JP6130695B2 - Igbt及びigbtの製造方法 - Google Patents
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Nd1 > 3326.7×exp(26.743×ΦBN) ・・・ (1)
Nd1 > 0.3593×exp(38.183×ΦBN) ・・・ (2)
1.実施形態1に係るIGBT
図1は、実施形態1に係るIGBT100を説明するために示す図である。図1(a)はIGBT100の断面図であり、図1(b)はIGBT100の不純物濃度プロファイルを示す図である。図1(b)において、実線は図1(a)のA1−A2断面に沿った不純物濃度プロファイルを示す線であり、破線は図1(a)のB1−B2断面に沿った不純物濃度プロファイルを示す線である。
Nd1 > 3326.7×exp(26.743×ΦBN) ・・・ (1)
Nd1 > 0.3593×exp(38.183×ΦBN) ・・・ (2)
実施形態1に係るIGBT100によれば、低濃度半導体層114とショットキバリア金属層との境界面に存在するショットキ接合から低濃度半導体層114及びドリフト層112に少数キャリアが注入されることから、従来第1のIGBT700よりも少数キャリアの注入量及び蓄積量を低くすることが可能となり、ひいては、従来第1のIGBT700よりもターンオフ損失Eoffを低減することが可能となる。
実施形態1に係るIGBT100は、以下に示す製造工程を有する製造方法(実施形態1に係るIGBTの製造方法)により製造することができる。図2は、実施形態1に係るIGBTの製造方法を説明するために示す図である。図2(a)〜図2(d)は各工程である。実施形態1に係るIGBTの製造方法は、図2に示すように、「半導体基板準備工程」、「絶縁ゲートトランジスタ形成工程」、「研削・研磨工程」及び「コレクタ電極層形成工程」をこの順序で実施する。以下、実施形態1に係るIGBTの製造方法を工程順に説明する。
まず、n−型のドリフト層112及びn−−型の低濃度半導体層114が積層された半導体基板(シリコン製のエピ基板)110を準備する(図2(a)参照。)。ドリフト層112の厚さは50〜150μm(例えば100μm)であり、ドリフト層112の不純物濃度は1.0×1013cm−3〜1.0×1015cm−3(例えば2.0×1014cm−3)である。低濃度半導体層114の厚さは400〜600μm(例えば500μm)であり、低濃度半導体層114の不純物濃度は1.0×1012cm−3〜1.0×1014cm−3(例えば1.0×1013cm−3)である。
その後、半導体基板110の第1主面側に絶縁ゲートトランジスタを形成する(図2(b)参照。)。
その後、半導体基板110を第2主面側から研削・研磨して、n−−型の低濃度半導体層114を残しつつ、半導体基板110を薄くする(図2(c)参照。)。研削・研磨工程後のn−−型の低濃度半導体層114の厚さは5〜30μm(例えば20μm)である。
図3は、実施形態2に係るIGBT200を説明するために示す図である。図3(a)はIGBT200の断面図であり、図3(b)はIGBT200の不純物濃度プロファイルを示す図である。図3(b)において、実線は図3(a)のA1−A2断面に沿った不純物濃度プロファイルを示す線であり、破線は図3(a)のB1−B2断面に沿った不純物濃度プロファイルを示す線である。図4及び図5は、実施形態2に係るIGBTの製造方法を説明するために示す図である。図4(a)〜図4(c)及び図5(a)〜図5(c)は各工程図である。
引き上げ法(CZ法)により製造された半導体基板210を準備する(図4(a)参照。)。半導体基板210は、工程終了後に、ドリフト層212及び低濃度半導体層214,215を有する半導体基板となる。半導体基板210の厚さは400〜600μm(例えば500μm)であり、半導体基板210の不純物濃度は1.0×1012cm−3〜1.0×1014cm−3(例えば1.0×1013cm−3)である。
その後、半導体基板210の第1主面側に絶縁ゲートトランジスタを形成する。この絶縁ゲートトランジスタ形成工程は、不活性雰囲気下1100℃以上の温度で半導体基板の熱処理を行う高温熱処理工程(チャネル拡散工程)を含む。その結果、半導体基板210の第1主面側及び第2主面側からは酸素が外方拡散され、半導体基板210の第1主面側表面近傍及び第2主面側表面近傍で低酸素濃度領域213が形成される(図4(b)参照。)。
