以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
以下に、本発明にかかる電子部品実装装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。本発明の電子部品実装装置は、リード線を有し、当該リード線が、基板の基板孔(挿入孔、孔)に挿入されることで、基板に実装される電子部品、いわゆる挿入型電子部品及び挿入型電子部品を実装する電子部品実装装置である。電子部品実装装置は、挿入型電子部品(リード型電子部品)を実装する機能を備えている。ここで、挿入型電子部品は、リードが基板に形成された孔に挿入されることで実装されるものである。また、挿入孔(基板孔)に挿入されずに基板上に搭載される電子部品、例えばSOP、QFP等は、搭載型電子部品とする。なお、電子部品実装装置は、基板上に搭載される搭載型電子部品を実装する機能を備えていても良い。以下の実施形態の電子部品実装装置10は、搭載型電子部品と挿入型電子部品の両方を実装する機能を備える。
次に、図1から図53を用いて、本実施形態の搭載型電子部品と挿入型電子部品の両方を実装することができる電子部品実装装置10について説明する。電子部品実装装置10は、基板上に搭載することで実装される搭載型電子部品とリードを基板の挿入孔に差し込んで実装するリード型電子部品(挿入型電子部品)との両方を実装することができる装置である。電子部品実装装置10は、1台で搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を実装することも、いずれか一方のみを実装することもできる。つまり電子部品実装装置10は、搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を実装することが可能で、製造する基板や他の電子部品実装装置のレイアウトに応じて、種々の用途で使用することができる。
図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。図1に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載する装置である。電子部品実装装置10は、筐体11と、基板搬送部12と、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15と、XY移動機構16と、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19と、制御装置20と、操作部40と、表示部42と、を有する。なお、XY移動機構16は、X軸駆動部22と、Y軸駆動部24と、を備える。ここで、本実施形態の電子部品実装装置10は、図1に示すように、基板搬送部12を中心にしてフロント側とリア側に部品供給ユニット14f、14rを備える。電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14fが電子部品実装装置10のフロント側に配置され、部品供給ユニット14rが電子部品実装装置10のリア側に配置される。また、以下では、2つの部品供給ユニット14f、14rを特に区別しない場合、部品供給ユニット14とする。
基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材であるはんだが付着している。また、基板8には、電子部品が挿入されるスルーホール(挿入孔、基板孔)も形成されている。
基板搬送部12は、基板8を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12は、X軸方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の搭載対象面がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX軸方向に搬送する。基板搬送部12は、電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定位置まで搬送する。ヘッド15は、所定位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12は、所定位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールとレールに沿って回転するエンドレスベルトとを組合せ、エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構を用いることができる。
電子部品実装装置10は、フロント側に部品供給ユニット14fが配置され、リア側に部品供給ユニット14rが配置されている。フロント側の部品供給ユニット14fと、リア側の部品供給ユニット14rは、それぞれ基板8上に搭載する電子部品を多数保持し、ヘッド15に供給可能、つまり、ヘッド15で保持(吸着又は把持)可能な状態で保持位置に供給する電子部品供給装置を備える。本実施形態の部品供給ユニット14f、14rは共に、本体と、本体に連結されたリードとを有するリード型電子部品を供給する。
図2は、部品供給ユニットの一例の概略構成を示す模式図である。部品供給ユニット14は、図2に示すように、複数の電子部品供給装置(以下、単に「部品供給装置」ともいう。)90、90aを有する。
具体的には、部品供給ユニット14は、複数のラジアルリード型電子部品(ラジアルリード部品)をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持したリード型電子部品のリードを保持位置(第2保持位置)で切断し、当該保持位置にあるリード型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズル又は把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置90を複数装着することに加え、複数の搭載型電子部品をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(チップ部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持した搭載型電子部品の保持位置(第1保持位置)でテープ本体から剥がし、当該保持位置にある搭載型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズル又は把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置90aを備えていても良い。部品供給ユニット14は、その他電子部品供給装置90aとしてスティックフィーダやトレイフィーダをリア側バンクに設置しても良い。図2に示す複数の部品供給装置90、90aは、支持台(バンク)96に保持される。また、支持台96は、部品供給装置90、90aの他の装置(例えば、計測装置やカメラ等)を搭載することができる。
部品供給ユニット14は、支持台96に保持されている複数の電子部品供給装置90、90aが、搭載する電子部品の種類、電子部品を保持する機構又は供給機構が異なる複数種類の電子部品供給装置90、90aで構成される。また、部品供給ユニット14は、同一種類の電子部品供給装置90、90aを複数備えていても良い。また、部品供給ユニット14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。
部品供給装置90は、テープに複数のラジアルリード型電子部品のリードを貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15にラジアルリード型電子部品を供給する。部品供給装置90は、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、保持しているラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより電子部品が保持できる保持領域(吸着位置、把持位置、保持位置)まで移動するテープフィーダである。部品供給装置90は、保持領域まで移動させたラジアルリード型電子部品のリードを切断して分離することで、当該テープでリードが固定されたラジアルリード型電子部品を所定位置に保持可能な状態とすることができ、当該ラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより保持(吸着、把持)することができる。部品供給装置90については後述する。なお、複数の部品供給装置90は、それぞれ異なる品種の電子部品を供給しても、別々の電子部品を供給しても良い。また、部品供給装置90は、テープに複数のラジアルリード型電子部品に限定されず、ボウルフィーダや、アキシャルフィーダ、スティックフィーダ、トレイフィーダ等を用いることもできる。
電子部品供給装置90aは、テープに基板を搭載するチップ型の電子部品を貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15に電子部品を供給する。なお、電子部品保持テープは、テープに複数の格納室が形成されており、当該格納室に電子部品が格納されている。電子部品供給装置90aは、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、格納室をヘッド15のノズルにより電子部品が吸着できる保持領域まで移動させるテープフィーダである。なお、格納室を保持領域に移動させることで、当該格納室に収容されている電子部品を所定位置に露出した状態とすることができ、当該電子部品をヘッド15のノズルにより吸着、把持することができる。電子部品供給装置90aは、テープフィーダに限定されず、チップ型電子部品を供給する種々のチップ部品フィーダとすることができる。チップ部品フィーダとしては、例えば、スティックフィーダ、テープフィーダ、バルクフィーダを用いることができる。
ヘッド15は、部品供給ユニット14fに保持された電子部品又は部品供給ユニット14rに保持された電子部品、をノズルで保持(吸着又は把持)し、保持した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に実装する機構である。また、ヘッド15は、部品供給ユニット14rが電子部品供給装置90aを備えている場合、電子部品供給装置90aに保持されたチップ型電子部品(搭載型電子部品)を基板8上に搭載(実装)する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。なお、チップ型電子部品(搭載型電子部品)とは、基板に形成された挿入孔(スルーホール)に挿入するリードを備えないリードなし電子部品である。搭載型電子部品としては、上述したようにSOP、QFP等が例示される。チップ型電子部品は、リードを挿入孔に挿入せずに、基板に実装される。
XY移動機構16は、ヘッド15を図1中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部22とY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22は、ヘッド15と連結しており、ヘッド15をX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22をY軸方向に移動させることで、ヘッド15をY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15をXY軸方向に移動させることで、ヘッド15を基板8と対面する位置、又は、部品供給ユニット14f、14rと対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。つまり、XY移動機構16は、ヘッド15を水平面(XY平面)上で移動させて、部品供給ユニット14f、14rの電子部品供給装置90、90aにある電子部品を基板8の所定位置(搭載位置、実装位置)に移送する移送手段となる。なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、XY平面において、ヘッド15の可動領域と重なる位置で、かつ、Z方向における位置がヘッド15よりも鉛直方向下側となる位置に配置されている。本実施形態では、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、基板搬送部12と部品供給ユニット14rとの間に、隣接して配置される。
VCSユニット(部品状態検出部、状態検出部)17は、画像認識装置であり、ヘッド15のノズル近傍を撮影するカメラや、撮影領域を照明する照明ユニットを有する。VCSユニット17は、ヘッド15のノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。より具体的には、VCSユニット17は、対面する位置にヘッド15が移動されると、ヘッド15のノズルを鉛直方向下側から撮影し、撮影した画像を解析することで、ノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。VCSユニット17は、取得した情報を制御装置20に送る。
交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルを保持する機構である。交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルをヘッド15が着脱交換可能な状態で保持する。ここで、本実施形態の交換ノズル保持機構18は、電子部品を吸引することで保持する吸引ノズルと、電子部品を把持することで保持する把持ノズルと、を保持している。ヘッド15は、交換ノズル保持機構18で装着するノズルを変更し、装着されたノズルに対して空気圧を供給して駆動することで、保持する電子部品を適切な条件(吸引又は把持)で保持することができる。
部品貯留部19は、ヘッド15がノズルで保持し、基板8に実装しない電子部品を貯留する箱である。つまり、電子部品実装装置10では、基板8に実装しない電子部品を廃棄する廃棄ボックスとなる。電子部品実装装置10は、ヘッド15が保持している電子部品の中に基板8に実装しない電子部品がある場合、ヘッド15を部品貯留部19と対面する位置に移動させ、保持している電子部品を解放することで、電子部品を部品貯留部19に投入する。
制御装置20は、電子部品実装装置10の各部を制御する。制御装置20は、各種制御部の集合体である。操作部40は、作業者が操作を入力する入力デバイスである。操作部40としては、キーボード、マウス、タッチパネル等が例示される。操作部40は検出した各種入力を制御装置20に送る。表示部42は、作業者に各種情報を表示する画面である。表示部42としては、タッチパネル、ビジョンモニタ等がある。表示部42は、制御装置20から入力される画像信号に基づいて各種画像を表示させる。
なお、本実施形態の電子部品実装装置10は、ヘッドを1つとしたが部品供給ユニット14f、14rのそれぞれに対応して2つのヘッドを設けても良い。この場合、X軸駆動部を2つ設け、2つのヘッドをそれぞれXY方向に移動させることで、2つのヘッドを独立して移動させることができる。さらに、電子部品実装装置10は、基板搬送部12を平行に2つ配置することも好ましい。電子部品実装装置10は、2つの基板搬送部12で2つの基板を交互に電子部品搭載位置に移動させ、2つのヘッド15で交互に部品搭載すれば、さらに効率よく基板に電子部品を搭載することができる。
