JP6805929B2 - イオン導電性固体電解質と全固体アルカリ金属イオン二次電池 - Google Patents
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Description
例えば、P−O系アルカリ金属塩と、イミド構造を含むアニオンを有するアルカリ金属塩と、グライムとを混合した電解質が提案されており、混合する組成によっては固体電解質が得られるとしている(特許文献1参照)。また、グライムとアルカリ金属塩とを混合すると、グライムのエーテル構造の酸素部分がアルカリ金属イオンに配位して錯体を形成することで熱安定性が向上するという提案がなされている(特許文献2参照)。
すなわち、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
イミド構造を含むアニオンを有する非P−O系アルカリ金属塩と
を含有することを特徴とするイオン導電性固体電解質。
[2] さらに、グライムを前記非P−O系アルカリ金属塩に対して0.2モル当量未満含有することを特徴とする[1]に記載のイオン導電性固体電解質。
[3] 前記イミド構造を含むアニオンは、窒素に2つのスルホニル基が結合したスルホニルイミドアニオンまたは窒素に1つのスルホニル基と1つのカルボニル基が結合したスルホニルカルボニルイミドアニオンであることを特徴とする[1]または[2]に記載のイオン導電性固体電解質。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載のイオン導電性固体電解質を用いた全固体アルカリ金属イオン二次電池。
特に本発明の一実施形態のイオン導電性固体電解質によれば、特定P−O系アルカリ金属塩は、固体状態での高いイオン導電性を有するため、少量のグライムを添加することで、熱安定性を確保しつつ、イオン導電性の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係るイオン導電性固体電解質は、化学式(1)で表されるP−O系アルカリ金属塩とイミド構造を含むアニオンを有する非P−O系アルカリ金属塩とを含有する。
化学式(1)で表されるP−O系アルカリ金属塩は、固体状態での高いイオン導電性を有するため、グライムの添加を必須としない。そのため、多量のグライム添加による熱安定性の低下を防ぐことができる。
P−O系アルカリ金属塩は、ホスホン酸系アルカリ金属塩、リン酸系アルカリ金属塩、ホスフィン酸系アルカリ金属塩のうちの1種以上である。本発明の一実施形態にかかる化学式(1)で表されるP−O系アルカリ金属塩(以下、「本発明のP−O系アルカリ金属塩」とも言うことがある)は、ホスホン酸系アルカリ金属塩である。
化学式(1)において、Xは、炭素数1〜20のアルキレン基を示す。炭素数1〜20のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基およびオクタレン基等のような炭素数1〜20の直鎖アルキレン基が挙げられる。また、メチルメチレン基;メチルエチレン基;1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基;1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、3−メチルブチレン基、4−メチルブチレン基;1−メチルペンチレン基、2−メチルペンチレン基、3−メチルペンチレン基、4−メチルペンチレン基、5−メチルペンチレン基;1−メチルヘキシレン基、2−メチルヘキシレン基、3−メチルヘキシレン基、4−メチルヘキシレン基、5−メチルヘキシレン基、6−メチルヘキシレン基などのような、メチル基の分岐構造を有する炭素数2〜20のアルキレン基が挙げられる。
Xは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基およびオクタレン基等のような炭素数1〜20の直鎖アルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜9の直鎖アルキレン基であることがより好ましい。
Yは、炭素数2〜3のアルキレン基を示す。炭素数2〜3のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基が挙げられる。エチレン基であることが好ましい。
nは2〜20の整数を示す。2〜15の整数であることが好ましく、2〜10の整数であることがより好ましく、5〜8であることが更に好ましい。
Mはリチウムもしくはナトリウムを示す。リチウムであることが好ましい。
本発明にかかるイミド構造を含むアニオンを有する非P−O系アルカリ金属塩(以下、「本発明の非P−O系アルカリ金属塩」ともいうことがある。)は、イミド構造を含むアニオンを有しP−O系アルカリ金属塩とは異なるものであればよい。すなわち、本発明の非P−O系アルカリ金属塩は、ホスホン酸系アルカリ金属塩、リン酸系アルカリ金属塩、ホスフィン酸系アルカリ金属塩とは異なるものである。
