<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、需要家に電力を供給する電力事業者には、電力を発電する発電会社、電力を送配する送配電会社、電力を小売りする小売会社など、様々な形態の事業者が想定されるが、以下の説明においては、説明を容易にするため、需要家に電力を供給する形態に関わらず、「電力会社」という。また、以下の説明においては、電力管理システムによる各種の情報(データ、信号)の送受信において、「電力会社」とは、その電力会社の電力料金サーバ、その他のサーバ装置を意味することがある。また、以下の説明では、例えば、引っ越しなどによって需要家が移転することに伴って、電力の供給条件として電力会社を変更する場合を例として説明する。図1は、本第1の実施形態における電力管理システムの概略構成を示したブロック図である。電力管理システム1は、スマートメーター10と、HEMSコントローラ20と、電力情報表示端末30とから構成される。
スマートメーター10は、電力会社によって構築された電力線が接続され、電力会社から供給された電力を需要家の家庭内に配電すると共に、需要家が消費した電力量(以下、「消費電力量」という)を計測する消費電力計測装置である。スマートメーター10による消費電力量の計測は、例えば、30分間隔、1時間間隔、1日間隔など、予め定めた間隔毎に行われる。スマートメーター10は、計測した消費電力量を表す情報(以下、「消費電力量情報」という)を、通信機能によって、需要家に電力を供給している電力会社およびHEMSコントローラ20に逐次送信する。図1に示した電力管理システム1には、スマートメーター10が、需要家の家庭内に構成された電力線を通信回線として利用するPLC通信によって、計測した消費電力量情報をHEMSコントローラ20に送信する構成を示している。また、消費電力量情報は、所定のプロトコル(例えば、ECHONET Lite)を用いて送信される。
なお、スマートメーター10が消費電力量情報を電力会社に送信する方法も、電力会社とスマートメーター10との間に構成されたPLC通信を利用することが考えられるが、本第1の実施形態においては、電力会社とスマートメーター10との間の通信方法に関しては、特に規定しない。
HEMSコントローラ20は、インターネット(不図示)を介して電力会社のサーバ装置などから取得した電力会社の電力料金の情報や料金体系の情報に基づいて、スマートメーター10から送信されてきた消費電力量情報から、需要家が消費した電力量や電気料金などを視覚的に確認するための情報(以下、「電気料金情報」という)に変換する電力管理装置である。HEMSコントローラ20は、需要家の家庭内での通信環境をまとめるホームサーバとしての機能も備えている。そして、HEMSコントローラ20は、変換した電気料金情報を、需要家によって操作される電力情報表示端末30からの要求に応じて、電力情報表示端末30に送信する。図1に示した電力管理システム1には、HEMSコントローラ20が、需要家の家庭内において、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11などの無線通信規格、いわゆる、WiFi(登録商標)などの無線通信を使用して、変換した電気料金情報を電力情報表示端末30に送信する構成を示している。
また、HEMSコントローラ20は、需要家によって操作された電力情報表示端末30からの指示、つまり、需要家からの指示に応じて、電力の供給を受ける電力会社を変更する際に需要家が行う手続きを支援する。より具体的には、需要家が現在契約している電力会社との契約廃止(解約)の手続き、および移転先において電力の供給を受けるために新たに契約する電力会社との新規契約の手続きを行う。また、HEMSコントローラ20は、新たに契約した電力会社の電力料金の情報や料金体系の情報に基づいて、移転先のスマートメーター(以下の説明においては、移転先のスマートメーターを、「スマートメーター11」という)から送信されてきた消費電力量情報を電気料金情報に変換するために、HEMSコントローラ20自体の設定変更(初期化など)を行う。なお、HEMSコントローラ20による現在契約している電力会社との契約廃止(解約)の手続き、および新たに契約する電力会社との新規契約の手続きは、需要家が移転する前に行われ、HEMSコントローラ20自体の設定変更(初期化など)は、需要家が移転した後に行われる。なお、HEMSコントローラ20の構成および処理に関する詳細な説明は、後述する。
電力情報表示端末30は、HEMSコントローラ20から送信されてきた電気料金情報を、例えば、電力情報表示端末30に備えた表示装置に表示させることによって、電気料金情報を明示する機能と、需要家による操作を受け付ける機能とを有する表示端末装置である。電力情報表示端末30は、例えば、需要家が使用するパーソナルコンピュータ、既存の移動体通信網を利用した携帯電話機(いわゆるスマートフォンを含む)、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)(いわゆるタブレット端末を含む)などの電子機器である。つまり、電力情報表示端末30は、HEMSコントローラ20から送信されてきた電気料金情報を表示装置に表示させるのみではなく、需要家が移転することに伴って電力の供給元である電力会社の変更を行うための指示や情報を入力する入力端末でもある。そして、電力情報表示端末30は、需要家によって入力された、電力の供給を受ける電力会社の変更を行うための指示や情報を、無線通信によってHEMSコントローラ20に送信する。
スマートメーター11は、需要家の移転先の家庭に設置された消費電力計測装置である。つまり、需要家が移転した後には、新たに契約した電力会社から、スマートメーター11を介して電力の供給を受けることになる。スマートメーター11の機能や動作は、スマートメーター10と同様であるため、詳細な説明は省略する。
このような構成によって、電力管理システム1は、需要家の移転前後の家庭内に構成される。つまり、電力管理システム1は、機能は同じであるが、需要家が移転する前と移転した後では、異なる機器で構成される。より具体的には、需要家が移転する前では、スマートメーター10と、HEMSコントローラ20と、電力情報表示端末30とによって電力管理システム1が構成され、需要家の移転した後には、スマートメーター11と、HEMSコントローラ20と、電力情報表示端末30とによって電力管理システム1が構成される。図1には、移転後の電力管理システム1を構成するスマートメーター11が、移転先の需要家の家庭内に構成されたPLC通信によって、計測した消費電力量情報をHEMSコントローラ20に送信する構成も併せて示している。
次に、HEMSコントローラ20の構成について説明する。図2は、本第1の実施形態の電力管理システムに備えた電力管理装置(HEMSコントローラ20)の概略構成を示したブロック図である。図2に示したように、HEMSコントローラ20は、制御部201と、スマートメーター通信部202と、インターネット通信部203と、データ記憶部204と、データ処理部205と、手続き支援部206と、無線通信部207とを備えている。なお、インターネット通信部203と無線通信部207は同体であってもよい。
制御部201は、所定の制御プログラムを実行することにより、HEMSコントローラ20に備えたそれぞれの構成要素、すなわち、スマートメーター通信部202、インターネット通信部203、データ記憶部204、データ処理部205、手続き支援部206、および無線通信部207のそれぞれを制御する制御部である。制御部201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置から構成される。
スマートメーター通信部202は、PLC通信によってスマートメーター10またはスマートメーター11と通信を行うインターフェース部である。スマートメーター通信部202は、スマートメーター10またはスマートメーター11からPLC通信によって送信されてきた消費電力量情報を所定のプロトコルで受信し、受信した消費電力量情報のデータをデータ記憶部204に出力して記憶させる。
インターネット通信部203は、インターネット(不図示)上に構築された電力会社のサーバ装置などと通信を行うインターフェース部である。インターネット通信部203は、電力会社が提供している電力料金や料金体系を表す情報(以下、「契約料金情報」という)を、インターネット(不図示)を介して取得し、取得した契約料金情報のデータをデータ記憶部204に出力して記憶させる。より具体的には、インターネット通信部203は、需要家が現在契約している電力会社が提供している契約料金情報(以下、「移転前契約料金情報」という)を、インターネット(不図示)を介して取得し、取得した契約料金情報のデータをデータ記憶部204に出力して記憶させる。また、インターネット通信部203は、需要家が移転した後に契約する電力会社が提供している契約料金情報を、インターネット(不図示)を介して取得し、取得した契約料金情報(以下、「移転後契約料金情報」という)のデータをデータ記憶部204に出力して記憶させる。
