべく、ドラム目盛りとベルト目盛りとの形状が互いに異なるように、潜像目盛り50D、31Fをそれぞれ形成している。以下、詳細に説明する。
本実施形態では、中間転写ベルト24の潜像目盛り50D(ベルト目盛り)及び感光ドラム12の潜像目盛り31F(ドラム目盛り)は、図53に示すような形状としている。即ち、潜像センサ34Hの信号検出部333Cが検出する方向(副走査方向)に対し、目盛りの片側を反対側に対して鋭角な形状とする。即ち、目盛りの片側を主走査方向に向かうほど副走査方向に傾斜させる。この傾斜した片側の領域p1は、潜像のドットパターンや電圧に勾配をつけることで作成する。なお、図53では、説明のために、潜像目盛り31F、50Dに対して、それぞれ潜像センサ34Hを図示しているが、本実施形態の場合も、潜像目盛り31F、50Dを1個の信号検出部333Cで検出する。
このような本実施形態の場合、傾斜した片側の領域p1が信号検出部333Cを通過するとき、信号検出部333Cは、静電荷の境界線に対し、時間tをかけて斜めに横切るため誘導電流I=dQ/dtが小さくなる。つまり、出力振幅が十分検出されない。一方、傾斜していない反対側の領域p2では、上述の各実施形態と同様に、誘導電流が微分波形として観測される。
つまり、このような形状の潜像目盛りを信号検出部333Cで検出すると、図53のそれぞれの目盛りの下に示す微分波形が検出される。即ち、目盛りの左側が鋭角な形状(図53の上側の図)の場合、領域p1の出力として「上に凸」の微分波形はほとんど検出されず、領域p2の「下に凸」の微分波形が検出される。逆に、目盛りの右側が鋭角な形状(図53の下側の図)の場合、領域p2の「上に凸」の微分波形が検出され、領域p1の「下に凸」の出力はほとんど検出されない。
このような潜像の形状の特徴を利用して、図54(a)に示すように、ドラム目盛りとベルト目盛りとの形状を左右逆に作成する。即ち、ベルト目盛りは、潜像センサ34Hの検出方向下流(図の右側)を傾斜させ、図54(b)に示すような検出方向上流で検出される上に凸の微分波形が得られるようにする。一方、ドラム目盛りは、潜像センサ34Hの検出方向上流(図の左側)を傾斜させ、図54(b)に示すような検出方向下流で検出される下に凸の微分波形が得られるようにする。このようにすることで、シリアルに並んだドラム目盛り及びベルト目盛りの出力で、ドラム目盛りとベルト目盛りの両者の区別が容易になる。
ここで、図54(b)に示すように、ベルト目盛り用にしきい値V1(>0)、 ドラム目盛り用にしきい値V2(<0)を設定する。そして、図54(c)に示すように、出力波形のピーク値からベルト目盛りの位置b1、b2・・・、及び、ドラム目盛りの位置d1、d2・・・を認識する。ずれ量を算出する方法は、第8の実施形態に準ずる方法で可能となる。
具体的には、ベルト目盛りとドラム目盛りのサイズが4ライン/4スペースの場合、ベルト目盛りの位置情報である隣接2点間の平均(b1+b2)/2と、ドラム目盛りの位置情報d1とを比較する。その差分d1−{(b1+b2)/2}が、d1出力時点での色ずれ相当の量になる。色ずれがない理想的な場合は、d1=(b1+b2)/2となる。以下、次のポイントd2、d3・・・についても同様に算出できる。
本実施形態の場合も、第8の実施形態のようなドラム目盛りとベルト目盛りとの識別用の記憶装置が不要である。また、ドラム目盛りとベルト目盛りのピーク値を検出するために設定するしきい値を、第9の実施形態の場合の4種類から2種類に減らすことができる。更に、第8、第9の実施形態のように、ドラム目盛りとベルト目盛りとの位相をずらして形成する必要がない。本実施形態に基づいて色ずれを制御した結果、トナー4色間の色ずれ量を従来の150μmから42μmに抑えることができた。その他の構造及び作用は、第8の実施形態と同様である。
<第11の実施形態>
本発明の第11の実施形態について、図55を用いて説明する。本実施形態では、確実にドラム目盛りとベルト目盛りとを判別すべく、ドラム目盛りとベルト目盛りとの形状が互いに異なるように、潜像目盛り50E、31Gをそれぞれ形成している。特に本実施形態の場合、中間転写ベルト24の潜像目盛り50E(ベルト目盛り)、感光ドラム12の潜像目盛り31G(ドラム目盛り)とは、副走査方向の長さが互いに異なり、且つ、信号の周期が同じとなるように形成される。以下、詳細に説明する。
図55(a)に示すように、ドラム目盛りとベルト目盛りで異なる目盛りのデューティを用い、かつベルト目盛りの電位の低い領域(「+」で表した領域)に、ドラム目盛りの電位の低い領域が包含されるような条件の目盛りサイズを設定する。色ずれはこの包含関係が崩れないレベルにあるよう、目盛りサイズを設定する。
例えば、本実施形態を実施しない場合に色ずれが150μmある画像形成装置では、ベルト目盛りのサイズを600dpi相当で、電位の低い領域を12ライン(約504μm)、電位の高い領域は12スペース(約504μm)とする。但し、これは、次の出力信号と重ならない範囲で縮小可能である。
本実施形態では、ドラム目盛りの低電位領域「+」は、ベルト目盛りの低電位領域から5ライン遅れて、サイズを2ラインとする。ドラム目盛りとベルト目盛りとの周期は同一になるよう定める。
