以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における推定システムの構成例を示す図である。図1の推定システム1において、各路線の各駅に設置された自動改札機20は、ネットワークを介して推定装置10に接続されている。本実施の形態において処理対象とされる路線は、特定の路線に限定されてもよいし、複数の路線であってもよい。
自動改札機20は、乗客の切符又は定期券等の乗車券に記録されている情報を読み取るたびに、入場記録又は退場記録を推定装置10に転送する。入場記録は、乗客が駅に入場したことを示す記録である。退場記録は、乗客が駅から退場したことを示す記録である。
推定装置10は、各自動改札機20より転送される入場記録及び退場記録や、予め管理されている情報等に基づいて、各駅において帰宅又は帰社等が困難な人数の推定等を実行する一以上のコンピュータである。
本実施の形態において、帰宅又は帰社のいずれもが困難な人を、「避難困難者」という。帰宅できないまでも、日常的にその乗客が通っている会社や学校などのように、一時的な避難場所として利用できる施設が近くに存在するとしたら、乗客は、その施設を避難場所として利用する可能性が高い。従って、本実施の形態における避難困難者は、帰宅することもしくは一時的な避難場所へ行くことのいずれもができない人を示す概念である。
電車の乗客が、例えば定期券のように再利用可能な乗車券を利用している場合、同一の乗車券に対する自動改札機による入場記録や退場記録を、自動改札機と接続している推定装置10に蓄積することができる。ある乗客が、会社員だとすると、就業日の出社時には、自宅最寄駅での入場記録と、会社最寄駅での退場記録とが、それぞれ蓄積されることになる。また退社時には、会社最寄駅での入場記録が、自宅最寄駅での退場記録とが、それぞれ蓄積されることになる。従って、ある乗車券について、入場記録や退場記録が多く蓄積されている駅は、該乗車券を利用している乗客にとって、自宅もしくは通勤先や通学先のように、日常的に利用する何等かの施設が近くに存在することを意味すると考えられる。
ここで例えば、推定装置10は、図2に示されるような方法によって、避難困難者数を推定する。
図2は、避難困難者数の推定方法の一例の概要を説明するための図である。図2において、(1)は、或る駅の退場者の内訳を示す円グラフである。退場者とは、乗車券の利用者のうち、当該駅において退場した者をいう。本実施の形態では、(1)に示されるように、退場者は、住民、通勤者、及び来訪者に区分される。住民は、当該駅を自宅の最寄り駅とする利用者である。以下、自宅の最寄り駅を「自宅駅」という。通勤者は、当該駅を通勤先の最寄り駅とする利用者である。当該駅を通学先の最寄り駅とする利用者も、便宜上通勤者に含めることとする。以下、通勤先の最寄り駅を「通勤先駅」という。来訪者は、当該駅が、自宅駅及び通勤先駅のいずれにも該当しない利用者である。
住民は、帰宅することができるため、避難困難者となる可能性は低い。また、近年では、災害発生時において、職場での待機が許容又は推奨されている。したがって、勤務者も避難困難者となる可能性は低い。一方、来訪者は、帰宅又は帰社が困難である人が含まれている可能性がある。そこで、推定装置10は、退場者の中から来訪者を抽出し、来訪者に関して(2)に示されるような分類を行う。
(2)は、来訪者の分類結果の一例を示す円グラフである。(2)に示されるように、推定装置10は、来訪者を、避難可能者、避難困難者予備軍、避難困難者に分類する。避難可能者は、帰宅又は帰社等が可能な人をいう。すなわち、来訪者であっても、当該駅から自宅駅又は勤務先駅までの距離が、一般的に徒歩で移動可能な距離であれば、帰宅又は職場への避難が可能である。したがって、来訪者の中にも、避難可能者は存在しうる。避難困難者予備軍は、自宅駅又は勤務先駅までの距離が、帰宅可能と推定される距離(すなわち、一般的に徒歩で移動可能な距離)より長く、帰宅困難と推定される距離よりも短い駅にいる人をいう。避難困難者は、当該駅から自宅駅又は勤務先駅までの距離が、一般的に徒歩で移動可能な距離を超える人をいう。但し、移動能力が低い人は、一般的に徒歩で移動可能な距離であっても、移動は困難である可能性が高い。したがって、このような人も、避難困難者に分類される。そして、避難困難者に分類された人数、もしくはそれに避難困難者予備軍に分類された人数を加算した人数を、避難困難者数として推定することができる。
図3は、本発明の実施の形態における推定装置のハードウェア構成例を示す図である。図3の推定装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
推定装置10での処理を実現するプログラムは、記録媒体101によって提供される。プログラムを記録した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って推定装置10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
