[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例について説明する。なお、以下の説明では、図1に矢印Xで示す方向(X方向)を装置幅方向、図1に矢印Zで示す方向(Z方向)を装置高さ方向とする。また、X方向及びZ方向のそれぞれに直交する方向(Y方向)を装置奥行き方向として矢印Yで示す。
<全体構成>
図1には、画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、一例として、4連タンデム方式のカラー画像形成装置である。そして、画像形成装置10の装置本体(図示省略)内には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像を出力する電子写真方式の画像形成部20Y、20M、20C、20Kが設けられている。画像形成部20Y、20M、20C、20Kは、X方向に間隔をあけて並列配置されており、装置本体(図示省略)内に固定されている。
また、画像形成装置10は、Y、M、C、Kのトナー画像が転写される転写手段の一例としての中間転写部30と、中間転写部30の二次転写位置に記録用紙Pを搬送する用紙搬送部40と、記録用紙Pに転写されたトナー画像を定着する定着部50とを有している。なお、以下の説明では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別して説明する場合は、符号の後にY、M、C、Kを記載し、特に区別しない場合は、Y、M、C、Kを省略して記載する。
各画像形成部20は、外周面に潜像及びトナーを保持する像保持部材の一例としての感光体22と、感光体22の外周面を設定された電位で帯電する帯電装置23と、帯電された感光体22の外周面に光を照射して静電潜像を形成する露光装置24とを有している。また、各画像形成部20は、感光体22の静電潜像を現像剤の一例としてのトナーTで現像する現像手段の一例としての現像装置25と、感光体22のトナー像を中間転写ベルト32へ一次転写する転写手段の一例としての一次転写ロール26とを有している。さらに、各画像形成部20は、一次転写後の感光体22の外周面に付着したトナーTを回収する(清掃する)クリーニング装置100を有している。
(感光体)
感光体22は、円筒状に形成され、一例として、Y方向を軸方向とする回転軸27を有している。そして、回転軸27には、駆動手段の一例としてのモータ28が接続されており、モータ28の動作により、感光体22が回転軸27周りに回転駆動されるようになっている。また、感光体22の外周面には、トナーTと同極性である負の帯電極性を呈する感光層(図示省略)が形成されており、感光体22の外周面は、一例として、ポリカーボネート樹脂で覆われている。なお、感光体22の直径は、20[mm]以上100[mm]以下の範囲が望ましい。
具体的には、感光体22は、導電性の金属製基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、電荷発生層と電荷輸送層が順次積層された機能分離型のもので、通常は高抵抗であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。なお、感光体22は、外周面にオーバコート層を形成した構成としても良い。各色の感光体22は、正面視(Y方向視)でX方向に沿って間隔をあけて、直線状に並べて配置されている。
(帯電装置)
帯電装置23は、感光体22の外周面(感光層)を負極性に帯電させるようになっている。本実施形態では、一例として、帯電装置23は、コロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電装置とされている。なお、帯電装置23として、帯電ロールの芯金に電圧を印加する帯電ロール方式のものや、固体放電器及びブレード方式といった、接触または非接触の帯電装置を用いてもよい。
(露光装置)
露光装置24は、感光体22の外周面に静電潜像を形成するようになっている。具体的には、露光装置24は、画像形成装置10の動作を制御する制御部70を構成する画像信号処理部(図示省略)から受け取った画像データに応じて、変調した露光光を帯電装置23により帯電された感光体22の外周面に照射するようになっている。この露光装置24による露光光の照射によって、感光体22の外周面に静電潜像が形成される。本実施形態では、露光装置24は、光源から照射された光ビームをポリゴンミラーやFθレンズ(図示省略)を含む光走査手段(光学系)で走査しつつ、感光体22の外周面を露光する構成とされている。また、本実施形態では、露光装置24は、各色ごとに設けられている。
(現像装置)
現像装置25は、トナーTを含む現像剤Gで感光体22の外周面に形成された静電潜像を現像することで、該感光体22の外周面にトナー画像(トナー像)を形成するようになっている。詳細は省略するが、現像装置25は、現像剤Gを収容する容器25Aと、容器25Aに収容された現像剤Gを回転しながら感光体22に供給する現像ロール25Bとを少なくとも含んで構成されている。容器25Aには、現像剤Gを補給するためのトナーカートリッジ(図示省略)が接続されている。各色のトナーカートリッジは、個別に交換可能とされている。
(トナー)
各トナーTは、一例として、乳化重合法により製造され、平均粒径が5.8[μm]となっている。なお、トナーTは、乳化重合法により製造されたものに限らず、例えば、懸濁重合法、懸濁造粒法、溶解懸濁法、混練粉砕法などにより製造されたものでもよい。トナーTの粒径は、画質に影響を与えるため、粒径が小さいほど画質が向上するが、小さくなると現像性が低下し、取扱いが難しくなるため、平均粒径が3[μm]以上10[μm]以下のものが望ましい。なお、一例として、トナーTは、ポリエステル系樹脂を含んでおり、現像時に負(マイナス)極性に帯電するようになっている。すなわち、トナーTの現像極性は、一例として、マイナス極性となっている。
また、トナーTには、帯電制御剤や転写助剤として平均粒径10[nm]以上150[nm]以下程度のシリカやチタニアが適量、外添される。本実施形態では、特にクリーニング性や転写維持性を確保するために比較的大粒径のシリカを外添しており、具体的には、個数平均粒径が100[nm]以上150[nm]以下のシリカを外添している。なお、個数平均粒径は、JIS Z 8901に基づき顕微鏡法による円相当径(Heywood径)で求めており、顕微鏡として走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた。
(一次転写ロール)
一次転写ロール26は、感光体22の回転方向における現像装置25よりも下流側で且つクリーニング装置100よりも上流側の位置で、感光体22と共に中間転写ベルト32を挟むようにY方向を軸方向として回転可能に設けられている。また、一次転写ロール26の芯金には、バイアス電源(図示省略)が接続されており、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧が印加されるようになっている。そして、感光体22の外周面のトナー像は、接地された感光体22と一次転写ロール26との電位差によって、中間転写ベルト32上に一次転写される。
(中間転写部)
中間転写部30は、中間転写ベルト32、バックアップロール36、二次転写ロール38、及びクリーニングユニット39を有している。そして、中間転写部30は、一次転写ロール26によって中間転写ベルト32に一次転写された各色のトナー像を、二次転写ロール38とバックアップロール36との電位差によって、記録用紙Pに二次転写するようになっている。
(中間転写ベルト)
中間転写ベルト32は、無端状に形成されており、回転駆動されるドライブロール37、張力を調整するためのテンションロール34、及びバックアップロール36に巻き掛けられている。中間転写ベルト32の内周面でテンションロール34とドライブロール37との間には、既述の4本の一次転写ロール26の外周面が接触している。
また、中間転写ベルト32は、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、フッ素系樹脂などの樹脂材料にカーボンやイオン導電物質を分散させ、表面抵抗率を1010〜1012[Ω/□]程度(測定電圧:100[V])に調整して形成されている。さらに、中間転写ベルト32は、X方向に延びる上辺部において、各色の感光体22の外周面に下方から接触している。
(二次転写ロール)
二次転写ロール38は、中間転写ベルト32を挟んでバックアップロール36と対向する位置にY方向を軸方向として回転可能に設けられている。また、二次転写ロール38の芯金には、バイアス電源(図示省略)が接続されており、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧が印加されるようになっている。そして、中間転写ベルト32の外周面のトナー像は、既述のように、接地されたバックアップロール36と二次転写ロール38との電位差によって、用紙搬送部40により搬送される記録用紙P上に二次転写される。