このようなドラム目盛りとベルト目盛りとを、1個の信号検出部333C(図44参照)で検出した出力波形は、図55(b)のようになる。この波形のピーク値から、ドラム目盛りとベルト目盛り位置を、図55(c)のように検出する。そして、第8の実施形態に準じた方法で、ドラム目盛りの位置d1、d2、d3・・・と、ベルト目盛りの位置b1、b2、b3・・・を得る。
そして、ドラム目盛りの位置について、隣接2点間の平均(d1+d2)/2、ベルト目盛りの位置について、隣接2点間の平均(b1+b2)/2を算出し、両者の差分を比較する。色ずれがなく理想的な場合は、両者の差分{(d1+d2)/2}−{(b1+b2)/2}がゼロとなる。一方、ゼロでなければその差分が、目盛りd1、d2、b1、b2付近の色ずれ量に相当する。
同様に、次のドラム目盛りの隣接2点間の平均(d3+d4)/2と、ベルト目盛りの隣接2点間の平均(b3+b4)/2との差分が、次の時点の色ずれ相当量となる。ドラム目盛りとベルト目盛りとの包含関係は、上述の場合と逆でも良い。
本実施形態の場合、第8の実施形態のようにドラム目盛りとベルト目盛りの識別用の記憶装置が不要である。また、ドラム目盛りとベルト目盛りのピーク値を検出するために設定するしきい値を、第9の実施形態の4種類から2種類に減らすことができる。また、第10の実施形態のように、目盛りの形状に傾斜をつける必要がない。本実施形態に基づいて色ずれを制御した結果、トナー4色間の色ずれ量を従来の150μmから40μmに抑えることができた。その他の構造及び作用は、第8の実施形態と同様である。
<第12の実施形態>
本発明の第12の実施形態について、図56ないし図67を用いて説明する。上述の各実施形態のように、感光ドラムの潜像目盛りと中間転写ベルトの潜像目盛りとを検出する潜像センサを一体化し、且つ、転写位置に配置した場合、電位差による放電で潜像目盛りが乱れる可能性がある。転写位置による電位分布を感光ドラム側から列挙すると、例えば、感光ドラム(−500Vと−100V)、潜像センサ(接地)、中間転写ベルト(−400Vと−200V)、一次転写ローラ(トナー転写のための+1200V)となる。中間転写ベルトに見かけ上現れる電圧は+1000Vと+800Vとなり、感光ドラムとの電位差は900から1500Vとなり、電位差により放電が発生する可能性がある。放電が発生すると、潜像目盛りが乱れその結果、画像位置合わせを正確に行うことが難しくなる。そこで、本実施形態では、このような放電を抑制して、潜像目盛りを正常に安定して検出すべく、潜像センサの導体部に電圧を印加するようにしている。以下、詳細に説明する。
図56(a)に示すように、本実施形態の場合も、上述の図1に示したようなタンデム型の画像形成装置に本発明を適用している。なお、図56(a)では、各画像形成部の構成に、その画像形成部の構成であることを示す添え字を付しているが、具体的な構成については、それぞれ上述の場合と同様であるため、詳しい説明は省略する。また、各潜像目盛りと、各感光ドラム及び中間転写ベルトに形成する潜像目盛りとについては、代表して、第1の実施形態と同じ符号を使用するが、これら潜像目盛りについては、潜像センサの構成に応じたものを使用するものとする。即ち、本実施形態では、潜像センサの構成として、上述の各実施形態の構成をそれぞれ適用可能であり、その潜像センサの構成に対応した潜像目盛りが形成されるものとする。
また、図56(a)では、図1で図示を省略した構成として、記録材Paを収納するカセット80、カセット80から記録材を搬送する搬送ローラ81、定着装置82などを示している。定着装置82は、トナー画像が転写された記録材Paを加熱、加圧することで、トナー画像を記録材Paに定着する。トナー画像が定着された記録材Paは、排出カセット83に排出される。
また、一次転写用電源84a〜84dは、それぞれ、例えば、プラスの1000〜2000Vの電圧を、一次転写ローラ4a〜4dにそれぞれ一次転写バイアスを印加する。また、本実施形態の場合も、図56(b)、図57に示すように、中間転写ベルト24に第1位置情報としての潜像目盛り50を形成する。そして、画像形成部43b〜43dの感光ドラム12b〜12dと中間転写ベルト24との間(一次転写位置を含む近傍)に挟みこまれるように配置された潜像センサ34b〜34dで、潜像目盛り50を検出するようにしている。また、中間転写ベルト24の搬送方向に関して感光ドラム12aの上流には、中間転写ベルト24に形成された潜像目盛り50を消去する消去手段としての消去ローラ53及び対向電極52が配置されている。本実施形態では、消去ローラ53及び対向電極52は、駆動ローラ36の上流側に配置され、駆動ローラ36と感光ドラム12aとの間には、第13の実施形態で使用するプレ帯電部85を配置している。なお、第13の実施形態で説明するプレ帯電を使用しない場合には、プレ帯電部85を省略するが、本実施形態では、説明の便宜上、プレ帯電部85を示すこととする。
また、本実施形態の場合も、上述した各実施形態と同様に、画像形成部43aにおいて、露光装置16aを用いて露光する際、図57(a)に示すように、通常の画像領域外(非画像領域)に、潜像目盛り31aを露光する。そして、一次転写用電源84aにより高圧印加された一次転写ローラ4aにより、感光ドラム12a上の潜像目盛り31aは、中間転写ベルト24に転写され、潜像目盛り50となる。
