JP6083759B2 - 地下空間構造物の開口部蓋構造 - Google Patents
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密閉タイプは地下空間からの臭気の漏れ出しを防止でき、また、地上の土砂やごみ(落ち葉)などが地下空間へ侵入するのを防止できるが、重い。また、密閉タイプであるために急激な大雨の際に地下空間からの水圧や空気圧で蓋が飛散する恐れがある。このため、頑丈な飛散防止機構を設けている。
以上から、これら2つのタイプの蓋は開口部構造において使い分けられており、下水専用管路(地下空間の一つ)や下水・雨水合流管路(同)では基本的に密閉タイプが使用され、雨水専用管路(同)などでは基本的にグレーチングタイプが使用されている。
特許文献2の地下構造物用親子式断熱中蓋は、地面に上面が露出する蓋(外蓋)とその内側に位置する中蓋とからなる二重蓋であって、外蓋、中蓋共に親子式に構成している。親子式とすることで軽作業時に大きく重い親蓋を開ける必要のないことが記載されている。
特許文献3は、地下構造物の開口内に設置される排気防臭装置について記載している。
この排気防臭装置は、中蓋に類するものであり、胴部に弁を備えた複数の排圧孔を設けてある。前記開口を塞ぐ格好で取り付けられた排気防臭装置は、地下構造物の内部で圧力が高まると前記の弁が開いて、内部からの圧力を確実に外部へ逃し、また、通常の場合は前記の弁が閉じており、臭気の漏れ出しを防止するというものである。
前記の特許文献2が開示する二重蓋は外蓋、中蓋共に子蓋を有し、軽作業は両方の子蓋を開閉して行うことが開示されているが、外蓋が前記の密閉タイプであるため、中蓋に土砂を処理する機能は必要がなく、外蓋がグレーチングタイプである場合に使用できない。また、この文献の二重蓋は地下空間の圧力上昇を逃す排圧構造を有していない。
本発明は、外蓋が口径の大きなグレーチングタイプであって、集水性に優れる一方、中蓋を備えて地下空間からの臭気を抑え込む能力に優れ、また、中蓋の密閉性に伴う地下空間の圧力上昇に対処した排圧能力を備えると共に、軽作業時には外蓋及び中蓋の全部を開閉する必要のない地下空間構造物の開口部構造を提供する。
外蓋と中蓋を備えた二重蓋構造とする。
外蓋は、グレーチングタイプであると共に親子蓋とする。中蓋もまた親子蓋とし、中蓋にはダンパー構造と排圧弁を設ける。
ダンパー構造は、中蓋に堆積する土砂の重量で開いて土砂を地下空間に放出した後に閉じ、常時は閉じている構造とし、排圧弁は、地下空間からの圧力で開き、常時は閉じているものとする。
前記の中蓋は、親中蓋と中子蓋を備え、中子蓋を底面とした逆円錐台形の側壁を備える。そして、側壁に排圧弁を設け、中子蓋に前記のダンパー構造を設けることがある。
また、中蓋を地下空間構造物の地上開口部に取り付けた受け枠の内面に環状に突出した環状突出部に係合させて取付け、地下空間からの圧力上昇時に環状突出部から上方へ移動して環状突出部との間に、排圧空間を形成する構造とすることがある。
さらに、中子蓋を中蓋において上方へ移動可能に取付け、地下空間からの圧力上昇時に上方へ移動して中蓋の他の部分との間に、排圧空間を形成し、まずこの部分で排圧できる構造とすることがある。
前記の中蓋は、中子蓋を底面とした逆円錐台形の側壁を備え、側壁に排圧弁を設けると共に、中子蓋に前記のダンパー構造を設けることがある。
すなわち、中蓋によって地下空間の地上開口部としての密閉性を維持しながら、排圧(圧抜き)機能と外蓋をグレーチングタイプにして集水機能をもたせていることによる堆積土砂などの処理機能とを合わせて達成することができる。
立ち上げ管3は、地中に埋設されて内部が筒状の空間に形成されており、上端がマンホール1の地上開口部7となり、下端が下水・雨水合流管路(図示していない)に通じている。
前記地上開口部7はフランジ面8となっていて、その上面に複数の取付けボルト9が植設されている。
立ち上げ管3のフランジ面8に受け枠4が前記の取付けボルト9によって固定され、受け枠4に中蓋5と外蓋6が順次に嵌合して取付けられる。