(クリーニングユニット)
クリーニングユニット39は、中間転写ベルト32を挟んでドライブロール37と対向する位置に設けられている。また、クリーニングユニット39は、一例として、中間転写ベルト32側に開口したユニット本体39Aと、ユニット本体39Aの開口縁に取付けられたクリーニングブレード39Bとを有している。そして、クリーニングユニット39は、二次転写ロール38によって記録用紙P上にトナー像が転写された後、中間転写ベルト32上に残留するトナーTなどを除去する。
(用紙搬送部)
用紙搬送部40は、記録用紙Pを収容する用紙収容部41から1枚ずつ記録用紙Pを送り出すピックアップロール42と、記録用紙Pを二次転写位置へ搬送する搬送ロール44と、二次転写後の記録用紙Pを定着部50へ搬送する搬送ベルト46とを有している。搬送ロール44は、位置合せロールであり、二次転写位置における転写タイミングに合わせて、記録用紙Pを中間転写ベルト32と二次転写ロール38との間(二次転写位置)へ搬送するようになっている。
また、用紙搬送部40は、記録用紙Pの搬送経路でピックアップロール42と搬送ロール44との間に設けられた用紙ガイド43と、該搬送経路で搬送ロール44と二次転写ロール38との間に設けられた用紙ガイド45とを有している。さらに、記録用紙Pの搬送経路で定着部50よりも下流側には、筐体(図示省略)の外側へ記録用紙Pを排出する排出ロール48が設けられている。
(定着部)
定着部50は、加熱源(図示省略)を備え記録用紙Pのトナー画像面側に回転可能に配置された定着ロール52と、定着ロール52の外周面に記録用紙Pを押し付けると共に回転可能とされた加圧ロール54とを有している。これにより、定着部50は、トナー画像を加熱しつつ加圧することで、該トナー画像を記録用紙Pに定着する構成とされている。
<画像形成動作>
次に、画像形成装置10による記録用紙Pへの画像形成動作の概要を説明する。なお、画像形成部20については、画像形成動作が同様であるため、画像形成部20Yのみについて説明し、画像形成部20M、20C、20Kの画像形成動作の説明を省略する。
始めに、感光体22Yの表面が、帯電装置23Yによって、一例として−600[V]から−800[V]までの間の電位に帯電される。続いて、制御部70から送られてくるイエロー用の画像データに従って露光装置24Yから露光光(レーザ光線)が出力され、感光体22Yの外周面の感光層に照射される。これにより、イエロー用の静電潜像が、感光体22Yの外周面に形成される。
なお、静電潜像とは、帯電及び露光によって感光体22Yの表面に形成される像である。具体的には、静電潜像は、レーザ光線が照射された感光層の被照射部分の比抵抗が低下して感光体22Yの表面の電荷が流れ、一方で、レーザ光線が照射されなかった部分の電荷が残留することにより形成される、いわゆるネガ潜像である。そして、感光体22Y上に形成された静電潜像は、感光体22Yの回転により現像ロール25Bと対向する位置(現像位置)まで移動する。さらに、現像位置では、感光体22Y上の静電潜像が、現像装置25Yによって可視像(トナー像)化される。
現像装置25Yに収容されたイエロートナーは、現像装置25Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電しており、感光体22Yの外周面(表面)の帯電荷と同極性(マイナス)の電荷を有している。そして、感光体22Yの外周面が現像装置25Yを通過していくことにより、感光体22Yの外周面の除電された潜像部にのみイエロートナーが静電的に付着し、既述のように、潜像がイエロートナーによって現像(顕在化)される。
続いて、感光体22Yが回転することで、感光体22Yの外周面に現像されたトナー像が、一次転写ロール26Yのある一次転写位置へ搬送される。そして、感光体22Yの外周面のイエロートナー像が一次転写位置へ搬送されるとき、一次転写ロール26Yには、一次転写バイアスが印加されているため、感光体22Yから一次転写ロール26Yに向う静電気力がトナー像に作用する。これにより、感光体22Yの外周面のトナー像が中間転写ベルト32の表面に転写される。なお、このとき印加される転写バイアスは、トナーのマイナス極性とは逆極性の正(プラス)極性であり、制御部70によって、例えば、+20[μA]以上+30[μA]以内程度に定電流制御されている。
中間転写ベルト32へイエロートナー像を一次転写した後に、感光体22Yの外周面に残留している転写残トナーTは、後述するクリーニング装置100Yによりクリーニングされる。このようにして、画像形成部20Yにてイエロートナー像が一次転写された中間転写ベルト32は、画像形成部20M、20C、20Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が同様に重ねられて多重転写される。さらに、画像形成部20Y、20M、20C、20Kを通して全ての色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト32は、図示の矢印方向に搬送され、バックアップロール36と二次転写ロール38とで挟まれた二次転写位置へと到る。
一方、記録用紙Pが、用紙搬送部40の搬送ロール44により、設定されたタイミングで二次転写位置に搬送される。このとき、設定された二次転写バイアスが、二次転写ロール38に印加される。この二次転写バイアスは、トナーの極性(マイナス)とは逆極性(プラス)であるため、中間転写ベルト32から記録用紙Pに向う静電気力がトナー像に作用する。そして、中間転写ベルト32の表面のトナー像が、記録用紙P上に転写される。なお、二次転写バイアスは、二次転写位置での抵抗を検出する抵抗検出手段(図示省略)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、定電圧で制御されている。
続いて、トナー像が転写された記録用紙Pは、搬送ベルト46により定着部50へと送り込まれ、トナー像が加熱及び加圧されることで溶融されて定着される。そして、カラー画像の定着が完了した記録用紙Pは、排出ロール48によって画像形成装置10の外側へ排出され、一連のカラー画像形成動作が終了する。
<要部構成>
次に、クリーニング装置100について説明する。なお、クリーニング装置100Y、100M、100C、100Kは同様の構成であるため、ここではY、M、C、Kを区別せずに説明する。
図2に示すように、クリーニング装置100は、第1クリーニング部110と、感光体22の回転方向(図示の時計回り方向である+R方向)における第1クリーニング部110よりも下流側に配置された第2クリーニング部130とを有している。なお、第1クリーニング部110及び第2クリーニング部130を収容する筐体については、図示を省略している。また、図示の反時計回り方向を−R方向と記載する。
〔第1クリーニング部〕
第1クリーニング部110は、マイナス極性のトナー(トナーTM)を回収する回収手段の一例としての第1回収部112と、トナーTMを感光体22へ転移させる帯電手段、回転部材、及び第1帯電部材の一例としての第1帯電ブラシロール122とを有している。そして、第1クリーニング部110は、トナーTMを回収して感光体22をクリーニングする。
(第1回収部)
第1回収部112は、プラス極性に帯電される回収部材及び第1回収部材の一例としての第1ロール114と、第1ロール114をプラス極性に帯電させる逆帯電部材の一例としての第1ブラシロール116とを有している。
第1ロール114は、一例として、金属製(例えばSUS製)で円柱状の芯金114Aの外周面に、感光体22の外周面の材料と同じ種類の(同種の)ポリカーボネート樹脂からなる回収層114Bが形成された構成となっている。また、第1ロール114は、表面(径方向の最外部)が感光体22の外周面と接触するように、筐体(図示省略)の側壁に回転可能に支持されている。一例として、芯金114Aの外径は10[mm]、回収層114Bの外径は20[mm]となっている(図2、3、4、5は、各部材を模式的に示したものであり、各部材の大きさは実際の大きさとは異なっている)。
さらに、第1ロール114は、モータを含む駆動部(図示省略)により、感光体22に対して独立して回転駆動されるようになっており、図示の反時計回り方向(−R方向)に回転する。すなわち、第1ロール114と感光体22とが接触する部位では、第1ロール114の移動方向が感光体22の移動方向と同じ方向となっている。なお、本実施形態では、一例として、第1ロール114の最外部の周速度が感光体22の最外部の周速度と等速となるように、第1ロール114の外径及び回転速度が設定されている。
回収層114Bの外周面を感光体22の外周面と同種の材料にしたのは、回収層114Bと感光体22との摺擦による摩擦帯電を抑制するためである。ただし、感光体22の最外部の周速度と回収層114Bの最外部の周速度とが等しければ摺擦は起こらないので、感光体22の外周面の材料とは異なる種類の材料についても使用可能である。