なお、記録媒体101の一例としては、CD−ROM、DVDディスク、又はUSBメモリ等の可搬型の記録媒体が挙げられる。また、補助記憶装置102の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)又はフラッシュメモリ等が挙げられる。記録媒体101及び補助記憶装置102のいずれについても、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に相当する。
図4は、本発明の実施の形態における推定装置の機能構成例を示す図である。図3において、推定装置10は、入退場記録受信部11、自宅駅推定部12、勤務先駅推定部13、移動能力推定部14、来訪者抽出部15、及び来訪者分類部16等を有する。これら各部は、推定装置10にインストールされたプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。推定装置10は、また、個人マスタ記憶部111、乗車履歴記憶部112、個人推定情報記憶部113、近隣駅情報記憶部114、駅間距離記憶部115、閾値記憶部116、及び推定結果記憶部117等を利用する。これら各記憶部は、補助記憶装置102、又は推定装置10にネットワークを介して接続される記憶装置等を用いて実現可能である。
入退場記録受信部11は、各駅の自動改札機20より転送される入場記録又は退場記録を受信する。入退場記録受信部11は、受信された入場記録又は退場記録を乗車履歴記憶部112に記憶する。なお、乗車履歴記憶部112では、同一の乗車券IDに係る入場記録と退場記録との組は一つのレコード内に記憶される。本実施の形態において、同一の乗車券IDに対する入場記録と退場記録との組を、「乗車履歴」という。したがって、乗車履歴記憶部112は、乗車履歴の一覧を記憶する。なお、乗車券IDとは、乗車券の識別子の一例である。また、乗車券には、ICカード、又は磁気カード型の定期券又は乗車券の他、携帯端末を利用した電子的な乗車券も含まれる。基本的に、本実施の形態では、乗車券IDと利用者とは一対一に対応する。
自宅駅推定部12は、乗車履歴記憶部112が記憶する乗車履歴等に基づいて、乗車券IDごとに、当該乗車券の利用者の自宅駅を推定する。
勤務先駅推定部13は、乗車履歴記憶部112が記憶する乗車履歴等、及び近隣駅情報記憶部114が記憶する情報等に基づいて、乗車券IDごとに、当該乗車券の利用者の勤務先駅を推定する。近隣駅情報記憶部114は、相互に近隣に位置する駅の組み合わせを記憶する。
移動能力推定部14は、個人マスタ記憶部111が記憶する情報、又は乗車履歴記憶部112が記憶する乗車履歴等に基づいて、乗車券IDごとに、当該乗車券の利用者の移動能力を推定する。
個人マスタ記憶部111は、各乗車券IDに対応付けて、乗車券の利用者の属性情報を記憶する。例えば、乗車券の購入時等において、利用者から申請された情報が、個人マスタ記憶部111に記憶される。
個人推定情報記憶部113は、自宅駅推定部12、勤務先駅推定部13、及び移動能力推定部14による推定結果を、各乗車券IDに対応付けて記憶する。
来訪者抽出部15は、乗車履歴記憶部112が記憶する乗車履歴、個人推定情報記憶部113が記憶する情報、駅間距離記憶部115が記憶する情報、閾値記憶部116が記憶する閾値等に基づいて、いずれかの駅における退場者の中から来訪者を抽出する。来訪者分類部16は、抽出された来訪者を、避難困難者、避難困難者予備軍、及び避難可能者等に分類し、それぞれの人数を、駅ごとに集計する。分類結果及び集計結果は、推定結果記憶部117に記憶される。
駅間距離記憶部115は、二つの駅の組み合わせごとに、当該組み合わせに係る駅間の距離を記憶する。閾値記憶部116は、来訪者を、避難困難者、避難困難者予備軍、及び避難可能者のいずれかに分類するための分類基準を規定する閾値を記憶する。
以下、推定装置10が実行する処理手順について説明する。まず、乗車履歴記憶部112及び個人マスタ記憶部111等に基づいて、個人推定情報記憶部113に記憶される、自宅駅名、勤務先駅名、及び移動能力等を乗車券IDごとに推定する処理について説明する。
図5は、自宅駅の推定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。図5の処理は、乗車券IDごとに行われる。各乗車券IDは、例えば、後述される個人マスタ記憶部111に基づいて特定されてもよい。図5において処理対象とされている乗車券IDを、「対象乗車券ID」という。
ステップS101において、自宅駅推定部12は、乗車履歴記憶部112が記憶する全ての乗車履歴の中から、対象乗車券IDに係る乗車履歴をメモリ装置103に読み込む。
図6は、乗車履歴記憶部の構成例を示す図である。図6に示されるように、乗車履歴記憶部112は、乗車履歴ごとに、乗車券ID、日付、入場駅名、入場時刻、退場駅名、及び退場時刻等を記憶する。
