以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る浴室乾燥機について説明する。
まず、図1〜図13を参照して、その浴室乾燥機の概要を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る浴室乾燥機の使用形態の一例を示す。
本実施形態に係る浴室乾燥機1は、浴室400の天井裏に設置される。この浴室乾燥機1は、浴室400内の暖房或いは除湿などの様々な乾燥や、換気を行うことができる。
図2は、浴室乾燥機1の下方からの斜視図である。以下の説明では、浴室側を「下」と言い、その反対側を「上」と言うことがある。
浴室乾燥機1には、ケース503に収納される乾燥機本体501があり、乾燥機本体501には、乾燥機本体501の下面の少なくとも一部(例えば図示のように実質的に全域)を覆うカバーが取り付けられる。例えば、乾燥機本体501の下面に、内部グリル911が取り付けられ、その内部グリル911の下面に、カバーとして表面グリル509が取り付けられる。ケース503は、直方体状の箱となっているが、形状はそれに限らず種々の形状を採用し得る。
乾燥機本体501の一側面には、浴室内から吸われた空気を浴室乾燥機1の外に排出するための図示しない排気口があり、ケース503には、その排気口から排出される空気が流れる図示しない排気ダクトが取り付けられる。
乾燥機本体501の下面には、浴室内への空気の吹出口507と、その吹出口507からの風の向きを調節する可動ルーバ505とが備えられる。表面グリル509には、可動ルーバ505を目視でき可動ルーバ505の開閉動作の妨げとならないようなサイズの窓508が設けられている。
乾燥機本体501の下面と表面グリル509との間には、或る程度の隙間があり、その隙間が、浴室乾燥機1にとっての吸込口511となっている。換言すれば、浴室乾燥機1の側面全て或いは一部に、吸込口511が設けられ、いわゆる側面吸気が行われるようになっている(それ故、以下、「吸込口511」を「側面吸込口511」と言う)。側面吸込口511から吸い込まれた空気は、乾燥機本体501の下面から乾燥機本体501の内部に入る。
内部グリル911の側面には、フィルタ挿入口513が形成されている。そこから、フィルタ枠515に固定されたフィルタ517を差し込むことができる。フィルタ517は、側面吸込口511から吸い込まれた空気に含まれている塵やほこりが、乾燥機本体501の内部に侵入しないようにするためのものである。
図3は、浴室乾燥機1の乾燥機本体501の下方からの斜視図である。すなわち、この図3は、図2に示した浴室乾燥機1から内部グリル911、表面グリル509及びケース503を除去した場合の外観図である。
乾燥機本体501からの空気の吹出口である本体吹出口990に、可動ルーバ505があり、可動ルーバ505の近傍に、可動ルーバ505を駆動するモータ(以下、ルーバ用モータ)533が備えられる。
乾燥機本体501の下面全周には、フランジ539が設けられている。そのフランジ539に、内部グリル911が取り付けられる。
乾燥機本体501の内部には、図示しない後述の除湿ロータが搭載され、その除湿ロータの下側に対向した場所に、除湿ロータケース523が取り付けられる。除湿ロータケース523の除湿ロータに対向するエリアには、空気の通過の妨げにならないような格子(以下、除湿ロータケース格子)527が張られている。また、乾燥機本体501の内部には、図示しない後述の再生ヒータが搭載され、乾燥機本体501の下面において、再生ヒータに対向するエリアには、エキスパンドメタル531が取り付けられる。
本実施形態では、乾燥機本体501の下面に、空気の吸込口(以下、浴室乾燥機1の側面の側面吸込口511と混同しないようにするため、「本体吸込口」という言葉を用いる)540が設けられ、上記側面吸気された空気が本体吸込口540を介して乾燥機本体501に吸い込まれる。本体吸込口540は、例えば、図3に例示するように、後述の循環ファンが回転することによって吸い込まれる空気の吸込口(以下、循環ファン吸込口)540Aと、後述の再生ファンが回転することによって吸い込まれる空気の吸込口(以下、再生ファン吸込口)540Bとに仕切ることができる(仕切ることなく一つの共通の吸込口とされてもよい)。
図4は、図3の乾燥機本体501の上方からの斜視図である。
フランジ539を有しqの字状の収納スペースを有するケース(以下、「内部ケース」と言う)504に、浴室乾燥機1の種々の構成要素(例えば、後述する循環ファンや、その循環ファンを駆動するためのモータ(以下、循環ファン用モータ)541など)が備えられる。この内部ケース504では、循環ファンから吹出された空気が、排気風路100を経て、排気口521から図示しない排気ダクトへ排出される。
内部ケース504におけるqの字状の収納スペース以外の空いたスペースに、図示しない後述の再生ファンを駆動するためのモータ(以下、再生ファン用モータ)535と、浴室乾燥機1の種々の構成要素を制御するための制御装置519とが備えられる。
図5Aは、浴室乾燥機1の底面図である。図5Bは、浴室乾燥機1の上面図である。図6は、図5Aの6−6断面図である。図7は、図5Bの7−7断面図である。以下の説明では、便宜上、排気口521が存在する側を「左」と言い、それと逆の側を「右」と言い、図6の紙面表側(排気口がある面を正面とした場合の左側)を「前」と言い、図6の紙面裏側を「後」と言う。これは、図5A及び図6を参照した説明に限らず、他の図を参照する場合(例えば、図7のように、図6の浴室乾燥機1とは左右逆にして示されている場合)にも同様である。
内部グリル911に、表面グリル509を係止するための溝(以下、係止溝)609がある。表面グリル509の上面に設けられた爪(グリル係止爪)607が係止溝609に引っ掛かることにより、表面グリル509が内部グリル911に係止される。
