JP6128527B2 - 地下空間構造物の地上開口部構造 - Google Patents
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Description
本願明細書でいう「地下空間構造物の地上開口部の構造」とは、下水道における地下埋設物,災害用トイレ蓋、災害用地下倉庫用蓋、地下構造施設等と地上とを通じる開口部を閉塞する大型鉄蓋,小型鉄蓋,マンホール蓋,汚水桝蓋,原子力,火力電力等、通信における地下施設機器や地下ケーブル等を保護する開閉可能な共同溝用鉄蓋,送電用鉄蓋,配電用鉄蓋,上水道やガス配管における路面下の埋設導管およびその付属機器と地上とを結ぶ開閉扉としての機能を有する防火貯水槽蓋、消火栓蓋、制水弁蓋、仕切弁蓋、空気弁蓋、ガス配管用蓋、量水器蓋、道路側溝蓋、側溝格子蓋、農業用水蓋,宅内蓋、港湾・河川点検蓋等を総称する。
工具Kは、先端部K1と踵部K2を備え、先端のフック状部分を鉄蓋体20の前記鍵孔21へ押し込み、先端部K1を鉄蓋体20の裏面に係合させると同時に踵部K2で受け部45を押し下げることで、施錠金具40を回転させる。そして、解錠した工具Kで鉄蓋体20を持ち上げて、受枠10から鉄蓋体20をずらし、地下空間構造物の開口部を開放することができる。
この場合の食い込みは非常に強く、工具の先端を蓋に掛け、支点を受枠に置き、工具の長いハンドルを利用した強力な挺(てこ)作用で蓋の一端を持ち上げて解除する。
このため、閉じられた蓋を仮に地下空間の内部から作業者が工具なしに開こうとしても一人の力では開けられず、結果的に危険な状態に陥ることを意味する。
一方、災害地域の復旧作業のように、相互に見知らぬ作業者が集まり、あわただしく、混乱した環境では、地下空間構造物の内部に作業員が閉じ込められてしまう事態が想定される。そして、閉じ込められた作業者は地下空間の内部から解錠はできても、前記の蓋と受枠間の食い込みを解消する手段がないために、内部から蓋を開けることができないという事態が心配される。
食い込み解除手段は、受枠に対する蓋の施錠状態を解く解錠手段と連動させることがある。
食い込み解除手段は、蓋の裏面に設けたカムをレバーで回転させ、カム軸とフック受け上面との距離を拡大する構造とすることがある。
食い込み解除手段のレバーは押し上げることで蓋をこじる構造の場合と、引き下げて蓋をこじる構造の場合とがある。
以下、その一つの地下空間構造物として下水道と地上とを連絡するマンホールを取り上げ、その開口部構造を図面に基づき詳細に説明する。
まず、図1〜5を用いてこの発明の基本となる構造(基本構造)を説明する。基本構造は、地下空間の外側から操作する食い込み解除手段を備えたマンホールの開口部構造である。
立ち上げ管2はコンクリート製でその上端にアンカーボルト5が上方に向けて埋設されている。
蓋3はこの実施例において円形で鉄製であり、受枠4に嵌め込んで装着する(図2)。蓋3は、外周縁に工具孔8を蓋3の半径(図1、図3、半径線a)に沿って有している。
ヒンジ機構9により、蓋3が受枠4に対して回動して開閉かつ取り外し可能に取り付けられると共に、施錠機構10により、開口を閉じた蓋3が受枠4に対して施錠される構造とされている。
蝶番棒11は、前記の選定半径縁aと反対側の半径線b(図3)に沿って配置され、
図2にみるように外側へ少し湾曲された棒状体であり、中間の外側に蝶番側フック13を備えている。この蝶番棒11は上部が半径線bと直交する方向の軸14によって蓋3の裏面に軸支され、軸14によって内外方向に回転可能とされている。蝶番側フック13は受枠4の内面に形成された蝶番側フック受け部15と対向しており、地下空間からの風圧で蓋3が直上に持ち上げられるとき係合する配置とされている。
蝶番座12は環状のリングであって、受枠4ヘボルト16で保持されており、自由に回転及び傾斜することができる。蓋3は、前記の蝶番棒11を前記蝶番座12に挿通させて閉じられる。
