JP6125955B2 - ブロー成形二重容器 - Google Patents

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Description

本発明は、ブロー成形によって形成され、口部、胴部及び底部を有するボトル状をなし、容器の外殻を形成する外層体と、該外層体の内側に収められる減容変形自在な内層体と、ブロー成形の割り金型による食い切りによって前記底部に形成されるピンチオフ部とを備えるブロー成形二重容器に関し、特に、内容物をその自重で吐出可能にすると同時に、内容物の残量が少なくなった際には外層体のスクイズによるスムーズな吐出を可能にしようとするものである。
化粧水などの化粧料や、シャンプーやリンスあるいは液体石鹸、また食品調味料などを収納する容器としては、容器の外殻を形成する外層体と、該外層体の内側に収められる減容変形自在な内層体とを備え、外層体に、内層体との相互間に通じる外気導入用の開口を設けて、内容物の注出に伴って内層体のみを減容させるようにした二重容器(デラミ容器とも言う)が知られている。
また、内容物の吐出方式としては、外層体の口部に装着したポンプによるものや、外層体の胴部をスクイズすることによるもの、更に、主に内容物の自重によるもの(例えば特許文献1参照)等がある。ポンプを利用する容器では、構造が複雑になる上、コストの増大が避けられず、また、外層体のスクイズを利用する容器では、構造が比較的簡素化されるものの、内層体のみを減容させる為には、外層体への押圧時には外気導入用の開口を閉じ、押圧を解除すると開く外気導入弁を設ける必要がある。一方、内容物の自重を利用する容器では、構造も簡単である上、外気導入弁も不要であることから、コスト削減にも優れている。
特に、このような内容物の自重を利用する容器では、合成樹脂製の外層体と、外層体に対して相溶性が低い合成樹脂にて形成される内層体とを積層して形成したパリソンを、ブロー成形することによって形成する場合には、ブロー成形の割り金型による食い切りによって底部に形成されるピンチオフ部を、そのまま外気導入孔として用いることができる。すなわち、ピンチオフ部において、内層体を外層体から剥離させるだけで、ピンチオフ部をスリット状の外気導入孔として用いることができる。
特開2008−207860号公報
ところで、二重容器の内層体は、全体が均等に減容するよう種々の工夫がなされているが、それ自身の厚みのばらつき等に起因して、優先的に潰れ易くなる部分が生じることがある。これにより、内容物の吐出が進んでいくと内層体の内面同士が部分的に接触して、内容物の通路が狭くなってしまうおそれがある。このような場合でも、ポンプによるものや外気導入弁を備えるものでは、内容物を最後まで吐出することができるものの、ピンチオフ部を外気導入孔として用い、内容物を自重で吐出するブロー成形二重容器では、外層体をスクイズしても、外層体と内層体との相互間の空気がピンチオフ部から漏れてしまい内層体を十分に減容させることができないため、内容物の吐出が難しくなるという不具合があった。このため、この点を改良した新たなブロー成形二重容器が望まれていた。
本発明は、このような従来の問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、内容物をその自重で吐出させることができ、しかも内容物の残量が少なくなった際には外層体のスクイズによるスムーズな吐出を実現することができるとともに、コストの増大を招くことがない新規のブロー成形二重容器を提案するところにある。
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
1.ブロー成形によって形成され、口部、胴部及び底部を有するボトル状をなし、容器の外殻を形成する外層体と、該外層体の内側に収められる減容変形自在な内層体と、ブロー成形の割り金型による食い切りによって前記底部に形成されるピンチオフ部とを備えるブロー成形二重容器において、
前記ピンチオフ部を挟む両側にそれぞれ、前記外層体と前記内層体との間に配置され、前記口部から前記ピンチオフ部まで延在する一対の接着帯を備え、
