JP6123326B2 - 粘着シートおよび積層型粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は、粘着シートおよび積層型粘着シートに関する。具体的には、本発明は、基材と、基材の一方の面に設けられた粘着部と、基材の他方の面に設けられた剥離層を有する粘着シートに関する。また、本発明は、該粘着シートを複数枚積層した積層型粘着シートに関する。
従来、物品等を収容した梱包箱やビニール袋等の表面には、内容物表示や警告表示をするために粘着シートが貼り付けられることがあった。このような粘着シートの基材には紙基材が多用されており、紙基材に粘着剤層が塗工され、さらに粘着剤層を覆うように剥離紙が設けられている。このため、粘着シートの使用者は、この剥離紙を剥ぎ取り、粘着剤層を露出させてから、被着物に粘着シートを貼付するという作業を行っていた。
しかし、粘着シートを被着物に貼り付ける度に、剥離紙は廃棄物となり、処分されることとなる。このような廃棄物の処分にはコストがかかり、また環境保全の観点からも好ましくないとされていた。このため、近年は、廃棄される剥離紙を少しでも減らすために、粘着シートを複数枚積層した積層型粘着シートの利用が進められている。このような積層型粘着シートにおいては、紙基材の一方の面に剥離層を設け、他方の面に剥離層から剥離可能な粘着剤層を設けて、剥離層の上に粘着剤層が重なるように積層されている(例えば、特許文献1および2)。
特開2004−70272号公報 特開2012−98638号公報
しかしながら、従来の粘着シートには、剥がれ落ちを防止するために十分な粘着力が付与されており、このような粘着シートを積層型粘着シートとした場合、粘着シートを剥離する際に、大きな剥離力が必要とされる場合があった。このような場合、粘着シートには大きな剥離応力がかかるため、粘着シートにカールが生じたり、場合によっては粘着シートが破損するという問題があった。
また、従来の粘着シートには十分な粘着力が付与されているため、粘着シートを被着物に誤って貼付した場合に、貼付直後であっても粘着シートを剥離することができず、貼り直し作業ができないという問題もあった。このように、粘着シートを誤って被着物に貼付した場合に、粘着シートを被着物から無理やり剥がそうとすると、被着物の表面ごと引き剥がしてしまったり、粘着シートが破損するということが起こる。特に、粘着シートをビニール袋等に誤って貼付した際に引き剥がしに失敗すると、ビニール袋が破れ、使用不可能となってしまうため問題となる。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、十分な粘着力を有しつつも、積層型粘着シートから容易に剥離できる粘着シートを提供することを目的として検討を進めた。さらに、本発明者らは、粘着シートを被着物に誤って貼付した場合であっても、貼付直後であれば貼り直すことが可能な粘着シートを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、基材の各面に粘着部と剥離層を有する粘着シートにおいて、粘着部を基材の面上に間欠的に複数個形成することにより、粘着シートを被着物に貼付した後の経時後の粘着性を良好にする一方で、積層型粘着シートから粘着シートを容易に剥離できることを見出した。
さらに、本発明者らは、粘着シートを被着物に貼付した後、短時間以内であれば、粘着シートを剥離することができ、貼り直し作業を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]基材と、前記基材の一方の面上に設けられた粘着部と、前記基材の他方の面上に設けられた剥離層とを有し、前記粘着部は、前記基材の面上に間欠的に複数個形成されていることを特徴とする粘着シート。
[2]前記粘着部は、前記基材の面上に0.1〜20個/cm2設けられていることを特徴とする[1]に記載の粘着シート。
[3]前記基材の面積に対して、前記粘着部が占める面積の割合は、20〜80%であることを特徴とする[1]または[2]に記載の粘着シート。
[4]前記粘着部は、略円形であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着シート。
[5]前記粘着部は、前記基材の面上に均一なドットパターンとなるように形成されていることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の粘着シート。
[6]前記粘着部は、前記基材の外周領域では高密度のドットパターンとなるように形成され、前記基材の中心領域では、低密度のドットパターンとなるように形成されることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着シート。
[7]前記基材の他方の面は、非積層部を有し、前記非積層部は、前記粘着部が設けられていない非粘着部に対応する領域に設けられていることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の粘着シート。
[8]前記粘着部が設けられている前記基材の面上の少なくとも1つの角にめくり代部が設けられていることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の粘着シート。
[9]前記粘着部は、ホットメルト型粘着剤から構成され、パターン塗布方法により形成されることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の粘着シート。
[10]前記粘着部のJIS Z 0237に基づいて測定される5℃環境下における180°引き剥がし粘着力は、0.5〜10N/10mmであり、傾斜角30°の傾斜式ボールタックが10以下であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の粘着シート。
[11]前記粘着部を構成する粘着剤の温度0〜60℃の範囲、周波数1Hzで測定される貯蔵弾性率は、5×103 〜5×106Paであることを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載の粘着シート。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載の粘着シートが複数枚積層された積層型粘着シート。
[13][1]〜[11]のいずれかに記載の粘着シートがロール状に巻き取られて形成されるシートロール。
本発明によれば、粘着シートを被着物に貼付した際の経時後の粘着力が十分に得られることに加え、積層型粘着シートにおいては、積層された各々の粘着シートの剥離を軽くすることができる。すなわち、本発明では、積層型粘着シートから小さな剥離力で粘着シートを剥離することができるが、その粘着シートを被着物に貼付した後、一定時間経過後は、粘着シートは十分な粘着力を発現することができる。