乗車券IDは、入場時又は退場時に、自動改札機20によって乗車券より読み取られた乗車券IDである。日付は、自動改札機20によって乗車券が読み取られた日付である。入場駅名は、当該乗車券に関して入場を記録した自動改札機20が設置されている駅の駅名である。入場時刻は、当該乗車券に関して自動改札機20によって駅への入場が記録された時刻である。退場駅名は、当該乗車券に関して退場を記録した自動改札機20が設置されている駅の駅名である。退場時刻は、当該乗車券に関して自動改札機20によって駅からの退場が記録された時刻である。
乗車履歴記憶部112が記憶する乗車履歴は、入退場記録受信部11が各駅の各自動改札機20より受信する入場記録及び退場記録に基づく。すなわち、入退場記録受信部11は、入場記録を受信した場合、乗車履歴記憶部112に新たなレコードを追加し、当該入場記録に含まれている乗車券ID、入場駅名、及び入場時刻を、当該レコードに記憶する。入退場記録受信部11は、退場記録を受信した場合、当該退場記録に含まれている乗車券IDを含むレコードであって、退場駅名及び退場時刻が記憶されていないレコードを検索する。入退場記録受信部11は、該当するレコードに、受信された退場記録に含まれている退場駅名及び退場時刻を記憶する。
なお、図6では、各駅の駅名は、便宜上、「AAA」等、符号化されている。また、図6では、一つの乗車券IDに関してのみ乗車履歴が記憶されている例が示されているが、これは、図6は、ステップS101において読み込まれた結果を示すためである。実際は、乗車履歴記憶部112には、各乗車券IDに関する乗車履歴が混在して記憶されていてもよい。または、乗車券IDごとに、乗車履歴記憶部112が生成されてもよい。また、図6においては、便宜上、午前0時を過ぎても終電までの電車に関する乗車履歴については、前日の日付が付与されている。例えば、5月18日の退場時刻が午前0:38又は午前1:00の乗車履歴である。但し、これらの乗車履歴の日付は、厳密には、5月19日である。
続いて、自宅駅推定部12は、読み込まれた乗車履歴の日付の数分、ステップS102及びS103を繰り返す。図6には、5月16日、17日、18日の3日分の乗車履歴が示されている。したがって、ステップS102及びS103は、3回繰り返される。以下、処理対象とされている日付を、「当日」という。
ステップS102において、自宅駅推定部12は、当日の入場記録の中で、最初の入場記録の入場駅名に対する利用回数に1を加算する。最初の入場記録とは、入場時刻が最も早い入場記録をいう。5月16日に関しては、1行目の入場記録の入場駅名である「AAA」に対する利用回数に1が加算される。なお、各駅の利用回数の初期値は0である。
続いて、自宅駅推定部12は、当日の退場記録の中で、最後の退場記録の退場駅名に対する利用回数に1を加算する。最後の退場記録とは、退場時刻が最も遅い退場記録をいう。5月16日に関しては、4行目の退場記録の退場駅名である「AAA」に対する利用回数に1が加算される(S103)。
ステップS102が、残る日付である17日及び18日に関して実行されることにより、各日において、最初又は最後に利用された駅の、最初又は最後の利用回数の計数結果は、例えば、図7に示される通りとなる。
図7は、最初又は最後に利用された駅の最初又は最後の利用回数の計数結果の一例を示す図である。図7には、駅名が「AAA」に関して利用回数として6が記録された例が示されている。図6の例では、3日間のいずれの日においても、最初の入場駅名及び最後の退場駅名共に、「AAA」であるからである。
続いて、自宅駅推定部12は、利用回数が最大である駅名を、対象乗車券IDに対する自宅駅名であると推定し、当該駅名を、対象乗車券IDに対応付けて、個人推定情報記憶部113に記憶する(S104)。
図8は、個人推定情報記憶部の構成例を示す図である。図8において、個人推定情報記憶部113は、乗車券IDごとに、自宅駅名、勤務先駅名、及び移動能力等を記憶する。自宅駅名は、乗車券IDに係る乗車券の利用者の自宅駅の駅名の推定値である。勤務先駅名は、乗車券IDに係る乗車券の利用者の勤務先駅の駅名の推定値である。移動能力は、乗車券IDに係る乗車券の利用者の移動能力である。
移動能力とは、移動速度を示す情報であり、本実施の形態では、移動速度に応じて、「高」、「中」、「低」の3つの区分又は段階に分類された値によって表現される。移動能力の各区分の移動速度の相対的な関係は、「低」<「中」<「高」である。
ステップS104では、対象乗車券IDに対するレコードの自宅駅名に対して、利用回数が最大の駅名が記憶される。
なお、図5では、乗車券IDごとに、1日の最初の利用時に入場駅となる頻度の高い駅、及び1日の最後の利用時に退場駅となる頻度の高い駅が、当該乗車券IDの利用者の自宅駅であると推定される例を示した。但し、自宅駅の推定方法は、図5に示される方法に限定されない。例えば、乗車券IDごとに、所定日数内において、自動改札機20によって読み取られる頻度が所定値以上高い駅が、当該乗車券IDの利用者の自宅駅と推定されてもよい。この場合、図6に示される乗車履歴の入場駅名又は退場駅名ごとに、利用回数が計数されればよい。但し、単純な利用回数だと乗換駅が選択されてしまう可能性が有る。例えば、図6に関しては、BBB駅の利用回数が8回で最多になる。但し、BBB駅は、乗換駅であり、自宅駅ではない。そこで、或る駅を退場してから所定時間以内に当該駅から他の駅に入場している場合には、当該或る駅に関して、利用回数をカウントしないようにしてもよい。