前記一対の接着帯の前記ピンチオフ部側の端縁を、前記ピンチオフ部の一部の領域のみにおいて互いに対向させ、当該領域の両側に、前記外層体と前記内層体とを互いに剥離させて外気導入孔を形成したことを特徴とするブロー成形二重容器。
2.前記一対の接着帯の前記ピンチオフ部側の端縁は、前記ピンチオフ部の中央領域において互いに対向している、前記1のブロー成形二重容器。
3.前記一対の接着帯は、前記底部において、前記ピンチオフ部に対して直角方向に延在している、前記1又は2のブロー成形二重容器。
4.前記一対の接着帯のうち少なくとも一方は、互いに平行な複数の接着帯からなる、前記1〜3のいずれかのブロー成形二重容器。
本発明によれば、ピンチオフ部の一部の領域のみを、当該領域において一対の接着帯の端縁を互いに対向させることによって封止することができる。したがって、一対の接着帯の幅を外層体の剛性等に応じて適切に調節することで、ピンチオフ部に形成される外気導入孔の幅を最適化することが可能となる。その結果、内容物をその自重で吐出させる際にはピンチオフ部から必要な量の外気を導入する一方で、内容物の残量が少なくなり、外層体をスクイズして内容物を吐出させる際には、ピンチオフ部からの空気の漏れを十分に防止することが可能となる。
したがって、本発明によれば、内容物をその自重で吐出させることができ、しかも内容物の残量が少なくなった際には外層体のスクイズによるスムーズな吐出を実現することができるとともに、コストの増大を招くことがない新規のブロー成形二重容器を得ることができる。
本発明の一実施形態に係るブロー成形二重容器にキャップを装着した状態を示す側面図である。 図1のブロー成形二重容器の底面図である。 図1のブロー成形二重容器の変形例の底面図である。 図1のブロー成形二重容器のさらなる変形例の底面図である。
以下、図1〜2を参照して、本発明の一実施形態に係るブロー成形二重容器について詳細に例示説明する。
図1に示すように、ブロー成形二重容器1(以下、単に容器とも称する)は、口部11、胴部12及び底部13を有するボトル状をなしており、容器1の外殻を形成する外層体20と、外層体20の内側に収められる減容変形自在な内層体30と、一対の接着帯40とからなる。また、本実施形態では、容器1の口部11には、中栓50、注出栓60及び蓋体70を有するキャップ80が装着されている。
容器1は、合成樹脂製の外層体20と、外層体20に対して相溶性が低い合成樹脂にて形成される内層体30と、外層体20及び内層体30に対して接着性を有する合成樹脂にて形成される一対の帯状の接着層、すなわち、一対の接着帯40とを積層させたものであり、これらの合成樹脂を積層して形成したパリソンを、ブロー成形することによって形成している。なお、一対の接着帯40は、外層体20と内層体30の間に配置され、これら外層体20及び内層体30を互いに接合している。
外層体20は、復元自在な可撓性を有するものであり、図1及び図2に示すように、円板状をなし容器1の底部13を形成する底壁21と、底壁21の縁部に連結するとともに上方へ向けて縮径して容器1の胴部12を形成する側壁22と、側壁22の上部に連結するともに円筒状をなし容器1の口部11を形成する口部壁23とを備える。口部壁23の外周面には、ねじ部23aを設けている。また、外層体20の底壁21の中央には、ブロー成形の割り金型による食い切りによって形成されるピンチオフ部24が形成されている。
ピンチオフ部24を挟む両側にはそれぞれ、外層体20と内層体30との間で、容器1の口部11からピンチオフ部24まで延在する一対の接着帯40が配置されている。一対の接着帯40のピンチオフ部24側の端縁41は、ピンチオフ部24の一部の領域のみにおいて互いに対向している。より具体的には、一対の接着帯40のピンチオフ部24側の端縁41は、ピンチオフ部24の中央領域において互いに対向している。また、一対の接着帯40は、容器1の底部13において、ピンチオフ部24に対して直角方向に延在している。
