しかしながら、上記の「バス乾燥機」は、換気運転時に衣類を乾燥させるときには、浴室内の空気が浴室側リターン空気吸込口3からの空気と、給気通風路9からの空気との両方が浴室側吐出口4に送られるとともに、ヒーター14によって浴室内に戻され、浴室内の空気の一部が循環することとなり、乾燥の中期・後期においては有効である。しかしながら、図8に示すように、衣類に多量の水分が含まれていると、高湿度のピークになるまでの乾燥初期の高湿度状態においては、図8の実線に示すように、ピーク部分の時間が長くなり、浴室外に効率よく排出できないこととなり、トータルの衣類乾燥時間が長くなってしまう。
第2に、衣類乾燥中に、ダンパーを切り換えて浴室内の空気の排気を行った場合、ガラリ等の開口部から空気が侵入するため、冬場においては冷気が侵入し、浴室内温度が下がり、衣類乾燥時間が長くなるという問題がある。
第3に、一般的にバス乾燥機を用いて衣類乾燥を行う場合には、浴室内の空気を吸い込んで再度浴室内に吹き出す循環タイプと、浴室外の空気を浴室内に送風する換気タイプと、両者を併用するタイプとがある。
更に、衣類乾燥中に浴室内に空気を供給すると、浴室内の空気がガラリから脱衣場に流入し、冬場では脱衣場に結露が発生し、カビ、木材の腐朽の原因となるという問題もある。
本願は、このような問題に着目してなされたものであり、衣類乾燥時間をより短くすることを課題とする。
上記課題を解決するために、本願の第1の浴室用空調装置は、浴室内の空気を浴室外に排出する排気機能と、浴室内の空気を再度浴室内に循環させる循環機能とを有し、前記排気機能と前記循環機能を用いて浴室若しくは衣類等の乾燥を行う浴室用空調装置であって、前記乾燥を行う際に所定の条件において、前記排気機能のみを動作させることを特徴とする。
本願の第2の浴室用空調装置は、浴室外から浴室内に空気を送る給気機能と、浴室内の空気を吸い込んで前記給気と合流させて再度浴室内に循環させる循環機能と、浴室内の空気を浴室外に排出する排気機能とを備えた浴室用空調装置であって、前記排気機能と前記循環機能を用いて浴室若しくは衣類等の乾燥を行う際に、所定の条件において、前記排気機能を作用状態とすると共に前記循環機能を非作用状態とすることを特徴とする。
本願の第3の浴室用空調装置は、浴室外から浴室内に空気を送る給気機能と、浴室内の空気を吸い込んで前記給気と合流させて再度浴室内に循環させる循環機能と、浴室内の空気を浴室外に排出する排気機能とを備えた浴室用空調装置であって、前記給気機能により浴室外の空気を浴室内に送風する給気用の風路内に空気を暖める加熱手段を設け、前記排気機能と前記循環機能を用いて浴室若しくは衣類等の乾燥を行う際に、所定の条件において、前記加熱手段の加熱温度を、前記所定の条件が成立していないときの加熱温度より、高めることを特徴とする。
本願の第4の浴室用空調装置は、
浴室外から浴室内に空気を送る給気機能と、浴室内の空気を吸い込んで前記給気と合流させて再度浴室内に循環させる循環機能と、浴室内の空気を浴室外に排出する排気機能とを備えた浴室用空調装置であって、前記給気機能により浴室外の空気を浴室内に送風する給気用の風路内に空気を暖める加熱手段を設け、前記排気機能と前記循環機能を用いて浴室若しくは衣類等の乾燥を行う際に、所定の条件において、前記排気機能を動作させる一方、前記循環機能を非作用状態とし、前記所定の条件以外の時に、前記加熱手段の加熱温度を、前記所定の条件が成立しているときの加熱温度より、高めることを特徴とする。
本願の第5の浴室用空調装置は、前記第2乃至第4の何れかの浴室用空調装置であって、前記給気機能による給気風量と前記排気機能による排気風量とを略同量としたことを特徴とする。
本願の第6の浴室用空調装置は、前記第2乃至第5の何れかの浴室用空調装置であって、前記循環機能を構成する循環風路に、循環風量を調整可能に該循環風路を開閉する開閉手段を設けたことを特徴とする。