また、本発明によれば、粘着シートを被着物に貼付した直後であれば、粘着シートを容易に剥がし取ることができる。すなわち、本発明では、粘着シートを貼り間違えた場合であっても、粘着シートを被着物から容易に剥がし取ることができる。これにより、貼り間違えた粘着シートを被着物から剥離しても、被着物の表面や粘着シート自体を破損することがない。また、再度貼付作業を行うことができるため、粘着シートを無駄遣いする心配がない。
図1は、本発明の粘着シートの一例を表す断面図である。 図2は、本発明の粘着シートの平面図である。 図3は、本発明の粘着シートの平面図である。 図4は、本発明の粘着シートの平面図であって、粘着部の他の態様を例示した図である。 図5は、本発明の粘着シートの平面図であって、粘着部と剥離層の他の態様を例示した図である。 図6は、本発明の粘着シートの平面図であって、粘着部の他の態様を例示した図である。 図7は、本発明の積層型粘着シートの斜視図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(粘着シート)
図1は、本発明の粘着シート10の一例を表す概略断面図である。粘着シート10は、基材12と、基材12の一方の面上に設けられた粘着部14と、基材12の他方の面上に設けられた剥離層16を有する。粘着部14は、基材12の面上に間欠的に複数個形成される。ここで、間欠的とは、基材12の一面全体に連続して粘着部14が形成されないことを意味する。すなわち、基材12の上には、粘着性を発揮しない非粘着部が形成され、粘着性を発揮する粘着部14が非連続に、複数個形成されることとなる。
図2は、本発明の粘着シート10の平面図を表している。図2(a)は、粘着シート10を粘着部14側から見た図を示しており、図2(b)は、粘着シート10を剥離層16側から見た図を示している。
図2(a)に示されているように、粘着部14は、基材12の一方の面上に間欠的に設けられており、粘着部14は複数個形成されている。なお、粘着部14が形成されていない部分は、基材12が露出している部分であり、非粘着部となる。このように、粘着部14を基材12上に間欠的に形成し、複数個形成することにより、粘着シート10と被着物の経時後の密着性を保ちつつも、積層型粘着シートにおける粘着シート10の剥離を軽くすることができる。すなわち、本発明では、積層型粘着シートに大きな剥離力をかけることなく、粘着シートを剥がし取ることができる。
また、粘着部14を上記のように設けることにより、粘着シート10を被着物に貼付した直後であれば、粘着シート10を容易に剥がし取ることができる。すなわち、粘着シート10を貼付した直後の初期粘着力を一定以下に抑えることができる。なお、本願明細書において、粘着シート10を被着物に貼付した直後とは、粘着シート10を被着物に貼付してから10〜60秒程度の時間経過時をいう。また、経時後または一定時間経過後とは、粘着シート10を被着物に貼付してから30分〜150時間程度の時間経過後をいう。
図2(b)に示されているように、剥離層16は、基材12の他方の面上に層状となるように積層されることが好ましい。これにより、剥離層16の形成を簡略化することができる。
但し、剥離層16は、粘着シート10を積層した際に、粘着部14が設けられた箇所に対応する部分に剥離層16が設けられていればよい。すなわち、剥離層16は、粘着部14と同様の形状であって、粘着シートを積層した際に粘着部14と重なる位置に設けられてもよい。これにより、剥離層16を形成する領域を狭くすることができ、剥離層を形成するための塗工液の塗布量を減らすことができ、製造コストを抑制することができる。
粘着部14は、基材12の一方の面上に0.1〜20個/cm2設けられていることが好ましい。粘着部14は、0.1個/cm2以上設けられていることが好ましく、1個/cm2以上設けられていることがより好ましく、2個/cm2以上設けられていることがさらに好ましい。また、粘着部14は、20個/cm2以下設けられていることが好ましく、15個/cm2以下設けられていることがより好ましく、10個/cm2以下設けられていることがさらに好ましい。なお、ここでは、1つの粘着部14が一部でも規定範囲内(1cm2)に含まれていれば1個としてカウントする。基材12の一方の面上に設けられる粘着部14の個数を上記範囲内とすることにより、経時後の十分な粘着性と一定条件下における良好な剥離性を両立することができる。
基材12の表面の面積に対して、粘着部14が占める面積の割合は、20〜80%であることが好ましい。粘着部14が占める面積の割合は、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。また、粘着部14が占める面積の割合は、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、60%以下であることがさらに好ましい。粘着部14が占める面積の割合を上記範囲内とすることにより、粘着シート10の経時後の粘着力を強化することができる一方で、積層型粘着シートから粘着シート10を容易に剥がすことができ、また、貼付直後であれば剥離することも可能となる。
図2(a)に示されているように粘着部14の形状は、平面視した際に略円形であることが好ましい。間欠的に設けられた粘着部14は被着物に貼付した際に押圧により、若干押し広げられた状態となる場合がある。この場合、粘着部14の形状が略円形であると、押し広げられた場合であっても、厚みムラができにくく、被着物との密着を良好なものとすることができる。
さらに、粘着部14は、基材12の面上に均一なドットパターンとなるように形成されることが好ましい。図2(a)に示されているように、粘着部14は、規則的な所定パターンで配列するように形成されることが好ましい。このように、粘着部14はドット状または網点状となるように形成される。
粘着部14の形状が略円形である場合、その円形の直径Lは、1〜50mmであることが好ましい。円形の直径は、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることがさらに好ましい。また、円形の直径は50mm以下であることが好ましく、25mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることがさらに好ましい。なお、粘着部14の形状が完全な円形ではない場合は、そのような形状の粘着部14に外接する円の直径を上記範囲内とすることが好ましい。粘着部14の直径を上記範囲内とすることにより、経時後の十分な粘着性と一定条件下における剥離性のバランスを良好なものとすることができる。
粘着部14の中心間の距離dは、2〜80mmであることが好ましい。中心間の距離dは2mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、4mm以上であることがさらに好ましい。また、中心間の距離dは、80mm以下であることが好ましく、75mm以下であることがより好ましく、70mm以下であることがさらに好ましい。中心間の距離は、粘着部14の直径Lに応じて適宜調整されることが好ましく、粘着部14の間に1mm以上の距離を有する隙間が形成されることが好ましい。
