JP6128579B2 - ポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ジオールとジカルボン酸を用いてポリエステル樹脂を製造する方法に関する。
ポリエステル樹脂は、繊維、容器、ボトル等の成型品などの広範な分野に応用されている。このポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを最終的には200〜300℃の高温下において重縮合反応させて製造されている。しかしながら、重縮合反応の工程は、一般的に、加熱時間が10時間〜数日間と長く、昨今の省エネ化への要求の高まりからも、マイルドな条件で短時間に高分子量体を得る方法の探索が求められている。
現在、限りある資源の急激な消費や地球温暖化の観点からも、原料のバイオマス化技術が注目されている。初期には、原料の100%をバイオマス由来原料とする樹脂も開発されたが、一部の原料を置き換えることにより一定レベルの“バイオマス度”を有するプラスチック樹脂の開発も活発になっており、石化資源の使用を可能な限り下げながら要求性能も維持した製品が望まれる傾向にある。
バイオマスから得られた原料であっても、ヒドロキシル基やカルボン酸基、アミノ基などの反応性の官能基を有するものであれば、原理的には石油由来原料と同様に樹脂原料に供することができる。しかしながら、原料モノマーの反応性が低く、容易に高分子量の樹脂が得られないことや、原料モノマーそのものの安定性が低いために高温・長時間の重合反応において樹脂の劣化や着色、副反応物の増加といった問題が生じることも少なくない。さらに、バイオマスから樹脂原料を製造する方法自体が未だ高コストであるため、原料の低コスト化だけでなく、その後の樹脂製造工程のコスト削減が望まれている。
特に、イソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール)は、糖から合成することのできる脂環構造を有する下記式(1)で表されるジオールであり、木質バイオマスに含まれるセルロースを出発原料として、糖化生成物であるソルビトールを経由して合成される。バイオマスを含有する材料への転換が可能なことから、近年、石油由来のジオールをイソソルビドに置き換えた樹脂材料の開発が進んでいる。中でも、ポリエステル樹脂においては、イソソルビドを共重合させることによりガラス転移温度が上がることから、バイオマス含有機能性樹脂として注目されている。
特表2002−512304号公報 特開2011−99118号公報 特開2010−503736号公報
p10,Contemporary Science of Polymeric Materials (ACS Symposium Series) Ljiljana S.Korugic-Karasz,Oxford Univ Pr (2011)
しかしながら、ポリエステルの合成は、一般的には、平衡反応である重縮合により行われるため、一段階で数万以上の高分子量ポリマーを製造するのは技術的に難しいことが多い。中でも、イソソルビドのような第二級アルコールのエステル化の反応性は低いため、高分子量イソソルビド含有ポリエステル樹脂の製造を短時間に行うことは極めて難しい。また、揮発性の問題により、イソソルビドを共重合させようとしても、仕込み量より高分子鎖に組み込まれる量が大幅に少なくなるという問題も指摘されていた(特許文献1〜3参照)。例えば、非特許文献1には、イソソルビドの仕込み量から35〜50%程度しか重合体に組み込まれないことが記載されている。
また、イソソルビドを含むジオール成分とジカルボン酸を重縮合反応により高分子量化する工程において、ジオール成分を過剰に仕込み、脱水重縮合工程が終了した後に、減圧度と温度を上げ、脱ジオール重縮合工程により高分子量樹脂を得る方法が一般的に用いられている。しかしながら、このような従来の方法では、過剰に用いた原料が無駄になるか回収の手間がかかり、脱水以上にエネルギーを消費する脱ジオール工程が必要なため、アトムエコノミーの向上と省エネ化が課題となっている。また、製造時間が長時間となることで、昨今のオンデマンド生産といった要求に応えることも難しく、高コストである。バイオマスプラスチックの普及を促進するためにも、このような課題を解決することが求められている。
さらに、イソソルビドの反応性が低く、揮発する性質を有するため、イソソルビド仕込み比率に対し、出来上がった樹脂のイソソルビド比率が低くなり、一定のバイオマス度に達しない、分子設計が困難といった課題の解決も要望されていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、原料がマイクロ波をよく吸収して効率的に加熱されるとともに、水やアルコールなどの脱離成分もマイクロ波のエネルギーを直接受けることにより、有害な共沸溶媒を添加せず、速やかに系の外部に排出され平衡反応である重縮合反応を促進するポリエステル樹脂を製造する方法を提供することにある。
本発明者は、短時間で安価且つ効率よくポリエステル樹脂を製造する方法のための研究を行ってきた。そして、ポリエステル樹脂の原料である木質バイオマスに含まれるセルロースを出発原料として、糖化生成物について種々検討し、その過程で、短時間で効率よく簡便にポリエステル樹脂を製造する方法を見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決するための本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法は、ジオールとジカルボン酸を触媒の存在下、減圧下で、マイクロ波を照射して脱水重縮合反応の一段階を経由することを特徴とする。