なお、インターネット通信部203が取得する電力料金の情報や料金体系の情報は、それぞれの電力会社のサーバ装置から取得するのみではなく、例えば、経済産業省などが提供している、認可された複数の電力会社のそれぞれの契約料金の情報を集約したサーバ装置などから取得してもよい。また、例えば、HEMSコントローラ20を製造する際に、予め複数の電力会社の契約料金情報をデータ記憶部204などに記憶させておき、その後に定期的にインターネット通信部203が取得して更新する構成であってもよい。また、例えば、HEMSコントローラ20を販売する販売会社のサーバ装置が、複数の電力会社の契約料金情報をまとめたデータを公開している場合には、インターネット通信部203が、定期的に公開されたデータをそれらのサーバ装置から取得して更新する構成であってもよい。
データ処理部205は、データ記憶部204に記憶されているデータに基づいて、需要家に電気料金を通知する情報を生成する処理部である。データ処理部205は、データ記憶部204に記憶されている契約料金情報のデータに基づいて、データ記憶部204に記憶されている消費電力量情報のデータを電気料金情報のデータに変換し、変換した電気料金情報のデータを、需要家が現在契約している電力会社における電気料金情報のデータとしてデータ記憶部204に出力して記憶させる。
なお、需要家が移転する前に、移転後契約料金情報がデータ記憶部204に記憶されている場合には、データ処理部205は、データ記憶部204に記憶されている移転後契約料金情報のデータに基づいて、データ記憶部204に記憶されている消費電力量情報のデータを、移転後の電力会社と契約した際の仮想の電気料金情報のデータに変換することもできる。この場合、データ処理部205は、変換した電気料金情報のデータを、需要家が移転後に契約する電力会社における電気料金情報のデータとしてデータ記憶部204に出力して記憶させる。
データ記憶部204は、スマートメーター通信部202から出力された消費電力量情報のデータ、およびインターネット通信部203から出力された移転前契約料金情報や移転後契約料金情報のデータを記憶する記憶部である。また、データ記憶部204は、データ処理部205から出力された電気料金情報(仮想の電気料金情報も含む)のデータを記憶する記憶部でもある。データ記憶部204は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの一時記憶用のメモリや、HDD(Hard disk drive)などの記憶装置から構成される。
なお、データ記憶部204には、HEMSコントローラ20が需要家を識別するための情報、電力会社が需要家を識別するための情報、契約している料金体系を識別するための情報として、例えば、識別情報(ID)やパスワードなどの情報も記憶している。
無線通信部207は、無線通信によって電力情報表示端末30と通信を行うインターフェース部である。無線通信部207は、データ記憶部204に記憶されている電気料金情報のデータを無線通信によって電力情報表示端末30に送信する。これにより、電力情報表示端末30が、表示装置に電気料金情報を表示させ、需要家は、過去に消費した消費電力量や現在消費している消費電力量を確認することができる。
また、無線通信部207は、データ記憶部204に仮想の電気料金情報のデータが記憶されている場合には、この仮想の電気料金情報のデータを無線通信によって電力情報表示端末30に送信する。これにより、電力情報表示端末30が、表示装置に仮想の電気料金情報を表示させ、需要家は、移転後に電力の供給を受ける電力会社における電気料金などを視覚的に確認することができる。また、需要家は、移転をする前に、電力情報表示端末30を操作して、電力の供給元である電力会社の変更を行うための指示や情報を入力する。電力情報表示端末30は、電力の供給を受ける電力会社の変更を行うことを表す指示や情報を受け付け、受け付けた指示や情報をHEMSコントローラ20に送信することができる。ここで、無線通信部207は、需要家が移転することに伴った電力会社の変更の指示を受信したことを表す情報を、制御部201や手続き支援部206に出力する。また、無線通信部207は、電力会社の変更の情報を、制御部201や手続き支援部206に出力する。この電力会社の変更の情報には、契約変更をする際の条件(以下、「移転条件」という)が含まれている。以下の説明においては、無線通信部207が制御部201や手続き支援部206に出力する電力会社の変更の情報を、「移転条件情報」という。
手続き支援部206は、無線通信部207から入力された電力会社の変更の指示を受信したことを表す情報に応じて、電力会社との契約を変更する手続きを行う処理部である。手続き支援部206における電力会社との契約変更手続きの処理は、需要家が現在契約している電力会社に対する契約廃止(解約)の手続きの処理と、移転先において新たに契約する電力会社に対する新規契約の手続きの処理とを含む。なお、手続き支援部206におけるそれぞれの処理は、無線通信部207から入力された移転条件情報に基づいて行われる。移転条件情報には、例えば、需要家によって指定された、それぞれの処理を開始する時期の情報が含まれている。手続き支援部206は、需要家によって指定された時期に、需要家が現在契約している電力会社に対する契約廃止(解約)の手続きの処理と、新たに契約する電力会社に対する新規契約の手続きの処理とのそれぞれの処理を行う。
また、手続き支援部206は、需要家が移転した後に、インターネット通信部203によって移転前契約料金情報を取得する取得先となるサーバ装置を、新たに契約を開始した料金体系や電力会社のサーバ装置に変更する。より具体的には、手続き支援部206は、移転後に電力の供給を受ける電力会社を変更した以降に需要家に電気料金を通知する処理のための設定変更(初期化など)を行う。ここで、インターネット通信部203は、需要家の移転先で新たに契約した電力会社から契約料金情報(つまり、移転後契約料金情報)のデータを、移転前契約料金情報のデータとして取得し、データ処理部205は、移転後の移転前契約料金情報のデータに基づいて、データ記憶部204に記憶されている消費電力量情報のデータを電気料金情報のデータに変換する。そして、需要家は、移転先で新たに契約した電力会社の料金体系で、契約の変更が成立した以降に消費した消費電力量の確認をすることができる。
このような構成のHEMSコントローラ20を備えた本第1の実施形態の電力管理システム1は、需要家の移転前後において、スマートメーター10またはスマートメーター11から直接送信されてきた消費電力量情報に基づいて、つまり、Bルート(図15参照)で取得した消費電力量情報に基づいて、消費した電力量や電気料金などを確認するための視覚的な情報(電気料金情報)を需要家に提示する。より具体的には、需要家が移転する前には、スマートメーター10からBルートで取得した消費電力量情報に基づき、需要家が移転した後には、スマートメーター11からBルートで取得した消費電力量情報に基づいて、消費した電力量や電気料金などを確認するための視覚的な情報(電気料金情報)を需要家に提示する。また、本第1の実施形態の電力管理システム1は、需要家が移転することに伴って入力された電力の供給元である電力会社の変更を行うための指示に応じて、需要家が電力の供給を受ける電力会社を変更する際の手続きと、新たに契約した電力会社の料金体系の情報への変更作業とを支援する。
ここで、本第1の実施形態の電力管理システム1において、需要家が移転することに伴った電力会社の変更の指示や情報を受け付ける方法について説明する。図3〜図5は、本第1の実施形態の電力管理システム1において電力情報表示端末30に表示する情報の一例を示した図である。図3〜図5に示した表示する情報のそれぞれには、電力管理システム1において、需要家が、電力情報表示端末30を操作して電力会社の変更の指示を入力する方法の一例も示している。なお、図3〜図5に示した表示の一例では、電力情報表示端末30がタブレット端末であり、電力情報表示端末30に備えた表示装置が、表示部と、例えば、押圧センサとが組み合わされて構成されたタッチパネル式の表示装置であるものとして説明する。
図3に示した表示の一例は、グラフによって電力使用量と電気料金とを表示した場合の一例である。図3に示した表示の一例では、電力情報表示端末30に備えた表示装置に、スマートメーター10が、つまり、需要家が移転する前において、30分間隔で計測した2日分の消費電力量情報のそれぞれを変換した電気料金情報のデータを、30分毎にそれぞれの棒グラフで表示し、対応する電気料金のそれぞれを折れ線グラフで表示している。図3に示した表示の一例では、現在契約している電力会社(A社)の電気料金の表示と共に、需要家が移転することに伴って電力の供給元である電力会社の変更を行うための指示を入力するためのユーザーインタフェースとして「移転手続き」ボタンを表示している。より具体的には、AA月BB日およびXX月YY日において契約されている電力会社(A社)との「定額制」の契約における電気料金の変化を示したグラフの右下に、「移転手続き」ボタンを表示している。
これにより、需要家は、現在の契約におけるそれぞれの時間帯における電気料金の差を確認することができる。そして、需要家は、例えば、引っ越しなどによって移転する場合には、電力情報表示端末30の表示装置に表示された「移転手続き」のボタンをタッチ(タップなど)することによって、移転に伴って電力の供給を受ける電力会社を変更する契約変更手続き(移転手続き)の指示を入力することができる。これにより、電力情報表示端末30が、契約変更の指示を無線通信によってHEMSコントローラ20に送信し、HEMSコントローラ20が、電力会社との契約変更の手続き(移転の手続き)を行う。