その後、半導体基板210を第2主面側から研削・研磨して半導体基板を薄くする。その結果、半導体基板210の第2主面側の低酸素濃度領域213が除去され、半導体基板210の第2主面側表面近傍においても酸素濃度がバルクの酸素濃度と同じ濃度となる。研削・研磨工程後の半導体基板210の厚さは70〜170μm(例えば120μm)である。
その後、400〜550℃の温度範囲で半導体基板210の熱処理を行うことで半導体基板210の低酸素濃度領域213を除く領域において酸素由来のサーマルドナーを5.0×1013cm−3以上(例えば1.0×1014cm−3)生成させて、半導体基板210の低酸素濃度領域213を除く領域において半導体基板210の不純物濃度を高くする(図5(a)参照。)。なお、この工程で、半導体基板210の第1主面側近傍の低酸素濃度領域213がn−−型の低濃度半導体層215となり、中間領域がn−型のドリフト層212となる。低温熱処理工程はこれを主目的とする工程として実施しても良いし、他の工程(例えばエミッタ電極層をシンターする工程)と兼ねて実施してもよい。
その後、半導体基板210の第2主面側から半導体基板210にレーザ照射を行い、半導体基板210における第2主面側表面近傍に存在するサーマルドナーを除去することにより、n−−型の低濃度半導体層214を形成する(図5(b)参照。)。なお、この工程で、半導体基板210の中間領域(第1主面側の低酸素濃度領域213と第2主面側の低酸素濃度領域213に挟まれていた領域)は、n−型のドリフト層212となる。
その後、半導体基板210の第2主面側表面にショットキバリア金属層(例えば白金/ΦBN:0.84eV、Ir/ΦBN:0.93eV)を含む積層膜からなるコレクタ電極層230を形成する(図5(c)参照。)。
図6は、実施形態3に係るIGBT300を説明するために示す図である。図6(a)はIGBT300の断面図であり、図6(b)はIGBT300の不純物濃度プロファイルを示す図である。図6(b)において、実線は図6(a)のA1−A2断面に沿った不純物濃度プロファイルを示す線であり、破線は図6(a)のB1−B2断面に沿った不純物濃度プロファイルを示す線である。図7及び図8は、実施形態2に係るIGBTの製造方法を説明するために示す図である。図7(a)〜図7(c)及び図8(a)〜図8(b)は各工程図である。
引き上げ法(CZ法)により製造された半導体基板310を準備する(図7(a)参照。)。半導体基板310は、工程終了後に、ドリフト層312及び低濃度半導体層314,315を有する半導体基板となる。半導体基板310の厚さは400〜600μm(例えば500μm)であり、半導体基板310の不純物濃度は1.0×1012cm−3〜1.0×1014cm−3(例えば1.0×1013cm−3)である。
その後、半導体基板310を第2主面側から研削・研磨して半導体基板を薄くする。研削・研磨工程後の半導体基板310の厚さは70〜170μm(例えば120μm)となる(図7(b)参照。)。
その後、半導体基板310の第1主面側に絶縁ゲートトランジスタを形成する。この絶縁ゲートトランジスタ形成工程は、不活性雰囲気下1100℃以上の温度で半導体基板の熱処理を行う高温熱処理工程(チャネル拡散工程)を含む。その結果、半導体基板310の第1主面側及び第2主面側からは酸素が外方拡散され、半導体基板310の第1主面側表面近傍及び第2主面側表面近傍で低酸素濃度領域313が形成される(図7(c)参照。)。
その後、400〜550℃の温度範囲で半導体基板310の熱処理を行うことで半導体基板310の第1主面側及び第2主面側の低酸素濃度領域313を除く中間領域で酸素由来のサーマルドナーを5.0×1013cm−3以上(例えば1.0×1014cm−3)発生させて、半導体基板310の第1主面側近傍の低酸素濃度領域313及び第2主面側近傍の低酸素濃度領域313を除く中間領域において半導体基板310の不純物濃度を高くする(図8(a)参照。)。なお、この工程で、半導体基板310の第1主面側近傍の低酸素濃度領域313及び第2主面側近傍の低酸素濃度領域313がn−−型の低濃度半導体層314,315となり、中間領域がn−型のドリフト層312となる。低温熱処理工程はこれを主目的とする工程として実施しても良いし、他の工程(例えばエミッタ電極層をシンターする工程)と兼ねて実施してもよい。
その後、半導体基板310の第2主面側表面にショットキバリア金属層(例えば白金/ΦBN:0.84eV、Ir/ΦBN:0.93eV)を含む積層膜からなるコレクタ電極層330を形成する(図8(b)参照。)。