浴室乾燥機1内の右側の部分に、除湿ロータ10、除湿ロータ用モータ60、再生ヒータ40、循環ファン20及び循環ファン用モータ541が備えられる。一方、浴室乾燥機1内の左側の部分に、可動ルーバ505、吹出口507、暖房ヒータ30、ダンパ70、ダンパ用モータ611、再生ファン50及び再生ファン用モータ535が備えられる。乾燥機本体501内には、循環ファン20へ連通し後述の循環風路900へと続く風路と、後述の再生風路200とが形成されている。これにより、循環ファン20及び再生ファン50のうち循環ファン20のみを回転させた場合には、浴室乾燥機1の側面にある側面吸込口511から循環ファン吸込口540Aを経て除湿ロータ10を介して上方へと空気が吸引される。循環ファン20及び再生ファン50の両方を回転させた場合には、浴室乾燥機1の側面にある側面吸込口511から吸い込まれた空気の一部が循環ファン吸込口540Aを経て除湿ロータ10を介して上方へと吸引され、残りの一部が再生ファン吸込口540Bを経て除湿ロータ10を介して再生風路200へと吸引される。以下、これらの点や各構成要素について詳細に説明する。
除湿ロータ10は、円盤状のデシカント部材であり、上下方向に空気が通過できるような風路を有している(例えば上下方向に貫けた多数の孔がある)。具体的には、例えば、除湿ロータ10は、水分を吸着するための吸着剤(例えば、ゼオライト及び/又はシリカゲル)が担持された、セラミックス製のペーパであり、いわゆるハニカム構造になっている。除湿ロータ10の直径は、例えば150乃至300ミリメータ程度であり、その厚みは15乃至50ミリメータ程度である。除湿ロータ10は、乾燥機本体501の下面にある本体吸込口540の付近に設けられ、本体吸込口540から入った空気の全部或いは大部分が通るようなサイズに構成されている。
除湿ロータ用モータ60は、除湿ロータ10の中心を回転軸として除湿ロータ10を回転させるモータである。除湿ロータ用モータ60は、除湿ロータ10と循環ファン20との間の空間内の所定の場所(例えば、除湿ロータ10の上面付近)に搭載される。
再生ヒータ40は、除湿ロータ10の上流側、例えば、除湿ロータ10の下面の或る部分の真下に搭載される。再生ヒータ40の水平方向のサイズは、除湿ロータ10の水平方向のサイズよりも小さい(例えば除湿ロータ10の水平方向サイズの4分の1以下である)。再生ヒータ40の発熱により、除湿ロータ10が、吸着した水分を放出し、それにより、除湿ロータ10の除湿能力が再生する。具体的には、除湿ロータ10を回転させつつ再生ヒータ40が発熱すれば、再生ヒータ40により加熱された空気が除湿ロータ10を通ることにより、除湿ロータ10の各部で吸着した水分が放出されるので、水分を吸着したことによって低下した除湿ロータ10の除湿能力を再生することができる(その際、再生ファン50を回転させることにより、除湿ロータ10から放出された水分を浴室外へ排出することができる)。また、再生ヒータ40が発熱することにより、除湿ロータ10に付着した異物(例えばゴミやホコリ)を焼くこともでき、それにより、除湿ロータ10の風路の目詰まりを解消することもできる。
循環ファン20の上に循環ファン用モータ541が取り付けられている。循環ファン20は、例えば遠心型のファンであり、循環ファン用モータ541の駆動により回転する。この循環ファン20が回転することにより、浴室乾燥機1の側面にある側面吸込口511から浴室内の空気が吸われ、その吸われた空気が、循環ファン吸込口540Aから除湿ロータ10を介して上方へと流れる。上方へと流れたその空気は、ダンパ70の開閉状態に応じて、排気風路100と循環風路900の下流部900Bとのうちの少なくとも一方に流れる。なお、除湿ロータ10よりも上流の空気の温度を検出するための温度センサ551Aと、その空気の相対湿度を検出するための湿度センサ553が、除湿ロータ10と本体吸込口540との間の空間における所定の場所に備えられる。具体的には、例えば、各センサ551A、553は、再生ヒータ40の高さ位置と同程度の位置に備えられる。
循環ファン20により除湿ロータ10を介して吸われた空気は、循環ファン20から左側にかけた空間に流れる。循環ファン20の左隣には、更に左へと延設され途中から下へと延びた循環風路900が設けられている。循環風路900は、左へと延設された部分(換言すれば、循環ファン20の左隣の空間)である上流部(以下、循環風路上流部)900Aと、上流部900Aから下へと延びた下流部(以下、循環風路下流部)900Bとで構成することができる。循環風路上流部900Aは、循環風路下流部900Bと、左方向に排気口521へと延びた排気風路100とに分岐している。排気風路100を流れる空気は、排気口521及び排気ダクト555を介し浴室外に排出される。一方、循環風路下流部900Bを流れる空気は、吹出口507から浴室内に排出される。循環ファン20の左に流れた空気が排気風路100と循環風路下流部900Bとのどちら又は両方に流れるかは、循環風路上流部900A(循環ファン20の左隣空間)に設けられたダンパ70の開閉状態によって決まる。ダンパ70の開閉状態は、ダンパ用モータ611の駆動を制御することにより、調節することができる。これらの点については、図10以降を参照して詳細に説明する。
循環風路900の下流側(例えば吹出口507の付近)に、暖房ヒータ30が備えられる。暖房ヒータ30が発熱することにより、暖房ヒータ30を通る空気が暖められ、暖められた空気が、吹出口507から浴室内へと出される。なお、暖められた空気の温度を検出するための温度センサ551Bが所定の場所に備えられる。具体的には、例えば、温度センサ551Bは、暖房ヒータ30の下流側、より具体的には、例えば、暖房ヒータ30と可動ルーバ505との間に備えられる。暖房ヒータ30や再生ヒータ40としては、種々のヒータを採用し得るが、例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient:正温度係数)ヒータを用いることができる。PTCヒータは、抵抗体の電気抵抗値が、温度上昇と共に増加するために、自己温度制御性を有する。