また、各乗車券IDに関して、入場駅又は退場駅の組合せごとに、所定日数内で出現する頻度が最も高い組合せを特定し、当該組み合わせに含まれる一方のいずれかの駅が自宅駅と推定されてもよい。この場合、当該組み合わせのうち、例えば、所定日数内において出現頻度が高い方、又は1日の最初の利用時の入場駅となる頻度が高い方が自宅的と指定されてもよい。
このように、自宅駅名は、乗車履歴記憶部112が記憶する乗車履歴に含まれている駅名の中で、所定の条件を満たす駅名の出現回数に基づいて特定される。所定の条件とは、例えば、1日の最初の入場駅名又は1日の最後の退場駅名であること等である。
続いて、勤務先駅の推定処理について説明する。図9は、勤務先駅の推定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。図9の処理は、乗車券IDごとに行われる。各乗車券IDは、例えば、後述される個人マスタ記憶部111に基づいて特定されてもよい。図5において処理対象とされている乗車券IDを、「対象乗車券ID」という。
ステップS111において、勤務先駅推定部13は、乗車履歴記憶部112が記憶する全ての乗車履歴の中から、対象乗車券ID係る乗車履歴をメモリ装置103に読み込む。ここでは、図6に示される通りの乗車履歴が読み込まれたこととする。
続いて、勤務先駅推定部13は、同日内の退場記録→入場記録の組み合わせの数分、ステップS112〜S114を繰り返す。同日内の退場記録→入場記録の組み合わせとは、或る乗車履歴の退場記録と、当該乗車履歴と同日の乗車履歴であって、当該乗車履歴の次の乗車履歴の入場履歴との組み合わせをいう。したがって、図6に示される乗車履歴の一覧に関しては、当該組み合わせは、図10に示される通りとなる。
図10は、同日内の退場記録→入場記録の組み合わせの例を示す図である。図10において、例えば、1行目のレコードは、図6における1行目の退場記録と2行目の入場記録との組み合わせである。したがって、ステップS112〜S114のループは、図10の行数分繰り返される。当該ループ処理において、処理対象とされている組み合わせを、「対象組み合わせ」という。なお、図10では、滞在時間の列が設けられている。滞在時間は、入場時刻−退場時刻の演算によって算出される値である。
ステップS112において、勤務先駅推定部13は、対象組み合わせに含まれている退場駅名と入場駅名とは一致するか、又は当該退場駅と当該入場駅とは相互に近隣に所在するか否かを判定する。退場駅と入場駅とが相互に近隣に所在するかについては、近隣駅情報記憶部114を参照して判定される。
図11は、近隣駅情報記憶部の構成例を示す図である。図11において、近隣駅情報記憶部114は、相互に近隣に所在する駅の組み合わせごとに、代表駅名及び近隣駅名を記憶する。
近隣駅名は、代表駅名に係る駅の近隣に所在する駅の駅名である。したがって、退場駅名又は入場駅名の一方が代表駅名に一致し、他方が近隣駅名に一致するレコードが近隣駅情報記憶部114に記憶されている場合、ステップS112では、退場駅と入場駅とは近隣に所在すると判定される。
なお、近隣とは、徒歩圏内をいう。徒歩圏内の定義については、実際の運用時に定められればよい。例えば、徒歩10分以内が、徒歩圏内と定められてもよい。
対象組み合わせに含まれている退場駅名と入場駅名とは一致する場合、又は当該退場駅と当該入場駅とは相互に近隣に所在する場合(S112でYes)、勤務先駅推定部13は、滞在時間が所定時間以上か否かを判定する(S113)。滞在時間とは、退場駅名に係る駅周辺での滞在時間である。当該滞在時間は、図10において説明したように、対象組み合わせの入場時刻−退場時刻によって算出可能である。所定時間は、勤務先での滞在時間の閾値として設定された値である。例えば、午前勤務の場合も考慮して、3時間が所定時間とされてもよいし、3時間未満の値又は3時間を超える値が所定時間とされてもよい。
滞在時間が所定時間以上である場合(S113でYes)、勤務先駅推定部13は、退場駅名に対する滞在回数に1を加算する(S114)。滞在時間が所定時間未満である場合(S113でNo)、ステップS114は実行されない。なお、各駅の滞在回数の初期値は0である。
ステップS112〜S114が、図10に示される各組み合わせについて実行されることにより、滞在時間が所定時間以上である退場駅名に対する滞在回数の計数結果は、例えば、図12に示される通りとなる。
図12は、所定時間以上の滞在回数の計数結果の一例を示す図である。図12では、駅名「CCC」に対して滞在回数は3、「FFF」に対して1、「GGG」に対して1である例が示されている。「CCC」に対する滞在回数は、図10の2、5、及び9行目のレコードに基づく。「FFF」に対する滞在回数は、図10の7行目のレコードに基づく。「GGG」に対する滞在回数は、図10の8行目のレコードに基づく。
