実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る浴室乾燥機1の構成を説明する。
図1は、実施の形態1に係る浴室乾燥機を示し、(a)は側断面図、(b)は下面図である。図2は、実施の形態1に係る浴室乾燥機の構成図である。
循環送風機2は、循環吸込口10から浴室21内の空気を吸込み、循環吹出口8から浴室21内へ空気を吹出すことにより、循環風を生成する。
換気送風機3は、循環送風機2によって吸込まれた浴室21内の空気の一部を換気吸込口12より吸込み、排気口4から浴室21外へ排出する。このとき排出した分の空気を、浴室21に設けられた吸気口24aから浴室21内に取り込む。吸気口24aから流入する空気を換気風と呼ぶ。換気風は浴室21内の空気に比べると相対湿度(以下、単に「湿度」と称する)が低く、乾燥速度を速める要因の一つである。
制御装置5はタイマを備え、浴室乾燥運転が開始されてから経過した時間を測定することができる。また、制御装置5は時間によって浴室乾燥運転のON/OFFや乾燥処理の運転切り替えができる。ユーザが運転時間を設定し、自動的に浴室乾燥機1の運転を止めることもできる。
記憶部51には、浴室乾燥機1の各種の動作モードを実現するための制御プログラムが格納されている。浴室21外のリモートコントローラ(図示せず)によって一つの動作モードが選択されると、制御装置5が、選択された動作モードに対応する制御プログラムを記憶部51から読み出し、その制御プログラムに基づいて、循環送風機2、換気送風機3、加熱部7、風向制御板9aの動作を制御する。
吸気口位置入力部14は、例えば吸気口24aの位置情報を入力するボタンである。例えば、設置工事者が浴室乾燥機1を浴室21に設置する際に、吸気口24a位置を確認し、ボタン操作によって記憶部51へ記憶させる。浴室乾燥運転を行う際には、記憶部51aが吸気口24aの位置情報を制御装置5へ出力する吸気口位置出力部となる。
ハウジング6は、浴室乾燥機1の筐体の一部を構成し、下面に開口部を有する。ハウジング6の内部には、循環送風機2、換気送風機3、加熱部7、サーミスタ13が格納され、循環風の通り道である循環風路が形成されている。化粧パネル11は、フラットに形成されていて、天井面Tに密着させてハウジング6の開口部を覆うように取り付けられる。
加熱部7は、例えば電気ヒータや、金属パイプの内部に電気やガスによって加熱された熱媒体、例えば温水を流すことにより構成される。さらに、電気を熱に変換する複数の発熱体の間隔をあけて配置したり、発熱体に複数の放熱フィンを設け、発熱体または放熱フィンの周囲を循環風が通ることによって、浴室乾燥機1から吹出す空気が温風となる。
浴室乾燥機1は、「加熱乾燥」モード、「省エネ乾燥」モードを持ち、ユーザがリモートコントローラを操作することによって運転モードが選択される。「加熱乾燥」モード時、加熱部7はONとなり、浴室乾燥機1が吸い込んだ空気を加熱し温風を吹出す。また、「省エネ乾燥」モード時、加熱部7はOFFとなり、浴室乾燥機1は吸い込んだ空気をそのまま送風する。循環吸込口10には、室内温度を検知するためのサーミスタ13が設置されており、「加熱乾燥」モード時に室内温度が上昇するのを避けるために吸込み温度が42℃以上になると加熱部7をOFFにし、38℃以下になると加熱をONにするように制御装置5によって制御されている。
図3は、実施の形態1に係る風向制御板9aの上下風向板91aを示す斜視図である。風向制御板9aは、循環吹出口8に設けられており、上下風向板91aと駆動モータから構成される。上下風向板91aは、駆動モータによって上下風向板91aの長手方向を軸として上下風向板91aの傾きを変えることにより、循環吹出口8から吹出す循環風の上下の吹出し方向を変えることができる。循環風の吹出し方向は、図3に示す上下風向板91aの先端部分を構成する直線部を延長した延長線A1と一致する。また、駆動モータは、例えばステッピングモータから構成される。
