JP6137422B2 - チョコレート様食品の製造法 - Google Patents
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Description
しかし、健康機能を訴求点とした、高度不飽和脂肪酸含有油脂を含有するようなチョコレート様食品については、酸化劣化が問題となる場合もある。特許文献1では、このようなチョコレート様食品においてカテキン類を含有することを特徴とするチョコレート組成物について記載がある。
油脂の酸化劣化を防止するためには、酸化防止剤の使用が想到された。そこで、特許文献1を参考にカテキン類を使用したが、その効果は限定的であり、汎用的に使用できるものとは言えなかった。
(1)水溶性抗酸化剤を、微粒化工程前に配合することを特徴とする、高度不飽和脂肪酸含有油脂を含有するチョコレート様食品の製造法、
(2)水溶性抗酸化剤がアスコルビン酸、カテキン、茶抽出物、没食子酸、ヤマモモ抽出物、アミノ酸から選ばれる1以上である、(1)記載のチョコレート様食品の製造法、
(3)無脂カカオ固形分を含有する、(2)に記載のチョコレート様食品の製造法、
(4)鉄の含有量がカカオマス中7mg/100g以下の原料を使用する、(1)に記載のチョコレート様食品の製造法、
(5)鉄の含有量がカカオマス中7mg/100g以下の原料を使用する、(2)に記載のチョコレート様食品の製造法、
(6)鉄の含有量がカカオマス中7mg/100g以下の原料を使用する、(3)に記載のチョコレート様食品の製造法、
に関するものである。
カカオの主要な産地としてはコートジボワール、ガーナ、インドネシア等を挙げることができる。
ココアはカカオマスからココアバターを絞った後、細かく砕いて粉末状にしたものをいう。いわゆる黒系のチョコレートを製造する場合、無脂カカオ固形分は必須であるが、この由来としてはカカオマスを原料として使用する場合のほか、ココアを使用する場合も多い。カカオマスはカカオ由来の油を50%以上含み、常温で固体であるなどの特徴を有することから、ココアを使用する方が、配合や物性面での微調整等を行いやすい場合も多い。
このような、チョコレート様食品の場合、経時的な風味劣化が問題となる場合があった。
カカオには鉄をはじめとするミネラル成分が含まれていることは一般に知られている。そうした中、本発明者は、カカオの産地により、鉄の含量が相違することを見出した。そして、鉄の含量が多いココアを使用した場合に、経時的な風味劣化が起きやすいことを見出した。
以下、本発明をより詳細に説明する。
具体的にはアスコルビン酸、カテキン、茶抽出物、没食子酸、ヤマモモ抽出物、アミノ酸をあげることができ、より望ましくは、アスコルビン酸,カテキン、アミノ酸である。本発明では、これらを適宜選択し、使用することができる。
使用する水溶性抗酸化剤の量は、チョコレート様食品中0.01〜0.5重量%であることが望ましく、より望ましくは0.05〜0.2重量%である。適当な水溶性抗酸化剤を、適当な量使用することで、チョコレート様食品における酸化安定性がより向上する。
通常、抗酸化剤は、酸化を抑えたい対象に直接加えることが一般的である。たとえば本発明のように、高度不飽和脂肪酸含有油脂を含有するチョコレート様食品においては、当該高度不飽和脂肪酸含有油脂に抗酸化剤を添加することが一般的と思える。その場合も、通常であれば、油溶性の酸化防止剤を添加することが一般的である。
しかし本発明においては、水溶性抗酸化剤を、高度不飽和脂肪酸含有油脂に直接添加するのではなく、微粒化工程前の段階で添加することに特長がある。
なお、水溶性抗酸化剤の全てを微粒化工程前に添加する必要はなく、チョコレート様食品に添加する水溶性抗酸化剤の1/3以上、より望ましくは1/2以上を微粒化工程前に添加することが望ましい。
また、本発明では、水溶性抗酸化剤を紛体として添加することもできるが、チョコレート様食品に使用する油脂の一部に水溶液として添加して油中水型乳化油脂組成物とし、添加することもできる。このようにして添加することで、チョコレート様食品中で容易に均一に分散し、抗酸化効果が生ずると想定される。
チョコレート様食品における無脂カカオ固形分の含量としては、望ましくは5〜90重量%であり、さらに望ましくは10〜50重量である。望ましいとされる無脂カカオ固形分を含有することで、いわゆる黒系のチョコレート様食品としての風味を示し、かつ、経時的な風味劣化も抑制されたチョコレート様食品となる。
このような原料を使用することで、より好ましい酸化防止効果が得られる。
なお、原料としてカカオマスを使用する場合は、その鉄の含有量が7mg/100g以下のものを選択することがのぞましく、また、原料として無脂カカオ固形分を使用する場合は、鉄の含有量として7mg/100g以下のカカオマスから調製される無脂カカオ固形分を使用することが望ましい。
以下、実施例により本発明の実施形態をより具体的に記載する。
各産地における、カカオマス中の鉄含量を測定した。測定法はICP発光分析法に従った。
結果を表1に示した。