続いて、勤務先駅推定部13は、滞在回数が最大である駅名を、対象乗車券IDに対する勤務先駅の駅名であると推定し、当該駅名を、対象乗車券IDに対応付けて、個人推定情報記憶部113(図8)の「勤務先駅名」に記憶する(S115)。図12の例では、「CCC」が勤務先駅名とされる。
続いて、乗車券の利用者の移動能力の推定処理について説明する。図13は、移動能力の第一の推定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
ステップS121において、移動能力推定部14は、個人マスタ記憶部111に記憶されている全てのレコードをメモリ装置103に読み込む。
図14は、個人マスタ記憶部の構成例を示す図である。図14において、個人マスタ記憶部111は、各乗車券IDに対応付けて、年齢、性別、及び障がい者フラグ等の、乗車券の利用者の属性情報を記憶する。障がい者フラグは、障がい者であるか否かを示す情報である。障がい者フラグは、自動改札機20が障がい者フラグに対応する情報を乗車券より読み取ることにより、乗車券IDに対応付けらて、個人マスタ記憶部111に記憶されてもよい。本実施の形態では、「1」は障がい者であることを示し、「0」は障がい者でないことを示す。
続いて、移動能力推定部14は、読み込まれたレコードごとに、ステップS123〜S130を実行する。以下、処理対象とされたレコードを、「対象レコード」という。また、対象レコードに係る乗車券IDを、「対象乗車券ID」という。
ステップS123において、移動能力推定部14は、対象レコードの障がい者フラグの値が1であるか否かを判定する。障がい者フラグの値が1である場合(S123でYes)、移動能力推定部14は、対象乗車券IDに対する移動能力を「低」と判定する(S124)。
障がい者フラグの値が0である場合(S123でNo)、移動能力推定部14は、対象レコードの年齢の値が、70以上又は10以下であるか否かを判定する(S125)。対象レコードの年齢の値が、70以上又は10以下である場合(S125でYes)、移動能力推定部14は、対象乗車券IDに対する移動能力を「低」と判定する(S126)。
対象レコードの年齢の値が70以上でなく、かつ、10以下でもない場合(S125でNo)、移動能力推定部14は、対象レコードの性別の値が男で、かつ、年齢の値が18以上40以下であるか否かを判定する(S127)。対象レコードが当該条件を満たす場合(S127でYes)、移動能力推定部14は、対象乗車券IDに対する移動能力を「高」と判定する(S128)。
対象レコードが当該条件を満たさない場合(S127でNo)、移動能力推定部14は、対象乗車券IDに対する移動能力を「中」と判定する(S129)。ステップS124、S126、S128、又はS129に続いて、移動能力推定部14は、判定結果の移動能力を、対象乗車券IDに対応付けて、個人推定情報記憶部113の「移動能力」に記憶する(S130)。
全てのレコードに関して、ステップS123〜S130が実行されると、図13の処理は終了する。
なお、各乗車券IDに対する移動能力は、次のような手順によって推定されてもよい。図15は、移動能力の第二の推定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。図15では、一つの乗車券IDに関する移動能力の推定手順が示されている。したがって、各乗車券IDに関して、図15の処理が実行されればよい。なお、図15において処理対象とされている乗車券IDを、「対象乗車券ID」という。
ステップS141において、移動能力推定部14は、対象乗車券IDに係る全ての乗車履歴を、乗車履歴記憶部112より取得する。続いて、移動能力推定部14は、取得された乗車履歴に基づいて、自宅駅名と勤務先駅名との区間の所要時間の平均値を算出する(S142)。自宅駅名及び勤務先駅名は、対象乗車券IDに対応付けて個人推定情報記憶部113に記憶されている値が用いられる。同一日付の乗車履歴に基づいて、勤務先駅名に対応する駅名の退場時刻から自宅駅名に対応する駅名の入場時刻を減算することにより、当該日付の当該所要時間が算出される。複数日間に関して算出された所要時間の平均を算出することにより、当該平均値が得られる。
続いて、移動能力推定部14は、算出された平均値を、当該区間の標準的な所要時間と比較し、その大小関係に基づいて、当該乗車券IDに対する移動能力を判定する(S143)。具体的には、当該平均値が、標準的な所要時間よりも短い場合、当該乗車券IDに対する移動能力は「高」であると判定される。当該平均値が、標準的な所要時間と同じ場合、当該乗車券IDに対応する移動能力は「中」であると判定される。当該平均値が、標準的な所要時間より長い場合、当該乗車券IDに対応する移動能力は「低」であると判定される。