風向制御板9aによって風向を制御することにより、浴室乾燥機1は吹出し方向を一定方向に固定する「風向固定」モードと、連続的に風向を変えるためにスイングする「スイング」モードで動作が可能である。「風向固定」モードでは、例えばユーザが風向制御板9aの向きを指定し、記憶部51に記憶させ、任意の場所へ風向を定める。
図4は、実施の形態1に係る浴室21の概略図を示し、(a)は浴室21の上面図、(b)は浴室21のドア23aの正面図、(c)は浴室乾燥機1が天井面に設置された状態を示す側面図である。ドア23aは、浴槽22が近接していない側壁面に設けられる。図4(b)に示すように、通常ドア23a下部には吸気口24a(「ガラリ」とも言う)が設けられる。換気送風機3がONの時に、浴室21内の空気を排気口4から浴室21外に排出する代わりに、浴室21外の空気を吸気口24aから浴室21内に取り入れる。吸気口24aは1つまたは複数設けられる。本実施の形態において、吸気口24aの上端とは最も高い位置にある吸気口23aの開口部の上部を指し(図4(b)のB1)、吸気口24aの下端とは最も低い位置にある吸気口23aの開口部の下部を指す(図4(b)のB2)。図4(c)に示すように、浴室乾燥機1は浴室21の天井に設置される。浴室の典型的なサイズとして、1616サイズ、1624サイズなどがある。
図4(c)に示すように、鉛直方向に直交する水平面Hと風向制御板9aを吹出し方向に沿って延長した延長線とのなす角を風向板角度θとする。風向板角度θは、上下風向板91aの傾き度合いを表す。また、風向制御板9aを吹出し方向に沿って延長した延長線の先が、ドアが設けられている壁と交わる点を交点Xとする。この交点Xが、吸気口24aの上端の高さにあるときの風向板角度をα、吸気口24aの下端の高さにあるときの風向板角度をβとする。
次に、本実施の形態に係る浴室乾燥機1の「加熱乾燥」モード時の動作について説明する。
例えば、設置工事者が、浴室乾燥機1を浴室21に設置する際に、上下風向板91aの風向板角度α及びβを記憶部51へ記憶させる。例えば、設置工事者が上下風向板91aを角度αに調整し、記憶させるスイッチを押すことで、そのときの上下風向板91aの風向板角度αが記憶部51に記憶される。浴室乾燥機1は、吸気口24aの位置を上下風向板91aの風向板角度α及びβによって特定し、浴室乾燥運転時に吸気口24aの位置を考慮した運転を行うことができる。また、この時に試運転で実際に送風を行い、吸気口24aの位置に向かって循環風が吹出していることを確認してから、上下風向板91aの風向板角度α及びβの誤差を修正して記憶させるようにしてもよい。
図5は、実施の形態1に係る浴室乾燥処理の流れを示し、(a)は浴室乾燥開始から終了までのフローチャート、(b)は天井乾燥処理S1の詳細フローチャート、(c)は床面乾燥処理S2の詳細フローチャート、(d)は側壁乾燥処理S3の詳細フローチャートである。
浴室乾燥運転は、例えばユーザがリモートコントローラを通して浴室乾燥機1の「加熱乾燥」モードをONにすることにより運転が開始する。浴室乾燥機1の運転が始まると、制御装置5は、浴室乾燥運転の開始直後に循環送風機2、換気送風機3、加熱部7及び風向制御板9aへ信号を出力する。
まず、第一処理として天井乾燥処理S1を行う。浴室の天井は手入れがしにくく、また、一度カビ菌糸が発生するとカビ胞子を壁面や床面へ落下させるため、カビを広範囲に増殖させる原因となる。従って、浴室乾燥を行う初期の段階で天井面を乾燥させることが重要である。そのため、天井乾燥処理S1を行うことにより浴室乾燥運転の初期の段階で天井を乾燥させる。
天井乾燥処理S1を終えると、第二処理である床面乾燥処理S2を行う。床面乾燥処理S2では、床面を重点的に乾燥させる。
床面乾燥処理S2を終えると、第三処理である側壁乾燥処理S3を行う。第一処理の天井乾燥処理及び第二処理の床面乾燥処理によって、側壁の上部と下部は通常よりは乾燥が促進されている。そのため、最後に側壁の中央に濡れ残りができる。そこで、第三処理として側壁乾燥処理S3を行うことによって濡れ残り箇所がなくなり、浴室乾燥機1は浴室乾燥運転を終了する。また、各浴室乾燥処理の時間はユーザによって入力された時間が記憶部51に入力されており決定している。
