JP6128690B2 - 地下空間構造物の地上開口部における受枠・蓋間結合構造 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、受枠の内周に起伏可能に取り付けられた蝶番座と、蓋本体の下面周縁部に配置した蝶番具(結合金物)とからなり、蝶番具に蝶番座を摺動可能に挿通した地下空間構造物用蓋の蝶番構造が記載されている。
本発明が解決しようとする課題は、作業員が地下空間構造物(例えば、マンホール)内に出入りしたり、中蓋や機材を出し入れする際に、受枠・蓋間結合構造を構成部材の受枠側係合部材が受枠の内周面よりも外側へ完全に退避されて邪魔にならない地下空間構造物の地上開口部における受枠・蓋間結合構造の提供である。
前記受枠・蓋間結合構造の受枠側に設けた受枠側係合部材と開口部蓋側に設けた蓋側係合部材との係合により受枠に蓋を結合し、また、結合を解除可能とする。結合とは、受枠と開口部蓋間の蝶番構造や施錠構造などである。
そして、結合が解除されているとき、受枠側係合部材を受枠の内周面よりも外側へ退避できる構造とする。外側への退避とは、例えば、受枠に内周側に開口を有する空間を設け、この空間へ受枠側係合部材を回転などの手段により収納してしまうことである。
前記の受枠・蓋間結合構造において、受枠側係合部材は、係合用の長孔を備え、蓋側係合部材は前記の長孔に挿通される結合金物を備え、受枠側係合部材の前記長孔に蓋側係合部材の結合金物を挿通することにより受枠に開口部蓋が結合される構造(蝶番構造)とすることができる。
前記の受枠・蓋間結合構造において、受枠と開口部蓋は少なくとも2か所で結合されており、一か所を前記の受枠・蓋間結合構造による蝶番構造、他の箇所を前記の受枠・蓋間結合構造による施錠構造とすることができる。
前記の受枠・蓋間結合構造において、受枠と開口部蓋は少なくとも2か所で結合されており、いずれの箇所も前記の受枠・蓋間結合構造による施錠構造とすることができる。
図1〜図3に示すように、マンホールは、立ち上げ管1、開口部蓋2、中蓋3及び受枠4で構成される。開口部蓋2は、受枠4に対して、開口部蓋2側の結合金物5(蓋側係合部材)と受枠4側の受枠側係合部材6とからなる受枠・蓋間結合構造(蝶番構造)を介して開閉可能とされている(図2)。
立ち上げ管1は、地中に埋設されて内部に筒状空間が形成される。立ち上げ管1の下端は下水道管に通じており、上端はマンホールの地上開口部となっている(地下空間構造物)。また、立ち上げ管1の上端には、複数のアンカーボルト20とガイドボルト21を周方向に等間隔で、且つ位置をずらして立設してある(図1)。
図2に示すように、開口部蓋2の下面周縁部において溝部7と逆側にはロック部材8が取り付けられている。ロック部材8は、この逆側周縁における開口部蓋2の接線と平行な軸を中心として回転可能である。ロック部材8の外端部には受枠4に係合可能な鉤部9が形成され、ロック部材8の内端部は操作部10となっている。ロック部材8は鉤部9が受枠4に係合する方向へばねによって付勢されている。また、操作部10の上方において、開口部蓋2には工具挿入孔11が形成され、操作部10を操作して鉤部9と受枠4の係合を解除すると共に、開口部蓋2を引き起こすための工具を上方から挿入できるようになっている。
なお、このロック部材8は受枠・蓋間結合構造の一つであるが、この発明の実施例ではない。この発明による実施例については後述する(実施例3)。
周壁22の複数箇所には複数の排気口25を設けてある。排気口25は、常閉で立ち上げ管1内部の圧力上昇により開くフラップ式の空気弁であり、開閉される。フランジ23には、複数のガイドボルト挿通孔26を周方向に等間隔で形成してある。底板24は一方側へ傾斜しており、底板24の低い側には開口部27が形成される。開口部27には、上面に一定以上の荷重が加わった時に開くダンパー28が設置されている。