図57(b)に示すように、画像形成部43bにおいても同様に潜像目盛り31bを感光ドラム12b上に形成する。同図に示すように、潜像目盛り31bは画像領域外であればその両端に形成することができ、潜像センサ31bをその両端に配置することも可能である。中間転写ベルト24に転写された潜像目盛り50は、画像形成部43bから画像形成部43dまでの各画像形成部の潜像センサ34b〜34dにて検出された後、二次転写部T2を経て、消去ローラ53及び対向電極52にて消去される。必要に応じてプレ帯電部85にて所定の電圧を印加する場合もある。なお、感光ドラム12aの潜像目盛り31aを中間転写ベルト24に転写せずに、潜像目盛り31aを検出する検出手段を設け、中間転写ベルト24上に設けた書き込み手段により、この検出手段の検出に応じた書き込みを行うようにしても良い。即ち、検出手段及び書き込み手段を用いて、感光ドラム12上の潜像目盛り31aを中間転写ベルト24に、潜像目盛り50として転記するようにしても良い。
潜像センサ34bは、中間転写ベルト24の潜像目盛り50(ベルト目盛り)と感光ドラム12bの潜像目盛り31b(ドラム目盛り)とをそれぞれ検出して、信号をA/D変換部86でA/D変換したのちに位相合わせを行う制御部48へ送る。この電気回路については後述する。制御部48は、ベルト目盛りに対してドラム目盛りが進んでいるあるいは遅れている量に対応してモータ駆動部87に増減の信号を送る。モータ駆動部87の信号を受けてドラム駆動モータ6は感光ドラム12bの回転速度を増減して位相合わせを実行する。この動作は画像形成部43b、画像形成部43c、画像形成部43dに共通である。
このように潜像センサを一次転写位置に挟み込んで設置し、ドラムの潜像目盛り(画像位置)とベルトの潜像目盛り(画像位置)のずれの検出を転写位置にて行っているため時間的な遅延は無い。よって、本実施形態でも、長周期から短周期まで、さまざまな色ずれに対してリアルタイムに色ずれ補正が行える。
このような潜像センサ34b〜34dの具体例を、図58に示す。なお、本実施形態の潜像センサは、上述の図15及び図16に示した第5の実施形態の潜像センサ34Eと同様の構成である。したがって、以下の説明では、各画像形成部の潜像センサ34b〜34dは同じ構成であるため、これら潜像センサ34b〜34dを潜像センサ34Eとして説明する。また、各画像形成部の構成であることを示す添え字は省略する。また、図58に示す潜像センサ34Eは、中間転写ベルト24側の厚さ方向半部を示すが、後述するように、感光ドラム12側についても同様の構成である。また、信号検出部及び信号伝達部の周りに配置されるアースは、中間転写ベルト24側と感光ドラム12側とで区別するために、中間転写ベルト24側をアース344a、感光ドラム12側をアース344bとする。
本実施形態の場合も、潜像センサ34Eは、導体部としての信号検出部333と、信号伝達部334及びアース344aとを有し、保持部材340Dによりこれらが一体に保持されている。具体的には、一般に電気製品の内部配線に使われている基板347(ポリイミド製フレキシブルプリント基板)に電極層を形成し、ウェットエッチングにより信号検出部333及び信号伝達部334のパターンをL字型に形成する。信号検出部333及び信号伝達部334の周りには、導体部としてのアース344aを配置して接地している。磨耗防止用に接着剤345(例えば厚さ15μm)を介してポリイミドフィルムなどのカバー346(例えば厚さ15μm)を付与している。
図59に示すように、信号伝達部334の端部にコネクタ(不図示)が接続され、その先は増幅電気回路5へ接続されている。増幅電気回路5は、FET(電界効果トランジスタ)を用いた増幅回路である。信号検出部333に流れる電流は、FETの入力側から入り、ゲート電圧Gを変化させる。このとき,ゲート電圧Gにしたがって、ソースS‐ドレインD間の電流が変化する。例えば、ソース‐ドレイン間の電流が大きくなると、それに従ってドレイン電圧が降下する。このように、ゲート電圧に従って,ソース‐ドレイン間の電流が敏感に変化してその結果ドレイン電圧、即ち出力電圧が変化する。本構成の増幅率は、例えばVout/Vin=約18倍(実測値)である。また,ノイズを低減させるため,出力側にはカットオフ周波数(例えば4420Hz)のローパスフィルタFを設けている。
このような本実施形態の潜像センサ34Eのより具体的な構成について、図60を用いて説明する。潜像センサ34Aは、感光ドラムと中間転写ベルトの接する位置(一次転写位置を含む近傍)に挟んで配置され、図60(c)に示すように、感光ドラムの潜像目盛りと中間転写ベルトの潜像目盛りを同時に読めるように、導体部が3層から成っている。即ち、潜像センサ34は、第1センサ部331Aと第2センサ部332Aとを有する。第1センサ部331Aは、第1情報検出部としての信号検出部333と、信号伝達部334とを有する。また、第2センサ部332Aは、第2情報検出部としての信号検出部335と、信号伝達部336とを有する。
第2センサ部332Aは、第1センサ部331Aと中間転写ベルト24の表面に直交する厚さ方向に異なる位置に配置される。また、第1センサ部331Aと第2センサ部332Aとの間で、厚さ方向から見て第1センサ部331A及び第2センサ部332Aと重畳する位置に、ガード導体(導体部)としてアース344Aが配置されている。また、第1センサ部331Aの周囲でこれと厚方向ほぼ同じ位置にアース344aを、第2センサ部332Aの周囲でこれと厚方向ほぼ同じ位置にアース344bを、それぞれ配置している。