内層体30は、その内側に内容物を充填可能とする充填空間Mを有するものであり、積層された外層体20から剥離させることで減容変形させることができる。ここで、内層体30の胴部及び底部は、一対の接着帯40によって外層体20に接合、保持されているので、内容物の吐出が進んでも、内層体30の内面同士が部分的に接触して充填空間Mの一部を閉塞してしまうことがない。また、内層体30の底部が、前述した一対の接着帯40のピンチオフ部24側の端縁41を介して、外層体20のピンチオフ部24の中央領域に接合されているため、ピンチオフ部24の中央領域は、内層体30の底部によって封止されている。その結果、ピンチオフ部24の中央領域を封止部24aとして機能させることができる。また、ピンチオフ部24の中央領域の両側には、外層体20と内層体30とを互いに剥離させることで、外気導入孔24bが形成されている。
中栓50は、図1に示すようにその中央部に起立する円筒壁51を取り囲んでこの円筒壁51の下部とフランジを介して連結する環状壁52を備えている。また環状壁52の上端縁部には、径方向外側に向けて延在し、口部壁23の上端と当接するフランジ部53を設けている。円筒壁51の下部には、下方に向けて縮径する傾斜壁54を設けている。また円筒壁51の内周面には、周方向に間隔をあけて設けられる複数の縦リブ55を設けている。
更に、縦リブ55の径方向内側には、球状体56を配置している。ここで、球状体56は、縦リブ55に沿って自重にて移動するものであり、図1に示すように容器1が起立姿勢にある時は、傾斜壁54と全周に亘って当接して内層体30の充填空間Mを閉鎖している。なお、縦リブ55の上端は径方向内側に向けて僅かに膨出していて、球状体56の抜け止めを形成している。
注出栓60は、円筒壁51に通じる注出筒61を備えていて、注出筒61は、径方向外側に向けて延在し、フランジ部53上に位置する天壁62に連結している。また、天壁62の縁部には、口部壁23を取り囲む外周壁63を連結している。外周壁63の内周面には、口部壁23のねじ部23aに対応するねじ部63aを設けている。これにより注出栓60は、中栓50を間に挟んで口部壁23にねじ止めされる。
蓋体70は、注出栓60の上方を覆う頂壁71の縁部に周壁72を連結するとともに、周壁72と注出栓60の外周壁63との間に設けたヒンジ73にて連結するものである。なお、ヒンジ73を設けずに、注出栓60と蓋体70とをねじ止めするようにしてもよい。頂壁71の下面には、注出筒61と液密に当接するシール筒74を設けている。また、シール筒74の径方向内側には、下方に向けて延びるピン75を設けている。ピン75は、球状体56が上方へ変位する際、上限に至る手前で球状体56に当接するように設けられている。これにより、輸送等によって球状体56が勢いよく上方に移動しても、縦リブ55に設けた抜け止めを越えて外れてしまうことがない。
上記のように構成されるキャップ80を装着したブロー成形二重容器1から内容物を注出するに当たっては、蓋体70を開いて容器1を傾倒或いは倒立姿勢にすることで、球状体56は注出筒71側に変位し、充填空間M内の内容物は自重にて傾斜壁54の開口から縦リブ55の相互間を通り抜け、注出筒61より吐出される。この際、外層体20と内層体30との相互間にはピンチオフ部24の外気導入孔24bを通して外気が導入されるので、外層体20はその形状を保ったまま、内層体30のみが減容する。
内容物の吐出が進んで残量が減ってくると、内容物全体の重量が少なくなることから、容器1を傾けるだけでは内容物が吐出されにくくなる。ここで、容器1をスクイズすると、外層体20と内層体30との相互間の空気がピンチオフ部24の外気導入孔24bから漏れ出すものの、その漏れ出し量を、ピンチオフ部24に封止部24aを設けた分だけ減少させることができるので、自重では吐出されにくくなった内容物も最後までスムーズに吐出させることができる。
すなわち、かかる構成によれば、一対の接着帯40の端縁41の幅を、外層体20の剛性等に応じて適切に調節することで、ピンチオフ部24によって形成される外気導入孔24bの幅を最適化することが可能となる。その結果、内容物をその自重で吐出させる際にはピンチオフ部24から必要な量の外気を導入する一方で、内容物の残量が少なくなり、外層体20をスクイズして内容物を吐出させる際には、ピンチオフ部24からの空気の漏れを十分に防止することが可能となる。