この発明によれば、ジオールとジカルボン酸を触媒の存在下、減圧下で、マイクロ波を照射して重縮合反応させたので、従来の加熱方法に比べ重縮合反応及び重縮合反応進行に伴う脱水が加速し、大部分のモノマーを反応させることができ、その結果、一段階で高分子量のポリマーを効率よく迅速に製造することができる。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法において、前記ジオールが下記式(1)で示されるイソソルビドを含有することが好ましい。
Figure 0006128579
この発明によれば、製造されるポリエステル樹脂は、原料のジオールにイソソルビドを含有するので、環境負荷の低減を図ることができる。すなわち、イソソルビドは、木質バイオマスに含まれるセルロースを出発原料とし、糖化生成物であるソルビトールを経由して合成される脂環構造を有するジオールであるため、これが樹脂に組み込むことができれば、その割合分のバイオマス度を付すことができる。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法において、前記ジオールがさらに脂肪族ジオール、及び、芳香族ジオールからなる群より選択される1種又は2種以上(なかでも、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールから選択される1種又は2種以上)を含有することが好ましい。これらのジオールは、イソソルビドよりも揮発性が小さいので、イソソルビドを共重合モノマーとして用いる場合においても、重縮合を円滑かつ効果的に行うことができる。また、このようなジオールを用いても、本発明では、製造されるポリエステル樹脂におけるイソソルビドの仕込み量に対するモル比率を85%以上100%程度以下とすることができる。なお、揮発性の比較的高いジオールを用いる場合には、イソソルビドの仕込み量に対するモル比率を100〜115%とすることもできる。
また、前記脂肪族ジオールとして1,4−ブタンジオールを含有することもできる。イソソルビド以外のジオールとして1,4−ブタンジオールを含有する場合(特に、イソソルビド以外のジオールの50〜100モル%として1,4−ブタンジオールを含有する場合)には、初期重合反応時における脱離水との分離が行いやすくなる。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法において、前記ジカルボン酸がコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸のうち1種又は2種以上を含有することが好ましい。
この発明によれば、ジカルボン酸にコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸のうち1種又は2種以上が含有されるので、植物由来コハク酸やセバシン酸の含有率の調整により、バイオマス度を調整することが可能であるし、芳香族カルボン酸のイソフタル酸、テレフタル酸の含有率を変化させることにより、樹脂の性能を高めることが可能である。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法において、前記ジカルボン酸と前記ジオールが、モル比で1.0:1.0〜1.0:1.1であることが好ましい。
この発明によれば、ジカルボン酸とジオールが、モル比で1.0:1.0〜1.0:1.1であるので、系内に存在する反応性末端基を常に水酸基とカルボキシル基が良好なモルバランスで存在することとなり、急速に反応が進み効率よくポリエステル樹脂を製造することができる。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法において、前記脱水重縮合反応において蒸気として発生する副生成物の95%以上が水であることが好ましい。
この発明によれば、前記脱水重縮合反応において蒸気として発生する副生成物の95%以上が水であるので、エネルギー的に有利で、有害廃棄物の排出を抑えられる。ただし、このことは、蒸気の大部分を占める水以外の成分が、ジオールである、すなわち、わずかな脱ジオール反応が進行することを妨げるものではない。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法において、前記脱水重縮合反応の初期段階では常圧で反応を行い、その後、2,000Pa以下まで減圧して反応を行うことが好ましい。
この発明によれば、脱水重縮合反応の初期段階では常圧で反応を行い、その後、2,000〜0Paまで減圧して反応を行うので、ジオールを初期の段階で重合物の分子内に組み込むことができるため、その後一気に減圧しても仕込んだジオールが失われることはない。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法において、前記脱水重縮合反応の初期段階では2MPa以下の加圧下で反応を行い、その後、常圧で反応を行い、次いで、2,000Pa以下まで減圧して反応を行うことが好ましい。
この発明によれば、該重縮合反応の初期段階では常圧よりも高く2MPa以下の加圧下で反応を行い、その後、常圧で反応を行い、次いで、2,000〜0Paまで減圧して反応を行うので、ジオールを初期の段階で重合物の分子内に組み込むことができるため、その後一気に減圧しても仕込んだジオールが失われることはない。減圧は、常圧から一気に所定減圧条件まで減圧しても良いが、重縮合反応の最終段階において所定減圧条件になるように常圧から徐々に減圧することもできる。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法において、ポリエステル樹脂のポリマー鎖に組み込まれる前記イソソルビド単位の割合がイソソルビドの仕込み量に対するモル比率として85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。