ここで、信号検出部333、信号伝達部334及びアース344aは、中間転写ベルト24側の導体部、信号検出部335、信号伝達部336及びアース344bは、感光ドラム12側の導体部である。アース344Aは、一方(ベルトまたはドラム)の潜像目盛りが他方の潜像センサ(ドラムまたはベルト)で検出されることを防止するために設けている。3層の導体部の間は、層間絶縁材料として基板347で短絡しないよう隔離している。3層の導体部の表と裏の両表面はカバー346で覆われ、短絡することを防止している。
特に本実施形態の場合、信号検出部333及び信号伝達部334とこれらの周囲のアース344a、信号検出部335及び信号伝達部336とこれらの周囲のアース344b、アース344Aは、それぞれ高圧電源90、91、92に接続されている。これら高圧電源90〜92は、それぞれ導体部に電圧を印加する導体部電圧印加手段に相当する。
高圧電源を設置する詳細について、感光ドラム12側の信号検出部335を例に以下に述べる。図61は、先に説明した図59の電気回路に高圧電源を接続した構成を示す電気回路図である。FETを駆動するFET駆動電源に対して回路全体を高電圧に保持するために、信号検出部335、信号伝達部336及びアース344bに高圧電源92が接続されている。この構成では検出出力が高圧を重畳して出力されるので出力部にコンデンサを接続し、更に5V電源を入れることにより5V中心の検出出力となるようにしている。中間転写ベルト24側の信号検出部333、信号伝達部334及びアース344aにも、同様の電気回路を介して高圧電源90が接続されている。ガード導体としてのアース344Aについては、直接、高圧電源91が接続されている。
次に、潜像目盛りと潜像センサ34Eとの間の放電について、図62ないし図64を用いて説明する。感光ドラム表面に静電潜像を形成する際には、感光ドラム表面を帯電装置により一様に、例えば−500V程度に帯電させる。そして、露光装置により画像信号に従ってレーザ光を走査して、感光ドラム表面のレーザ光照射部分の表面電位を−100V程度に変化させて潜像を形成する。即ち、露光した部分の電位(Vlight)が−100V、露光していない部分の電位(Vdark)が−500Vとなる。この電圧は画像形成装置や温湿度環境によって調整されているので、一概にこの値になるとは言えない。
感光ドラム上に潜像目盛りを書いた時のドラム上電圧Vdの時間変移を、図62に示す。横軸が時間、縦軸が電圧を示す。図62では、矩形状の電圧波形として示す。Vlightの時間とVdarkの時間は、色ずれ低減の目標値、色ずれ制御の周波数、プロセス速度等により時間が異なる。例えば50μm以下に色ずれを抑えるためには、600dpiの画像解像度を有する画像形成装置であれば4ラインおきに露光/非露光を繰り返す4ライン/4スペースの潜像目盛りを形成する。この場合、25.4(mm)÷600(dpi)×(4+4)=339μmピッチの目盛りが色ずれ制御の周波数を満足し、検出精度も安定していて好適である。従って、Vlightの時間とVdarkの時間は、それぞれ169μm÷(ドラムの回転速度)で算出される。
図63は、画像形成部43aで感光ドラム12aから中間転写ベルト24に転写された、中間転写ベルト24上の潜像目盛り50の電位Vbを示す。Vlightを−200V、Vdarkを−380Vとする。この電圧は、画像形成部43bで一次転写ローラ4bに一次転写バイアスVt(1200V)が一次転写用電源84bにより印加されると、電圧としてはそれぞれ−200+1200=1000(V)、−380+1200=820(V)となる。
画像形成部43b以降で感光ドラムの潜像目盛りと中間転写ベルト24の潜像目盛りを一次転写位置で挟んで検出する場合の電位差を、図64に示す。感光ドラムの潜像目盛りと中間転写ベルトの潜像目盛りとの電位差(Vb−Vd)は、最大1000−(−500)=1500Vとなることが分かる。
ここで、放電開始電圧について説明する。放電開始電圧E0は、ドラム表面電位Vd、ベルト表面電位Vb、一次転写電圧Vtとすると、E0は、Vd−(Vb+Vt)に比例する。本発明者が検討した画像形成装置においては、一次転写電圧を800Vとしたときにドラムの潜像目盛りが放電により中間転写ベルトに転写された。このことから感光ドラムから中間転写ベルトへの電荷移動条件(転写)は、−100−(0+800)=−900Vである。
また、中間転写ベルト上の潜像目盛りは1500Vp−p(±750V)で消去された。このことから、ベルトから目盛りを消去する消去ローラへの電荷移動条件(除電)は、0−(−200−750)=950Vである。これらの検討から、900V近傍で放電が起こることが分かった。
放電現象は画像形成装置の構成や温湿度条件によって異なるので一概には言えないが目安とはなりうる。感光ドラムの潜像目盛りと中間転写ベルトの潜像目盛りとの電位差は、上述したように最大1500Vとなるので、放電が発生し、潜像目盛りが乱れたり消失したりする可能性がある。そこで、本実施形態では、このような、感光ドラムの潜像目盛りと中間転写ベルトの潜像目盛りとの電位差を緩和すべく、潜像センサの導体部に電圧を印加して、電位差を電開始電圧以下とすることでこのような放電を回避する。
[電圧印加の基本プロセス]