本発明にかかるイミド構造を含むアニオンは、窒素に2つのスルホニル基が結合したスルホニルイミドアニオンまたは窒素に1つのスルホニル基と1つのカルボニル基が結合したスルホニルカルボニルイミドアニオンであることが好ましい。スルホニルイミドアニオンがより好ましい。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン(TFSI) やビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン(BETI)、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン(FSI)、フルオロスルホニルトリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン(FTA)、4,4,5,5,−テトラフルオロ−1,3,2−ジチアゾリン−1,1,3,3−テトラオキシドアニオン(CTFSI)等が挙げられる。
スルホニルカルボニルイミドアニオンとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミドアニオン(TSAC)等が挙げられる。イミド構造を含むアニオンは、有機アニオンであることが好ましい。
本発明の非P−O系アルカリ金属塩は、上述したアニオンと対をなすカチオンとしてアルカリ金属イオンを有している。アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが好ましく、リチウムがより好ましい。このアルカリ金属は、本発明のP−O系アルカリ金属塩に含まれるものと同種のものであることが好ましい。
アニオンとカチオンの組み合わせとしては、例えば、LiTFSI、NaTFSI、LiFSI、NaFSIが好ましく、LiTFSIがより好ましい。
グライムは、直鎖状の対称グリコールジエーテルの総称であり、例えば、R−O(CH2CH2O)n−Rで表されるものとしてもよい。
本発明の一実施形態のイオン導電性固体電解質において、本発明のP−O系アルカリ金属塩及び本発明の非P−O系アルカリ金属塩の割合は、特に限定されるものではない。本発明の非P−O系アルカリ金属塩に対して本発明のP−O系アルカリ金属塩を0.5〜4.0モル当量含むものが好ましく、1.0〜3.0モル当量含むものがより好ましく、1.5〜2.5モル当量含むものがさらに好ましい。
0.5モル当量を下回ると、イオン導電性に必要なアルカリ金属が少ないため所望のイオン導電性を確保することが出来ない。また、4.0モル当量を越えると、濃度が高すぎてイオン解離できないP−O系アルカリ金属塩が生じるため、それが抵抗となり所望のイオン導電性を確保することが出来ない。
0.2モル当量以上含有すると、グライム添加による熱安定性の低下が大きくなり、所望の熱安定性を得ることが困難となる。また、グライムは液体であるため、0.2モル当量以上含有すると流動性が発現し、固体状態の維持が困難となる。
本発明のP−O系アルカリ金属塩は、固体状態での高いイオン導電性を有するため、イオン導電性固体電解質において多量のグライムが含まなくても、高いイオン導電性を有することができる。上記のように、固体電解質の熱安定性に影響しない程度の少量グライムを含有する本実施形態のイオン導電性固体電解質は、熱安定性を確保しつつ、イオン導電性の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態のイオン導電性固体電解質の製法としては、例えば、本発明のP−O系アルカリ金属塩と、本発明の非P−O系アルカリ金属塩とを含む原料を混合して得られたものとしてもよい。特に混合方法等に制限はない。混合の際は、水の混入を防ぐために露点−80℃以下の大気下あるいは不活性ガス雰囲気下、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の雰囲気下で混合することが好ましい。より好ましくはアルゴンガス雰囲気下である。混合する際の温度は20〜80℃が好ましい。また、必要に応じてアルカリ金属塩を溶解させるために、スターラー等を用いて攪拌してもよい。
また、例えば、本発明のP−O系アルカリ金属塩に代えて、アルカリ金属が導入されていない、対応するP−O系アルカリ金属化合物を用いてもよい。この場合、対応するP−O系アルカリ金属化合物にアルカリ金属を導入して本発明のP−O系アルカリ金属塩とするため、アルカリ金属化合物を原料に追加することが好ましい。アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウムなどを好適に用いることができる。こうしたものは、対応するP−O系アルカリ金属化合物と、本発明の非P−O系アルカリ金属塩と、アルカリ金属化合物とを混合して得られたものとしてもよい。また、対応するP−O系アルカリ金属化合物と、本発明の非P−O系アルカリ金属塩とを混合して得られたものに、アルカリ金属化合物を加えてアルカリ金属を導入して得られたものとしてもよい。