また、図2(a)のθで示すように、一つの粘着部14の中心と隣接する2つの粘着部14の中心を結ぶ2本の線によって形成される最小角度は、30〜90°であることが好ましい。このように、粘着部14が格子状に配列されることによって、経時後の十分な粘着性と一定条件下における剥離性のバランスをさらに良好なものとすることができる。
図3は、粘着シート10を粘着部14側から見た図を示している。図3に示されているように、本発明の粘着シート10には、めくり代部18が設けられていることが好ましい。めくり代部18は、基材12の面上の少なくとも1つの角に設けられていることが好ましく、めくり代部18の形状は略三角形であることが好ましい。また、めくり代部18の1つの面積は、10〜700mm2であることが好ましく、20〜500mm2であることがより好ましく、100〜300mm2であることがさらに好ましい。めくり代部18の形状と大きさを上記のようにすることにより、積層型粘着シートから粘着シート10をより簡単に剥離することができる。例えば、めくり代部18を設けることにより、粘着シート10の使用者が手袋または軍手等をはめている場合であっても粘着シート10を容易に剥離することができる。また、めくり代部18を略三角形とし、1つの角に設けることにより、粘着シート10を貼付した被着物が輸送等によって接触した場合であっても、粘着シート10が被着物から剥がれ落ちることを抑制することができる。
めくり代部18は、めくり代部となる領域に粘着剤が塗工されないようにすることによって形成される。また、粘着剤が塗工された上に糊殺し層を設ける方法によっても形成され得る。
本発明で用いる粘着部14は、パターン塗布方法によって形成されることが好ましい。パターン塗布方法においては、所定の凹凸模様を形成したパターンロールの凸部分にホットメルト型粘着剤等の接着剤を供給し、このパターンロールを塗布すべき基材と接触させることにより、所定の形状の粘着部を基材上に形成することができる。この場合、めくり代部18を形成する箇所に、凹形状のパターンロールがくるようにパターンロールを設計することにより、めくり代部18を形成することができる。なお、糊殺し層を形成する方法としては、オフセット印刷、フレキソ印刷等を用いて、粘着層の粘着層を相殺する層を形成する方法を例示することができる。
粘着部14の形状は、略円形であることが好ましいが、様々な形状パターンとすることもできる。例えば、図4(a)に示されているように、イチョウ形としてもよく、図4(b)に示されているように、星形としてもよい。その他にも、多角形柄、絵柄、スパイラル状、波状、ジグザグ状、縞状とすることもできる。
また、粘着部14を形成する粘着剤に色素等を混合することにより、粘着部14を着色することもできる。
粘着部14を着色した絵柄等で形成することにより、幼児等の興味や関心を集めることもできるため、幼児用玩具のシールや幼児用教材のラベルとしても好ましく用いることができる。
図5は、粘着部14と剥離層16の他の態様を表している。図5(a)に示されるように、本発明の粘着シート10は、一定以上の面積を持った非粘着部15を有していてもよい。非粘着部15の面積は、1〜20cm2であることが好ましく、2〜10cm2であることがより好ましい。
非粘着部15には、粘着剤が塗工されない。このため、基材の反対側の剥離層16であって、粘着シート10を積層した際に非粘着部15が重なる部分には、剥離剤を塗工する必要がなくなる。すなわち、基材12において、非粘着部15に対応する領域には、剥離剤が積層されていない非積層部17を設けることができる。図5(b)に示されているように、非積層部17では、基材12が露出することとなる。
通常、剥離剤が設けられた部分においては、筆記性や捺印性が著しく低下する。特に、剥離層の上に水性のインクで筆記をした場合や捺印をした場合、筆記や捺印が全くできないか、またはかろうじて筆記や捺印ができても、その表面を擦ることにより筆記や捺印が脱落する。このため、剥離層を有する粘着シートの表面に、水性ペンなど水性インクによる筆記や捺印をすることは避けられてきた。
しかし、本発明では、基材12の粘着部14側に、非粘着部15を容易に形成することができ、剥離層16側にも非積層部17を設けることができる。非積層部17には剥離剤が積層されておらず、基材12が露出しているため、その部分には極めて良好に筆記および捺印することができる。すなわち、非積層部17は粘着シート10において、筆記部または捺印部になり得る。これにより、粘着シート10の利便性をより高めることができ、特に流通業界等において好ましく用いることができる。
非粘着部15および非積層部17の形状は、円形、楕円形、四角形、三角形等の様々な形状とすることができる。非粘着部15と非積層部17は積層した際に重なるように、同一の形状とすることが好ましい。なお、上述したように、非積層部17に捺印等を行う場合は、非粘着部15および非積層部17の形状は、円形または楕円形であることが好ましい。
図6に示されるように、粘着部14は、基材12の外周領域では高密度のドットパターンとなるように形成され、基材12の中心領域では、低密度のドットパターンとなるように形成されることが好ましい。すなわち、基材12の外周領域には、中心領域よりも高密度となるように粘着部14が形成されることが好ましい。ここで、基材12の外周領域とは、基材の周縁を含み、周縁から一定距離分の幅を持った領域をいう。周縁から一定距離分の幅は、基材12の面積に応じて適宜決定することができるが、例えば、基材12を形成する1つの短辺の長さに対して2〜25%とすることができる。また、中心領域とは、基材12の外周領域を除いた領域であって、基材12の中心を含む領域全体をいう。
基材12の外周領域においては、外周領域の面積に対して粘着部14が占める割合が、40〜90%であることが好ましく、50〜85%であることがより好ましく、60〜80%であることがさらに好ましい。また、中心領域においては、中心領域の面積に対して粘着部14が占める割合が、10〜60%であることが好ましく、15〜50%であることがより好ましく、20〜40%であることがさらに好ましい。
このように、外周領域に粘着部14を高密度となるようなドットパターンで形成し、中心領域に粘着部14を低密度となるようなドットパターンで形成することにより、粘着シート10と被着物の密着性をより高めることができる。外周領域の粘着部14を高密度となるように形成することにより、粘着シート10の端部や角部がめくれるように剥がれてくることを防止することができる。これにより、粘着シート10を貼付した被着物を配送した際などに被着物同士が接触することよる粘着シート10の脱落等を効果的に防止することができる。