次に、本実施形態の潜像センサの導体部に対する電圧印加の基本プロセスについて、図65を用いて説明する。まず、最大電位差を計算するために感光ドラムの帯電電位Vdと一次転写電圧(一次転写バイアス)Vtの設定値を読み出す(S201)。次いで、Vt−Vd=ΔVとして、ΔVが放電開始電圧Vdisよりも大きいかどうかを判断する(S202)。本実施形態では、Vdisは先の検討結果の900Vとする。判断の結果がNoの場合は、導体部に電圧を印加せずに接地状態(0V)を保持する(S203)。一方、判断の結果がYesの場合は、電圧印加決定プロセスに進む(S204)。電圧印加決定プロセスの詳細説明については、図66を用いて後述する。そして、電圧印加決定プロセスによって決定された電圧を、それぞれ潜像センサの各導体部に印加する(S205)。即ち、高圧電源90により中間転写ベルト24側の信号検出部333、信号伝達部334及びアース344aに決定された電圧を印加する。また、高圧電源92により感光ドラム12側の信号検出部335、信号伝達部336及びアース344bに決定された電圧を印加する。更に、高圧電源91によりガード導体としてのアース344Aに決定された電圧を印加する。この状態で、潜像センサ34Eにより、中間転写ベルト24及び感光ドラム12にそれぞれ形成された潜像目盛りを検出する(S206)。
[電圧印加決定プロセス]
次に、上述の電圧印加決定プロセスについて、図66を用いて説明する。本実施形態では、感光ドラムの潜像目盛りと中間転写ベルトの潜像目盛りとの最大の電位差ΔVを複数段に分離して、放電チェックを行う。また、上述の説明では、潜像センサ34Eの導体部が3層の場合について示したが、2層と1層などの他の数の層にも拡張して本プロセスが対応できるように説明する。
導体部の層の数をnとした場合にΔVを分離できる電位差は2〜(n+1)段となる。即ち、導体部が3層の場合は2〜3+1(=4)段まで電位差を確保できるが、導体部が1層の場合は2段のみとなる。以下では、導体部が3層で電位差を4段まで分離できる構成について説明するが、導体部の層の数が他の数であっても、分離できる段数が異なるだけで、同様のプロセスを実行できる。
まず、電位差ΔVを2段階に分離する。この場合、潜像センサ34Eの全ての導体部(中間転写ベルト24側の信号検出部333、信号伝達部334及びアース344a、感光ドラム12側の信号検出部335、信号伝達部336及びアース344b、アース344A)に同じ電圧を印加する。この電圧は、感光ドラム12の帯電電位(ドラム電位)Vd(例えば−500V)と上述のΔV(例えば1000−(−500)=1500V)とした場合、Vd+ΔV/2(例えば、−500+1500/2=250V)とする(S301)。なお、この電圧は、これ以外にも任意に設定可能である。次に、放電が起きるかどうかのチェックをする(S302)。放電チェックの具体的な方法については後述する。放電チェックをしてNo(放電しない)であれば、終了となる。
一方、放電チェックでYes(放電する)の場合は、3段階に電位差を分離する。この場合、2種類の電圧を3層の導体部に印加する(S303)。これらの電圧は、Vd+ΔV/3(例えば、−500+1500/3=0V)、Vd+2×ΔV/3(例えば、−500+2×(1500/3)=500V)とする。なお、これらの電圧は、次述する条件を満たせば、これら以外にも任意に設定可能である。また、本実施形態では、ドラム電位Vdがマイナスで、ベルト電位(一次転写電圧が印加された中間転写ベルト24の表面電位)Vbがプラスである。即ち、VdとVbとの大小関係は、Vd<Vbとなる。このため、印加する電圧は、感光ドラム12側の導体部に印加する電圧をHV(d)、中間の導体部に印加する電圧をHV(M)、中間転写ベルト24側の導体部に印加する電圧をHV(b)とした場合、次のような関係を満たすようにする。
HV(d)≦HV(M)≦HV(b)
ここで、感光ドラム12側の導体部は、信号検出部335、信号伝達部336及びアース344bであり、中間の導体部は、アース344Aであり、中間転写ベルト24側の導体部は、信号検出部333、信号伝達部334及びアース344aである。また、VdとVbとの大小関係が逆であれば、上述の関係式の不等号の向きも逆となる。また、印加する電圧は2種類であるため、中間の導体部に印加する電圧HV(M)を、感光ドラム12側の導体部に印加する電圧をHV(d)又は中間転写ベルト24側の導体部に印加する電圧をHV(b)と同じとする。更に、2種類の電圧のうちの低い電圧をHV(d)とし、高い電圧をHV(b)とする。
次に、放電が起きるかどうかのチェックをする(S304)。放電チェックをしてNo(放電しない)であれば、終了となる。一方、放電チェックでYes(放電する)の場合は、4段階に電位差を分離する。この場合、3種類の電圧を3層の導体部に印加する(S303)。これらの電圧は、Vd+ΔV/4(例えば、−500+1500/4=−125V)、Vd+2×ΔV/4(例えば、−500+2×(1500/4)=250V)、Vd+3×ΔV/4(例えば、−500+3×(1500/4)=625V)とする。なお、これらの電圧は、次述する条件を満たせば、これら以外にも任意に設定可能である。
ここで、VdとVbとの大小関係は、Vd<Vbであるため、HV(d)<HV(M)<HV(b)を満たすようにする。このため、HV(d)=Vd+ΔV/4、HV(M)=Vd+2×ΔV/4、HV(b)=Vd+3×ΔV/4となる。
再び、放電チェックを行う(S306)。先と同様に放電チェックをしてNoであれば終了となる。放電チェックでYesの場合は別の要因によって放電が起きている可能性があるので、例えば画像形成装置の表示部などに「異常」を表示して(S307)、終了する。