また、一対の接着帯40のピンチオフ部24側の端縁41を、ピンチオフ部24の中央領域において互いに対向させているので、当該中央領域を挟んだ両側に形成される外気導入孔24bの幅が均一化され、内容物をその自重で吐出させる際には内層体30の減容変形を均一化することができる一方で、内容物の残量が少なくなり、外層体20をスクイズして内容物を吐出させる際には、ピンチオフ部24からの空気の漏れをさらに低減することができる。
さらに、一対の接着帯40を、容器1の底部13において、ピンチオフ部24に対して直角方向に延在させているので、外層体20と内層体30の間の空間に対する外気導入孔24bの位置が最適化され、内容物をその自重で吐出させる際に、よりスムーズに吐出することが可能になる。
次に、本発明の一実施形態に係るブロー成形二重容器の変形例について、図3〜図4を参照して説明する。
図3に示すように、本例に係るブロー成形二重容器1’は、一対の接着帯40の一方が、互いに平行な複数(本例では2本)の接着帯40aからなる点で異なる他は、前掲図1〜図2を用いて前述したブロー成形二重容器1の構成と同一の構成になっている。なお、さらなる変形例として、図4に示すように、一対の接着帯40の双方を、互いに平行な複数(本例では2本)の接着帯40aで構成してもよい。なお、図3及び図4のいずれの例においても、互いに平行な複数の接着帯40a同士の間隔Xは、ピンチオフ部24の封止部24aが維持される範囲内で適宜変更することができる。
かかる構成によれば、前述したブロー成形二重容器1の場合と同様の効果が得られることに加え、比較的高価な材料が用いられる接着帯40の使用量を低減することができ、よりコストの増加を抑制できるという効果も得ることができる。
上述したところは、本発明の一実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、ブロー成形二重容器1,1’は、一対の接着帯40を備えるものとして説明したが、さらなる接着帯を備えることを排除するものではない。また、一対の接着帯40は、口部11からピンチオフ部24まで延在するものとして説明したが、必ずしも連続して延在している必要はなく、間欠的に延在するものとしてもよい。
1,1’ ブロー成形二重容器
11 口部
12 胴部
13 底部
20 外層体
21 底壁
22 側壁
23 口部壁
23a ねじ部
24 ピンチオフ部
24a 封止部
24b 外気導入孔
30 内層体
40 一対の接着帯
40a 互いに平行な複数の接着帯
41 ピンチオフ部側の端縁
50 中栓
51 円筒壁
52 環状壁
53 フランジ部
54 傾斜壁
55 縦リブ
56 球状体
60 注出栓
61 注出筒
62 天壁
63 外周壁
63a ねじ部
70 蓋体
71 頂壁
72 周壁
73 ヒンジ
74 シール筒
75 ピン
80 キャップ
M 充填空間
X 間隔

Claims (4)

  1. ブロー成形によって形成され、口部、胴部及び底部を有するボトル状をなし、容器の外殻を形成する外層体と、該外層体の内側に収められる減容変形自在な内層体と、ブロー成形の割り金型による食い切りによって前記底部に形成されるピンチオフ部とを備えるブロー成形二重容器において、
    前記ピンチオフ部を挟む両側にそれぞれ、前記外層体と前記内層体との間に配置され、前記口部から前記ピンチオフ部まで延在する一対の接着帯を備え、
    前記一対の接着帯の前記ピンチオフ部側の端縁を、前記ピンチオフ部の一部の領域のみにおいて互いに対向させ、当該領域の両側に、前記外層体と前記内層体とを互いに剥離させて外気導入孔を形成したことを特徴とするブロー成形二重容器。
  2. 前記一対の接着帯の前記ピンチオフ部側の端縁は、前記ピンチオフ部の中央領域において互いに対向している、請求項1に記載のブロー成形二重容器。
  3. 前記一対の接着帯は、前記底部において、前記ピンチオフ部に対して直角方向に延在している、請求項1又は2に記載のブロー成形二重容器。
  4. 前記一対の接着帯のうち少なくとも一方は、互いに平行な複数の接着帯からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のブロー成形二重容器。
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