なお、外周領域の粘着部14を高密度となるように形成する方法としては、例えば、外周領域に形成する粘着部14の大きさを小さくし、各粘着部14間の距離を小さくする方法が挙げられる。具体的には、外周領域に形成される粘着部14の直径L1を0.5〜6mmとし、各粘着部14間の最短距離d1(中心間の距離)は、1〜5mmとすることが好ましい。また、中心領域の粘着部14を低密度となるように形成するためには、中心領域に形成される粘着部14の直径L2を1〜8mmとし、各粘着部14間の最短距離d2(中心間の距離)は、2〜10mmとすることが好ましい。この場合、L1<L2となり、d1<d2となる。
(基材)
本発明で用いる基材としては、紙、布、セロファン、プラスチックフィルム、金属板、木板、ガラス板等平面性を有する材料を利用することができるが、中でも紙を用いることが好ましい。本発明で用いる紙基材を構成するパルプは紙力、抄紙適性を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF;JIS P−8121)程度であることが好ましい。
パルプ繊維は、木材、その他の植物から機械的又は化学的処理によって取り出したセルロース繊維の集合体である。パルプ繊維としては、通常、上質紙、板紙等の紙の原料に使用されるものを用いることができ、例えば古紙パルプ、化学パルプ、機械パルプ等の各繊維を挙げることができる。
古紙パルプとしては、例えば、段ボール古紙、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。
化学パルプとしては、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等が挙げられる。
機械パルプとしては、例えばストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等が挙げられる。
これらのパルプ繊維の中でも、得られる基材に優れた強度、寸法安定性及び加工適性を併せ持って付与できる観点から、化学パルプが好ましく、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が特に好ましく用いられる。
基材の表面に筆記性および捺印性を付与するために、基材に顔料を配合することが好ましい。顔料としては、軽質炭酸カルシウム、焼成カオリン、ホワイトカーボン、タルク、酸化チタン等が挙げられる。中でも、タルク、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボンを用いることが好ましい。
基材に顔料を配合する場合は、基材中に対する顔料の含有率は、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。顔料の含有率を上記範囲内とすることにより、筆記性および捺印性を良好にすることができる。また、顔料の含有率を上記上限値以下とすることにより、十分な紙力も得ることができる。
助剤としては、例えば、内添サイズ剤(高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等)、定着剤(硫酸バンド、カチオン性高分子電解質等)、紙力増強剤(デンプン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等)、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤、防黴剤等が挙げられる。
また、基材には、表面強度やサイズ性等を調整する目的で、サイズプレスまたはゲートロールによってサイズ処理を施してもよい。
サイズ処理に使用するサイズ処理液としては、例えば、デンプン類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、表面サイズ剤、カチオン樹脂等を溶媒に配合した処理液が挙げられる。表面サイズ剤としては、例えば、スチレン−マレイン酸共重合体、オレフィン系共重合体、アルキルケテンダイマー系化合物、アルケニル無水コハク酸系化合物、スチレン−アクリル系共重合体、高級脂肪酸系化合物、石油樹脂系サイズ剤、ロジン系サイズ剤等を挙げることができる。
サイズ処理液の塗工量は、乾燥質量で0.3〜5.0g/m2であることが好ましく、0.5〜3.0g/m2であることがより好ましい。塗工量が上記下限値以上であれば、サイズ処理の効果が得られ易い。また、塗工量が上記上限値を超えるとサイズ処理の効果は頭打ちになるので、上記上限値以下とすることでコスト面でも有利となる。なお、サイズ処理を両面に施す場合は、サイズ処理液の塗工量は、両面合計で上記範囲内とすることが好ましい。
基材の秤量は40〜210g/m2であることが好ましく、60〜120g/m2であることがより好ましい。秤量を上記下限値以上とすることにより、十分な紙力が得られやすい。また、秤量を上記上限値以下とすることにより、紙厚を薄くすることができる。
紙基材の密度は、0.55〜1.00g/cm3であることが好ましい。密度を上記範囲内とすることにより、十分な紙力を有するとともに、筆記性および捺印性を高めることができる。
基材は、未塗工紙、または片面に塗工層を設けた片面塗工紙であることが好ましい。基材を片面塗工する場合、良好な筆記性および捺印性を得ることができる。この場合、基材は、筆記および捺印をする面とは反対側に塗工層を有することが好ましい。
未塗工紙としては、例えば、上質紙、中質紙、片艶紙等が挙げられる。また、片面塗工紙として一般の印刷用紙、感熱記録紙を用いてもよい。
(粘着部)
粘着部を形成する粘着剤としては、溶剤型粘着剤、エマルション型粘着剤、ホットメルト型粘着剤が挙げられる。中でも、基材中に粘着剤が浸み込みにくく、また、後述するパターン塗布適性が高いという点から、ホットメルト型粘着剤が好ましく用いられる。なお、ホットメルト型粘着剤は、強粘着性を示すため、粘着シートが被着物から剥離することを抑制することができる。
ホットメルト型粘着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン―アクリル酸共重合体、スチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー等の熱可塑性ポリマーが挙げられる。中でも、粘着力の安定性、ブリード、コストの点からスチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー等の熱可塑性ポリマーを用いることが好ましい。
スチレン系ポリマーとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等が挙げられる。