次に、天井乾燥処理S1の詳細について説明する。
図6は、実施の形態1に係る浴室21内の換気風と循環風の流れを示し、(a)は吸気口の上部に循環風を送風した場合、(b)は吸気口の下部に循環風を送風した場合の側面図である。天井乾燥処理S1は、図5(b)に示すフローチャートに従って乾燥処理がなされる。制御装置5によって風向制御板9aは風向板角度0°≦θ≦45°、例えば風向板角度θ=20°に固定される(S11)。すると、循環風は天井に沿うような気流となるため、天井面の風速が上昇し水滴の蒸発が促進される。さらにこの時、加熱部7が温められ天井面に温風を送風すると、相対湿度が低下し、より乾燥が促される(S12)。これにより天井面は浴室乾燥の初期に乾燥し、天井面のカビを抑制することにより浴室21の広範囲にカビの菌糸が広がることを防ぐ。さらに、このとき図6(a)に示すように、吸気口24aよりも上部の風圧が高まるため、吸気口24aから流入する湿度が低い換気風は床面へ誘導され、床面の風速が上昇するとともに湿度が低くなり、床面の乾燥が天井と同時に促される効果もある。
天井乾燥処理S1を行う時間は、浴室サイズにより決定されているため、設定された時間が経つと天井乾燥処理を終了し(S13)、次の床面乾燥処理S2の動作へ移る。
次に、床面乾燥処理S2の詳細について説明する。
床面乾燥処理S2は、図5(c)に示すフローチャートに従って乾燥処理がなされる。制御装置5によって風向制御板9aは風向板角度0°≦θ≦αに固定される(S21)。このとき、加熱部7による加熱は行われない。この動作によって、図6(a)に示すように循環風は吸気口24aの上端よりも高い位置へ吹出される。循環風により吸気口24aの上は風圧が高まっているため、流入した湿度の低い換気風は床面へ押し付けられるように誘導される。これにより、床面の風速は上昇し、湿度は低下するため、床面の乾燥が促進する。
図7は、実施の形態1に係る換気風を下に押し付ける場合に効果が高い上下風向板91aの角度を示した側面図である。風向制御板9aの風向板角度θは45°≦θ≦αに制御されることが好ましい。これにより、循環風が換気風を床面に押し付ける力が強くなり、換気風がより床面に押し付けられる。
床面乾燥処理S2は、天井乾燥処理S1と同様に設定された時間が経つと次の側壁乾燥処理S3の動作へ移る(S23)。
側壁乾燥処理S3は、図6(d)に示すフローチャートに従って乾燥処理がなされる。制御装置5によって風向制御板9aは、風向板角度θが天井乾燥処理S1のときよりも大きく、床面乾燥処理S2のときよりも小さくなるように固定される(S31)。次に、加熱部7によって循環風は加熱され温風となる(S32)。これにより、壁面の乾燥が促進されるとともに、壁面を伝って床面の隅にも循環風が行きわたるため、最後に残った濡れ残りの乾燥が促進される。
側壁乾燥処理S3も、天井乾燥処理S1と同様に設定された時間が経つと終了し、浴室乾燥機1の電源は自動的に切れる(S33)。
以上を持って、浴室乾燥運転の一連の動作を終了する。
本発明に係る浴室乾燥機1は、以上のように、浴室21内の空気を吸い込む循環風吸込口10から浴室21内へ空気を吹出す循環風吹出口8に向かって空気を送風する循環送風機2と、循環風吹出口8からの空気の吹出し方向を決定する風向制御板9aと、浴室21内の空気を浴室21外へ排出する換気送風機3と、浴室21外の空気を浴室21内に取り込む浴室21の吸気口24aの位置情報を出力する吸気口位置出力部と、吸気口位置出力部から出力された位置情報に基づいて風向制御板9aの向きを制御する制御装置5と、を備え、制御装置5は、風向制御板9aを空気の吹出し方向に沿って延長した延長線と、吸気口24aが設けられた平面と、の交点Xが、吸気口24aの上端よりも高い位置になるように風向制御板の向きを制御する。これにより、換気風は床面に誘導され、床面の風速上昇と湿度低下により床面の水滴の蒸発を促進することが可能となる。