本発明のそれぞれの実施形態のイオン導電性固体電解質から、イオン導電性固体電解質層を形成する方法は特に限定されない。
本発明のイオン導電性固体電解質において、高い熱安定性と高いイオン導電性が同時に発現することができる。こうした効果が得られる理由は、まだ未解明であるが、以下のように推察される。
本発明のP−O系アルカリ金属塩と本発明の非P−O系アルカリ金属塩とからなるイオン導電性固体電解質において、アルカリ金属イオンが以下のように伝導すると考えられる。
ステップ(1):イミド構造を含むアニオンを有する非P−O系アルカリ金属塩がアルカリ金属イオンとイミド構造を含むアニオンに解離する。
ステップ(2):生じたアルカリ金属イオンがエチレンオキシド(本発明のP−O系アルカリ金属塩中に存在)に移動する。
ステップ(3):エチレンオキシドのセグメント運動によってアルカリ金属イオンが伝導する。
このようなイオン導電性固体電解質のイオン導電性は、P−O系アルカリ金属塩の末端基に依存する。ここでは、本発明の非P−O系アルカリ金属塩はLiTFSIであり、P−O系アルカリ金属塩はホスホン酸系リチウム塩(化学式(1)において、Yはエチレン、nは4の整数、Mはリチウムを示す。)である場合を例として説明する。
TFSIアニオンの1つのスルホニル基が、ホスホン酸系リチウム塩のLi+カチオンと相互作用(配位結合)することで、この複合塩構造が安定化される。この相互作用により、TFSIアニオンの負電荷密度が分散され低下する為に、TFSIアニオンからエチレンオキサイドへのLi+の移動性(解離性)が向上する。
(A)末端がメチル基、かつXの炭素数が1〜3の場合
例えば、化学式(2)に示すように、ステップ(1)、(2)は生じるものの、TFSIアニオンとエチレンオキシドの距離が近すぎて一度解離したリチウムイオン(Li+)がTFSIアニオンと再結合してしまう。その結果、Li+のイオン伝導度が低下する。
例えば、化学式(3)に示すように、Xの炭素数が1〜3のようにTFSIアニオンとエチレンオキサイドの距離が近すぎる場合でも、末端OH基のプロトンがTFSIアニオンと水素結合を形成するため、Li+イオンを押し出す形となり、Li+とTFSIアニオンとの再結合がブロックされる。末端メチル基の場合に比べて、本発明の非P−O系アルカリ金属塩としてのLiTFSIの解離度が向上する。その結果、末端メチル基の場合に比べてイオン伝導に寄与するLi+イオン量が増加する。
図1は、本発明の一実施形態に係る全固体アルカリ金属イオン二次電池の要部を拡大した断面模式図である。図1に示すように、全固体アルカリ金属イオン二次電池10は、第1電極層1と第2電極層2と固体電解質層3とを有する積層体4を備える。第1電極層1と第2電極層2は、一対の電極をなす。
積層体4は、第1電極層1と第2電極層2と固体電解質層3とを有する。第1電極層1と、第2電極層2は、いずれか一方が正極層として機能し、他方が負極層として機能する。電極層の正負は、外部端子にいずれの極性を繋ぐかによって変化する。以下、理解を容易にするために、第1電極層1を正極層1とし、第2電極層2を負極層2とする。
正極層1は、正極集電体層1Aと、正極活物質を含む正極活物質層1Bとを有する。負極層2は、負極集電体層2Aと、負極活物質を含む負極活物質層2Bとを有する。
正極集電体層1A及び負極集電体層2Aは、導電率が高いことが好ましい。そのため、正極集電体層1A及び負極集電体層2Aは、例えば、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケル等の低抵抗金属を含むことが好ましい。これらの低抵抗金属の中でも、アルミニウムや銅は正極活物質、負極活物質及び固体電解質と反応しにくい。そのため、アルミニウムや銅を含む正極集電体層1A及び負極集電体層2Aを用いると、全固体アルカリ金属イオン二次電池10の内部抵抗を長期間にわたって低減することができる。正極集電体層1Aと負極集電体層2Aの組成は、同一でもよいし、異なってもよい。
正極集電体層1A及び負極集電体層2Aは、それぞれ後述する正極活物質及び負極活物質を含んでもよい。それぞれの集電体層に含まれる活物質の含有比は、集電体として機能する限り特に限定はされない。例えば、低抵抗金属/正極活物質、または低抵抗金属/負極活物質が体積比率で90/10から70/30の範囲であることが好ましい。
正極集電体層1A及び負極集電体層2Aがそれぞれ正極活物質及び負極活物質を含むことにより、正極集電体層1Aと正極活物質層1B及び負極集電体層2Aと負極活物質層2Bとの密着性が向上する。