次に、図3及び図4を用いて、ヘッド15の構成について説明する。図3は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。図4は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す模式図である。なお、図3には、電子部品実装装置10を制御する各種制御部と部品供給ユニット14rの1つの部品供給装置90もあわせて示す。ヘッド15は、図3及び図4に示すように、ヘッド本体30と撮影装置(基板状態検出部)36と高さセンサ(基板状態検出部)37とレーザ認識装置(部品状態検出部、状態検出部、センサ)38と、を有する。
電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とは、上述した制御装置20の一部である。また、電子部品実装装置10は、電源と接続されており電源から供給される電力を制御部60、ヘッド制御部62、部品供給制御部64及び各種回路を用いて、各部に供給する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とについては後述する。
電子部品供給装置90は、電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)にリードが保持された電子部品80の本体が上方に露出している。なお、電子部品80としては、アルミ電解コンデンサが例示される。なお、電子部品80として、アルミ電解コンデンサの他にも、リードを有する各種電子部品を用いることができる。電子部品供給装置90は、電子部品保持テープを引き出し、移動させることで、電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持領域(吸着領域、把持領域)に移動させる。本実施形態では、部品供給装置90のY軸方向の先端近傍が、電子部品保持テープに保持された電子部品80をヘッド15のノズルが保持する保持領域となる。電子部品供給装置90の構成については後述する。また、電子部品供給装置90aの場合も同様に、所定の位置が、ヘッド15のノズルが電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持する保持領域となる。
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、図4に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。なお、図4に示すノズル32は、いずれも電子部品80を吸着して保持する吸着ノズルが配置されている。
ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結している支持部材であり、ノズル32及びノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、レーザ認識装置38も支持している。
ノズル32は、電子部品80を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル32は、先端に開口32aを有する。開口32aは、内部の空洞及びノズル支持部33の空洞を介してノズル駆動部34に連結されている。ノズル32は、この開口32aから空気を吸引することで、先端に電子部品80を吸着し、保持する。ノズル32は、ノズル支持部33に対して着脱可能であり、ノズル支持部33に装着されていない場合、交換ノズル保持機構18に保管(格納)される。また、ノズル32は、開口32aの形状や、大きさが種々のものがある。また、本実施形態では、電子部品を吸着するための開口を備える吸着型のノズルを示したが、空気圧により稼動するアームを用い、電子部品を挟み込むことで保持する把持型のノズルも用いることができる。
ノズル支持部33は、鉛直方向下側の端部(先端)でノズル32を保持する機構であり、例えば、ノズル駆動部34にとってヘッド支持体31に対して移動されるシャフトと、ノズル32と連結するソケットと、を有する。シャフトは、棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフトは、鉛直方向下側の端部に配置されたソケットを支持する。シャフトは、ソケットに連結する部分がZ軸方向移動可能な状態及びθ方向に回転可能な状態でヘッド支持体31に対して支持されている。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸であり、基板8の表面に対して直交する方向となる。θ方向とは、すなわち、ノズル駆動部34がノズル32を移動させる方向と平行な軸であるZ軸を中心とした円の円周方向と平行な方向である。θ方向は、ノズル32の回動方向となる。シャフトは、ソケットに連結する部分がノズル駆動部34によってZ軸方向及びθ方向に移動、回転される。
ノズル駆動部34は、ノズル保持部33をZ軸方向に移動させることでノズル32をZ軸方向に移動させ、ノズル32の開口32aで電子部品80を吸着させる。また、ノズル駆動部34は、電子部品80の実装時等にノズル保持部33をθ方向に回転させることでノズル32をθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させる機構として、Z軸モータ34a、具体的には、Z軸方向が駆動方向となる直動リニアモータを有する機構がある。ノズル駆動部34は、Z軸モータ34aでノズル保持部33と共にノズル32をZ軸方向に移動させることで、ノズル32の先端部の開口32aのシャフトをZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部34は、ノズル32をθ方向に回転させる機構として、例えばモータとノズル保持部33のシャフトに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部34は、モータから出力された駆動力を伝達要素でノズル保持部33のシャフトに伝達し、シャフトをθ方向に回転させることで、ノズル32の先端部もθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32の開口32aで電子部品80を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル32の開口32aと連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプ(電空レギュレータ)と、空気管の管路の開閉を切り替える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部34は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り替えることで開口32aから空気を吸引するか否かを切り替える。ノズル駆動部34は、電磁弁を開き開口32aから空気を吸引することで開口32aに電子部品80を吸着(保持)させ、電磁弁を閉じ開口32aから空気を吸引しないことで開口32aに吸着していた電子部品80を解放する、つまり開口32aで電子部品80を吸着しない状態(保持しない状態)とする。
また、本実施形態のヘッド15は、電子部品の本体を保持するときに本体上面がノズル(吸着ノズル)32で吸着できない形状である場合には、後述する把持ノズルを用いる。把持ノズルは、吸着ノズルと同様に空気を吸引解放することで固定片に対して可動片が開閉することで電子部品の本体を上方から把持解放することができる。また、ヘッド15は、ノズル駆動部34でノズル32を移動させ、交換動作を実行することで、ノズル駆動部34が駆動させるノズルを換えることができる。
撮影装置36は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8等を撮影する。撮影装置36は、カメラと、照明装置と、を有し、照明装置で視野を照明しつつ、カメラで画像を取得する。これにより、ヘッド本体30に対面する位置の画像、例えば、基板8や、部品供給ユニット14の各種画像を撮影することができる。例えば、撮影装置36は、基板8の表面に形成された基準マークとしてのBOCマーク(以下単にBOCともいう。)やスルーホール(挿入孔)の画像を撮影する。ここで、BOCマーク以外の基準マークを用いる場合、当該基準マークの画像を撮影する。
高さセンサ37は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8との距離を計測する。高さセンサ37としては、レーザ光を照射する発光素子と、対面する位置で反射して戻ってくるレーザ光を受光する受光素子とを有し、レーザ光を発光してから受光するまでの時間で対面する部分との距離を計測するレーザセンサを用いることができる。また、高さセンサ37は、測定時の自身の位置及び基板の位置を用いて、対面する部分との距離を処理することで、対面する部分、具体的には電子部品の高さを検出する。なお、電子部品との距離の測定結果に基づいて電子部品の高さを検出する処理は制御部60で行っても良い。
レーザ認識装置38は、光源38aと、受光素子38bと、を有する。レーザ認識装置38は、ブラケット50に内蔵されている。ブラケット50は、図3に示すように、ヘッド支持体31の下側、基板8及び部品供給装置90側に連結されている。レーザ認識装置38は、ヘッド本体30のノズル32で吸着した電子部品80に対して、レーザ光を照射することで、電子部品80の状態を検出する装置である。ここで、電子部品80の状態とは、電子部品80の形状、ノズル32で電子部品80を正しい姿勢で吸着しているか等である。光源38aは、レーザ光を出力する発光素子である。受光素子38bは、Z軸方向における位置、つまり高さが同じ位置であり、光源38aに対向する位置に配置されている。レーザ認識装置38による形状の認識処理については後述する。
次に、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御装置20として、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。各種制御部は、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える部材で構成される。また、本実施形態では、説明の都合で複数の制御部としたが、1つの制御部としても良い。また、電子部品実装装置10の制御機能を1つの制御部とした場合、1つの演算装置で実現しても複数の演算装置で実現しても良い。
制御部60は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部60は、例えば、基板8の搬送動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作、レーザ認識装置38による形状の検出動作等を制御する。また、制御部60は、上述したようにヘッド制御部62に各種指示を送り、ヘッド制御部62による制御動作も制御する。制御部60は、部品供給制御部64による制御動作も制御する。
ヘッド制御部62は、ノズル駆動部34、ヘッド支持体31に配置された各種センサ及び制御部60に接続されており、ノズル駆動部34を制御し、ノズル32の動作を制御する。ヘッド制御部62は、制御部60から供給される操作指示及び各種センサ(例えば、距離センサ)の検出結果に基づいて、ノズル32の電子部品の吸着(保持)/解放動作、各ノズル32の回動動作、Z軸方向の移動動作を制御する。ヘッド制御部62の制御については、後述する。
部品供給制御部64は、部品供給ユニット14f、14rによる電子部品80の供給動作を制御する。部品供給制御部64は、電子部品供給装置90、90a毎に設けても、1つですべての電子部品供給装置90、90aを制御しても良い。例えば、部品供給制御部64は、電子部品供給装置90による電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)、リードの切断動作及びラジアルリード型電子部品の保持動作を制御する。また、部品供給制御部64は、部品供給ユニット14が電子部品供給装置90aを備えている場合、電子部品供給装置90aによる電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)等を制御する。部品供給制御部64は、制御部60による指示に基づいて各種動作を実行する。部品供給制御部64は、電子部品保持テープ又は電子部品保持テープの引き出し動作を制御することで、電子部品保持テープ又は電子部品保持テープの移動を制御する。
ここで、上記実施形態では、ヘッドに装着するノズルに吸着ノズルを用いる場合として説明したがこれに限定されない。図5は、ノズルの一例を示す説明図である。図5は、把持ノズル(グリッパーノズル)の一例を示す図である。図5に示すノズル201は、固定アーム202と、可動アーム204とを有する。ノズル201は、可動アーム204の支点205がノズル201の本体に回動可能な状態で固定されており、可動アーム204は、支点205を軸として固定アーム202と対面する部分が固定アーム202に近づく方向から遠ざかる方向に移動することができる。可動アーム204は、ノズル201の本体の部分、固定アーム202に近づいたり遠ざかったりする部分とは、支点205を介して反対側に駆動部206が連結されている。駆動部206は、把持ノズルを駆動する駆動源(空気圧)により移動される。可動アーム204は、駆動部206が移動することで、固定アーム202と対面する部分が固定アーム202に近づく方向から遠ざかる方向に移動する。
ノズル201は、固定アーム202と可動アーム204との間に電子部品80がある状態で、固定アーム202と可動アーム204との距離を縮めることで、電子部品80を把持することができる。
把持ノズルは、ノズル201に限定されず、種々の形状とすることができる。把持ノズルは、それぞれ固定アームと可動アームとの間隔や、可動範囲を種々の値とすることができる。このように把持ノズルは、ノズルの形状毎に把持できる電子部品の形状が異なる。
電子部品実装装置10は、保持する電子部品の種類に応じて、当該電子部品を保持するノズルの種類を選択することで、電子部品を適切に保持することができる。具体的には、保持する電子部品に応じて、吸着ノズルを用いるか把持ノズルを用いるかを選択し、さらにそれぞれの種類のノズル中でもどのノズルを用いるかを切り替えることで、1台の電子部品実装装置でより多くの種類の電子部品を実装することができる。
次に、図6及び図7を用いて部品供給装置90について説明する。部品供給装置90は、上述したようにラジアルリード型電子部品を保持位置に供給するラジアルフィーダである。まず、図6を用いて、電子部品保持テープについて説明する。図6は、電子部品保持テープの一例の概略構成を示す模式図である。
図6に示す電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)70は、テープ本体72と、テープ本体72に保持される複数の電子部品(ラジアルリード型電子部品、ラジアルリード部品)80と、を有する。テープ本体72は、第1テープ74と第1テープ74よりも幅の細い第2テープ76とが貼り合わされている。また、テープ本体72は、延在方向に一定間隔で送り孔としての孔78が形成されている。つまり、テープ本体72は、複数の孔78が延在方向に列状に形成されている。