本願の第7の浴室用空調装置は、浴室外から浴室内に空気を送る給気機能と、浴室内の空気を吸い込んで前記給気と合流させて再度浴室内に循環させる循環機能と、浴室内の空気を浴室外に排出する排気機能とを備えた浴室用空調装置であって、
前記浴室若しくは衣類等の乾燥を行う際に、前記給気機能による給気風量と前記排気機能による排気風量とを略同量としたことを特徴とする。
本願の第8の浴室用空調装置は、浴室外から浴室内に空気を送る給気機能と、浴室内の空気を吸い込んで前記給気と合流させて再度浴室内に循環させる循環機能と、浴室内の空気を浴室外に排出する排気機能とを備えた浴室用空調装置であって、前記循環機能を構成する循環風路に、循環風量を調整可能に該循環風路を開閉する開閉手段を設けたことを特徴とする。
本願の第1の浴室用空調装置によれば、乾燥を行う場合であって、浴室内の条件が所定の条件を満たしたときに、浴室内の排気風量を増大させるので、浴室内に衣類が干されたり、浴室内に結露等が発生しているときに、浴室内の湿った空気が排出されるので、乾燥時間を短縮できると共に、乾燥効率を高めることができる。
上記の所定の条件としては、(1)乾燥開始から一定の時間経過までという条件、(2)浴室の湿度が設定値以上であるという条件、(3)浴室内湿度が一定値以上の高湿度状態であり且つ高湿度状態が一定時間継続する条件、等がある。
第2の浴室用空調装置によれば、浴室外から浴室内に空気を送風する給気機能と、浴室内の空気を再度浴室内に循環させる循環機能と、浴室内の空気を浴室外に送風する排気機能とを有し、循環と排気を行って乾燥を行う場合に、浴室内の湿った空気を排出すると共に、給気をも行って乾燥を行うことができるので、通常時は、浴室内の高い湿度の空気を積極的に排出し、浴室内部よりも低い湿度の空気を浴室内の導入することにより、乾燥を促進できる。更に、このような乾燥の際の所定条件下において(例えば、乾燥開始から所定時間若しくは所定値以上の高湿度状態において)、所定条件以外のときよりも排気風量を増大させることにより、乾燥効率が向上する。
第3の浴室用空調装置によれば、乾燥を行う際に浴室内が所定の条件(例えば、乾燥開始から所定時間経過後、或いは、乾燥後期、若しくは、浴室内の湿度が一定値以下の場合、)に該当するときに、加熱手段の加熱温度を高めるので、浴室内がより早く乾燥することとなる。
第4の浴室用空調装置によれば、所定条件下(例えば、乾燥運転開始から一定時間経過まで、或いは浴室内の湿度が設定値以上であり、高湿度状態である場合、又は浴室内の湿度が設定値以上であり、高湿度で且つ高湿度状態が一定時間以上継続する場合など)では浴室内の湿った空気を積極的に排出することにより、浴室内に衣類が干されたり、浴室内に結露等が発生しているときに、浴室内の湿った空気が積極的に排出される。更に、所定の条件以外の時(乾燥開始から所定時間経過後、或いは乾燥後期、若しくは浴室の湿度が一定以下の場合)は、湿度は先の所定条件下で下がった状態にあるので、その状態で加熱手段により加熱温度を高めて浴室内を暖めて乾燥運転を行うことにより、乾燥時間を短縮できると共に、乾燥効率を高めることができる。
第5、第7の浴室用空調装置によれば、給気風量と排気風量とを略同一(同一を含む)にすることにより、浴室内の気圧が上昇・下降せず、浴室の空気が例えば隣の脱衣場に入り込んで脱衣場の湿度が上がることが防止される。
第6、第8の浴室用空調装置によれば、開閉手段の開閉調整により、循環風量を容易に調節できる。
すなわち、給気風量と排気風量とが不一致の場合は気圧差が生じ、気圧の高い方から低い方に空気が流れるために、浴室の湿った空気が隣室(特に脱衣場)に流れ込んだり、隣室の冷たい空気が浴室内に入り込んで浴室内の空気を押し上げ、浴室内の空気が高温層と低温層に分かれて暖かい空気が浴室内に行き渡らないが、第7の浴室空調装置によれば、給気風量と排気風量が等しくされることによって、浴室と隣室の気圧差が生じないこととなり、外気を導入する場合に天井から床面まで(或いは近傍)まで外気を導くことができ、暖房時や乾燥時等のヒーター等で加熱する場合に効率を上げることができる。
