以下、この発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る原稿読取装置1を備えた画像形成装置100を概略的に示している。
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置100は、原稿9の情報を読み取る原稿読取装置1と、原稿読取装置1で読み取った原稿の情報(読み取り画像)に基づいて画像を記録媒体の一例としての記録紙30に形成する画像形成部2と、画像形成部2に供給する記録紙30を収容するとともに送り出す給紙部3とを備えている。この画像形成装置100では、画像形成部2と給紙部3を本体101の内部に収容した状態で配置する一方で、原稿読取装置1を本体101の上方の位置に所要の空間をあけた状態で配置している。本体101は、その上面部に上記空間を利用した状態で、画像が形成された記録紙30を排出して収容するための排出収容部102を形成している。
原稿読取装置1は、筐体10を有しており、その筐体10の前面側の上部にタッチパネル111と複数の操作ボタン112を有する操作部としてのコントロールパネル110を配置している。タッチパネル111は、ユーザーに操作メニューや警告、メッセージ等を表示する表示部を兼ねるとともに、表示した操作メニューに対する各種設定等の入力情報を受け付けるものである。また、操作ボタン112は、原稿9が複数の異なるサイズを含むものであるときに、ユーザーによって操作入力することができるミックス原稿サイズボタン112aを少なくとも含んでいる。このミックス原稿サイズの入力手段については、操作ボタン112aの形態に代えて、例えばタッチパネル111にミックス原稿サイズを選択するための入力画面を表示する形態の手段としてもよい。
また、原稿読取装置1は、筐体10の上面部に、原稿9を置く光透過性の原稿台11と、その原稿台11を少なくとも覆う状態で筐体10に対して開閉操作できる原稿カバー12とを設けている。原稿カバー12には、原稿9を読取位置まで搬送するとともに読み取り後の原稿9を排出する自動原稿搬送部13と、自動原稿搬送部13により送るべき原稿9を置くための原稿トレイ12aと、自動原稿搬送部13から排出される原稿9を収容するため収容部12bが設けられている。
画像形成部2は、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のトナー像を形成する像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kと、その各像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kで形成されたトナー像を記録紙30に転写するまで中継して搬送する中間転写ユニット26と、中間転写ユニット26から記録紙30に転写したトナー像を定着する定着ユニット27とを備えている。
4つの像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kは、使用するトナー(現像剤)の色が異なる点を除けばほぼ共通した電子写真方式を利用した構成からなるものである。すなわち、各像形成ユニット20はいずれも、矢印で示す方向に回転駆動する感光ドラム21と、感光ドラム21の表面を所要の電位に帯電する帯電装置22と、感光ドラム21の表面に画像情報に基づく露光をして静電潜像を形成する接触式等の露光装置23と、観光ドラム21に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像してトナー像とする現像装置24Y,24M,24C,24Kと、感光ドラム21上のトナー像を中間転写ユニット26(中間転写ベルト26a)に一次転写させる接触式等の一次転写装置25等を備えたものである。露光装置23には、原稿読取装置1で読み取られた原稿9の情報や画像形成装置1の外部等から入力される画像情報に基づいて所要の処理が施された画像信号が入力されるようになっている。
中間転写ユニット26は、各像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの一次転写位置を通過するように周回する無端状の中間転写ベルト26aを使用するものである。中間転写ベルト26aは、駆動ロール26b,従動ロール26c、張力を付与するテンションロール26c等に代表される複数のロールによって回転可能に支持されており、駆動ロール26bにより矢印で示す方向に回転するようになっている。また、中間転写ユニット26には、中間転写ベルト26aを挟んで従動ロール26cと対向する位置に接触式等の二次転写装置26dが配置されている。
定着ユニット27は、筐体27aの内部に、加熱手段にて所要の温度に加熱されて矢印で示す方向に回転駆動するロール形態、ベルト形態等の加熱用回転体28bと、加熱用回転体27bに所要の圧力で接触して回転するロール形態、ベルト形態等の加圧用回転体27cと、定着後の記録紙30を排出収容部102に排出するよう搬送する排出ロール27d等を備えている。
給紙部3は、所要のサイズ、種類等からなる複数枚の記録紙30を積み重ねた状態で収容する引き出し式の収容体31と、その収容体31に収容される記録紙30を1枚ずつ搬送路に送り出すロール方式等の送出装置32等で構成されている。収容体31は、例えば複数(31A,31B)装備され、その各収容体31A,31Bを本体101の上下方向に並べた状態で配置している。給紙部3と像形成部2の二次転写位置(中間転写ベルト26aと二次転写装置26dの間)との間には、給紙部3から送り出された記録紙30を二次転写位置まで搬送する供給搬送路28が配置されている。供給搬送路28は、複数の搬送ロール対28a〜28cと図示しない搬送ガイド材等で構成されている。
<原稿読取装置の構成>
図2は、実施の形態1に係る原稿読取装置1(の内部構造等)を示している。
原稿読取装置1は、原稿カバー12における原稿トレイ12aに置かれたシート状の原稿9を自動原稿搬送部13により収容部12bにむけて搬送する途上で原稿9の情報を移動させながら読み取る原稿移動読取モードと、筐体10の上面における原稿台11に置かれたシート状、冊子状等の原稿9を固定した状態で読み取る原稿固定読取モードとを備えている。そして、この原稿読取装置1では、その2つの読取モード(機能)をユーザーの選択操作により切り替えて利用できるようになっている。ちなみに、図2は、原稿移動読取モードを選択したときの読み取り待機状態を示している。
原稿読取装置1の筐体10の上面部には、原稿固定読取モード時に原稿9を置いてその原稿9の読み取り窓となる原稿台11が配置されている。また、筐体10の上面部のうち原稿台11の一端側であって原稿カバー12の自動原稿搬送部13と対向する位置には、原稿移動読取モード時において自動原稿搬送部13により搬送される原稿9の読み取り窓となる読取窓部14が配置されている。原稿台11と読取窓部14はいずれも、無色透明のガラス板等により構成されている。さらに、筐体10の内部には、上記各読取モード時において原稿9に光を照射する照明ユニット15と、照明ユニット15からの光により発生する反射光を受光する受光部17とが配置されている。図2においては、照明ユニット15から発した光の主な進む経路(光路:光束の中心軸)を二点鎖線で示している。
照明ユニット15は、原稿固定読取モード時に照明ユニット15を移動させて原稿9の読み取りを行うときの直線状の読取方向(副走査方向)に往復移動する稼働型のものである。具体的には、上記副走査方向に対して往復移動するよう支持された第1のキャリッジ(移送体)150に、光を発する光源16と、光源16からの光の一部を原稿9にむけて反射させる反射部材としてのリフレクタ152と、原稿9等からの反射光を受ける第1の鏡面反射板153とを搭載した構成になっている。第1のキャリッジ150は、筐体10の内部において副走査方向に沿って伸びるよう配置されるレール155に案内されて往復移動する。また、リフレクタ152は、光源16から発せられる光の一部が読取位置Prの方向に反射されるように角度及び位置が調整されている。