排気風路100の途中(例えば排気口521の近傍)に、再生風路200の出口563が備えられる。再生風路200は、除湿ロータ10の下流側の或る位置(例えば、除湿ロータ10を介して再生ヒータ40に対向した位置)から左へと延び、或る途中位置(例えば乾燥機本体501の左面付近)から上へと延び、再生ファン50の有る位置から前と延びて排気風路100の途中に繋がる。再生風路200を流れる空気は、排気風路100に出て、排気口521及び排気ダクト555を介し浴室外に排出される。なお、再生風路200の途中には、下流へと進んだ多湿の空気が浴室内へと逆流しないようにするための逆流防止弁613が設けられている。
再生ファン50の上に再生ファン用モータ535が取り付けられている。再生ファン50は、例えば遠心型のファンであり、再生ファン用モータ535の駆動により回転する。この再生ファン50が回転することにより、浴室乾燥機1の側面にある側面吸込口511から浴室内の空気が吸われ、その吸われた空気が、再生ファン吸込口540Bから再生ヒータ40を通り除湿ロータ10を介して上方へと流れる。上方へと流れたその空気は、再生風路200へと流れる。
以上が、浴室乾燥機1の構成の概要である。なお、浴室乾燥機1には、浴室とは別の部屋からの空気が流れるダクト(以下、便宜上「他室用吸気ダクト」と言う)557が接続され、他室用吸気ダクト557を介して別部屋の空気を乾燥機本体501内に吸気しても良い。吸気された空気が、所定の場所、例えば、除湿ロータ10の下流側に出るように構成することができる。この場合、循環ファン20によって吸われた空気と同様に、排気口512から排気するか、或いは、浴室内に出すかを制御することができる。別部屋の空気を吸気するか否かは、例えば、他室用吸気ダンパ601の開閉状態(例えば開くか閉じるか)によって、制御することができる。この制御は、例えば、制御装置519が行うことができる。
図8は、浴室乾燥機1の制御系を示すブロック図である。
制御装置519は、例えば、CPU625やメモリ621を備えている。CPU625は、例えば、操作パネル700、温度センサ551A、551B及び湿度センサ553のうちの少なくとも一つから信号を受けた場合、その信号を基に、循環ファン用モータ541、再生ファン用モータ535、除湿ロータ用モータ60、ダンパ用モータ611、暖房ヒータ30、再生ヒータ40及びルーバ用モータ623のうちの少なくとも一つを必要に応じて制御することができる。換言すれば、例えば、CPU625は、循環ファン20の回転、再生ファン50の回転、除湿ロータ10の回転、ダンパ70の開閉の度合い、暖房ヒータ30による発熱、再生ヒータ40による発熱、及び可動ルーバ505を制御することができる。
図9は、操作パネル700の一例を示す。
操作パネル700は、浴室乾燥機1のユーザインタフェース(例えばリモートコントローラ)である。操作パネル700には、浴室乾燥機1が実行できる複数の運転モードにそれぞれ対応した複数の運転モードスイッチが備えられている。具体的には、例えば、「換気」、「衣類乾燥」、「浴室除湿」、「暖房」、「涼風」、「24時間換気」及び「カビ対策」などの運転モードにそれぞれ対応した運転モードスイッチが搭載されている。ユーザは、浴室乾燥機1に実行してもらいたい運転モードに対応した運転モードスイッチを投入することにより、所望の運転モードを浴室乾燥機1に実行させることができる。
制御装置519は、操作パネル700の或る運転モードスイッチの投入信号を受けた場合、温度センサ551A、551B及び湿度センサ553のうちの少なくとも一つの検出結果(例えば相対湿度)から、循環ファン20、暖房ヒータ30、再生ヒータ40、再生ファン50、除湿ロータ用モータ60及びダンパ70のうちの少なくとも一つを制御し、それにより、投入されたスイッチに対応する運転モードを実行する。以下、図10〜図13を参照して、各運転モードの場合の空気の流れを説明する。
図10は、「浴室除湿」モードの場合のダンパの状態や空気の流れを示す。なお、図10は、空気の流れやダンパの状態を説明するための模試的な図であるため、排気風路100を通った空気と再生風路200を通った空気が別々の排気口から排出されるように見えるが、本実施形態では、排気口512は前述したように一つである。これは、他の図11〜13についても同様である。
制御装置519は、「浴室除湿」モードの場合、図10に示すように、除湿ロータ10を或る回転速度(例えば、毎分0.5回転程度)で回転させる。また、制御装置519は、循環ファン20及び除湿ロータ10を回転させ、ダンパ70を全閉状態(排気風路100の入口を完全に遮断し、循環ファン20の左側の空間に出た空気の全てが循環風路下流部900Bに流れる状態)にし、暖房ヒータ30の電源をオフ状態とする。また、制御装置519は、再生ファン50を回転させ、再生ヒータ40の電源をオン状態とする。これにより、矢印A、B、C及びDに示すように、浴室内の空気が除湿されつつ循環し、また、矢印F、G及びHに示すように、多湿の空気が再生風路200から排気ダクトを介して浴室外に排出される。つまり、「浴室除湿」モードによれば、浴室から多湿の空気を吸引し、除湿ロータ10で水分を吸着することにより湿気の少なくなった空気を浴室に吹出すようになっており、その間、水分を吸着することにより低下した除湿ロータ10の除湿能力が再生ヒータ40により再生されるので、浴室内を除湿することができる。
なお、例えば、暖房ヒータ30や再生ヒータ40に、発熱量を調節できる機能が搭載されているような場合には、電源オン状態の代わりに所定量以上の発熱、電源オフ状態の代わりに所定量以下の発熱という制御が行われても良い。
図11は、「衣類乾燥」モード及び「涼風」モードの場合のダンパの状態や空気の流れを示す。
制御装置519は、「衣類乾燥」モードの場合、図11に示すように、循環ファン20を回転させるが、除湿ロータ10及び再生ファン50を回転させない。また、制御装置519は、暖房ヒータ30の電源をオン状態とするが、再生ヒータ40の電源はオフ状態とする。さらに、制御装置519は、ダンパ70を半開状態(排気風路100の入口と循環風路下流部900B入口との両方を完全には遮断せず、循環風路上流部900Aに出た空気の一部が排気風路100に流れ残りの一部が循環風路下流部900Bに流れる状態)にする。これにより、「衣類乾燥」モードによれば、矢印A、B、C及びEに示すように、循環ファン20に吸われた空気の一部が排気風路100から排気ダクトを介して浴室外に排出され、矢印A、B、C及びDに示すように、浴室内の空気を加熱しながら循環させることで、浴室内に干された衣類の乾燥を促進させることができる(しかし、「浴室除湿」モードと違って、除湿ロータ10及び再生ファン50は回転せず再生ヒータ40の発熱が行われないので、除湿ロータ10の再生は行われない)。