第1ブラシロール116は、金属製(例えばSUS製)で円柱状の芯金116Aの外周面にブラシ部116Bを取り付けた構成となっている。ブラシ部116Bは、第1ロール114の外周部を形成する材料よりも帯電列がマイナス側にある材料で構成されている。即ち、本実施形態では、第1ロール114の外周面の材料が、一例として、ポリカーボネート樹脂となっているので、ブラシ部116Bの材料は、ポリカーボネート樹脂よりも帯電列がマイナス側にある材料で構成されている。ここで、帯電列とは、異種物質を接触(摺擦)させたときの帯電傾向を表すものである。
具体的には、ブラシ部116Bの材料として、ポリエチレン繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、などが使用可能であり、本実施形態では、一例として、ブラシ部116Bをポリエチレン繊維ブラシで構成している。即ち、ブラシ部116Bは、ポリエチレン繊維を基布に植毛したものである。また、本実施形態では、一例として、第1ブラシロール116の芯金116Aの直径を7[mm]、ブラシ部116Bのパイルハイト(繊維長さ)を2.5[mm]としている。
ここで、第1ブラシロール116は、表面(径方向の最外部)が第1ロール114の外周面と接触するように、筐体の側壁(図示省略)に回転可能に支持されている。また、第1ブラシロール116は、モータを含む駆動部(図示省略)により、第1ロール114に対して独立して回転可能となっており、後述する回収モードでは−R方向に回転し、後述する第1転移モードでは+R方向に回転するようになっている。
すなわち、第1ロール114と第1ブラシロール116とが接触する部位では、回収モードにおいて、第1ブラシロール116の移動方向が第1ロール114の移動方向とは逆のカウンター方向となっている。そして、第1ロール114と第1ブラシロール116との摺擦により、第1ロール114はプラスに帯電し、第1ブラシロール116はマイナスに帯電するようになっている。
また、第1回収部112には、第1ブラシロール116を囲むハウジング118が設けられている。ハウジング118は、X−Z断面がC字状でY方向に長い部材であり、開口部が第1ロール114の外周面に向けて配置されている。また、ハウジング118は、内側に第1ブラシロール116が非接触となるように配置されると共に、第1ロール114の外周面と非接触となっている。これにより、ハウジング118は、第1ブラシロール116に付着した付着物のハウジング118から外側への飛散を抑制している。
(第1帯電ブラシロール)
第1帯電ブラシロール122は、金属製(例えばSUS製)で円柱状の芯金122Aの外周面にブラシ部122Bを取り付けた構成となっている。ブラシ部122Bは、第1ロール114の外周部を形成する材料よりも帯電列がプラス側にある材料で構成されている。即ち、本実施形態では、第1ロール114の外周面の材料が、一例として、ポリカーボネート樹脂となっているので、ブラシ部122Bの材料は、ポリカーボネート樹脂よりも帯電列が正側にある材料で構成されている。
具体的には、ブラシ部122Bの材料として、ナイロン繊維やレーヨン繊維などの合成繊維、ガラス繊維、羊毛などの獣毛が使用可能であり、本実施形態では、一例として、ブラシ部122Bをナイロン繊維ブラシで構成している。即ち、ブラシ部122Bは、ナイロン繊維を基布に植毛したものである。また、本実施形態では、一例として、第1帯電ブラシロール122の芯金122Aの直径を7[mm]、ブラシ部122Bのパイルハイト(繊維長さ)を2.5[mm]としている。
ここで、第1帯電ブラシロール122は、表面(径方向の最外部)が第1ロール114の外周面と接触するように、筐体の側壁(図示省略)に回転可能に支持されている。また、第1帯電ブラシロール122は、モータを含む駆動部(図示省略)により第1ロール114に対して独立して回転可能となっており、後述する回収モードでは+R方向に回転し、後述する第1転移モードでは−R方向に回転するようになっている。
すなわち、第1ロール114と第1帯電ブラシロール122とが接触する部位では、回収モード及び後述する第2転移モードにおいて、第1帯電ブラシロール122の移動方向が第1ロール114の移動方向と同じ方向となっている。一方、第1転移モードでは、第1ロール114と第1帯電ブラシロール122との摺擦により、第1ロール114はマイナスに帯電し、第1帯電ブラシロール122はプラスに帯電するようになっている。
また、第1クリーニング部110には、第1帯電ブラシロール122を囲むハウジング124が設けられている。ハウジング124は、X−Z断面がC字状でY方向に長い部材であり、開口部が第1ロール114の外周面に向けて配置されている。また、ハウジング124は、内側に第1帯電ブラシロール122が非接触となるように配置されると共に、第1ロール114の外周面と非接触となっている。これにより、ハウジング124は、第1帯電ブラシロール122に付着した付着物の飛散を抑制している。
〔第2クリーニング部〕
第2クリーニング部130は、プラス極性のトナー(トナーTP)を回収する回収手段の一例としての第2回収部132と、トナーTPを感光体22へ転移させる帯電手段、回転部材、及び第2帯電部材の一例としての第2帯電ブラシロール142とを有している。そして、第2クリーニング部130は、トナーTPを回収して感光体22をクリーニングする。
(第2回収部)
第2回収部132は、マイナス極性に帯電される回収部材及び第2回収部材の一例としての第2ロール134と、第2ロール134をマイナス極性に帯電させる逆帯電部材の一例としての第2ブラシロール136とを有している。
第2ロール134は、一例として、金属製(例えばSUS製)で円柱状の芯金134Aの外周面に、感光体22の外周面の材料と同種のポリカーボネート樹脂からなる回収層134Bが形成された構成となっている。また、第2ロール134は、表面(径方向の最外部)が感光体22の外周面と接触するように、筐体(図示省略)の側壁に回転可能に支持されている。一例として、芯金134Aの外径は10[mm]、回収層134Bの外径は20[mm]となっている。
さらに、第2ロール134は、モータを含む駆動部(図示省略)により、感光体22に対して独立して回転駆動されるようになっており、図示の反時計回り方向(−R方向)に回転する。すなわち、第2ロール134と感光体22とが接触する部位では、第2ロール134の移動方向が感光体22の移動方向と同じ方向となっている。なお、本実施形態では、一例として、第2ロール134の最外部の周速度が感光体22の最外部の周速度と等速となるように第2ロール134の外径及び回転速度が設定されている。
回収層134Bの外周面を感光体22の外周面と同種の材料にしたのは、回収層134Bと感光体22との摺擦による摩擦帯電を抑制するためである。ただし、感光体22の最外部の周速度と回収層134Bの最外部の周速度とが等しければ摺擦は起こらないので、感光体22の外周面の材料とは異なる材料についても使用可能である。
第2ブラシロール136は、金属製(例えばSUS製)で円柱状の芯金136Aの外周面にブラシ部136Bを取り付けた構成となっている。ブラシ部136Bは、第2ロール134の外周部を形成する材料よりも帯電列がプラス側にある材料で構成されている。即ち、本実施形態では、第2ロール134の外周面の材料が、一例として、ポリカーボネート樹脂となっているので、ブラシ部136Bの材料は、ポリカーボネート樹脂よりも帯電列がプラス側にある材料で構成されている。
具体的には、ブラシ部136Bの材料として、ナイロン繊維やレーヨン繊維などの合成繊維、ガラス繊維、羊毛などの獣毛が使用可能であり、本実施形態では、一例として、ブラシ部136Bをナイロン繊維ブラシで構成している。即ち、ブラシ部136Bは、ナイロン繊維を基布に植毛したものである。また、本実施形態では、一例として、第2ブラシロール136の芯金136Aの直径を7[mm]、ブラシ部136Bのパイルハイト(繊維長さ)を2.5[mm]としている。
ここで、第2ブラシロール136は、表面(径方向の最外部)が第2ロール134の外周面と接触するように、筐体の側壁(図示省略)に回転可能に支持されている。また、第2ブラシロール136は、モータを含む駆動部(図示省略)により第2ロール134に対して独立して回転可能となっており、後述する回収モードでは−R方向に回転し、後述する第2転移モードでは+R方向に回転するようになっている。
すなわち、第2ロール134と第2ブラシロール136とが接触する部位では、回収モードにおいて、第2ブラシロール136の移動方向が第2ロール134の移動方向とは逆のカウンター方向となっている。そして、第2ロール134と第2ブラシロール136との摺擦により、第2ロール134はマイナスに帯電し、第2ブラシロール136はプラスに帯電するようになっている。
