JP6136618B2 - 電解質 - Google Patents
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Description
ホスホン酸系アルカリ金属塩、リン酸系アルカリ金属塩及びホスフィン酸系アルカリ金属塩のうちの1種以上であるP−O系アルカリ金属塩と、
イミド構造を含むアニオンを有し前記P−O系アルカリ金属塩とは異なる非P−O系アルカリ金属塩と、
グライムと、
を備えたものである。
[実験例1]
Tetraethyleneglycoldimethylether(東京化成工業製,分子量:222.3,略号:G4)及びLithium Bis(trifluoromethanesulfonyl)imide(キシダ化学(株)製,分子量:287.1,略号:LiTFSI)を用意した。そして、Arガスを充填したグローブボックス内で、20mLサンプル瓶に等モル量のG4(0.40g)とLiTFSI(0.52g)をとり、密封して取り出し、加熱により均一溶液を得た。これを実験例1の試料とした。実験例1の試料の理論組成は、{G4+LiTFSI}である。
Triethyleneglycoldimethylether(東京化成工業製,分子量:178.2,略号:G3)及びLiTFSIを用意した。そして、Arガスを充填したグローブボックス内で、20mLサンプル瓶に等モル量のG3(1.00g)とLiTFSI(1.61g)をとり、密封して取り出し、加熱により均一溶液を得た。これを実験例2の試料とした。実験例2の試料の理論組成は、{G3+LiTFSI}である。
Phenylphosphonic acid(東京化成工業製,分子量:158.1,略号:PhPOH)と、LiTFSIと、Tetrahydrofuran(脱水品,和光純薬工業製,略号:THF)と、G4と、n-Butyl Lithium(2.5M in hexane,Aldrich製,分子量:64.1,略号:n−BuLi)と、を準備した。そして、Arガスを充填したグローブボックス内で、予め十分に乾燥させたPhPOH(0.53g)とLiTFSI(0.96g)を25mLナスフラスコにとりTHF3mLとG4(1.48g)を加えて、密封後に取り出し、−30℃に冷却した低温恒温槽にナスフラスコを浸けて冷却した。Arガス気流下に、2.7mLのn−BuLi(2.5M溶液)をシリンジでゆっくりと添加して攪拌した。添加開始直後に白色沈殿が生じて分散液となった。添加終了後に、室温で攪拌を1.5時間続けて反応を行った。反応終了後に、50℃まで加熱しながら減圧処理することで脱溶媒を行い、黄色クリーム状の生成物(乳液状液体)を得た。これを実験例3,4の試料とした。実験例3,4の試料の理論組成は、{G4+LiTFSI}+PhPOLi+G4である。なお、PhPOLiとは、PhPOHの−OH基の水素がLiに置換されたものを示す。
まず、特開2008−69093号公報の実施例1の手順にならい、3,6,9-Trioxadecylphosphonic acid(略号:EO(3)POH)を合成した。具体的には、まず、Diglyme(東京化成工業製,略号:Diglyme)と、1-Bromo-3,6,9-trioxadecane(東京化成工業製,分子量:271.2,略号:EO(3)−Br)、Triethylphosphite(Aldrich製,分子量:166.2,略号:P(OEt)3)と、Methylene Chloride(脱水品,和光純薬工業製,略号:CH2Cl2)と、Bromotrimethylsilane(東京化成工業製,略号:TMS−Br)と、Methanol(脱水品,和光純薬工業製,略号:MeOH)を用意した。そして、Diglymeに、EO(3)−Br及びP(OEt)3を加え、140℃に加熱した。反応終了後に、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、無色透明液体を得た。これはNMRより、3,6,9-Trioxadecylphosphonic acid diethyl ester (略号:EO(3)POEt)であると推測された。CH2Cl2にEO(3)POEtを加え、TMS−Brを滴下した。次にメタノールを加え、反応終了後、低沸分を減圧留去した。残分を水に溶解させ、CH2Cl2で洗浄、分液した。水層から低沸分を減圧留去し、薄黄色透明液体を得た。図4には、この液体の13C NMRスペクトルを示す。また、図5には、この液体の1H NMRスペクトルを示す。図4,5により、この液体は、EO(3)POHであると推察された。