なお、「涼風」モードの場合は、暖房ヒータ30の電源もオフ状態とされる点が、「衣類乾燥」モードの場合と異なり、他は同じである。
図12は、「暖房」モードの場合のダンパの状態や空気の流れを示す。
制御装置519は、「暖房」モードの場合、図12に示すように、循環ファン20を回転させるが、除湿ロータ10及び再生ファン50を回転させない。また、制御装置519は、暖房ヒータ30の電源をオン状態とするが、再生ヒータ40の電源はオフ状態とする。さらに、制御装置519は、ダンパ70を全閉状態にする。これにより、「暖房」モードでは、矢印A、B、C及びDに示すように、浴室内の空気が暖められつつ循環する(「暖房」モードでも、除湿ロータ10及び再生ファン50は回転せず再生ヒータ40の発熱が行われないので、除湿ロータ10の再生は行われない)。
図13は、「換気」モードの場合のダンパの状態や空気の流れを示す。
制御装置519は、「換気」モードの場合、図13に示すように、循環ファン20を回転させるが、除湿ロータ10及び再生ファン50を回転させない。また、制御装置519は、暖房ヒータ30の電源も再生ヒータ40の電源もオフ状態とする。さらに、制御装置519は、ダンパ70を全開状態(循環風路下流部900Bの入口を完全に遮断し、循環風路上流部900Aに出た空気の全てが排気風路100に流れる状態)とする。これにより、「換気モード」では、矢印A、B、C及びEに示すように、浴室内の空気が排気風路100から排気ダクトを経て浴室外に排出される(「換気」モードでも、除湿ロータ10及び再生ファン50は回転せず再生ヒータ40の発熱が行われないので、除湿ロータ10の再生は行われない)。なお、「換気」モードでは、循環ファン20の回転に代えて又は加えて、再生ファン50を回転させてもよい。
以上が、本実施形態に係る浴室乾燥機1の概要の説明である。
以下、本実施形態について更に説明する。
図14は、図9に示した操作パネル700上の「カビ対策」ボタンが操作された場合に制御装置519が行う処理シーケンスの一例を示す。なお、図14において、湿度センサ553の検出値の変化は、以下の説明を分かり易くするための例であり、実際に図示の通り変化するとは限らない。
制御装置519は、時刻t1において「カビ対策」ボタンが操作された場合、まず、各要素を前述の「換気」モードにて運転させ、次に、「浴室除湿」モードにて運転させる。すなわち、初めに浴室内の換気を行った後、除湿運転を開始するものである。「カビ対策」ボタンが操作されて直ちに除湿運転を行うのではなく、初めに換気運転を行うようになっているのは、入浴後など、浴室内が高湿の状態では、換気のみでも浴室内の湿度を外気と同程度まで低下させることが可能だからである。換気運転では、除湿ロータ用モータ60や再生ヒータ40を駆動する必要がないので、初めから除湿運転を行なった場合に比べて消費電力量を抑えつつ、浴室内の湿度を低下させることができる。
制御装置519は、時刻t1から、所定の換気運転時間長経った時刻t2まで、換気運転を行う。具体的には、制御装置519は、循環ファン用モータ541を駆動することで循環ファン20を回転させ、ダンパ用モータ611を駆動してダンパ70を全開状態(循環風路下流部900Bの入口を完全に遮断し、循環風路上流部900Aに出た空気の全てが排気風路100に流れる状態)とする。なお、制御装置519は、所定の条件が満たされている場合、例えば、湿度センサ553により検出された相対湿度(以下、検出浴室湿度)が、第一の湿度閾値H1(例えば60%)以下の場合には、換気運転を行うことなく直ちに除湿運転を行っても良い。また、制御装置519は、時刻t1から所定の換気運転時間長経過する前に、湿度センサ553からの相対湿度が第一の湿度閾値H1以下になっていれば、換気運転を止めて除湿運転を行ってもよい。また、換気運転では、循環ファン用モータ541の駆動に代えて又は加えて、再生ファン用モータ535を駆動し、再生ファン50の回転によって換気を行うようにしてもよい。
制御装置519は、時刻t2になると、換気運転を停止して、除湿運転を開始する。その際、循環ファン20の回転は引き続き行われ、除湿ロータ用モータ60の駆動(つまり除湿ロータ10の回転)と、再生ファン用モータ535の駆動(つまり再生ファン50の回転)と、再生ヒータ40への通電を開始する。以下、便宜上、再生ファン50、除湿ロータ10及び再生ヒータ40を、「除湿装置」と総称する。また、本実施形態では、前述したように、換気運転の次に除湿運転が行なわれ、その除湿運転中では、除湿装置の駆動を一時的に休止させる場合があるが、少なくとも循環ファン20の駆動は継続される。以下では便宜上、除湿装置の駆動を休止させたか否かに関わらず、換気運転後の、循環ファン20の駆動を継続している間の運転を、「除湿運転」と呼ぶことにする。
除湿運転では、除湿装置を連続的に駆動しても良いが、本実施形態では、制御装置519は、除湿装置を間欠的に駆動し、除湿運転を開始してからの実際の時間長が、一種の閾値である除湿運転時間長になったら(つまり時刻t6になったら)、除湿運転を完全に停止する。除湿装置の駆動により単位時間当たりに減らせる湿度は、浴室内の状態によって異なり(例えば、床の残水がほとんど蒸発されていない状態で除湿装置を駆動しても除湿効果が得られにくく)、連続的に除湿装置を駆動すると、大して湿度を減らせない割に電力消費が大きい場合が生じ得る。上記のように、除湿運転時間長において、間欠的に除湿装置を駆動することで、除湿性能と節電を両立することができる。