電子部品80は、電子部品本体(以下単に「本体」という。)82と、本体82のラジアル方向に配置された2本のリード84と、を有する。電子部品80は、リード84が、第1テープ74と第2テープ76との間に挟まれ、固定されている。これにより、電子部品80は、リード84が、第1テープ74と第2テープ76との間に挟まれ固定されることで、テープ本体72の所定位置に固定される。また、複数の電子部品80は、2本のリード84の間に孔78が配置され、テープ本体72の孔78が形成されている位置に、それぞれ固定されている。つまり、電子部品80は、孔78と同じ送りピッチPの間隔で、かつテープの延在方向における位置が同じ位置に配置されている。なお、電子部品80は、テープ本体72の第1テープ74と第2テープ76との間に挟まれるリード線を有した形状であればよく、リード線及び本体の形状、種類は特に限定されない。また、電子部品保持テープは、テープの延在方向における孔78と電子部品80との相対位置関係を種々の設定とすることができる。例えば、電子部品保持テープは、孔78と孔78との間に電子部品80を配置しても良い。
次に、図7は、部品供給ユニットの電子部品供給装置の概略構成を示す斜視図である。電子部品供給装置(部品供給装置)90は、図7に示すように、他の各部を保持し、電子部品保持テープを案内する筐体210と、リア側バンク46と連結されるクランプユニット212と、電子部品保持テープを搬送するフィードユニット214と、電子部品保持テープに保持されている電子部品のリードを切断するカットユニット216と、を有する。また、電子部品供給装置90は、筐体210の内部に空気圧調整部が配置されている。空気圧調整部は、フィードユニット214の駆動部とカットユニット216の駆動部の空気圧を調整し、各部の駆動を制御する。
筐体210は、縦に細長い中空の箱であり、クランプユニット212とフィードユニット214とカットユニット216と空気圧調整部とを内部に保持する。筐体210は、案内溝220と、ガイド部222と、排出部226と、把持部228と、が設けられている。案内溝220は、筐体210の鉛直方向上側の細長い面の長手方向に沿って形成された2本の直線の一方の端部が連結した形状である。つまり、案内溝220は、筐体210の一方の端部から他方の端部近傍まで延び、他方の端部近傍で折り返し、一方の端部まで延びるU字形状で形成されている。案内溝220は、電子部品保持テープを案内する溝であり、U字形状の一方の端部(供給側の端部)から電子部品保持テープが供給される。案内溝220は供給された電子部品保持テープをU字形状に沿って移動させ、U字形状の他方の端部(排出側の端部)から排出する。また、案内溝220は、テープ本体72が筐体210の内部にあり、電子部品が筐体210の外部に露出した状態で電子部品保持テープを案内する。
ガイド部222は、案内溝220の供給側の端部と連結されており、電子部品が保持された状態の電子部品保持テープを案内溝220に案内する。排出部226は、案内溝220の排出側の端部と連結されており、筐体210内を移動して電子部品をヘッド15に供給した部分が電子部品保持テープを排出する。把持部228は、電子部品供給装置90の搬送時等に、オペレータが持つ部分である。
クランプユニット212は、支持台96と連結される機構である。クランプユニット212は、筐体210に固定されており、支持台96と連結し固定されている状態と、支持台96と連結せずに解放されている状態と、を切り替えることができる機構である。オペレータは、クランプユニット212を操作することで、電子部品供給装置90を支持台96に対して着脱することができる。
フィードユニット214は、電子部品保持テープを搬送する、つまり案内溝220に沿って案内される電子部品保持テープを移動させる機構である。フィードユニット214は、電子部品保持テープの孔に挿入される突起部を備えており、突起部が電子部品保持テープの孔に挿入されている状態で、当該突起部を搬送方向に移動させることで電子部品保持テープを移動させる。フィードユニット214の突起部は、搬送方向と反対側に移動される場合、孔から取り外される。これによりフィードユニット214は、突起部をテープ本体72の孔78の1ピッチ分、送り方向に往復運動させることで、テープを1ピッチ分送り方向に順次移動させることができる。
カットユニット216は、電子部品を供給する供給位置に配置されており、電子部品保持テープに保持されている電子部品のリードを切断する。また、カットユニット216は、リードを切断した電子部品を、電子部品がノズルによって吸着(保持)されるまで、クランプ、つまり保持する。カットユニット216は、リードを切断する高さを調整する機構、電子部品のクランプ時にクランプする機構を移動させる範囲を調整する機構等を備えている。当該機構で各種調整を行うことで、種々のリード型電子部品のリードを切断し、クランプすることができる。
電子部品実装装置10は、カットユニット216が、リードを短く切断することで、部品供給装置90の保持位置にある電子部品の本体をノズルで保持したときのリード間隔の安定性を向上させることができ、リードが挿入孔に挿入できる部品を多くすることができ、非常に効率よくかつ高い精度で実装できる。
電子部品供給装置90は、以上のような構成であり、クランプユニット212で支持台96の所定位置に固定される。電子部品供給装置90は、フィードユニット214で電子部品保持テープを移動させる。また、電子部品供給装置90は、カットユニット216で供給位置にある電子部品のリードを切断し、リードを切断した電子部品をヘッド15のノズル32で吸着されるまで保持する。これにより、電子部品保持テープで搬送される電子部品をヘッドで搬送可能な状態とすることができる。
次に、電子部品実装装置の各部の動作について説明する。なお、下記で説明する電子部品実装装置の各部の動作は、いずれも制御装置20に基づいて各部の動作を制御することで実行することができる。
図8は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。図8を用いて、電子部品実装装置10の全体の処理動作の概略を説明する。なお、図8に示す処理は制御装置20が各部を制御することで実行される。電子部品実装装置10は、ステップS52として、生産プログラムを読み込む。生産プログラムは、専用の生産プログラム作成装置で作成されたり、入力された各種データに基づいて制御装置20によって作成されたりする。
電子部品実装装置10は、ステップS52で生産プログラムを読み込んだら、ステップS54として、装置の状態を検出する。具体的には、部品供給ユニット14f、14rの構成、充填されている電子部品の種類、準備されているノズルの種類等を検出する。電子部品実装装置10は、ステップS54で装置の状態を検出し、準備が完了したら、ステップS56として、基板を搬入する。電子部品実装装置10は、ステップS56で基板を搬入し、電子部品を実装する位置に基板を配置したら、ステップS58として電子部品を基板に実装する。電子部品実装装置10は、ステップS58で電子部品の実装が完了したら、ステップS60として基板を搬出する。電子部品実装装置10は、ステップS60で基板を搬出したら、ステップS262として生産終了かを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS262で生産終了ではない(No)と判定した場合、ステップS56に進み、ステップS56からステップS60の処理を実行する。つまり、生産プログラムに基づいて、基板に電子部品を実装する処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS262で生産終了である(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、以上のようにして、生産プログラムを読み込み、各種設定を行った後、基板に電子部品を実装することで、電子部品が実装された基板を製造することができる。また、電子部品実装装置10は、電子部品として、本体と当該本体に接続されたリードとを有するリード型電子部品を基板に実装、具体的には、リードを基板に形成された孔(挿入孔)に挿入することで当該電子部品を基板に実装することができる。
図9は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図9に示す処理動作は、基板を搬入してから、基板への電子部品の搭載が完了するまでの動作である。また、図9に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS102として、基板を搬入する。具体的には、制御部60は、電子部品を搭載する対象の基板を基板搬送部12で所定位置まで搬送する。制御部60は、ステップS102で基板を搬入したら、ステップS104として保持移動を行う。ここで、保持移動(吸着移動)とは、ノズル32が部品供給ユニット14の保持領域にある電子部品80と対面する位置までヘッド本体30を移動させる処理動作である。
制御部60は、ステップS104で保持移動を行ったら、ステップS106として、ノズル32を下降させる。つまり、制御部60は、電子部品80を保持(吸着、把持)できる位置までノズル32を下方向に移動させる。制御部60は、ステップS106でノズル32を下降させたら、ステップS108として、ノズル32で電子部品80を保持し、ステップS110として、ノズル32を上昇させる。制御部60は、ステップS110でノズル32を所定位置まで上昇させたら、具体的には電子部品80をレーザ認識装置38の計測位置まで移動させたら、ステップS112として、ノズル32で吸着している電子部品の形状を検出する。制御部60は、ステップS112で電子部品の形状を検出したら、ステップS114としてノズル32を上昇させる。なお、制御部60は、上述したようにステップS112で部品の形状を検出し、保持した電子部品が搭載不可であると判定した場合、電子部品を廃棄し、再び電子部品を吸着する。制御部60は、ノズル32を所定位置まで上昇させたら、ステップS116として、搭載移動、つまりノズル32で吸着している電子部品を基板8の搭載位置(実装位置)に対向する位置まで移動させる処理動作を行い、ステップS118として、ノズル32を下降させ、ステップS120として部品搭載(部品実装)、つまりノズル32から電子部品80を解放する処理動作を行い、ステップS122として、ノズル32を上昇させる。つまり、制御部60は、ステップS112からステップS120の処理動作は、上述した実装処理を実行する。
制御部60は、ステップS122でノズル32を上昇させた場合、ステップS124として全部品の搭載が完了したか、つまり基板8に搭載する予定の電子部品の実装処理が完了したかを判定する。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了していない(No)、つまり搭載する予定の電子部品が残っていると判定した場合、ステップS104に進み、次の電子部品を基板8に搭載する処理動作を実行する。このように制御部60は、基板に全部品の搭載が完了するまで、上記処理動作を繰り返す。制御部60は、ステップS124で全部品の搭載が完了した(Yes)と判定した場合、本処理を終了する。
次に、図10に示す処理は、電子部品の実装前の処理、具体的には電子部品の形状の計測処理及び計測結果に基づいた判定処理である。なお、制御部60は、図10の処理を保持するすべての電子部品に対して実行する。制御部60は、ステップS150として保持対象の電子部品のデータを取得する。ここで、保持対象(吸着対象、把持対象)の電子部品のデータとは、当該電子部品を基板に実装するために必要な各種情報である。保持対象の電子部品のデータは、当該電子部品が保持されている電子部品供給装置90の位置、電子部品の形状データ、電子部品の吸着高さ(保持高さ)、電子部品をレーザ認識装置38で計測する計測位置の情報等である。
制御部60は、ステップS150でデータを取得したら、ステップS152として計測位置を決定する。つまり、制御部60は、ステップS150で取得したデータに基づいて電子部品の形状を検出する位置、つまり、電子部品のZ軸方向の位置を決定する。なお、制御部60は、ステップS150及びステップS152の処理を、電子部品の吸着前に行っても良い。
制御部60は、ステップS152で計測位置を決定し、かつノズルで電子部品を吸着した場合、ステップS154として、電子部品のZ軸位置を調整する。つまり、制御部60は、ノズルをZ軸方向に移動させることで、電子部品のステップS152で決定した計測位置をレーザ認識装置38の計測領域に移動させる。制御部60は、ステップS154で電子部品のZ軸位置を調整したら、ステップS156として電子部品の形状を計測する。つまり、制御部60は、レーザ認識装置38を用いて電子部品の計測位置における形状を検出する。
制御部60は、ステップS156で電子部品の計測位置における形状を検出したら、ステップS158として計測終了かを判定する。つまり制御部60は、ステップS152で決定した計測位置での形状の計測が終了したかを判定する。制御部60は、ステップS158で計測終了ではない(No)と判定した場合、ステップS154に進み、ステップS154とステップS156の処理を再び行い、計測が終了していない計測位置の形状を計測する。制御部60は、このように電子部品の位置の調整と形状の計測とを繰り返すことで、設定した計測位置の形状を検出する。
制御部60は、ステップS158で計測終了である(Yes)と判定した場合、ステップS160として計測結果と基準データとを比較する。ここで基準データは、ステップS150で取得した吸着対象(保持対象)の電子部品の形状のデータである。制御部60は、計測結果と基準データとを比較することで、吸着している電子部品が基準データと一致する形状であるか、電子部品の向きが基準データの向きと一致するか等を判定する。
制御部60は、ステップS160で比較を行ったら、ステップS162として部品は適正であるかを判定する。具体的には、制御部60は、ステップS162で電子部品を実装可能な状態で吸着しているかを判定する。制御部60は、ステップS162で部品は適正ではない(No)と判定した場合、ステップS164としてノズルが吸着している電子部品を廃棄し、本処理を終了する。制御部60は、部品貯留部19と対面する位置にヘッド及びノズルを移動させ、当該ノズルが保持している電子部品を部品貯留部19に投入することで、電子部品を廃棄する。なお、制御部60は、同一種類の電子部品を基板の同一搭載位置(実装位置)に実装する処理を再び実行する。
制御部60は、ステップS162で部品は適正である(Yes)と判定した場合、ステップS166として部品の方向(ノズルの回転方向における方向)が適正であるかを判定する。つまり、吸着している電子部品が基準の向きと同一であるかを判定する。なお、本実施形態の制御部60は、ステップS166として電子部品は反転しているかを判定する。制御部60は、ステップS166で方向が適正ではない(No)、つまり電子部品が反転した状態であると判定した場合、ステップS168で電子部品を反転させた後ステップS170に進む。
制御部60は、ステップS166でYesと判定した場合又はステップS168の処理を実行した場合、ステップS170として保持位置に基づいて、電子部品の搭載位置(実装位置)を微調整する。例えば、電子部品の形状の検出結果に基づいて、ノズルが電子部品を吸着している位置を検出し、基準位置に対する保持位置のずれに基づいて、実装時のノズルと基板の相対位置を調整する。制御部60は、ステップS170の処理を実行したら本処理を終了する。また、制御部60は、図10のステップS170の処理を行ったら、判定した電子部品をステップS170の結果を加味して電子部品を基板に実装する。