光源16としては、図2や図3に示すように、複数のLED(Light Emitting Diode)チップを基板上に直線状に並べて配置したライン型のLEDアレイ160と、このLEDアレイ160からの光を読取窓部14等に導く導光体等で主に構成したものを適用している。LEDアレイ160は、そのライン方向(LEDチップの直線状に並ぶ方向)が、原稿移動読取モード時における原稿9の搬送方向(又は副走査方向)Cとほぼ直交する方向(主走査方向/図2の紙面の鉛直方向)に沿って延びる状態で配置されている。このため、第1のキャリッジ150も主走査方向に沿って延びる細長い形態の構造物になっている。
照明ユニット15は、原稿移動読取モード時には読取窓部14の下方となる基準位置(ホームポジション)に移動して停止した状態に保たれ、原稿固定読取モード時には原稿台11の下方となる副走査方向の領域を往復移動するよう制御される。
受光部17は、照明ユニット15から得られる原稿9等からの反射光を結像させて読み取る受光ユニット170と、照明ユニット15から得られる原稿9等からの反射光を反射させて受光ユニット170まで導く反射ユニット175とで構成されている。
受光ユニット170は、原稿カバー12の自動原稿搬送部13が配置された端部とは反対側の端部側となる筐体10の内部位置に配置されており、原稿9等からの反射光を最終的に受光して読み取る固体撮像素子171と、原稿9等からの反射光を結像させて固体撮像素子171に導く結像レンズ172等を備えている。固体撮像素子171としては、入力光をカラーフィルタの通過により光の三原色であるR(赤)、G(緑)及びB(青)の色信号として専用に生成する3個の一次元ラインセンサー171a〜171cを上下方向に間隔をあけて配置して構成される電荷結合素子(CCD)を使用している。この固体撮像素子171は、結像レンズ172で結像される反射光を上記各色(R,G,B)に分けて受光(色分け受光)して光電変換してR,G,Bの色の電気信号を原稿9の読取信号(電圧信号)として後記する信号処理部5に出力する。
反射ユニット175は、原稿固定読取モード時に照明ユニット15と共に副走査方向に往復移動する稼働型のものである。具体的には、上記副走査方向に対して往復移動するよう支持された第2のキャリッジ(移送体)176に、照明ユニット15の第1の鏡面反射板153からの反射光を受ける第2の鏡面反射板177と、この第2の鏡面反射板177からの反射光を受ける第3の鏡面反射板178とを搭載した構成になっている。第2のキャリッジ176は、筐体10の内部において副走査方向に沿って伸びるよう配置される図示しないレールに案内されて往復移動する。また、照明ユニット15における第1の鏡面反射板153をはじめ、反射ユニット175における第2の鏡面反射板177及び第3の鏡面反射板178は、読取位置Prに原稿9が存在する場合に、原稿9によって反射された原稿反射光(図2における二点鎖線)が受光部17(最終的に固体撮像素子171)に到達するよう角度及び位置等が調整されている。
この反射ユニット175は、原稿移動読取モード時には上記ホームポジションに移動して照明ユニット15と共に停止した状態に保たれ、原稿固定読取モード時には原稿台11の下方となる副走査方向の領域を往復移動するよう制御される。特にその原稿固定読取モード時には、反射ユニット175は、第1の照明ユニット15の副走査方向への移動中、原稿9の読取位置Prから固体撮像素子171までの光路(二点鎖線で示す直線)の長さが変動しないように、第2のキャリッジ176の移動量が第1のキャリッジ150の移動量の半分になるよう構成されている。つまり、照明ユニット15と反射ユニット175は、第1のキャリッジ150及び第2のキャリッジ176の移動量の関係により、受光ユニット170に対して縮小結像光学系を構成している。
自動原稿搬送部13は、原稿トレイ12aから取り込んだ原稿9を、その搬送中の原稿9の情報を読み取る基準となる読取位置Prを通過させた後に収容部12bに排出させるよう搬送する、ほぼU字状の形状に曲がる経路からなる原稿搬送路18を有している。
ここで、読取位置Prは、筐体10の上面部において原稿台11の一端側となる位置に配置される平面長方形の読取窓部14のうち原稿9の搬送方向Cにおけるほぼ中央となる位置に設定されている。読取窓部14は、その平面長方形の長手(長辺)方向が、主走査方向に沿って延びる状態で配置されている。なお厳密には、読取位置Prは、受光部17が前述した通り固体撮像素子171として3個のラインセンサー171a〜171cを上下方向に配置したCCDを適用しているため、図3に例示するように、読取窓部14のうち原稿9の搬送方向Cにおける最上流位置となる第1読取位置Pr1から中間位置となる第2読取位置Pr2を経て最下流位置となる第3読取位置Pr3までの3箇所の読取位置で構成されている。
原稿搬送路18は、原稿トレイ12aに置かれた原稿9を1枚ずつ取り込むロール式等の取り込み機構18aと、取り込み機構18aによって取り込まれた原稿9を読取位置Prまで搬送する第1〜第3の搬送ロール対18b〜18dと、読み取り完了後の原稿9を収容部12bに排出するよう搬送する第1〜第2の排出ロール対18e,18fと、原稿搬送ロール対や排出ロール対により搬送される原稿9の搬送通路(空間)を形成して原稿9を搬送進路に沿って案内する搬送ガイド材18g,18h等で構成されている。第1〜第3の搬送ロール対18b〜18dと第1〜第2の排出ロール対18e,18fは、原稿9を原稿搬送路18内において所要の搬送速度で搬送するよう対応する回転速度で回転駆動するようになっている。
また、原稿搬送路18の取り込み機構18aが設置されている位置の付近には、原稿搬送路18の原稿トレイ12aにおける原稿9の有無を検知する検知センサーSn1が配置されている。さらに、原稿搬送路18の第3の搬送ロール対18dが配置されている位置の付近(読取位置Prよりも原稿の搬送方向Cの上流側の位置)には、搬送される原稿9の先端及び後端が通過することを検知する検知センサーSn2が配置されている。
また、自動原稿搬送部13は、図2や図3に示されるように、第3の搬送ロール対18dと第1の排出ロール対18eとの間であって読取窓部14と対向する位置に、原稿搬送路18に沿って搬送される途上の原稿9を読取位置Prに接近させて通過させるよう案内するとともに読取位置Prを通過した後に排出方向に搬送されるよう案内する読取案内部材19が配置されている。また、読取案内部材19には、その読取窓部14と対向する円弧状の下面部の一部に背景反射部4が設けられている。読取窓部14と原稿台11との間には、読取窓部14を通過した原稿9を第1の排出ロール18eが存在する排出用の原稿搬送路18側にむけて案内するための排出案内部材18jが設けられている。
背景反射部4は、照明ユニット15の光源16から発する光を、読取位置Prを通過させてから受光部17の受光ユニット170(最終的には固体撮像素子171)に受光させるよう反射させるものである。また、背景反射部4は、原稿9が存在しない状態のときに原稿9で反射される原稿反射光の光量よりも多い光量の反射光を反射するように設定されているものである。「原稿9が存在しない状態のとき」とは、自動原稿搬送部13により搬送される原稿9が読取窓部14(読取位置Pr)を通過していないときや、原稿9が読取窓部14を通過している際に原稿9が実際に存在していない状態(背景部)になるときをいう。実施の形態1における背景反射部4は、読取案内部材19の下面部の一部に形成した窪み部19aの平面部に、フィルム状の反射部材(例えばアルミニウムの蒸着フィルムなど)を貼り付けることで構成されている。また、背景反射部4は、主走査方向に延びる細長い帯状の平面形状になっている。
さらに、原稿読取装置1は、図2や図5等に示すように、受光部17の固体撮像素子171(CCDの3個のラインセンサー171a〜171c)から出力される3色の読取信号(R,G,B)について所要の処理を行うための信号処理装置5を備えている。