以下、本発明の実施の形態にかかる浴室用空調装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施例の浴室用空調装置としての浴室乾燥装置21の主要構成を平面的に示したものである。この浴室乾燥装置21は、筐体となる本体ケース22の内部に、排気風路23と、給気風路24と、循環風路25とを備える。
本体ケース22には、排気風路23の室内空気吸込口26と排気口27とが開口されていると共に、給気風路24の外気吸込口28と、室内吹出口29、及び循環風路25の室内空気吸込口30が開口されている。
排気風路23は、本体ケース22の室内空気吸込口26から浴室内空気を取り入れて、排気口27から図示しないダクトを介して建物の外側に、取り入れた浴室内空気を排出する排気機能を実現する。
給気風路24は、本体ケース22の外気吸込口28から図示しないダクトを経由して建物の外側の空気を取り入れ、取り入れた空気を室内吹出口29から浴室内に供給する給気機能を実現する。
循環風路25は給気風路24に接続されており、循環風路25と給気風路24との接続部近傍には、開閉手段として開閉及び開度調整可能なダンパー31が設けられている。ダンパー31は循環風路25の内壁に設けられたストッパー32によって回動が停止され、循環風路25を開いたり閉鎖したりできるようになっており、循環機能を実現する。ダンパー31は本体ケース22に設けられた図示しないダンパー駆動モーターによって循環風路25を開放したり、閉鎖するようになっている(矢印A参照)。
排気風路23と給気風路24は、排気口27及び外気吸込口28との近傍において交差しており、この交差する部分に熱交換素子33が設けられている。熱交換素子33は排気風路23において無理なく空気を通す排気通路と、外気給気風路24において外気を無理なく通す導入通路とが形成されており、排気通路を通る室内空気と導入通路を通る外気との間で熱交換(いわゆる全熱交換)が行われるようになっている。
排気風路23の室内空気吸込口26の近傍にはファンケース34が設けられており、ファンケース34の空気吸込口35の奥にシロッコファンからなる送風ファン36が設けられている。送風ファン36はファンモーター37の回転軸に固定されており、室内空気吸込口26及びファンケース34の空気吸込口35から、浴室内の空気を吸い込んで熱交換素子33を通して排気口27に送風し、排気口27に接続される図示しないダクトを経由して建物の外側に排気される。
給気風路24と循環風路25との連通部分の下流側には、ファンケース38が取り付けられており、ファンケース38の空気吸込口39の奥に、シロッコファンからなる送風ファン40が設けられている。送風ファン40はファンモーター41の回転軸に固定されており、ファンケース38の空気吸込口39から、浴室内からの循環空気と熱交換素子33を通過した外気とを導入可能になっている。
送風ファン40の下流側には、暖房用のヒーター42が配設されており、循環空気或いは外気を暖めて、衣類を乾燥できるようになっている。
送風ファン36のファンモーター37、送風ファン40のファンモーター41、ダンパー駆動モータは、直流又は交流モーターであり、家庭用の交流電源から交流電流を供給されて回転する。ヒーター42は家庭用の交流電源から交流電流を供給されて発熱する。これらのファンモーター37、ファンモーター41、ダンパー駆動モータ、ヒーター42は、リレーR1〜R5を介して電灯線に接続され、本体ケース22に設けられたマイクロコンピュータ43からの命令信号により、選択されたリレーR1〜R5がオンオフし、駆動される。