電子部品実装装置10は、このようにレーザ認識装置38を用いて電子部品の形状を検出し、その結果に基づいて各種処理を行うことで、基板により適切に電子部品を実装することができる。
電子部品実装装置10は、図10に示すフローチャートのステップS164で電子部品を廃棄したが、電子部品のリードの形状が不適切と判定した場合、リードの形状を修正する処理を実行するようにしても良い。つまり、ステップS164で電子部品を廃棄せずに、電子部品のリードを挿入可能な形状に補正(加工)し、搭載位置(実装位置)に実装するようにしても良い。電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90のカットユニット216の電子部品をクランプする機構で電子部品のリードを修正するようにしても、別途設けた修正機構で電子部品のリードを修正するようにしても良い。このようにリードの形状を加工する加工手段としては、電子部品の本体又はリードをクランプする機構、別途設けた修正機構等、種々の手段を用いることができる。
次に、図11を用いて、電子部品の搭載時の処理動作の一例について説明する。図11は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。電子部品実装装置10は、ヘッドのノズルで電子部品を保持する動作の度に図11の処理を実行する。なお、図11の処理は、基本的に、電子部品として、リード型電子部品と搭載型電子部品の両方を基板に実装する場合の処理である。電子部品実装装置10は、ステップS180として、保持する電子部品を特定し、ステップS182として保持対象の部品がリード型電子部品であるかを判定する。
電子部品実装装置10は、ステップS182でリード型電子部品である(Yes)と判定した場合、ステップS184として、電子部品供給装置90のリード型電子部品をノズルで保持する。つまり、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90の保持位置(第2保持位置)に供給されるリード型電子部品をノズルで保持する。電子部品実装装置10は、ステップS184でリード型電子部品をノズルで保持したら、ステップS186として、リード型電子部品のリードを挿入孔に挿入して基板に実装する。
電子部品実装装置10は、ステップS182でリード型電子部品ではない(No)と判定した場合、ステップS187として、電子部品供給装置90aの搭載型電子部品をノズルで保持する。つまり、電子部品実装装置10は、電子部品供給装置90aの保持位置(第1保持位置)に供給される搭載型電子部品をノズルで保持する。電子部品実装装置10は、ステップS187で搭載型電子部品をノズルで保持したら、ステップS188として、搭載型電子部品を基板に実装する。つまり、電子部品実装装置10は、搭載型電子部品を挿入孔に挿入せずに基板に実装する。
電子部品実装装置10は、ステップS186又はステップS188の処理を実行したら、つまり電子部品を実装したら、ステップS189として全ての電子部品の実装が完了したかを判定する。電子部品実装装置10は、ステップS189で実装が完了していない(No)と判定した場合、ステップS180に進み、次に実装する電子部品を特定して、当該特定した電子部品に対して上記処理を実行する。電子部品実装装置10は、ステップS189で実装が完了した(Yes)と判定したら、本処理を終了する。
電子部品実装装置10は、図11に示すように、1つのヘッドで搭載型電子部品とリード型電子部品を基板に実装することができる。さらに、電子部品実装装置10は、同じノズルで、搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を搭載することができる。ここで、電子部品実装装置10は、リード型電子部品の本体を保持(吸着又は把持)することで、搭載型電子部品と同じノズルで移送し、実装することができる。また、電子部品実装装置10は、搭載型電子部品かリード型電子部品かを判定しそれぞれに応じてリードを挿入孔に挿入する、しないを切り替えることで、同じヘッドや同じノズルで実装を行った場合でもそれぞれの電子部品に適した条件で基板に実装することができる。これにより、ノズルを交換することなく搭載型電子部品とリード型電子部品とを実装することができる。また、搭載型電子部品とリード型電子部品とを分けずに混合して搭載できることで、搭載順序の制限がより少なくなり、実装の効率をより向上させることができる。
次に、図12から図15を用いて、把持ノズルの把持力の調整動作について説明する。図12は、把持ノズルと、把持ノズルの把持力を検出する圧力検出ユニット(圧力検出装置)の概略構成を示す側面図である。なお、図12では、説明の容易化のため、ノズル支持部33の図示を省略している。
把持ノズル(チャックノズル)301は、ノズルベース302を有する。ノズルベース302の中央部からZ軸方向(鉛直上方向)に延在するように、取り付け部302aが形成されている。取り付け部302aは、ノズル支持部33に脱着可能である。把持ノズル301は、取り付け部302aがノズル支持部33に取り付けられることで、ノズル支持部33に支持される。取り付け部302aは、内部が空洞になっており、ノズル支持部33の空洞を介してノズル駆動部34内の電空レギュレータ(電子式真空レギュレータ)に連通される。
ノズルベース302内には、ノズルベース302の中央部から水平方向(図中左右方向)にそれぞれ延在し、軸方向が略一致する一対のシリンダが形成されている。各シリンダは、取り付け部302aの空洞と連通している。つまり、各シリンダは、取り付け部302aの空洞及びノズル支持部33の空洞を介して、ノズル駆動部34内の電空レギュレータに連通されている。
各シリンダには、2本のスライダ304の一方の端部が挿入されている。各スライダ304の他方の端部には、一対のチャック部303が取り付けられている。各スライダ304が各シリンダ内を進退することで、一対のチャック部303は、互いに近づく方向及び互いに遠ざかる方向に移動可能である。各スライダ304には、各スライダ304をノズルベース302から遠ざかる方向に付勢する付勢手段(例えば、ばねが例示される。)が配置されている。電空レギュレータによって把持ノズル301にエアが供給されるとシリンダに圧力が加わり、一対のチャック部303は、互いに近づく方向に移動し、供給圧力(正圧)に応じた把持力で電子部品80又はロードセル310を把持することができる。把持ノズル301にエアが供給されていない場合には、一対のチャック部303は、付勢手段の付勢力により、所定の距離を保って開いた状態とされる。なお、ここでは、把持ノズル301が、正圧により電子部品80を把持する把持力を生ずるものとしているが、負圧又は真空により把持力を生ずるものとしても良い。
ロードセル310は、力を電気信号に変換するセンサであり、例えばひずみゲージ式ロードセルである。ロードセル310は、起歪体と呼ばれる弾性体にひずみゲージを貼り付け、応力(力)とひずみ出力の比例関係を利用し、把持ノズル301の把持力を検出する。なお、ロードセル310として、圧電式、容量式、電磁式、音叉式等のものを使用しても良い。
ロードセル310は、本体311を有する。本体311には、本体311から水平方向(図中左右方向)にそれぞれ延在する2本の押圧部312、313が挿入されている。各押圧部312、313が近づく方向に荷重が印加されると、本体311内部に配置された金属の抵抗体が変形し、この変形による電気抵抗の変化を測定することにより、荷重(把持力)を検出することができる。本実施形態では、一対のチャック部303で押圧部312、313を把持(押圧)し、チャック部303による把持力を検出する。
ロードセル310の本体311の中央部からZ軸と反対方向(鉛直下方向)には、ロッド314が延在しており、ロッド314は、圧力検出ユニット320に埋め込まれている。これにより、ロードセル310を安定して設置することができる。なお、後述するように、圧力検出ユニット320内には、ロードセル310を制御する回路が内蔵されている。
本実施形態において、圧力検出ユニット320は、部品供給ユニット14に配置して使用する。図13は、圧力検出ユニットを部品供給ユニットに配置した概観斜視図である。図13では、ロードセル310の押圧部312、313の軸方向が部品供給ユニット14の長手方向と略一致するように、圧力検出ユニット320が部品供給ユニット14上に配置される。なお、1台の電子部品実装装置10に1台の圧力検出ユニット320を固定的に設置、使用しても良い。しかし、把持力の測定は頻繁に行われるものではないと考えられるので、1台の圧力検出ユニット320及びその配線を電子部品実装装置10に着脱可能とし可搬的に複数の部品実装装置10で使い回すと、経済的である。
図14は、ロードセルを制御する回路構成を示すブロック図である。圧力検出ユニット320は、制御部60からの指示を受けて、ロードセル310を制御する。圧力検出ユニット320は、CPU361と、ロードセルアンプ362と、を有する。制御部60は、上位基板351と、制御基板352と、を有する。
CPU361は、上位基板351及びロードセルアンプ362と通信し、上位基板351からの指示を受けてロードセルアンプ362を制御する。ロードセルアンプ362は、上位基板351から電源供給を受けて、ロードセル310に電源供給する。また、ロードセルアンプ362は、CPU361と通信し、CPU361からの指示を受けてロードセル310を制御する。ロードセル310の出力信号の電圧は、最大でも20mV程度である。そのため、ロードセルアンプ362は、ロードセル310の出力信号を増幅してCPU361に送信する。CPU361は、ロードセルアンプ362の出力信号を上位基板351に出力する。上位基板351は、CPU361の出力信号に基づいて、把持ノズル301の把持力を算出する。
制御基板352は、電空レギュレータ330に電源供給する。また、制御基板352は、上位基板351からの制御信号を受けて、電空レギュレータ330を制御する。制御基板352は、上位基板351からの制御信号をD/A変換したアナログ制御信号を電空レギュレータ330に出力して制御する。制御基板352は、電空レギュレータ330からの応答信号をA/D変換したディジタル信号を上位基板351に出力する。電空レギュレータ330は、制御基板352からの制御信号に応じて、雰囲気からエアを取り入れて、電磁弁340を経由して把持ノズル(チャックノズル)301に加給する。電磁弁340は、ノズル支持部33の空洞内に設置されており、電空レギュレータ330〜電磁弁340〜把持ノズル301の空圧経路内を負圧又は正圧に切り替えることが出来る。電空レギュレータ330は、空圧経路的に電磁弁340の手前(上流)に取り付けられており、電空レギュレータ330によって圧力が変更制御されたエアを電磁弁340の開閉制御によって、把持ノズル301へ供給する事が可能となっている。このように把持ノズル301にエアが加給されることで、把持ノズル301は把持力を発生し、ロードセル310を把持する。
本実施形態では、ロードセル310に、把持ノズル301により把持力を加え、このときの電空レギュレータ330の設定圧力とロードセル310により得られる把持力との関係を設定圧力を切り換えて数箇所で測定を行う。ここでは、電空レギュレータ330の設定圧力を4通り設定し、その都度ロードセル310により把持力を測定する。
図15は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図15に示す処理動作は、電空レギュレータの設定圧力とロードセルにより得られる把持力との関係を測定する動作である。また、図15に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS200として、把持ノズル301をロードセル310の把持位置へ移動させる。次に、制御部60は、ステップS202として、電空レギュレータ330に任意の圧力を設定(調整)し、ステップS204として、把持ノズル301に正圧を加え、一対のチャック部303を互いに近づく方向に移動させて閉じ、ロードセル310を把持させる。次に、制御部60は、ステップS206として、ロードセル310により把持ノズル301の把持力を測定する。
制御部60は、ステップS208として、ステップS202〜S206の測定が正常終了したか否かを判定し、正常終了していない(No)と判定したら、処理をステップS202に進め、再度ステップS202〜S206を実行し、再度測定を行う。一方、制御部60は、ステップS208で正常終了した(Yes)と判定したら、ステップS210として、測定が終了したか否かを判定する。具体的には、ここでは、電空レギュレータ330の設定圧力を4通り設定し、ロードセル310により把持力を測定するので、制御部60は、ステップS202〜S208が4回繰り返されたか否かを判定する。制御部60は、ステップS210で測定が終了していない(No)と判定したら、処理をステップS202に進め、再度ステップS202〜S208を実行し、再度測定を行う。一方、制御部60は、ステップS210で測定が終了した(Yes)と判定したら、本処理を終了する。
図16は、把持ノズルの把持力(N)と電空レギュレータの設定圧力(MPa)との関係を示す図である。線370は、把持ノズルの把持力(N)と電空レギュレータの設定圧力(MPa)との理論的な関係を示す線である。これは、シリンダの断面積などに基づいて算出される。4つの点372は、図15に示すフローチャートを実行することで得られたサンプリング点であり、点線374は、4つの点372に最小二乗法などの方法により算出された、把持ノズルの把持力(N)と電空レギュレータの設定圧力(MPa)との相関関係を示す線である。この点線374で表される相関関係を表す式を補正式として、制御部60に記録する。
図16を参照すると、把持ノズル301の把持力をA(N)としたい場合、理論的には電空レギュレータ330の設定圧力をB(MPa)とすれば良いことがわかる。しかしながら、実際には、電空レギュレータ330の設定圧力をB(MPa)としても、把持ノズル301の把持力は、C(N)(ここで、C<A)しか出ない。これは、空圧経路や電磁弁340などでロスやエア漏れなどがあるためである。そこで、所望の把持力A(N)を出すためには、記録した補正式を用い、電空レギュレータ330の設定圧力をD(MPa)(ここで、D>B)に設定すれば良いことがわかる。
実際に電子部品80を実装(挿入)する際には、実装する電子部品80の重量などに応じて必要な把持力を予め設定し、補正式に基づいて電空レギュレータ330の圧力を設定することで狙いとする把持力を得ることが可能となる。例えば、部品把持動作前に図17に示す圧力の調整処理を行う。
図17は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図17に示す処理動作は、所望の把持力を出すために電空レギュレータの圧力を設定する動作である。また、図17に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS220として、部品データを読み込む。なお、部品データは既に説明した通りのものである。次に、制御部60は、ステップS222として、部品データを正常に読み込めたか否かを判定し、正常に読み込めなかった(No)と判定したら、ステップS223として、エラーメッセージを表示部42に表示して本処理を終了する。なお、部品データを正常に読み込めなかった場合とは、例えば、現在対象となっている電子部品80の電子データが存在しない場合等である。