工具孔8は、選定半径線aに沿って蓋3の外周縁から蓋3の中心側へ延びた長孔であって、蓋3の裏面側に貫通している。
蓋3の裏面側で工具孔8の直下には、受枠4に対して蓋3が閉じられたとき、受枠4の内面と前記フック受け6の上面及び蓋3とで工具の先端部を挿し込むための挿し込み空間18が形成されている(図4)。挿し込み空間18の蓋中心側壁は、上面に凹みを持つ壁とされている。この上面の凹みは、後述の工具の先端を係合するための工具先端係合溝19である。
図4は施錠状態であって、錠部材17は重錘部25による付勢とばねとによって軸部20を中心に下部が外側へ回転されて錠部材フック24が受枠4側のフック受け6の直下に位置した状態となっている。
そして、錠部材17が前記軸部20の回りに回転したとき、第1受動部21の全体が挿し込み空間18内で一定の範囲を回転できるようになっている。
前記の受枠4、蓋3、ヒンジ機構9、施錠機構10及び食い込み解除手段とで地下空間構造物の間口部が構成されている。
工具26は、棒状ハンドル27の先端にハンドルの軸線から屈曲して延びる首部28を有し、その先端部に係合鈎29を左右に張り出させたT字形の工具である。左右の係合鈎29を縦方向(選定半径線aに並んだ方向)として工具孔8を貫通させることができるが、横方向(半径線aに交差する方向)にすると工具孔8の両側で蓋3の裏面に衝突して抜け出ることができない寸法である。
図4の状態において、工具26を首部28の先端に設けた左右の係合鈎29が縦方向となるようにして工具孔8に臨ませ、中心側となった係合鈎29を挿し込み空間18に挿し込んで工具先端係合溝19の縁に当接させ、外周側となったもう一方の係合鈎29を錠部材17の第1受動部21の先端部に当接させる。すると、錠部材17の第1受動部21が外周側に押されて、錠部材17はこじり部22の下端が受枠4側のフック受け6の上面に当接するまで右方向に回転し、錠部材フック24がフック受け6の直下から少し外れた解錠状態となる。
蓋3を閉じたとき、錠部材17とフック受け6との間に泥やごみが介在して、錠部材17が施錠位置に戻れず解錠状態のままとなることがある。この状態は、工具孔8を覗き込むと錠部材17における叩き部23が平らになって直下に見えるので判別できる。
このような場合、通常は再度蓋3を開け、錠部材17回りの再清掃や確認をする必要があるが、叩き部23を設けていると、工具孔8から棒材を突っ込み、叩き部23を繰り返し押圧して、錠部材17を受枠4の内面側へ叩きつけて付着した泥とか錆びを除去することができる。
そこで、本発明は次の実施例1〜3のように、地下空間構造物の地下空間の内側からこじりを行って受枠4に対する蓋3の食い込みを解除することができる手動による食い込み解除手段A,B,Cを設ける。
なお、基本構造についての説明は前記を援用する。
以下の実施例では、基本構造の前記の受枠4、蓋3、ヒンジ機構9、施錠機構10及び食い込み解除手段に加え、食い込み解除手段A,B,Cのいずれかを加えて地下空間構造物の開口部が構成されることとなる。
図6に示すように、基本構造の施錠機構10における錠部材17に長めのレバーAの一端を固定する。レバーAは、錠部材17から前記の半径線aに沿って延び、蓋3の裏面側に位置する。
レバーAは蓋3の裏面と略平行となった水平状態と中心側端部が蓋3の裏面と十分な距離をとった下降位置間を移動することができる。蓋3が閉じられた状態では、レバーAが下降しており施錠状態である。
この実施例の食い込み解除手段Aは、受枠4に対する蓋3の解錠手段とこじり作用が連動する点ですぐれている。
一方、蓋3を開けて開口部から離れた位置に置く場合にレバーAが邪魔にならない構造とすることも必要である。