試験例1は、本発明のIGBTが従来第3のIGBTよりもコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)及びターンオフ損失Eoffの製造ばらつきが小さいことを明らかにするための試験例である。図9は、試験例1及び2の条件及び結果を示す図表である。図10は、試験例1の結果を示す図である。図11は、試験例1における要因効果図である。図11(a)は条件2〜5(実施例)における要因効果図であり、図11(b)は条件7〜10(比較例)における要因効果図である。
(1)実施例に係るIGBT(5個)
本発明のIGBTから5個のIGBT(条件1〜5に係るIGBT/実施例)を構成した。これらのうち、低濃度半導体層の不純物濃度Nd2、低濃度半導体層の厚さD2及びショットキバリア金属層のバリアハイトΦBNを図9の標準条件1のものとしたIGBTを条件1に係るIGBTとし、低濃度半導体層の不純物濃度Nd2、低濃度半導体層の厚さD2及びショットキバリア金属層のバリアハイトΦBNをL4直交表に従って標準条件1のものから変化させたIGBT(Nd2:標準条件1±0.15×1013cm−3(±15%)D2:標準条件1±5μm、ΦBN:標準条件1±0.01eV)を条件2〜5に係るIGBTとした(図9参照。)。
また、従来第3のIGBTから5個のIGBT(条件6〜10に係るIGBT/比較例)を構成した。これらのうち、高濃度半導体領域の不純物濃度Nd2、高濃度半導体領域の厚さD2及びショットキバリア金属層のバリアハイトΦBNを標準条件2のものとしたIGBTを条件6に係るIGBTとし、高濃度半導体領域の不純物濃度Nd2、高濃度半導体領域の厚さD2及びショットキバリア金属層のバリアハイトΦBNをL4直交表に従って標準条件2のものから変化させたIGBT(Nd2:標準条件2±0.60×1014cm−3(±15%)、D2:標準条件2±5μm、ΦBN:標準条件2±0.01eV)を条件7〜10に係るIGBTとした(図9参照。)。
試験は、上記した条件1〜10のIGBTについて、コレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)及びターンオフ損失Eoffを半導体デバイスシミュレータを用いてシミュレーションすることによって行った。
試験の結果を図9〜図11に示す。その結果、図9及び図10からも分かるように、本発明のIGBT(条件1〜5に係るIGBT(実施例))が従来第2のIGBT(条件6〜10に係るIGBT(比較例))よりもコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)及びターンオフ損失Eoffの製造ばらつきが小さいことが明らかとなった。
試験例2は、本発明のIGBTが従来第3のIGBTよりも高温環境下におけるターンオフ損失(Eoff)を低くすることが可能となることを明らかにするための試験例である。また、本発明のIGBTの「コレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)の温度依存性(dVCE(sat)/dT)」がIGBTの想定使用温度範囲(例えば25℃〜125℃)において正であることを明らかにするための試験例である。図12は、試験例2の結果を示す図である。
(1)実施例に係るIGBT(1個)
本発明のIGBTのうち、低濃度半導体層の不純物濃度Nd2、低濃度半導体層の厚さD2及びショットキバリア金属層のバリアハイトΦBNを標準条件1のものとしたIGBT、すなわち条件1に係るIGBTを実施例として試験例2の試験に供した。
また、従来第3のIGBTのうち、高濃度半導体領域の不純物濃度Nd2、高濃度半導体領域の厚さD2及びショットキバリア金属層のバリアハイトΦBNを標準条件2のものとしたIGBT、すなわち条件6に係るIGBTを比較例として試験例2の試験に供した。
試験は、条件1に係るIGBT(実施例)及び条件6に係るIGBT(比較例)について、コレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)及びターンオフ損失Eoffを半導体デバイスシミュレータを用いてシミュレーションすることによって行った。
試験の結果を図9及び図12に示す。その結果、図9及び図12からも分かるように、本発明のIGBT(条件1に係るIGBT)が従来第3のIGBT(条件6に係るIGBT)よりも高温環境下(125℃)におけるターンオフ損失(Eoff)を低くすることが可能となる(154.3μJ vs 261.3μJ)ことが明らかとなった。