コントローラ44は、メインスイッチ、換気、乾燥、涼風、暖房の各運転モードボタン、LCD表示器等(図示せず)を供えている。
マイクロコンピュータ43は、浴室の外側の出入口近傍の壁部等に設置されるコントローラ44からの命令の出力情報に基づいて、ファンモーター37、41、ダンパー駆動モータ、ヒーター42の各リレーR1〜R5を駆動する。
マイクロコンピュータ43は、マイクロコンピュータ43が備えるタイマー機能を利用した乾燥用プログラムを有する。乾燥用プログラムでは、乾燥ボタンがオンになって乾燥モードに入ったときに、所定時間(例えば、数10分〜90分)ダンパー駆動モータを駆動して循環風路25を閉じる。この乾燥用プログラムにおいては、所定の条件として乾燥ボタンがオンされてから所定時間経過までダンパ31で循環風路25を閉鎖し、排気風路23の排気風量を増大する排気作用状態・循環非作用状態となる。すなわち、循環する空気の風量を排気風路23に通すことによって、循環風量と排気風量とで表されるトータルな風量は変わらないが、循環風量が減少する分量だけ室外に排出される排気量が増大したことになる。
次に、このマイクロコンピュータ43によってそれぞれのリレーR1〜R5を駆動する動作を説明する。
コントローラ44の換気モードボタンを押すと換気モードとなる。換気モードでは、ファンモーター37,41が回転し、送風ファン36,40が等しい送風量となるように回転する。この時、ダンパー駆動モータは停止しており、ダンパー31の自由端部はストッパー32に当たって循環風路25を閉鎖している。
コントローラ44の乾燥ボタンを押すと、乾燥モードとなり、マイクロコンピュータ43はダンパー31で循環風路25を所定時間閉じているようにダンパー駆動モータを制御する。図9は横軸に時間経過を示し、縦軸に乾燥率(パーセント)を示したグラフである。図9に示すように、乾燥モードに入ってから(時刻0)時刻T1(時刻0分から90分)の経過までダンパー31で循環風路25を閉じている循環機能非作用状態となる。尚、循環機能非作用状態とは、循環風路25を完全に閉じているものではなく、ダンパー31を閉じ方向に作用させ、循環風量を減らしている状態を含むものである。
時刻0分から時刻T1経過まで循環風路25を遮断することによって、給気風路24の空気のみが浴室内に送風されると共に、室内空気吸込口26から浴室内の湿った空気が本体ケース22内部に吸い込まれ、排気口27から建物外に排気される。
時刻T1から時刻T2(通常180分〜210分)までダンパー31を開いて循環風路25を給気風路24と連通した場合には、浴室内の空気の大部分は循環風路25と室内空気吸込口26のいずれにも吸い込まれ、排気口27から建物外に排気される。
ここで、循環風路25の循環する空気の風量をA’とし、外気吸込口28の送風ファン40の風量をAとし、排気風路23の送風ファン36の風量をBとする。
循環風路25を閉じた場合には、給気風路24の給気風量はAとなり、排気風量はBとなる。浴室内の気圧の変動を生じさせないとすると、風量A=風量Bとなる。
循環風路25を開いた場合には、送風ファン40の風量Aは変わらないので、給気風量はA−A’となる。また、浴室内の気圧の変動を生じないという条件を維持すると、浴室内から浴室外に排気される排気風量は、循環風量A’を差し引いた風量(B−A’)となり、風量A=風量Bであるので、給気風量(A−A’)=排気風量(B−A’)となる。
すなわち、循環風路25を閉じた場合の排気風量Bは、閉じない場合の排気風量B−A’より大きいことになる。従って、循環風路25を閉じると、循環風路25を閉じない場合より排気風量が増大し、浴室内の空気の排出量が増え、乾燥初期の湿った空気の排出量が増大し、乾燥効率が向上する。