好適な除湿運転の例としては、図14に記載の通りである。すなわち、制御装置519は、時刻t2において、除湿装置の駆動を開始する。その後、検出浴室湿度が第一の湿度閾値H1よりも低い第二の湿度閾値H2に低下したと判断したとき(時刻t3)、制御装置519は、除湿装置の駆動を一時停止する。浴室湿度が低い条件下で除湿装置を駆動することは非効率であるが、本実施形態では、そのような条件下では除湿装置の駆動を一時停止するので、効率的である。なお、時刻t2において、検出浴室湿度が第二の湿度閾値H2以下であれば、除湿装置の駆動を休止しておいても良い。
除湿装置の駆動を一時停止する前までは低湿度となった空気が浴室内に戻されていたため、除湿装置の駆動を停止した時刻t3の後、床の残水の蒸発が促進され、検出浴室湿度の値が上昇する(但し、必ずしも図示の例のようにリニアに増加するとは限らない)。
上昇した検出浴室湿度が第一の湿度閾値H1に達したと判断したとき(時刻t4)、制御装置519は、除湿装置の駆動を再開する。その検出浴室湿度が第二の湿度閾値H2になったとき(時刻t5)、再び、除湿運転を一時停止する。
以降、このような間欠的な除湿装置の駆動を行うことにより、消費電力の大きい再生ヒータ40への通電量を必要十分の量に抑制し、効率的に浴室内の除湿を行なうことができる。制御装置519は、除湿運転を開始した時刻t2から所定の除湿運転時間長経った時刻t6になったら、除湿運転を停止する。
さて、本実施形態では、浴室の仕様もしくは浴室を使用する家族の人数に関する使用環境情報である初期登録補正情報を入力し、制御装置519は、入力された初期登録補正情報をメモリ621に登録し、登録された初期登録補正情報の信号に基づいて、上記の間欠的な除湿運転の除湿運転時間長(時刻t2〜時刻t6の長さ)を補正し、補正後の除湿運転時間長で、上記の間欠的な除湿運転を行うことができる。初期登録補正情報の入力方法としては、操作パネル700に設けられたキー操作によるもの、タッチパネル操作によるもの、或いは、受信装置を設け外部からの通信により入力するもの(例えば、携帯電話機、ICカード、無線タグ等)など、様々な方法を採用することができるが、本実施形態では、操作パネル700に設けられたキー操作によるものとすることができる。
具体的には、操作パネル700又はその近傍に、ディスプレイ画面が備えられ、そのディスプレイ画面に、初期登録補正情報の入力画面が表示される。人間(例えば、浴室の使用者或いは浴室乾燥機1の施工者)は、その入力画面を見ながら、操作パネル700を操作して初期登録補正情報を入力することができる。
図15Aは、初期登録補正情報の入力画面の一例を示す。
初期登録補正情報は、前述したとおり、浴室の仕様もしくは浴室を使用する家族の人数に関する使用環境情報であるが、浴室を使用する家族の人数とは、例えば、同居者数であり、浴室の仕様とは、例えば、浴室の床の仕様、浴室の大きさ及び窓の有無である。
床の仕様とは、浴室の床の表面に付着した残水の滞留抑制性能に関する仕様である。浴室の床の仕様の入力態様としては、例えば、早期乾燥タイプと通常タイプの中からいずれかのタイプを選択する態様がある。早期乾燥タイプの床とは、通常タイプよりも単位時間当りで残水量が少なくなるよう加工されている床、つまり、残水滞留抑制性能が通常タイプの床よりも高いタイプの床である。そのタイプの床の具体例としては、表面に水をはじく処理が施されている床、或いは、特許3508761号に開示の樹脂製の床パネル(樹脂製の床パネルの表面に、滑り止め用の凸部と、これら凸部の間に流れ込んだ水を途切れさせずに一時捕水出来る状態に形成された流路とを備え、凸部上の水は、流路内に一時捕水されている水と接触することで流路から排水口または排水流し溝に連続した状態で排水される構成とした床パネル)で構成された床とすることができる(後者の床パネルの一例を図15Bに示す)。本実施形態では、浴室の床の仕様が早期乾燥タイプと通常タイプのどちらに属するかを、操作パネル700を操作して選択する。なお、床の仕様の入力態様は、それに限らず、他の種々の態様、例えばメーカや型番を入力する態様などを採用し得る。
浴室の大きさとは、浴室内の容積である。浴室の大きさの入力態様としては、例えば、大、中、小の3段階の中から、浴室の大きさに該当する段階を、操作パネル700を操作して選択する態様を採用することができる。なお、床の仕様の入力態様は、それに限らず、他の種々の態様、例えば、3段階よりも多い或いは少ない段階の中から選択する態様を採用しても良いし、メーカ、型番、容積それ自体、或いは寸法サイズを入力する態様を採用しても良い。
制御装置519は、上述した初期登録補正情報に基づいて、除湿運転時間長を補正することができる。
図16は、除湿運転時間長の補正処理の流れの一例を示す。
この補正処理では、例えば、以下のステップS1〜S5が行われる。
ステップS1では、制御装置519は、同居者数用の所定の定数(例えば15分)に、登録された同居者数(例えば4人)を乗算することにより、第一のサブ補正値T1(例えば60分)を算出する。
ステップS2では、制御装置519は、床仕様用の所定の定数(例えば−60分)に、上記入力された床仕様に対応した係数(例えば、早期乾燥タイプであれば「1」、通常タイプであれば「0」)を乗算することにより、第二のサブ補正値T2(例えば−60分)を算出する(S2)。
ステップS3では、制御装置519は、浴室大きさ用の所定の定数(例えば10分)に、上記入力された浴室大きさ段階に対応した係数S(例えば、大であれば「2」、中であれば「1.5」、小であれば「1」)を乗算することにより、第三のサブ補正値T3(例えば15分)を算出する(S3)。
ステップS4では、制御装置519は、窓有無用の所定の定数(例えば30分)に、上記入力された窓の有無に対応した係数(例えば、有であれば「1」、無であれば「0」)を乗算することにより、第四のサブ補正値T4(例えば0分)を算出する(S4)。
ステップS5では、制御装置519は、基準時間長(デフォルトの除湿運転時間長)T0に、算出された各サブ補正値T1〜T4を加算することで、補正後の除湿運転時間長Tを得る(S5)。