一例ではあるが、表1の通り、産地により鉄の含有量に違いがみられ、特に、ベネズエラ産のカカオマスは、鉄の含有量が高かった。
産地別の産地別カカオ原料を使用したチョコレート様食品における酸化安定性を測定した。
チョコレート様食品の配合は表2に示した。また、チョコレート様食品の調製は、以下記載の「○チョコレート様食品の調製法」に従った。
結果を表3に示した。
1.魚油、レシチン、一部のココアバターを除き、生地油分が27重量%に調整したうえで混練し、ロールリファイナリーで微粒化した。
2.微粒化された生地は一部のココアバターを加え、60℃で2時間混練した。その後、残余のココアバター及びレシチンを加え、さらに60℃で1時間混練した後、魚油を加え、ペースト状のチョコレート様食品を得た。
1.チョコレート様食品のサンプルを200mlの三角フラスコに75g封入し、50℃のしんとう機にて100rpmで回転した。
2.10,30日目でサンプリングし、パネラー5名の合議により、以下の評価基準で評価した。
○:各試験のチョコレート様食品調製時と同等と判断されるもの。
△:各試験のチョコレート様食品調製時と比べ変化は感知されるが、違和感はないもの。
×:各試験のチョコレート様食品調製時と比べ明らかな変化が感知され、違和感あるもの。
○、△を合格と判断した。
各サンプルにつき、ヘキサンにて油分を抽出し、ヨウ素滴定法によりPOVを測定した。
結果で示されたように、鉄の含有量の多いカカオ原料を使用した場合に、酸化劣化がより促進されることが明らかとなった。
以上の結果より、当初より鉄の含有量の少ないカカオ原料を使用することが、酸化安定性を向上させる一つの手段という事ができる。具体的には、鉄の含有量としてカカオマスにおいて7mg/100g以下であることが望ましい。
表4に示す配合にて、上記「○チョコレート様食品の調製法」に準じ、チョコレート様食品を調製した。VCは、添加法として「微粒化工程後」の場合は混練時に、「微粒化工程前」の場合は、ロールリファイナーで微粒化する前に添加した。
得られたチョコレート様食品は、遮光して60℃にて保管し、経時的にPOVを測定した。POVは保管28日目で1以下を合格とした。
結果を表5に示した。
VCを微粒化工程後に添加する場合は、VCの量を増やしても、その酸化防止効果は限定的であるし、量を増やすことで逆に酸化が促進されるような傾向が観察された。
しかし、VCを微粒化工程前に添加すると、より強い酸化防止効果が確認された。
表6に示す配合にて、下記「○チョコレート様食品の調製法2」に従い、チョコレート様食品を調製した。
得られたチョコレート様食品は、遮光して60℃にて保管し、1カ月後の風味を確認した。
風味の確認は、以下の「○風味確認法」に従った。
結果を表7に示した。
・配合の単位は重量%で記載した。
・5%カテキン配合油は、カテキンを50重量%含む水相10重量%を、PGPRを5重量%配合したココアバター代用脂85重量%に入れ混合し、油中水型乳化油脂組成物としたものを使用した。
・植物油脂はココアバター代用脂を使用した。
・カカオマスはガーナ産を使用した。
・DHA油はDHAを45%含むものを使用した。
1 配合中、Aのカカオマス、砂糖、5%カテキン配合油中水型乳化油脂組成物、植物性油脂を混合した。
2 ロールにて微粒化した。
3 60℃、3hrのコンチング工程に供し、Bのココアバター、植物性油脂、5%カテキン配合油中水型乳化油脂組成物、DHA油、レシチン、香料を適宜加えた。
調製後24時間以内の「比較例5」をコントロールとして、パネラー5名により実際に食して風味評価を行った。
評価は、主に異臭等の存在がないかを基準に評価し、調製後1月経過後の評価において◎、○を合格とした。
◎ コントロールと同等以上と評価されるもの。
○ コントロールに比べごくわずか劣るが許容範囲であるもの。
△ コントロールに比べて劣り、許容できないもの。
× コントロールに比べて大きく劣り、許容できないもの。
×× コントロールに比べて大きく劣り、食すことができないもの。
本検討では、抗酸化剤を5%カテキン配合油として添加したが、検討3同様に、微粒化工程より前に添加する場合に、高い抗酸化力を示した。
Claims (6)
- 水溶性抗酸化剤を、微粒化工程前に配合することを特徴とする、高度不飽和脂肪酸含有油脂を含有するチョコレート様食品の製造法。
ただし、微粒化工程前には高度不飽和脂肪酸含有油脂を配合しない。 - 水溶性抗酸化剤がアスコルビン酸、カテキン、茶抽出物、没食子酸、ヤマモモ抽出物、アミノ酸から選ばれる1以上である、請求項1記載のチョコレート様食品の製造法。
- 無脂カカオ固形分を含有する、請求項2に記載のチョコレート様食品の製造法。
- 鉄の含有量がカカオマス中7mg/100g以下の原料を使用する、請求項1に記載のチョコレート様食品の製造法。
- 鉄の含有量がカカオマス中7mg/100g以下の原料を使用する、請求項2に記載のチョコレート様食品の製造法。
- 鉄の含有量がカカオマス中7mg/100g以下の原料を使用する、請求項3に記載のチョコレート様食品の製造法。
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