循環風路25を開いたまま、ヒーター42をオンさせると、建物外から浴室に入ってくる空気が暖められて湿度の飽和温度が上昇し、乾燥効率が高まる。循環風路25を開けてヒーター42をオンさせると、建物外から入ってくる空気のみならず、浴室内で循環する空気が更に暖められるため、温度が更に上昇し、乾燥効率が高まるので、浴室の湿度が乾燥の中期・後期の場合には適している。中期・後期の乾燥モードのとき、ヒーター42は乾燥用温度になる。
衣類を干した直後のように浴室内が高湿度である場合、浴室全体の空気の温度を十分に上げて除湿するには長時間を要する。従って、乾燥の初期では、低湿度の外気を大量に導入し、高湿度の空気を早急に排出したほうが乾燥には好適である。
すなわち、乾燥運転(乾燥モード)初期(所定の条件成立時)においては、高湿度の浴室内空気の排出量を多くして、浴室内の湿度を下げる。そして、湿度が所定の状態(所定値以下)に下がった状態からは、浴室内の温度を上げるために、ヒータを作動させるか、若しくは、その発熱量を増やす。これによって、乾燥時間が向上し、乾燥効率が向上するものとなる。
この実施の形態では、乾燥運転の後期(前記所定の条件以外の状態)のときは、送風ファン40を作動させると共に、循環機能を作用状態とし、ダンパー駆動用モータを駆動してダンパー31により、循環風路25を開けると共に、ヒータ42に通電して、乾燥後期の温度とし、その温風を浴室内に吹き出すことにより、浴室内の温度を上昇させ、衣類又は浴室内を乾燥させる。
乾燥モードは暖房モードと同時に行うことが可能となっている。コントローラ44の暖房ボタンが押されて暖房モードになっているときに、更に乾燥ボタンが押されると、ヒーター42は暖房用温度となる。また、乾燥ボタンが押されて乾燥モードになっているときに、暖房ボタンが押されると、ヒーター42は暖房用温度に変わる。尚、乾燥用のヒータ温度と暖房用ヒータ温度は同じであっても良い。
コントローラ44の涼風ボタンを押すと、涼風モードとなり、循環風路25を閉鎖するように、ダンパー駆動モータがダンパー31を駆動し、ダンパー31が循環風路25を閉鎖する。
コントローラ44の暖房ボタンを押して暖房モードとなったときに、ヒーター42の温度は暖房用温度となる。
以上説明したように、この実施の形態では、この浴室用空調用装置としての浴室乾燥装置21は、浴室外から浴室内に空気を送る給気風路24と、浴室内から浴室外に空気を排気する排気風路23と、給気風路24に配置される給気用の送風ファン40及びファンモーター41と、排気風路23に配置される排気用の送風ファン36及びファンモーター37と、送風ファン36,40及びファンモーター37,41を制御するマイクロコンピュータ43(送風制御手段)とを備えている。
また、浴室乾燥装置21は、浴室内の空気を吸い込む循環用の吸込口30と給気風路24とを接続する循環風路25と、循環風路25を開閉する開閉手段としてのダンパー31を備えている。
送風制御手段としてのマイクロコンピュータ43は、所定条件として、マイクロコンピュータ43が乾燥ボタンのオンから所定の時間(90分)を検知するまで、ダンパー31で循環風路25を閉鎖することによって、循環風路25を開放するときよりも、排気風路23から排気する排気風量を増大する。
換言すれば、マイクロコンピュータ43は、排気作用且つ循環非作用状態(排気作用・循環非作用モード)のときに、ダンパー31により循環風路25を閉鎖して浴室内から排気する空気の排気量を増大する一方、排気作用状態(循環作用モード)のときに、循環風路25を開放して、給気風路24からの浴室外空気の給気と循環風路4の循環空気とを、浴室内に送風する。
この浴室乾燥装置21によれば、乾燥ボタンを押してから所定時間経過までは、排気作用・循環非作用モードとなって、浴室内の排気風量を増大するので、浴室内に衣類を干したり、浴室内に結露等があるときに、浴室内の高湿度の空気を排気すると共に、衣類や浴室壁面等に強い風が当たることとなり、水分を速やかに排除できる。