試験例3は、本発明のIGBTにおいては、コレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)の温度依存性(dVCE(sat)/dT)が、25℃〜125℃の温度範囲において正である理由を明らかにするための試験例である。図13は、試験例3の結果を示すグラフである。図13(a)は条件1に係るIGBT(実施例)における深さ方向に沿った導通時のキャリア濃度分布を示す図であり、図13(b)は条件6に係るIGBT(比較例)における深さ方向に沿った導通時のキャリア濃度分布を示す図である。
(1)実施例に係るIGBT(1個)
低濃度半導体層の不純物濃度Nd2、低濃度半導体層の厚さD2及びショットキバリア金属層のバリアハイトΦBNを標準条件1のものとしたIGBT、すなわち条件1に係るIGBTを実施例として試験例3の試験に供した。
また、高濃度半導体領域の不純物濃度Nd2、高濃度半導体領域の厚さD2及びショットキバリア金属層のバリアハイトΦBNを標準条件2のものとしたIGBT、すなわち条件6に係るIGBTを比較例として試験例3の試験に供した。
試験は、条件1に係るIGBT(実施例)及び条件6に係るIGBT(比較例)について、導通時(スイッチオン時)における深さ方向に沿ったキャリア濃度分布を、半導体デバイスシミュレータを用いて、コレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)評価時の条件(コレクタ電流IC:10A、ゲートエミッタ電圧VGE:15V)の下でシミュレーションすることによって行った。
試験の結果を図13に示す。その結果、図13からも分かるように、実施例においては、ショットキバリア金属のバリアハイトΦBN(0.84eV)が比較例におけるショットキバリア金属のバリアハイトΦBN(0.93eV)よりも0.09eV低いことに起因して少数キャリアの注入量自体は少なくなっているが、「ショットキ接合」から「ドリフト層と低濃度半導体層との界面」に向けて正孔の蓄積量が増大し、その結果、ドリフト層におけるキャリア濃度は比較例の場合とほぼ同等の値になっている。これにより、25℃のときのコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)及びターンオフ損失Eoffが、実施例と比較例とでほぼ同等の値を示すことが理解できる(図12参照。)。
試験例4は、「ドリフト層の不純物濃度Nd1」及び「ショットキバリア金属層のバリアハイトΦBN」をどのような範囲にすれば、「低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)の低減効果」が生ずるのかを明らかにするための試験例である。図14は、試験例4の条件を示す図表である。図15及び図16は、試験例4の結果を示す図である。
(1)条件11に係るIGBT(6個)
低濃度半導体層を配設したIGBT(低濃度半導体層の不純物濃度Nd2:1.00×1013cm−3、低濃度半導体層の厚さD2:20μm、ドリフト層の厚さD1:100μm)を配設したIGBTを条件11〜15に係るIGBTとした。これらのうち、「ドリフト層の不純物濃度Nd1」を5.00×1013cm−3にするとともに「ショットキバリア金属層のバリアハイトΦBN」を0.80eV、0.84eV、0.88eV、0.92eV、0.96eV、1.00eVにしたIGBTを条件11に係るIGBTとした(図14参照。)。
上記のIGBTのうち、「ドリフト層の不純物濃度Nd1」を2.00×1014cm−3にするとともに「ショットキバリア金属層のバリアハイトΦBN」を0.80eV、0.84eV、0.88eV、0.92eV、0.96eV、1.00eVにしたIGBTを条件12に係るIGBTとした(図14参照。)。
上記のIGBTのうち、「ドリフト層の不純物濃度Nd1」を8.00×1014cm−3にするとともに「ショットキバリア金属層のバリアハイトΦBN」を0.80eV、0.84eV、0.88eV、0.92eV、0.96eV、1.00eVにしたIGBTを条件13に係るIGBTとした(図14参照。)。
上記のIGBTのうち、「ドリフト層の不純物濃度Nd1」を3.20×1015cm−3にするとともに「ショットキバリア金属層のバリアハイトΦBN」を0.80eV、0.84eV、0.88eV、0.92eV、0.96eV、1.00eVにしたIGBTを条件14に係るIGBTとした(図14参照。)。
上記のIGBTのうち、「ドリフト層の不純物濃度Nd1」を1.30×1016cm−3にするとともに「ショットキバリア金属層のバリアハイトΦBN」を0.80eV、0.84eV、0.88eV、0.92eV、0.96eV、1.00eVにしたIGBTを条件15に係るIGBTとした(図14参照。)。
