JP7437830B2 - 吊り部材、及び吊り部材による蓋部材の開放方法 - Google Patents
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Description
側溝の蓋部材にセキュリティをかける方法としては、蓋部材を重量物として容易に持ち上がらないようにする方法、手掛かり部分が付いてない構造とする方法、蓋部材にシリンダ状などの錠前を設ける方法(例えば、特許文献1参照)などがある。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、蓋部材に錠前を設けなくても、セキュリティを担保できる側溝を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、蓋部材の開放を容易に行える方法を提供することを第2の目的とする。
従って、蓋部材に錠前を設けなくても、第三者による蓋部材の開放を防止することができ、セキュリティを担保することができる。よって、第1の目的が達成される。
このようにすれば、傾斜した蓋部材が側溝本体と干渉し易くなり、第三者による蓋部材の開放をより確実に防止することができる。
第2の蓋部材は、貫通孔に挿通したボルト部材をナット部材にねじ込むことにより、専用の吊り部材を使用しなくても開放できる。従って、後述の吊り部材を用いた蓋部材(第1の蓋部材)の開放が困難な現場であっても、第2の蓋部材を先に開放してから、開いた隙間を利用して第1の蓋部材を開放できるようになる。
従って、他の部材と干渉させることなく蓋部材を開放することができ、蓋部材の開放を容易に行える。よって、第2の目的が達成される。
従って、他の部材と干渉させることなく蓋部材を開放することができ、蓋部材の開放を容易に行える。よって、第2の目的が達成される。
〔共同溝設備の全体構成〕
図1は、側溝1を用いた共同溝設備の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の共同溝設備は、長手方向Xに連続して接続される複数の側溝1と、側溝1の内部に収納されるケーブル2とを備える。
複数の側溝1は、当該側溝1の長手方向Xが道路の横断方向に沿うように、道路に埋設することにしてもよい。この場合、側溝1の幅方向Yは、道路の縦断方向と一致することになる。
図1の共同溝設備では、ケーブル2は、側溝1に収納された保護管3に挿通されているが、ケーブル2は保護管3なしで側溝1内に直に収納してもよい。なお、側溝1の収納空間に余裕がある場合は、上下水道配管やガス配管などを収納してもよい。
図1に示すように、本実施形態の側溝1は、側溝本体10と、側溝本体10の上方開口を閉塞する蓋部材20とを備える。
側溝本体10は、コンクリート製のU字溝11と、U字溝11の左右両側壁の上端面に固定されたL型鋼よりなる受け枠12とを有する。U字溝11は、プレキャストコンクリート及び現場打ちコンクリートのいずれであってもよい。受け枠12は、必ずしもL型鋼である必要はなく、U字溝11の側壁上部に形成された凹み部であってもよい。
従って、窪み部13をハンマーなどの工具で打ち付けると、U字溝11の側壁にケーブル2の通過窓を形成することができる。
間隔調整材14は、その両端部を左右の受け枠12に固定することにより、左右の受け枠12を橋渡しする状態で架設されている。また、間隔調整材14は、側溝本体10の長手方向Xに所定間隔で並んだ状態となるように配列されている。間隔調整材14,14同士の所定間隔は、蓋部材20の長手方向寸法に合わせて適宜調整される。
蓋部材20の長手方向一端部には、間隔調整材14がちょうど嵌り込む断面形状の嵌合凹部21が形成されている。
図2に示すように、蓋部材20の長手方向寸法をL1、嵌合凹部21の断面幅をW1、隣接する間隔調整材14間の長手方向距離をD1とすると、D1が(L1-W1)よりも若干大きい寸法(例えば3mm大きい寸法)となるように、間隔調整材14の配列間隔が設定されている。また、蓋部材20の厚さ寸法Tは、後述のA円及びB円の干渉が発生する寸法(例えば、60~120mm)に設定されている。
このため、図2に仮想線で示すように、吊り孔22を作用点として蓋部材20を単体で吊り上げた場合には、蓋部材20を自転させるモーメント(力のモーメント)が発生し、当該蓋部材20が長手方向Xの水平線に対して傾斜しようとする。
従って、共同溝設備の管理者以外の第三者が、吊り孔22を作用点として蓋部材20を単体で吊り上げることができない。よって、本実施形態の側溝1によれば、蓋部材20に錠前を設けなくても、第三者による蓋部材20の開放を防止することができる。