EO(3)POHの量を0.23g、LiTFSIの量を0.29g、G4の量を0.22g、THFの量を2mL、n−BuLi(2.5M溶液)の量を0.8mLとした以外は、実験例5と同様の操作を行い、乳液状の液体を得た。これを実験例6の試料とした。実験例6の試料の理論組成は、{G4+LiTFSI}+1.0EO(3)POLiである。
まず、特開2008−69093号公報の実施例1の手順にならい、3,6,9,12,15,18,21,24-Octaoxa-pentacosylphosphonic acid(略号:EO(8)POH)を合成した。具体的には、まず、EO(3)−Brに代えて、1-Bromo-3,6,9,12,15,18,21,24-octaoxapentacosane(東京化成工業製,分子量:447.4,略号:EO(8)−Br)を用いた以外は、実験例5と同様の手順で、無色透明液体を得た。これはNMRより、3,6,9,12,15,18,21,24-Octaoxa-pentacosylphosphonic acid diethyl ester(略号:EO(8)POEt)であると推測された。そして、EO(3)POEtに代えてこのEO(8)POEtを用いて、実験例6と同様の手順により加水分解反応を行い、薄黄色透明液体を得た。図6には、この液体の13C NMRスペクトルを示す。また、図7には、この液体の1H NMRスペクトルを示す。図6,7より、この液体は、EO(8)POHであると推察された。
PhPOHに代えてTetracosylacidphosphate(ジエステル25%含有,城北化学工業製,分子量:平均290,商品名:JP−524R,略号:C14OPOH)を用い、C14OPOHの量を0.29g、LiTFSIの量を0.29g、G4の量を0.22g、THFの量を2mL、n−BuLi(2.5M溶液)の量を0.8mLとした以外は、実験例3と同様の操作を行い、乳液状の液体を得た。これを、実験例8の試料とした。実験例8の試料の理論組成は、{G4+LiTFSI}+C14OPOLiである。
EO(8)POHに代えてEO(3)POHを用い、G4に代えてG3を用い、EO(3)POHの量を0.11g、LiTFSIの量を0.29g、G3の量を0.18g、THFの量を2mL、n−BuLi(2.5M溶液)の量を4mLとした以外は、実験例7と同様の操作を行い、粘稠な糊状半固体を得た。これを、実験例9の試料とした。実験例9の試料の理論組成は、{G3+LiTFSI}+0.5EO(3)POLiである。
Phenylphosphinic acid(東京化成工業製,分子量:142.09,略号:PhPHOH)と、THFと、n−BuLiと、実験例1の試料({G4+LiTFSI}の等モル混合物)とを用意した。そして、Arガスを充填したグローブボックス内で、25mLナスフラスコによく乾燥させたPhPHOH(0.65g)とTHF5mLをとり、密封後に取り出し、−30℃に冷却した低温恒温槽にナスフラスコを浸けて冷却した。Arガス気流下に、1.84mLのn−BuLi(2.5M溶液)をシリンジでゆっくりと添加して攪拌した。その後室温に戻してから、{G4+LiTFSI}の等モル混合物(2.34g)を加えて攪拌し、混合した。この混合物を50℃まで加熱しながら減圧処理して脱溶媒を行い、灰色半固体状の生成物を得た。これを実験例10の試料とした。実験例10の試料の理論組成は、{G4+LiTFSI}+PhPHOLiである。