なお、本発明において、「イソソルビドの仕込み量に対するモル比率」は、ジカルボン酸の仕込み量を100とした場合のイソソルビドの仕込みモル比をA、ポリマー鎖中のジカルボン酸成分の量を100とした場合のポリマー鎖中のイソソルビド成分のモル比をBとして、(B/A)として算出することができる。
この発明によれば、ポリエステル樹脂のポリマー鎖に組み込まれる前記イソソルビド単位の割合がイソソルビド仕込み量モル比率85%以上であるので、省資源性に優れる。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法によれば、収率よく短時間に簡易にポリエステル樹脂を得ることが可能となる。大過剰に仕込んだ原料や溶媒使用により生じていた大量の廃棄物はほとんど発生させず、副生物の大部分が水という極めてクリーンな手法により、糖由来原料を含む機能性ポリエステル樹脂を得ることができる。また、マイクロ波加熱という簡易な方法を用いて、短時間で、高品質のイソソルビド含有ポリエステル樹脂を製造することができる。また、原料がマイクロ波をよく吸収して効率的に加熱されることに加え、脱離成分である水もマイクロ波のエネルギーを直接受けることにより、共沸溶媒を添加せずにして、速やかに系の外部に排出され平衡反応である重縮合反応を促進することができる。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法により得られたポリエステル樹脂は、汎用樹脂の代替品としてのみならず、植物由来原料仕込み量分のCO2排出量削減、破断伸び率や柔軟性、耐熱性他の物性を向上・調整可能な機能性樹脂としての利用が期待されるものである。
マイクロ波加熱法とオイルバス加熱法の比較を示す図である。
以下に、本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法について詳細に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法は、ジオールとジカルボン酸を触媒の存在下、減圧下で、マイクロ波を照射して脱水重縮合反応させるものである。
ジオールは、上記式(1)で示されるイソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール)、上記式(1)の化合物とは立体異性体の関係にあるイソマンニド、イソイジドのいずれか又はその混合物であり、これらは重合に供されるジオール成分の全量または一部を構成する。中でも、資源として豊富に存在する種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られる上記式(1)のイソソルビドが入手のしやすさの点からも好ましい。
ジオールとしては、その他には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の芳香族ジオール等を含有させることができ、上記式(1)又はその立体異性体のジオールと混合して用いることができる。中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
ジオールとして、上記式(1)で示されるイソソルビドと、その他のジオールの総量とを0:100〜100:0で混合させたものを用いることができる。全ジオールモノマー中におけるイソソルビドの仕込みの割合は、ポリエステル樹脂の用途や性能、バイオマス材料の利用促進の観点等から任意に設定することができ、例えば、1〜100モル%、1〜99モル%、10〜100モル%、20〜90モル%、30〜90モル%等のように設定することができる。
ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカ二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4′−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。その他、フマル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等が挙げられる。中でも、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、スルホイソフタル酸ナトリウムが好ましい。より好ましくは、コハク酸である。なお、これらのジカルボン酸は単独でも、また組み合わせても用いることもできる。
ジカルボン酸とジオールが、モル比で1.0:1.0〜1.0:1.1、好ましくは1.0:1.0〜1.0:1.05である。ジカルボン酸とジオールのモル比を1.0:1.0、すなわち等量とすることがより好ましい。ジカルボン酸とジオールのモル比を等量とすると、モノマーを留出させることなく副生する水のみを取り除く装置を用いることにより、重合中の反応物の末端基の水酸基とカルボキシル基を常時等量とすることを維持でき、水分子一個の脱離によって新たな結合一個を形成し、分子量を増大させることができる。
上記のような十分な分留装置を用いることができない場合又は重合中にモノマー成分の一部が分解反応等により失われる場合には、脱蒸気操作又は分解反応により失われるモノマー成分を、仕込み時点から予測して過剰に供するか、失われた成分を重合中に追加する方法を用いることができる。この場合においても、重合中の反応物の末端基のバランスを慎重に考慮し制御する。