信号処理装置5は、図5に点線の四角で囲って示すように、サンプルホールド回路51と、出力増幅回路52と、A/D(アナログ/デジタル)変換回路53と、シェーディング補正回路54と、出力遅延回路55と、ラインメモリ56と、異物検出回路61と、ノイズ除去回路62と、傾き検出回路57と、傾き補正回路58と、原稿色判定回路70とを有している。そして、この信号処理措置5は、上記した各回路51〜58、61〜62、70(ラインメモリ56を含む)がその記載した順に各処理を行うように構成されている。また、この信号処理措置5には、上記した各回路51〜58、61〜62、70の動作を制御するための信号処理制御回路50を有している。この信号処理装置5の詳細については後述する。
なお、図5における符号150は、原稿読取装置1の各種動作を制御する制御部である。この制御部150は、例えば、図5に例示するように、受光部17の固体撮像素子171を駆動する駆動回路151を制御し、また信号処理措置5における信号処理制御回路50を制御するようになっている。また、図5における符号120は、画像形成部2に配置される画像処理回路である。画像処理回路120は、画像形成部2において必要となる画像処理(例えば、拡大縮小処理、地肌除去処理、2値化処理など)を行う。ちなみに、画像処理部120は、原稿読取装置1側に配置することも可能である。このように配置した場合、その画像処理部120は例えば原稿読取装置1の制御部150により制御するように構成することも可能である。
<画像形成装置の動作>
次に、画像形成装置100の基本的な動作について、原稿読取装置1の基本動作と画像形成部2の基本動作とに分けて説明する。
はじめに、原稿読取装置1では、ユーザーが原稿9を原稿台11と原稿トレイ12aのいずれか一方に置き、コントロールパネル110のタッチパネル111及び操作ボタン112を操作して原稿読み取りを指示すると、原稿9の読み取り動作が開始する。この際、原稿読み取りの指示を受けると、例えば、原稿トレイ12aにおける原稿9の有無を検知する検知センサーSn1が原稿9のないことを検知している場合は原稿固定読取モードが自動で選択されるのに対し、検知センサーSn1が原稿9のあることを検知している場合は原稿移動読取モードが自動で選択される。
原稿固定読取モードが選択された場合は、照明ユニット15の光源16が発光し始めるとともに、第1のキャリッジ155及び第2のキャリッジ176が駆動することにより照明ユニット15及び反射ユニット175が原稿台11の下方を副走査方向にそれぞれ移動し始める。
これにより、原稿台11に置かれた原稿9は移動する照明ユニット15で照明され、そのときの原稿9の原稿台11と対面する表面で反射した原稿反射光が、第1の鏡面反射153、第2の鏡面反射板177及び第3の鏡面反射板178で順次反射された後に受光部17に受光される。受光部17では、その原稿反射光が結像レンズ172を通して固体撮像素子171に結像され、原稿の読取信号(アナログ画像信号(R,G,B))として出力される。
一方、原稿移動読取モードが選択された場合は、第1のキャリッジ155及び第2のキャリッジ176が駆動することにより照明ユニット15及び反射ユニット175が読取窓部14の下方となるホームポジションに移動して停止するとともに、照明ユニット15の光源16が発光し始める。照明ユニット15の光源16から発せられた光は、その一部が読取窓部14における読取位置Prを直接照射し、他の一部がリフレクタ152で反射されて読取窓部14における読取位置Prを照射する。これに併せて、自動原稿搬送部13が駆動して原稿トレイ12aに置かれた原稿9を1枚ずつ原稿搬送路18を通して読取窓部14における読取位置Prを通過させるよう搬送する。
これにより、図2〜図4に例示するように、読取窓部14における読取位置Prを通過する原稿9はホームポジションに停止している照明ユニット15で照明され、そのときの原稿9の読取位置Pr(Pr1〜Pr3)を通過する表面部分で反射した原稿反射光が、第1の鏡面反射板153、第2の鏡面反射板177及び第3の鏡面反射板178で順次反射された後に受光部17に継続して受光される。受光部17では、その原稿反射光が結像レンズ172を通して固体撮像素子171(のCCDを構成する各ラインセンサー171a〜171c:図3)に結像され、原稿の読取信号(R,G,B)として出力される。その後、読取窓部14を通過した原稿9は、原稿搬送路18を通して収容部12bに順次排出されて収容される。
ここで、上記した原稿固定読取モードと原稿移動読取モードのいずれの読み取り時においても、固体撮像素子171から出力された読取信号(R,G,B)は、図5に示すように信号処理装置5に転送され、後述するような所要の処理がなされる。そして、この信号処理装置5で処理された読取信号(読取画像データ)は、画像形成部2の画像処理部(画像処理回路)120に送信される。信号処理装置5の動作については、後述する。
次に、画像形成部2では、原稿読取装置1から受信した原稿9の読取画像データに基づいて以下の画像形成動作が行われる。
まず、画像形成部2の出力画像処理部である画像処理回路120(図5など)において、原稿読取装置1から受信される読取画像データがトナー色であるY,M,C,Kの各色に対応した画像信号に変調された後、対応する像形成ユニット20(Y,M,C,K)の各露光装置23に送信される。そして、各像形成ユニット20(Y,M,C,K)では、矢印で示す方向に回転し始める感光ドラム21が帯電装置22で所要の電位に帯電された後に、その帯電された感光ドラム21の表面に露光装置23からの画像信号に基づく露光により所要の電位からなる静電潜像が形成される。
次いで、この感光ドラム21に形成された静電潜像は、対応する現像装置24(Y,M,C,K)により現像されて所要の色のトナー像となる。続いて、像形成ユニット20(Y,M,C,K)の各感光ドラム21に形成されたトナー像は、中間転写ユニット26における矢印で示す方向に回転する中間転写ベルト26aに一次転写装置25により一次転写された後、中間転写ベルト26aにより二次転写装置26dと対向する二次転写位置まで搬送される。
一方、給紙部3では、上記画像形成部2のトナー像の二次転写動作に合わせて、複数の収容体31A,31Bの1つに収容されている所要のサイズ等からなる記録紙30が送り出され、供給搬送路28を通して画像形成部2の二次転写位置まで搬送される。そして、その二次転写位置において中間転写ベルト26a上のトナー像が二次転写装置26dにより記録紙30に二次転写される。
その後、トナー像が二次転写された記録紙30は、定着ユニット27に導入されてトナー像が記録紙30に定着された後、排出収容部102に排出される。これにより、記録紙30の片面にトナーで構成される所要の画像が形成される。以上の画像形成の動作は、原稿9の枚数や画像形成枚数に応じた分だけ同様に繰り返される。また、画像形成部2では、白黒画像の形成時には、4つの像形成ユニット20(Y,M,C,K)のうちブラック色の像形成ユニット20Kが動作することで白黒画像の形成が行われる。また、カラー画像の場合は、4つの像形成ユニット20(Y,M,C,K)のすべてか又は像形成ユニット20(Y,M,C)が動作することでカラー画像の形成が行われる。
<信号処理装置5の詳細な構成とその動作>
以下、原稿読取装置1における信号処理装置5の詳細な構成とその動作について説明する。
信号処理装置5では、受光部17の固体撮像素子171から入力される3色の読取信号(R,G,B)を、サンプルホールド回路51においてサンプリング(標本化)してから出力増幅回路52により適切なレベルに増幅した後、その増幅したアナログの読取信号をA/D変換回路53によりデジタルの読取信号(画像データ)に変換する。続いて、シェーディング補正回路54において、そのデジタル化された読取信号(R,G,B)について、照明ユニット15等の光量分布特性や固体撮像素子171の感度ばらつきに対応した補正をする。