蓋部材20の長手方向端面の補強策としては、例えば、蓋部材20の長手方向端面を鋼製板でカバーする方法、蓋部材20の長手方向端面を樹脂でコーティングする方法、及び、蓋部材20の長手方向端面に高強度繊維よりなる織布を貼り付ける方法などを採用することができる。
図3は、蓋部材20の開放方法の一例を示す説明図である。
図3に示すように、本実施形態の蓋部材20を開放するには、専用の吊り部材30を用いる。吊り部材30は、複数のC型鋼を枠組みしてなるフレーム本体31と、フレーム本体31の下面側に取り付けられた連結部材32と、フレーム本体31の上面側に取り付けられた吊り掛け具33とを有する。連結部材32は、吊り孔22と対応する位置に吊り孔22と同じ数だけ設けられている。
掛止爪34は、先端に向うに従って先細りとなる直角三角状の板辺よりなり、ロールピンによって棒状材の径方向に出退自在となっている。また、掛止爪34は、棒状材の内部に埋め込まれたバネ材により径外方向に付勢されている。
締め付けナット29を締め付け方向に回動すれば、フレーム本体31が蓋部材20の上面に密着して両者が強固に一体化され、連結後の蓋部材20及び吊り部材30の吊り上げ作業が容易になる。
このため、吊り掛け具33に玉掛けワイヤーを接続して吊り部材30を吊り上げると、蓋部材20及び吊り部材30が水平状態を維持しつつ上昇する。従って、図2のA円及びB円の干渉を発生させることなく、蓋部材20を開放することができる。
図4は、連結部材32の変形例を示す説明図である。
図4(a)の例では、蓋部材20の上面側に金属製のインサート部材24が埋設されている。インサート部材24は、重心点mを通る幅方向線23(図1参照)よりも一端側に偏った位置に配置されている。このように、蓋部材20の吊り孔22は、インサート部材24のねじ孔で構成されていてもよい。
この場合、フレーム本体31の挿通孔を蓋部材20のインサート部材24に位置合わせしてから、ボルト部材32Aを蓋部材20のインサート部材24にねじ込むことにより、吊り部材30を蓋部材20に連結することができる。
この場合、フレーム本体31の土星孔を蓋部材20の土星孔22Aに位置合わせしてから、連結部材32を蓋部材20の土星孔22Aに挿通して90度回転させることにより、吊り部材30を蓋部材20に連結することができる。
図5は、吊り部材30の変形例を示す説明図である。
図5の例では、吊り部材30のフレーム本体31に、一対の張り出し部36,36が設けられている。一対の張り出し部36,36は、吊り部材30を連結後の蓋部材20とともにジャッキアップするための部材であり、蓋部材20の長手方向端部から更に外側に突出している。
一対の張り出し部36,36をジャッキアップするための部材は、例えば、図5(a)に示すパンタグラフ式ジャッキ37や、図5(b)に示すバール38などの梃子の原理を利用した工具を採用すればよい。
この場合、ナット部材39の上から比較的長尺のボルト部材39Aをねじ込み、ボルト部材39Aの先端が他の蓋部材20に到達した後もねじ込みを続けることにより、蓋部材20及び吊り部材30が水平状態を維持しつつ上昇する。
図6は、側溝1の変形例を示す説明図である。具体的には、図6(a)は蓋部材20の平面図であり、図6(b)は側溝1の正面図である。
図6(a)に示すように、蓋部材20の吊り孔22は、蓋部材20の重心点mを通る長手方向線25よりも一端側に偏った位置に配置されている。なお、吊り孔22の数は、1つ又は2つでもよいし4つ以上でもよい。
一対の間隔調整材15,15は、左右の受け枠12のフランジ部の上面にそれぞれ固定されている。蓋部材20の幅方向両端部には、間隔調整材15がちょうど嵌り込む断面形状の嵌合凹部26が形成されている。
このため、図6(b)に仮想線で示すように、吊り孔22を作用点として蓋部材20を単体で吊り上げた場合には、蓋部材20を自転させるモーメント(力のモーメント)が発生し、当該蓋部材20が幅方向Yの水平線に対して右下がりに傾斜しようとする。
従って、共同溝設備の管理者以外の第三者が、吊り孔22を作用点として蓋部材20を単体で吊り上げることができない。よって、変形例の側溝1の場合も、蓋部材20に錠前を設けなくても、第三者による蓋部材20の開放を防止することができる。
蓋部材20の幅方向端面の補強策としては、例えば、蓋部材20の幅方向端面を鋼製板でカバーする方法、蓋部材20の幅方向端面を樹脂でコーティングする方法、及び、蓋部材20の幅方向端面に高強度繊維よりなる織布を貼り付ける方法などを採用することができる。