すなわち、図8に示すグラフを用いれば、乾燥初期状態において、図8の点線に示すように、ピーク部分を低くしかも短くすることができ、衣類乾燥時間をより短くすることができる。図9に示すグラフを用いれば、乾燥初期状態T1までは、排気風量を増大する。中期・後期の状態(T1〜T2)では、ヒータの発熱量を増大(0から通電する場合を含む)して浴室空気の排出量を少なくして浴室内に温風を循環させて乾燥運転を行う。これにより、乾燥目標とする湿度97%を早期に実現でき、全体としての衣類乾燥時間をより短くすることができる。
又、図1の排気作用・循環非作用モードにおいて送風ファン36,40の各送風量を同量に保持することによって、浴室内においての空気圧の上昇・下降が無くなる。このため、隣接する脱衣場との気圧差が生じず、脱衣場から冷たい空気が浴室内に入り込んだり、脱衣場に湿った空気が排出することが防止される。給気風量と排気風量とを同量に保つことは、排気作用・循環非作用モード以外のときでも実行可能である。
図2の循環作用モードにおいては、室内空気吸込口26及び排気口27からの排気風量と、外気吸込口28からの外気給気風量が略同量となっている。従って、図1の排気作用・循環非作用モードと外気吸込口28からの風量を同じとすると、送風ファン40の風量を少なくでき、送風ファン40及びモータ41を大容量にする必要がなくなる。
更に、給気風路24には、加熱手段としてのヒーター42が備えられており、ヒーター42は加熱制御手段としてのマイクロコンピュータ43により制御され、マイクロコンピュータ43(加熱制御手段)は、所定の条件である高湿度状態にあるときに、ヒーター42に通電して浴室内に送る空気を加熱するので、乾燥効率が向上する。
又、熱交換素子33により、給気風路24と排気風路23とをそれぞれ通る空気の間で熱交換を行うので、冷たい外気を排気空気により暖めることができ、これによっても乾燥効率を高めることができる。
開閉手段は、マイクロコンピュータ43により制御されるダンパー駆動モーターにより駆動されるダンパー31により構成されているが、絞り装置のようなシャッターで構成されていても良い。
なお、室内吹出口29から浴室内に送風する空気の風向きを水平方向若しくは上下方向の少なくともいずれかに変更可能な風向き変更手段(送風案内用のフィン或いはガイド板、送風筒体等)を設けても良い。
その場合、排気作用・循環非作用モードにおいて、風向き変更手段(送風案内用のフィン或いはガイド板、送風筒体等)を室内吹出口29の近傍(例えばフロントパネル等)に水平方向或いは上下方向に回動可能に支持し、モーター等により送風方向を自動的に変更する変更機能を備えてもよい。
又、浴室内の湿度を検知する湿度検知手段としての湿度センサ45を備え、所定の条件は浴室内の湿度が所定の湿度の以上の高湿度状態であることとされ、湿度センサ45が高湿度を検知したときに、排気作用・循環非作用モードを実行するように、マイクロコンピュータ43が制御するので、ユーザーは手間がかからず、自動的に効率的乾燥を行える。
尚、所定条件としては、湿度センサ45が所定の条件である高湿度状態を検知したときとしても良い。この場合、排気風路23の内壁であって、室内空気吸込口26の近傍に、湿度センサ45(例えば、セラミック湿度センサ、高分子膜質度センサ、電解質湿度センサ等)を設ける。この湿度センサ45は検知湿度をデジタル変換するインターフェースを介してマイクロコンピュータ43に接続されており、湿度センサ45の検出した湿度情報はマイクロコンピュータ43に出力される。
マイクロコンピュータ43は湿度センサ45の湿度情報を定期的に読んで、検出した湿度が設定値以上になったときに乾燥モードを実行するように乾燥モードプログラムを有するものとする。