また、図4に示した表示の一例は、グラフと文字とによって電力使用量と電気料金とを表示した場合の一例である。図4に示した表示の一例では、電気料金情報のデータを30分毎に棒グラフで示した2日分のグラフを上下に並べて表示し、対応する1日の電力使用量と電気料金とを文字で表示している。図4に示した表示の一例では、現在契約している電力会社(A社)における1日あたりの電気料金を比較するためのそれぞれのグラフに、対応する電力使用量と電気料金との情報を表示すると共に、需要家が移転することに伴って電力の供給元である電力会社の変更を行うための指示を入力するためのユーザーインタフェースとして「移転手続き」ボタンを表示している。より具体的には、現在契約している電力会社(A社)の「定額制」の契約において、AA月BB日では、「電力使用量=8024wh」のときに「電気料金=200.6円」であり、XX月YY日では、「電力使用量=7919wh」のときに「電気料金=195.4円」であることを比較するグラフの右下に、「移転手続き」ボタンを表示している。
これにより、需要家は、現在の契約における日毎の電気料金の差を確認することができる。そして、需要家は、移転する場合に、電力情報表示端末30の表示装置に表示された「移転手続き」のボタンをタッチ(タップなど)することによって、移転に伴う契約変更の指示を入力することができる。これにより、図3に示した表示の一例の説明と同様に、HEMSコントローラ20が、電力会社との契約変更の手続き(移転の手続き)を行う。
また、図5に示した表示の一例は、グラフによって電力使用量を表示し、その後の需要家の操作に応じて文字によって電力使用量と電気料金とを表示することができるようにした場合の一例である。図5に示した表示の一例では、現在契約している電力会社(A社)の「定額制」の契約において、電気料金情報のデータを30分毎に棒グラフで示した2日分のグラフの表示と、対応する1日の電力使用量と電気料金との文字の表示を、需要家が操作することによって切り替える場合の表示している。そして、それぞれの表示において、需要家が移転することに伴って電力の供給元である電力会社の変更を行うための指示を入力するためのユーザーインタフェースとして「移転手続き」ボタンを表示している。より具体的には、図5(a)には、AA月BB日における30分毎の電力使用量の変化を表す棒グラフ、図5(b)には、AA月BB日の1日の電力使用量と電気料金との情報を表示している。また、図5(c)には、XX月YY日における30分毎の電力使用量の変化を表す棒グラフ、図5(d)には、XX月YY日の1日の電力使用量と電気料金との情報を表示している。そして、需要家が、電力情報表示端末30を操作して図5(a)〜図5(d)の一例に示したそれぞれの表示を切り替えることによって、現在契約している電力会社(A社)の「定額制」の契約における情報を比較することができるようにしている。
例えば、図5(a)に表示された「AA月BB日(A社定額制)」の表示領域をタッチ(タップなど)することによって、図5(b)に示したAA月BB日の電力使用量と電気料金との情報の表示に切り替え、図5(a)に表示されたAA月BB日における電力使用量の変化を表す棒グラフの表示領域をタッチ(タップやフリックなど)することによって、図5(c)に示したXX月YY日における電力使用量の変化を表す棒グラフの表示に切り替える。また、例えば、図5(c)に表示された「XX月YY日(A社定額制)」の表示領域をタッチ(タップなど)することによって、図5(d)に示したXX月YY日の電力使用量と電気料金との情報の表示に切り替える。また、例えば、図5(b)に表示されたAA月BB日の電力使用量と電気料金との情報の表示領域をタッチ(タップやフリックなど)することによって、図5(d)に示したXX月YY日の電力使用量と電気料金との情報の表示に切り替える。
なお、図5(a)に示した表示から図5(b)に示した表示へ切り替え、および図5(c)に示した表示から図5(d)に示した表示へ切り替えは、電力情報表示端末30の表示装置における全ての表示領域の切り替えに限定されるものではない。例えば、図5(a)に示した表示に図5(b)に示した表示を重畳することによって、図5(b)に示した表示が図5(a)に示した表示の一部の領域にポップアップして表示されるようにしてもよい。
これにより、需要家は、現在の契約における日毎の電気料金の差を確認および比較することができる。そして、需要家は、移転する場合に、電力情報表示端末30の表示装置に表示されたいずれかの「移転手続き」のボタンをタッチ(タップなど)することによって、移転に伴う契約変更の指示を入力することができ。これにより、図3および図4に示した表示の一例の説明と同様に、HEMSコントローラ20が、電力会社との契約変更の手続き(移転の手続き)を行う。
なお、図3〜図5においては、需要家が電力使用量と電気料金とを比較することができるように、スマートメーター10が計測した2日分の消費電力量情報のデータを利用した、つまり、需要家が実際に消費した消費電力量の実績値を利用して、電気料金情報のデータを電力情報表示端末30の表示装置に表示させる場合を説明した。しかし、電気料金情報のデータを表示させるために利用する消費電力量情報のデータは、図3〜図5において説明した方法において利用したデータに限定されるものではない。例えば、同じ1日分の消費電力量情報のデータ(実績値)を利用して、1日分の電気料金情報のデータを電力情報表示端末30の表示装置に表示させてもよい。
また、需要家が契約変更の指示を入力する方法として、図3〜図5における説明では、需要家が操作する電力情報表示端末30に表示された「移転手続き」のボタンに対して操作を行う方法を示した。しかし、需要家が契約変更の指示を入力する方法は、図3〜図5において説明した方法に限定されるものではない。例えば、HEMSコントローラ20に契約変更を行うためのユーザーインタフェースとして専用のボタンを設け、需要家が、この「移転手続きボタン」を押下する方法によって、契約変更の指示を入力する構成にすることもできる。
そして、HEMSコントローラ20は、契約変更の指示が入力されると、契約変更をする際の条件(移転条件)の情報を入力するための入力画面を、電力情報表示端末30の表示装置に表示させる。図6は、本第1の実施形態の電力管理システム1において電力会社を変更する際の情報(移転条件情報)を入力するために電力情報表示端末30に表示する入力画面の一例を示した図である。
図6に示した表示の一例は、移転前の契約に対する移転条件と移転後の契約に対する移転条件とのそれぞれを入力するための入力領域とを表示した場合の一例である。より具体的には、移転前の契約に対する移転条件情報を入力する入力領域として、現在契約している電力会社の会社名「A社」および料金プラン、つまり、料金体系「定額制」を表示すると共に、契約の終了、つまり、契約廃止(解約)を行う期日を入力するための空白の領域を示している。また、移転後の契約に対する移転条件情報を入力する入力領域として、移転先において新たに契約する電力会社の会社名、料金プラン、契約する住所、契約の開始、つまり、新規契約を行う期日を入力するための空白の領域を示している。需要家は、電力情報表示端末30を操作してそれぞれの空白の領域に情報を入力した後、「OK」ボタン(ユーザーインタフェース)をタッチ(タップなど)することによって、電力の供給を受ける電力会社の変更を行うための移転条件情報を入力する。電力情報表示端末30は、需要家によって移転条件情報が入力されると、入力された移転条件情報を、無線通信によってHEMSコントローラ20に送信する。HEMSコントローラ20は、電力情報表示端末30から送信された移転条件情報を受信すると、受信した移転条件情報に基づいて、需要家が現在契約している電力会社に対する契約廃止(解約)の手続きの処理と、移転先において新たに契約する電力会社に対する新規契約の手続きの処理とを開始する。なお、図6に示した表示の一例には、契約変更の指示や移転条件情報の入力を破棄(キャンセル)するためのユーザーインタフェースとして「キャンセル」ボタンも表示している。
なお、図6においては、移転後の契約に対する移転条件情報として入力する会社名および料金プランの領域を空白の領域としたが、例えば、会社名の領域の入力を、プルダウンで表示される電力会社から選択し、その後、選択された電力会社が提供している料金プラン(料金体系)をプルダウンで選択して料金プランの領域を入力するようにしてもよい。なお、図6に示したように、移転前の契約に対する移転条件である、現在契約している電力会社と料金プラン(料金体系)の領域は、HEMSコントローラ20にすでに設定されている情報であるため、選択や直接入力する方法ではなく、予め入力されている状態で表示させることが望ましい。
そして、HEMSコントローラ20は、電力会社との契約変更の手続きが完了すると、例えば、移転先において電力の供給を受けるために新たに契約する電力会社との新規契約の手続きが完了した後のタイミングで最初に需要家に電気料金情報を提示する際に、契約変更の手続き(移転の手続き)が完了したことを表す通知を電力情報表示端末30に表示させる。図7は、本第1の実施形態の電力管理システム1において電力会社の変更を行った通知を電力情報表示端末30に表示する一例を示した図である。