[放電チェック]
次に、上述の放電チェックについて説明する。ここでは、各画像形成部において一次転写電圧Vtを印加しない時の感光ドラム12の潜像目盛り(ドラム目盛り)と中間転写ベルト24の潜像目盛り(ベルト目盛り)の検出精度を予め測定しておき、それとの比較を行う。以下では、画像形成部43bを例に説明する。
ドラム目盛りについては、600dpiの解像度をもつ画像形成装置であれば、2ラインおきに露光/非露光を繰り返す2ライン/2スペースの潜像目盛り31bを形成する。ドラム目盛りのピッチは、25.4(mm)÷600(dpi)×(2+2)=84μmピッチとなる。感光ドラム1回転内のばらつきを考慮して感光ドラム4回転分の時間(本発明者らが検討した画像形成装置では直径84mmの感光ドラムを使用し、ベルト搬送速度は300mm/秒であったので3.5秒)検出した。検出したドラム目盛りの数は、300×3.5/0.084=12500個であった。そのピッチのばらつきの標準偏差σを取ると2.0μmであった。
同様に、ベルト目盛りについては、600dpiの解像度をもつ画像形成装置であれば、4ラインおきに露光/非露光を繰り返す4ライン/4スペースの潜像目盛り50を形成する。ベルト目盛りのピッチは25.4(mm)÷600(dpi)×(4+4)=168μmピッチとなる。ベルト1周内のばらつきを考慮してベルト4周分の時間(本発明者らが検討した画像形成装置では直径710mmの中間転写ベルトを使用し、ベルト搬送速度は300mm/秒であったので29.7秒)検出した。検出したベルト目盛りの数は300×29.7/0.168=53000個であった。そのピッチのばらつきの標準偏差σを取ると2.5μmであった。
まとめると放電が起きていない時の潜像目盛りの精度は以下のとおりである。
ドラム目盛り:精度(標準偏差σ)2.0μm、(検出数3570個/秒で3.5秒検出)
ベルト目盛り:精度(標準偏差σ)2.5μm、( 検出数1780個/秒で29.7秒検出)
次に、放電が発生した時の精度を測定したところ、本発明者らが実測したところでは5倍以上(ドラム目盛り精度σ11μm、ベルト目盛り精度σ15μm)となっていた。
以上より、放電が起きているかどうかの目安は潜像目盛りの検出精度が2倍以上となれば、放電が起きていると判断する。実際の放電チェックのときはドラム回転、ベルト回転をそれぞれ3.5秒、29.7秒検出してから判断するのではなく、10個分の検出信号で判断する。即ち、潜像センサ34Eにより、ドラム目盛りと潜像目盛りとをそれぞれ10個検出し、制御部48でそれぞれの標準偏差(検出標準偏差)を求める。次いで、予め制御部48が有する目盛りに記憶された上述の一次転写電圧を印加しなかった時の標準偏差(基準標準偏差)と比較する。そして、求めた検出標準偏差の何れかが、対応する基準標準偏差の2倍以上となれば、放電が起きていると判断する。
[具体例]
次に、上述の図65、66のフローに従って、ベルト目盛り電位とドラム目盛り電位の電位差ΔVを分割する具体例について、図67を用いて説明する。図67では、ドラム目盛り電位が−500V、ベルト目盛り電位が+1000Vの場合の高圧電源で印加する電圧の例を示したものである。また、条件1Aから1Cは、導体部が3層の場合、条件1Dから1Eは導体部が2層の場合(中間のガード導体としてのアース344がない場合)、条件1Fは1層の場合(1層の導体部でドラム目盛り及びベルト目盛りを検出する場合)である。条件1Fは、例えば、第6の実施形態や第8の実施形態で示した潜像センサである。
各条件の図の矢印は、矢印上に記載された電圧を矢印先の導体部に印加していることを示す。また、各条件の導体部に接続されるHV(d)、HV(M)、HV(b)は、それぞれ上述したように各導体部に印加する電圧を模式的に示したものである。なお、条件1B、1C、1Eについては、これらを省略したが、それぞれ左側の図と同じである。また、条件1Fについては、導体部が1層であるため、導体部に接続される電圧は、便宜上、HV(d)とした。
このような各条件でそれぞれの導体部に印加した電圧と、その時の放電の有無(放電チェックの結果)を表1に示す。なお、表1では、各導体部に電圧を印加しない例を比較例として記載した。また、条件1B’は、条件1Bの変形例である。
表1から明らかなように、比較例の電圧を印加しない場合では、放電チェックの結果がYesとなり放電が発生した。これに対して、本実施形態のように各導体部に所定の電圧を印加した場合には、放電チェックの結果がNoとなり放電が発生しなかった。
最初に導体部が3層の場合の電圧印加条件と放電チェックの結果について説明する。本実施形態の2段階に電位差を分離する条件1Aでは放電発生を抑制できた。同様に3、4段階に分離する条件1B、1B’、1Cでも放電発生を抑制できた。1Bと1B’は3層のうち2層を同じ電圧を印加するものであるが、どちらも放電発生を抑制できた。
次に導体部が2層の場合の説明をする。ΔV/2=(1000−(−500))/2=750であるから、先の条件1Aでは―500+750=250としたが、条件1Dでは50V高めの800Vとして、−500+800=300Vの電圧を印加した。この場合も放電を抑制できた。条件1Eは条件1Bと同じで放電を抑制できた。