受枠4の内部には、外側環状壁29、環状上壁31、支持フランジ33で囲んだ収納空間35が形成され、この収納空間35が受枠4の内周面に形成された環状の開口34から外側へ広がっている。なお、収納空間35の内部には周方向に所定の間隔で上方の蓋掛けフランジ32と下方の支持フランジ33間に複数の補強壁38を受枠4の径方向に設けてある(図5)。収納空間35は受枠側係合部材6が退避する箇所である。
環状上壁31には、収納空間35とマンホールの外部空間とを連通する通気孔37が複数形成されている。また、環状上壁31に軸挿通孔39を形成すると共に、これと対向した支持フランジ33の位置にネジ孔40を形成してある。軸挿通孔39及びネジ孔40は補強壁38及び貫通孔36と周方向でずれた位置に形成される。
蓋掛けフランジ32の下面内縁には環状の突条41を形成してある(図3)。
結合金物5の中間部及び下端部は略円形の断面を有し、結合金物5の下端部両側に抜け止め突起14が横軸13と平行な方向に突出している。
また、結合金物5の中間部において、開口部蓋2の外周側となる面には受枠4の前記突条41と係合可能な係合突起15が形成される。係合突起15は、上端に向かって次第に張り出し量が大きくなるよう傾斜している。
そして、結合金物5は、横軸13を溝部7の両側の壁に軸支することにより、開口部蓋2にその径方向へ回転可能に取り付けられる。
長孔16の短軸方向の寸法は、結合金物5の直径よりも大きく、且つ、結合金物5の両側面に形成された前記の抜け止め突起14の先端間の距離よりも小さい。また、長孔16の対角線の長さは、抜け止め突起14を水平方向で対角線に一致させ、垂直方向で傾斜させることにより長孔16に抜挿できる寸法とする。
また、係合部17は軸部18周りに回転可能であり、かつ、長孔16の長軸方向に摺動可能である。
図3に示すように、受枠側係合部材6の係合部17を収納空間35からマンホールの中心側へ引き出すと、係合部17に設けた長孔16の長軸がマンホールの径方向に一致する。
一方、図9に示すように、受枠側係合部材6の係合部17が受枠4側へ回転された時、この係合部17を収納空間35に退避させることができる。
次いで、受枠4の支持フランジ33に中蓋3のフランジ23を載せて、支持フランジ33の上方に突出したガイドボルト21を中蓋3のガイドボルト挿通孔26に通し、ガイドボルト21の上端部にナットを螺合して、中蓋3を受枠4に取り付ける。中蓋3はガイドボルト21にガイドされて受枠4の支持フランジ33から浮き上がり可能となっている。受枠側係合部材6の係合部17は収納空間35に退避しているので、中蓋3を支持フランジ33上に設置する際に邪魔にならない。
次いで、開口部蓋2を旋回(水平方向に回転)させて結合金物5を回転させ、抜け止め突起14を長孔16の長軸と交差させる。すると、結合金物5を受枠側係合部材6の長孔16から抜くことができなくなる。
その後、開口部蓋2を倒して受枠4の内側環状壁30内に嵌め込む。
開口部蓋2の前記のような蝶番構造(受枠・蓋間結合構造)と逆側の端部において、前記のロック部材8の鉤部9が受枠4の突条41に係合する。
次いで、工具挿入孔11に挿入した工具を持ち上げて、図11に示すように、開口部蓋2を前記蝶番構造と逆側の箇所で上方へ引き上げ、開口部蓋2を受枠4上に載せる。この時、結合金物5は横軸13を中心として開口部蓋2の外周方向へ回転し、長孔16に対して傾斜した状態で挿通される。
次に、蝶番構造を中心として開口部蓋2を起立させてから、水平に回転させて結合金物5の抜け止め突起14の張り出し方向を長孔16の対角線に一致させ、そのまま開口部蓋2を受枠4上に載せる。
その後、開口部蓋2を転がして結合金物5を長孔16から引き抜く。すると、受枠側係合部材6の係合部17を受枠4側へ回転させて収納空間35に収納することができる。
開口部蓋2を図11の状態から垂直反転させて開ける場合は、工具挿入孔11に挿入した工具を引き抜いた後、開口部蓋2のロック部材8側の端部を持ち上げ、図13に示すように蝶番構造を中心として開口部蓋2を裏返す。
いずれの場合も、逆の過程を経て開口部蓋2を閉じることができる。