また、風向制御板9aは、上下の吹出し方向を決定する上下風向板91aを備え、制御装置5は、水平面と上下風向板91aとのなす角が45度以上、かつ、交点Xが吸気口24aの上端よりも高い位置になるように風向制御板9aの向きを制御する。これにより、循環風によって換気風が押し付けられる力が強くなり、換気風が床面上の広範囲に広がる。
また、制御装置5は、第一処理として、循環吹出口8から吹出される空気が浴室21の天井に沿うように風向制御板24aを制御し、第一処理の後に、第二処理として、交点Xの位置が第一処理時の高さより低く、かつ、吸気口24aの上端よりも高い位置になるように風向制御板9aを制御する。これにより、浴室乾燥処理は天井面が優先され、次に床面を乾燥させることにより効率的に浴室乾燥を行うことができる。
また、制御装置5は、第一処理の期間よりも第二処理の期間を長く設定することにより、浴室21内全体を均一に乾燥させることができる。
また、吸気口位置出力部は、吸気口24a位置情報を記憶した記憶部51であることにより、吸気口24aの位置を検知することができる。記憶部51が吸気口位置出力部の機能を備えることにより、浴室乾燥機1に新たな部品を追加しなくてよい。
尚、本実施の形態1では、浴室21内に設置される浴室乾燥機1の取り付け位置は、天井となっているが、壁でも床でも良い。
また、本実施の形態1では、吸気口の位置入力は設置工事者が吸気口24aの位置を確認することにより設定を行った。しかし、浴室サイズとドア23a位置及び吸気口24aの形状はパターンによって分けることができる。そこで吸気口24aの位置情報は、ドア23a及びドア23aに設けられた吸気口24aの位置と形状をリモートコントローラに付属されたボタンで入力することにより記憶部51に記憶させることにより、吸気口24aの位置を特定する方法もある。
また、浴室乾燥を開始してから終了するまでの時間はユーザが定めてもよい。その時、例えば天井乾燥処理S1を20%、床面乾燥処理S2を60%、側壁乾燥処理S3を20%の割合で制御装置5が自動的に場所ごとの乾燥処理時間を割り振る。例えば設置工事者が浴室乾燥機1を浴室21に設置する際に、浴室サイズを入力し記憶部51に浴室サイズを記憶させることができる。これによって浴室乾燥を開始してから終了するまでの時間を部屋のサイズによって推奨される適切な時間にすることができる。また、天井乾燥処理S1、床面乾燥処理S2、側壁乾燥処理S3それぞれの浴室乾燥運転の時間はユーザによって指定することもできる。
また、側壁乾燥処理S3の風向制御板調節S31のとき、風向制御板9aの上下風向板91aの風向板角度θは固定せず、天井乾燥処理S1のときよりも大きく、床面乾燥処理S2のときよりも小さい風向板角度θの間をスイングしてもよい。
実施の形態2.
本発明の実施の形態1では、上下風向板91aの先端は直線部で構成されたが、実施の形態2では、上下風向板9bの先端が曲線部で構成された場合について説明する。
図8は、実施の形態2に係る風向制御板9aの上下風向板9bを示す斜視図である。循環風の吹出し方向は、図8に示すように上下風向板の曲線部の接線を延長した延長線A2と一致する。
浴室乾燥機1の構成と動作については実施の形態1と同様である。
実施の形態3.
本実施の形態3では実施の形態1よりも高い指向性を備えた風向制御板9cまたは9dを使用した場合について説明する。
図9は、実施の形態3に係る浴室乾燥機1の下面図を示し、(a)は延長した風向制御板9cを取り付けた下面図、(b)は吹出し方向に囲いがある風向制御板9dを取り付けた下面図である。風向制御板9aを吹出し方向に延長すると、図9(a)に示す風向制御板9cのようになる。これにより、循環風の指向性が高まり、換気風を誘導する力が強くなる。
また、図9(b)に示すように吹出し方向に沿って囲いがある風向制御板9dを用いることにより循環風の指向性を高めてもよい。
実施の形態4.