図8〜図10に示すように、食い込み解除手段Bは、蓋3の裏面に設けたカム軸30と、これに軸支されて回転が可能な偏心カム31と、これを回転させるレバーBを備える。偏心カム31とレバーBとは一体に構成され、レバーBを上方へ回転させると先端の偏心カム31の下端がフック受け6(受枠4の一部)の上面に接し、なおも回転させるとカム軸30を上方へ持ち上げる(カム軸30とフック受け6の上面との距離を拡大する)構造である。カム軸30は蓋3の裏面側に垂下して形成された軸受32に支持される。レバーBに設けた長孔33は、レバーBを押し上げるときに生じるレバーBと蓋3との差動を吸収するためのものである。
蓋3を閉じたとき前記偏心カム31のカム面が受枠4側のフック受け上面に上方から接触する。そして、レバーBにより偏心カム31が回転されると蓋3はこじられて受枠4に対する蓋3の食い込みが解除される。
地下空間構造物の地下空間に閉じ込められた作業者は施錠機構10を解錠してからレバーBを強く押し上げることにより、蓋3を開けることができる。
図11〜図12に示すように、食い込み解除手段Cは、実施例2の場合と同様に、蓋3の裏面に設けたカム軸30と、これに軸支されて回転が可能な偏心カム34と、これを回転させるレバーCを備える。偏心カム34は、斜行させたカム面35をフック受け6(受枠4の一部)の内周縁に接触させるものでレバーCとは一体に構成されている。前記のカム面35は上方から下方へカム軸30との距離が大きくなっている。
レバーCを下方へ回転させる(引き下げる)と先端の偏心カム34の斜行カム面35が前記のフック受け6に接しながら回転し上方へ移動するので、カム軸30が上方へ持ち上がる。
カム軸30は蓋3の裏面側に垂下して形成された軸受32に支持される。
蓋3を閉じたとき前記偏心カム31の斜行カム面35の上部が受枠4側のフック受け6の内周面に接する。そして、レバーCにより偏心カム34が回転されると蓋3はこじられて受枠4に対する蓋3の食い込みが解除される。
レバーCに設けた長孔33は、レバーCを引き下げるときに生じるレバーCと蓋3との差動を吸収するためのものである。
工具26は、施錠機構10の構造によるので実施例のものに限定されない。
本発明は、地下空間構造物の地下空間内部から蓋の受枠に対する食い込みを解除できる構造を要旨とするものであり、手動による食い込み解除手段の具体的な構成はその実施例である。
蓋3は、親蓋とこれに設けた出入り口を開閉する子蓋とからなる、いわゆる親子蓋の場合もある。
2 立ち上げ管
3 蓋
4 受枠
5 アンカーボルト
6 フック受け
7 垂下部
8 工具孔
9 ヒンジ機構
10 施錠機構
12 蝶番座
13 蝶番側フック
14 軸
15 蝶番側フック受け部
16 ボルト
17 錠部材
18 挿し込み空間
19 工具先端係合溝
20 軸部
22 こじり部
23 叩き部
24 錠部材フック
25 重錘部
26 工具
27 棒状ハンドル
28 首部
29 係合鈎
30 カム軸
32 軸受
33 長孔
34 偏心カム
35 カム面
Claims (3)
- 地下空間構造物の地上開口部構造であって、地上開口部において、受枠に蓋が着脱可能に嵌合される構造であって、受枠に嵌合された前記蓋を地下空間の内部から手動でこじることにより受枠に対する蓋の食い込みを解除できる食い込み解除手段を備えていることを特徴とした地下空間構造物の地上開口部構造。
- 食い込み解除手段は、蓋の裏面に設けたカム軸と、これに軸支されて回転が可能な偏心カムと、これを回転させる蓋の裏面側に配置するレバーを備え、蓋を閉じたとき前記偏心カムのカム面が受枠の一部に接触する一方、前記偏心カムがレバーにより回転されたとき、前記カム軸と受枠の一部との距離を拡大することにより受枠に対する蓋の食い込みを解除する構造であることを特徴とした請求項1に記載の地下空間構造物の地上開口部構造。
- 食い込み解除手段は、レバーが引き下げられたとき、前記カム軸と受枠の一部との距離を拡大し、受枠に対する蓋の食い込みを解除する構造であることを特徴とした請求項2に記載の地下空間構造物の地上開口構造。
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