以上が、補正処理の流れの一例についての説明である。なお、この補正処理では、ステップS5までに、各サブ補正値T1〜T4が算出されていれば良いので、ステップS1〜S4は、上述した順番通りに行われなくても良い。また、上述した基準時間長T0や、種々の定数や係数などは、メモリ621に記憶されていて、CPU625が、適宜に、メモリ621に記憶されている値を用いることで、上述した補正処理を行うことができる。CPU625は、補正後の除湿運転時間長Tをメモリ621に記憶させ、上述した間欠的な除湿運転を、メモリ621に記憶された補正後の除湿運転時間長Tの間、行うようにすることができる。
この補正処理によれば、同居者数が多い場合には少ない場合に比して、除湿運転時間長Tが長くなるよう設定される。同居者数が多ければ、浴室を使用する人数も多くなると考えられ、同居者数が少ない場合に比べて、浴室内の湿気や床の残水が多くなる可能性が高い。この補正処理によれば、そのような場合には、補正前の除湿運転時間長がより長くなるよう設定されるので、同居者数に応じて変動する残水量に最適に適応した制御内容で制御を行わせることができる。なお、同居者数に基づいて除湿運転時間長を補正する方法は、ステップS1の方法に限らず、他の方法も採用することができる。
また、上記の補正処理によれば、早期乾燥タイプの床の場合は通常タイプの床の場合に比して、除湿運転時間長が短くなるよう設定される。カビの発生を抑制させるためには、床から残水を無くすのが効果的である。早期乾燥タイプの床の場合は、通常タイプの床の場合に比して、床の残水の減るスピードが速い。この補正処理によれば、早期乾燥タイプの床の場合は通常タイプの床の場合に比して除湿運転時間長が短くなるように補正されるので、残水が残ったり、除湿運転時間長が無駄に長くなってしまうことを防ぐことができる。なお、床の仕様に応じて除湿運転時間長Tを補正する方法は、ステップS2の方法に限らず、他の方法も採用することができる。
また、上記の補正処理によれば、登録された浴室の大きさが大きい場合には小さい場合に比して、除湿運転時間長が短くされる。これにより、残水が残ることなく、また過剰の除湿運転時間長とならない最適な除湿運転を行うことができる。なお、浴室の大きさに基づいて除湿運転時間長を補正する方法は、ステップS3の方法に限らず、他の方法も採用することができる。
また、上記の補正処理によれば、浴室への入口とは別の開閉可能な窓が有る場合には無い場合に比して、除湿運転時間長が長くされる。通常、開閉可能な窓があると、そのような窓が無い場合に比して、浴室の機密性及び保温効果が悪い。このため、開閉可能な窓が有る場合は、外気温度や外気湿度になるまでは早いが、それ以下に湿度を低下させることは、窓が無い場合に比して難しいものとなる。よって、同じ除湿運転時間長で除湿運転を行った場合、除湿の程度が悪いこととなる。この補正処理によれば、窓有りの場合には無しの場合に比して、除湿運転時間長が長くなるように補正される。これにより、窓の有無に応じて、残水が残ったり過剰に除湿運転を行ったりすることのない最適な除湿運転時間長とすることができる。
以上の一連の補正処理は、初期登録補正情報が入力されてメモリ621に登録された後、除湿運転を開始する前に(例えばメモリ621に登録後直ちに)行うことができる。
具体的には、例えば、除湿運転を開始する前に(例えば、「カビ対策」ボタンが押下されたことを表す信号を制御装置519が操作パネル700から受け、それを契機に除湿運転を開始しようとした際に)、制御装置519は、メモリ621(例えばそのメモリ621の所定領域)に、初期登録補正情報が登録されているか否かを判定し、登録されていないと判定した場合に、初期登録補正情報を入力するよう要求することができる。その要求の方法としては、例えば、ディスプレイ画面に入力を求めるメッセージを表示する方法、音声出力する方法、或いは、初期登録補正情報を送信することができる遠隔の装置に電子的な要求を送信する方法など、種々の方法を採用することができる。制御装置519は、その要求に応答して初期登録補正情報が入力されない限り、除湿運転を行わないようにすることができる。これにより、登録忘れに伴って最適な制御が行われないことによるカビの発生や、過剰な除湿運転を行ってしまうことを確実に防ぐことができる。
さて、初期登録補正情報の種類の例を、図15Aを参照して説明したが、初期登録補正情報の種類は、上記の4種類(同居者数、床仕様、浴室大きさ、窓の有無)に限られない。例えば、上記の4種類よりも多くても少なくとも良いし、他種の情報が入力されても良い。
また、初期登録補正情報の入力態様も、上記の例に限られない。図17を参照して、初期登録補正情報の入力態様の別の例での初期登録時の流れの一例を説明する。なお、この例では、初期登録補正情報の種類は、上述した4種類(同居者数、床仕様、浴室大きさ、窓の有無)のうち、浴室大きさの入力態様のみが、上記の例とは異なるものである。
例えば、浴室乾燥機1の電源が投入された場合に、CPU625が、メモリ621を参照することで、初期登録補正情報の登録が済んでいるか否かを判断する(S11)。
CPU625は、ステップS11で、肯定的な判断結果となった場合には(S11でYes)、登録内容変更の指示を受付ける(例えば、登録内容変更するか否かの問い合わせをディスプレイ画面に表示する)(S12)。その結果、登録内容変更無しを受けたら(S12でNo)、この処理を終了し、登録内容変更有りを受けたら(S12Yes)、CPU625は、ステップS13を行う。また、ステップS11で否定的な判断結果となった場合には(S11でNo)、CPU625は、ステップS12を行うことなくステップS13を行う。
ステップS13で、CPU625は、初期登録設定指示を行う(例えばディスプレイ画面にその旨のメッセージを表示する)。これにより、人間から、浴室大きさ以外の上記3種類の初期登録補正情報が入力される。
次に、CPU625は、カビ抑制位置へのルーバ角度設定の指示を行う(例えばディスプレイ画面にその旨のメッセージを表示する)(S14)。人間は、この指示に従って、操作パネル700を操作し、可動ルーバ505の角度を浴室内の特定の位置に指向するよう調節し、調節が済んだら、その旨を入力する。それに応答して、CPU625は、調節後の可動ルーバ505の角度を初期角度としてメモリ621に登録する(S15)。