また、第2回収部132には、第2ブラシロール136を囲むハウジング138が設けられている。ハウジング138は、X−Z断面がC字状でY方向に長い部材であり、開口部が第2ロール134の外周面に向けて配置されている。また、ハウジング138は、内側に第2ブラシロール136が非接触となるように配置されると共に、第2ロール134の外周面と非接触となっている。これにより、ハウジング138は、第2ブラシロール136に付着した付着物のハウジング138から外側への飛散を抑制している。
(第2帯電ブラシロール)
第2帯電ブラシロール142は、金属製(例えばSUS製)で円柱状の芯金142Aの外周面にブラシ部142Bを取り付けた構成となっている。ブラシ部142Bは、第2ロール134の外周部を形成する材料よりも帯電列がマイナス側にある材料で構成されている。即ち、本実施形態では、第2ロール134の外周面の材料が、一例として、ポリカーボネート樹脂となっているので、ブラシ部142Bの材料は、ポリカーボネート樹脂よりも帯電列がマイナス側にある材料で構成されている。
具体的には、ブラシ部142Bの材料として、ポリエチレン繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、などが使用可能であり、本実施形態では、一例として、ブラシ部142Bをポリエチレン繊維ブラシで構成している。即ち、ブラシ部142Bは、ポリエチレン繊維を基布に植毛したものである。また、本実施形態では、一例として、第2帯電ブラシロール142の芯金142Aの直径を7[mm]、ブラシ部142Bのパイルハイト(繊維長さ)を2.5[mm]としている。
ここで、第2帯電ブラシロール142は、表面(径方向の最外部)が第2ロール134の外周面と接触するように、筐体の側壁(図示省略)に回転可能に支持されている。また、第2帯電ブラシロール142は、モータを含む駆動部(図示省略)により第2ロール134に対して独立して回転可能となっており、後述する回収モードでは+R方向に回転し、後述する第2転移モードでは−R方向に回転するようになっている。
すなわち、第2ロール134と第2帯電ブラシロール142とが接触する部位では、回収モード及び後述する第1転移モードにおいて、第2帯電ブラシロール142の移動方向が第2ロール134の移動方向と同じ方向となっている。一方、第2転移モードでは、第2ロール134と第2帯電ブラシロール142との摺擦により、第2ロール134はプラスに帯電し、第2帯電ブラシロール142はマイナスに帯電するようになっている。
また、第2クリーニング部130には、第2帯電ブラシロール142を囲むハウジング144が設けられている。ハウジング144は、X−Z断面がC字状でY方向に長い部材であり、開口部が第2ロール134の外周面に向けて配置されている。また、ハウジング144は、内側に第2帯電ブラシロール142が非接触となるように配置されると共に、第2ロール134の外周面と非接触となっている。これにより、ハウジング144は、第2帯電ブラシロール142に付着した付着物のハウジング144から外側への飛散を抑制している。
<モード設定>
ここで、画像形成装置10の制御部70(図1参照)には、クリーニング装置100においてトナーTM、TPを回収する回収モードのプログラムが設定されている。さらに、制御部70には、回収モードの実施後、第1クリーニング部110において感光体22へトナーTMを転移させる第1転移モード、及び第2クリーニング部130において感光体22へトナーTPを転移させる第2転移モードのプログラムが設定されている。
(回収モード)
回収モードは、一例として、画像形成装置10における画像形成時に行われる。回収モードでは、第1ロール114と第1帯電ブラシロール122とが接触する部位において、第1ロール114と第1帯電ブラシロール122とが同じ方向に同じ周速度で移動するように、各部材の回転方向及び周速度が設定されている。また、回収モードでは、第1ロール114と第1ブラシロール116とが接触する部位において、第1ロール114と第1ブラシロール116とが逆方向(カウンター方向)に異なる周速度で移動するように、各部材の回転方向及び周速度が設定されている。
一方、回収モードでは、第2ロール134と第2帯電ブラシロール142とが接触する部位において、第2ロール134と第2帯電ブラシロール142とが同じ方向に同じ周速度で移動するように、各部材の回転方向及び周速度が設定されている。また、回収モードでは、第2ロール134と第2ブラシロール136とが接触する部位において、第2ロール134と第2ブラシロール136とが逆方向に異なる周速度で移動するように、各部材の回転方向及び周速度が設定されている。
(第1転移モード)
第1転移モードは、回収モード実施後に行われる。第1転移モードでは、第1ロール114と第1帯電ブラシロール122とが接触する部位において、第1ロール114と第1帯電ブラシロール122とが逆方向に異なる周速度で移動するように、各部材の回転方向及び周速度が設定されている。また、第1転移モードでは、第1ロール114と第1ブラシロール116とが接触する部位において、第1ロール114と第1ブラシロール116とが同じ方向に同じ周速度で移動するように、各部材の回転方向及び周速度が設定されている。
なお、第1転移モードでは、第2クリーニング部130が、回収モードと同様の動作をする設定となっている。また、第1転移モードでは、感光体22及び現像ロール25Bが回転する設定となっている。
(第2転移モード)
第2転移モードは、回収モード実施後に行われる。第2転移モードでは、第2ロール134と第2帯電ブラシロール142とが接触する部位において、第2ロール134と第2帯電ブラシロール142とが逆方向に異なる周速度で移動するように、各部材の回転方向及び周速度が設定されている。また、第2転移モードでは、第2ロール134と第2ブラシロール136とが接触する部位において、第2ロール134と第2ブラシロール136とが同じ方向に同じ周速度で移動するように、各部材の回転方向及び周速度が設定されている。
なお、第2転移モードでは、第1クリーニング部110が、回収モードと同様の動作をする設定となっている。また、第2転移モードでは、感光体22及び現像ロール25Bが回転する設定となっている。
回収モードから第1転移モード及び第2転移モードに切り替えられるタイミングは、画像形成装置10における印刷(画像形成)ジョブの開始前や終了後、または予め定められた枚数を出力する毎などに設定されることが望ましい。また、画像形成装置10では、トナーTM、TPを感光体22上の非現像領域に戻す(転移させる)ようにモード切り替えのタイミングが設定されている。
非現像領域とは、記録用紙Pに転写するトナー像(画像)が形成されている画像領域以外の領域を意味している。具体的には、非現像領域とは、印刷ジョブの前後や印刷ジョブを停止した状態で回転しているときの感光体22の外周面、または、記録用紙Pに転写するトナー像と次の記録用紙Pに転写するトナー像との間の領域(インターイメージ部)である。
[作用]
次に、第1実施形態の作用について説明する。
(回収モード)
図3に示すように、回収モードにおいて、第1クリーニング部110では、第1ロール114が、第1ブラシロール116と接触する部位で相反方向に回転する第1ブラシロール116との摺擦により、プラス極性に帯電する。このとき、第1帯電ブラシロール122は、第1ロール114と同じ方向で且つ同じ周速度(周速度の差=0を狙いとする周速度)で回転しているので、第1帯電ブラシロール122と第1ロール114との摺擦はほとんど起こらない。すなわち、第1帯電ブラシロール122による第1ロール114の摩擦帯電はほとんど生じない。
続いて、プラス極性に帯電している第1ロール114は、トナー像の一次転写後に感光体22の外周面に付着しているトナーTMを静電気力により吸着して回収する。
一方、回収モードにおいて、第2クリーニング部130では、第2ロール134が、相反方向に回転する第2ブラシロール136との摺擦によりマイナス極性に帯電する。このとき、第2帯電ブラシロール142は、第2ロール134と同じ方向で且つ同じ周速度(周速度の差=0を狙いとする周速度)で回転しているので、第2帯電ブラシロール142と第2ロール134との摺擦はほとんど起こらない。すなわち、第2帯電ブラシロール142による第2ロール134の摩擦帯電はほとんど生じない。
続いて、マイナス極性に帯電している第2ロール134は、トナー像の一次転写時の放電などによりプラス極性に帯電して感光体22の外周面に付着しているトナーTPを静電気力により吸着して回収する。このようにして、第1クリーニング部110及び第2クリーニング部130でトナーTが回収される。
(第1転移モード)
図4に示すように、回収モード実施後の第1転移モードにおいて、第1クリーニング部110では、第1ロール114が、相反方向に回転する第1帯電ブラシロール122との摺擦によりマイナス極性に帯電する。このとき、第1ブラシロール116は、第1ロール114と同じ方向に同じ周速度(周速度の差=0を狙いとする周速度)で回転しているので、第1ブラシロール116と第1ロール114との摺擦はほとんど起こらない。すなわち、第1ブラシロール116による第1ロール114の摩擦帯電はほとんど生じない。