図7に示した表示の一例は、スマートメーター11が、つまり、需要家が移転した後において、電気料金情報のデータを30分毎に棒グラフで示した1日分のグラフを表示する電力情報表示端末30の表示領域の一部に、契約変更の手続きが完了したことを表す通知をポップアップで表示する場合の一例を示している。より具体的には、NN月MM日における30分毎の電力使用量の変化を表す棒グラフの一部の領域に、「II/JJから電力会社(B社)の夜特プランに契約が変更されている」ことを表す通知を表示する場合を示している。これにより、需要家は、電力の供給を受ける電力会社が変更されたことを確認することができる。なお、図7に示した契約変更の手続きが完了したことを表す通知は、新たに契約する電力会社との新規契約の手続きが完了した後のタイミングであれば、いかなるタイミングで行われてもよい。
<第1の処理シーケンス>
次に、本第1の実施形態の電力管理システム1における電力会社との契約変更の手続きを行うための処理の流れについて説明する。図8は、本第1の実施形態の電力管理システム1による電力会社の契約変更手続きにおける第1の処理シーケンスを示したシーケンス図である。以下の説明においては、「移転手続き」ボタンの操作、すなわち、移転に伴う契約変更の指示に応じて、需要家が現在契約している電力会社(A社)との契約廃止(解約)の手続きを行い、移転先において電力の供給を受ける電力会社(B社)との新規契約の手続きを行う、つまり、電力会社(A社)から電力会社(B社)に契約を変更する場合の処理シーケンスについて説明する。なお、以下の説明においては、説明を容易にするため、契約変更の指示が入力されたときには、移転条件情報がすでに入力済みであるものとして説明する。
まず、需要家が、図3〜図5に示した「移転手続き」のボタンをタッチ(タップなど)するなどの操作によって、契約変更の指示を入力すると、ステップS100において、電力情報表示端末30は、移転に伴って電力の供給を受ける電力会社を変更する契約変更手続き(移転手続き)の指示を受け付け、その契約変更の指示と移転条件情報とを、HEMSコントローラ20に送信する。
続いて、HEMSコントローラ20は、電力情報表示端末30から送信された契約変更の指示を受信すると、需要家が現在契約している電力会社に対する契約廃止(解約)の手続きの処理、および新たに契約する電力会社に対する新規契約の手続きの処理(契約変更手続き処理)を開始する。契約変更手続き処理では、まず、ステップS200において、HEMSコントローラ20は、移転前の契約に対する移転条件情報に含まれた、需要家が現在契約している電力会社(A社)に対して、契約廃止(解約)の申し込みを行う。このステップS200における契約廃止(解約)の申し込みでは、移転前の契約に対する移転条件情報に含まれた契約を終了する期日を表す情報と共に、契約を廃止する需要家を識別するための識別情報として、例えば、電力会社(A社)が需要家に対して設定した顧客IDや、この顧客IDに対応するパスワードなどの契約廃止申込情報を、電力会社(A社)のサーバ装置に送信する。なお、契約廃止申込情報には、例えば、スマートメーター10に対して固有に設定された識別ID(固有ID)がさらに含まれてもよい。そして、HEMSコントローラ20は、契約廃止申込情報の送信から所定時間(例えば、2時間)内に、電力会社(A社)のサーバ装置から契約廃止承諾情報を受信したとき、契約廃止が成立したと判定する。契約廃止承諾情報とは、申し込まれた契約廃止を電力会社(A社)が承諾したことを示す情報である。契約廃止が成立したと判定した後、HEMSコントローラ20は、ステップS300の処理に進む。
続いて、ステップS300において、HEMSコントローラ20は、移転後の契約に対する移転条件情報に含まれた、つまり、需要家によって指定された新たに契約する電力会社(B社)に対して、新規契約の申し込みを行う。このステップS300における新規契約の申し込みでは、移転後の契約に対する移転条件情報に含まれた新たに契約を開始する期日を表す情報と共に、契約する需要家を識別するための識別情報として、例えば、移転先の住所(新規契約を申し込む移転先の住所)、氏名、電話番号などの新規契約申込情報を、電力会社(B社)のサーバ装置に送信する。そして、HEMSコントローラ20は、新規契約申込情報の送信から所定時間(例えば、2時間)内に、電力会社(B社)のサーバ装置から新規契約承諾情報を受信したとき、新規契約が成立したと判定する。新規契約承諾情報とは、申し込まれた新規契約を電力会社(B社)が承諾したことを示す情報である。HEMSコントローラ20は、新規契約承諾情報と共に、新たに電力の供給を受けるために要する各種の設定情報(例えば、スマートメーター11の固有ID、B社の事業者ID、需要家の顧客ID、スマートメーター11と通信するために必要な認証IDおよびパスワード情報など)を受信する。新規契約が成立したと判定した後、HEMSコントローラ20は、ステップS400の処理に進む。
なお、HEMSコントローラ20におけるステップS200とステップS300との契約変更手続き処理におけるそれぞれの電力会社との通信は、HEMSコントローラ20に備えたスマートメーター通信部202が、電力会社(A社)とスマートメーター10との間、または電力会社(B社)とスマートメーター11との間に構築されたPLC通信を利用して、スマートメーター10またはスマートメーター11を介して行ってもよい。また、HEMSコントローラ20に備えたインターネット通信部203が、インターネット(不図示)を介して行ってもよい。
その後(移転後の契約に対する移転条件情報に含まれた契約開始期日以降)、ステップS400において、HEMSコントローラ20は、需要家に電気料金を通知する処理のための設定を、電力会社(A社)の情報から、電力会社(B社)の情報に変更する。例えば、HEMSコントローラ20は、スマートメーター11から送信されてきた消費電力量情報のデータを電気料金情報のデータに変換するために用いる移転前契約料金情報のデータを、電力会社(A社)の移転前契約料金情報から電力会社(B社)の移転前契約料金情報に変更する。また、新たに契約した電力会社(B社)を識別するための識別情報として、例えば、電力会社毎に設定された事業者IDなどの情報も変更する。また、新たに契約した電力会社(B社)が需要家に対して設定した顧客ID、この顧客IDに対して需要家が設定したパスワードなどの情報も変更する。
以降、HEMSコントローラ20は、スマートメーター11から送信されてきた消費電力量情報のデータを、変更した電力会社(B社)の移転前契約料金情報のデータに基づいて電気料金情報のデータに変換し、現在契約している電力会社(B社)における電気料金情報のデータとして需要家に提示する。このとき、HEMSコントローラ20は、需要家に最初に電力会社(B社)における電気料金情報のデータを提示する際に、図8に示したように、契約を電力会社(B社)に変更したことを表す通知を、電力情報表示端末30に表示させる。
このような処理シーケンスによって、HEMSコントローラ20を備えた本第1の実施形態の電力管理システム1は、需要家が電力の供給を受ける電力会社を変更する際の手続きと、新たに契約した電力会社(B社)の料金体系の情報への変更作業とを支援する。
なお、図8に示した第1の処理シーケンスでは、電力会社(A社)との契約を廃止(解約)した後に、電力会社(B社)との新規契約を行う場合について説明した。しかし、需要家が移転する際には、電力会社(A社)との契約期間と、電力会社(B社)との契約期間とが重複している場合もある。このため、図8に示した第1の処理シーケンスのステップS400において、電力会社(A社)との契約期間が残っている、すなわち、移転前の契約に対する移転条件情報に含まれた契約を終了する期日以前は、需要家に電気料金を通知する処理のための設定を、電力会社(B社)の情報に変更しないようにすることもできる。また、電力会社(A社)の情報と電力会社(B社)の情報との両方を、需要家に電気料金を通知する処理のための設定として、PLC通信を行うスマートメーターによって、つまり、スマートメーター10とPLC通信を行うのか、スマートメーター11とPLC通信を行うのかによって、いずれかの電力会社の情報に切り替えるようにすることもできる。
また、図8に示した第1の処理シーケンスでは、ステップS400におけるHEMSコントローラ20の設定変更は、契約変更手続き処理が完了した後で、新たに契約した電力会社(B社)における電気料金情報のデータとして需要家に提示する前であれば、いかなるタイミングで行ってもよい。例えば、電力会社(B社)との契約が成立した直後であってもよいし、電力会社(B社)によって需要家に対する顧客IDが設定された後に、需要家がパスワードを設定する作業を行ったときであってもよい。
このような構成および処理シーケンスによって、HEMSコントローラ20を備えた本第1の実施形態の電力管理システム1は、スマートメーター10またはスマートメーター11から直接送信されるBルート(図15参照)で取得した消費電力量情報に基づいて、消費した電力量や電気料金などを確認するための情報(電気料金情報)を需要家に提示する。また、HEMSコントローラ20を備えた本第1の実施形態の電力管理システム1は、従来では需要家が行っていた、電力の供給を受ける電力会社との契約変更手続きと、契約を変更した電力会社の設定へのHEMSコントローラ20の設定変更作業とを支援する。