最後に導体部が1層の場合の説明をする。これは先の説明の通り2段階のみ電位差を分離できる。この構成は条件1Dの導体が1つになったものと同じであり、これについても放電を抑制できた。
このように、本実施形態によると、潜像センサの導体部に電圧を印加することで、放電の発生を抑制できる。この結果、潜像目盛りを正常に安定して検出することができ、画像位置合わせを正確に行える。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様である。
<第13の実施形態>
本発明の第13の実施形態について、図56及び図57を参照しつつ図68及び図69を用いて説明する。本実施形態では、中間転写ベルト24にプレ帯電を行って中間転写ベルト24の電位(ベルト電位)を下げるようにしている。具体的には、中間転写ベルト24にマイナスのプレ帯電を行っている。以下、詳細に説明する。
初めに、図56(a)を用いて中間転写ベルト24へのプレ帯電について説明する。プレ帯電部85で中間転写ベルト24に、所定電圧(例えば−240V)のプレ帯電を行う。この所定電圧は、予め、実験などによりその画像形成装置に最適な値を求めておく。プレ帯電部85は、搬送体としての中間転写ベルト24に電圧を印加する搬送体電圧印加手段に相当する。制御部48は、プレ帯電部85により所定電圧を印加した状態で、第2像担持体としての感光ドラム12b〜12dから中間転写ベルト24に画像を転写させる。即ち、プレ帯電された中間転写ベルト24を使用して、感光ドラム12b〜12dからトナー画像及び潜像目盛りを中間転写ベルト24に転写する。
図56(a)の画像形成部43a、43bと中間転写ベルト24との関係を例にして具体的に説明する。ここでは、プレ帯電の所定電圧を−240Vとした。画像形成部43aにおいて一次転写電圧として1200Vで感光ドラム12aの潜像目盛りを中間転写ベルト24に転写した。このときVdark=−500V、Vlight=−310Vであった。画像形成部43bで一次転写用電源84bに1200Vを印加すると、ベルト目盛り電位は、Vdark=−500+1200=700V、Vlight=−310+1200=890Vであった。ドラム目盛りとベルト目盛りの電位差ΔV=890−(−500)=1390Vである。また、ΔV/2は、約700Vである。
次に、このようなプレ帯電を行う電圧印加プロセスについて、図68を用いて説明する。全体の流れは、前述した図65の基本プロセスフロー(プレ帯電なし)と同様である。
まず、最大電位差ΔVを計算するために、感光ドラムの帯電電圧Vd、一次転写電圧Vt、プレ帯電電圧Vp(所定電圧)の設定値を読み出す(S401)。そして、ΔV(=Vt−Vd+Vp)が放電開始電圧Vdisよりも大きいかどうかを判断する(S402)。この場合、Vdisは上述した検討結果の900Vとする。判断の結果がNoの場合は、導体部に電圧を印加せずに接地状態(0V)を保持する(S403)。一方、判断の結果がYesの場合は、電圧印加決定プロセスに進む(S404)。電圧印加決定プロセスの詳細説明については前述の図66と同様である。電圧印加決定プロセスによって決定された電圧を潜像センサEの各導体部にそれぞれ印加する(S405)。この状態で、潜像センサ34Eにより、中間転写ベルト24及び感光ドラム12にそれぞれ形成された潜像目盛りを検出する(S406)。
[具体例]
次に、上述の図68のフローに従って、ベルト目盛り電位とドラム目盛り電位の電位差ΔVを分割する具体例について、図69を用いて説明する。図69では、ドラム目盛り電位が−500V、ベルト目盛り電位が+1000V、プレ帯電の所定電圧が−240Vの場合の高圧電源で印加する電圧の例を示したものである。また、条件2Aから2Cは、導体部が3層の場合、条件2Dから2Eは導体部が2層の場合(中間のガード導体としてのアース344がない場合)、条件2Fは1層の場合(1層の導体部でドラム目盛り及びベルト目盛りを検出する場合)である。条件2Fは、例えば、第6の実施形態や第8の実施形態で示した潜像センサである。その他の図示の内容は、前述の図67と同様である。
このような各条件でそれぞれの導体部に印加した電圧と、その時の放電の有無(放電チェックの結果)を表2に示す。なお、表2では、各導体部に電圧を印加しない例を比較例として記載した。また、条件2B’は、条件2Bの変形例である。
表2から明らかなように、比較例の電圧を印加しない場合では、放電チェックの結果がYesとなり放電が発生した。これに対して、本実施形態のように各導体部に所定の電圧を印加した場合には、放電チェックの結果がNoとなり放電が発生しなかった。
最初に導体部が3層の場合の電圧印加条件と放電チェックの結果について説明する。本実施形態の2段階に電位差を分離する条件2Aでは、プレ帯電の分だけ印加電圧を低くでき、放電発生を抑制できた。同様に3、4段階に分離する条件2B、2B’、2Cでも、プレ帯電の分だけ印加電圧を低くでき、放電発生を抑制できた。2Bと2B’は3層のうち2層を同じ電圧を印加するものであるが、どちらも放電発生を抑制できた。
次に導体部が2層の場合の説明をする。条件2D、2Eは条件2A、2Bの中間のガード導体としてのアースと、中間転写ベルト24側の導体部が1つになったものと同じであり、これについても放電を抑制できた。
最後に導体層が1層の場合の説明をする。これも条件2A、2Dと同じ考え方で、導体部が1つになったものと同じであり、これについても放電を抑制できた。