続いて、第1ロール114で回収したトナーTMは、第1ロール114の外周面から反発力を受けることで第1ロール114から感光体22側へ飛翔(離脱)する。また、第1ロール114で回収したトナーTMの一部は、第1ロール114とは相反方向に回転する第1帯電ブラシロール122の掻き取り力(変形を元にもどそうとする力)で第1ロール114から感光体22側へ飛翔(離脱)する。これらの作用により、第1ロール114から離脱したトナーTMは、最終的に感光体22の外周面(非現像領域)に静電的に付着(転移)する。
一方、回収モード実施後の第1転移モードにおいて、第2クリーニング部130では、第2ロール134が、相反方向に回転する第2ブラシロール136との摺擦によりマイナス極性に帯電する。このとき、第2帯電ブラシロール142は、第2ロール134と同じ方向に同じ周速度(周速度の差=0を狙いとする周速度)で回転しているので、第2帯電ブラシロール142と第2ロール134との摺擦はほとんど起こらない。すなわち、第2帯電ブラシロール142による第2ロール134の摩擦帯電はほとんど生じない。
続いて、感光体22の外周面に付着したトナーTMは、第2ロール134がマイナス極性に帯電しているので、第2ロール134に回収されることなく、感光体22の回転に伴い第2クリーニング部130を通過する。そして、感光体22の外周面に付着したトナーTMは、感光体22の回転により現像装置25(図1参照)に向けて搬送される。さらに、感光体22の外周面に付着したトナーTMは、現像ロール25B(図1参照)上に穂立ちした現像剤(図示省略)のスキャベンジ力により掻き取られ、現像装置25内に回収されて再利用される。
(第2転移モード)
図5に示すように、回収モード及び第1転移モード実施後の第2転移モードにおいて、第2クリーニング部130では、第2ロール134が、相反方向に回転する第2帯電ブラシロール142との摺擦によりプラス極性に帯電する。このとき、第2ブラシロール136は、第2ロール134と同じ方向に同じ周速度(周速度の差=0を狙いとする周速度)で回転しているので、第2ブラシロール136と第2ロール134との摺擦はほとんど起こらない。すなわち、第2ブラシロール136による第2ロール134の摩擦帯電はほとんど生じない。
続いて、第2ロール134で回収したトナーTPは、第2ロール134の外周面から反発力を受けることで第2ロール134から感光体22側へ飛翔(離脱)する。また、第2ロール134で回収したトナーTPの一部は、第2ロール134とは相反方向に回転する第2帯電ブラシロール142の掻き取り力で第2ロール134から感光体22側へ飛翔(離脱)する。これらの作用により、第2ロール134から離脱したトナーTPは、最終的に感光体22の外周面(非現像領域)に静電的に付着(転移)する。
一方、回収モード及び第1転移モード実施後の第2転移モードにおいて、第1クリーニング部110では、第1ロール114が、相反方向に回転する第1ブラシロール116との摺擦によりプラス極性に帯電する。このとき、第1帯電ブラシロール122は、第1ロール114と同じ方向に同じ周速度(周速度の差=0を狙いとする周速度)で回転しているので、第1帯電ブラシロール122と第1ロール114との摺擦はほとんど起こらない。すなわち、第1帯電ブラシロール122による第1ロール114の摩擦帯電はほとんど生じない。
続いて、感光体22の外周面に付着したトナーTPは、感光体22の回転により現像装置25(図1参照)に向けて搬送される。そして、感光体22の外周面に付着したトナーTPは、現像ロール25B(図1参照)上に穂立ちした現像剤(図示省略)のスキャベンジ力により掻き取られ、現像装置25内に回収されて再利用される。このように、感光体22の非現像領域にトナーTM、TPを戻せば、記録用紙Pのトナー像(記録用紙Pに転写するトナー像)に影響することなく、トナーTM、TPが現像装置25に戻され、再利用される(再度、現像に使用される)。
以上説明したように、画像形成装置10では、トナーTMがプラス極性に帯電された第1ロール114で静電的に回収され、トナーTPがマイナス極性に帯電された第2ロール134で静電的に回収される。これにより、クリーニングブレードを感光体22の外周面に押し付けて機械的にトナーTM、TPを回収する構成に比べて、感光体22の駆動トルクが抑制される。
また、画像形成装置10では、第1ロール114がマイナス極性に帯電され、第2ロール134がプラス極性に帯電されると、反発力により、トナーTM、TPが感光体22に向けて飛翔(離脱)する。そして、最終的に、トナーTM、TPが感光体22に静電的に付着(転移)する。これにより、第1ロール114及び第2ロール134が清掃され、次に搬送されてくる一次転写後のトナーTM、TPを回収可能となるので、第1ロール114及び第2ロール134からトナーTM、TPを廃トナーとして回収しなくて済む。すなわち、画像形成装置10は、感光体22へトナーTを転移させない構成に比べて、廃棄するトナーTが減る。
さらに、画像形成装置10では、感光体22に転移したトナーTM、TPが感光体22の回転により現像装置25まで搬送され、現像ロール25Bに保持されるので、感光体22に転移したトナーTM、TPが現像装置25で再利用可能となる。
加えて、画像形成装置10では、第1ブラシロール116が第1ロール114を摩擦により帯電させ、第2ブラシロール136が第2ロール134を摩擦により帯電させる。これにより、画像形成装置10では、放電により帯電を行う構成に比べて、第1ロール114及び第2ロール134が簡単な構成で帯電される。
また、画像形成装置10では、各部材の周速度の差を生じさせることで摩擦帯電を行い、または、各部材の周速度を合わせる(対向する部位での移動方向を同じとし、且つ周速度の差を0に近づける)ことで摩擦帯電を生じさせないようにしている。これにより、画像形成装置10では、第1ロール114及び第2ロール134に対して、各モードで各ブラシロールを接触させ、または、退避させる必要がなくなるので、第1ロール114及び第2ロール134が簡単な構成で帯電される。
さらに、画像形成装置10では、感光体22の外周面を構成する材料が、第1ロール114及び第2ロール134の外周面を構成する材料と同種の材料を含んでいるので、これらの接触による帯電が生じ難い。これにより、画像形成装置10では、感光体22が第1ロール114及び第2ロール134と同種の材料を含んでいない(帯電列で差がある材料を用いる)構成に比べて、第1ロール114及び第2ロール134の不要な帯電が抑制される。
加えて、画像形成装置10では、第1帯電ブラシロール122、第2帯電ブラシロール142が、感光体22の非現像領域にトナーTが付着(転移)するようにタイミングを合わせて第1ロール114、第2ロール134を帯電させる。これにより、画像形成装置10では、現像領域に関係なく感光体22にトナーを転移させる構成に比べて、記録用紙P上のトナー像がトナーTで汚れることが抑制される。
また、画像形成装置10では、トナーTの現像極性と同じ極性に帯電される第2ロール134を有しているので、現像極性とは逆極性のトナーTPについて、感光体22からの回収及び感光体22への転移が行われる。
<クリーニング性能評価>
次に、第1実施形態のクリーニング装置100を用いて行ったクリーニング性能評価について説明する。
画像形成装置10として、富士ゼロックス株式会社製オンデマンド印刷機DocuColor8000を用いた。また、クリーニングブレードを用いて機械的にトナーTを回収するクリーニング装置(図示省略)を比較例とした。そして、クリーニング装置100又は比較例のクリーニング装置をDocuColor8000に組み込んで、感光体22の回転軸27の軸トルク測定及びクリーニング性能の維持性テストを実施した。
感光体22の回転軸27の軸トルク測定には、トルク検出器SS-050(株式会社小野測器製)及びトルクコンバータTS-2600(株式会社小野測器製)を使用した。
クリーニング性能の維持性テストでは、まず、設定したパターンの画像でランニングテストを行った後、クリーニング性能を評価した。なお、ランニングテスト枚数(画像形成枚数)は、感光体22の回転数に換算しており、感光体22の1回転を1サイクル(1000回転をキロサイクル[kCycle]とする)として、複数パターンのサイクル数で行った。ここでは、一例として、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000[kCycle]のランニングテスト後に、それぞれクリーニング性能を評価した。
クリーニング性能の評価は、回収モードにおいてA3用紙3枚にベタ(全面)画像を連続形成した後、感光体22の回転を停止させ、感光体22の外周面のクリーニング装置100よりも下流側の領域を目視して評価を行った。評価は、トナーTが目立つものを×、ほとんどトナーTが見られないものを○として、2段階で評価した。