図3(a)は各モードにおける動作状態を示す。湿度センサ45の検知結果を用いて乾燥を行う場合、乾燥ボタンがオンされると、乾燥モードになる。乾燥モードは、湿度センサ45が検知する湿度の高低によって、排気作用・循環非作用モードと循環作用モードの何れかになる。
マイクロコンピュータ43は湿度センサ45が検知した湿度が設定値以上(乾燥の初期)であるとき、排気作用・循環非作用モードになり、送風ファン36は強運転になる。検知した湿度が設定値以下(乾燥モードの中期・後期)であるときに、循環作用モードになる。
排気作用・循環非作用モードになると、ダンパー駆動モータを駆動して、ダンパー31によって循環風路31を閉じる。
循環作用モードになると、ダンパー駆動モータを駆動して循環風路31を開けるように、ダンパー31を駆動する。循環作用モードにおいて、送風ファン40のファンモーター41は強運転のままであるが、送風ファン36のファンモーター37は弱又は中運転となる。
尚、送風ファン36の風量の設定値は幅を持たせたものである。これは、室内空気吸込口26から室内空気を吸い込んで排気口27から排出する空気の量と、外気吸込口28から供給風路24に供給される空気の量とを、ほぼ同量としているためであり、循環風路31の風量は供給風路24の風量によって異なるためである。送風ファン40の送風量はファンモーター41の能力により決まっているので、循環風量を増やしつつ、外気供給量と室内空気排出量とをほぼ同じにするためには、外気吸込口28からの供給風量を少なくし、送風ファン36の送風量を少なくする。
尚、循環風量を段階的に増やすことも可能である。その場合、循環風量を増加する一方、室内空気吸込口26から吸い込んで排気する風量を少なくし、外気吸込口28からの外気供給風量と排気口27の排気量とをほぼ同量とする。
換気モードにおいては、循環風路のダンパー31を閉じて、送風ファン40と送風ファン37とを同一回転数とすると、送風量も同量になる。そのとき、ヒータ42の通電は行わない。
暖房モードでは、ダンパー31を開けて、ヒータ42により空気を加熱し、吹出口29から浴室内に吹き出す。その際、ファンモータ37は停止している。また、外気が室内へ給気されないように外気吸込口28から供給風路24の間に図示しないダンパを設けて外気が室内へ供給されないようにしている。
涼風モードが選択されると、ファンモータ37は弱となり、アンパー31を開けて。ヒータ42は通電せずに浴室内に空気を送る。その際も外気は供給され、その供給された空気と同量の空気が排気口27から排出されている。
図4〜図7の給気用の換気装置51,56には給気用ファンF1及び給気ファンの下流にヒータHが設けられ、排気用の換気装置52には排気用ファンF2が設けられている。
換気装置51,52,56はいずれも外気と通じており、給気用の換気装置51,56は外気を浴室内へ供給し、排気用の換気装置52は浴室内空気を屋外へ排出するようになっている。
図4は浴室50の天井に給気用の換気装置51と排気用の換気装置52とを設置したものであり、換気装置51,52は図示しないダクトにより建物の外側と通じており、換気装置51から浴室50に吸い込まれた空気は浴室50の床面近傍まで届く風量となっている。換気装置51には、床面若しくはその近傍まで空気を送風できる風量を供給可能なモーター及びファンが取り付けられている。
これにより、浴室50の上部と下部との空気が層状化せずに均一な温度分布となり室内を十分に暖房でき、暖房効率や乾燥効率が向上する。換気装置51,52は同じコントローラにより制御される。
換気装置51と換気装置52は離れて設置されている。このため、換気装置51から浴室50内に供給される給気と、換気装置52から浴室50の外側に排出される排気とが、浴室50内を広い範囲で空気の流れを起こすようになっている。