◎位置補正処理(出力遅延処理)
次に、信号処理装置5では、出力遅延回路55において、シェーディング補正回路54から出力される読取信号(R,G,B)のうち相対的に遅延している色の読取信号(G,B)だけを所定の遅延時間(所定のライン分だけ)だけ遅延させて出力し、これにより残りの色の読取信号(R)と同相となるようにしている。
例えば、固体撮像素子171において、そのCCDラインセンサー171bが最上流の第1読取位置Pr1から主走査線4本分の距離(4ライン相当分)だけ原稿9の搬送方向Cの下流に進んだ第2読取位置Pr2を通過して進む反射光を受光し、また、そのCCDラインセンサー171cが中間位置の第2読取位置Pr2から主走査線4本分の距離(4ライン相当分)だけ原稿9の搬送方向Cの下流に進んだ最下流の第3読取位置Pr3を通過して進む反射光を受光する構成になっていると仮定する。この場合、遅延回路55は、相対的に遅延している色の読取信号(G,B)をそれぞれ4ライン相当、8ライン相当の遅延時間だけ遅延させて出力することになる。
この遅延回路55の遅延処理により、固体撮像素子171のCCDを構成する3個のラインセンサー171a〜171cの副走査方向における位置ずれ(ひいては読取位置Pr1〜Pr3の位置ずれ)に起因して生じる各色の読取信号間の読み取り時差(ずれ)が補正される。
次に、信号処理装置5では、シェーディング補正回路54から出力される色の読取信号(R)と遅延回路55から出力される読取信号(G,B)とを、ラインメモリ56に対してそれぞれ所定のライン数分ずつ記憶させる。
◎異物検出処理
次に、信号処理装置5では、異物検出回路61において、読取窓部14の読取位置Prに存在する異物(塵、汚れなど)を検出する処理を行う。すなわち、異物検出回路61は、ラインメモリ56に書き込まれた読取信号(画像データ)に基づいて、異物の影響を受けている画素を検知し、その所在位置を示す異物検出データを生成する。このような異物が読取位置Prに存在している場合は、読み取り情報においてその異物に起因した筋状のノイズが発生するようになる。また、この異物検出回路61以降の各処理は、主に原稿移動読取モードを選択したときに実行される。
異物検出回路61は、図6に示すように、読取信号(R,G,B)にそれぞれ対応した3つの異物検出回路61A,61B,61Cで構成されている。また、これらの異物検出回路61A,61B,61Cはいずれも、画素平均回路611、画素遅延回路612、減算回路613、比較回路614、結果保持回路615及び最終決定回路616により構成されている。このうち画素平均回路611、減算回路612、画素遅延回路613及び比較回路614は、ラインメモリ56から入力される読取信号(画像データ)に基づき、読取位置Prにある主走査線上の異物の検出を行う。
はじめに、画素平均回路611では、ラインメモリ56においてライン遅延された読取信号の同じ位置の画素の平均値を算出する。ここで、1色(R)の読取信号(R)用の異物検出回路61Aを例にして説明すると、例えば、原稿読取装置1において1回の主走査毎に、CCDのラインセンサー171cによって読み取られたN個の画素のR成分を表す画像データRがシェーディング補正回路54から順次出力された後にラインメモリ56内の一連の記憶領域に順次書き込まれるとする。以下では画素1個分の画像データを画素データと称する。そして、その1個の画素kの画素データRがラインメモリ56に書き込まれると、その画素kの画素データと、画素kよりも1ライン(すなわちN画素)だけ前の画素k−Nの画素データと、画素kより2ライン(すなわち2N画素)だけ前の画素k−2Nの画素データとの組が画素平均回路611に供給される。画素平均回路611では、このように供給される3個の画素(k,k−N,k−2N)の画素データについて平均値を算出して平均化する。他の色の画像データ(G,B)に対応した異物検出回路61B,61C内の画素平均回路611も同様である。
続いて、画素遅延回路612では、画素平均回路611から出力される平均化された画素データを8画素分だけ遅延させる。一方、減算回路613では、画素平均回路611から出力された平均化された画素データ(A)から所定の閾値(スレッショルドレベル:B)を減算する(A−B)。
続いて、比較回路614では、減算回路613から出力された画素データ(B)が画素遅延回路612により遅延された画素データ(A)より大きいか否かを判定し、大きい場合は“1”を、小さい場合を“0”をゴミ検出データ(構成ビット)として出力する。図7は、画素平均回路611から出力される主走査方向である1ライン分の画素データにおける濃度分布を例示したものである。この図7に示す例は、背景反射部4を背景としたときに異物が検出される場合の濃度分布を示している。図7に示す例においては、画素の濃度が、或る画素の位置で背景反射部4の濃度から上昇してピーク濃度に達した後に低下して一定の濃度に収束している。このときの濃度変化が閾値以上になるときの画素が異物検出位置の画素となる。結果保持回路615は、この比較回路614から出力されるゴミ検出データを1ライン分保持する。
実施の形態1では、読取窓部14の読取位置Prに原稿9がない状態(例えば原稿読み取り前など)において、照明ユニット15の光源16から光を照射し、背景反射部4で反射される背景反射光を受光部17の固体撮像素子171により主走査の3ライン分だけ受光させ、そのときに得られる読取信号を異物検出回路61まで供給し、これにより原稿9がない状態での異物の検出を行っている。その際、各色に対応した異物検出回路61A,61B,61Cは、比較回路614からそれぞれ得られる原稿読み取り前の段階等の1ライン分の異物検出データ(第1の異物検出データ)を出力し、その異物検出データを結果保持回路615に保持させている。
また、実施の形態1では、原稿読み取り時において、照明ユニット15の光源16から光を照射し、読取位置Prを通過する原稿9で反射される原稿反射光と前記背景反射光を受光部17の固体撮像素子171により次々と受光させ、そのとき得られる読取信号を前述した各処理過程を経て異物検出回路61まで供給し、これにより原稿読み取り時の異物の検出を行っている。そして、各色に対応した異物検出回路61A,61B,61Cは、固体撮像素子171で主走査方向の受光が行われる毎に、比較回路614から1ライン分の異物検出データ(第2の異物検出データ)を出力している。ちなみに、この原稿読み取り時の異物検出では、比較回路614から得られる異物検出データを結果保持回路615に保持させず、最終判定回路616に送信するようになっている。
最終判定回路616では、原稿読み取り時において、比較回路614から送信される第2の異物検出データを受け取り、結果保持回路615から出力されている原稿読み取りの前の段階等における第1の異物検出データとの比較を行う。そして、最終判定回路616では、この比較において第1の異物検出データと第2の異物検出データの双方とが同じ画素位置で同じ幅だけ“1”となっている画素が存在した場合、その画素を異物検出画素とし、その異物検出画素に対応する構成ビットを“1”とし、異物検出画素に対応していない構成ビットを“0”とした異物検出データ(第3の異物検出データ)を出力する。
◎ノイズ除去処理
次に、信号処理装置5では、ノイズ除去回路62において、異物検出回路61により検出される第3の異物検出データにおける異物の所在情報から異物に起因して生じるノイズを検出し、そのノイズを読取信号(R,G,B)から除去する処理を行う。
ノイズ除去回路62は、ラインメモリ56から出力される読取信号(画像データ)R,G,Bのそれぞれを過去3ラインにわたり一時記憶するための画像データバッファと、異物検出回路61から出力される各(第3の)異物検出データを過去3ラインにわたって一時記憶するための異物検出データバッファとを有している。図8は、ノイズ除去回路62が行う処理を説明する図である。図8では、図面が複雑になることを防ぐため、R色に対応した画像データバッファの記憶内容621A及び異物検出データバッファの記憶内容622Aと、B色に対応した画像データバッファの記憶内容621C及び異物検出データバッファの記憶内容622Cを図示するだけに止め、G色に対応したものの図示を省略している。