本発明の実施の形態1では、浴室21のドア23aの設置位置を図4(a)のようにしたが、浴室21のドア23aが別の場所に設けられる場合について説明する。
図10は、実施の形態4に係る浴室21のドア23の設置位置の上面図である。浴室21のドア23の位置は、図10(a)、(b)、(c)に示すように、実施の形態1の場合を含め一般的に4パターンが考えられる。
それぞれのドア23の位置が変化しても、浴室乾燥機1の構成と動作については実施の形態1と同様である。
実施の形態5.
本発明の実施の形態1では、風向制御板9aは上下風向板91aと駆動モータから構成されていたが、本発明の実施の形態5では風向制御板9aが上下風向板91a、左右風向板92a及び駆動モータから構成される場合について説明する。
風向制御板9aは、循環吹出口8に設けられており、上下風向板91aと左右風向板92a、駆動モータから構成される。上下風向板91aは、駆動モータによって上下風向板91aの長手方向を軸として上下風向板91aの傾きを変えることにより、循環吹出口8から吹出す循環風の上下の吹出方向を変えることができる。左右風向板92aは、吹出し方向に沿った鉛直な面が、例えば循環吹出口8の上下風向板91aのよりも内側に設けられたものである。左右風向板92aは、駆動モータによって例えば鉛直な軸を回転軸として、左右風向板92aの傾きを変えることにより、循環吹出口8から吹出す循環風の左右の吹出方向を変える。左右風向板92aの風向板角度を風向板角度φとする。
図11は、実施の形態5に係る浴室乾燥機1の上下風向板91aと左右風向板92aの吹出し先を延長した延長線とドアが設けられた側壁との交点Xを示した概略図である。実施の形態1では、風向制御板9aを構成する風向板は上下風向板91aのみであったため、上下方向にしか吹出し方向を変えることができなかったが、本実施の形態では左右風向板92aも設けたため、吹出し方向が左右にも変えることができるようになり、吸気口24aが設けられた面のあらゆる位置に交点Xを制御することが可能である。
浴室乾燥機1の他の構成は、実施の形態1と同様である。
次に、本実施の形態に係る浴室乾燥機1が浴室21を乾燥させるために実行する「加熱乾燥」モード時の動作について説明する。浴室乾燥処理は、図5と同様である。
図12は、実施の形態5に係る浴室内のドア23aが設けられている側壁の概略図である。例えば、設置工事者が、浴室乾燥機1を浴室21に設置する際に、浴室乾燥機1の循環風が吸気口24aの方向へ風向制御板9aの上下風向板91a及び左右風向板92aの角度を記憶部51へ記憶させる。上下風向板91aの設定方法は実施の形態1と同様である。左右風向板92aも上下風向板91aと同様に、吹出し方向に沿って延長した延長線が、吸気口24aの右端(図12のB3)と左端(図12のB4)へ向かう風向板角度φを記憶させる。これにより、浴室乾燥機1は吸気口24aの位置を風向制御板9aの風向板角度θとφによって特定し、浴室乾燥運転時に吸気口24aの位置を考慮した運転を行うことができる。また、この時に試運転で実際に送風を行い、吸気口24aの位置に向かって循環風が吹出していることを確認してから、風向制御板9aの風向板角度θとφを記憶させるようにしてもよい。
浴室乾燥処理の主な動作については、実施の形態1と同様であるため、相違点について説明する。
床面乾燥処理S2の風向制御板調節S21の工程で、上下風向板91aだけではなく、左右風向板92aも調節する。このとき、左右風向板92aによって交点Xは吸気口24aの右端(図12のB3)から左端(図12のB4)の間に制御される。これにより、循環風によって換気風が押し付けられる力が強くなり、また、床面の中央に誘導されるため、換気風が床面上の広範囲に広がる。
この時、交点Xの位置を風向制御板9aの上下風向板91aと左右風向板92aによって、吸気口24aの上端よりもやや上(図4(b)のB1)、かつ、吸気口24aの右端(図12のB3)と左端(図12のB4)の真ん中になるように制御すると最も効果が高い。
側壁乾燥処理S3の風向制御板調節S31の工程で、左右風向板92aは左右にスイングされるようにする。これにより、浴室乾燥機1の正面の壁面だけでなく左右の側壁にも循環風を送風することができる。よって循環風が側壁を伝って浴室21の洗い場の隅全体に送風することができる。
本発明に係る浴室乾燥機1は、以上のように、制御装置5は、交点Xの水平方向の位置が吸気口24aの右端から左端までの範囲に入るように風向制御板9aを制御する。これにより、換気風が床面に誘導される際に床面の中央に寄るように誘導できる。
実施の形態6.