Polyethyleneglycolphosphate methacrylate(ユニケミカル製,分子量約360,商品名:ホスマーPE,略号:V−EO(4.5)OPOH)と、Methoxypolyethyleneglycol methacrylate(日油製,分子量:約280,商品名:ブレンマーPME200,略号:V−EO(4))と、Polyethyleneglycol dimethacrylate(日油製,分子量:約720,商品名:ブレンマーPDE600,略号:V−XEO(14))と、2-Hydroxy-1-[4-[4-(2-hydroxy-2-methylpropyonyl)benzyl]phenyl]-2-methylpropane-1-one(BASF製,分子量:約720,商品名:Irgacure127,略号:Irgacure127と称する)と、THFと、n−BuLiを用意した。そして、N2ガスを充填したグローブボックス内で、V−EO(4)(0.34g)、V−EO(4.5)OPOH(0.22g)、V−XEO(14)(0.44g)を石英製角形シャーレにとり、それらの3質量%相当量の光重合開始剤であるIrgacure127(30mg)を加えて攪拌することで均一溶液を得た。このままグローブボックス内で高圧水銀ランプによる紫外−可視光線を3分間照射して光重合を行い軟らかい膜状物を得た。この膜状物が入ったシャーレにTHF3mLを加えてから、n−BuLi(2.5M溶液)(0.49mL)を添加したところ、膜が膨らんだので、スパーテルで剥離させてから、そのシャーレ中に実験例1に記載の方法で得られた{G4+LiTFSI}を0.31g加えて均一に混合した。この混合物を密封容器に入れて取り出し、加熱・減圧処理することで、脱溶媒を行い、薄黄色で柔らかいフレーク状固体の生成物(蝋状固体)を得た。これを実験例11の試料とした。実験例11の試料の理論組成は、{G4+LiTFSI}+poly(0.25EO(4.5)OPOLi/0.5EO(4)/0.25XEO(14))である。なお、V−EO(4.5)OPOH、V−EO(4)、V−XEO(14)におけるV−は、メタクリレート基を示し、V−Xは、ジメタクリレート基を示し、これらを(共)重合したときには、V−を省いた略号を組成モノマーの表記に用いて、polyを付けた後のかっこ内に各組成のモル比と併せて記載することで、(共)重合体の略号とした(以下同様)。EO(4.5)OPOLiは、EO(4.5)OPOHの−OH基の水素がLiに置換されたものを示す。
N2ガスを充填したグローブボックス内で、V−EO(4.5)OPOH(1.41g)、V−XEO(14)(0.70g)、LiTFSI(1Mアセトニトリル溶液)(3.9mL)、Irgacure127(0.063g)、G4(1.72g)、THF(3mL)を25mLナスフラスコにとり、密封後に取り出し、−30℃に冷却した低温恒温槽にナスフラスコを浸けて冷却した。Arガス気流下に、3.1mLのn−BuLi(2.5M溶液)をシリンジでゆっくりと添加して、その後室温で攪拌した。得られた分散液を石英製角形シャーレに移し、50℃まで加熱しながら減圧処理することで脱溶媒を行った。このモノマー混合物を含む角形シャーレを、N2ガスを充填したグローブボックス内で高圧水銀ランプによる紫外−可視光線を3分間照射して光重合を行い、膜状の蝋状固体を得た。これを実験例12の試料とした。実験例12の試料の理論組成は、{G4+LiTFSI}+poly(0.75EO(4.5)OPOLi/0.25XEO(14))+G4である。
実験例12のV−EO(4.5)OPOHに代えてVinylphosphonic acid(Aldrich製,分子量:108.0,略号:V−POH)を用いた。そして、V−POH(0.31g)、V−XEO(14)(0.52g)、G4(1.29g)、Irgacure127(0.025g)、LiTFSI(1M アセトニトリル溶液)(2.91mL)、THF(3mL)とn−BuLi(2.5M溶液)(2.37mL)を用いて、実験例12と同様の操作を行い、粘稠な糊状半固体を得た。これを実験例13の試料とした。実験例13の試料の理論組成は、{G4+LiTFSI}+poly(0.75POLi/0.25XEO(14))+G4である。なお、POLiは、POHの−OH基の水素がLiに置換されたものを示す。実験例13の試料は、糊状半固体の形状であるが、低沸分の留去の際に、重合前に観測された突沸が重合後には見られなくなったことから、光重合によりある程度の高分子量化が進んだものと見なした。
Poly(ethyleneglycohol)dimethylether(Aldrich製,分子量:約2000,略号:PEO(2k))と、Lithium trifluorosulfonic acid(キシダ化学(株)製,分子量:156.02,略号:LiTf)を用意した。PEO(2k)(0.40g)と、LiTf(0.1Mアセトニトリル溶液)(6.4mL)とを、Arを充填したグローブボックス内で、20mLサンプル瓶にとり、密封して取り出した後、ドライヤーで加熱しながら攪拌することで均一に溶解させた。その後、加熱しながら減圧処理することで、脱溶媒を十分に行い、蝋状の固形物を得た。これを実験例14の試料とした。