このノイズ除去回路62では、ノイズの除去を行うために、各異物画素に対応した画素データR,G,Bについて、その異物が発生した画素(異物発生画素)を中心にした主走査方向の17画素とその副走査方向3ラインの周囲画素のうちから、どの画素の画素データR,G,Bによって置換(補完)するかを判定し、その判定結果に従った画素の置換を行うことで対応している。
このためノイズ除去回路62では、まず、各主走査期間において、1ライン前に異物検出データバッファに格納された異物検出データを参照し、異物発生画素の有無について判定する。
図8に示す例では、画像データバッファに格納されている記憶内容621Cの画像データBが、副走査方向に延びた2ラインの筋状のノイズを含んでいる。これに対し、異物検出データバッファの記憶内容622C内には、その筋状のノイズの原因となっている異物発生画素の位置を示す異物検出データが格納されている。このとき他の色R,Gの異物検出データバッファの記憶内容には、異物検出データが存在していない。
このような状況において、ノイズ除去回路62が、B色に対応した異物検出データに基づいて、例えば主走査方向においてi番目、副走査方向においてj番目の画素Bijが異物発生画素であると判定したと仮定する。この場合、ノイズ除去回路62は、異物に起因して生じる筋状のノイズを画像データBから除去するため、異物発生画素Bijに対応した画像データをその周囲の適当なB色画素の画素データによって置換する。また、ノイズ除去回路62は、その置換に用いる適当な画素データを捜す必要があり、例えば次のようにしてその置換用の画素データを求めている。
すなわち、ノイズ除去回路62は、まず、異物発生画素Bijを中心とした主走査方向の17画素とその副走査方向の3ラインの周囲画素のうち、異物発生画素とその画素と隣接する主走査方向の2画素ずつを除いた領域を置換用画素の選択対象領域と定める。続いて、異物発生画素Bijの色とは異なった色に対応した画像データバッファ、例えばR色の画像データバッファの記憶内容621A内において、異物発生画素Bijと同じ位置の画素Rijの画素データを参照し、その画素データと最も近い画素データを置換用画素の選択対象領域と同一領域内のR色画素の画素データの中から選択する。
続いて、ノイズ除去回路62は、その選択したR色画素の画素データと同一位置にあるB色画素の画素データを画像データバッファ(621A)から読み出し、その画素データにより画像データバッファ(621C)内の異物発生画素Bijの画素データを置き換える。なお、このように異物が発生したR色画素Bijの画素データを置換するだけではなく、色のバランスを考慮して、異物発生画素の位置にあるすべての色の画素Rij,Gij,Bijの各画素データに置換するようにしてもよい。
このノイズ除去回路62の除去処理により、画像データバッファ内の画像データから異物に起因して生じる筋状のノイズが除去される。このノイズ除去の行われた画像データ(読取信号)は、後段の処理部である傾き検出回路57に送られる。
◎原稿傾き検出処理
次に、信号処理装置5では、傾き検出回路57において、ノイズ除去回路62によりノイズ除去の行われた画像データ(読取信号)から原稿9の読取画像データの搬送方向Cとなす傾き角度αを検出する処理を行う。
実施の形態1における傾き検出回路57は、ノイズ除去回路62から入力される読取信号の画像データを所定の走査ライン数分だけ一時的に記憶して保持するバッファ記憶部と、その記憶されている読取信号の画像データから原稿9の端部を検出する原稿端部検出部と、読取信号から原稿9の読取画像データの傾き量(傾き角度α)を検出する原稿傾き検出部を有している。
傾き検出回路57では、はじめに原稿端部検出部において読取信号の画像データにおける原稿(読取画像データ)の端部を検出する処理が行われる。このときの原稿端部の検出は、受光部17(固体撮像素子171)で受光される原稿反射光及び背景反射光の光量の差を利用して原稿(読取画像データ)の少なくとも端部の情報を読み取るようになっている。
この光量の差を利用して原稿(読取画像)の端部の情報を読み取れるのは、背景反射部4の背景反射光の光量が上述した通り原稿9が存在しない状態のときに原稿反射光の光量よりも多い光量に設定されているので、その原稿9の原稿反射光の光量が背景反射光の光量よりも必ず少なくなる(光量の差が発生する)関係が成立し、この結果、受光される各反射光の光量が変化するときの情報に基づいて読取位置Prにおける原稿9の有無(別の観点からは原稿の読み取り部とその背景部との境界)を検出することができるのである。
図9は、受光部17の固体撮像素子171で読み取られる画像処理領域と原稿の読み取り情報との関係の一例を模式的に示している。
画像処理領域500iは、原稿9の搬送方向Cとほぼ直交する主走査方向の最大幅Wmが、固体撮像素子171の最大受光幅で規定され、原稿9の搬送方向Cとほぼ平行する副走査方向の長さLが、原稿9の搬送状態に対応して決定される読み取り時間で区切られる。つまり、副走査方向の長さLの読み取り開始は、原稿9の搬送時における先端の通過が検知センサーSn2で検知されてから所定の時間Taが経過した後の時点t1であり、その副走査方向の長さLの読み取り終了は、原稿9の搬送時における後端の通過が検知センサーSn2で検知されてから所定の時間Tbが経過した後の時点t2となる。所定の時間Taについては、原稿9がセンサーSn2で検知されてから読取位置Pr(Pr1)に達する前の時間内で設定される。
図9中の90iは、原稿9の読取画像である。この原稿の読み取り画像90iは、原稿9が搬送方向Cに対して角度α(傾き量)だけ傾いた状態で搬送されたときに読み取られた結果を例示している。また、画像処理領域500iのうち原稿の読取画像90i以外の部分は、背景反射部4から反射される背景反射光で構成される背景画像(背景部)40iである。
原稿端部検出部における原稿端部の検出では、以下のようにして原稿9の搬送方向C(厳密には「読取方向」となる。)における先端、後端及び左右端を検出する。
原稿端部検出部では、まず、読み取り時の副走査方向(搬送方向Cとほぼ直交する方向)においては、読取位置Prに原稿9が存在していない(到達していない)状態から原稿9が存在する(到達した)状態になると、受光部17で受光する反射光が背景反射光から原稿反射光に変化して光量が減ることになるので、その光量が最初に減少した時点t3における読み取り情報(画素)を原稿の先端位置(アドレス情報)として処理する。また、原稿端部検出部では、図9に例示するように、読取位置Prよりも原稿の搬送方向Cの上流側の位置にある検知センサーSn2により原稿9の先端の通過が検知された時点から読取位置Prに達するまでの所要時間が経過した時点tsにおける情報(光量が減少する時点の画素と一致する地点piの画素)も、原稿(の読取画像上)の先端位置の情報として処理している。一方、その副走査方向において読取位置Prにおいて原稿9が存在している状態から原稿9が存在しない(通過した)状態になると、受光部17で受光する反射光が原稿反射光から背景反射光に変化して光量が増えることになるので、その光量が最初に増加した時点t4における読み取り情報を原稿の後端位置(アドレス情報)として処理する。
また、読み取り時の主走査方向においては、副走査方向における場合とほぼ同様に、受光部17で受光する反射光が背景反射光から原稿反射光に変化して光量が減るか又は受光部17で受光する反射光が原稿反射光から背景反射光に変化して光量が増えるが、その光量が最初に減少した時点における読み取り情報又は最初に増加した時点における読み取り情報を原稿の左端位置又は右端位置(アドレス情報)として処理する。
また、原稿端部検出部では、原稿端部の位置情報が得られることから、以下のような原稿9のサイズの検出も行われる。