制御部60は、ステップS222で部品データを正常に読み込めた(Yes)と判定したら、ステップS224として、部品データの中から電子部品80に要求される把持力を取得する。次に、制御部60は、ステップS226として、ステップS224で取得した把持力を補正式に入力し、ステップS228として、電空レギュレータ330の圧力を計算する。次に、制御部60は、ステップS230として、ステップS228で計算した圧力が正常値であるか否かを判定し、正常値ではない(No)と判定したら、ステップS223として、エラーメッセージを表示部42に表示して本処理を終了する。一方、制御部60は、ステップS230で圧力が正常値である(Yes)と判定したら、ステップS232として、ステップS228で計算した圧力を電空レギュレータ330の設定圧力として自動設定し、本処理を終了する。
このように、電子部品実装装置10は、電空レギュレータの設定圧力とロードセルにより得られる把持力との関係を測定し(図15参照)、最小二乗法等の方法により補正式を求め、電子部品80に要求される把持力を出すための電空レギュレータ330の設定圧力を求め、設定する(図17参照)ことで、空圧経路や電磁弁340などでロスがある場合であっても、適切な把持力で電子部品80を把持して基板8に挿入することができ、挿入不良を低減し、製品の歩留まりを向上させることができる。
なお、制御部60は、電空レギュレータ330の設定圧力と把持力との相関関係を、電子部品毎、把持ノズル毎又は電子部品と把持ノズルとの組み合わせ毎に算出し、記憶しておいても良い。これにより、電子部品実装装置10は、電子部品の把持に適した把持力を得ることができ、歩留まりを向上させることができ、生産性を向上させることができる。
ところで、電空レギュレータ330からのエアは、電磁弁340がオフのとき遮断され、電磁弁340がオンのとき通過される。そして、電磁弁340を通過したエアは、空圧経路を経由して把持ノズル301に供給される。そのため、電磁弁340がオフからオンに変化したときから把持ノズル301により電子部品80が把持されるまでに遅延が発生する可能性がある。
図18及び図19は、電子部品を把持したいタイミングと、電磁弁をオフからオンにするタイミングと、把持ノズルで部品が把持されるタイミングと、を示すタイミングチャートである。
図18に示すように、電子部品80を把持したいタイミングで電磁弁340をオフからオンにすると、電磁弁340を通過したエアは空圧経路を経由して把持ノズル301に供給されるので、電子部品80を把持したいタイミングからΔtだけ遅延して、把持ノズル301により電子部品80が把持される。
そこで、図19に示すように、電子部品80を把持したいタイミングよりΔtだけ前で電磁弁340をオフからオンにすると、電子部品80を把持したいタイミングで、把持ノズル301により電子部品80を把持することができる。例えば、把持ノズル301がZ軸と反対方向(鉛直下方向)に下降している途中で、電子部品80を把持したいタイミングよりΔtだけ早く電磁弁340をオフからオンにする動作を行うことで、把持ノズル301がZ軸と反対方向に下降を完了した直後に部品を把持することができ、時間のロスを少なくすることができ、タクトタイムを短縮し、生産性を向上させることが可能である。
なお、電磁弁340をオフからオンにしたときから把持ノズルによって電子部品80が把持されるまでの遅延時間Δtは、把持ノズルのチャック部の形状、構造等によって異なる。そこで、本実施形態では、把持ノズル毎にロードセル310を使用して遅延時間Δtを予め測定し、把持ノズルデータとして記憶しておく。
図20は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図20に示す処理動作は、所望のタイミングで電子部品を把持するために電磁弁をオフからオンにするタイミングを調整する動作である。また、図20に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS240として、現在ノズル支持部33に支持されている把持ノズルの把持ノズルデータを読み込む。電磁弁340をオフからオンにしたときから、把持ノズルによって電子部品80が把持されるまでの遅延時間Δtは、把持ノズルの形状、構造等によって異なる。そこで、本実施形態では、把持ノズル毎に遅延時間Δtを予め測定し、把持ノズルデータとして記憶しておく。そして、制御部60は、ステップS240として、現在ノズル支持部33に支持されている把持ノズルの把持ノズルデータを読み込む。
制御部60は、ステップS242として、把持ノズルデータを正常に読み込めたか否かを判定し、正常に読み込めなかった(No)と判定したら、ステップS243として、エラーメッセージを表示部42に表示して本処理を終了する。なお、把持ノズルデータを正常に読み込めなかった場合とは、例えば、現在対象となっている把持ノズル301の把持ノズルデータが存在しない場合等である。
制御部60は、ステップS242で把持ノズルデータを正常に読み込めた(Yes)と判定したら、ステップS244として、把持ノズルデータの中から把持ノズル301に発生する遅延時間Δtを取得する。次に、制御部60は、ステップS246として、遅延時間Δtに基づき、一連の実装工程のシーケンスにおける起算時点(実装工程開始時点)を基準として、電磁弁340をオフからオンにする(把持動作開始)タイミングを計算する。
次に、制御部60は、ステップS248として、ステップS246で計算したタイミングが正常値であるか否かを判定し、正常値ではない(No)と判定したら、ステップS243として、エラーメッセージを表示部42に表示して本処理を終了する。一方、制御部60は、ステップS248でタイミングが正常値である(Yes)と判定したら、ステップS250として、ステップS246で計算したタイミングを、電磁弁340をオフからオンにする把持動作開始タイミングとして設定し、本処理を終了する。
このように、電磁弁をオフからオンにしてから把持ノズル301によって電子部品80が把持されるまでの遅延時間Δtを測定し(図18参照)、測定した遅延時間Δtを把持ノズルデータとして記憶しておき、遅延時間Δtに基づき、一連の実装工程のシーケンスにおける起算時点(実装工程開始時点)を基準として、電磁弁340をオフからオンにするタイミングを計算し、設定する(図20参照)。これにより、電子部品実装装置10は、電磁弁340をオフからオンにしてから電子部品80が把持されるまでに遅延時間Δtがある場合であっても、適切なタイミングで電子部品80を把持することができ、時間のロスを少なくすることができ、タクトタイムを短縮し、生産性を向上させることができる。
なお、電磁弁をオフからオンにしたときから把持ノズルによって電子部品が把持されるまでの遅延時間Δtは、把持ノズルのチャック部の形状、構造、電子部品の幅等によって異なる。そこで、本実施形態では、電磁弁をオフからオンにするタイミングを調整する際に遅延時間Δtをより正確に測定するため、ロードセルの押圧部にロードセルの把持幅を調整する当金を設ける。
図21は、把持ノズルと、把持ノズルの把持力を検出するロードセルと、ロードセルの押圧部に設けられ、ロードセルの把持幅を調整する当金の概略構成を示す側面図である。なお、図21では、説明の容易化のため、ノズル支持部33の図示を省略している。
図21に示すように、ロードセル310の押圧部312、313には、ロードセル310の把持幅を調整する当金370が設けられている。当金370は、頭部371、372を有する。頭部371は、概略半球状の形状を有している。頭部371の平面部分には、該平面に略垂直方向に延在する軸部373が設けられている。軸部373は、その軸線方向が押圧部312の軸線方向と略一致するように、押圧部312に当接している。従って、頭部371は、その半球状の部分が、ロードセル310から離れる水平方向(図中左方向)に向かっている。軸部373の側表面には、螺旋の軸方向が軸部373の軸方向に略一致するように、螺旋状の溝(雄ねじ溝)が形成されている。
同様に、頭部372は、概略半球状の形状を有している。頭部372の平面部分には、該平面に略垂直方向に延在する軸部374が設けられている。軸部374は、その軸線方向が押圧部313の軸線方向と略一致するように、押圧部313に当接している。従って、頭部372は、その半球状の部分が、ロードセル310から離れる水平方向(図中右方向)に向かっている。軸部374の側表面には、螺旋の軸方向が軸部374の軸方向に略一致するように、螺旋状の溝(雄ねじ溝)が形成されている。
軸部373は、リング状の歯車379の中心軸を含む部分に形成された貫通孔に形成された螺旋状の溝(雌ねじ溝)に螺合している。歯車379は、その中心軸方向が軸部373の軸方向に略一致し、その中心軸を含む部分に貫通孔が形成されている。歯車379の貫通孔の内周面には、螺旋の軸方向が歯車379の中心軸方向に略一致するように、螺旋状の溝(雌ねじ溝)が形成されている。この歯車379の貫通孔に形成された溝(雌ねじ溝)と、軸部373に形成された溝(雄ねじ溝)と、が螺合している。このように歯車379の貫通孔に形成された溝(雌ねじ溝)と、軸部373に形成された溝(雄ねじ溝)と、が螺合しているので、歯車379が回転すると、頭部371は、その軸方向に沿って進退する。
同様に、軸部374は、リング状の歯車380の中心軸を含む部分に形成された貫通孔に形成された螺旋状の溝(雌ねじ溝)に螺合している。歯車380は、その中心軸方向が軸部374の軸方向に略一致し、その中心軸を含む部分に貫通孔が形成されている。歯車380の貫通孔の内周面には、螺旋の軸方向が歯車380の中心軸方向に略一致するように、螺旋状の溝(雌ねじ溝)が形成されている。この歯車380の貫通孔に形成された溝(雌ねじ溝)と、軸部374に形成された溝(雄ねじ溝)と、が螺合している。このように歯車380の貫通孔に形成された溝(雌ねじ溝)と、軸部374に形成された溝(雄ねじ溝)と、が螺合しているので、歯車380が回転すると、頭部372は、その軸方向に沿って進退する。
圧力検出ユニット320には、歯車377が回転可能に埋め込まれている。歯車377は、その軸方向が歯車379の軸方向と並行するように、圧力検出ユニット320に埋め込まれている。そして、歯車377の側周面に形成された歯と、歯車379の側周面に形成された歯と、が噛合している。このように歯車377の側周面に形成された歯と、歯車379の側周面に形成された歯と、が噛合しているので、歯車377が回転すると、歯車379が回転する。
同様に、圧力検出ユニット320には、歯車378が回転可能に埋め込まれている。歯車378は、その軸方向が歯車380の軸方向と並行するように、圧力検出ユニット320に埋め込まれている。そして、歯車378の側周面に形成された歯と、歯車380の側周面に形成された歯と、が噛合している。このように歯車378の側周面に形成された歯と、歯車380の側周面に形成された歯と、が噛合しているので、歯車378が回転すると、歯車380が回転する。
また、圧力検出ユニット320には、歯車376が回転可能に埋め込まれている。歯車376は、その軸方向がZ軸方向(鉛直上方向)となるように、圧力検出ユニット320に埋め込まれている。そして、歯車376の外周部に形成された歯と、歯車377の側周面に形成された歯及び歯車378の側周面に形成された歯と、が噛合している。なお、歯車377と、歯車378と、は、歯車376の軸を挟んで対称な場所に位置している。このように歯車376の外周部に形成された歯と、歯車377の側周面に形成された歯及び歯車378の側周面に形成された歯と、が噛合しているので、歯車376が回転すると、歯車377、378が回転する。
また、圧力検出ユニット320には、モータ375が埋め込まれている。モータ375は、制御部60の制御下で回転する。モータ375は、その出力軸375aがZ軸方向(鉛直上方向)となるように、圧力検出ユニット320に埋め込まれている。そして、出力軸375aは、歯車376の中心軸に連結されている。このように出力軸375aが歯車376の中心軸に連結されているので、出力軸375aが回転すると、歯車376が回転する。
以上のように構成された結果、モータ375の出力軸375aが回転すると歯車376が回転し、歯車376が回転すると歯車377、378が回転し、歯車377が回転すると歯車379が回転し、歯車378が回転すると歯車380が回転し、歯車379が回転すると頭部371及び軸部373が進退し、歯車380が回転すると頭部372及び軸部374が進退する。つまり、モータ375の出力軸375aが回転すると、頭部371及び軸部373、並びに、頭部372及び軸部374が、進退する。これにより、制御部60は、ロードセル310の把持幅を自動的に調整することが可能となる。なお、当金370の変位量は、モータ375に内蔵されたエンコーダなどによって出力軸375aの回転量を検出することにより、検出可能である。
これにより、電子部品実装装置10は、ロードセル310の把持幅を目的の電子部品の幅に調整することができ、電磁弁をオフからオンにするタイミングを調整する際に遅延時間Δtをより正確に測定することができるので、時間のロスを少なくすることができ、タクトタイムを短縮することができ、生産性を向上させることができる。なお、電子部品実装装置10は、歯車376〜歯車377〜歯車379の駆動系と、歯車376〜歯車378〜歯車380の駆動系と、を対称に構成することにより、頭部371及び軸部373、並びに、頭部372及び軸部374を、均等に進退させることができる。
ところで、把持ノズルによって電子部品を把持するのに適切な把持力は、電子部品の質量、材質、電子部品に印加されるZ軸と反対方向(鉛直下方向)の加速度等によって異なる。そこで、把持ノズルによって電子部品を把持するのに適切な把持力を容易に決定できることが好ましい。
図22は、把持ノズルによって把持された電子部品に印加される力を示す図である。なお、図22では、説明の容易化のため、ノズル支持部33の図示を省略している。図22において、Fは把持力、mは電子部品80の質量、aは把持ノズル301の下降に伴い電子部品に印加される加速度、gは重力加速度である。
そこで、制御部60は、まず、ユーザが操作部40に入力した情報から、部品の質量、材質のデータを読み取る。次に、制御部60は、材質のデータから、把持ノズル301のチャック部303の把持部に取り付けられたラバーゴムとの摩擦係数を、予め登録された摩擦係数のデータベースから読み出す。そして、制御部60は、電子部品の重量、摩擦係数、部品落下を考慮しZ軸と反対方向(鉛直下方向)の加速度や安全率の情報に基づき、必要な把持力Fを次式(1)により計算する。
F=(mg+ma)S/2μ ・・・(1)
ここで、gは重力加速度、aは把持ノズル301の下降に伴い電子部品に印加される加速度、Sは安全率、μは摩擦係数である。
電子部品実装装置10は、式(1)で算出された把持力Fに基づき、先に説明した図17に示す処理を実行することで、電空レギュレータ330の設定圧力を自動的に決定することが可能となり、電空レギュレータ330の設定圧力を容易に決定することができ、適切な把持力で電子部品80を把持して基板8に挿入することができ、挿入不良を低減し、製品の歩留まりを向上させることができ、生産性を向上させることができる。