触媒としては、金属系触媒やプロトン酸が用いられる。金属系触媒としては、チタン、スズ、アンチモン、セリウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム及びストロンチウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の有機又は無機の金属化合物が挙げられる。プロトン酸としては、硫酸、亜硫酸、p−トルエンスルホン酸、フルオロ硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、フェニルホスホン酸、メチルアシッドホスフェート、ホウ酸、フェニルボロン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロチタン酸、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイ酸、チタン酸、アルミン酸、テルル酸、セレン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸、グルタミン酸、ピクリン酸等が挙げられる。
触媒の使用量は、好ましくは、ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.0001〜1.0重量部であるが、その使用量は特に限定されるものではない。また、触媒は二種類以上複合して用いることもできる。
触媒の添加時期は、初めの段階で添加しておくことも可能であるし、またある程度に重合が進行した途中の段階で添加することも可能であるが、その段階については限定されるものではない。なお、複数の時期に分けて添加することも可能である。
脱水重縮合反応は減圧下、好ましくは、2,000Pa以下、より好ましくは300Pa以下、さらに好ましくは200Pa以下で行われる。この範囲にあると重合の最終段階において脱水が確実に進行できる。
脱水重縮合反応はマイクロ波照射下で行われる。マイクロ波の出力は、原料仕込み量1kg当たり最大出力0.01〜1,000kW、好ましくは原料仕込み量1kg当たり最大出力1〜10kWの装置を用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。この場合、マイクロ波を連続照射してもよいが、照射により反応系内は速やかに所定の温度に上昇するため、必ずしも連続してマイクロ波を照射せずに間欠的に照射することも可能である。また、最適な重合反応温度に達した後、一定の温度を保持できるようにマイクロ波出力を制御することが望ましい。
マイクロ波照射のマグネトロン周波数としては、300MHz〜30GHz程度のものであれば使用可能であるが、入手容易性の観点からみて、好ましくは900〜6,000MHz、より好ましくは2,450MHz程度のものが好ましく使用される。
脱水重縮合反応において、蒸気として発生する副生成物の95%以上100%以下が水である。ここで、副生成物とは、モノマー原料が反応して新たな化学結合を生成した際に脱離した低分子をいう。主生成物はポリマーである。
脱水重縮合反応の反応圧力は、反応初期は、モノマー又は数量体が蒸発することを防ぐために減圧しないことが好ましいが、重合の進行とともに逆反応の影響が強くなり、ある段階からは重合度が上昇しにくくなることを防ぐために、初期重縮合反応の終了時点以降は速やかに排気し減圧することが好ましい。ここで、常圧とは特別に減圧も加圧もしないときの圧力をいう。通常、大気圧に等しい圧力であり、ほぼ一気圧である。
重合初期の圧力は、常圧で行うことが操作の容易さからすると好ましい。
反応条件やモノマーの種類によっては、重合初期の常圧反応の前に、短時間の加圧工程によりエステル化反応が加速することがある。加圧する時間は、数秒〜60分程度、好ましくは30秒〜10分程度である。
加圧の際の圧力は、常圧より高く2MPa以下、好ましくは0.1超〜0.5MPaで行い、その後圧抜きし、速やかに常圧に調整することが好ましい。加圧の際の圧力がこの範囲にあると、設備の入手、稼働のしやすさ、および反応進行度および生成物の品質が高くなる。
加圧の際の温度は、80〜260℃、好ましくは150〜220℃である。加圧の際の温度がこの範囲にあると、反応進行度および生成物の品質が高くなる。
常圧での反応は、脱水用の分留塔を設置して行う。初めから常圧の場合においても、初めは加圧し圧抜きした場合においても、常圧での保持時間は0秒〜60分程度、好ましくは30秒〜10分程度である。この重合初期の常圧におけるマイクロ波加熱によって全てのモノマーが1〜10回程度縮合し沸点を上げることができる。このことにより、その後の減圧工程に速やかに移行することが可能となり、減圧時におけるモノマー成分の留出を抑えることが可能となるため、一段階、すなわち脱水縮合反応のみの工程により十分に分子量を上げることができる。常圧の反応の終了は、水の留出が減速した時点、すなわち分留塔頂温度が100℃から降下し始める時点を基準として判定することができる。
常圧反応とその後の減圧反応の最終温度は、生成物の品質の制御、管理等の観点から、150〜300℃、好ましくは240〜280℃である。最終温度が150℃未満では重合反応が進行しない場合があり、300℃を越える場合には、目的生成物中に異種構造体が生成し、所望のものが得られない或いは着色の原因となるなどの好ましくない副反応が進行する。また、従来は副生物の生成が促進されやすかった温度においても、マイクロ波反応によれば、迅速、過度の熱履歴を受けないという特長を利用して、高品質品を得ることが可能である。
最終圧力は2,000Pa以下、好ましくは300Pa以下である。これは、重縮合反応を高度に進行させるには、最終段階の微量の水の除去が必須であり、本発明で行う重合反応の温度条件範囲においては、上述した圧力が最低限必要であるという理由による。