アクリル系ポリマーとしては、特開平11−323072号公報に記載のガラス転移温度が30℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体ブロックの両端にガラス転移温度が110℃以上で且つシンジオタクチシチーが70%以上であるメタクリル酸アルキルエステル系重合体ブロックが結合したトリブロック共重合体と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ジブロック共重合体を含有するブロック共重合体組成物、特開2004−2736号公報に記載のメタクリル酸アルキルエステル系重合体ブロックとアクリル酸アルキルエステル系重合体ブロックよりなる特定のジブロック共重合体と(メタ)アクリル酸エステル系トリブロック共重合体を含有する粘着剤組成物、特開2005−307063号公報に記載の重量平均分子量が12万以上、分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満である(メタ)アクリル酸エステル系トリブロック共重合体と(メタ)アクリル酸エステル系ジブロック共重合体とを含有する粘着剤組成物等が挙げられるが、特に限定されない。
粘着部を形成する粘着剤には、粘着性を向上させる目的で、粘着付与剤が配合されてもよく、装置適合性を考慮して軟化剤が配合されてもよい。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン、エステルガム、エステルガムH、ポリテルペン樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、DCPD系石油樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、およびこれらの水添物等が挙げられる。中でも、ポリテルペン樹脂、C5系石油樹脂の水添物およびC9系石油樹脂の水添物が好ましく用いられる。
軟化剤としては、例えば、各種可塑剤、ポリブテン、液状粘着付与剤樹脂、ポリイソブチレン低重合体、ポリビニルイソブチルエーテル低重合体、ラノリン、解重合ゴム、プロセスオイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、加硫オイル等が挙げられる。
本発明の粘着部のJIS Z 0237に基づいて測定される5℃環境下における180°引き剥がし粘着力は、0.5〜10N/10mmであることが好ましく、1〜7N/10mmであることがより好ましく、2〜5N/10mmであることがさらに好ましい。180°引き剥がし粘着力を上記下限値以上とすることにより、粘着シートを被着物に貼付してから一定の時間が経過した後には十分な粘着性が発現されることとなる。これにより、貼付した粘着シートが被着物から部分的にめくれることや、完全に剥がれ落ちることを防止することができる。ここで、粘着シートを被着物に貼付してから一定の時間とは、30分以上経過した時間をいう。
また、180°引き剥がし粘着力を上記上限値以下とすることにより、積層型粘着シートにおいて積層された各々の粘着シートの剥離が軽くなり、貼付作業をスムーズ取り進めることができる。
また、粘着部の傾斜角30°の傾斜式ボールタックは10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。なお、傾斜式ボールタックは1以上であることが好ましい。傾斜式ボールタックを上記範囲内とすることにより、粘着シートを被着物に貼付してから短時間であれば、粘着シートを容易に剥離することができる。これにより、粘着シートを誤って貼付した場合であっても、貼り直し作業を行うことができる。また、粘着シートを剥離する際に、被着物表面を破損させたり、粘着シート自体が変形したりすることがなくなる。
粘着部を構成する粘着剤の温度0〜60℃の範囲、周波数1Hzで測定される貯蔵弾性率は、5×103〜5×106Paであることが好ましく、1×104〜5×105Paであることがより好ましい。貯蔵弾性率は、周波数1Hz、0〜60℃の範囲内であれば、どの温度条件で測定した場合でも粘着剤の貯蔵弾性率が上記範囲内であることが好ましい。貯蔵弾性率が上記下限値以上であれば、積層型粘着シートから各々の粘着シートを剥離することが容易になる。また、貯蔵弾性率が上記上限値以下であれば、十分な粘着力が得られ、被着物から粘着シートが剥離することを防ぐことができる。
また、周波数1Hz、0〜60℃という広い温度範囲における貯蔵弾性率を上記範囲内とすることで、粘着シートや積層型粘着シートは温度環境の影響を受けることなく、その性能を発揮することができる。すなわち、本発明の粘着シートは、あらゆる環境下において、積層型粘着シートから容易に剥離することができ、被着物に貼付後は、強い粘着力を維持することができる。例えば、積層型粘着シートを夏場に倉庫等で使用した場合であっても、粘着シートの剥離性が悪化することはない。一方、粘着シートを貼付した被着物を冬場に輸送した場合であっても、粘着シートが被着物から剥がれ落ちることがない。
本発明に用いる粘着剤としては、一般に強粘性と呼ばれている粘着剤を用いることが好ましい。強粘性以外の中粘性、弱粘性といった粘着剤を用いると貼付した粘着シートが輸送中に落下する等の不具合を生じることがある。強粘性の粘着剤とは、全面均一に粘着剤層と設けた粘着シートにおいて、粘着部のJIS Z 0237に基づいて測定される23℃、50%RH環境下における180°引き剥がし粘着力は、3N/10mm以上であることが好ましく、5N/10mm以上であることがより好ましく、7N/10mm以上であることがさらに好ましい。180°引き剥がし粘着力を上記下限値以上とすることにより、粘着シートを被着物に貼付してから一定の時間が経過した後には十分な粘着性が発現されることとなる。これにより、貼付した粘着シートが被着物から部分的にめくれることや、完全に剥がれ落ちることを防止することができる。ここで、粘着シートを被着物に貼付してから一定の時間とは、30分以上経過した時間をいう。
(剥離層)
剥離層を形成する剥離剤としては、シリコーン系剥離剤を好ましく用いることができる。シリコーン系剥離剤としては、例えば、熱硬化型剥離剤(付加反応型シリコーン系剥離剤、縮合反応型シリコーン系剥離剤等)、電子線硬化型シリコーン系剥離剤、紫外線硬化型シリコーン系剥離剤(ラジカル重合型シリコーン系剥離剤、カチオン重合型シリコーン系剥離剤、メルカプト−ビニル付加重合型シリコーン系剥離剤等)等が挙げられる。中でも、硬化速度が速く、紙基材に浸み込みにくいため、電子線硬化型シリコーン系剥離剤または紫外線硬化型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。なお、これらの剥離剤は、粘着シートを積層して積層型粘着シートとした際に粘着シートの剥離を軽くするという利点も有する。また、設備投資を少なくする観点から、紫外線硬化型シリコーン系剥離剤またはカチオン重合型シリコーン系剥離剤も好ましく用いられる。
剥離剤には、必要に応じて、他の紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、光重合開始剤、架橋剤、染料、顔料、湿潤剤、消泡剤、分散剤、帯電防止剤、レベリング剤、潤滑剤等の各種助剤を配合してもよい。