すなわち、原稿端部検出部では、画像処理領域500iにおいて原稿9の(仮の)先端が上述したような光量が最初に減少する時点t3のものとして検出されると、図9に示すように、その時点t3から次々に得られる先端の情報が集計されて予測上の先端Es(の連続した位置及び長さ)として処理される。これにより、原稿9の予測上の先端Esにおける一端から他端までの固体撮像素子171の画素の画素数aと、1つの画素あたりの原稿幅方向の長さbとに基づいて、原稿9の搬送方向Cにおける幅サイズLwが演算されて検出される(Lw=a×b)。
また、原稿端部検出部では、画像処理領域500iにおいて原稿9の(仮の)後端が上述したように光量が最初に増加する時点t4のものとして検出されると、その時点t4から次々と得られる後端の情報が集計されて予測上の後端Ee(の連続した位置及び長さ)として処理される。これにより、原稿9の読取画像90iにおける仮の先端の検出時点t3と仮の後端の検出時点t4から原稿9の通過所要時間tsが取得され、この通過所要時間tsと原稿搬送路18における原稿9の搬送速度Vとに基づいて、原稿9の搬送方向Cにおける長さサイズLnが演算されて検出される(Ln=V×ts)。
続いて、原稿傾き検出部では、原稿傾き検出部において読取信号における原稿(読取画像データ)の傾き角度を検出する処理が行われる。
すなわち、原稿傾き検出部では、原稿端部検出部で得られた原稿の先端と左右端の検出結果に基づいて傾き角度αの算出を行う。換言すれば、受光部17で受光される原稿反射光及び背景反射光の光量の差から原稿の先端と左右端の各位置が確定することから、原稿の読取画像90iとその読取画像90i以外の領域である背景部の読取画像40iとの境界(線)が判明し、その境界と原稿の搬送方向C(読取方向)とのなす角度(α)を傾き角度αとして検出する。
◎原稿傾き補正処理
次に、信号処理装置5では、傾き補正回路58において読取信号における原稿(読取画像データ)の傾きを補正する処理が行われる。
すなわち、傾き補正回路58では、先行処理の傾き検出回路57において原稿9の読取画像90iに傾き(傾き角度α)が存在していることが検出された場合、その傾きのある原稿9の読取画像90i(読取信号のバッファ記憶部に記憶されている読取画像データ)を傾き角度αが「0」となるよう回転させる処理を行う。これにより、傾きのある原稿9の読取画像90iは、図10に例示するような傾きのない原稿の読取画像92i(「α=0」になる状態)に補正される。
このときの回転処理は、例えば、検知センサーSn2による原稿9の先端通過が検知された時点から読取位置Prに達するまでの所要時間が経過した時点tsであって光量が減少する時点の画素と一致する地点piの画素を中心にして、原稿の読取画像データを一定の方向に所要の角度(α)だけ回転させるように行われる。また、この傾き補正処理では、傾いた状態で複数の画素に跨る画像データが回転処理により異なる画素(主走査方向に並ぶ画素ごと)に集約される状態で移動することになるので、ゴミ除去処理のなかで説明したような周辺画素からの画像データを補完する処理も行われる。ちなみに、この傾き補正回路57による傾き補正は、デジタル画像データである電子データを補正するものであることから、例えば電子傾き補正と称することができる。
◎原稿色判定処理
次に、信号処理装置5では、原稿色判定回路70において読取信号から原稿9が白黒色とカラー色(彩色)のいずれであるかを判定する処理が行われる。この原稿色判定回路70による原稿色判定は、一般的にACS(Auto Color Selection)機能と称されるものである。
原稿色判定回路70は、図11に示すように、読取信号(読取画像データ)を輝度及び色差で色を表示する座標系のデータに変換する色表示座標系変換部71と、その輝度データと色差データから各画素毎に画素色を判定する画素色判定部72と、複数の画素からなるブロック毎に色画素と黒画素の数を比較してブロック色を判定するブロック色判定部73と、複数のブロックから構成される原稿9の全面にわたりカラーブロック数をカウントし、そのカラーブロック数が閾値を超えたときに原稿色がカラー色であると判定する原稿色判定部74とを有している。
この原稿色判定回路70では、はじめに色表示座標系変換部71において、傾き補正回路58から送信される読取画像データ(R,G,B)を輝度及び色差で表示するL,a,b色表示座標系に変換する。L,a,b色表示座標系は、L,a,bを規格化したL*,a*,b*表色系も含まれるものである。ここでは、L*,a*,b*表色系に変換した場合を前提として説明する。
続いて、画素色判定部72において、色表示座標系変換部71からL*,a*,b*表色系の画像データを画素ごとに受け入れ、信号処理制御回路150から入力される画素判定閾値に応じて、画素が白黒(無彩色)又はカラー色(有彩色)のいずれかであるか判定し、その判定結果を例えば判定フラグとして画素ごとにブロック色判定部73に出力する。
図12は、実施の形態1における画素色判定部72の判定で用いる画素判定閾値を示すものである。画素色判定部72では、画素ごとの色度がa*−b*平面内の画素判定閾値(Th1)に囲まれる領域(白黒判定領域)の内側又は外側のいずれに存在するかを判別し、その白黒判定領域内にある場合は画素が白黒色であると判定し、その白黒判定領域外にある場合は画素がカラー色であると判定する。画素判定閾値(Th1)は、例えば基準とする白黒画像が実際にa*−b*平面内のどのような位置に点在するかを確認し、それらが含まれる適切な領域になるような値に設定される。また、この画素判定閾値については、各種事情に応じて、基準となる画素判定閾値(Th1)とは異なる設定の別の画素判定閾値(Th2)を適用するよう構成することも可能である。
続いて、ブロック色判定部73において、画素色判定部72からの判定フラグを画素ごとに受け入れ、原稿9(又は所定の判定領域)を細分化するN×M(N,Mは整数で表される所定の画素数である)のブロック内に含まれるカラー色の画素数をカウントし、信号処理制御回路150から入力されるブロック判定閾値に応じて、ブロックが白黒(無彩色)又はカラー色(有彩色)のいずれかであるか判定し、その判定結果を例えば判定フラグとしてブロックごとに原稿色判定部74に出力する。
図13aは、ブロックとそのブロックにおける白黒画素及びカラー画素の存在状態の一例を示すものである。図13aに示す例は、10画素×10画素の計100画素からなるブロックに対し、カラー画素が3つ存在し、それ以外は全て白黒画素になっている場合である。ブロック判定閾値は、図13aに示すブロックの場合を例にあげて説明すると、図13bに概念的に示すようにカラー画素の合計数が例えば「40」であるという値に設定される。つまり、このブロック判定閾値を使用する場合は、10画素×10画素のブロックにおいてカラー画素の合計数が40以上になるときにはそのブロック色がカラー色であると判定され、それ以外のときにはそのブロック色が白黒色であると判定されることになる。
続いて、原稿色判定部74において、ブロック色判定部73からの判定フラグをブロックごとに受け入れ、原稿9(又は所定の判定領域)に含まれるカラー色のブロック数をカウントし、信号処理制御回路150から入力される原稿判定閾値に応じて、原稿9が白黒(無彩色)又はカラー色(有彩色)のいずれかであるか判定し、その判定結果を例えば画像処理部120に出力する。
原稿判定閾値は、図14に例示するように12ブロック×16ブロックの計192ブロックからなる原稿に対し、例えばカラー色のブロックの合計数が「24」であるという値に設定される。この原稿判定閾値を使用する場合は、192ブロックからなる原稿においてカラー画素の合計数が24以上になるときにはその原稿がカラー色の原稿であると判定され、それ以外のときにはその原稿が白黒色の原稿であると判定されることになる。