減圧時間は、好ましくは5〜60分である。より重合度を高めたい場合においては、圧力を下げ、反応時間を延長する、逆に、より重合度を下げたい場合においては、圧力を上げ、反応時間を短縮するというように、上記の条件の組み合わせにより、ポリエステル樹脂の品質を制御することが可能である。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法によれば、平均分子量Mw10,000〜100,000であって、ポリマー鎖中に組み込まれたイソソルビドユニットの割合がイソソルビドの仕込み量に対するモル比率の85%以上115%以下(好ましくは90%以上100%以下)であるポリエステル樹脂を短時間且つ高収率で得ることができる。ここで100%以上のモル比率である場合は、共重合した他のジオール成分と比較してイソソルビドの組み込み比率が高い場合である。
以下の実験例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実験例の記載に限定されるものではない。
[目的生成物の評価方法]
(高分子化合物の基本単位の構造の確認)
得られるポリエステル樹脂の核磁気共鳴分析(NMR)(Avance400、Bruker社製)のスペクトルを解析することにより行った。
(分子量の測定)
得られるポリエステル樹脂をクロロホルムに溶解後、ポリスチレンで校正したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(8020シリーズ、東ソー社製)で分析し、平均分子量を算出した。
(水分量の測定)
トラップ管に捕集した液体の水分量は、カールフィッシャー水分計(DL31、メトラートレド社製)により行った。
(引っ張り試験)
合成した樹脂からダンベル型の試験片を作成し、引っ張り試験装置(Autograph、島津製作所社製)により機械的特性を評価した。
[実施例1]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量100mLの耐熱ガラス製反応器にイソソルビド(Polysorb P Roquette社製)21.93g(0.15mol)、1,4−ブタンジオール(特級 和光純薬工業製)13.57g(0.15mol)、コハク酸(和光純薬工業製 特級)35.43g(0.30mol)、チタンテトライソプロポキシド(一級 和光純薬工業製)0.17gを入れた。仕込んだモノマーのモル比率は、イソソルビド:1,4−ブタンジオール:コハク酸=50:50:100である。窒素雰囲気下、周波数2450MHz、最大出力770Wのキャビティ型マイクロ波加熱装置を用いて重合を行った。180℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御としたところ、3分20秒後に設定温度に達した。加熱開始から15分後設定温度を220℃に上げたところ瞬時に設定温度に達した。この間、蒸発する成分は留出させ回収した。加熱開始から30分後から油回転ポンプによる減圧操作を開始した。真空度は段階的に上げ、加熱開始から1時間13分後に240Paとなった。加熱開始から4時間30分後にマイクロ波照射を停止し、ポリマーを取り出した。また、加熱開始から終了までの間、9回のサンプリングを行った。
これらのポリマーは、クロロホルムに可溶であった。ポリスチレンで校正したGPCを用いて求めた平均分子量を表1に示す。照射時間270分のポリマーについて、H−NMR(CDCl)分析により求めたポリマー中のモノマー組成比は、イソソルビド:1,4−ブタンジオール:コハク酸=51.3:48.7:100であった。イソソルビドの仕込み量に対するモル比率は102.6%であった。
Figure 0006128579
[比較例1]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量100mLの耐熱ガラス製反応器にイソソルビド(Polysorb P Roquette社製)21.94g(0.15mol)、1,4−ブタンジオール(特級 和光純薬工業製)13.58g(0.15mol)、コハク酸(特級 和光純薬工業製)35.94g(0.30mol)、チタンテトライソプロポキシド(一級 和光純薬工業製)0.18gを入れた。仕込んだモノマーのモル比率は、イソソルビド:1,4−ブタンジオール:コハク酸=50:50:100である。窒素雰囲気下、オイルバスを用いて重合を行った。バス温は265℃まで上げたが、反応物内部の温度は220℃〜230℃程度で推移した。途中の180℃に達するまでには25分間を要した。この間、蒸発する成分は留出させ回収した。加熱開始から55分後から油回転ポンプによる減圧操作を開始した。真空度は段階的に上げ、加熱開始から1時間48分後に220Paとなった。加熱開始から4時間30分後にオイルバスから容器を出し、ポリマーを取り出した。また、加熱開始から終了までの間、9回のサンプリングを行った。
これらのポリマーは、クロロホルムに可溶であった。ポリスチレンで校正したGPCを用いて求めた平均分子量を表2に示す。加熱時間270分のポリマーについて、1H−NMR(CDCl3)分析により求めたポリマー中のモノマー組成比は、イソソルビド:1,4−ブタンジオール:コハク酸=38.6:61.4:100であった。イソソルビドの仕込み量に対するモル比率は77.2%であった。
Figure 0006128579
実施例1および比較例1のポリマー分子量の変化を図1に比較して示した。これによれば、実施例1のマイクロ波加熱法では最終重量分子量が15,000を越えているのに対し、比較例1のオイルバス加熱法では重量平均分子量が9,000に達した辺りからはほとんど上昇が見られず、加熱時間を延長しても効果がないことが示されている。