このように、本実施形態によると、プレ帯電を行うことで、プレ帯電を行わない場合よりも、潜像センサの導体部に印加する電圧を低減しつつ、放電を抑制できる。その他の構造及び作用は、上述の第12の実施形態と同様である。
<第14の実施形態>
本発明の第14の実施形態について、図56を参照しつつ図70を用いて説明する。本実施形態では、感光ドラムの帯電電圧は、画像形成装置が設置されている環境(温度及び湿度)に基づいて設定される。このために、本実施形態では、図56(a)に示すように、画像形成装置が設置されている環境(温度及び湿度)を検出する環境センサ88を有する。なお、環境センサ88は、装置内に設置されていても良いし、装置外に設置されていても良い。何れにしても、環境センサ88の検出結果と、それに対応する帯電電圧との関係を、制御部48内に設けた記憶部に記憶しておく。また、一次転写電圧は、ATVC制御(Active Transfer Voltage Control)で求めている。このようなATVC制御は、画像形成装置の電源ON時、プリント動作の前回転時や連続プリント途中の割り込み制御などのタイミングで実施されるものである。
このような本実施形態の画像形成装置でのプロセスフローを、図70を用いて説明する。まず、画像形成装置が設置されている環境の温度・湿度を環境センサ88により検出する(S501)。これを元に感光ドラムの帯電電圧Vdを、制御部48の記憶部に記憶された関係から決定する(S502)。
次に、ATVC制御により、複数の異なる電圧を印加して、その時に一次転写ローラに流れる電流をそれぞれ測定する(S503)。そして、電流と電圧との関係を求め、環境センサ88により検出した環境から適切な転写電流に対応する一次転写電圧Vtを設定する(S504)。なお、S503、504をS501、502よりも先に行っても良いし、これらを並行して行うこともできる。以降のフローは、図68と同じである。
即ち、Vd、Vt、Vpを読み出しして(S505)、ΔV=Vt−Vd+Vpを計算する。そして、ΔV>Vdisかどうかを判断する(S506)。この場合、Vdisは先の検討結果の900Vとする。判断の結果がNoの場合は、各導体部に電圧を印加せずに接地状態(0V)を保持する(S507)。一方、判断の結果がYesの場合は、電圧印加決定プロセスに進む(S508)。電圧印加決定プロセスについては図66と同様である。電圧印加決定プロセスによって決定された電圧を各導体部にそれぞれ印加する(S509)。この状態で、潜像センサ34Eにより、中間転写ベルト24及び感光ドラム12にそれぞれ形成された潜像目盛りを検出する(S510)。
[具体例]
次に、上述の図70のフローに従って、ベルト目盛り電位とドラム目盛り電位の電位差ΔVを分割する具体例について、表3を用いて説明する。ここでは、上述の第12、13の実施形態で、導体部が2層と1層の場合は、導体部が3層の場合と類似の関係であることがわかったので、いずれも導体部が3層の場合で説明する。
条件3Aは、図69の条件2Aとほぼ同じ設定で電位差を2段階に分離して放電を抑制した。条件3Bはプレ帯電電圧を強めにして放電を抑制した。条件3CはVtが上がり、2段階に分離しても放電が起きたので、3段階に分離して放電を抑制した。条件3Dは3段階に分離したとき80VをHV(M)で印加しても問題なかった(放電を抑制できた)。
条件3E、3F、3Gは常温低湿度環境(温度25℃、相対湿度5%RH)においてVdが−700Vとなり、Vtが1800V、Vp=0Vであった。条件3Eは2段階分離で放電が発生した。そのため条件3Fは3段階分離としたがそれでも放電が発生した。最後に条件3Gで4段階に分離することで放電を抑制した。
以上のように、Vt、Vdが変化する構成であっても、本実施形態の電圧印加プロセスは有効であった。その他の構成及び作用は、上述の第13の実施形態と同様である。
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、搬送体として中間転写ベルトを使用した構成について説明したが、本発明は、搬送体として、記録材を搬送する記録材搬送ベルトを用いて、感光ドラムから直接記録材にトナー画像を転写する構成にも適用可能である。この場合、トナー画像は記録材に転写されるが、第1位置情報としての潜像目盛りは記録材搬送ベルトに転写される。
また、上述の各実施形態では、副走査方向の色ずれを補正すべく、第2像担持体としての感光ドラム12の回転を制御している。但し、このような色ずれの補正は、その他の方法、例えば、第2画像形成手段の露光装置の露光タイミングの制御、中間転写ベルトや記録材搬送ベルトなどの搬送体の搬送速度などにより行っても良い。要は、第2像担持体、第2画像形成手段及び搬送体のうちの少なくとも何れかを制御して、色ずれの補正が行えれば良い。
また、上述の各実施形態では、中間転写ベルトに形成する第1位置情報は、第1像担持体の感光ドラム12aに形成された潜像目盛り31aが中間転写ベルト24に転写されたものである。但し、このような第1位置情報は、直接、中間転写ベルトや記録材搬送ベルトに形成するようにしても良い。また、第1位置情報及び第2位置情報は、静電潜像により形成した潜像目盛りに限らず、磁気により形成した磁気目盛りであっても良い。この場合、第1情報検出部及び第2情報検出部は、それぞれ磁気の変化を検出するものとする。更に、上述の各実施形態は、適宜、組み合わせて実施可能である。