以上により、信号処理装置5による所要の処理が終了する。この信号処理装置5で処理された読取信号(読取画像データ)は、前述したように画像形成部2の画像処理回路120に送信される(図5)。また、その後は、画像処理回路120で必要な画像処理が施された画像データに基づき画像形成部2による画像の形成動作が前述したように行われる。
そして、この信号処理装置5では、図5に示すように、出力遅延回路55による位置補正処理(出力遅延処理)とノイズ除去回路62によるノイズ除去処理(前提の異物検出処理を含む)がいずれも、傾き補正回路58による傾き補正処理よりも先に処理を行う処理部として構成されている。換言すれば、傾き補正処理が、位置補正処理とノイズ除去処理よりも後に処理を行う処理部として構成されている。
これにより、位置補正処理とノイズ除去処理(異物検出処理)では、固体撮像素子171のCCDラインセンサー171a〜171cでそれぞれ読み取られた各読取信号(R,G,B)をその各信号が有する位置情報を変更せずにそのまま利用して必要な処理を行うのに対し、傾き補正処理では、その各信号が有する位置情報が前述した回転処理により変更される(例えば、副走査方向の画像データの位置情報が主走査方向に回転処理により移動してずれた位置情報に変更される)ことになる状況のなかで、位置補正処理とノイズ除去処理が何ら変更されていない読取信号(R,G,B)を利用して行うことができるので、その位置補正処理とノイズ除去処理を何ら支障なく正常に行うことができる。
仮に、先に傾き補正処理を行い、その後で位置補正処理とノイズ除去処理を行うように構成した場合には、読取信号(R,G,B)の位置情報が傾き補正処理により既にずらされた状態になって読み取り時の位置情報が少なくとも一部消失することになるため、先に傾き補正処理を行うと、その後で位置補正処理とノイズ除去処理を正確に行うことができなくなる。
なお、位置補正処理とノイズ除去処理との処理順番については、位置補正処理がノイズ除去処理よりも先に行う処理部として構成することが一般的である。しかし、その逆の処理順番、すなわち先にノイズ除去処理を行い、その後で位置補正処理を行うという順番は、例えば、先に行うノイズ除去処理として、色分けした読取信号R,G,Bの各々の信号
ごとにノイズの除去をそれぞれ分けて行う処理方式を採用すれば、可能な処理順番になる。ちなみに、ノイズ除去処理として前述した内容の処理を行う場合は、ノイズが存在する画素の位置に対して読取信号R,G,Bの3色とも画素の置換処理を行う必要が生じる等の理由により、先に示した処理順番(位置補正処理をノイズ除去処理よりも先に行うという処理順番)の方が良い。
また、この信号処理装置5では、図5に示すように、原稿色判定回路70による原稿色判定処理が、傾き補正回路58による傾き補正処理よりも後に処理を行う処理部として構成されている。
これにより、原稿色判定処理では、前述したように原稿9をブロックや画素に展開した状態で判定処理を進めるものであるため、その判定領域は既に判明している原稿9のサイズであって且つ傾きのない状態(傾き角度α=0の状態)の原稿9を基礎にしている。このため、仮に原稿9が傾いた状態で搬送されて読み取られた場合に、傾き補正処理の前に原稿色判定処理を行ったときには、その傾いた原稿9の読取画像データの一部に存在する情報が含まれない状態で判定処理が行われ、かかる原稿9の原稿色判定処理が正常に行うことができないことがある。しかし、この信号処理装置5では、傾き補正処理をした後に原稿色判定処理を行うようになっているので、上記したような一部の情報を含めずに判定処理を行うことがなくなり、傾きのある原稿9であっても原稿色判定処理を正常に行うことができる。
例えば、図15に示すように、傾き角度αで傾いた状態の原稿9の読取画像データ90iの一部(例えば傾き補正処理で回転処理された後に取り込まれない隅部)に原稿色の判定に影響を及ぼす重要なカラー画像部分95が存在していた場合、その原稿9のサイズで傾きのない状態を判定領域(二点鎖線で示す矩形領域)で処理されると、カラー画像部分95の存在を無視して判定処理が実行されるおそれがある。これに対し、この信号処理装置5では、原稿9が傾いた状態で搬送される原稿であっても、傾き補正処理により傾き角度αが0になる回転処理をした後の原稿9の読取画像データ92iを判定領域として使用することになるので、カラー画像部分95も回転処理されて判定領域に存在するようになり、この結果、そのカラー画像部分95を含めた正確な原稿色判定処理が行われるようになる。
[実施の形態2]
図16は、実施の形態2に係る信号処理装置5の要部(原稿色判定回路と信号処理制御回路)を示すものである。
実施の形態2に係る信号処理装置5は、実施の形態1に係る信号処理装置5において、その原稿色判定回路70(図11)の画素色判定部72、ブロック色判定部73及び原稿色判定部74で使用する画素判定閾値、ブロック判定閾値及び原稿判定閾値について、傾き検出回路57で検出された傾き角度αに応じて変更する判定閾値変更部501を増設したものである。この場合、判定閾値変更部501は、図16に示すように、上記各判定閾値を上記各判定部72〜74に供給している信号処理制御回路50に設けている。
ここで、原稿色判定回路70による原稿色判定処理は、前述したように傾き補正回路58から出力される読取信号(読取画像データ)に基づいて行われる(図5)。また、傾き補正回路58の傾き補正処理では、前述したように原稿9の搬送時の傾き(傾き角度α)を解消するために原稿9の読取画像データを回転処理する際に周辺画素からの補完処理も行っている。このため、傾き補正回路58から出力される読取信号は、特に原稿9の読取画像データが補完処理の影響により平滑化されて鮮鋭度が変わることがある。
この結果、その傾き補正後で鮮鋭度が変わった原稿9の読取画像データに対して、傾き補正回路58の後工程となる信号処理装置5の処理部(実際には原稿色判定回路70)や画像処理回路120で使用される各種パラメータ(閾値やフィルタ係数など)が適合性に欠けることがあり、その場合は最終的にその後工程における検出処理や補正処理が正しく行われなくなることがある。例えば、後工程としての原稿色判定回路70では、傾き補正により補完処理された後の判定対象となる画素、ブロック又は原稿のデータが一般に平滑化されて読み取り時の内容と一致しない部分が生じ、一定の各判定閾値だけでは正確に判別されず誤判定を起こすおそれがある。
図17は、傾き状態(傾き角度α)の画像データ91iとその傾き補正の状態を概念的に示すものである。図17aは傾き角度αが相対的に小さい場合を示し、図17bは傾き角度αが相対的に大きい場合を示している。
図17aに示す例では、傾き角度αが相対的に小さい状態の画像データ91iを、例えば画素Cを基準にして主走査方向に一列に並ぶ画像データになるよう回転処理する際、画素Aと画素Bに跨って存在する画像データ91iの部分(右肩下がりの斜線を付した部分)が画素Dに移動させられる場合を示している。この場合、画素Aと画素Bの画像情報を例えば「3:7」の比率で収集して1つの画素Dに集約させるようにしている。一方、図17bに示す例では、傾き角度αが相対的に大きい状態の画像データ91iを、例えば画素Cを基準にして主走査方向に一列に並ぶ画像データになるよう回転処理する際、画素Aと画素Bに跨って存在する画像データ91iの部分(右肩下がりの斜線を付した部分)が画素Dに移動させられる場合を示している。この場合、画素Aと画素Bの画像情報が実際には約「4:6〜5:5」の割合で配分されているところ、このときの画素情報についても、上記傾き角度αが相対的に小さい場合(図17a)と同様に「3:7」の比率で収集して1つの画素Dに集約されることになる。
このため、傾き角度αが相対的に大きい状態の画像データ91iの傾き補正によって得られる画像データは、傾き角度αが相対的に小さい状態の画像データ91iの傾き補正によって得られる画像データに比べて、情報量が小さいものとなる。また、傾き角度αが相対的に大きい状態の画像データ91iの傾き補正によって得られる画像データは、その補正前のデータに比べても、情報量が小さいものとなる。