ここで、カビ抑制位置へのルーバ角度とは、図17に示すように、カビ対策モード用のルーバ角度である。カビ抑制位置の具体例としては、浴室床のコーナー部(特に、浴室内で浴槽と対向する位置にある洗い場の壁面と浴室床との間に形成されるコーナー部)である。これらの位置は浴室の中でも特にカビ繁殖性が高いためである。人間は、可動ルーバ505の角度を、吹出口507から吹出された空気が最も多く床のコーナー部に届くような角度に調節する。
CPU625は、S15で登録したルーバ角度(初期角度)から、浴室の大きさを推定する(S16)。具体的には、例えば、CPU625は、ルーバが浴室の床のコーナー部に送風させるときの角度から、浴室の大きさが大、中、小のどの段階に属するかを推定する。推定する方法としては、種々の方法を採用できる。例えば、ルーバ角度と浴室の大きさの段階とが対応付けられたテーブルをメモリ621に記憶させておき、登録されたルーバ角度からそのテーブルを用いて浴室の大きさを推定する方法、或いは、登録されたルーバ角度を基にした所定の計算式から浴室の大きさを求める方法などを採用することができる。すなわち、浴室内の特定の位置に指向するように調節されたルーバ角度を登録するということは、間接的に、浴室の大きさを登録するということである。
CPU625が、推定された浴室の大きさや、ステップS13の指示に応答して入力された他種の初期登録補正情報を、メモリ621に登録する(S17)。そして、CPU625は、その登録した初期登録補正情報を用いて、図16に例示した補正処理を行う。
以上が、初期登録補正情報の入力態様の別の例である。
なお、上記の別の例として、カビ抑制位置へのルーバ角度に代えて、別のモードの際のルーバ角度から浴室の大きさを推定しても良い。例えば、図18Aに例示するような、涼風モードの際のルーバ角度や、図18Bに例示するような、暖房モード用の際のルーバ角度などが採用されてもよい。涼風モードの際には洗い場の人間に向けて送風されるが、洗い場内で人間が居る位置は概ね限定される。したがって涼風モードの際のルーバ角度から、浴室の概ねの大きさを推定することが可能となる。また暖房モードの際は、送風方向を主に洗い場の床面に向け、床面を優先的に暖めるため、この時のルーバ角度から浴室の大きさを推定することも可能である。すなわち、可動ルーバ505の角度の調節の際に、浴室内のどこを特定の位置としてルーバ角度を調節されたかを制御装置519が認識することができれば、調節後のルーバ角度から浴室大きさを推定することができる。
また、上記の別の例では、浴室内の特定の位置は一つに限らず複数あっても良い。
また、上記の別の例では、登録されたルーバ角度に応じて除湿運転時間長が補正されても良い。具体的には、例えば、図16のS3に代えて、図18CのS3´が行われても良い。CPU625は、登録されたルーバ角度(初期角度)αから所定の基準角度α0を引いた値に、所定の定数(例えば10分)を乗算することで、サブ補正値T3を求めても良い。
以上の別の例によれば、以下のことが言える。すなわち、温風や冷風が自分に確実に向くように、また衣類乾燥等では衣類に確実に温風が向くように、或いは、カビ対策モードでは浴室の端に風が吹き付けられるように、可動ルーバの吹出し角度を調整設定することは、その性能確保上非常に重要である。この可動ルーバの吹出し角度が相違する要因の最大は、浴室の大きさの変化に伴って、洗い場の位置や衣類乾燥の位置が変化することであり、そういう意味で可動ルーバの調整角度と浴室の大きさとには関連性がある。上記の別の例によれば、可動ルーバの吹出し角度を最適な位置に調整させ初期値として登録させる機能を備え、この可動ルーバの初期設定値から関連する浴室の大きさを推定するようにし、推定された浴室の大きさを初期登録補正情報として登録するように構成したため、浴室の大きさを調べたり、わざわざ設定浴室の大きさを設定登録する等の煩わしさを解消でき、さらに可動ルーバはその機能上初期値登録が高い確率で行われるが、忘れがちな浴室の大きさの登録は自動的に行われるため、登録忘れに起因する過剰な除湿運転や、残水が残ることによるカビの発生等を確実に防止できる。
以上、本実施形態について説明したが、本実施形態には、様々な変形例が考えられる。
例えば、制御装置519は、除湿運転時間長だけでなく、所定の運転時間長経ったら停止される種類の運転の該運転時間長も、初期登録補正情報の信号に基づいて補正しても良い。例えば、そのような運転時間長としては、上記の換気運転時間長がある。暖房運転、涼風運転或いは衣類乾燥運転など他種の乾燥運転も、所定の運転時間長経ったら停止するようになっていれば、その運転時間長も補正しても良い。
また、例えば、換気の一態様として、上記「換気」モードでの運転により行われる換気を例に採り、乾燥の一態様として、「衣類乾燥」、「浴室除湿」、「暖房」或いは「涼風」モードでの運転により行われる乾燥を例に採って説明したが、換気でも乾燥でも、他種の態様を採用することもできる。換言すれば、乾燥手段の一例として、循環ファン20、除湿ロータ10、再生ヒータ40、暖房ヒータ30及び再生ファン50のうちの少なくとも一つを備え、換気手段の一例として、循環ファン20(及び/又は再生ファン50)を備える例を採って説明してきたが、他の種々の態様を採用することができる。