なお、標準的な所要時間は、一意な値ではなく、範囲を有していてもよい。また、標準的な所要時間は、区間ごとに予め設定されていてもよいし、駅間の経路を探索するソフトウェアを用いて、取得されてもよい。通常、このようなソフトウェアでは、経路のみならず、所要時間も出力される。したがって、当該所要時間が、標準的な所要時間として扱われてもよい。この際、当該ソフトウェアに対する入力情報としての出発地、目的地には、それぞれ自宅駅名、勤務先駅名が指定されればよい。また、経由駅には、乗車履歴において、自宅駅名と勤務先駅名との間に含まれている駅名が指定されればよい。
移動能力の第二の推定方法は、同じ区間であっても、乗り換え時等の移動能力によって、所要時間が異なりうるという考え方に基づく。このような推定方法によれば、年齢や性別以外の個人差に基づいて、移動能力の推定を行うことができる。
なお、個人推定上方記憶部113に記憶される情報は、自動的に推定されるのではなく、ユーザによって設定情報として入力されてもよい。
以上によって、避難困難者数の推定のための準備処理は完了する。すなわち、以上の処理が完了することにより、推定装置10による避難困難者数の推定が可能となる。
図16は、避難困難者数の推定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。なお、図16の処理は、例えば、一定周期ごと、すなわち、一定時間ごとに行われてもよい。本実施の形態では、10分間隔で行われる例を示す。
ステップS201において、来訪者抽出部15は、来訪者抽出処理を実行する。来訪者抽出処理においては、退場者の中から来訪者が抽出される。続いて、来訪者分類部16は、来訪者分類処理を実行する(S202)。来訪者分類処理においては、図2(2)に示したように、来訪者の内訳が分類される。
続いて、ステップS201の詳細について説明する。図17は、来訪者抽出処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
ステップS211において、来訪者抽出部15は、個人マスタ記憶部111又は個人推定情報記憶部113等に記憶されている乗車券IDごとに、最新の乗車履歴を乗車履歴記憶部112より取得する。具体的には、各乗車券IDに関して、入場時刻若しくは退場時刻が最新である、すなわち、最後に乗車履歴記憶部112に記憶された乗車履歴が取得される。
続いて、来訪者抽出部15は、ステップS212〜S216に関して、取得された乗車履歴ごとのループ処理を実行する。当該ループ処理において、処理対象とされている乗車履歴を「対象履歴」といい、対象履歴に係る乗車券IDを、「対象乗車券ID」という。
ステップS212において、来訪者抽出部15は、対象乗車券IDに対応付けられている自宅駅名及び勤務先駅名を、個人推定情報記憶部113より取得する。続いて、来訪者抽出部15は、対象履歴に退場記録が含まれているか否かを判定する(S213)。対象履歴に退場記録が含まれていない場合(S213でNo)、対象乗車券IDに係る利用者は、退場者ではない可能性が高いため、対象履歴に関して、当該ループ処理は終了する。すなわち、対象履歴に退場記録が無い場合、対象履歴に係る乗客は乗車して移動中であるため、当該乗客の位置を特定するのは困難だからである。
一方、対象履歴に退場記録が含まれている場合(S213でYes)、来訪者抽出部15は、当該退場記録に含まれている退場駅名が、ステップS212において取得された自宅駅名に一致するか否かを判定する(S214)。当該退場駅名が当該自宅駅名に一致する場合(S214でYes)、対象乗車券IDに係る利用者は住民である可能性が高いため、対象履歴に関して、当該ループ処理は終了する。
一方、当該退場駅名が当該自宅駅名に一致しない場合(S214でNo)、来訪者抽出部15は、当該退場駅名が、ステップS212において取得された勤務先駅名に一致するか否かを判定する(S215)。当該退場駅名が当該勤務先駅名に一致する場合(S214でYes)、対象乗車券IDに係る利用者は勤務者である可能性が高いため、対象履歴に関して、当該ループ処理は終了する。
一方、当該退場駅名が当該勤務先駅名に一致しない場合(S215でNo)、来訪者抽出部15は、対象乗車券ID及び当該退場駅名を含む来訪者データを、来訪者リストに追加する(S216)。来訪者リストは、来訪者であると判定又は推定された利用者の乗車券IDと、当該利用者の最後の退場駅の駅名とを含む来訪者データの一覧であり、例えば、メモリ装置103に記憶される。
ステップS211において取得された全ての乗車履歴に関してループ処理が完了すると、図17の処理は終了する。図17の処理が終了した時点において、来訪者リストには、いずれかの駅における来訪者の来訪者データの一覧が含まれている。
続いて、図16のステップS202の詳細について説明する。図18は、来訪者分類処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
来訪者分類部16は、ステップS221〜S229に関して、来訪者リストに含まれる来訪者データごとのループ処理を実行する。当該ループ処理において、処理対象とされている来訪者データを、「対象データ」という。