なお、本第1の実施形態の電力管理システム1では、図1に示したように、HEMSコントローラ20がスマートメーター10またはスマートメーター11と電力情報表示端末30との間に配置された構成について説明した。しかし、本発明の電力管理システムの構成は、図1に示した構成に限定されるものではなく、様々な構成が考えられる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の電力管理システムにおける第2の実施形態について説明する。図9は、本第2の実施形態における電力管理システムの概略構成を示したブロック図である。電力管理システム2は、需要家が移転する前では、スマートメーター10と、HEMSコントローラ21と、パーソナルコンピュータ(PC)31と、クラウドサーバ40とから構成される。また、電力管理システム2は、需要家が移転した後では、スマートメーター11と、HEMSコントローラ21と、パーソナルコンピュータ(PC)31と、クラウドサーバ40とから構成される。電力管理システム2において、HEMSコントローラ21と、パーソナルコンピュータ31と、クラウドサーバ40とは、インターネット50を介して相互に接続されている。図9に示した本第2の実施形態の電力管理システム2は、図1〜図8において説明した第1の実施形態の電力管理システム1の機能を、クラウドコンピューティングシステムに備えたクラウドサーバ40によって実現する構成である。
従って、本第2の実施形態の電力管理システム2においても、図1〜図8において説明した第1の実施形態の電力管理システム1と同様に、スマートメーター10またはスマートメーター11から直接送信されるBルート(図15参照)で取得した消費電力量情報に基づいて、消費した電力量や電気料金などを確認するための視覚的な情報(電気料金情報)を需要家に提示する。また、本第2の実施形態の電力管理システム2でも、第1の実施形態の電力管理システム1と同様に、需要家が移転することに伴って入力された電力の供給元である電力会社の変更を行うための指示に応じて、需要家による電力会社との契約変更手続きに係る処理と、契約を変更した電力会社への設定変更作業に係る処理とを行う。
スマートメーター10およびスマートメーター11は、図1に示した第1の実施形態の電力管理システム1におけるスマートメーター10およびスマートメーター11と同様の消費電力計測装置である。従って、スマートメーター10とスマートメーター11とに関する詳細な説明は省略する。スマートメーター10およびスマートメーター11は、計測した消費電力量情報を、有線LAN(Local Area Network)などの有線通信によって、HEMSコントローラ21に送信する。
HEMSコントローラ21は、スマートメーター10またはスマートメーター11から送信されてきた消費電力量情報を、インターネット50を介してクラウドサーバ40に送信する電力管理装置である。HEMSコントローラ21は、スマートメーター10またはスマートメーター11とクラウドサーバ40と接続する、需要家の家庭内に構築された中継器として動作する。
クラウドサーバ40は、例えば、クラウドサービス会社などの第三者によって提供され、HEMSコントローラ21と、需要家によって操作されるパーソナルコンピュータ31とを仲介する電力管理サーバ装置である。クラウドサーバ40は、図1に示した第1の実施形態の電力管理システム1におけるHEMSコントローラ20と同様の機能を備え、HEMSコントローラ21から送信されてきた消費電力量情報を、インターネット50を介して取得した、クラウドサーバ40を利用する需要家が契約している電力会社の契約料金情報に基づいて電気料金情報に変換する。また、クラウドサーバ40は、第1の実施形態の電力管理システム1におけるHEMSコントローラ20と同様に、パーソナルコンピュータ31からの指示、つまり、需要家からの指示に応じて、電力の供給を受ける電力会社を変更する際に需要家が行う手続きを支援に係る処理を実行する。
パーソナルコンピュータ31は、図1に示した第1の実施形態の電力管理システム1における電力情報表示端末30に相当する、需要家によって操作される端末装置である。パーソナルコンピュータ31は、クラウドサーバ40にアクセスすることによって、クラウドサーバ40から送信されてきた電気料金情報や契約変更をする際の情報を入力する入力画面を、パーソナルコンピュータ31に内蔵または接続された表示装置(ディスプレイ)に表示させる。また、パーソナルコンピュータ31は、電気料金情報の送信要求、電力会社を変更する手続きの支援要求(移転の手続き要求)などの需要家の要求を、インターネット50を介してクラウドサーバ40に送信する。
このような構成によって、本第2の実施形態の電力管理システム2でも、第1の実施形態の電力管理システム1と同様に、スマートメーター10またはスマートメーター11から直接送信されるBルート(図15参照)で取得した消費電力量情報に基づいて、消費した電力量や電気料金などを確認するための情報(電気料金情報)を需要家に提示する。このとき、本第2の実施形態の電力管理システム2におけるパーソナルコンピュータ31に備えた表示装置の表示は、図3〜図8に示した電力情報表示端末30の表示の一例と同様に考えることができる。そして、本第2の実施形態の電力管理システム2でも、第1の実施形態の電力管理システム1と同様に、従来では需要家が行っていた、電力の供給を受ける電力会社との契約変更手続きと、契約を変更した電力会社の設定へのクラウドサーバ40およびHEMSコントローラ21の設定変更作業とを支援する。
また、本第2の実施形態の電力管理システム2は、第1の実施形態の電力管理システム1におけるHEMSコントローラ20と同様の機能をクラウドサーバ40およびHEMSコントローラ21が実現する構成である。そして、このクラウドサーバ40へのアクセスは、需要家の家庭内のみではなく、例えば、外出先など、任意の地点に設置されたパーソナルコンピュータ(PC)からもアクセスすることができる。このため、需要家は、家庭内にいないときであっても、電気料金情報を確認することができ、電力会社との契約変更の指示と移転条件情報とを電力管理システム2に送信することができる。
なお、本第2の実施形態の電力管理システム2において、第1の実施形態の電力管理システム1におけるHEMSコントローラ20と同様の機能を備えるクラウドサーバ40の構成は、図2に示したHEMSコントローラ20の構成と同様に考えることができるため、詳細な説明は省略する。ただし、より詳細には、HEMSコントローラ20に備えた、スマートメーター通信部202および無線通信部207を備えていない構成であってもよい。
また、本第2の実施形態の電力管理システム2における電力会社の契約変更手続きの処理シーケンスは、図8に示した第1の実施形態の電力管理システム1における第1の処理シーケンスにおいて、HEMSコントローラ20をクラウドサーバ40に、電力情報表示端末30をパーソナルコンピュータ31に、それぞれ置き換えて考えることによって容易に理解することができるため、詳細な説明は省略する。ただし、より詳細には、引っ越し後に、クラウドサーバ40が、HEMSコントローラ21に対して、スマートメーター10と接続している設定を、スマートメーター11と接続する設定に変更するように設定変更の指示を行なってもよい。
<第3の実施形態>
次に、本発明の電力管理システムにおける第3の実施形態について説明する。図10は、本第3の実施形態における電力管理システムの概略構成を示したブロック図である。電力管理システム3は、需要家が移転する前では、スマートメーター10と、電力管理端末23とから構成される。また、電力管理システム3は、需要家が移転した後では、スマートメーター11と、電力管理端末23とから構成される。図10に示した本第3の実施形態の電力管理システム3は、図1〜図8において説明した第1の実施形態の電力管理システム1の機能を、電力管理端末23によって実現する構成である。
従って、本第3の実施形態の電力管理システム3においても、図1〜図8において説明した第1の実施形態の電力管理システム1、および図9に示した第2の実施形態の電力管理システム2と同様に、スマートメーター10またはスマートメーター11から直接送信されるBルート(図15参照)で取得した消費電力量情報に基づいて、消費した電力量や電気料金などを確認するための視覚的な情報(電気料金情報)を需要家に提示する。また、本第3の実施形態の電力管理システム3でも、第1の実施形態の電力管理システム1および第2の実施形態の電力管理システム2と同様に、需要家が移転することに伴って入力された電力の供給元である電力会社の変更を行うための指示に応じて、需要家による電力会社との契約変更手続きに係る処理、および契約を変更した電力会社への設定変更作業との支援に係る処理を行う。