Arを充填したグローブボックス中で、各測定セルの内部(直径φ=10mm)に、実験例3,5〜13では各試料を入れ、実験例1,2,4,14では各試料とポリエチレン製の多孔質セパレータを入れた。そして、ステンレス製電極で挟み、気泡を抜き密封した。そのときの膜厚を測定後、測定セルを恒温槽内に置いて、25℃,10℃,−10℃,−30℃,−10℃,10℃,25℃,45℃,60℃,70℃,80℃,80℃,70℃,60℃,45℃,25℃となるようにした。インピーダンス測定は、各温度で1時間保持した後に行った。但し、氷点下の温度では1.5時間保持した。このインピーダンス測定は、振幅電圧を100mVにして、1MHz−0.1Hzの間で0.5pts/secで行った。得られたCole−ColeプロットのZ’の実軸切片の値もしくはBode線図でθが最小となる|Z|を抵抗値(R)として求めた。この値(R)と膜厚t(cm)及び電極面積S(cm2)から、次式に従いイオン伝導度σ(Scm-1)を算出した。その結果を図8〜13に示す。なお、図8〜13の横軸のTの単位はケルビン(K)である。
σ=1/R × t/S
表1に、実験例1〜14について、80℃、25℃、−30℃におけるイオン伝導度(σ80,σ25,σ-30)や、−30℃におけるイオン伝導度を80℃や25℃におけるイオン伝導度で除した値である伝導度維持率(σ-30/σ80,σ-30/σ25)を示した。表1に示すように、実験例3〜13のいずれにおいても、伝導度維持率は、実験例1,2よりも高い値を示した。このことから、実施例(実験例3〜13)のものでは、いずれも、例えば−30℃などの低温におけるイオン伝導度の低下を抑制できることが分かった。なお、実験例1〜13のうち、実験例3〜6,8の試料は高粘性液体であり、実験例9,10,13の試料は半固体であり、実験例7,11,12の試料は固体である。
Claims (10)
- ホスホン酸系アルカリ金属塩、リン酸系アルカリ金属塩及びホスフィン酸系アルカリ金属塩のうちの1種以上であるP−O系アルカリ金属塩と、
イミド構造を含むアニオンを有し前記P−O系アルカリ金属塩とは異なる非P−O系アルカリ金属塩と、
グライムと、
を備えた電解質。 - 前記イミド構造を含むアニオンは、窒素に2つのスルホニル基が結合したスルホニルイミドアニオン又は窒素に1つのスルホニル基と1つのカルボニル基が結合したスルホニルカルボニルイミドアニオンである、請求項1に記載の電解質。
- 前記非P−O系アルカリ金属塩は、アルカリ金属としてリチウムを有している、請求項1又は2に記載の電解質。
- 前記グライムに対して前記非P−O系アルカリ金属塩を0.2モル当量以上2モル当量以下含み、前記非P−O系アルカリ金属塩に対して前記P−O系アルカリ金属塩を0.15モル当量以上1.7モル当量以下含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解質。
- 25℃でのイオン伝導度σ25に対する、−30℃でのイオン伝導度σ-30の比が、3×10-3以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解質。
- −30℃でのイオン伝導度σ-30が、3.7×10-4mS/cm以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解質。
- 液体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解質。
- 前記P−O系化合物は、単量体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解質。
- 前記P−O系化合物は、重合体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解質。
- 自立膜として存在する、請求項9に記載の電解質。
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