図14に示すように、受枠側係合部材6の係合部17は、一側が開口したコ字状の枠42と、枠42の両端間に架設した棒材43からなる。棒材43はボルトであり、枠42の両端部には棒材43を挿通するための棒材挿通孔44を形成してある。枠42の棒材挿通孔44に棒材43を通してその先端部にナット45を螺合することにより、枠42の開口が閉じられて前記の長孔16が形成される。
また、受枠側係合部材6の軸部18(図14)は丸棒より成り、受枠4の環状上壁31と支持フランジ33との間に一体に立設されている。従って、環状上壁31及び支持フランジ33には前記のように、軸部18を通すための軸挿通孔39とネジ孔40を形成していない。
その他の構造は実施例1と同様である。また、同様の操作によって開口部蓋2を開閉できる。
実施例3の受枠側係合部材6は、図16に示すように、第1、第2の実施例構造と同様に受枠4に取付けられ、受枠4の内周面から内側へ突出した状態と前記の収納空間35へ退避した状態の双方を軸部18周りの回転により可能とした構造である。ただ、軸部18は、係合部17の長孔16を貫通しない。以下、具体的に述べる。
係合部17は長孔16とその一端部側に上下方向に貫通した筒部50を備える。筒部50の係合部17の面よりも上方へ突出した部分には、断面を四角形(多角形であればよい)とした回り止め孔51が形成されている。筒部50の上下方向寸法は、受枠4の筒部挿入溝46を通して収納空間35に収納できる寸法とする。
筒体49は、前記の回り止め孔51へ嵌装できる断面と大きさの角筒52とその上端部に円盤状のフランジ部53を有する。フランジ部53の上端面から下方へ工具掛け用の断面とした工具掛け空間54が形成され、さらに、その中心部に下方へ貫通した断面円形の貫通孔55が設けられた形態である。貫通孔55は軸部18をゆるく嵌装できる規模であり、軸部18よりも短い。工具掛け空間54の断面は、図16に示す例では円形断面の両側に四角形の陥没部を設けた鍵穴状である。
次に、軸部18を筒体49の上端から貫通孔55に挿通し、下端部を受枠4のネジ孔40にねじ込む。これにより、係合部17が受枠4の所定位置において回動可能に位置決めされ、受枠側係合部材6が完成する(図19)。
以上から、開口部蓋2側の結合金物5(蓋側係合部材)を前記実施例3の受枠側係合部材6における係合部17の長孔16に差し込んで組み合わせることで受枠・蓋間結合構造(蝶番構造A)が構成される。なお、開口部蓋2側の結合金物5(蓋側係合部材)は実施例1の場合と同じである。
このようにして開口部蓋2は、受枠4に対して蝶番構造A(受枠・蓋間結合構造)を介して開閉可能に結合される。
図21に示すように、施錠構造Bは、前記の受枠側係合部材6と蓋側係合部材との組み合わせで構成される。なお、蝶番構造Aと施錠構造Bは周方向に間隔をあけて設けられる。従って、蝶番構造Aと施錠構造Bは一本の直径上に設置されないが、便宜上、図21では同じ断面に示してある。
蓋側係合部材は、図21、図22に示すように、開口部蓋2の下面に設けた横長孔48を有する垂下片47である。垂下片47は開口部蓋2の下面外縁からやや内側に周方向に沿って設けられ、横長孔48は周方向に長く、受枠側係合部材6の係合部17が内側へ突出したときに嵌入する位置に形成されている。なお、垂下片47は、開口部蓋2の裏面に設けた補強リブ(傾斜リブ)の一部とみることもできる。
受枠側係合部材6の構成についてはすでに説明した。
開口部蓋2を開けるときは、施錠構造Bの筒体49をその工具掛け空間54に合致する工具で回転させて解錠し、次いで、この側を持ち上げ、蝶番構造Aを利用して旋回(水平回転)あるいは裏返すように回転させる。開口部蓋2を受枠4から完全に分離したい場合には、蝶番構造Aにおいて、受枠側係合部材6の係合部17における長孔16から蓋側係合部材である結合金物5を開口部蓋2と共に抜き取る。
なお、実施例3においては、筒部50の下部下端面と支持フランジ33上面との間に錆びにくい素材のワッシャ56を配置し、受枠側係合部材6が受枠4に錆び付いて回転が困難になるのを防いでいる。
この発明は中蓋を備えていないマンホールのような地中空間構造物にも利用できる。また、マンホールに限らず地下空間構造物の地上開口部に設ける開口部蓋と受枠との結合構造として利用することができる。