スマートメーター10およびスマートメーター11は、図1に示した第1の実施形態の電力管理システム1におけるスマートメーター10およびスマートメーター11、および図9に示した第2の実施形態の電力管理システム2におけるスマートメーター10およびスマートメーター11と同様の消費電力計測装置である。従って、スマートメーター10とスマートメーター11とに関する詳細な説明は省略する。スマートメーター10およびスマートメーター11は、計測した消費電力量情報を、例えば、IEEE802.15.4などの、いわゆる、PAN(Personal Area Network)といわれる短距離の無線通信規格を基本(ベース)にして策定した、いわゆる、Wi−SUNなどの無線通信によって、電力管理端末23に送信する。
電力管理端末23は、図1に示した第1の実施形態の電力管理システム1におけるHEMSコントローラ20および電力情報表示端末30と同様の機能を備え、例えば、需要家が使用するパーソナルコンピュータや、いわゆる、スマートフォンやタブレット端末などの携帯通信端末に構成された電力管理装置である。電力管理端末23は、スマートメーター10またはスマートメーター11から送信されてきた消費電力量情報を、インターネット(不図示)によって取得した、需要家が契約している電力会社の契約料金情報に基づいて電気料金情報に変換し、変換した電気料金情報を、自装置に内蔵または接続された表示装置に表示させて提示する。また、電力管理端末23は、需要家の操作による指示に応じて、電力の供給を受ける電力会社を変更する際に需要家が行う手続きの支援に係る処理を行う。
このような構成によって、本第3の実施形態の電力管理システム3でも、第1の実施形態の電力管理システム1、および第2の実施形態の電力管理システム2と同様に、スマートメーター10またはスマートメーター11から直接送信されるBルート(図15参照)で取得した消費電力量情報に基づいて、電気料金情報を需要家に提示する。このとき、本第3の実施形態の電力管理システム3における電力管理端末23に備えた表示装置の表示は、図3〜図8に示した電力情報表示端末30の表示の一例と同様に考えることができる。そして、本第3の実施形態の電力管理システム3でも、第1の実施形態の電力管理システム1、および第2の実施形態の電力管理システム2と同様に、従来では需要家が行っていた、電力の供給を受ける電力会社との契約変更手続きに係る処理と、契約を変更した電力会社の設定への電力管理端末23の設定変更作業とを支援する処理を実行する。
なお、本第3の実施形態の電力管理システム3において、第1の実施形態の電力管理システム1におけるHEMSコントローラ20および電力情報表示端末30と同様の機能を備える電力管理端末23の構成は、図2に示したHEMSコントローラ20の構成と同様に考えることができるため、詳細な説明は省略する。ただし、より詳細には、HEMSコントローラ20に備えた、スマートメーター通信部202がスマートメーター無線通信部に、無線通信部207が公衆無線通信部(例えば、LTE通信を行なう無線通信部)に変更され、新たに表示装置を備えた構成である。
また、本第3の実施形態の電力管理システム3における電力会社の契約変更手続きの処理シーケンスは、図8に示した第1の実施形態の電力管理システム1における第1の処理シーケンスにおいて、HEMSコントローラ20および電力情報表示端末30を電力管理端末23に置き換えて考えることによって容易に理解することができるため、詳細な説明は省略する。
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、通信機能を備えた消費電力計測装置が計測した消費電力量の情報が直接送信されてくる電力管理装置のシステムにおいて、受信した消費電力量の情報を、消費した電力量や電気料金などを視覚的に確認することができる情報に変換し、需要家に提示する。これにより、需要家は、消費した電力量や電気料金などを容易に確認することができる。また、持ち運びを行なうことが前提の端末ではあっても、スマートメーター10および/またはスマートメーター11と接続する設定が電力管理端末23にはなされていることになり、外出先の他のスマートメーターと接続されることはない。
また、本発明を実施するための形態によれば、需要家から出される、電力の供給を受ける電力会社の変更の指示に応じて、需要家が電力の供給を受ける電力会社を変更する際の手続きと、新たに契約した電力会社の料金体系の情報への変更作業とを支援する。このとき、本発明を実施するための形態では、電力の供給を受ける電力会社の変更を、需要家にとって容易な方法で指示することができる。これにより、需要家は、現在契約している電力会社に対する契約廃止(解約)の手続きや、新たに契約する電力会社に対する新規契約の手続きを自ら行う必要がなくなり、容易に契約変更の手続きを行うことができる。また、需要家は、契約する電力会社を変更することに伴って必要であった、電力管理システムの設定変更を自ら行うことなく完了することができる。
なお、本発明を実施するための形態では、第1〜第3の実施形態において、電力管理システムを構成する様々な形態を示して説明したが、電力管理システムの構成は、第1〜第3の実施形態において示した構成に限定されるものではない。例えば、第1の実施形態において示した電力管理システム1を構成するHEMSコントローラ20(電力管理装置)が1つの装置で構成される場合を示して説明したが、HEMSコントローラ20の機能が、複数の装置で実現される構成であってもよい。
なお、本発明を実施するための形態では、第1〜第3の実施形態において、スマートメーター10およびスマートメーター11が計測した消費電力量情報を送信する様々な通信手段を説明したが、スマートメーター10およびスマートメーター11が消費電力量情報を送信する通信手段は、第1〜第3の実施形態において示した方法に限定されるものではない。なお、本発明を実施するための形態では、スマートメーター10およびスマートメーター11が消費電力量情報を送信する際の通信方法やプロトコルに関して特に規定しないが、スマートメーター10またはスマートメーター11との間の通信方法やプロトコルは、例えば、経済産業省が公開しているガイドラインなどに従うことが望ましい。
また、本発明を実施するための形態では、図8において、本実施形態の電力管理システムによるそれぞれの電力会社との契約変更手続き処理を行う第1の処理シーケンスを示したが、本実施形態の電力管理システムにおける契約変更手続き処理の処理シーケンスは、図8に示した第1の処理シーケンスに限定されるものではなく、様々な処理シーケンスが考えられる。
<第2の処理シーケンス>
ここで、本実施形態の電力管理システムによって電力会社との契約変更手続き処理を行う、別の処理シーケンスについて説明する。図11は、本実施形態の電力管理システムによる電力会社の契約変更手続きにおける第2の処理シーケンスを示したシーケンス図である。以下の説明においては、第1の実施形態の電力管理システム1において、「移転手続き」ボタンの操作、すなわち、移転に伴う契約変更の指示に応じて、電力会社(A社)から電力会社(B社)に契約を変更する場合の処理シーケンスについて説明する。
図11に示した第2の処理シーケンスは、移転に伴う契約変更の指示が出された後、移転条件情報を対話形式で取得し、需要家が現在契約している電力会社(A社)との契約廃止(解約)の手続きと、新たに契約する電力会社(B社)との新規契約の手続きとを行う場合の処理シーケンスである。つまり、本第2の処理シーケンスは、図8に示した第1の処理シーケンスにおいて、移転条件情報を取得するための処理が追加された処理シーケンスである。このため、本第2の処理シーケンスには、第1の処理シーケンスにおける処理と同様の処理も含まれている。従って、本第2の処理シーケンスにおいて、第1の処理シーケンスと同様の処理には、同一のステップ符号を付与し、それぞれの処理に関する詳細な説明は省略する。
まず、ステップS100において、電力情報表示端末30は、需要家が、図3〜図5に示した「移転手続き」のボタンをタッチ(タップなど)するなどの操作による契約変更手続き(移転手続き)の指示を受け付け、その契約変更の指示を、HEMSコントローラ20に送信する。
続いて、HEMSコントローラ20は、電力情報表示端末30から送信された契約変更の指示を受信すると、契約変更手続きの処理を開始することを表すために、例えば、「移転手続きを開始します。手順に従って選択してください。」というようなメッセージを電力情報表示端末30に送信して表示装置に表示させると共に、移転条件情報を取得する処理(移転条件取得処理)を開始する。移転条件取得処理では、ステップS111において、HEMSコントローラ20が移転条件の項目を提示する情報を電力情報表示端末30に送信し、ステップS112において、電力情報表示端末30が、提示された移転条件の項目に対して需要家が操作して入力された移転条件情報を受け付けて、その移転条件情報をHEMSコントローラ20に送信する。なお、図11に示した第2の処理シーケンスでは、ステップS111とステップS112との処理をそれぞれ1回ずつ示しているが、ステップS111とステップS112との処理を複数回繰り返すことにより、複数の移転条件情報を取得する。なお、移転条件とは、現在の契約を終了する期日、新たに契約を開始する期日、移転先の住所、例えば、間取りや広さ等の移転先の住宅の形態などを含む、契約変更手続き処理に必要な情報である。契約変更手続き処理に必要な移転条件情報の取得が終了した後、HEMSコントローラ20は、ステップS121からの処理に進む。