換気装置51の吹出口と換気装置52の吸込口が近すぎると吹出口より吹き出した空気が室内へ十分に供給されない内に吸込口より吸い込まれ排出されてしまういわゆるショートサーキット現象を起こしてしまう恐れがある。また、換気装置52が排気を行い、換気装置51からの給気量より、換気装置52の排出量が多いと、浴室50の天井近傍において暖かい空気が循環して高温層を形成する一方、ガラリから冷たい空気が入ってくると、この高温層と浴室50の床面側の低温層とに分離してしまう。
このため、床面近傍まで温風が届かなくなることがあるが、換気装置51と換気装置52とが離れて設置されており、換気装置51の吹出口と換気装置52の吸込口とが離れていることから、ショートサーキット現象が起きず、換気装置51の送風量と換気装置52の排出量が略同一となるように設定し、浴室と脱衣場とで圧力差を生じさせないようにして浴室50に脱衣場53から空気が入らないように、又、浴室の空気が脱衣場へ吹き出さないようになっている。また、床面近傍まで温風が届くように送風機とファンモータの仕様が設定されている。
尚、換気装置51を停止し、換気装置52のみを働かせて浴室50の換気を行うことも可能である。更に、換気装置51,52を一体に構成しても良い。
このように換気装置51,52を設置して、乾燥モード時に換気装置51,52を等速度で送風すれば、ガラリ54を経由して浴室50内に湿った空気や冷たい空気が入り込まないし、脱衣場53に湿った空気が入ることも防止できる。
図5は、浴室50の天井に給気用の換気装置51を設置し、建物の外に通じる排気口54Aから浴室50の空気を排出するものであり、排気口54Aから離れたところに換気装置51が配置されているので、換気装置51から供給される空気が浴室50全体に流れることとなり、衣類55の乾燥効果が向上する。
図6は、浴室の壁面に給気用の換気装置56を設置し、浴室天井に排気用の換気装置52を設置したものであり、浴室50の床に近い下部側から浴室50の天井に空気が流れるので、衣類55の下方から風が当たることとなり、衣類55が翻りやすく水滴等が振り払われ易いので、乾燥効率が向上する。
図7は、給気用の換気装置51の近傍に排気用の換気装置52を設置し、浴室50の壁面に換気装置52の吸込口57を形成し、更に、換気装置52と吸込口57とをダクト58で接続したものであり、換気装置51からの給気が浴室50の全体に流れやすく、衣類55の乾燥効果が向上する。
これら図4乃至図7に示すものにおいても、乾燥動作のときに、換気装置51,52の風量を等しくすることで空気が浴室50内を滞留することなく通過することとなると共に、乾燥初期から所定時間或いは高湿度状態のときに、換気装置51,52の送風量を増大させても良いし、給気側の換気装置51に前述のヒーター42を設けて乾燥させた空気を供給するようにしても良い。
上述の浴室乾燥装置では、送風ファンやモーターを大型化せずに、乾燥運転時の湿度の変化、或いは、湿度変化を事前に把握することにより得られた動作時間によって循環風量や加熱量を可変として、乾燥運転を安価に且つ効率的に行うことができる。
又、この構造では、暖気と冷気の層状化が防止され、乾燥効率が向上することにより、暖気が上方のみでなく、下方にも行き渡ることとなり、入浴前の予備暖房として利用するときに、従来であれば、浴室床面までは温風が届かないことがあったが、この構造により浴室の床面を暖めることが可能であると共に、浴室内全体を十分に暖めることができ、暖房効率も向上し、入浴者が暖かく入浴できる。
又、他の実施例として、図3(b)に示すように、乾燥モードにおいて、常にダンパー31を閉じて、循環風路を閉鎖して、換気作用・非循環モードとする。これにより、浴室内の湿った空気を排気しながら、外気吸込口28から供給される空気をヒータ42で暖めて、浴室内へ吹出口29から吹き出すようにしている。換気モード、涼風モード、暖房モードについては先に示したとおりであるため省略する。
尚、上記実施例では、熱交換素子33を設けたが、熱交換素子33を設置しない構成であっても良い。