受け枠4の前記内壁13は内面に突出した環状のフランジ、すなわち、上段フランジ16と下段フランジ17をそれぞれ内方(受け枠4の中心側)へ突出させて備えている。下段フランジ17は上段フランジ16よりも内方へ張り出している。受け枠4は、また、上段フランジ16と下段フランジ17との間に内壁13を内外に貫通して受け枠4の内側と前記の環状空間部11を連通させる複数の連通孔18を備えている(図2)。なお、前記の下段フランジ17には上下方向の貫通孔19が複数設けられている(図1、後述)。
なお、正確にはこの実施例の円錐台形は平行な上面と下面の中心をとおる軸線が傾斜している斜行円錐台ともいうべき形態である。したがって、平面視では下面の円形は上面の円形に対して偏心した位置になる。
各排圧弁29は自重で側壁20の上面へ接当して、通常時、側壁20の格子構造による窓孔25を遮蔽する(図7)。側壁下面からの圧力(風圧・水圧)が強い場合には破線で示すように下辺部が上方へ変位して格子構造の窓孔25が開き、圧力を逃す。
図8,9は、突起30としてステンレスのスライドピン30aを選択したものであり、スライドピン30aは軸部よりも径を大きくした頭部と下端部に雄ねじを切ってある。排圧弁29の上辺部に設けた孔にスライドピン30aを差し通し、そのピン30aをさらに側壁20に設けた孔へ挿し込んで下方でナット30bをねじ込んで抜け止めとしてある。排圧弁29に設ける前記の孔と側壁20に設ける前記の孔は共にスライドピン30aの太さに対してバカ孔であり、また、スライドピン30aは側壁20に排圧弁29を重ねた厚さよりも十分に長くしてある。したがって、この構造では、通常時は窓孔25は排圧弁29により遮蔽されているが、中蓋5よりも下方の圧力が高くなると図9のように、排圧弁29の全体が浮き上がり、排圧のために窓孔25を大きく開くことができる。下方からの圧力が消失して通常の状態になると、排圧弁29はスライドピン30aと共に自重で降下して前記の窓孔25を閉じる。
図10は、排圧弁29の他の取付け方であって、前記図8,9で説明したスライドピン30aによる取付け構造において、スライドピン30aに戻しばね31を付属させ、排圧弁29の戻りを確実にしている。
また、図において符号33は鉄ワッシャーであり、側壁20の上面に固定してある。通常時において環状の永久磁石32を吸着して排圧弁29の遊動をより効果的に抑制する。
なお、鉄ワッシャー33は、側壁20、ひいては中蓋5が合成樹脂で形成される場合には、環状の永久磁石32を引き寄せておくために必要である。
以上、柔軟な排圧弁29について説明したが、板状の弁体が一側の蝶番を中心に上下に回動して窓孔25を開閉するような簡単な構造であってもよい。
ダンパー構造34は、環状の外周フランジ35と筒状側壁36、傾斜底板37及びダンプ板38を備える。環状の外周フランジ35は筒状側壁36の上縁から外方へ張り出した水平部分であり、前記中蓋5の下周縁フランジ23(図4)に上方から係合できる大きさとされている。
傾斜底板37は、中央部に円形に凹んだ円形段部39を有し、円形段部39にダンプ板38を開閉可能に納めている。即ち、円形段部39は傾斜下方が内側へ張り出すフランジを残して半円形に切欠かれている一方、ダンプ板38は円形段部39の底板部分に、前記フランジに掛けて半円形の切欠きを閉鎖した位置となるよう配置されており、直径方向のダンプ軸40を中心に切欠き部分に対応する半円部分が下方へ移動して全体が傾斜できる構成とされている(図12の状態)。ダンプ板38の回転は、下面側に取付けた重錘41で調整されており、下方へ回転できる切欠き側の半分に設定下重量の土砂などが堆積したときに一気に回転して傾斜し、土砂などを下方へ放擲し、放擲後は元の下方から切欠きを閉じた状態へ自動的に戻るバランスとされている。このような構造は特許文献1に開示され公知である。
符号42は、中子蓋用の取手である。
詳しくは図示していないが、子蓋44は、親蓋43に対して蝶番構造と錠構造をもって取り付けられ、同様に親蓋43は受け枠5に対して蝶番構造と錠構造をもって取付けられている。