積層された粘着シートの各々のシートの剥離を軽くする観点から、剥離層の表面の平滑度は、10秒以上であることが好ましく、30秒以上であることがより好ましい。また、剥離層を設けた部分にも筆記をする場合には、平滑度は200秒以下であることが好ましく、150秒以下であることがより好ましい。なお、平滑度は、「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法 No.5−2に基づく王研式平滑度」に準じて求めることができる。
(粘着シートの製造方法)
<基材の製造方法>
基材として紙基材を用いる場合、紙基材は、長網抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機、ツインワイヤーフォーマー、傾斜ワイヤーフォーマー等の公知の抄紙機を使用した抄紙により得ることができる。なお、紙基材はカレンダー処理等の公知の処理を施したものであってもよい。
<粘着部の製造方法>
本発明の粘着シートにおいては、粘着部は、パターン塗布方法によって形成されることが好ましい。パターン塗布方法とは、粘着剤を基材の上に間欠的かつ、様々な形状となるように塗布することができる塗工方法である。パターン塗布方法においては、所定の凹凸模様を形成したパターンロールの凸部分にホットメルト型粘着剤等の接着剤を供給し、このパターンロールを塗布すべき基材と接触させる。これにより、所定の形状の粘着部を基材上に形成することができる。
パターン塗布方法では、パターンロールに凹凸模様を厳密に形成し、凸部に供給する粘着剤の供給量を制御することにより、所望の場所に、粘着剤を正確に塗工することができる。パターン塗布方法としては、例えば、2本のロール間のギャップを利用する方法、ダイヘッドを利用する方法、グラビアヘッドを利用する方法、フレキソヘッドを利用する方法などを好ましい方法として挙げることができる。パターン塗布方法を用いることにより、基材上の所望の位置に粘着剤をパターンに従って塗布することができる。パターン塗布方法を用いることにより、従来の連続式の塗布方法では不可能であったコの字状の粘着部や、ドット状(海島状、逆海島状)など更に複雑な形状の粘着部を精度よく形成することができる。また、パターン塗布方法では、ホットメルト型粘着剤の供給量についても厳密にコントロールすることができ、ホットメルト型粘着剤の供給量のコントロールの方法は、公知の方法を利用することができる。
パターンロールは、シリコーン樹脂版等の凸版を利用することが好ましい。このようなパターン塗工法の具体的例として、サンツール社製のデザインコートを挙げることができる。
本発明の粘着シートにおいては、粘着部は、パターン塗布方法以外に基材全面に粘着部を設けた後、糊殺し印刷を行い形成することもできる。基材全面に粘着部を設ける方法として、コンマコーター、バーコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、ダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、バリオグラビアコーター、カーテンコーター等を用いることが好ましい。糊殺し、印刷する方法としては、オフセット印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷(凸版印刷)を挙げることができる。
1つの粘着部を形成する粘着剤の塗工厚さは、3〜50μmであることが好ましく、 5〜30μmであることがより好ましい。
塗工量を上記範囲内とすることにより、適切な範囲に塗工することができ、十分な粘着性を得ることができる。
<剥離層の製造方法>
剥離層を形成する剥離剤の塗工方法は、特に限定されず、例えば、バーコータ―、多段ロールコーター、エアーナイフコーター、ダイレクトグラビアコータ―、オフセットグラビアコーター等を使用する方法が挙げられる。また、フレキソ印刷法を用いることも好ましい。剥離剤を硬化させる装置としては、熱風ドライヤー、遠赤外線ドライヤー、紫外線照射装置、電子線照射装置等が挙げられる。
剥離層を形成する剥離剤の塗工量は、乾燥質量で、0.2〜2.0g/m2であることが好ましく、0.5〜1.5g/m2であることがより好ましい。塗工量を上記範囲内とすることにより、適切な範囲に塗工することができ、粘着シートを積層した際の剥離力を適切な範囲とすることができる。
(積層型粘着シート)
図7は、本発明の積層型粘着シート100の斜視図である。図7に示されているように、本発明の積層型粘着シート100は、粘着シート10が複数枚積層された積層体である。積層型粘着シート100の最下層には剥離紙20が設けられていることが好ましい。これにより、積層型粘着シート100の最下層において、粘着部14が露出することを防ぐことができる。各々の粘着シート10は、粘着部14が剥離紙20側にくるように積層される。
上述したように基材12は、一方の面に粘着部14を有し、他方の面に剥離層16を有する。このため、積層型粘着シート100においては、粘着部14は剥離層16の上に隣接するように積層される。これにより、粘着部14は、剥離層16の上に積層されることとなり、積層型粘着シート100から粘着シート10を1枚ずつ剥離することができる。
(シートロール)
本発明の粘着シートは、ロール状に巻き取られ形成されるシートロールとしてもよい。シートロールは、粘着部が内側または外側となるように巻き取られたものであるが、ロールの最外層に粘着部が露出しないように、粘着部が内側となるように巻き取られることが好ましい。このように、ロール状に巻き取られたシートロールにおいては、剥離層の上に粘着部が積層されることとなる。このように、粘着部は剥離層の上に積層されるため、ロール状に巻き取った場合であっても、基材の上に粘着剤が付着することがない。
シートロールを巻き戻す際の剥離力は、JIS Z 0237に基づいて測定される23℃、50%RHの環境下、剥離速度0.3m/分において1〜100N/mであることが好ましく、2〜50N/mであることが特に好ましい。0.3m/分での剥離力が1N/m未満では粘着シートロールが横ズレを起こすことがあり、一方、100N/mを超えると貼付作業に過度の力を要することとなり、好ましくない。また、粘着シートにかかる変形エネルギーが高くなって剥離跡を生じやすくなる危険性もある。本発明では、剥離力を上記範囲内とすることにより、層間の剥離不良や、意図しない粘着剤の剥げ残り等を防ぐことができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、本実施例中の「%」は、特に断わらない限り質量%を示す。また、「部」は質量部を示す。
[実施例1]
(紙基材の製造)