[実施例2]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量200mLの耐熱ガラス製反応器にイソソルビド(Polysorb P Roquette社製)13.88g(0.0950mol)、1,4−ブタンジオール(特級 和光純薬工業製)77.05g(0.8550mol)、コハク酸(特級 和光純薬工業製)112.20g(0.950mol)、チタンテトライソプロポキシド(一級 和光純薬工業製)1.35gを入れ、窒素雰囲気下、周波数2,450MHz、最大出力1,500Wのキャビティ型マイクロ波加熱装置を用いて重合を行った。最高時出力900W、目標温度260℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御としたところ、15分20秒後に設定温度に達した。この時点から油回転ポンプによる減圧操作を開始した。真空度は段階的に上げ、減圧開始から約15分後に約100Paであった。減圧開始から45分後にマイクロ波照射を停止し、ポリマーを取り出した。
[実施例3]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量200mLの耐熱ガラス製反応器にイソソルビド(Polysorb P Roquette社製)34.71g(0.2375mol)、1,4−ブタンジオール(特級 和光純薬工業製)61.00g(0.7125mol)、コハク酸(特級 和光純薬工業製)112.20g(0.950mol)、チタンテトライソプロポキシド(一級 和光純薬工業製)1.35gを入れた。仕込んだモノマーのモル比率は、イソソルビド:1,4−ブタンジオール:コハク酸=25:75:100である。窒素雰囲気下、周波数2,450MHz、最大出力1,500Wのキャビティ型マイクロ波加熱装置を用いて重合を行った。最高時出力900W、目標温度260℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御としたところ、14分30秒後に設定温度に達した。この間、蒸発する成分は留出させ回収した。この時点から油回転ポンプによる減圧操作を開始した。真空度は段階的に上げ、減圧開始から約15分後に約100Paであった。減圧開始から56分後にマイクロ波照射を停止し、ポリマーを取り出した。反応開始から終了までにトラップ管に捕集した液体の水分含有量を測定したところ、99.1%であった。1H−NMR(CDCl3)分析により求めたポリマー中のモノマー組成比は、イソソルビド:1,4−ブタンジオール:コハク酸=21.4:78.6:100.0であった。イソソルビドの仕込み量に対するモル比率は85.6%であった。
[実施例4]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量200mLの耐熱ガラス製反応器にイソソルビド(Polysorb P Roquette社製)69.42g(0.475mol)、1,4−ブタンジオール(特級 和光純薬工業製)42.81g(0.475mol)、コハク酸(特級 和光純薬工業製)112.20g(0.950mol)、チタンテトライソプロポキシド(一級 和光純薬工業製)1.35gを入れた。仕込んだモノマーのモル比率は、イソソルビド:1,4−ブタンジオール:コハク酸=50:50:100である。窒素雰囲気下、周波数2,450MHz、最大出力1,500Wのキャビティ型マイクロ波加熱装置を用いて重合を行った。最高時出力900W、目標温度260℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御としたところ、15分後に設定温度に達した。この間、蒸発する成分は留出させ回収した。この時点から油回転ポンプによる減圧操作を開始した。真空度は段階的に上げ、減圧開始から約30分後に約150Paであった。減圧開始から60分後にマイクロ波照射を停止し、ポリマーを取り出した。1H−NMR(CDCl3)分析により求めたポリマー中のモノマー組成比は、イソソルビド:1,4−ブタンジオール:コハク酸=44.0:56.0:100.0であった。イソソルビドの仕込み量に対するモル比率は88.0%であった。
[比較例2]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量200mLの耐熱ガラス製反応器に1,4−ブタンジオール(特級 和光純薬工業製)85.61g(0.950mol)、コハク酸(特級 和光純薬工業製)112.18g(0.950mol)、チタンテトライソプロポキシド(一級 和光純薬工業製)1.35gを入れ、窒素雰囲気下、周波数2,450MHz、最大出力1,500Wのキャビティ型マイクロ波加熱装置を用いて重合を行った。最高時出力900W、目標温度260℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御としたところ、12分30秒後に設定温度に達した。この間、蒸発する成分は留出させ回収した。この時点から油回転ポンプによる減圧操作を開始した。真空度は段階的に上げ、減圧開始から約24分後に約150Paであった。減圧開始から50分後にマイクロ波照射を停止し、ポリマーを取り出した。
実施例2〜4及び比較例2の樹脂について、平均分子量と引っ張り強度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006128579
[実施例5]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量100mLの耐熱ガラス製反応器に蒸留により精製したイソソルビド(一級 東京化成社製)43.90g(0.30mol)、コハク酸(特級 和光純薬工業製)35.44g(0.30mol)、チタンテトライソプロポキシド(一級 和光純薬工業製)0.17gを入れ、窒素雰囲気下、周波数2,450MHz、最大出力770Wのキャビティ型マイクロ波加熱装置を用いて重合を行った。220℃に達した時点から減圧を開始し、約60分後に100Paに達した。この間、蒸発する成分は留出させ回収した。更に30分減圧しながら加熱したところでマイクロ波照射を停止し、ポリマーを取り出した。反応物を取り出しクロロホルムに溶解し、ポリスチレンで校正したGPCを用いて分析したところ、数平均分子量(Mn)は3,579、重量平均分子量(Mw)は7,513であった。