本発明の実施の形態1では、加熱を使用する「加熱乾燥」モードについて説明したが、本実施の形態6では、加熱を行わない「省エネ乾燥」モードについて説明する。
浴室乾燥機1の構成は、実施の形態1と同様である。また、浴室乾燥機1の動作については、異なる部分についてのみ説明する。
図13は、実施の形態6に係る浴室乾燥機1の浴室乾燥処理の流れを示し、(a)は天井乾燥処理S1の詳細フローチャート、(b)は側壁乾燥処理S2の詳細フローチャートである。
天井乾燥処理S1は、図13(a)に示すフローチャートで乾燥処理がなされる。制御装置5によって、上下風向板91aは風向板角度θがβ≦θ≦90°となるように固定される。この動作により、循環風は吸気口24aの下端よりも下に吹出される(S14)。吸気口24aから吹き込む換気風は、通常、洗い場に向かって流入しているが、循環風によって吸気口24aの下部は風圧が高まっているため、図6(b)のように換気風は吸気口24aから流入してすぐに天井面へ誘導される。これにより天井の湿度が低下し、天井の乾燥が促進する。このモードを使用すると加熱を行わないため、省エネルギーで天井を低湿度化し、乾燥を促すことができる。実施の形態1と同様に設定された時間が経過すると天井乾燥処理S1を終了し、床面乾燥処理S2を行う。
側壁乾燥処理S3は、図13(b)に示すフローチャートで乾燥処理がなされる。制御装置5によって、上下風向板91aは風向板角度0°≦θ≦α、例えば45度に固定される(S31)。この時、風向板角度θは固定されずに0°≦θ≦αの間をスイングしてもよい。実施の形態1と同様、設定された時間が経過すると側壁乾燥処理S3は終了し、浴室乾燥運転の一連の動作を終了する。
図14は、実施の形態6に係る浴室乾燥機1が天井へ換気風を送風する際に効果が高い上下風向板91aの角度を示した側面図である。風向板角度θは、交点Xが吸気口24aが設けられた平面において床面よりも低い位置であり、かつ、風向制御板9を吹出し方向に延長した延長線が浴槽と交わらないことが好ましい。これにより、循環風が床面を跳ね返って天井へ向かい、換気風を天井へ誘導する力が強くなる。
本発明に係る浴室乾燥機1は、以上のように、浴室21内の空気を吸い込む循環吸込口10から浴室21内へ空気を吹出す循環吹出口8に向かって空気を送風する循環送風機2と、循環吹出口8からの空気の吹出し方向を決定する風向制御板9aと、浴室21内の空気を浴室21外へ排出する換気送風機3と、浴室21外の空気を浴室21内へ取り込む浴室21の吸気口24aの位置情報を出力する吸気口位置出力部と、吸気口位置出力部から出力された位置情報に基づいて風向制御板9aの向きを制御する制御装置5と、を備え、制御装置5は、風向制御板9aの空気の吹出し方向に沿って延長した延長線と、吸気口24aが設けられた平面と、の交点Xが、吸気口24aの下端よりも低い位置になるように風向制御板9aの向きを制御する。これにより、換気風は天井面に誘導され、天井面の湿度低下により天井面の水滴の蒸発を促進することが可能となる。
また、制御装置は、交点Xが浴室21の床よりも低い位置、かつ、風向制御板9aを空気の吹出し方向に沿って延長した延長線が浴室21内に設けられた浴槽22と交わらないように風向制御板9aの向きを制御することにより、換気風を天井面に誘導する力が強くなり、多くの換気風が天井面に広がる。
また、制御装置5は、第一処理として、交点Xが吸気口24aの下端よりも低い位置になるように風向制御板9aの向きを制御し、第一処理の後に、第二処理として、交点Xが吸気口24aの上端よりも高い位置になるように風向制御板8aの向きを制御する。これにより、全体の浴室乾燥の中で天井面の乾燥を優先し、次に床面の乾燥を促進し浴室乾燥を効率的に行うことができる。
本実施の形態では、濡れ面の湿度低下の方法として換気風を利用する。そのため、換気風の相対湿度は低い方が、高い効果を得ることができる。換気風の湿度が高い場合は、温風による乾燥効率が高い天井面のみ、温風が天井面に沿うように風向制御板9aを制御することによって天井面の湿度を下げ、乾燥を促進する。従って、例えば特に湿度の高い夏場にはカビ抑制に対して効果が高い「加熱乾燥」モードを使用し、湿度の低い冬場には「省エネ乾燥」モードを使用するとよい。この切り替えによって、加熱による消費電力を抑えた効率的な浴室乾燥を実現する。
実施の形態7.