ところで、把持ノズルの経時変化などにより、把持ノズルが正常に開閉動作を行うことができなくなっていないかを確認することができれば、電子部品の把持ミスやそれに伴う電子部品、基板、電子部品実装装置自体の破損の可能性を低減できるので、好ましい。把持ノズルが正常に開閉動作を行うことができるか否かを検出するために、把持ノズルに開閉状態を検出するセンサを内蔵することも考えられる。
しかしながら、(1)把持ノズルはノズル支持部に取り付けられるので、軽量であることが要求されること、(2)把持ノズルをノズル支持部に脱着可能とするために、把持ノズル内蔵のセンサと制御部との電気的接続が困難であること、等の理由から、把持ノズルが正常に開閉動作を行うことができるか否かを検出するセンサを把持ノズルに内蔵することは困難である。なお、特許文献3には、電位差を利用することによりノズルの開閉状態を検出することが記載されているが、直接的にノズルの開閉状態を検知するものではない。
そこで、本実施形態は、把持ノズルにセンサを内蔵することなく、把持ノズルが正常に開閉動作を行うことができるか否かを検出できる機能を提供する。
図23は、把持ノズルが正常に開閉動作を行うことができるか否かの検出を示す側面図である。把持ノズル451は、ノズルベース454を有する。ノズルベース454の中央部からZ軸方向(鉛直上方向)に延在するように、取り付け部454aが形成されている。取り付け部454aは、ノズル支持部33に脱着可能である。なお、図23では、説明の容易化のため、ノズル支持部33の図示を省略している。把持ノズル451は、取り付け部454aがノズル支持部33に取り付けられることで、ノズル支持部33に支持される。取り付け部454aは、内部が空洞になっており、ノズル支持部33の空洞を介してノズル駆動部34内の電空レギュレータ(電子式真空レギュレータ)に連通される。
ノズルベース454内には、ノズルベース454の中央部から水平方向(図中左右方向)にそれぞれ延在し、軸方向が略一致する一対のシリンダが形成されている。各シリンダは、取り付け部454aの空洞と連通している。つまり、各シリンダは、取り付け部454aの空洞及びノズル支持部33の空洞を介して、ノズル駆動部34内の電空レギュレータに連通されている。
各シリンダには、2本のスライダ453の一方の端部が挿入されている。各スライダ453の他方の端部には、一対のチャック部452が取り付けられている。各スライダ453が各シリンダ内を進退することで、一対のチャック部452は、互いに近づく方向及び互いに遠ざかる方向に移動可能である。各スライダ453には、各スライダ453をノズルベース454から遠ざかる方向に付勢する付勢手段(例えば、ばねが例示される。)が配置されている。電空レギュレータ330によって把持ノズル451にエアが供給されるとシリンダに圧力が加わり、一対のチャック部452は、互いに近づく方向に移動し、供給圧力(正圧)に応じた把持力で電子部品又はロードセルを把持することができる。把持ノズル451にエアが供給されていない場合には、一対のチャック部452は、付勢手段の付勢力により、所定の距離を保って開いた状態とされる。なお、ここでは、把持ノズル451が、正圧により電子部品を把持する把持力を生ずるものとしているが、負圧又は真空により把持力を生ずるものとしても良い。
図24は、電子部品実装装置の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図24に示す処理動作は、把持ノズルが正常に開閉動作を行うことができるか否かを検出する動作である。また、図24に示す処理動作は、制御部60が各部の動作を制御することで実行される。
制御部60は、ステップS260として、把持ノズル451のチャック部452をレーザ認識装置38の光路の高さに移動させる。先に説明した図3に示すように、レーザ認識装置38は、光源38aと、受光素子38bと、を有する。レーザ認識装置38は、ブラケット50に内蔵されている。ブラケット50は、ヘッド支持体31の下側、基板8及び部品供給装置90側に連結されている。制御部60は、Z軸モータ34aを駆動させることで、ノズル支持部33をZ軸方向(鉛直方向)に移動させることで、図23に示すように、把持ノズル451を光源38aと受光素子38bとの間の光路の高さに移動させる。
制御部60は、ステップS262として、チャック部452を開く、つまり一対のチャック部452を互いに遠ざかる方向に移動させる。具体的には、制御部60は、電磁弁340をオフ状態に制御する。これにより、把持ノズル451は、エアの供給が遮断され、付勢手段の付勢力により、所定の距離を保って開いた状態とされる。
制御部60は、ステップS264として、チャック部452の外形寸法、つまり一対のチャック部452間の幅(間隔)を測定する。具体的には、制御部60は、ノズル駆動部34をθ方向に所定角度(例えば、180度、360度等)回転させることで、把持ノズル451をθ方向に所定角度回転させる。すると、把持ノズル451が光源38aと受光素子38bとの間の光路を遮る姿勢が変わるので、受光素子38bが受光する光が変化する。制御部60は、この光の変化を検出することで、チャック部452の外形寸法、つまり一対のチャック部452間の幅(間隔)を測定することができる。
制御部60は、ステップS266として、測定したチャック部452間の寸法と、予め記憶されているチャック部452が開いた時の基準寸法との差が許容値以下であるか否かを判定し、測定したチャック部452間の寸法と予め記憶されている基準寸法との差が許容値以下ではない(No)と判定したら、ステップS268として、エラーメッセージを表示部42に表示させて、本処理を終了する。
一方、制御部60は、ステップS266で、測定したチャック部452の寸法と予め記憶されている基準寸法との差が許容値以下である(Yes)と判定したら、ステップS270として、チャック部452を閉じる、つまり一対のチャック部452を互いに近づく方向に移動させる。具体的には、制御部60は、電磁弁340をオン状態に制御する。これにより、把持ノズル451は、エアが供給され、エアの圧力により閉じた状態とされる。
制御部60は、ステップS272として、チャック部452の外形寸法、つまり一対のチャック部452間の幅(間隔)を測定する。具体的には、制御部60は、ノズル駆動部34をθ方向に所定角度(例えば、180度、360度等)回転させることで、把持ノズル451をθ方向に所定角度回転させる。すると、把持ノズル451が光源38aと受光素子38bとの間の光路を遮る姿勢が変わるので、受光素子38bが受光する光が変化する。制御部60は、この光の変化を検出することで、チャック部452の外形寸法、つまり一対のチャック部452間の幅(間隔)を測定することができる。
制御部60は、ステップS274として、測定したチャック部452間の寸法と、予め記憶されているチャック部452が閉じた時の基準寸法との差が許容値以下であるか否かを判定し、測定したチャック部452間の寸法と予め記憶されている基準寸法との差が許容値以下ではない(No)と判定したら、ステップS276として、エラーメッセージを表示部42に表示させて、本処理を終了する。
一方、制御部60は、ステップS274で、測定したチャック部452間の寸法と予め記憶されている基準寸法との差が許容範囲以下である(Yes)と判定したら、エラーメッセージを表示部42に表示することなく、本処理を終了する。
このように、電子部品実装装置10は、把持ノズル451を光源38aと受光素子38bとの間の光路の高さに移動させ、把持ノズル451を開閉させることで、把持ノズル451が正常に開閉動作を行うことができるか否かを検出することができる。これにより、電子部品実装装置10は、把持ノズル451にセンサを内蔵することなく、把持ノズル451が正常に開閉動作を行うことができるか否かを検出することができる。これにより、電子部品実装装置10は、電子部品の把持ミスやそれに伴う電子部品、基板、電子部品実装装置自体の破損の可能性を低減できる。
また、電子部品実装装置10は、把持ノズル451が正常に開閉動作を行うことができない場合には、その旨のエラーメッセージを表示部42に表示するので、把持ノズル451が劣化していることや、メンテナンスが必要であることなどを、ユーザに知らせることができる。これにより、電子部品実装装置10は、電子部品の把持ミスやそれに伴う電子部品、基板、電子部品実装装置自体の破損の可能性を低減できる。
なお、図24の処理は、適宜のタイミングで実行することができる。例えば、その日の最初の電子部品実装装置10の稼働前、把持ノズルを交換した直後、把持する電子部品を変更・切り替える前、1枚の基板に対する電子部品の実装が終了した後、1ロットの製造が終了した後、等の適宜のタイミングで実行することができる。
なお、ここでは、一対のチャック部452が互いに近づく方向及び互いに遠ざかる方向に移動可能な把持ノズル451を例に説明したが、他のタイプの把持ノズル、例えば、図5に示した固定アーム202及び可動アーム204を有する把持ノズル(グリッパーノズル)201等でも、同様に検出可能である。
また、ここでは、一対のチャック部452の開閉状態をレーザ認識装置38で検出することとしているが、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ、超音波センサ等の他の種類のセンサで一対のチャック部452の開閉状態を検出することとしても良い。CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ、超音波センサ等の他の種類のセンサを用いて一対のチャック部452の開閉状態を検出する場合であっても、電子部品把持時は電子部品の形状、姿勢等を検出することに用いることができる。つまり、一対のチャック部452の開閉状態の検出用のセンサと、把持された電子部品の形状、姿勢等の検出用のセンサを兼用することができる。
ところで、基板には、様々な仕様(サイズ)の電子部品が実装される。そのため、電子部品実装装置においては、様々な仕様の電子部品を実装できることが望まれている。つまり、様々な仕様の電子部品を把持できる把持ノズルが望まれている。
図25は、様々な仕様の電子部品を把持できる把持ノズルの側面図である。図26は、図25の把持ノズルを鉛直上方向から鉛直下方向に見下ろした上面図である。なお、図25及び図26では、説明の容易化のため、ノズル支持部33の図示を省略している。
この把持ノズル401は、ノズルベース402を有する。ノズルベース402の中央部からZ軸方向(鉛直上方向)に延在するように、取り付け部402aが形成されている。取り付け部402aは、ノズル支持部33に脱着可能である。把持ノズル401は、取り付け部402aがノズル支持部33に取り付けられることで、ノズル支持部33に支持される。取り付け部402aは、内部が空洞になっており、ノズル支持部33の空洞を介してノズル駆動部34内の電空レギュレータ(電子式真空レギュレータ)に連通される。
ノズルベース402内には、ノズルベース402の中央部から水平方向(図中左右方向)にそれぞれ延在し、軸方向が略一致する一対のシリンダが形成されている。各シリンダは、取り付け部402aの空洞と連通している。つまり、各シリンダは、取り付け部402aの空洞及びノズル支持部33の空洞を介して、ノズル駆動部34内の電空レギュレータに連通されている。
各シリンダには、2本のスライダ405の一方の端部が挿入されている。各スライダ405の他方の端部には、一対のチャック開閉連結部407が取り付けられている。チャック開閉連結部407は、略鉛直方向に延在する板状の形状を有する。各チャック開閉連結部407の鉛直下側の面には、チャック部404が、鉛直下方向から鉛直上方向に向かってチャック開閉連結部407に螺合されたねじ414によって、固着されている。チャック部404は、ノズル中央方向に向かって略水平に延在する水平部分と、該水平部分のノズル中央側の端部からZ軸と反対方向(鉛直下方向)に向かって略垂直に延在する垂直部分と、を有し、側面視が略L字状の形状を有する爪412を備える。爪412の垂直部分のノズル中央側の面が、電子部品を把持する把持面となる。爪412の把持面には、把持面と電子部品との間の摩擦を増やし、電子部品が滑りづらくするためのゴム413が取り付けられている。
各スライダ405が各シリンダ内を進退することで、各チャック開閉連結部407が進退し、一対のチャック部404は、互いに近づく方向及び互いに遠ざかる方向に移動可能である。各スライダ405には、各スライダ405をノズルベース402から遠ざかる方向に付勢する付勢手段406(例えば、ばねが例示される。)が配置されている。電空レギュレータ330によって把持ノズル401にエアが供給されるとシリンダに圧力が加わり、一対のチャック部404は、互いに近づく方向に移動し、供給圧力(正圧)に応じた把持力で電子部品80又はロードセル310を把持することができる。把持ノズル401にエアが供給されていない場合には、一対のチャック部404は、付勢手段406の付勢力により、所定の距離を保って開いた状態とされる。なお、ここでは、把持ノズル401が、正圧により電子部品80を把持する把持力を生ずるものとしているが、負圧又は真空により把持力を生ずるものとしても良い。
ノズルベース402は、その軸方向がシリンダの軸方向と並行な転がり軸受409を有する。転がり軸受409には、シャフト408の一方の端部が挿入されており、シャフト408は、転がり軸受409によって進退可能に軸支されている。シャフト408の他方の端部は、チャック部404に取り付けられている。チャック部404は、シャフト408とスライダ405とで支えられることで、安定した姿勢を保つことができる。
ノズルベース402のシリンダの開口部には、爪開きストッパ410が設けられている。チャック部404は、爪開きストッパ410によって、開き方向の移動距離が制限される。また、ノズルベース402の取り付け部402aの根元部には、爪閉じストッパ411が設けられている。チャック部404は、爪閉じストッパ411によって、閉じ方向の移動距離が制限される。把持ノズル401は、これらの爪開きストッパ410及び爪閉じストッパ411により、開閉の移動距離が制限される。つまり、把持ノズル401は、後述するように爪を交換した場合であっても、爪の交換に影響されずに、開閉の移動距離が制限される。
図27は、チャック部の斜視図である。図28は、図27のチャック部の側面図である。チャック開閉連結部407には、Z軸方向(鉛直上下方向)にチャック開閉連結部407を貫通する2つの貫通孔407aが形成されている。貫通孔407aの内壁面には、螺旋の軸方向がZ軸方向(鉛直上下方向)の螺旋溝(雌ねじ溝)が形成されている。爪412の水平部分には、Z軸方向(鉛直上下方向)に爪412の水平部分を貫通する2つの貫通孔が形成されている。ねじ414は、鉛直下側から鉛直上方向に向かって爪412の貫通孔を貫通し、更にチャック開閉連結部407の貫通孔407aに形成された雌ねじ溝に螺合して、爪412をチャック開閉連結部407に固着している。
このように構成された把持ノズル401は、ねじ414を付け外すことで、爪412を交換することができる。そのため、様々な仕様(例えば、爪の水平部分の進退方向の長さ、爪の垂直部分の垂直方向の長さ等)の爪を用意しておき、電子部品の仕様(サイズ)に応じて、適切な爪を把持ノズル401に取り付けることができる。これにより、把持ノズル401は、様々な仕様の電子部品を基板に実装することができ、タクトを向上し、生産性を向上させることができる。