正極活物質層1Bは、正極集電体層1Aの片面または両面に形成される。正極活物質層1Bは、正極活物質、正極用バインダー、及び、必要に応じた量の正極用導電助剤から主に構成されるものである。
正極活物質層1Bに用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF6 −)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn2O4)、及び、一般式:LiNixCoyMnzMa2(x+y+z+a=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV2O5)、オリビン型LiMPO4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、LiNixCoyAlzO2(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物が挙げられる。
正極活物質層1Bにおける正極活物質の構成比率は、質量比で80%以上90%以下であることが好ましい。また正極活物質層1Bにおける正極用導電助剤の構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましく、正極活物質層1Bにおけるバインダーの構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましい。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFPTFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
また、バインダーとして電子導電性の導電性高分子やイオン導電性の導電性高分子を用いてもよい。電子導電性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電材の機能も発揮するので導電材を添加しなくてもよい。イオン導電性の導電性高分子としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等の高分子化合物にリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。
負極活物質層2Bは、負極活物質を有し、必要に応じて負極バインダーと負極用導電助剤とをさらに有する。
負極活物質はリチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知のリチウム二次電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、SiOx(0<x<2)、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等を含む粒子が挙げられる。
負極活物質とバインダーの含有量を上記範囲とすることにより、得られた負極活物質層2Bにおいて、バインダーの量が少なすぎて強固な負極活物質層を形成できなくなる傾向を抑制できる。また、電気容量に寄与しないバインダーの量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向も抑制できる。
固体電解質層3は、正極層1と負極層2との間に設けられる。固体電解質層3は、上述のイオン導電性固体電解質を含む。上述のイオン導電性固体電解質を含むことによって、固体電解質層3のアルカリ金属イオン導電性と熱安定性が高くなるので、本実施形態の全固体アルカリ金属イオン二次電池は熱安定性が高くなる。
全固体アルカリ金属イオン二次電池10の第1外部端子5及び第2外部端子6は、導電率が大きい材料を用いることが好ましい。例えば、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズ、ニッケルを用いることができる。第1外部端子5と第2外部端子6)とは同じ材料により構成されていてもよいし、異なる材料により構成されていてもよい。外部端子は、単層でも複数層でもよい。
また全固体アルカリ金属イオン二次電池10は、積層体4や端子を電気的、物理的、化学的に保護する保護層を積層体4の外周に有してもよい。保護層を構成する材料としては絶縁性、耐久性、耐湿性に優れ、環境的に安全であることが好ましい。たとえば、ガラスやセラミックス、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いるのが好ましい。保護層の材料は1種類だけでも良いし、複数を併用してもよい。また、保護層は単層でもよいが、複数層備えていた方が好ましい。その中でも熱硬化性樹脂とセラミックスの粉末を混合させた有機無機ハイブリットが特に好ましい。
まず積層体4を構成する正極集電体層1A、正極活物質層1B、固体電解質層3、負極活物質層2B、及び負極集電体層2Aの各材料をペースト化する。