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)をフリーネス430mL(CSF)になるまで叩解し、濃度0.5%のパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー中に、パルプ絶乾質量に対し、カチオン化澱粉2.0%、アルキルケテンダイマー0.4%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7%、顔料としてタルクを添加して、十分に撹拌して分散させた。なお、タルクの添加量はでき上がった紙基材に対して2%となるようにした。次に、酸化澱粉(商品名「エースA」、王子コーンスターチ社製)に水を加えて加熱溶解し、濃度を5%に調整してサイズプレス液とした。前記パルプスラリーを抄紙機で抄紙して原紙を得た後、該抄紙機に付帯されたサイズプレスにて、前記サイズプレス液によって原紙の両面にサイズ処理を行い、紙基材を得た。サイズプレス液の紙基材への吸収量は、両面合計で50mL/m2であった。最後に抄紙機エンドのマシンカレンダーにてカレンダー処理を行い、坪量100g/m2、密度0.85g/cm3、ステキヒトサイズ度35秒の紙基材を得た。また、得られた紙基材について、JIS P 8121で規定されるカナディアンスタンダードフリーネス(ろ水度;CSF)に基づく、離解後のフリーネスを測定したところ、350mLであった。
(積層型粘着シートの製造)
得られた紙基材の片面上に、TOKA社製アミンレスUVインキ(商品名:NVR)を用いて絵および文字柄を印刷し、さらにこの上にフレキソ印刷機にて紙基材全面に、ポリオルガノシロキサン(商品名「シリコリースPOLY201」、ローディア社製)100部にオニウム塩系光開始剤(商品名「シリコリースCATA211」、ローディア社製)5部を混合して得た剥離剤塗料を塗工し、高圧水銀紫外線照射装置にて紫外線照射量140mJ/cm2の条件で硬化して剥離層を設けた。この剥離層を形成する剥離剤の塗工量は、固形分質量で1g/m2であった。
次に、スチレン成分10%、イソプレン成分90%、分子量Mw=5×104、分散度(Mw/Mn)=1.02のSISを20部、スチレン成分30%、イソプレン成分70%、重量平均分子量Mw=5×105、分散度(Mw/Mn)=1.05のSISを20部、ロジンエステル(荒川化学社製「エステルガム105」)を40部、パラフィン系オイル(米国シェル・ケミカル・カンパニー社製「シェルフレックス371N」)を20部、パラフィンワックス(日本精蝋社製「155F」)を5部、酸化防止剤(住友化学社製「スミライザーGM」)を1部を配合し、150℃の加温化で攪拌混合し、ホットメルト型粘着剤を得た。
得られたホットメルト型粘着剤を凸版印刷法にてパターンコート(サンツール社製デザインコート使用)することにより、図2(a)のパターン形状(粘着部14の1つの形状は直径(L)5mmの円形ドットであり、ドットは角度(θ)60°の格子状に配置され、各ドット間距離dは7mmである)、各粘着部14の糊厚20μmとなるように糊面を形成し縦8cm×横12cmの長方形の粘着シートを50枚得た。各々の粘着剤層と剥離層が接触するように得られた粘着シート50枚を積層することで積層型粘着シートを得た。
[実施例2]
紙基材として王子製紙製片面塗工紙(商品名:OKトップコート+、坪量84.9g/m2原紙)を用い、TOKA社製アミンレスUVインキ(商品名:NVR)を用いて該紙基材の塗工面に絵柄および/または文字柄を印刷し、更にその上に実施例1と同様にして剥離層を設けて基材を得た。次に実施例1で得たホットメルト型粘着剤を凸版印刷法にてパターンコート(サンツール社製デザインコート使用)することにより、図3(a)のパターン形状(縦8cm×横12cmの粘着シート中の粘着部14の1つの形状は直径(L)3mmの円形ドットであり、ドットは角度(θ)60°の格子状に配置され、各ドット間距離dは4mmであり、更に1つの角に2つの辺の長さが各10mmの直角二等辺三角形の粘着剤の無いめくり代部が配置される)、各粘着部14の糊厚20μmとなるように糊面を形成し縦8cm×横12cmの長方形の粘着シートを50枚得た。各々の粘着剤層と剥離層が接触するように得られた粘着シート50枚を積層することで積層型粘着シートを得た。
[実施例3]
紙基材として王子製紙製片面塗工紙(商品名:OKトップコート+、坪量84.9g/m2原紙)を用い、TOKA社製アミンレスUVインキ(商品名:NVR)を用いて該紙基材の塗工面に絵柄および/または文字柄を印刷し、更にその上に実施例1と同様にして剥離層を設けて基材を得た。次にホットメルト型粘着剤としてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)である商品名「TN−530Z」(モレスコ社製)を凸版印刷法にてパターンコート(サンツール社製デザインコート使用)することにより、図4(a)のパターン形状(縦8cm×横12cmの粘着シート中の粘着部14の1つの形状の外接円の直径(L)は一辺の長さが3mm、中心角60°の扇形形状のドットであり、ドットは角度(θ)60°の格子状に配置され、各ドット間距離dは6mmであり、更に1つの角に2つの辺の長さが各10mmの直角二等辺三角形の粘着剤の無いめくり代部が配置される)、各粘着部14の糊厚20μmとなるように糊面を形成し縦8cm×横12cmの長方形の粘着シートを50枚得た。各々の粘着剤層と剥離層が接触するように得られた粘着シート50枚を積層することで積層型粘着シートを得た。
[実施例4]
実施例1で得た紙基材を用い、TOKA社製アミンレスUVインキ(商品名:NVR)を用いて該紙基材の塗工面に絵柄および/または文字柄を印刷し、更にその上に実施例1と同様にして剥離層を設けて基材を得た。次に実施例3と同じホットメルト型粘着剤を凸版印刷法にてパターンコート(サンツール社製デザインコート使用)することにより、図4(b)のパターン形状(縦8cm×横12cmの粘着シート中の粘着部14の1つの形状は20mm2の星形のドットであり、ドットは角度(θ)45°に近い略格子状に配置され、各ドット間距離dは8mmであり、更に1つの角に2つの辺の長さが各10mmの直角二等辺三角形の粘着剤の無いめくり代部が配置される)、各粘着部14の糊厚12μmとなるように糊面を形成し縦8cm×横12cmの長方形の粘着シートを50枚得た。各々の粘着剤層と剥離層が接触するように得られた粘着シート50枚を積層することで積層型粘着シートを得た。
[実施例5]
図5(a)のパターン形状(縦8cm×横12cmの粘着シート中の粘着部14の1つの形状は直径(L)3mmの円形ドットであり、ドットは角度(θ)60°の格子状に配置され、各ドット間距離dは4mmであり、更に1つの角に2つの辺の長さが各10mmの直角二等辺三角形の粘着剤の無いめくり代部および図5(a)の位置15に長辺40mm、短辺20mmの粘着剤の無い非粘着部(楕円形部分)15が形成される)、各粘着部14の糊厚30μmとなるように糊面を形成し、かつ図5(b)の図柄(図5(a)の粘着剤の無い部分15に対応するように剥離層の無い部分を長辺36mm、短辺16mmの楕円形に配置)のように剥離層の無い部分を設ける以外、実施例1と同様にして、積層型粘着シートを得た。