続いて、ステップS121から、HEMSコントローラ20は、取得した移転条件に基づいて、新たに契約する電力会社を選択する処理(電力会社選択処理)を開始する。電力会社選択処理では、まず、ステップS121において、HEMSコントローラ20は、取得した移転条件情報と共に、移転条件に合った(または類似している)電力会社や料金体系の情報の一覧の要求を示す電力会社一覧要求情報を、電力会社情報データベース(DB)のサーバ装置に送信する。これに応じて、電力会社情報データベース(DB)のサーバ装置は、ステップS122において、電力会社一覧要求情報によって要求された電力会社一覧情報をHEMSコントローラ20に送信する。なお、電力会社情報データベース(DB)は、例えば、HEMSコントローラ20を製造する製造会社、HEMSコントローラ20を販売する販売会社、電力会社を所掌する省庁などによって複数の電力会社の情報が集約されたデータベースである。
そして、HEMSコントローラ20は、電力会社情報データベース(DB)のサーバ装置から送信された電力会社一覧情報を受信した後、ステップS123において、受信した電力会社一覧情報を需要家に提示するための提示情報を電力情報表示端末30に送信し、電力情報表示端末30に備えた表示装置に、移転先において需要家がスマートメーター11を介して電力の供給を受けることができる電力会社の一覧を表示させる。
これにより、需要家は、電力情報表示端末30に表示された電力会社の一覧を確認し、電力情報表示端末30を操作して、電力の供給を受ける電力会社を選択する。これにより、電力情報表示端末30は、ステップS124において、需要家による電力会社の選択を受け付け、その電力会社の情報をHEMSコントローラ20に送信する。
続いて、HEMSコントローラ20は、ステップS200において、需要家が現在契約している電力会社(A社)に対して契約廃止(解約)の申し込みに係る処理を行い、続くステップS300において、需要家が選択した電力会社(B社)に対して新規契約の申し込みに係る処理を行う。
その後(移転条件情報に含まれた契約開始期日以降)、ステップS400において、HEMSコントローラ20は、需要家に電気料金を通知する処理のための設定を、電力会社(A社)の情報から、電力会社(B社)の情報に変更する。
以降、HEMSコントローラ20は、スマートメーター11から受信した消費電力量情報のデータを、変更した電力会社(B社)の移転前契約料金情報のデータに基づいて電気料金情報のデータに変換して、変換した電気料金情報のデータを電力情報表示端末30に送信する。電力情報表示端末30は、HEMSコントローラ20から受信したデータが示す電気料金情報を表示することにより、需要家に提示する。
このように、第2の処理シーケンスにおいても、第1の処理シーケンスと同様に、電力管理システム1が、需要家が電力の供給を受ける電力会社を変更する際の手続きと、新たに契約した電力会社(B社)の料金体系の情報への変更作業とを支援する。
なお、例えば、HEMSコントローラ20が受信した電力会社一覧情報を電力情報表示端末30に送信して提示する際に、スマートメーター10から受信した消費電力量情報に基づいて、つまり、需要家の現在の契約に基づいて、需要家が電力を消費する傾向を含めて判断することによって、需要家が電力を消費する際の条件(電力の消費条件)に合った(または類似している)電力会社や料金体系を提案(推奨)する構成にすることもできる。また、例えば、図6に示した入力画面において、移転後に契約する会社名や料金プランの情報が入力されていないが、契約する住所の情報は入力されている場合にも、HEMSコントローラ20が、需要家における電力の消費条件に合った(または類似している)電力会社や料金体系を提案(推奨)する構成にすることもできる。この場合には、HEMSコントローラ20は、入力されている住所の情報に基づいて、移転先において需要家がスマートメーター11を介して電力の供給を受けることができる電力会社毎の電力料金の情報や料金体系の情報などを、インターネット(不図示)を介して取得する。
このとき、需要家が現在契約している電力会社における電気料金と、移転先の電力会社や料金体系における電気料金とを比較することによって、より電気料金が安いと判断することができる電力会社または料金体系を判定し、需要家が現在契約している電力会社(移転前の電力会社)における電気料金よりも電気料金が安いと判断することができる電力会社または料金体系を提案(推奨)することが望ましい。この場合、例えば、データ処理部205が、データ記憶部204に記憶されている消費電力量情報のデータを、データ記憶部204に記憶されている移転前契約料金情報のデータおよび移転後契約料金情報のデータのそれぞれに基づいて、それぞれの電気料金情報(仮想の電気料金情報も含む)のデータに変換する。そして、それぞれの電気料金情報を比較し、それぞれの電気料金情報のデータに含まれる需要家が消費した電力量が同様であると判断することができる場合に、それぞれの電気料金情報のデータに含まれる電気料金を比較する。つまり、データ処理部205は、需要家における電力の消費条件に合っている(または類似している)場合に、需要家が現在契約している電力会社における電気料金と、移転後に供給を受けることができる電力会社と契約したときの電気料金とを比較する。
なお、電力の消費条件は、例えば、1日内の時間帯毎の電力使用量、曜日毎の電力使用量、などである。このとき、電力を消費する際の条件が合っている(類似している)か否かの判断は、データ処理部205が、移転前後における電力会社間の契約料金情報の類似度を算出し、算出した類似度が所定の類似度よりも小さいか否かによって判定してもよい。また、データ処理部205が、電力会社間の電力使用量の分布の類似度を算出し、算出した類似度が所定の類似度よりも小さいか否かによって判定してもよい。なお、需要家が現在契約している電力会社における電気料金よりも電気料金が安いと判断することができる電力会社または料金体系が複数ある場合には、インターネット通信部203がそれぞれの電力会社または料金体系のデータを、データ記憶部204に出力して記憶させ、データ処理部205がそれぞれの電気料金情報のデータを、データ記憶部204に出力して記憶させるようにしてもよい。また、その複数の電力会社または料金体系のデータを需要家に提示して、選択できるようにしてもよい。
<第3の処理シーケンス>
次に、本実施形態の電力管理システムによって電力会社との契約変更手続き処理を行う、さらに別の処理シーケンスについて説明する。図12は、本実施形態の電力管理システムによる電力会社の契約変更手続きにおける第3の処理シーケンスを示したシーケンス図である。以下の説明においては、第1の実施形態の電力管理システム1において、需要家が現在契約している電力会社(A社)から、電力会社(B社)に契約を変更する場合の処理シーケンスについて説明する。
図12に示した第3の処理シーケンスは、図8に示した第1の処理シーケンスにおいて、新たに契約した電力会社(B社)から移転前契約料金情報を取得する処理が追加された処理シーケンスである。このため、本第3の処理シーケンスには、第1の処理シーケンスにおける処理と同様の処理も含まれている。従って、本第3の処理シーケンスにおいても、第1の処理シーケンスと同様の処理には、同一のステップ符号を付与し、それぞれの処理に関する詳細な説明は省略する。
まず、ステップS100において、電力情報表示端末30は、需要家からの契約変更手続き(移転手続き)の指示を受け付け、その契約変更の指示を、HEMSコントローラ20に送信する。そして、HEMSコントローラ20は、電力情報表示端末30からの契約変更の指示を受信すると、契約変更手続き処理を開始する。
続いて、HEMSコントローラ20は、ステップS200において、需要家が現在契約している電力会社(A社)に対して契約廃止(解約)の申し込みに係る処理を行い、続くステップS300において、需要家が新たに契約する電力会社(B社)に対して新規契約の申し込みに係る処理を行う。
その後、電力会社(B社)との新規契約が成立したと判定されたとき、ステップS310において、HEMSコントローラ20は、電力会社(B社)のサーバ装置に対して、移転前契約料金情報の要求を示す契約料金要求情報を送信する。これに応じて、電力会社(B社)のサーバ装置は、ステップS320において、需要家との間で成立した契約における移転前契約料金情報をHEMSコントローラ20に送信する。
HEMSコントローラ20は、電力会社(B社)のサーバ装置から送信された移転前契約料金情報を受信した後、ステップS400において、需要家に電気料金を通知する処理のための設定を、電力会社(A社)の情報から、電力会社(B社)の情報に変更する。より具体的には、HEMSコントローラ20は、スマートメーター10から送信されてきた消費電力量情報のデータを電気料金情報のデータに変換するために用いていた電力会社(A社)の移転前契約料金情報のデータを、ステップS320において受信したスマートメーター11から送信されてきた消費電力量情報のデータを電気料金情報のデータに変換するために用いている電力会社(B社)の移転前契約料金情報のデータに変更する。なお、HEMSコントローラ20は、第3の処理シーケンスにおいても、第1の処理シーケンスのステップS400と同様に、例えば、事業者IDなどの電力会社(B社)を識別するための識別情報や、顧客IDおよびパスワードなどの、電力会社(B社)が需要家を識別するための識別情報も変更する。