得られた積層体に第1外部端子5と第2外部端子6をつける。第1外部端子5及び第2外部端子6は、正極集電体層1Aと負極集電体層2Aにそれぞれ電気的に接触するよう形成する。例えば、積層体の側面から露出した正極集電体層1Aと負極集電体層2Aに対しスパッタ法、ディッピング法、スプレーコート法等の公知の方法を用いることにより形成できる。所定の部分にのみ形成する場合は、例えばテープにてマスキング等を施して形成する。
(合成例1)
化合物No.1の合成方法を以下に示す。
化合物No.1と同様の方法で化合物No.2〜13を合成した。それぞれの構造は表1に示す。
LiOHの代わりにNaOHを用いたこと以外は、化合物No.1と同様の方法で化合物No.14を合成した。その構造は表1に示す。
化合物No.15の合成方法を以下に示す。
化合物No.1と同様の方法で化合物No.16〜20を合成した。それぞれの構造は表1に示す。
<イオン導電性固体電解質の作製>
本発明のP−O系アルカリ金属塩としては、合成例1で得られた化合物No.1を使用し、本発明の非P−O系アルカリ金属塩としては、以下の化学式(6)で示すリチウム塩(以下LiTFSIと称する)を使用した。
まず、グローブボックス内でイオン導電性固体電解質の溶液を作製した。具体的には、化合物No.1の化合物0.1gとLiTFSI0.037gとを含有するイオン導電性固体電解質を5mlのアセトニトリルに溶解させた。
σ=1/R × t/S
その結果を表1に示す。
イオン導電性固体電解質の熱安定性の評価は、Seiko Instrument社製 TG/DTA6200を用いた熱重量測定により行った。測定は、昇温速度を10℃/minとして室温から400℃まで昇温させ、5%重量減少する時の温度(℃)を求める方法と、温度を100℃に固定して、10%重量減少するまでの時間を求める方法で行った。その結果を表1に示す。
合成例2〜13で得られた化合物No.2〜13をそれぞれ用いる以外に、実施例1と同様に、実施例2〜13のイオン導電性固体電解質を作製した。
合成例14で得られた化合物No.14を用い、LiTFSIの代わりに、以下に示すNaTFSIを用いる以外に、実施例1と同様に、本実施例のイオン導電性固体電解質を作製した。
合成例4で得られた化合物No.4を用い、グライムとしてはLiTFSIに対する0.05モル当量の以下に示すトリエチルグリコールジメチルエーテル(以下グライム(G3)と称する)を添加する以外に、実施例1と同様に、本実施例のイオン導電性固体電解質を作製した。
LiTFSIに対する0.1モル当量のグライム(G3)を添加する以外に、実施例15と同様に、本実施例のイオン導電性固体電解質を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたイオン導電性固体電解質を評価した。イオン伝導度及び熱安定性評価の結果を表1に示す。
LiTFSIに対する0.15モル当量のグライム(G3)を添加する以外に、実施例15と同様に、本実施例のイオン導電性固体電解質を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたイオン導電性固体電解質を評価した。イオン伝導度及び熱安定性評価の結果を表1に示す。
LiTFSIに対する0.2モル当量のグライム(G3)を添加する以外に、実施例15と同様に、本比較例のイオン導電性固体電解質を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたイオン導電性固体電解質を評価した。イオン伝導度及び熱安定性評価の結果を表1に示す。
合成例15で得られた化合物No.15を用いる以外に、実施例1と同様に、本比較例のイオン導電性固体電解質を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたイオン導電性固体電解質を評価した。イオン伝導度及び熱安定性評価の結果を表1に示す。
合成例16〜20で得られた化合物No.16〜20をそれぞれ用いる以外に、実施例1と同様に、比較例3〜7のイオン導電性固体電解質を作製した。
実施例1と同様の方法で、得られたイオン導電性固体電解質を評価した。それぞれのイオン伝導度及び熱安定性評価の結果を表1に示す。
層、2B…負極活物質層、3…固体電解質層、4…積層体、5…第1外部端子、6…第2
外部端子、10…全固体アルカリ金属イオン二次電池
Claims (3)
- 前記イミド構造を含むアニオンは、窒素に2つのスルホニル基が結合したスルホニルイミドアニオンまたは窒素に1つのスルホニル基と1つのカルボニル基が結合したスルホニルカルボニルイミドアニオンであることを特徴とする請求項1に記載のイオン導電性固体電解質。
- 請求項1または請求項2に記載のイオン導電性固体電解質を用いた全固体アルカリ金属イオン二次電池。
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