低濃度半導体層を配設しないIGBTとして、「ドリフト層の不純物濃度Nd1」を2.00×1014cm−3にし、「ドリフト層の厚さD1」を100μmにするとともに、「ショットキバリア金属層のバリアハイトΦBN」を0.80eV、0.84eV、0.88eV、0.92eV、0.96eV、1.00eVにしたIGBTを条件16に係るIGBTとした(図14参照。)。
試験は、上記した条件11〜16に係るIGBT36個について、コレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)を半導体デバイスシミュレータを用いてシミュレーションし、条件11〜15に係るIGBT30個について得られたコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)のそれぞれを条件16に係るIGBT6個について得られたコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)で除することによって得られた値を算出し、その値を「『ショットキバリア金属層のバリアハイトΦBN』を横軸とし『低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)の低減効果』を縦軸とした」グラフにプロットすることにより行った。なお、このグラフにおいては、『低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)の低減効果』が100%未満の場合に『低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)の低減効果』があると判断できる。また、『低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)の低減効果』が95%未満、90%未満、85%未満、・・・の場合には、100%未満の場合よりもより一層大きな『低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)の低減効果』があると判断できる。
試験の結果を図15及び図16に示す。その結果、図15に示すように、条件11に係るIGBTにおいては、ショットキバリア金属層のバリアハイトΦBNが0.875eV未満である場合に「低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)低減効果」が得られることが分かった。また、条件12に係るIGBTにおいては、ショットキバリア金属層のバリアハイトΦBNが0.929eV未満である場合に「低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)低減効果」が得られることが分かった。また、条件13に係るIGBTにおいては、ショットキバリア金属層のバリアハイトΦBNが0.982eV未満である場合に「低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)低減効果」が得られることが分かった。また、条件14及び条件15に係るIGBTにおいては、ショットキバリア金属層のバリアハイトΦBNが0.80eV〜1.00eVの範囲内においてはどの範囲であっても「低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)低減効果」が得られることが分かった。なお、条件14に係るIGBTにおいては、得られた曲線を1.05eVまで外挿することにより、ショットキバリア金属層のバリアハイトΦBNが0.875eV未満である場合に「低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)低減効果」が100%未満となり、「低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)低減効果」が得られることが推測できた。
Nd1 > 3326.7×exp(26.743×ΦBN) ・・・ (1)
Nd1 > 0.3593×exp(38.183×ΦBN) ・・・ (2)
試験例5は、ショットキ接合からの少数キャリアの注入量が同じとなる条件下(すなわち、ショットキバリア金属層と接触する半導体層(低濃度半導体層又はドリフト層)の不純物濃度が同じとなる条件下)で比較したとき、低濃度半導体層の不純物濃度をどのような範囲にしたときに、「低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)の低減効果」が得られるのかを明らかにするための試験例である。図17は、試験例5の条件及び結果を示す図表である。図18は、試験例5の結果を示す図である。