なお、爪を交換した際には、新たに装着した爪のプロファイルデータ(例えば、爪の各部の寸法、把持できる電子部品の把持幅の範囲、把持できる電子部品の鉛直方向の高さの範囲、把持できる電子部品の把持幅と直交する方向の幅の範囲等)を、制御部60に導入すると良い。爪のプロファイルデータは、磁気ディスク、半導体メモリ、LANやインターネットなどのネットワーク経由で導入することができる。これにより、制御部60は、より高い精度で爪を制御することができ、電子部品実装装置10は、電子部品の実装精度を向上させることができ、タクトを向上し、生産性を向上させることができる。なお、複数の爪のプロファイルデータを予め制御部60に導入しておき、爪を交換した際には、新たに装着した爪のプロファイルデータを選択するようにしても良い。
図29は、他のチャック部の斜視図である。図30は、図29のチャック部の分解斜視図である。このチャック部は、チャック開閉連結部427と、爪422と、を備える。チャック開閉連結部427には、Z軸方向(鉛直上下方向)にチャック開閉連結部427を貫通する2つの貫通孔427aが形成されている。貫通孔427aの内壁面には、螺旋の軸方向がZ軸方向(鉛直上下方向)の螺旋溝(雌ねじ溝)が形成されている。また、チャック開閉連結部427の下面には、キー427bが形成されている。キー427bは、チャック開閉連結部427の下面から鉛直下方向に向かって凸状の形状を有している。
爪422は、ノズル中央方向に向かって略水平に延在する水平部分と、該水平部分のノズル中央側の端部からZ軸と反対方向(鉛直下方向)に向かって略垂直に延在する垂直部分と、を有し、側面視が略L字状の形状を有する。爪422の垂直部分のノズル中央側の面が、電子部品を把持する把持面となる。爪422の把持面には、把持面と電子部品との間の摩擦を増やし、電子部品が滑りづらくするためのゴム413が取り付けられている。爪422の水平部分の中央には、チャック部の進退方向に沿って延在するキー溝422bが形成されている。キー溝422bは、チャック開閉連結部427のキー427bと嵌合する。爪422は、キー溝422bがチャック開閉連結部427のキー427bと嵌合することにより、爪422とチャック開閉連結部427との位置合わせが容易となると共に、爪422とチャック開閉連結部427との固着が安定する。
また、爪422の水平部分のキー溝422bの両側には、長手方向がチャック部の進退方向に沿った一対の貫通孔422aが形成されている。ねじ414は、鉛直下側から鉛直上方向に向かって爪422の貫通孔422aを貫通し、更にチャック開閉連結部427の貫通孔427aに形成された雌ねじ溝に螺合して、爪422をチャック開閉連結部427に固着している。
爪422は、キー溝422b及び貫通孔422aが、チャック部の進退方向に沿って延在している。そのため、爪422は、チャック開閉連結部427に固着される位置がチャック部の進退方向に沿って調整可能となっている。これにより、爪422は、電子部品の仕様(サイズ)に応じて、チャック部の進退方向の位置を調整することができる。これにより、爪422は、様々な仕様の電子部品を基板に実装することができ、タクトを向上し、生産性を向上させることができる。
図31は、他のチャック部の斜視図である。図32は、図31のチャック部の分解斜視図である。図33は、図32の矢印A方向からチャック部を見た分解斜視図である。図34は、図31のチャック部の側面図である。
このチャック部は、チャック開閉連結部437と、爪432と、を備える。チャック開閉連結部437のノズル中央と反対側の側面には、Z軸方向(鉛直方向)に沿って延在するキー溝437aが形成されている。キー溝437aの側面は、ノズル中央から離れる方向に向かうに従って先細りの形状を有している。また、チャック開閉連結部437の両側部には、チャック部の進退方向に沿ってチャック開閉連結部437を貫通する一対の貫通孔437bが形成されている。各貫通孔437bの内壁面には、螺旋の軸方向がチャック部の進退方向に沿った螺旋溝(雌ねじ溝)が形成されている。
爪432は、Z軸と反対方向(鉛直下方向)に向かって略垂直に延在する垂直部分を有し、側面視が略I字状の形状を有する。爪432のノズル中央側の面の下方が、電子部品を把持する把持面となる。爪432の把持面には、把持面と電子部品との間の摩擦を増やし、電子部品が滑りづらくするためのゴム413が取り付けられている。爪432のノズル中央側の面の上方には、Z軸方向(鉛直方向)に沿って延在する一対のキー432aが形成されている。キー432aの側面は、ノズル中央側に向かうに従って先が拡がるように形成されている。キー432aは、チャック開閉連結部437のキー溝437aと嵌合する。キー溝437aのZ軸と反対方向(鉛直下方向)は、キー溝底部437cが設けられている。そのため、キー432aは、チャック開閉連結部437の鉛直上方向からチャック開閉連結部437に接近し、チャック開閉連結部437に対して鉛直上方向から鉛直下方向に下降することで、キー溝437aに嵌合する。また、爪432は、キー432aの最下部がキー溝底部437cと当接したところで、下降が制限される。
爪432は、キー432aがチャック開閉連結部437のキー溝437aと嵌合することにより、爪432とチャック開閉連結部437との位置合わせが容易となると共に、爪432とチャック開閉連結部437との固着が安定する。
また、爪432のキー432aの両側には、チャック部の進退方向に沿って爪432を貫通する一対の貫通孔432bが形成されている。ねじ414は、ノズル中央方向に向かって爪432の貫通孔432bを貫通し、更にチャック開閉連結部437の貫通孔437bに形成された雌ねじ溝に螺合して、爪432をチャック開閉連結部437に固着している。
このように構成された爪432は、爪432と爪432との間隔をチャック開閉連結部437とチャック開閉連結部437との間隔よりも広くすることができる。これにより、爪432は、幅の大きい電子部品を把持することができる。これにより、把持ノズルは、様々な仕様の電子部品を基板に実装することができ、タクトを向上し、生産性を向上させることができる。
図35及び図36は、図25の把持ノズルで電子部品を把持する様子を示す側面図である。なお、図35及び図36では、説明の容易化のため、ノズル支持部33の図示を省略している。制御部60が電磁弁340をオフ状態に制御すると、把持ノズル401は、エアの供給が電磁弁340によって遮断される。そのため、把持ノズル401は、付勢手段406によって、一対のチャック部404が互いに遠ざかる方向に付勢され、図35に示すように、開いた状態となる。次に、制御部60が電磁弁340をオン状態に制御すると、把持ノズル401は、エアの供給が行われ、エアの圧力により一対のチャック部404が互いに近づく方向に移動され、電子部品80を把持することができる。
ところで、把持ノズル(チャックノズル)が比較的重い場合、ノズル支持部33に把持ノズルを装着した際、様々な問題が生ずる可能性がある。例えば、(1)θ軸制御のゲインが小さい(弱い)場合、把持ノズルの重量によりθ軸が振動、回転するという問題が生ずる可能性がある。また、(2)θ軸制御のゲインが大きい(強い)場合、ゲインの大きさによりθ軸を回転制御させるモータから異音が発生するという問題が生ずる可能性がある。このような重い把持ノズルで重い電子部品を把持した場合、上記の問題がさらに深刻になる可能性がある。これらの問題は、θ軸制御のゲインを固定にしたのでは解消が難しい。
なお、特許文献4には、サーボモータのゲインを切り替えることが記載されている。しかしながら、特許文献4記載の技術では、ゲイン切り替え時間のタクトロスが発生する。また、追従性が悪く(遅く)、高額なサーボシステムが必要である。
また、重い把持ノズルを装着して重い電子部品を把持した場合は、θ軸回りの角速度が高速のときと低速のときとで、最適なゲインが異なる。
また、ノズルをθ軸回りに回転させる直前のタイミングでゲインを切り替えるのでは、遅い。厳密には、重い把持ノズルを装着し、重い電子部品を把持しただけで、上記(1)、(2)の問題が発生する。
また、電子部品実装装置の起動直後の原点復帰では、把持ノズルを装着したか否かがメモリに記録されていないので、把持ノズルが装着されているか否かがソフトウェア(制御部60)では判定できないため、上記(1)、(2)の問題が発生する。
また、電子部品実装装置は、段取り動作として、各軸を任意に動作させる機能がある。そして、ユーザが手動で把持ノズルを取り外したり、取り付けたりする場合があるので、どのゲインでθ軸を回転制御させればよいかが判定できない。その場合は、上記(1)、(2)の問題が発生する。
そこで、本実施形態は、上記の問題を低減できるゲイン切り替え機能を提供する。
図37は、交換ノズル保持機構を示す平面図である。交換ノズル保持機構501は、4つのノズル収納部501a〜501dを有する。ノズル収納部501aは、図中左下に位置し、ノズル収納部501bは、図中右下に位置し、ノズル収納部501cは、図中左上に位置し、ノズル収納部501dは、図中右上に位置する。交換ノズル保持機構501上には、図中左右方向に摺動可能なスライドプレート502が設置されている。スライドプレート502は、交換ノズル保持機構501に設けられたシリンダ503によって、図中左右方向に摺動される。シリンダ503は、制御部60により動作制御される。
シリンダ503が縮んだとき、スライドプレート502は図中右方向に摺動され、シリンダ503が伸びたとき、スライドプレート502は図中左方向に摺動される。スライドプレート502が図中右方向に摺動されたとき、ノズル収納部501a及び501cが開放され、ノズル収納部501a及び501cへのノズルの収納及び取り出しが可能である。スライドプレート502が図中左方向に摺動されたとき、ノズル収納部501b及び501dが開放され、ノズル収納部501b及び501dへのノズルの収納及び取り出しが可能である。
図38は、ノズルを交換ノズル保持機構に返却する際の電子部品実装装置各部の動作タイミングを示すタイミングチャートである。図39は、ノズルを装着する際の電子部品実装装置各部の動作タイミングを示すタイミングチャートである。図40は、ノズルを交換ノズル保持機構に返却する際の電子部品実装装置各部の動作内容を示す図である。図41は、ノズルを装着する際の電子部品実装装置各部の動作内容を示す図である。
まず、図38及び図40を参照しながら、ノズルを交換ノズル保持機構に返却する際の電子部品実装装置の各部の動作について、説明する。制御部60は、X軸駆動部22及びY軸駆動部24を動作させ、ノズル支持部33をノズルを返却する位置に移動させる(図38及び図40中のタイミング1)。それと同時に、制御部60は、ノズル支持部33をノズルの有無を確認する高さに移動させるように、ノズル駆動部34を動作させ、ノズル支持部33をZ軸方向に移動させる(図38及び図40中のタイミング2)。それと同時に、制御部60は、スライドプレート501を開くように、シリンダ503を動作させる(図38及び図40中のタイミング3)。
制御部60は、ノズル支持部33の移動が完了したら(図38及び図40中のタイミング4)、レーザ認識装置38を動作させ、ノズルがノズル支持部33に装着されているか否かを判定する(図38及び図40中のタイミング5)。制御部60は、スライドプレート501のオープンを検出するオープンセンサがスライドプレート501のオープン完了を検出するのを待つ(図38及び図40中のタイミング6C)。
制御部60は、オープンセンサがスライドプレート501のオープン完了を検出したら、ノズル支持部33をZ軸方向に移動させ、スライドプレート501の位置に移動させる。なお、本実施形態では、ノズル支持部33をスライドプレート501の位置に移動させる際、2段階で移動させる(図38及び図40中のタイミング7及び8)。制御部60は、このタイミング7でのZ軸方向への移動開始と共に、θ回りの回転制御のゲインを、把持ノズル有り時のゲインから、把持ノズル無し時のゲインに切り替える。
制御部60は、ノズル支持部33がスライドプレート501の位置に移動完了したら、スライドプレート501のクローズを開始させ(図38及び図40中のタイミング9)、1回目のブロー(50ms)を行い(図38及び図40中のタイミング10)、続いて2回目のブロー(50ms)を行い(図38及び図40中のタイミング11)、スライドプレート501のクローズを検出するクローズセンサがスライドプレート501のクローズを検出するのを待つ(図38及び図40中のタイミング12C)。
制御部60は、クローズセンサがスライドプレート501のクローズ完了を検出したら、ノズル支持部33をZ軸方向に移動させ、ノズル交換高さに移動させる(図38及び図40中のタイミング13)。次に、制御部60は、ブローをオンにし(図38及び図40中のタイミング14)、ノズル支持部33をノズル交換高さに維持し、所定時間待つ(図38及び図40中のタイミング15A)。次に、制御部60は、ノズル支持部33をノズル確認高さに移動させ(図38及び図40中のタイミング16)、レーザ認識装置38でノズルの有無を確認する(図38及び図40中のタイミング17E)。制御部60は、このタイミング17までノズル支持部33のθ回りの回転を行わないので、θ回りの回転制御のゲインが確実に切り替わる。
次に、制御部60は、ノズル支持部33をX及びY軸方向に移動可能な高さにまでZ軸方向に移動させ(図38及び図40中のタイミング18)、ブローをオフする(図38及び図40中のタイミング19)。
次に、図39及び図41を参照しながら、ノズルを装着する際の電子部品実装装置の各部の動作について、説明する。制御部60は、電空レギュレータ330を動作させ、バキュームをオンにする(図39及び図41中のタイミング1)。次に、制御部60は、ノズル支持部33をノズルの有無を確認する高さに移動させるように、ノズル駆動部34を動作させ、ノズル支持部33をZ軸方向に移動させる(図39及び図41中のタイミング2)。
制御部60は、レーザ認識装置38を動作させ、ノズルがノズル支持部33に装着されているか否かを判定する(図39及び図41中のタイミング3)。次に、制御部60は、ノズル支持部33をX及びY軸方向に移動可能な高さにまでZ軸方向に移動させる(図39及び図41中のタイミング4)。制御部60は、ノズル支持部33がX及びY軸方向に移動可能な高さにまでZ軸方向に移動完了したら、ノズル支持部33をノズルを装着する位置に移動させるように、X軸駆動部22及びY軸駆動部24を動作させる(図39及び図41中のタイミング5)。
制御部60は、ノズル支持部33がノズルを装着する位置に移動完了したら(図39及び図41中のタイミング6)、ノズル支持部33をスライドプレート501の高さ+5mmの位置にまでZ軸方向に移動させる(図39及び図41中のタイミング7)。それと同時に、制御部60は、ノズル駆動部34を動作させ、ノズル支持部33をノズル装着角度にまでθ方向に回転させる(図39及び図41中のタイミング8)。次に、制御部60は、Z軸方向のダンピングを待つ(10ms)(図39及び図41中のタイミング9)。
制御部60は、レーザ認識装置38でノズルに故障がないか確認する(図39及び図41中のタイミング10)。次に、制御部60は、ノズル支持部33をノズル交換位置にまでZ軸方向に移動させる(図39及び図41中のタイミング11B)。次に、制御部60は、バキュームの圧力上昇を確認する(図39及び図41中のタイミング12)。次に、制御部60は、ノズル支持部33を、スライドプレート501が移動可能となる位置にまで、Z軸方向に移動させる(図39及び図41中のタイミング13)。制御部60は、このタイミング13でのノズル支持部33のZ軸方向への移動開始と共に、θ回りの回転制御のゲインを、把持ノズル無し時のゲインから、把持ノズル有り時のゲインに、切り替える。