図10に示すように、回収モードのときに感光体22(図2参照)に作用する軸トルク[N・m]については、第1実施形態のクリーニング装置100を用いた場合に、比較例に比べて、1/10程度に低減されることが分かった。これは、クリーニング装置100が、第1ロール114及び第2ロール134の静電力でトナーT(TM、TP)の回収を行うので、比較例に比べて、感光体22に対して機械的な負荷を与えにくいことによると考えられる。さらに、クリーニング装置100が、第1クリーニング部110と第2クリーニング部130の2つで段階的にトナーTを回収する構成であり、感光体22の外周面に作用する負荷が分散されるためと考えられる。
また、表1に示すように、第1実施形態のクリーニング装置100を用いた場合では、1000[kCycle]相当の画像形成後でも評価が○であった。即ち、第1実施形態のクリーニング装置100では、1000[kCycle]まで(経時で)クリーニング性能が維持されることが分かった。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の一例について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材及び部位には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
第2実施形態の画像形成装置10は、第1実施形態のクリーニング装置100に換えて、クリーニング装置150を設けた構成となっており、クリーニング装置150を除く他の構成は第1実施形態と同様である。なお、クリーニング装置150Y、150M、150C、150Kは同様の構成であるため、Y、M、C、Kを区別せずに説明する。
<要部構成>
図6に示すように、クリーニング装置150は、第1クリーニング部160と、感光体22の回転方向(+R方向)における第1クリーニング部160よりも下流側に配置された第2クリーニング部170とを有している。なお、第1クリーニング部160及び第2クリーニング部170を収容する筐体については、図示を省略している。
〔第1クリーニング部〕
第1クリーニング部160は、トナーTMを回収する回収手段、回収部材、及び第1回収部材の一例としての第1回収ブラシロール162を有している。さらに、第1クリーニング部160は、トナーTMを感光体22へ転移させる帯電手段、回転部材、及び第1帯電部材の一例としての第1帯電ロール164を有している。そして、第1クリーニング部160は、トナーTMを回収して感光体22をクリーニングする。また、第2実施形態では、感光体22が逆帯電部材の一例となっている。
(第1回収ブラシロール)
第1回収ブラシロール162は、金属製(例えばSUS製)で円柱状の芯金162Aの外周面にブラシ部162Bを取り付けた構成となっている。ブラシ部162Bは、感光体22の外周部を形成する材料よりも帯電列が正(プラス)側にある材料で構成されている。即ち、本実施形態では、感光体22の外周面の材料が、一例として、ポリカーボネート樹脂となっているので、ブラシ部162Bの材料は、ポリカーボネート樹脂よりも帯電列が正側にある材料で構成されている。
具体的には、ブラシ部162Bの材料として、ナイロン繊維やレーヨン繊維などの合成繊維、ガラス繊維、羊毛などの獣毛が使用可能であり、本実施形態では、一例として、ブラシ部162Bをナイロン繊維ブラシで構成している。即ち、ブラシ部162Bは、ナイロン繊維を基布に植毛したものである。また、本実施形態では、一例として、第1回収ブラシロール162の芯金162Aの直径を10[mm]、ブラシ部162Bのパイルハイト(繊維長さ)を5[mm]としている。なお、図6、7、8、9は、各部材を模式的に示したものであり、各部材の大きさは実際の大きさとは異なっている。
ここで、第1回収ブラシロール162は、表面(径方向の最外部)が感光体22の外周面と接触するように、筐体の側壁(図示省略)に回転可能に支持されている。また、第1回収ブラシロール162は、モータを含む駆動部(図示省略)により感光体22に対して独立して回転可能となっており、第1実施形態と同様の回収モードでは+R方向に回転し、第1実施形態と同様の第1転移モードでは−R方向に回転するようになっている。
すなわち、第1回収ブラシロール162と感光体22とが接触する部位では、回収モード及び第1実施形態と同様の第2転移モードにおいて、第1回収ブラシロール162の移動方向が感光体22の移動方向とは逆方向となっている。これにより、回収モード及び第2転移モードでは、第1回収ブラシロール162と感光体22との摺擦により、第1回収ブラシロール162がプラス極性に帯電するようになっている。
一方、第1実施形態と同様の第1転移モードでは、第1回収ブラシロール162と後述する第1帯電ロール164との摺擦により、第1回収ブラシロール162はマイナス極性に帯電し、第1帯電ロール164はプラス極性に帯電するようになっている。
なお、第1回収ブラシロール162の回転速度は、それ自体の摩擦帯電性能とトナーTの回収性能、及び機械性能などを考慮して適度な回転速度になるように設定する必要がある。また、感光体22の外周面には、転写残のトナーT以外にトナーTの外添剤、キャリア、放電生成物、埃など様々な異物が付着しており、感光体22のクリーニング工程では、これらの異物を感光体22の外周面から除去する必要がある。以上を考慮して、本実施形態では、一例として、第1回収ブラシロール162の最外部の周速度が、回収モード及び第2転移モードにおいて、感光体22の最外部の周速度の0.1倍以上0.2倍以下程度に設定されている。
(第1帯電ロール)
第1帯電ロール164は、金属製(例えばSUS製)で円柱状の芯金164Aの外周面に帯電層164Bを接着した構成となっている。帯電層164Bは、第1回収ブラシロール162の外周部を形成する材料よりも帯電列がプラス側にある材料で構成されている。即ち、本実施形態では、第1回収ブラシロール162の外周面の材料が、一例として、ナイロン繊維となっているので、帯電層164Bの材料は、ナイロン繊維よりも帯電列がプラス側にある材料で構成されている。
具体的には、帯電層164Bの材料として、ポリアセタール樹脂(POM)、ガラス(ホウケイ酸ガラスなど)などが使用可能であり、本実施形態では、一例として、帯電層164Bをポリアセタール樹脂で構成している。また、本実施形態では、一例として、第1帯電ロール164の芯金164Aの直径を8[mm]、帯電層164Bの直径を10[mm]としている。
ここで、第1帯電ロール164は、表面(径方向の最外部)が第1回収ブラシロール162の外周面と接触するように、筐体の側壁(図示省略)に回転可能に支持されている。また、第1帯電ロール164は、モータを含む駆動部(図示省略)により第1回収ブラシロール162に対して独立して回転可能となっており、回収モード及び第2転移モードでは−R方向に回転し、第1転移モードでは+R方向に回転するようになっている。
すなわち、第1回収ブラシロール162と第1帯電ロール164とが接触する部位では、回収モード及び第2転移モードにおいて、第1帯電ロール164の移動方向が第1回収ブラシロール162の移動方向と同じ方向となっている。一方、第1転移モードでは、第1回収ブラシロール162と第1帯電ロール164との摺擦により、第1回収ブラシロール162はマイナス極性に帯電し、第1帯電ロール164はプラス極性に帯電するようになっている。
また、第1クリーニング部160には、第1帯電ロール164を囲むハウジング166が設けられている。ハウジング166は、X−Z断面がC字状でY方向に長い部材であり、開口部が第1回収ブラシロール162の外周面に向けて配置されている。また、ハウジング166は、内側に第1帯電ロール164が非接触となるように配置されると共に、第1回収ブラシロール162の外周面と非接触となっている。これにより、ハウジング166は、第1帯電ロール164に付着した付着物のハウジング166から外側への飛散を抑制している。
〔第2クリーニング部〕
第2クリーニング部170は、トナーTPを回収する回収手段、回収部材、及び第2回収部材の一例としての第2回収ブラシロール172を有している。さらに、第2クリーニング部170は、トナーTPを感光体22へ転移させる帯電手段、回転部材、及び第2帯電部材の一例としての第2帯電ロール174を有している。そして、第2クリーニング部170は、トナーTPを回収して感光体22をクリーニングする。
(第2回収ブラシロール)
第2回収ブラシロール172は、金属製(例えばSUS製)で円柱状の芯金172Aの外周面にブラシ部172Bを取り付けた構成となっている。ブラシ部172Bは、感光体22の外周部を形成する材料よりも帯電列がマイナス側にある材料で構成されている。即ち、本実施形態では、感光体22の外周面の材料が、一例として、ポリカーボネート樹脂となっているので、ブラシ部172Bの材料は、ポリカーボネート樹脂よりも帯電列が負側にある材料で構成されている。