地下空間構造物の地上開口部に設ける開口部蓋は、親蓋と、親蓋に形成した出入り口を開閉する子蓋とで構成することがある。この場合、地上開口部の受枠と親蓋を本発明の蝶番構造や施錠構造で結合し、さらに、親蓋に設けた受枠と子蓋間を構造的に同様な蝶番構造や施錠構造で結合することができる。
2 開口部蓋
3 中蓋
4 受枠
5 結合金物
6 受枠側係合部材
7 溝部
8 ロック部材
9 鉤部
10 操作部
11 工具挿入孔
12 取付部
13 横軸
14 抜け止め突起
15 係合突起
16 長孔
17 係合部
18 軸部
20 アンカーボルト
21 ガイドボルト
22 周壁
23 取付フランジ
24 底板
25 排気口
26 ガイドボルト挿通孔
27 開口部
28 ダンパー
29 外側環状壁
30 内側環状壁
31 環状上壁
32 蓋掛けフランジ
33 支持フランジ
34 環状の開口
35 収納空間
36 貫通孔
37 通気孔
38 補強壁
39 軸挿通孔
40 ネジ孔
41 突条
42 枠
43 棒材
44 棒材挿通孔
45 ナット
46 筒部挿入溝
47 垂下壁
48 横長孔
49 筒体
50 筒部
51 回り止め孔
52 角筒
53 フランジ部
54 工具掛け空間
55 断面円形の貫通孔
56 ワッシャ
Claims (3)
- 地下空間構造物の地上開口部に設置した受枠と、その内側に嵌めて前記地上開口部を閉じる開口部蓋とを結合する受枠・蓋間結合構造であって、
前記受枠側に設けた受枠側係合部材と開口部蓋側に設けた蓋側係合部材との係合により受枠に蓋が結合され、また、結合を解除可能とされており、
受枠側係合部材は、上下に貫通する長孔を設けた係合部と、長孔に挿通した上下方向の軸部を有する上下方向の軸で受枠の面と平行に回転可能に受枠に軸支され、回転によって、受枠の内周面から突出した位置と該内周面よりも外側へ退避された位置とできるものであり、
蓋側係合部材は前記の長孔に挿通される結合金物を備え、
受枠側係合部材の前記長孔に蓋側係合部材の結合金物を挿通することにより受枠に開口部蓋が結合され、
受枠側係合部材と蓋側係合部材との係合が解除されているとき、前記係合部の長孔に挿通した上下方向の軸を軸として受枠側係合部材を受枠の内周面よりも外側へ退避可能とされていることを特徴とした地下空間構造物の地上開口部における受枠・蓋間結合構造。 - 地下空間構造物の地上開口部に設置した受枠とその内側に嵌めて前記地上開口部を閉じる開口部蓋とを結合する受枠・蓋間結合構造であって、
前記受枠側に設けた受枠側係合部材と開口部蓋側に設けた蓋側係合部材との係合により受枠に蓋が結合され、また、結合を解除可能とされており、
受枠側係合部材は、係合部と上下方向の軸部を有する上下方向の軸を有し、この軸で受枠の面と平行に回転可能に受枠に軸支されており、
受枠側係合部材は、受枠の上面側から工具によって回転されることによって、受枠の内周面から突出した位置と該内周面よりも外側へ退避された位置とできるものであり、
蓋側係合部材は下面に下方へ突出する垂下片を有し、垂下片に係合孔が形成されており、前記係合孔へ前記受枠側係合部材が水平回転によって嵌入されることにより受枠に蓋が結合されることを特徴とした地下空間構造物の地上開口部における受枠・蓋間結合構造。 - 受枠側係合部材は係合部と上下方向の筒体と軸部を備え、
前記係合部は下方向に貫通した回り止め孔を設けた筒部を有し、
前記筒体は上端部に工具掛け空間を有し、受枠の軸挿通孔へ回転可能に挿通されると共に軸方向の貫通孔を有しており、
前記軸部は筒体の前記貫通孔を貫通して下端部が受枠に固定されるものであって前記筒体を軸周りに回転可能に支持するものであり、
受枠の収納空間に係合部を配置すると共に受枠の挿通孔に筒体を嵌挿させ、
筒体の下端部を前記係合部における筒部の回り止め孔へ相互回転しないように嵌めこみ、
筒体に貫通させた軸部で受枠側係合部材を受枠に取り付けてあることを特徴とした請求項2に記載の受枠・蓋間結合装置。
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