本発明の実施の形態1では、吸気口24aはドア23aの下部に設けられていたが、本実施の形態7では、吸気口24aがドア23aの上部に設けられている場合について説明する。
図15は、実施の形態7に係る吸気口24bが上部に設けられているドア23aの正面図である。吸気口がドアの上部に設けられていても、浴室乾燥機1の構成及び動作は、実施の形態1と同様である。
実施の形態8.
本発明の実施の形態6では、吸気口24aはドア23aの下部に設けられていたが、本実施の形態8では、吸気口24aがドア23aの上部に設けられている場合(図15)について説明する。
浴室乾燥機1の構成と動作については、実施の形態6と同様であるが、天井乾燥処理S1を行う際に効果が高い角度が異なる。
図16は、実施の形態8に係る浴室乾燥機1が天井面を乾燥させる際に効果が高い角度を示した浴室21の側面図である。上下風向板91a角度θは、β≦θ≦45°に制御される。これにより、循環風が換気風を天井面に押さえつける力が強くなり、換気風が天井面に広がる。
本発明に係る浴室乾燥機1は、以上のように、風向制御板9aは、上下の吹出し方向を決定する上下風向板91aを備え、制御装置5は、水平面と上下風向板91aとのなす角が45度以下、かつ、交点Xが吸気口24aの下端よりも低い位置になるように風向制御板9aの向きを制御する。これにより、循環風が換気風を天井面へ押さえつける力が強くなり、換気風が天井面に広がる。
実施の形態9.
本発明の実施の形態1では、吸気口24aはドア23aの下部に横長に設けられていたが、本実施の形態9では、吸気口24cがドア23bに縦長に設けられている場合について説明する。
図17は、実施の形態9に係る吸気口24cが縦長に設けられているドア23bの正面図である。浴室乾燥機1の構成は、実施の形態5と同様である。また、浴室乾燥機1の動作は、実施の形態1と同様であるが、風向制御板9aの風向板角度θ及びφが実施の形態1と異なるため、その部分について説明する。
床面乾燥処理S2を行う風向制御板調節S21において、制御装置5によって上下風向板91aは、交点Xの高さが吸気口24cの上端(図17のB1)と下端(図17のB2)の中央の高さになるように制御される。これにより、湿度の低い換気風の半分が床面に押し付けられ、床面の湿度が低下し、床面の乾燥が促進する。
図18は、実施の形態9に係る浴室乾燥機1の循環風と換気風の流れを示し、(a)は吸気口24cの右側に送風した場合の上面図、(b)は吸気口24cの左側に送風した場合の上面図である。側壁乾燥処理S3を行う風向制御板調節S31において、図18(a)のように、制御装置5によって風向制御板9aは、吸気口24cの右端よりも右になるように左右風向板92aの風向板角度φが制御される。これにより、吸気口24cの右側の風圧が高くなり、換気風は左側の側壁へ誘導され、左側の側壁の湿度が低くなり乾燥が促される。また、これにより浴室21全体の循環風及び換気風の循環が良くなる。
また、図18(b)のように、制御装置5によって風向制御板9aは、吸気口24cの左端よりも左になるように左右風向板92aの風向板角度φが制御される。これにより、吸気口24cの左側の風圧が高くなり、換気風は右側の側壁へ誘導され、右側の側壁の湿度が低くなり乾燥が促される。
実施の形態10.