具体的には、ブラシ部172Bの材料として、ポリエチレン繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維などが使用可能であり、本実施形態では、一例として、ブラシ部172Bをポリエチレン繊維ブラシで構成している。即ち、ブラシ部172Bは、ポリエチレン繊維を基布に植毛したものである。また、本実施形態では、一例として、第2回収ブラシロール172の芯金172Aの直径を10[mm]、ブラシ部172Bのパイルハイト(繊維長さ)を5[mm]としている。
ここで、第2回収ブラシロール172は、表面(径方向の最外部)が感光体22の外周面と接触するように、筐体の側壁(図示省略)に回転可能に支持されている。また、第2回収ブラシロール172は、モータを含む駆動部(図示省略)により感光体22に対して独立して回転可能となっており、既述の回収モードでは+R方向に回転し、既述の第2転移モードでは−R方向に回転するようになっている。
すなわち、第2回収ブラシロール172と感光体22とが接触する部位では、既述の回収モード及び第2転移モードにおいて、第2回収ブラシロール172の移動方向が感光体22の移動方向とは逆方向となっている。これにより、回収モード及び第1転移モードでは、第2回収ブラシロール172と感光体22との摺擦により、第2回収ブラシロール172がマイナスに帯電するようになっている。
一方、既述の第2転移モードでは、第2回収ブラシロール172と後述する第2帯電ロール174との摺擦により、第2回収ブラシロール172はプラス極性に帯電し、第2帯電ロール174はマイナス極性に帯電するようになっている。
なお、第2回収ブラシロール172の回転速度は、それ自体の摩擦帯電性能とトナーTの回収性能、及び機械性能などを考慮して適度な回転速度になるように設定する必要がある。また、感光体22の外周面には、転写残のトナーT以外にトナーTの外添剤、キャリア、放電生成物、埃など様々な異物が付着しており、感光体22のクリーニング工程では、これらの異物を感光体22の外周面から除去する必要がある。以上を考慮して、本実施形態では、一例として、第2回収ブラシロール172の最外部の周速度が、回収モード及び第1転移モードにおいて、感光体22の最外部の周速度の0.1倍以上0.2倍以下程度に設定されている。
(第2帯電ロール)
第2帯電ロール174は、金属製(例えばSUS製)で円柱状の芯金164Aの外周面に帯電層174Bを接着した構成となっている。帯電層174Bは、第2回収ブラシロール172の外周部を形成する材料よりも帯電列がマイナス側にある材料で構成されている。即ち、本実施形態では、第2回収ブラシロール172の外周面の材料が、一例として、ポリエチレン繊維となっているので、帯電層174Bの材料は、ポリエチレン繊維よりも帯電列が負側にある材料で構成されている。
具体的には、帯電層174Bの材料として、フッ素樹脂(テフロン(登録商標)樹脂など)、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが使用可能であり、本実施形態では、一例として、帯電層174Bをテフロン(登録商標)樹脂で構成している。また、本実施形態では、一例として、第2帯電ロール174の芯金174Aの直径を8[mm]、帯電層174Bの直径を10[mm]としている。
ここで、第2帯電ロール174は、表面(径方向の最外部)が第2回収ブラシロール172の外周面と接触するように、筐体の側壁(図示省略)に回転可能に支持されている。また、第2帯電ロール174は、モータを含む駆動部(図示省略)により第2回収ブラシロール172に対して独立して回転可能となっており、回収モード及び第1転移モードでは−R方向に回転し、第2転移モードでは+R方向に回転するようになっている。
すなわち、第2回収ブラシロール172と第2帯電ロール174とが接触する部位では、回収モード及び第1転移モードにおいて、第2帯電ロール174の移動方向が第2回収ブラシロール172の移動方向と同じ方向となっている。一方、第2転移モードでは、第2回収ブラシロール172と第2帯電ロール174との摺擦により、第2回収ブラシロール172はプラス極性に帯電し、第2帯電ロール174はマイナス極性に帯電するようになっている。
また、第2クリーニング部170には、第2帯電ロール174を囲むハウジング176が設けられている。ハウジング176は、X−Z断面がC字状でY方向に長い部材であり、開口部が第2回収ブラシロール172の外周面に向けて配置されている。また、ハウジング176は、内側に第2帯電ロール174が非接触となるように配置されると共に、第2回収ブラシロール172の外周面と非接触となっている。これにより、ハウジング176は、第2帯電ロール174に付着した付着物のハウジング176から外側への飛散を抑制している。
[作用]
次に、第2実施形態の作用について説明する。
(回収モード)
図7に示すように、回収モードにおいて、第1クリーニング部160では、第1回収ブラシロール162が、感光体22と接触する部位で相反方向に回転する感光体22との摺擦によりプラス極性に帯電する。このとき、第1帯電ロール164は、第1回収ブラシロール162と同じ方向で且つ同じ周速度(周速度の差=0を狙いとする周速度)で回転しているので、第1帯電ロール164と第1回収ブラシロール162との摺擦はほとんど起こらない。すなわち、第1帯電ロール164による第1回収ブラシロール162の摩擦帯電はほとんど生じない。
続いて、プラス極性に帯電している第1回収ブラシロール162は、トナー像の一次転写後に感光体22の外周面に付着しているトナーTMを静電気力により吸着して回収する。
一方、回収モードにおいて、第2クリーニング部170では、第2回収ブラシロール172が、相反方向に回転する感光体22との摺擦によりマイナス極性に帯電する。このとき、第2帯電ロール174は、第2回収ブラシロール172と同じ方向で且つ同じ周速度(周速度の差=0を狙いとする周速度)で回転しているので、第2帯電ロール174と第2回収ブラシロール172との摺擦はほとんど起こらない。すなわち、第2帯電ロール174による第2回収ブラシロール172の摩擦帯電はほとんど生じない。
続いて、マイナス極性に帯電している第2回収ブラシロール172は、トナー像の一次転写時の放電などによりプラス極性に帯電して感光体22の外周面に付着しているトナーTPを静電気力により吸着して回収する。このようにして、第1クリーニング部160及び第2クリーニング部170でトナーTが回収される。
(第1転移モード)
図8に示すように、回収モード実施後の第1転移モードにおいて、第1クリーニング部160では、第1回収ブラシロール162が、相反方向に回転する第1帯電ロール164との摺擦によりマイナス極性に帯電する。このとき、第1回収ブラシロール162は、感光体22と対向する部位で、感光体22と同じ方向に同じ周速度(周速度の差=0を狙いとする周速度)で回転しているので、第1回収ブラシロール162と感光体22との摺擦はほとんど起こらない。すなわち、感光体22による第1回収ブラシロール162の摩擦帯電はほとんど生じない。
続いて、第1回収ブラシロール162で回収したトナーTMは、第1回収ブラシロール162の外周面から反発力を受けることで第1回収ブラシロール162から感光体22側へ飛翔(離脱)する。また、第1回収ブラシロール162で回収したトナーTMの一部は、第1回収ブラシロール162とは相反方向に回転する第1帯電ロール164の掻き取り力で第1回収ブラシロール162から感光体22側へ飛翔(離脱)する。これらの作用により、第1回収ブラシロール162から離脱したトナーTMは、最終的に感光体22の外周面(非現像領域)に静電的に付着(転移)する。
一方、回収モード実施後の第1転移モードにおいて、第2クリーニング部170では、第2回収ブラシロール172が、感光体22と対向する部位で相反方向に回転する感光体22との摺擦によりマイナス極性に帯電する。このとき、第2帯電ロール174は、第2回収ブラシロール172と同じ方向に同じ周速度(周速度の差=0を狙いとする周速度)で回転しているので、第2回収ブラシロール172と第2帯電ロール174との摺擦はほとんど起こらない。すなわち、第2回収ブラシロール172による第2帯電ロール174の摩擦帯電はほとんど生じない。
続いて、感光体22の外周面に付着したトナーTMは、第2回収ブラシロール172がマイナス極性に帯電しているので、第2回収ブラシロール172に回収されることなく、感光体22の回転に伴い第2クリーニング部170を通過する。そして、感光体22の外周面に付着したトナーTMは、感光体22の回転により現像装置25(図1参照)に向けて搬送される。さらに、感光体22の外周面に付着したトナーTMは、現像ロール25B(図1参照)上に穂立ちした現像剤(図示省略)のスキャベンジ力により掻き取られ、現像装置25内に回収されて再利用される。
(第2転移モード)