ステップS221において、来訪者分類部16は、対象データに含まれている乗車券IDに対応付けられている、自宅駅名、通勤先駅名、及び移動能力を、個人推定情報記憶部113より取得する。以下、単に、自宅駅名、通勤先駅名、又は移動能力というとき、ステップS221において取得されたこれらの値をいう。
続いて、来訪者分類部16は、移動能力は、「低」であるか否かを判定する(S222)。移動能力が「低」である場合(S222でYes)、来訪者分類部16は、対象データに係る来訪者を、対象データに含まれている退場駅名に係る駅において優先的な対処が必要な避難困難者であると判定し、当該判定結果を推定結果記憶部117に記憶する(S223)。当該判定結果は、推定結果記憶部117において、駅名ごとに記憶される推定結果テーブル117Tに記憶される。
図19は、一つの駅に対応する推定結果テーブルの構成例を示す図である。図19において、推定結果テーブル117Tは、時刻ごとに当該時刻に対応するレコードを有する。各レコードは、時刻、滞留人数、避難困難者数(優)、避難困難者数、避難困難者予備軍数、及び避難可能者数等の項目を有する。
時刻は、レコードが生成された時刻である。すなわち、時刻は、図16の処理が実行された時刻である。滞留人数は、当該駅に滞留することが推定される人数であり、以降の項目の合計値である。避難困難者数(優)は、優先的な対処が必要な避難困難者の人数である。「優先的な対処」とは、例えば、避難場所への優先的な保護等である。避難困難者数は、優先的な対処が必要な避難困難者を除く避難困難者の人数である。避難可能者数は、避難可能者の人数である。
したがって、ステップS223において、来訪者分類部16は、対象データに含まれている退場駅名に対応する推定結果テーブル117において、現在時刻に対応するレコードの避難困難者数(優)の項目と、滞留人数の項目のそれぞれの値に対して1を加算する。
一方、移動能力が「低」でない場合(S222でNo)、来訪者分類部16は、対象データに含まれている退場駅名と、自宅駅名又は勤務先駅名との間の距離を、駅間距離記憶部115より取得する(S224)。
図20は、駅間距離記憶部の構成例を示す図である。図20に示されるように、駅間距離記憶部115は、二つの駅名の組み合わせごとに、当該二つの駅名に係る駅間の距離を記憶する。なお、図20では、駅間距離記憶部115が記憶する情報の一部の例が示されている。
以下において、単に、「駅間距離」というとき、ステップS224において取得される、退場駅名及び自宅駅名に対する距離と、退場駅名及び勤務先駅名に対する距離とのうち、短い方をいう。なお、退場駅名及び勤務先駅名に対する距離が利用されるのは、職場への避難の可能性を考慮するためである。但し、職場から外出している人が、職場へ戻ることは無いという考えに基づいて、本実施の形態の推定システム1を運用する場合、以下における「駅間距離」は、退場駅名及び自宅駅名に対する距離であってもよい。
続いて、来訪者分類部16は、駅間距離が閾値β以上であるか否かを判定する(S225)。閾値βの値は、閾値記憶部116より取得される。
図21は、閾値記憶部の構成例を示す図である。図21において、閾値記憶部116は、閾値α及び閾値βのそれぞれの値を記憶する。閾値αは、駅間距離に基づいて避難可能者と避難困難者予備軍とを区別するための閾値である。閾値βは、駅間距離に基づいて避難困難者と避難困難者予備軍とを区別するための閾値である。なお、図21の例では、閾値α=10Km、閾値β=20Kmとされている。
駅間距離が閾値β以上である場合(S225でYes)、来訪者分類部16は、対象データに係る来訪者を、対象データに含まれている退場駅名に係る駅における避難困難者であると判定し、当該判定結果を推定結果記憶部117に記憶する(S226)。すなわち、来訪者分類部16は、当該退場駅名に対応する推定結果テーブル117T(図19)において、現在時刻に対応するレコードの避難困難者数の項目と、滞留人数の項目のそれぞれの値に対して1を加算する。
一方、駅間距離が閾値β未満である場合(S225でNo)、来訪者分類部16は、駅間距離が閾値α以上であるか否かを判定する(S227)。駅間距離が閾値α以上である場合(S227でYes)、来訪者分類部16は、対象データに係る来訪者を、対象データに含まれている退場駅名に係る駅における避難困難者予備軍であると判定し、当該判定結果を推定結果記憶部117に記憶する(S228)。すなわち、来訪者分類部16は、当該退場駅名に対応する推定結果テーブル117T(図19)において、現在時刻に対応するレコードの避難困難者予備軍数の項目と、滞留人数の項目のそれぞれの値に対して1を加算する。
一方、駅間距離が閾値α未満である場合(S227でNo)、来訪者分類部16は、対象データに係る来訪者を、対象データに含まれている退場駅名に係る駅における避難可能者であると判定し、当該判定結果を推定結果記憶部117に記憶する(S229)。すなわち、来訪者分類部16は、当該退場駅名に対応する推定結果テーブル117T(図19)において、現在時刻に対応するレコードの避難可能者数の項目と、滞留人数の項目のそれぞれの値に対して1を加算する。