本発明の実施の形態6では、吸気口24aはドア23aの下部に設けられていたが吸気口24cがドア23bに縦長に設けられていてもよい。
浴室乾燥機1の構成及び動作は、実施の形態6と同様である。風向制御板9aの風向板角度θが実施の形態6と異なるが、これは実施の形態9と同様である。
実施の形態11.
以上の実施の形態では、吸気口24a位置の特定手段をユーザによる入力としたが、次にセンサ等による自動的な検出による場合の実施の形態を示す。
図19は、実施の形態11に係る浴室乾燥機1に温度センサ15を設置した下面図である。図20は、実施の形態11に係る浴室乾燥機の構成図である。温度センサ15は化粧パネル11に浴室21内が検知できるように設置され、浴室21内壁面の表面温度が検出可能となる。例えば、温度センサ15は図19に示す赤外線センサなどによるセンサで、浴室21内温度を検出する。温度センサ15は、例えば上下左右に動き、エリアを分割することで分割されたエリアごとの浴室21内の表面温度を全体的に測定することができる。
温度センサ15は、通信線を通じて吸気口24aの位置情報を制御装置5へ出力する吸気口位置出力部となる。温度センサ15によって得られた吸気口24aの位置情報は、制御装置5によって処理され、風向制御板9aの吹出し方向を決定する。浴室乾燥機1の他の構成については実施の形態1と同様である。
次に、実施の形態11の動作について説明する。基本動作は実施の形態1と同様である。
図21は、実施の形態11に係る浴室乾燥処理の温度センサを設けた場合の流れの一例を示し、(a)は浴室乾燥処理のフローチャート、(b)は狙い撃ち処理S4の詳細フローチャートである。温度センサ15が設けられたことにより、床面乾燥処理S2の終了後は濡れ残っている場所を検知し、図21(a)に示すような狙い撃ち処理S4を行うことが可能である。
まず、天井乾燥処理S1がはじまり、開始と共に温度センサ15を起動する。浴室乾燥を行う際には換気を行っているため、浴室21外の空気が吸気口24aより他の場所と比較して高風速で流入する。濡れている面は風が吹くことによって水滴の蒸発が促進され、表面の温度が下がる。浴室21内は全体的に濡れた状態であるため、換気風によって高風速となっている吸気口24aの部分だけ表面温度の低下が促進され、他の場所と比べて大きな温度差が生じ、検出可能となる。この温度差によって吸気口24aの位置を検知する。
この時、浴室21に窓がある場合においては、窓のガラスが冷え、温度センサ15が浴室21内の表面温度を検知した時に吸気口24aと誤認する恐れがある。そこで、窓については例えば、設置工事者が浴室乾燥機1を浴室21に設置する時に窓の位置情報を制御装置5の記憶部51に記憶させ、窓を吸気口24aと誤認しないようにする。
図21(b)は狙い撃ち処理S4の詳細フローチャートである。狙い撃ち処理S4では、まず、濡れ残り箇所に関して、温度センサ15が濡れ残り部の水表面の温度と乾燥部の温度差を検知する(S41)。検知後、制御装置5は風向制御板9aへ信号を出力し、循環風が濡れ残り箇所に送風される角度に風向を制御する(S42)。結果、濡れ残り箇所の風速は上昇し、乾燥が促される。
狙い撃ち処理S4は、温度センサ15によって温度差がなくなってから例えば5分間送風し、次の濡れ残り箇所を検知する(S43)。濡れ残り箇所が検知された場合は、再び制御装置5は風向制御板9aへ信号を出力し、循環風が濡れ残り箇所に送風される角度に風向を制御する(S42)。濡れ残り箇所が検知されなくなった時、制御装置5から浴室乾燥機1は自動的に電源OFFにする信号が出力され、浴室乾燥が終了する(S44)。
本発明に係る浴室乾燥機1は、以上のように、吸気口位置出力部は、吸気口24a位置を検出する温度センサ15である。これにより、吸気口の位置を自動で検知することができ、設置工事者の工事負荷が減少する。また、天井乾燥処理S1と天井乾燥処理S2を終えた後に、狙い撃ち処理S4によって効率的に濡れ残り箇所の水滴の乾燥を促進することができる。
以上のように、本発明に係る浴室乾燥機では、吸気口からの吸気を積極的に行う構成により浴室21を効率的、かつ、省エネルギーで乾燥させることが可能である。