このようにして得られる傾き補正後の画像データ(92i:図10)に基づいて原稿色判定回路70による原稿色判定処理(例えば画素色判定部72による判定処理)を行った場合は、特に傾き角度αが相対的に大きいときに、図11や図12に示すように画素判定閾値として常に同じ画素判定閾値(Th1)を適用していると、その画素色が本来はカラー色であるところを、情報量が平均化されて小さく集約されている関係で、誤って白黒色であると誤判定をしてしまうことがある。この場合は、画素判定閾値として一般の画素判定閾値(Th1)よりも閾値範囲が狭い別の画素判定閾値(Th2)を適用すれば、その画素色について正しく白黒色と判定される可能性が高くなる。このような現象は、他の判定閾値であるブロック判定閾値や原稿判定閾値の場合もほぼ同様に発生する。
そこで、この信号処理装置5における判定閾値変更部501では、傾き検出回路57で検出される傾き角度αの大きさに応じて適切な判定閾値を選択して上記各判定部72〜74に供給するようになっている。具体的には、判定閾値変更部501は、傾き角度αが大きくなるにつれて、閾値範囲が狭くなる判定閾値を切り替えて供給するように構成される。また、判定閾値変更部501には、傾き検出回路部57で検出された傾き角度αの情報が信号処理制御回路50を介して送信されるように構成される。
実際には、判定閾値変更部501では、例えば、判定閾値(画素判定閾値、ブロック判定閾値及び原稿判定閾値)として判定閾値0、判定閾値1及び判定閾値2を予め用意し、傾き角度αがα1以下であるときには判定閾値0を上記各判定部72〜74に供給し、傾き角度αがα1より大であるα2(>α1)であるときには判定閾値1を同様の処理部に供給し、傾き角度αがα2より大であるα3(>α2)であるときには判定閾値2を同様の処理部に供給するように構成されている。この際、判定閾値0〜2は、その閾値範囲が「判定閾値0>判定閾値1>判定閾値2」の関係に設定されたものである。
このように判定閾値変更部501を設けた信号処理装置5では、原稿9の傾き角度αが大きくなって傾き補正がされる場合でも、原稿色判定回路70による原稿色判定処理を正確に行うことが可能になる。この結果、その原稿色判定処理の判定データを利用した画像形成部120(実際には画像処理回路120)による画像の形成動作も、その原稿9の原稿色に正確に対応した白黒の画像形成又はカラーの画像形成に切り替えられて行われる。
なお、この実施の形態2における信号処理装置5においては、図16に二点鎖線で示すように、原稿色判定回路70に色表示座標系変換部71の前の処理部として、入力される読取画像データを平滑化フィルタにより平滑化する平滑化部75を設けることができる。この場合は、その平滑化部75で使用する平滑化フィルタのフィルタ係数を傾き検出回路57で検出される傾き角度αの大きさに応じて変更して供給する係数変更部502を信号処理制御回路50に設けるとよい。
この係数変更部502は、上記閾値変更部501とほぼ同様に、傾き角度αが大きくなるにつれて、平滑化を強調する強調フィルタとなる値のフィルタ係数を選択して平滑化部75に供給するように構成される。また、係数変更部502には、傾き検出回路部57で検出された傾き角度αの情報が信号処理制御回路50を介して送信されるように構成される。
このように係数変更部502を設けた信号処理装置5では、原稿9の傾き角度αが大きくなって傾き補正がされる場合でも、その傾き補正後の読取画像データが適度に平滑化されるので、原稿色判定回路70による原稿色判定処理を正確に行うことが可能になる。この結果、その原稿色判定処理の判定データを利用した画像形成部120による画像の形成動作も、その原稿9の原稿色に正確に対応した白黒の画像形成又はカラーの画像形成に切り替えられて行われる。
また、上記閾値変更部501及び係数変更部502を設けた信号処理装置5においては、その双方の変更部501,502から傾き角度αに応じて適した判定閾値やフィルタ係数の双方を所定の処理部に供給するように構成するか、あるいは、いずれか一方の変更部501,502から傾き角度αに応じて適した判定閾値又はフィルタ係数を所定の処理部に供給するように構成すればよい。
[実施の形態3]
図18は、実施の形態3に係る信号処理装置5と接続される画像処理回路120を示すものである。
実施の形態3に係る信号処理装置5と接続される画像処理回路120は、信号処理装置5から送信される読取画像データから文字、線画、図形、写真等の画像のエッジを検出するエッジ検出部122を有するものであり、そのエッジ検出部122で使用するエッジ検出閾値について、傾き検出回路57で検出される傾き角度αの大きさに応じて変更してエッジ検出部122に供給する検出閾値変更部123を設けたものである。検出閾値変更部123は、傾き角度αが大きくなるにつれて、閾値が小さくなる値のエッジ検出閾値を選択してエッジ検出部122に供給するように構成される。
例えば、原稿9の読取信号(読取画像データ)の傾き角度αが大きい場合でも、その読取画像データが前記傾き補正処理により平滑化されたところは、エッジ検出部122で使用するエッジ検出閾値の閾値を検出閾値変更部123により小さい値に切り替えて供給することで、そのときの画像のエッジを正確に検出しやすくなる。これに対して、その読取画像データが前記傾き補正処理が行われないところは、エッジ検出閾値の閾値を検出閾値変更部123により大きい値に切り替えて供給することで、その画像に対して過剰なエッジ検出を行うことを防ぐことが可能になる。
[他の実施形態]
実施の形態1に係る信号処理装置5は、ノイズ除去回路62(及び異物検出回路61)と原稿色判定回路70の少なくとも一方を除いた構成とすることも可能である。また、信号処理装置5は、異物検出回路61による異物検出処理とノイズ除去回路62によるノイズ除去処理をユーザー等の選択指示があったときに行うように構成してもよい。さらに、信号処理装置5は、原稿色判定回路70による原稿色判定処理をユーザー等の選択指示があったときに行うように構成してもよい。
また、実施の形態1では、画像処理回路120を画像形成部2側に配置した構成例を示したが、既述している通り、その画像処理回路120を原稿読取装置1側に配置するよう構成してもよい。また、信号処理装置5と画像形成回路120の双方を画像形成部2側に配置するよう構成しても構わない。
また、実施の形態1では、原稿読取装置1における光源16として点光源でもあるライン型のLEDアレイを適用する場合を例示したが、その光源16としては、例えば、冷陰極蛍光管ランプ(CCFL)、キセノンランプ(Xeランプ)、ハロゲンランプ、導光体の主走査方向の両端部に1つずつ発光パワーが強いLEDを内向きに配置してその各LEDからの光を導光体の内部を通して主走査方向に分散させるように導いて出射させる形式のランプなど)を適用しても構わない。また、光源16と受光部17については、光源16と受光部17(受光レンズ、CMOSなど)を一体化した形式の発光受光ユニット(例えばCIS密着型センサー:コンタクトイメージセンサー)などを適用してもよい。
また、実施の形態1では、原稿読取装置1における背面反射部4として読取案内部材19の一部にフィルム状の反射部材を貼り付けて構成する場合を示したが、この他にも、例えば、読取案内部材19の読取窓部14と対向する下面に要求される反射特性を有する反射面部を直接形成して構成するようにしてもよい。
さらに、実施の形態1では、原稿読取装置1を画像形成装置100と組み合わせて使用する場合を例示したが、原稿読取装置1については、この他にも、例えば原稿読取装置1を単独(スキャナー)で使用するように構成したり、あるいは、原稿読取装置1をファクシミリの原稿読取手段として機能させるよう構成してもよい。
この他、画像形成装置100については、画像読取装置1で読み取った原稿の情報に基づく画像の形成が可能なものであればよく、その像形成部の画像形成方式、中間転写方式の構成や有無等については特に限定されない。画像形成方式としては、例えば、インクジェット記録方式等の方式も可能である。