(1)条件17〜22に係るIGBT
低濃度半導体層を配設したIGBT(低濃度半導体層の不純物濃度Nd2:1.0×1012cm−3〜2.0×1014cm−3、低濃度半導体層の厚さD2:20μm)を配設したIGBTを条件17〜22に係るIGBTとした。これらのIGBTのうち、「低濃度半導体層の不純物濃度Nd2」が1.0×1012cm−3であるIGBTを条件17に係るIGBTとし、「低濃度半導体層の不純物濃度Nd2」が1.0×1013cm−3であるIGBTを条件18に係るIGBTとし、「低濃度半導体層の不純物濃度Nd2」が5.0×1013cm−3であるIGBTを条件19に係るIGBTとし、「低濃度半導体層の不純物濃度Nd2」が1.0×1014cm−3であるIGBTを条件20に係るIGBTとし、「低濃度半導体層の不純物濃度Nd2」が1.5×1014cm−3であるIGBTを条件21に係るIGBTとし、「低濃度半導体層の不純物濃度Nd2」が2.0×1014cm−3であるIGBTを条件22に係るIGBTとした(図17参照。)。なお、これらのIGBTにおいて、ドリフト層の不純物濃度Nd1はこれを2.0×1014cm−3とし、ドリフト層の厚さD1はこれを100μmとした。従って、条件22に係るIGBTは、低濃度半導体層とドリフト層が同じ不純物濃度を有しこれらの層が連続しているIGBT(ドリフト層の厚さD1が120μmのIGBT)とも言える。
低濃度半導体層を配設しないIGBTを条件23〜28に係るIGBTとした。これらのIGBTのうち、「ドリフト層の不純物濃度Nd1」が1.0×1012cm−3であるIGBTを条件23に係るIGBTとし、「ドリフト層の不純物濃度Nd2」が1.0×1013cm−3であるIGBTを条件24に係るIGBTとし、「ドリフト層の不純物濃度Nd2」が5.0×1013cm−3であるIGBTを条件25に係るIGBTとし、「ドリフト層の不純物濃度Nd2」が1.0×1014cm−3であるIGBTを条件26に係るIGBTとし、「ドリフト層の不純物濃度Nd2」が1.5×1014cm−3であるIGBTを条件27に係るIGBTとし、「ドリフト層の不純物濃度Nd2」が2.0×1014cm−3であるIGBTを条件28に係るIGBTとした。なお、これらのIGBTにおいて、ドリフト層の厚さD1はこれを100μmとした(図17参照。)。
試験は、上記した条件17〜28のIGBTについて、コレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)を半導体デバイスシミュレータを用いてシミュレーションすることによって行った。
試験の結果を図17及び図18に示す。その結果、図17及び図18からも分かるように、低濃度半導体層の不純物濃度が1.0×1014cm−3以下のときに、「低濃度半導体層を配設したことによるコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)の低減効果」が得られることが明らかとなった。
Claims (7)
- 第1導電型のドリフト層と、
前記ドリフト層の第1主面側表面に露出するように、かつ、前記ドリフト層の内部に選択的に形成してなる第2導電型のベース領域と、
前記ドリフト層の第1主面側表面に露出するように、かつ、前記ベース領域の内部に選択的に形成してなる第1導電型のエミッタ領域と、
前記ドリフト層、前記ベース領域及び前記エミッタ領域の表面所定領域に形成してなるゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に積層させて形成してなるゲート電極層と、
前記ゲート絶縁層及び前記ゲート電極層を覆うように形成してなる保護絶縁層と、
前記ベース領域及び前記エミッタ領域に接するように形成してなるエミッタ電極層と、
前記ドリフト層の第2主面側表面に形成してなり、前記ドリフト層よりも低濃度の第1導電型不純物を含有する第1導電型の低濃度半導体層と、
前記低濃度半導体層上に形成してなるショットキバリア金属層を含むコレクタ電極層とを備えるIGBTであって、
前記ドリフト層の不純物濃度をNd1とし、前記ショットキバリア金属層のバリアハイトをΦBNとしたとき、以下の式(1)
Nd1 > 3326.7×exp(26.743×ΦBN)・・・(1)
を満たすIGBTを製造するためのIGBTの製造方法であって、