また、例えば、乾燥手段又は換気手段により消費されるエネルギーが小さくなるように或いは大きくなるように補正される制御内容(例えば電子的な情報)として、運転時間長を例に採って説明してきたが、それに代えて又は加えて、他種の内容も採用することができる。例えば、換気手段の制御内容としては、換気運転時間長に代えて又は加えて、換気パワー(例えば換気実行時に消費される電力)であってもよい。一方、乾燥手段の制御内容としては、例えば、乾燥運転時間長に代えて又は加えて、乾燥パワー(例えば乾燥実行時に消費される電力)及びルーバ制御内容のうちの少なくとも一つであっても良い。換気パワーの具体例としては、循環ファン20及び/又は再生ファン50の回転速度を採用することができ、乾燥パワーの具体例としては、循環ファン20及び/又は再生ファン50の回転速度、及び、暖房ヒータ30及び/又は再生ヒータ40のオン/オフ或いは発熱量のうちの少なくとも一つを採用することができる。ルーバ制御内容は、可動ルーバ505の初期角度及びスイングのうちの少なくとも一つに関する内容であり、具体的には、例えば、スイング範囲、特定の角度(例えば初期角度)での空気吹出し量(例えば、特定の角度での角度固定時間長(更に、循環ファン20の回転速度があっても良い))のうちの少なくとも一つを採用することができる。要するに、乾燥手段及び換気手段のそれぞれの制御内容は、それを補正することにより、乾燥手段による乾燥或いは換気手段による換気が開始されてから終了するまでに乾燥手段或いは換気手段により消費されるエネルギーを変えられるような内容であれば、どのような内容であっても良い。従って、例えば、乾燥運転時に消費されるエネルギーが小さくなるように制御内容を補正する方法としては、運転時間長を短くする方法に代えて又は加えて、乾燥パワーを小さくする(例えば、循環ファン20及び/又は再生ファン50の回転速度を遅くする、再生ヒータ40及び/又は暖房ヒータ30の発熱量を小さくする)、或いは、浴室内の特定位置への空気の吹出し量を多くするなどの方法を採用することができ、逆に、乾燥運転時に消費されるエネルギーが大きくなるように制御内容を補正する方法としては、運転時間長を長くする方法に代えて又は加えて、乾燥パワーを大きくする(例えば、循環ファン20及び/又は再生ファン50の回転速度を早くする、再生ヒータ40及び/又は暖房ヒータ30の発熱量を大きくする)などの方法を採用することができる。
また、例えば、制御装置519は、窓有りを表す初期登録補正情報が登録された場合、換気運転の際には、窓無しの場合に比して消費されるエネルギーが小さくなるように、制御内容を補正しても良い(上記例では換気運転時間長を短くしても良い)。開閉可能な窓があると、窓が無い場合に比して浴室の機密性及び保温効果が悪い点は、前述した通りであるが、この点は、換気の場合は、乾燥の場合と違ってメリットとなる。すなわち、窓が有ると、窓が無い場合に比べて機密性が劣るため湿気は外に出やすく、また、窓(例えばガラス窓)に高温多湿の空気が接触することで結露を起こすことがあるため湿気は下がりやすい。この変形例によれば、換気運転では、窓有りの場合は窓無しの場合に比して消費されるエネルギーが小さくなるように、換気のための制御内容が補正されるので、換気運転を過不足なく行うことができる。
また、例えば、乾燥手段の制御内容に、前述したルーバ制御内容(すなわち、可動ルーバ505の初期角度及びスイングのうちの少なくとも一つに関する内容)が含まれている場合、制御装置519は、浴室大きさに関する初期登録補正情報の信号に基づいて、ルーバ制御内容を補正してもよい。具体的には、例えば、制御装置519は、浴室の大きさに対応したカビ繁殖性の高い特定位置(例えば、浴室床のコーナー部)への空気吹出し量が多くなるようにルーバ制御内容を補正してもよい。これにより、浴室大きさがどうであれ浴室内のカビ繁殖性の高い特定位置を重点的に乾燥させることができる。
また、例えば、登録された初期登録補正情報に基づいて補正される制御内容に対して、制御装置519は、さらに制御内容を補正するために用いる補正条件を判定し、該補正条件が予め設定された補正条件に該当する場合に、該補正条件を用いて制御内容をさらに補正してもよい。具体的には、例えば、初期登録補正情報は、家族の人数に関する情報であり、補正条件とは、浴室内に人間が入った頻度を判定するものであって、制御装置519は、該補正条件から、登録された家族の人数に対して所定人数以上のずれがあると判定された場合に、該補正条件を用いて制御内容を更に補正してもよい。通常、浴室を使用する人数は家族の人数(換言すれば入浴者数)となるので、家族の人数に関する初期登録補正情報の信号に基づいて制御内容を補正すれば、適切な制御内容となるが、この入浴者数はまれであるが初期登録値から大きくずれる可能性がある。例えば、家族の何人かがたまたま外泊している、親戚或いは知人がたまたま多く泊まりに来ている、などの場合はまれな条件として大きく初期登録値からずれることが考えられるからである。このように大きく初期登録値からずれる場合は乾燥性能に過不足が生じてしまう。この具体例によれば、登録された家族の人数に対して所定人数以上のずれがあると判定された場合に、該補正条件を用いて制御内容を更に補正するので、より一層過不足の無い制御を行うことができる。なお、浴室内に人間が入った頻度は、例えば、浴室内に人間が入ったことを検出するためのセンサから所定信号(人間が浴室に入ったことを意味する信号)を受信した頻度、及び/又は、浴室内の電灯の電源がターンオンされたことを検出するためのセンサから所定信号(その電源がターンされたことを意味する信号)を受信した頻度に基づいて、判定することができる。また、登録された家族の人数に対して所定人数以上のずれがあるかどうかの判定は、例えば、浴室内に人間が入った頻度と、家族の人数との対応を表すテーブル(例えばメモリ621に記憶されている)を参照し、登録された家族の人数が、該頻度を用いてテーブルから特定される家族人数に一致しない場合には、ずれがあると判定することができる。この場合、テーブルから特定される家族人数を用いて、制御内容を補正することができる。
以上、本発明の実施形態及び幾つかの変形例を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施形態及び変形例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
1…浴室乾燥機 10…除湿ロータ 20…循環ファン 30…暖房ヒータ 40…再生ヒータ 50…再生ファン 60…除湿ロータ用モータ 70…ダンパ 100…排気風路 200…再生風路 501…乾燥機本体 505…可動ルーバ 509…表面グリル 511…吸込口 512…排気口 513…フィルタ挿入口 517…フィルタ 519…制御装置 523…除湿ロータケース 527…除湿ロータケース格子 621…メモリ 625…CPU 700…操作パネル 900…循環風路 900A…循環風路上流部 900B…循環風路下流部 911…内部グリル