ステップS221〜S229が、来訪者リストに含まれる全ての来訪者データに関して実行されると、図18の処理は終了する。なお、避難困難者(優)、避難困難者、避難困難者予備軍、及び避難可能者等の分類基準は、必ずしも図18と同一でなくてもよい。
例えば、移動能力が「低」の場合については、直ちに、避難困難者(優)と判定するのではなく、閾値α及びβの値を変化させて、判定が行われてもよい。具体的には、ステップS222の前において、移動能力が「低」であるか否かを判定し、移動能力が「低」の場合は、閾値α及びβの値を小さくする。その上で、ステップS225以降が実行されてもよい。この場合、ステップS226では、避難困難者(優)であると判定されてもよい。このような処理は、移動能力が「中」である場合について行われてもよい。移動能力が「中」の場合は、移動能力が「低」の場合に比べて、閾値の減少幅を小さくしてもよい。
なお、図18において説明したような、移動能力が「低」の場合について、直ちに、避難困難者(優)と判定する形態についても、移動能力に応じて分類基準を変化させる形態の一例である。この場合、閾値α及びβともに0にされたと考えることができるからである。
図18の終了時点において、各駅に対応する推定結果テーブル117Tは、現在時刻に対応するレコードに対して、各項目の値が記憶された状態となる。
図16の処理が継続的に実行されることにより、例えば、災害が発生した場合、各駅の状況は、各駅に対応する推定結果テーブル117Tにおいて最新のレコードを参照することにより推定することができる。行政庁等は、当該推定結果に基づいて、配布すべき支給品の数や、開設すべき避難所の規模等を決定することができる。
上述したように、本実施の形態によれば、自動改札機20によって読み取られた入場記録及び退場記録に基づいて、各駅の退場者が推定され、当該退場者から来訪者が抽出される。更に、各来訪者の自宅駅又は勤務先駅と、退場駅との距離に基づいて、各来訪者が避難困難者等であるか否かが推定される。したがって、災害発生時において、各駅の避難困難者数等を推定することができる。
また、本実施の形態では、乗車履歴に基づいて、各利用者の自宅駅及び勤務先駅が推定される。したがって、乗車券の購入時等において、利用者からの申請を要することなく、自宅駅及び勤務先駅等を推定し、避難困難者であるか否かの推定に用いることができる。
また、各来訪者の移動能力に応じて、避難困難者であるか否かの基準が変化する。したがって、全ての来訪者に関して画一的ではなく、各個人の状態を考慮して、避難困難者等であるか否かを推定することができる。その結果、避難所等において、老人や子供等、避難所等への到着は遅れるが、優先させて避難させるべき人の分に関して、予めスペースが確保されることも期待できる。
なお、本実施の形態では、災害発生前に事前に移動能力が推定されている。災害発生時には、歩行困難ではない人が様子見のために駅周辺に滞留したり、歩行困難者が無理をして急いで移動したり等、普段とは異なる移動の仕方をすることが想定される。したがって、仮に、災害発生時に、実測値に基づくなんらかの方法で移動能力を推定した場合、正しい移動能力を推定できない可能性がある。本実施の形態では、このような可能性を低下させることができる。
なお、学生に関して、校内での待機又は避難等が許可されるのであれば、学生に関しても、上記における通勤者と同様に扱われてもよい。この場合、通勤先駅名には、厳密には通学先駅名となる。但し、推定装置10は、通勤であるか通学であるかを区別せず、滞在時間等に基づいて通勤先駅名を推定する。したがって、上記において説明した処理手順のままで、通勤者には通学者も含まれると考える。
同様に、通勤者及び通学者以外であって、所定の通い先に通っている人に関しても、当該通い先での待機又は避難等が許可されるのであれば、通勤者に含まれてもよい。通い先は、友人宅や実家等のように、何らかの組織又は機関等に属する場所でなくてもよい。
また、厳密な意味における帰宅困難者及び帰宅困難者数を推定したい場合、通勤者は来訪者に含められて処理が実行されればよい。
また、本発明の実施の形態は、バスの停留所等における滞留者の状況の推定に用いられてもよい。この場合、各バス又は停留所に設置されている精算処理装置等によって乗車券から情報が読み取られ、入場記録又は退場記録として、推定装置10に転送されればよい。
なお、本実施の形態において、自宅又は勤務先は、乗車券の利用者ごとに所定の関係を有する場所の一例である。当該所定の関係を有する場所は、より詳しくは、避難可能な場所であるともいえる。また、来訪者抽出部15は、抽出部の一例である。来訪者分類部16は、分類部の一例である。乗車履歴記憶部112は、第一の記憶部の一例である。また、個人推定情報記憶部113は、第二の記憶部及び第四の記憶部の一例であるの一例である。駅間距離記憶部115は、第三の記憶部の一例である。自動改札機20は、改札処理装置又は精算処理装置の一例である。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。