図9に示すように、回収モード及び第1転移モード実施後の第2転移モードにおいて、第2クリーニング部170では、第2回収ブラシロール172が、対向部位で相反方向に回転する第2帯電ロール174との摺擦によりプラス極性に帯電する。このとき、第2回収ブラシロール172は、感光体22と対向する部位で、感光体22と同じ方向に同じ周速度(周速度の差=0を狙いとする周速度)で回転しているので、第2回収ブラシロール172と感光体22との摺擦はほとんど起こらない。すなわち、感光体22による第2回収ブラシロール172の摩擦帯電はほとんど生じない。
続いて、第2回収ブラシロール172で回収したトナーTPは、第2回収ブラシロール172の外周面から反発力を受けることで第2回収ブラシロール172から感光体22側へ飛翔(離脱)する。また、第2回収ブラシロール172で回収したトナーTPの一部は、第2回収ブラシロール172とは相反方向に回転する第2帯電ロール174の掻き取り力で第2回収ブラシロール172から感光体22側へ飛翔(離脱)する。これらの作用により、第2回収ブラシロール172から離脱したトナーTPは、最終的に感光体22の外周面(非現像領域)に静電的に付着(転移)する。
一方、回収モード及び第1転移モード実施後の第2転移モードにおいて、第1クリーニング部160では、第1回収ブラシロール162が、対向部位で相反方向に回転する感光体22との摺擦によりプラス極性に帯電する。このとき、第1帯電ロール164は、第1回収ブラシロール162と同じ方向に同じ周速度(周速度の差=0を狙いとする周速度)で回転しているので、第1回収ブラシロール162と第1帯電ロール164との摺擦はほとんど起こらない。すなわち、第1帯電ロール164による第1回収ブラシロール162の摩擦帯電はほとんど生じない。
続いて、感光体22の外周面に付着したトナーTPは、感光体22の回転により現像装置25(図1参照)に向けて搬送される。そして、感光体22の外周面に付着したトナーTPは、現像ロール25B(図1参照)上に穂立ちした現像剤(図示省略)のスキャベンジ力により掻き取られ、現像装置25内に回収されて再利用される。このように、感光体22の非現像領域にトナーTM、TPを戻せば、記録用紙Pに転写するトナー像に影響することなく、トナーTM、TPが現像装置25に戻され、再利用される(再度、現像に使用される)。
以上説明したように、画像形成装置10では、トナーTMがプラス極性に帯電された第1回収ブラシロール162で回収され、トナーTPがマイナス極性に帯電された第2回収ブラシロール172で回収される。これにより、クリーニングブレードを感光体22の外周面に押し付けて機械的にトナーTM、TPを回収する構成に比べて、感光体22の駆動トルクが抑制される。
また、画像形成装置10では、第1回収ブラシロール162がマイナス極性に帯電され、第2回収ブラシロール172がプラス極性に帯電されると、反発力により、トナーTM、TPが感光体22に向けて飛翔(離脱)する。そして、最終的に、トナーTM、TPが感光体22に静電的に付着(転移)する。これにより、第1回収ブラシロール162及び第2回収ブラシロール172が清掃され、次に搬送されてくる一次転写後のトナーTM、TPを回収可能となるので、第1回収ブラシロール162及び第2回収ブラシロール172からトナーTM、TPを廃トナーとして回収しなくて済む。すなわち、画像形成装置10は、感光体22へトナーTを転移させない構成に比べて、廃棄するトナーTが減る。
さらに、画像形成装置10では、感光体22に転移したトナーTM、TPが感光体22の回転により現像装置25まで搬送され、現像ロール25Bに保持されるので、感光体22に転移したトナーTM、TPが現像装置25で再利用可能となる。
加えて、画像形成装置10では、感光体22が、第1回収ブラシロール162及び第2回収ブラシロール172を摩擦により帯電させる。これにより、画像形成装置10では、放電により帯電を行う構成に比べて、第1回収ブラシロール162及び第2回収ブラシロール172が簡単な構成で帯電される。さらに、画像形成装置10は、感光体22が第1回収ブラシロール162及び第2回収ブラシロール172を帯電させるので、感光体22が逆帯電部材を兼ねていない構成に比べて、画像形成装置10の部品点数が減る。
また、画像形成装置10では、各部材の周速度の差を生じさせることで摩擦帯電を行い、または、各部材の周速度を合わせる(対向する部位での移動方向を同じとし、且つ周速度の差を0に近づける)ことで摩擦帯電を生じさせないようにしている。これにより、画像形成装置10では、第1回収ブラシロール162及び第2回収ブラシロール172に対して、各モードで別途、ロールを接触させ、または、退避させる必要がなくなる。このため、第1回収ブラシロール162及び第2回収ブラシロール172が簡単な構成で帯電される。
さらに、画像形成装置10では、第1帯電ロール164、第2帯電ロール174が、感光体22の非現像領域にトナーTが付着(転移)するようにタイミングを合わせて、第1回収ブラシロール162、第2回収ブラシロール172を帯電させる。これにより、画像形成装置10では、現像領域に関係なく感光体22にトナーを転移させる構成に比べて、記録用紙P上のトナー像がトナーTで汚れることが抑制される。
また、画像形成装置10では、トナーTの現像極性と同じ極性に帯電される第2回収ブラシロール172を有しているので、現像極性とは逆極性のトナーTPについて、感光体22からの回収及び感光体22への転移が行われる。
<クリーニング性能評価>
次に、第2実施形態のクリーニング装置150を用いて行ったクリーニング性能評価について説明する。なお、クリーニング性能の評価に用いた装置と評価方法、及び感光体22の軸トルク測定に用いた装置と測定方法は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図11に示すように、回収モードのときに感光体22(図2参照)に作用する軸トルク[N・m]については、第2実施形態のクリーニング装置150を用いた場合に、既述の比較例に比べて、1/10程度に低減されることが分かった。これは、クリーニング装置150が、第1回収ブラシロール162及び第2回収ブラシロール172の静電力でトナーTの回収を行うので、比較例に比べて、感光体22に対して機械的な負荷を与えにくいことによると考えられる。さらに、クリーニング装置150が、第1クリーニング部160と第2クリーニング部170の2つで段階的にトナーTを回収する構成であり、感光体22の外周面に作用する負荷が分散されるためと考えられる。
また、表2に示すように、第2実施形態のクリーニング装置150を用いた場合では、1000[kCycle]相当の画像形成後でも評価が○であった。即ち、第2実施形態のクリーニング装置150では、初期使用状態と同程度のクリーニング性能が、1000[kCycle]まで維持されることが分かった。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
第1ブラシロール116、第1帯電ブラシロール122、第2ブラシロール136、第2帯電ブラシロール142、第1帯電ロール164、及び第2帯電ロール174は、同じ方向に回転させて且つ周速度を合わせる(周速度の差=0を狙いとする周速度とする)ことで摩擦帯電を生じさせない構成に限定されない。例えば、摩擦帯電させる部材への接触、及び摩擦帯電させる部材からの退避が可能なリトラクト機構を用いて、摩擦帯電させたくないときに退避させてもよい。この構成の場合、リトラクトさせるのはロール部材に限らず、ブロック状の部材であってもよい。
また、上記の各部材の材料は、既述の材料に限定されるものではない。第1帯電ブラシロール122の表面の材料は、第1ロール114の表面の材料よりも帯電列でプラス側となる材料が用いられる。そして、第1ブラシロール116の表面の材料は、第1ロール114の表面の材料よりも帯電列でマイナス側となる材料が用いられる。
一方、第2帯電ブラシロール142の表面の材料は、第2ロール134の表面の材料よりも帯電列でマイナス側となる材料が用いられる。そして、第2ブラシロール136の表面の材料は、第2ロール134の表面の材料よりも帯電列でプラス側となる材料が用いられる。なお、各材料は、帯電列の中で、より離れている材料の組合せを選択する方が、より静電力が作用する帯電状態となる。また、これらの材料の選択は、第2実施形態のクリーニング装置150においても同様である。
さらに、画像形成装置10において、トナーTの現像極性(現像時の極性)がプラスであってもよい。この場合、第1クリーニング部で現像極性のトナーTPを回収して、下流側の第2クリーニング部で逆極性のトナーTMを回収すればよい。これは、現像極性の転写残トナーの方が、逆極性の転写残トナーよりも多いので、上流側で量の多い方を回収するのが効率的であるためである。
加えて、帯電手段及び逆帯電部材は、接触による摩擦帯電で回収部材を帯電させるものに限らず、非接触状態でコロナ放電により回収部材を帯電させるものであってもよい。
また、第2転移モードは、回収モードの後で、且つ第1転移モードよりも先に実施してもよい。