具体的には、蓋部材20に吊り部材30を連結し、両者の重心位置Mと一致する位置にある吊り掛け具33を介して両者を吊り上げるか、吊り部材30の張り出し部36をジャッキアップすればよい。
図7は、第2の蓋部材40を有する共同溝設備の一例を示す斜視図である。
図7に示す共同溝設備は、上述の第1の蓋部材20の他に第2の蓋部材40を有する。第2の蓋部材40は、第1の蓋部材20の間の適所に設置される。
蓋部材40の貫通孔41は、受け枠12と対応する位置に配置されており、蓋部材40の内部の下面側にはナット部材42が埋設されている。ナット部材42のねじ孔は、貫通孔41と同軸心に連通している。
図8に示すように、蓋部材40を開放するには、左右の貫通孔41に比較的長尺のボルト部材43を挿通してナット部材42にねじ込む。
そして、ボルト部材43の先端が受け枠12に到達した後もねじ込みを続けることにより、蓋部材40が水平状態を維持しつつ上昇する。従って、吊り部材30を使用しなくても、蓋部材40を開放することができる。
従って、吊り部材30を用いた第1の蓋部材20の開放が困難な現場であっても、第2の蓋部材40を先に開放してから、開いた隙間を利用して第1の蓋部材20を開放できるようになるという利点がある。
このため、ボルト部材43のねじ込み作業を短縮化でき、蓋部材40をより簡便に開放できるようになる。なお、手掛かり凹部44の形成箇所は、蓋部材40の長手方向量端面であってもよい。
従って、図7の共同溝設備において、第1の蓋部材20を吊り孔22なしの単純な板構造とし、第1の蓋部材20を当初から開放するのを不能な構造としてもよい。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば、本発明の側溝1は、共同溝設備だけでなく、下水道などの水路設備に使用することもできる
2 ケーブル
3 保護管
10 側溝本体
11 U字溝
12 受け枠
13 窪み部
14 間隔調整材
15 間隔調整材
20 蓋部材(第1の蓋部材)
21 嵌合凹部
22 吊り孔
22A 土星孔
23 幅方向線
24 インサート部材
25 長手方向線
26 嵌合凹部
29 締め付けナット
30 吊り部材
31 フレーム本体
32 連結部材
32A ボルト部材
33 吊り掛け具
34 掛止爪
35 抜け止め片
36 張り出し部
37 パンタグラフ式ジャッキ
38 バール
39 ナット部材
40 蓋部材(第2の蓋部材)
41 貫通孔
42 ナット部材
43 ボルト部材
44 手掛かり凹部
Claims (6)
- 上部開口に受け枠が設けられた側溝本体の、前記受け枠に内嵌めされ、重心点を通る幅方向線又は長手方向線よりも一端側に偏った位置に配置される1又は複数の吊り孔を有する蓋部材を開放するための吊り部材であって、
フレーム本体と、フレーム本体の下面側に取り付けられた連結部材と、フレーム本体の上面側に取り付けられた吊り掛け具とを有し、
前記フレーム本体は、前記連結部材を挿入するための挿通孔を有し、
前記連結部材は、前記挿通孔と前記吊り孔へ挿入され、前記フレーム本体の下面と前記蓋部材とを重ね合わせた状態で、前記蓋部材に前記吊り部材を連結し、
前記吊り掛け具は、前記蓋部材に連結された1つの前記吊り部材の吊り上げにより、連結後の前記蓋部材が水平状態を維持しつつ上昇するように配置されている、
吊り部材。 - 前記吊り孔は、前記蓋部材の重心点を通る幅方向線よりも一端側に偏った位置に、複数配置されている、請求項1に記載の吊り部材。
- 前記吊り孔は、ねじ孔を有し、
前記連結部材は、ねじ孔に対応するボルト部材である、
請求項1に記載の吊り部材。 - 前記フレーム本体の下面と前記蓋部材とを重ね合わせた状態で連結した際、前記吊り掛け具が、前記蓋部材及び前記吊り部材の重心位置と一致する位置に配置されている、請求項1に記載の吊り部材。
- 前記蓋部材に対する前記吊り部材の連結位置は、前記吊り部材が前記蓋部材の長手方向一端からはみ出さない位置である、請求項4に記載の吊り部材。
- 請求項1~5のいずれかに記載の吊り部材による、前記側溝本体の前記受け枠に内嵌めされている前記蓋部材の開放方法であって、
前記挿通孔を、前記吊り孔と対応する位置に合わせるステップと、
前記連結部材を、前記挿通孔と前記吊り孔へ挿入し、前記フレーム本体の下面と前記蓋部材とを重ね合わせた状態で連結するステップと、
前記吊り掛け具に玉掛けワイヤーを接続して前記吊り部材を吊り上げ、前記蓋部材及び前記吊り部材を、水平状態を維持しつつ上昇させるステップと、
を含む、前記蓋部材の開放方法。
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