引き上げ法により製造された半導体基板であって、前記ドリフト層及び前記低濃度半導体層となる半導体基板を準備する半導体基板準備工程と、
前記半導体基板の第1主面側に絶縁ゲートトランジスタを形成する工程であって、不活性雰囲気下1100℃以上の温度で前記半導体基板の熱処理を行う高温熱処理工程を含む絶縁ゲートトランジスタ形成工程と、
前記半導体基板を第2主面側から研削・研磨して前記半導体基板を薄くする研削・研磨工程と、
400〜550℃の温度範囲で前記半導体基板の熱処理を行うことで前記半導体基板の第1主面側の所定領域を除く領域で酸素由来のサーマルドナーを5×1013cm−3以上発生させる低温熱処理工程と、
前記半導体基板の第2主面側から前記半導体基板にレーザ照射を行い、前記半導体基板における前記第2主面近傍に存在していた前記サーマルドナーを除去することにより、前記ドリフト層及び前記低濃度半導体層を形成するレーザ照射工程と、
前記半導体基板の第2主面側に前記ショットキバリア金属層を含むコレクタ電極層を形成するコレクタ電極層形成工程とを含むことを特徴とするIGBTの製造方法。 - 第1導電型のドリフト層と、
前記ドリフト層の第1主面側表面に露出するように、かつ、前記ドリフト層の内部に選択的に形成してなる第2導電型のベース領域と、
前記ドリフト層の第1主面側表面に露出するように、かつ、前記ベース領域の内部に選択的に形成してなる第1導電型のエミッタ領域と、
前記ドリフト層、前記ベース領域及び前記エミッタ領域の表面所定領域に形成してなるゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に積層させて形成してなるゲート電極層と、
前記ゲート絶縁層及び前記ゲート電極層を覆うように形成してなる保護絶縁層と、
前記ベース領域及び前記エミッタ領域に接するように形成してなるエミッタ電極層と、
前記ドリフト層の第2主面側表面に形成してなり、前記ドリフト層よりも低濃度の第1導電型不純物を含有する第1導電型の低濃度半導体層と、
前記低濃度半導体層上に形成してなるショットキバリア金属層を含むコレクタ電極層とを備えるIGBTであって、
前記ドリフト層の不純物濃度をNd1とし、前記ショットキバリア金属層のバリアハイトをΦBNとしたとき、以下の式(1)
Nd1 > 3326.7×exp(26.743×ΦBN)・・・(1)
を満たすIGBTを製造するためのIGBTの製造方法であって、
引き上げ法により製造された半導体基板であって、前記ドリフト層及び前記低濃度半導体層となる半導体基板を準備する半導体基板準備工程と、
前記半導体基板を第1主面側又は第2主面側から研削・研磨して前記半導体基板を薄くする研削・研磨工程と、
前記半導体基板の第1主面側に絶縁ゲートトランジスタを形成する工程であって、不活性雰囲気下1100℃以上の温度で前記半導体基板の熱処理を行う高温熱処理工程を含む絶縁ゲートトランジスタ形成工程と、
400〜550℃の温度範囲で前記半導体基板の熱処理を行うことで前記半導体基板の第1主面側及び第2主面側の所定領域を除く領域で酸素由来のサーマルドナーを5×1013cm−3以上発生させて、前記ドリフト層及び前記低濃度半導体層を形成する低温熱処理工程と、
前記半導体基板の第2主面側に前記ショットキバリア金属層を含むコレクタ電極層を形成するコレクタ電極層形成工程とを含むことを特徴とするIGBTの製造方法。 - 以下の式(2)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のIGBTの製造方法。
Nd1 > 0.3593×exp(38.183×ΦBN) ・・・ (2) - 前記低濃度半導体層の不純物濃度Nd2が、1.0×10 14 cm −3 以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のIGBTの製造方法。
- 前記低濃度半導体層の不純物濃度Nd2が、5.0×10 13 cm −3 以下であることを特徴とする請求項4に記載のIGBTの製造方法。
- 前記低濃度半導体層の不純物濃度Nd2が、1.0×10 13 cm −3 以下であることを特徴とする請求項5に記載のIGBTの製造方法。
- 前記IGBTのコレクタ・エミッタ飽和電圧VCE(sat)の温度依存性(dVCE(sat)/dT)が、25℃〜125℃の温度範囲において正であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のIGBTの製造方法。
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