このため、下方からの圧力が急激に高まったとき、中子蓋21は長ボルト48をガイドとして上方へ移動し、外周フランジ35と側壁20の下周縁フランジ23との間に圧抜き用の空隙が形成される。
このため、下方からの圧力が急激に高まったとき、中蓋5は長ボルト49をガイドとして全体的に上方へ移動し、上周縁フランジ22と下段フランジ17との間に圧抜き用の空隙が形成される。中蓋5が上方へ移動する際の限度は上周縁フランジ22の下面側に垂下して設けられた係合脚27の爪28が受け枠4の下段フランジ17の下面に係合することで定められる。
次いで、親蓋43に子蓋44を嵌め込んだ外蓋6を受け枠4の上段フランジ16に載置して嵌合する。
なお、外蓋6の子蓋44と中蓋5の中子蓋21の偏心位置は、それぞれの外周に設けた3か所の凹所と受け枠4側の凸所との位置を合わせることで、上下方向で一致させる。
一方、豪雨などで地下空間の圧力が上昇すると、中蓋5の排圧弁29が開き、側壁20の窓孔25を通じて圧力が中蓋5と外蓋6との間の蓋下空間50(図16)に抜け、外蓋6が多数の蓋開孔46を有するグレーチングタイプであることにより、この蓋下空間50から外部へ放出される。一方、この蓋下空間50に抜けた圧力は受け枠4の内壁13の連通孔18を通じて環状空間部11に入り、上壁14の枠開孔15を通じても外部へ放出される。
このように、外蓋6がグレーチングタイプであるにも関わらず中蓋5を備えた二重蓋構造とすることで地下空間からの臭気の漏れ出しを防止する一方で、地下空間の圧力上昇時には、3段階で対応することができる。特に、急激な圧力上昇時に中蓋5もろとも外蓋6が飛散してしまうなどの事態を防止することができる。
なお、中蓋5に前記ダンプ板38の作動に支障がない位置に網を張り、落ち葉などごみは地下空間に放出しない構造とすることもできる。
なお、中蓋5に設ける3段階の排圧構造と受け枠4に環状空間部11を設ける構成は、外蓋6が密閉タイプの場合に応用して、いわゆる鉄蓋が地下空間の圧力で飛散するのを防止することができる。
さらに、中蓋5を設けることによって、地下空間の温度が外蓋6に伝達されるのが遮断されるので、積雪の多い寒冷地において、外蓋6上の雪が溶かされてできる大きな穴の出現を防止できる。
2 開口部構造
3 立ち上げ管
4 受け枠
5 中蓋
6 外蓋
7 地上開口部
8 フランジ面
9 取付けボルト
10 取付けフランジ部
11 環状空間部
12 外壁
13 内壁
14 上壁
15 枠開孔
16 上段フランジ
17 下段フランジ
18 連通孔
19 貫通孔
20 側壁
21 中子蓋
22 上周縁フランジ
23 下周縁フランジ
24 斜壁
25 窓孔
26 取っ手
27 係合脚
28 爪
29 排圧弁
30 突起
31 戻しばね
32 環状の永久磁石
33 鉄ワッシャー
34 ダンパー構造
35 外周フランジ
36 筒状側壁
37 傾斜底板
38 ダンプ板
39 段部
40 ダンプ軸
41 重錘
42 中子蓋用取手
43 親蓋
44 子蓋
45 フランジ
46 蓋開孔
47 滑り止め突起
48 長ボルト
49 長ボルト
50 蓋下空間
Claims (2)
- 地下空間構造物の地上開口部構造であって、
外蓋と中蓋を備えた二重蓋構造であり、
外蓋は、グレーチングタイプであると共に親子蓋とされており、
中蓋は親子蓋とされ、中子蓋を底面とした逆円錐台形の側壁を備え、中子蓋にダンプ板が設けられていると共に前記の側壁に排圧弁を備えており、
ダンプ板は、中蓋に堆積する土砂の重量で開いて土砂を地下空間に放出した後に閉じ、常時は閉じている構造であり、
排圧弁は、地下空間からの圧力で開き、常時は閉じているものである
ことを特徴とした地下空間構造物の地上開口部構造。 - 中蓋に対して中子蓋は上方へ移動可能に取付けられており、地下空間からの圧力上昇時に上方へ移動して排圧用の空隙を形成する構造であることを特徴とした請求項1に記載の地下空間構造物の地上開口部構造。
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