制御部60は、ノズル支持部33がスライドプレート501が移動可能となる位置にまでZ軸方向に移動したら、バキュームをオフにする(図39及び図41中のタイミング14)。また、制御部60は、ブローをオンにする(図39及び図41中のタイミング15)。次に、制御部60は、スライドプレート501のオープン動作を開始させ(図39及び図41中のタイミング16)、オープンセンサがスライドプレート501のオープンを検出するまで待つ(図39及び図41中のタイミング17E)。制御部60は、オープンセンサがスライドプレート501のオープンを検出したら、ブローをオフにする(図39及び図41中のタイミング18)。
制御部60は、ノズル支持部33を、ノズル装着を確認する高さにまで、Z軸方向に移動させる(図39及び図41中のタイミング19)。次に、制御部60は、レーザ認識装置38でノズルの有無をチェックする(図39及び図41中のタイミング20)。制御部20は、このタイミング20までノズル支持部33をθ回りに回転させないので、θ回りの回転制御のゲインを確実に切り替えることができる。
制御部60は、スライドプレート501のクローズ動作を開始させ(図39及び図41中のタイミング21)、クローズセンサがスライドプレート501のクローズを検出するまで待つ(図39及び図41中のタイミング22D)。制御部60は、クローズセンサがスライドプレート501のクローズを検出したら、ノズル支持部33を、X及びY軸方向に移動可能な高さにまで、Z軸方向に移動させる(図39及び図41中のタイミング23)。
制御部60は、ノズル支持部33のZ軸方向への下降と同時にゲインを切り替えるので、ノズル支持部33が上昇するときには、ゲインが切り替わっている。
図42は、電子部品実装装置が電子部品を吸着する際の動作内容を示す図である。制御部60は、X軸駆動部22及びY軸駆動部24を動作させ、ノズル支持部33を電子部品吸着位置にまで、X及びY軸方向に移動させる(図42中のタイミング1)。次に、制御部60は、ノズル駆動部34を動作させ、ノズル支持部33をZ軸方向に下降移動させる(図42中のタイミング2)。制御部60は、このタイミング2でのノズル支持部33のZ軸方向への下降移動開始と共に、θ回りの回転制御のゲインを、電子部品無し時のゲインから、電子部品有り時のゲインに、切り替える。
次に、制御部60は、電空レギュレータ330を動作させ、バキュームをオンにする(図42中のタイミング3)。次に、制御部60は、ノズル支持部33がZ軸方向に下降完了するのを待つ(図42中のタイミング4)。次に、制御部60は、バキュームが安定するまで待つ(図42中のタイミング5)。ここで、電子部品は、ノズルに把持又は吸着される。次に、制御部60は、ノズル支持部33をZ軸方向に上昇させる(図42中のタイミング6)。次に、制御部60は、ノズル支持部33を電子部品実装位置にまで、X及びY軸方向に移動させる(図42中のタイミング7)。制御部60は、このタイミング7までノズル支持部33をθ回りに回転させないので、θ回りの回転制御のゲインを確実に切り替えることができる。
制御部60は、ノズル支持部33のZ軸方向への下降と同時にゲインを切り替えるので、ノズル支持部33が上昇するときには、ゲインが切り替わっている。
図43は、電子部品実装装置が電子部品を基板に搭載(実装)する際の動作内容を示す図である。制御部60は、X軸駆動部22及びY軸駆動部24を動作させ、ノズル支持部33を電子部品搭載位置にまで、X及びY軸方向に移動させる(図43中のタイミング1)。次に、制御部60は、ノズル駆動部34を動作させ、ノズル支持部33をZ軸方向に下降移動させる(図43中のタイミング2)。制御部60は、このタイミング2でのノズル支持部33のZ軸方向への下降移動開始と共に、θ回りの回転制御のゲインを、電子部品有り時のゲインから、電子部品無し時のゲインに、切り替える。
次に、制御部60は、電空レギュレータ330の動作を停止させ、バキュームをオフにする(図43中のタイミング3)。次に、制御部60は、ノズル支持部33がZ軸方向に下降完了するのを待つ(図43中のタイミング4)。次に、制御部60は、バキュームが安定するまで待つ(図43中のタイミング5)。ここで、電子部品は、基板上に搭載される。次に、制御部60は、ノズル支持部33をZ軸方向に上昇させる(図43中のタイミング6)。次に、制御部60は、ノズル支持部33を電子部品吸着位置にまで、X及びY軸方向に移動させる(図43中のタイミング7)。制御部60は、このタイミング7までノズル支持部33のθ回りの回転を行わないので、θ回りの回転制御のゲインが確実に切り替わる。
制御部60は、ノズル支持部33のZ軸方向への下降と同時にゲインを切り替えるので、ノズル支持部33が上昇するときには、ゲインが切り替わっている。
上記の動作により、電子部品実装装置10は、タクトダウンすることなく、ゲインを切り替えることが可能である。なお、上記の動作は、タクトダウンが発生しない好適な切り替え動作であるが、ノズル支持部33をθ方向に回転させる前であれば、ゲインをいつ切り替えても良い。
図44は、電子部品のイナーシャを説明するための図である。図44に示す電子部品461は、主面を貫く方向を回転軸とし、長手方向の長さがa、短手方向の長さがbの略直方体の形状を有する。この電子部品461の重量をMとすると、電子部品461のイナーシャJは、下記式(2)で表される。
この式(2)は、電子部品の重さからイナーシャを計算する代表的な計算式である。ユーザが使用(実装)する電子部品がどのような形状かわからないので、代表的な計算式でイナーシャを求める。
図45は、生産プログラムの作成画面を示す図である。この画面471は、部品データの入力画面を表しており、部品種別「角チップ」、荷姿「テープ」、外形寸法横(W):「1.00」、縦(L):「1.00」、高さ(H):「1.00」、その他寸法吸着深さ:「0.00」、ボス高さ:「0.00」、供給装置「8mm紙テープ」、ピッチ「2mm(2*1)」、部品供給角度「0°」、送りスピード使用「しない」、「高速」、部品廃棄「廃棄BOX」等が入力されている。
ユーザは、最低限の情報として電子部品の重さを入力する。制御部60は、ソフトウェア処理により、電子部品サイズから式(2)を用いてイナーシャを計算し、該当するイナーシャ区分を決定することができる。
画面471は、表示部42に表示しても良いし、電子部品実装装置10と通信可能なパーソナルコンピュータ等のディスプレイに表示しても良い。各種データの入力は、操作部40から行っても良いし、電子部品実装装置10と通信可能なパーソナルコンピュータ等の入力装置から行っても良い。
図46は、ゲインパラメータテーブルの一例を示す図である。このゲインパラメータテーブルを制御部60のメモリに保存し、制御部60は、動作時に該当するインデックスからゲインパラメータテーブルを参照し、ゲインを切りかえる。
図47は、ゲインパラメータの入力画面を示す図である。この画面472では、ゲインテーブルインデックス入力欄472dの値が、速度区分入力欄472c、ノズル区分入力欄472a及びイナーシャ区分入力欄472bと連動している。制御部60は、速度区分「0」が速度区分入力欄472cに、ノズル区分「1:中型チャック」がノズル区分入力欄472aに、イナーシャ区分「2:イナーシャ2」がイナーシャ区分入力欄472bに、それぞれ入力されると、ゲインテーブルインデックス入力欄472dに「120」を入力候補として表示する。
画面472は、表示部42に表示しても良いし、電子部品実装装置10と通信可能なパーソナルコンピュータ等のディスプレイに表示しても良い。各種データの入力は、操作部40から行っても良いし、電子部品実装装置10と通信可能なパーソナルコンピュータ等の入力装置から行っても良い。
図48は、ゲインテーブル及びゲイン切替(座標/速度)入力画面を示す図である。この画面473は、図47の画面472のゲインテーブルインデックスと連動している。制御部60は、画面472でゲインテーブルインデックス「120」が入力されると、ゲイン区分入力欄473aにゲイン区分「120」を表示し、負荷慣性モーメント比「50」、モデル制御ゲイン「130」、位置制御ゲイン「270」、速度制御ゲイン「4100」、速度積分補償「350」、速度微分補償「980」を、入力欄群473bに入力候補として表示する。また、制御部60は、軸共振制御フィルタ「1」、切替座標上限「0」、切替座標下限「0」、YL軸インデックス「1」、YR軸インデックス「2」を、入力欄群473cに入力候補として表示する。
画面473は、表示部42に表示しても良いし、電子部品実装装置10と通信可能なパーソナルコンピュータ等のディスプレイに表示しても良い。各種データの入力は、操作部40から行っても良いし、電子部品実装装置10と通信可能なパーソナルコンピュータ等の入力装置から行っても良い。
図49は、電子部品実装装置のゲイン切り替え動作の動作概要を示すフローチャートである。制御部60は、ステップS280として、ゲイン切り替え関数でノズル区分、イナーシャ区分、速度区分をセットする。次に、制御部60は、ステップS282として、ノズル支持部33をθ軸回りに回転させる。
図50は、電子部品実装装置のゲイン切り替え動作の詳細を示すフローチャートである。制御部60は、ステップS284として、速度区分、イナーシャ区分、ノズル区分からゲインをセットする。次に、制御部60は、ステップS286として、θ軸回りの回転制御のゲインを切り替えるタイミングを計るθゲイン切り替えタイマを起動する。
図51は、電子部品実装装置の軸移動動作を示すフローチャートである。制御部60は、ステップS290として、θ回りの回転制御のゲインを切り替え中であるか否かをチェックし、ゲインを切り替え中ではない(No)と判定したら、ステップS294として、軸移動(θ回りの回転)を行う。一方、制御部60は、ステップS290でゲインを切り替え中である(Yes)と判定したら、ステップS292として、先行して開始されたθ回りの回転制御のゲイン切り替えの完了が間に合わない場合の保険として、θ回りの回転制御のゲインが切り替わるのを確実に待ち、θ回りの回転制御のゲインの切り替えが完了したら、ステップS294として、軸移動(θ回りの回転)を行う。
図52は、電子部品実装装置のノズル支持部の原点復帰シーケンスを示すフローチャートである。制御部60は、ノズル支持部33の原点復帰前には把持ノズルが装着されているか否かがわからない。そこで、制御部60は、図52に示す手順でノズル支持部33の原点復帰を行う。
制御部60は、ステップS300として、把持ノズル(チャックノズル)を使用するか否かをチェックし、把持ノズル(チャックノズル)を使用しない(No)と判定したら、ステップS302として、通常の原点復帰(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθ軸方向)を行い、処理を終了する。
制御部60は、ステップS300で把持ノズル(チャックノズル)を使用する(Yes)と判定したら、ステップS304として、Z軸方向を原点復帰させる。次に、制御部60は、ステップS306として、把持ノズル(チャックノズル)のつめ部をレーザ認識装置38の光路の高さまで、Z軸方向に上昇させる。次に、制御部60は、ステップS308として、全ノズル支持部33のレーザ認識を行う。次に、制御部60は、ステップS310として、幅が所定長さ(把持ノズルが閉じた幅であり、例えば、20mm)以上あるか否かをチェックする。
制御部60は、ステップS310で幅が所定長さ以上ない(No)と判定したら、ステップS302として、通常の原点復帰(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθ軸方向)を行い、処理を終了する。
一方、制御部60は、ステップS310で幅が所定長さ以上ある(Yes)と判定したら、ステップS312として、ノズル支持部33をZ軸方向に下降させるアナウンスと共に、把持ノズル(チャックノズル)を取るようにユーザに促すアナウンスを表示部42に表示する。
次に、制御部60は、ステップS314として、ノズル支持部33をZ軸方向に上昇させるアナウンスを表示部42に表示する。
次に、制御部60は、ステップS316として、把持ノズル(チャックノズル)が取り外されたか否かをチェックし、ノズルが取り外された(Yes)と判定したら、処理を終了する。
一方、制御部60は、ステップS316で把持ノズル(チャックノズル)が取り外されていない(No)と判定したら、ステップS318として、ステップS306〜S316を所定回数(例えば、3回等)繰り返したか否かをチェックし、所定回数繰り返していない(No)と判定したら、処理をステップS306に進めて、再度ステップS306〜S318を実行する。
一方、制御部60は、ステップS318で所定回数繰り返した(Yes)と判定したら、ステップS320として、エラーメッセージを表示部42に表示して、処理を終了する。
制御部60は、原点復帰時には、原点復帰時のゲインでθ回転を行う。このとき、意図せず把持ノズル(チャックノズル)と電子部品が装着されている場合がある。このケースはどのような方法でも回避できないので、制御部60は、あらかじめ図52に示すシーケンスで原点復帰を行う。制御部60は、先にZ軸方向の原点復帰を行い(ステップS304)、把持ノズル(チャックノズル)をレーザ認識装置38の光路の高さまで移動させる(ステップS306)。制御部60は、レーザ認識にて把持ノズル(チャックノズル)幅を取得し(ステップS308)、所定長さ(例えば、20mm(中型チャックノズルが閉じた幅)以上であれば把持ノズル(チャックノズル)がついていると判断し(ステップS310でYes)、ユーザに手で取り外すようアナウンスを表示部42に表示する(ステップS312)。
図53は、段取りのための個別制御画面を示す図である。この画面474は、ノズル支持部33をθ軸方向に回転させる前にユーザにθ回りの回転制御のゲインの切り替えを行わせるための画面である。制御部60は、個別動作でノズル支持部33をθ軸方向に回転させるときは把持ノズル(チャックノズル)が装着されているかどうかがわからないときがある(ユーザが手で把持ノズル(チャックノズル)をノズル支持部33に装着した場合)。この場合、制御部60は、θ軸回りの回転制御のゲインを切り替える必要がある。ユーザは、ノズル区分入力欄474aでノズル区分(ここでは、「通常ノズル」、「中型チャック」、「大型チャック」)を選択し、ゲイン切替ボタン474cを押下することでθ回りの回転制御のゲインを切り替える。ユーザが選択したノズル区分は、ノズル区分拡大表示欄474b内に「今は、〜チャックです」と拡大表示される。ユーザが把持ノズル(チャックノズル)の重さを入力するのは煩わしいので、この場合は汎用的なゲインを設定する。
画面474は、表示部42に表示しても良いし、電子部品実装装置10と通信可能なパーソナルコンピュータ等のディスプレイに表示しても良い。各種データの入力は、操作部40から行っても良いし、電子部品実装装置10と通信可能なパーソナルコンピュータ等の入力装置から行っても良い。
本実施形態によれば、電子部品実装装置10は、θ軸回りの回転制御のゲインを切り替えることにより、把持ノズル(チャックノズル)が振動、回転する問題が発生することを低減することができる。また、電子部品実装装置10は、θ軸回りの回転制御のゲインを切り替えることにより、θ軸回りの異音が発生することを低減することができる。また、電子部品実装装置10は、タクトダウンを低減することができる。また、電子部品実装装置10は、ユーザの使い勝手の低下を極力抑制することができる。