[実施例6]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量40Lのステンレス製釜型反応器にイソソルビド(Polysorb P Roquette社製)1680g(11.5mol)、1,4−ブタンジオール(特級 キシダ化学製)9330g(103.5mol)、コハク酸(特級 キシダ化学製)12930g(109.5mol)、チタンテトライソプロポキシド(特級 キシダ化学製)62gを入れた。仕込んだモノマーのモル比率は、イソソルビド:1,4−ブタンジオール:コハク酸=10.5:94.5:100である。窒素雰囲気下、周波数2,450MHz、最大出力24kWのマイクロ波加熱装置を用いて重合を行った。180℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御としたところ、30分後に設定温度に達した。加熱開始から45分後設定温度を220℃に上げ10分間保持した。次に260℃に上げ5分間保持した。この間、蒸発する成分は留出させ排出した。次に減圧を徐々に行い、減圧開始から約30分後に600Paとなるまで排気した。その後加熱と減圧を続け、減圧開始から90分後にマイクロ波照射を止めポリマーを取り出した。加熱開始から終了までの間、4回のサンプリングを行った。これらのポリマーは、クロロホルムに可溶であった。ポリスチレンで校正したGPCを用いて求めた平均分子量を表4に示す。1H−NMR(CDCl3)分析により求めたポリマー中のモノマー組成比は、イソソルビド:1,4−ブタンジオール:コハク酸=10.4:89.6:100であった。イソソルビドの仕込み量に対するモル比率は99.0%であった。
Figure 0006128579
[実施例7]
耐圧ガラス製の容量10mLの反応容器にイソソルビド(Polysorb P Roquette社製)0.336g(2.30mmol)、1,4−ブタンジオール(特級 和光純薬工業製)1.866g(20.7mmol)、コハク酸(特級 和光純薬工業製)2.586g(21.9mmol)を入れ、セプタム栓を用いて密封した。重合は、周波数2,450MHz、最大出力300Wのフォーカスドシングルモード型マイクロ波加熱装置を用いて行った。重合中は針式圧力センサーを、セプタムを通して容器内に入れ、マグネティックスターラーで撹拌し、容器底部の温度を赤外放射温度計で計測した。180℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御としたところ、50秒後に設定温度に達した。圧力は最終的には10barを示した。加熱開始から10分後にマイクロ波照射を停止した。反応物を取り出しクロロホルムに溶解し、ポリスチレンで校正したGPCを用いて分析したところ、数平均分子量(Mn)は514、重量平均分子量(Mw)は679であった。
[実施例8]
耐圧ガラス製の容量10mLの反応容器にイソソルビド(Polysorb P Roquette社製)0.336g(2.30mmol)、1,4−ブタンジオール(特級 和光純薬工業製)1.866g(20.7mmol)、コハク酸(特級 和光純薬工業製)2.586g(21.9mmol)を入れ、セプタム栓を用いて密封した。重合は、周波数2,450MHz、最大出力300Wのフォーカスドシングルモード型マイクロ波加熱装置を用いて行った。重合中は針式圧力センサーを、セプタムを通して容器内に入れ、マグネティックスターラーで撹拌し、容器底部の温度を赤外放射温度計で計測した。180℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御としたところ、50秒後に設定温度に達した。圧力は最終的には10barを示した。加熱開始から10分後に圧抜きし、260℃まで昇温した後に4,000Paまで減圧し、さらに15分後にマイクロ波を停止した。このポリマーをポリスチレンで校正したGPCを用いて分析したところ、数平均分子量(Mn)は8,125、重量平均分子量(Mw)は16,210であった。
[実施例9]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量100mLの耐熱ガラス製反応器に蒸留により精製したイソソルビド(一級 東京化成社製)40.88g(0.28mol)、コハク酸(特級 和光純薬工業製)33.04g(0.28mol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(一級 和光純薬工業製)0.1mol%を入れ、窒素雰囲気下、周波数2,450MHz、最大出力770Wのキャビティ型マイクロ波加熱装置を用いて重合を行った。260℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御とした。この間、蒸発する成分は留出させ回収した。真空度は段階的に上げ、最終的に550Paとなった。加熱開始から1時間30分後にマイクロ波照射を停止し、ポリマーを取り出した。このポリマーをポリスチレンで校正したGPCを用いて分析したところ、重量平均分子量(Mw)は7,162であった。