以降、HEMSコントローラ20は、スマートメーター11から受信した消費電力量情報のデータを、変更した電力会社(B社)の移転前契約料金情報のデータに基づいて電気料金情報のデータに変換して、変換した電気料金情報のデータを電力情報表示端末30に送信する。電力情報表示端末30は、HEMSコントローラ20から受信したデータが示す電気料金情報を表示することにより、需要家に提示する。
このように、第3の処理シーケンスにおいても、第1の処理シーケンスおよび第2の処理シーケンスと同様に、電力管理システム1が、需要家が電力の供給を受ける電力会社を変更する際の手続きと、新たに契約した電力会社(B社)の料金体系の情報への変更作業とを支援する。
<第4の処理シーケンス>
次に、本実施形態の電力管理システムによって電力会社との契約変更手続き処理を行う、さらに別の処理シーケンスについて説明する。図13は、本実施形態の電力管理システムによる電力会社の契約変更手続きにおける第4の処理シーケンスを示したシーケンス図である。以下の説明においても、第1の実施形態の電力管理システム1において、需要家が現在契約している電力会社(A社)から、HEMSコントローラ20が提案した電力会社(B社)に契約を変更する場合の処理シーケンスについて説明する。
図13に示した第4の処理シーケンスは、図8に示した第1の処理シーケンスにおいて、新たに契約する電力会社(B社)に新規契約の申し込みを行うと、電力会社(B社)から移転前契約料金情報が送信されてくる場合の処理シーケンスである。このため、本第4の処理シーケンスにも、第1の処理シーケンスにおける処理と同様の処理も含まれている。従って、本第4の処理シーケンスにおいても、第1の処理シーケンスと同様の処理には、同一のステップ符号を付与し、それぞれの処理に関する詳細な説明は省略する。
まず、ステップS100において、電力情報表示端末30は、需要家からの契約変更手続き(移転手続き)の指示を受け付け、その契約変更の指示を、HEMSコントローラ20に送信する。そして、HEMSコントローラ20は、電力情報表示端末30からの契約変更の指示を受信すると、契約変更手続きに係る処理を開始する。
ここで、HEMSコントローラ20は、ステップS200において、需要家が現在契約している電力会社(A社)に対して契約廃止(解約)の申し込みに係る処理を行い、続くステップS300において、需要家が新たに契約する電力会社(B社)に対して新規契約の申し込みに係る処理を行う。
その後、電力会社(B社)のサーバ装置は、ステップS321において、新規契約の申し込みを受けた契約における移転前契約料金情報をHEMSコントローラ20に送信する。
続いて、HEMSコントローラ20は、電力会社(B社)から送信された移転前契約料金情報を受信し、受信した移転前契約料金情報のデータを、データ記憶部204に一旦記憶する。そして、HEMSコントローラ20は、移転条件情報に含まれた契約開始期日以降、ステップS400において、需要家に電気料金を通知する処理のための設定を、電力会社(A社)の情報から、電力会社(B社)の情報に変更する。より具体的には、HEMSコントローラ20は、スマートメーター10から送信されてきた消費電力量情報のデータを電気料金情報のデータに変換するために用いていた、データ記憶部204に記憶している前に契約していた電力会社(A社)の移転前契約料金情報のデータを、データ記憶部204に一旦記憶しておいたスマートメーター11から送信されてきた消費電力量情報のデータを電気料金情報のデータに変換するために用いている電力会社(B社)の移転前契約料金情報のデータに変更する。なお、HEMSコントローラ20は、第4の処理シーケンスにおいても、第1の処理シーケンスのステップS400と同様に、新たに契約した電力会社(B社)を識別するための事業者IDや、電力会社(B社)が需要家を識別するための顧客IDも変更する。
以降、HEMSコントローラ20は、スマートメーター11から送信されてきた消費電力量情報のデータを、変更した電力会社(B社)の移転前契約料金情報のデータに基づいて電気料金情報のデータに変換し、変換したデータを電力情報表示端末30に送信する。電力情報表示端末30は、HEMSコントローラ20から受信したデータが示す電力使用量を表示することにより、需要家に提示する。
このように、第4の処理シーケンスにおいても、第1〜第3の処理シーケンスと同様に、電力管理システム1が、需要家が電力の供給を受ける電力会社を変更する際の手続きと、新たに契約した電力会社(B社)の料金体系の情報への変更作業とを支援する。
<第5の処理シーケンス>
次に、本実施形態の電力管理システムによって電力会社との契約変更手続き処理を行う、さらに別の処理シーケンスについて説明する。図14は、本実施形態の電力管理システムによる電力会社の契約変更手続きにおける第5の処理シーケンスを示したシーケンス図である。以下の説明においても、第1の実施形態の電力管理システム1において、需要家が現在契約している電力会社(A社)から、HEMSコントローラ20が提案した電力会社(B社)に契約を変更する場合の処理シーケンスについて説明する。
図14に示した第5の処理シーケンスは、図8に示した第1の処理シーケンスにおいて、新たに契約する電力会社(B社)に新規契約の申し込みを行う際に、移転前契約料金情報の要求も同時に行う場合の処理シーケンスである。このため、本第5の処理シーケンスにも、第1の処理シーケンスにおける処理と同様の処理も含まれている。従って、本第5の処理シーケンスにおいても、第1の処理シーケンスと同様の処理には、同一のステップ符号を付与し、それぞれの処理に関する詳細な説明は省略する。
まず、ステップS100において、電力情報表示端末30は、需要家からの契約変更手続き(移転手続き)の指示を受け付け、その契約変更の指示を、HEMSコントローラ20に送信する。そして、HEMSコントローラ20は、電力情報表示端末30からの契約変更の指示を受信すると、契約変更手続き処理を開始する。
続いて、HEMSコントローラ20は、ステップS200において、需要家が現在契約している電力会社(A社)に対して契約廃止(解約)の申し込みに係る処理を行う。
続いて、HEMSコントローラ20は、ステップS301において、需要家が新たに契約する電力会社(B社)に対して、新規契約の申し込みに係る処理を行うと共に、移転前契約料金情報の要求を示す契約料金情報要求情報を電力会社(B社)のサーバ装置に送信する。
これにより、電力会社(B社)のサーバ装置は、ステップS320において、申し込みを受けた新規契約における移転前契約料金情報をHEMSコントローラ20に送信する。
続いて、HEMSコントローラ20は、電力会社(B社)のサーバ装置から送信された移転前契約料金情報を受信すると、受信した移転前契約料金情報のデータを、データ記憶部204に一旦記憶し、移転条件情報に含まれた契約開始期日以降、ステップS400において、需要家に電気料金を通知する処理のための設定を、電力会社(A社)の情報から、電力会社(B社)の情報に変更する。なお、第5の処理シーケンスにおけるステップS400の具体的な動作は、第4の処理シーケンスにおけるステップS400の動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
以降、HEMSコントローラ20は、スマートメーター11から送信されてきた消費電力量情報のデータを、変更した電力会社(B社)の移転前契約料金情報のデータに基づいて電気料金情報のデータに変換し、変換したデータを電力情報表示端末30に送信する。電力情報表示端末30は、HEMSコントローラ20から受信したデータが示す電力使用量を表示することにより、需要家に提示する。
このように、第5の処理シーケンスにおいても、第1〜第4の処理シーケンスと同様に、電力管理システム1が、需要家が電力の供給を受ける電力会社を変更する際の手続きと、新たに契約した電力会社(B社)の料金体系の情報への変更作業とを支援する。
上記に述べたとおり、このような処理シーケンスによっても、本実施形態の電力管理システムは、需要家からの電力の供給を受ける電力会社の変更の指示に応じて、需要家が電力の供給を受ける電力会社を変更する際の手続きと、新たに契約した電力会社の料金体系の情報への変更作業とを支援する。
なお、本発明を実施するための形態では、上述したような様々な処理シーケンスを示して説明したが、本実施形態の電力管理システムにおける契約変更手続き処理の処理シーケンスは、上述した第1〜第5の処理シーケンスに限定されるものではない。なお、本発明を実施するための形態では、それぞれの処理における通信手段、通信方法、プロトコルに関して特に規定しない。
また、本発明を実施するための形態では、主に電力の供給条件として電力会社を変更する場合を例にして説明したが、これに限定されるものではない。つまり、上述した実施形態は、例えば、電力会社を変更せずに料金体系のみを変更する場合に用いられてもよい。
なお、例えば、図2に示したHEMSコントローラ20内の各構成要素による処理を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の電力管理システムに係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。