[実施例10]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量100mLの耐熱ガラス製反応器に蒸留により精製したイソソルビド(一級 東京化成社製)7.3g(0.05mol)、コハク酸(特級 和光純薬工業製)5.9g(0.1mol)、乳酸水溶液を蒸留して脱水したもの72g(0.8mol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(一級 和光純薬工業製)0.6mol%、塩化第一スズ(一級 和光純薬工業製)0.6mol%を入れ、窒素雰囲気下、周波数2,450MHz、最大出力770Wのキャビティ型マイクロ波加熱装置を用いて重合を行った。200℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御とした。この間、蒸発する成分は留出させ回収した。真空度は段階的に上げ、最終的に730Paとなった。加熱開始から1時間30分後にマイクロ波照射を停止し、ポリマーを取り出した。このポリマーをポリスチレンで校正したGPCを用いて分析したところ、重量平均分子量(Mw)は38,700であった。
[実施例11]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量100mLの耐熱ガラス製反応器に蒸留により精製したイソソルビド(一級 東京化成社製)36.5g(0.25mol)、アジピン酸(特級 和光純薬工業製)36.5g(0.25mol)、塩化第一スズ(一級 和光純薬工業製)0.1mol%を入れ、窒素雰囲気下、周波数2,450MHz、最大出力770Wのキャビティ型マイクロ波加熱装置を用いて重合を行った。220℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御とした。この間、蒸発する成分は留出させ回収した。真空度は段階的に上げ、最終的に1,000Pa以下となった。加熱開始から60分後にマイクロ波照射を停止し、ポリマーを取り出した。このポリマーをポリスチレンで校正したGPCを用いて分析したところ、重量平均分子量(Mw)は6,900であった。
[実施例12]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量100mLの耐熱ガラス製反応器に蒸留により精製したイソソルビド(一級 東京化成社製)36.5g(0.25mol)、セバシン酸(特級 和光純薬工業製)50.5g(0.25mol)、塩化第一スズ(一級 和光純薬工業製)0.1mol%を入れ、窒素雰囲気下、周波数2,450MHz、最大出力770Wのキャビティ型マイクロ波加熱装置を用いて重合を行った。220℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御とした。この間、蒸発する成分は留出させ回収した。真空度は段階的に上げ、最終的に1,000Pa以下となった。加熱開始から60分後にマイクロ波照射を停止し、ポリマーを取り出した。このポリマーをポリスチレンで校正したGPCを用いて分析したところ、重量平均分子量(Mw)は8,200であった。
[実施例13]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量200mLの耐熱ガラス製反応器にイソソルビド(Polysorb P Roquette社製)13.88g(0.0950mol)、エチレングリコール(特級 和光純薬工業製)53.01g(0.8550mol)、イソフタル酸(1級 キシダ化学製)157.82g(0.950mol)、チタンテトライソプロポキシド(一級 和光純薬工業製)1.35gを入れ、窒素雰囲気下、周波数2,450MHz、最大出力1,500Wのキャビティ型マイクロ波加熱装置を用いて重合を行った。目標温度280℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御とした。真空度は段階的に上げ、最終的に1,000Pa以下となった。加熱開始から60分後にマイクロ波照射を停止し、ポリマーを取り出した。このポリマーをポリスチレンで校正したGPCを用いて分析したところ、重量平均分子量(M)は42,300であった。
[実施例14]
メカニカル攪拌機と分留器を備えた容量200mLの耐熱ガラス製反応器にイソソルビド(Polysorb P Roquette社製)13.88g(0.0950mol)、ネオペンチルグリコール(特級 ナカライテスク製)88.92g(0.8550mol)、テレフタル酸(特級 東京化成製)157.82g(0.950mol)、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン(アルドリッチ製)1.73gを入れ、窒素雰囲気下、周波数2,450MHz、最大出力1,500Wのキャビティ型マイクロ波加熱装置を用いて重合を行った。目標温度280℃にセットし、マイクロ波出力は自動制御とした。真空度は段階的に上げ、最終的に1,000Pa以下となった。加熱開始から60分後にマイクロ波照射を停止し、ポリマーを取り出した。このポリマーをポリスチレンで校正したGPCを用いて分析したところ、重量平均分子量(Mw)は54,100であった。

Claims (1)

  1. ジカルボン酸とジオールを触媒の存在下、減圧下で、マイクロ波を照射して脱水重縮合反応の一段階を経由するポリエステル樹脂の製造方法であって、前記ジオールが下記式(1)で示されるイソソルビドを含有し、前記ジカルボン酸と前記ジオールが、モル比で1.0:1.0〜1.0:1.1であり、全ジオールモノマー中におけるイソソルビドの仕込みの割合が25〜50モル%であり、ポリエステル樹脂のポリマー鎖に組み込まれる前記イソソルビド単位の割合がイソソルビドの仕込み量に対するモル比率として85%以上115%以下であることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
    Figure 0006128579
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