[実施例6]
図6のパターン形状(粘着シート周辺部に設ける粘着部14は、直径(L1)2mmの円形ドットを角度(θ)90°の格子状に各ドット間距離d1が3mmで4重になるように配置し、内側は直径(L2)4mmの円形ドットを角度(θ)60°の格子状に各ドット間距離d2が8mmになるように配置し、更に1つの角に2つの辺の長さが各10mmの直角二等辺三角形の粘着剤の無いめくり代部が配置される)に粘着部を形成する以外、実施例2と同様にして積層型粘着シートを得た。
[比較例1]
めくり代部(1つの角に2つの辺の長さが各10mmの直角二等辺三角形の粘着剤の無い部分)以外の全面に粘着部(粘着層)を設けた以外は、実施例2と同様にして積層型粘着シートを得た。
[比較例2]
めくり代部(1つの角に2つの辺の長さが各10mmの直角二等辺三角形の粘着剤の無い部分)以外の全面に粘着部(粘着層)を設けた以外は、実施例4と同様にして積層型粘着シートを得た。
(評価)
<粘着力の測定>
実施例および比較例の粘着シートを、被着体であるSUS304鋼板に圧着し、30分間放置した後に、引張り試験機(オリエンテック株式会社製、RTC−1210)にて0.3m/分の剥離速度で180°引き剥がし粘着力(剥離抵抗)を測定した。なお、測定は、JIS Z 0237の測定方法に準拠して行った。なお、低温環境下(5℃)で行う以外は、常態粘着力の測定方法と同様にして測定した。
<ボールタックの測定>
実施例および比較例の粘着シートを、粘着部が上になるようにしてJIS Z 0237に準拠した治具に取り付けた。粘着部の傾斜角が30°となるように傾斜させ、1/32〜1インチの鉄球を転がし、粘着シートの粘着部表面で停止する最大サイズの鉄球を記録し、傾斜角30°の傾斜式ボールタックを求めた。
<動的粘弾性(貯蔵弾性率)の測定>
レオロジカ社製の動的粘弾性測定装置(DAR−2000)を用いて、厚さ500μm、直径2cmの円板状の粘着剤フィルムサンプルを使用し、直径2cmのパラレル型プレートにより、オシレーション歪み制御モード、周波数1Hz、歪み0.1%の条件で、温度0℃、30℃および60℃における粘着剤の貯蔵弾性率を測定した(昇温速度:2℃/分)。
<短期引き剥がし性評価>
実施例および比較例の粘着シートをポリエチレン製のゴミ袋に貼付した後、粘着シートを60秒以内にゴミ袋から引き剥がし、以下の基準で短期引き剥がし性を評価した。
○:良好。ゴミ袋および粘着シート基材に破れ等の損傷がない。
×:不良。ゴミ袋および粘着シート基材に破れ等の破損がある。
<積層型粘着シートの剥離性評価>
実施例および比較例の粘着シートを積層した積層型粘着シートを、23℃50%RH環境下に1週間放置した後、1枚ずつ粘着シートを手で剥離することにより、剥離性(めくり性)を評価した。
○:良好。剥離する際に手に大きな抵抗を感じることなく粘着シートをめくることができる。
×:不良。剥離する際に手に大きな抵抗を感じ、粘着シートがめくりにくい。
<輸送テスト>
得られた粘着シートをKライナーからなるダンボールに10枚貼付し、東京都江東区の王子ホールディングス(株)東雲研究センターから愛媛県四国中央市の新タック化成(株)川之江工場間に宅急便を送り、到着後の粘着シートの脱落を調べた。
○:粘着シートの脱落は発生しなかった。
△:1〜2枚の粘着シートの脱落が発生した。
×:3枚以上の粘着シートの脱落が発生した。
以上の、評価結果を表1にまとめた。なお、表1において、粘着部の裏面に占める割合(%)は、めくり代部の面積を除いた裏面(基材)の面積に対して、粘着部の面積の合計が占める割合を表している。
Figure 0006123326
実施例1〜6では、粘着部が基材の面上に間欠的に複数個形成されているため、粘着部が基材の全面に形成された比較例1および2と比較して、粘着力およびボールタックが小さく抑えられていることがわかる。実施例1〜6では、粘着力が弱くなっているにも関わらず、貯蔵弾性率は比較例と比べても極端に低下しておらず、粘着シートの粘着性が十分に発揮されている。
また、実施例1〜6では、短期引き剥がし性能が良好であることがわかる。一方、比較例1および2では、粘着剤が基材の全面に塗工されているため、短期引き剥がし性能が極めて悪く、被着物に損傷を与えてしまうため、貼り直しをすることができない。
なお、実施例3および4と比較して、実施例1および2、5および6では輸送テストの結果が良好であり、粘着部を円形とすることにより、長期保管後の粘着性がより高められていることがわかる。
本発明によれば、粘着シートの経時後の粘着力を十分に得ることができる一方で、積層型粘着シートにおいては、積層された各々の粘着シートの剥離を軽くすることができる。また、本発明によれば、粘着シートを被着物に貼付した直後であれば、粘着シートを容易に剥がし取ることができる。このため、本発明は物流分野等において利便性が高く、産業上の利用可能性が高い。
10 粘着シート
12 基材
14 粘着部
15 非粘着部
16 剥離層
17 非積層部
18 めくり代部
20 剥離紙
100 積層型粘着シート

Claims (8)

  1. 基材と、前記基材の一方の面上に設けられた粘着部と、前記基材の他方の面上に設けられた剥離層とを有し、
    前記粘着部は、前記基材の面上に0.1〜20個/cm 2 となるように間欠的に複数個形成されており、
    前記基材の面積に対して、前記粘着部が占める面積の割合は、20〜80%であり、
    前記粘着部は、略円形であり、前記基材の面上に均一なドットパターンとなるように形成されており、
    前記粘着部は、ホットメルト型粘着剤から構成されたものであり、
    前記粘着部のJIS Z 0237に基づいて測定される5℃環境下における180°引き剥がし粘着力は、0.5〜10N/10mmであり、傾斜角30°の傾斜式ボールタックが10以下であり、
    前記粘着部を構成する粘着剤の温度0〜60℃の範囲、周波数1Hzで測定される貯蔵弾性率は、5×10 3 〜5×10 6 Paであることを特徴とする粘着シート。
  2. 前記粘着部は、前記基材の外周領域では高密度のドットパターンとなるように形成され、前記基材の中心領域では、低密度のドットパターンとなるように形成されることを特徴とする請求項に記載の粘着シート。
  3. 前記基材の他方の面は、非積層部を有し、
    前記非積層部は、前記粘着部が設けられていない非粘着部に対応する領域に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シート。
  4. 前記粘着部が設けられている前記基材の面上の少なくとも1つの角にめくり代部が設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シート。
  5. 前記粘着部の直径は、3mm以上10mm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着シート。
  6. 前記粘着部の中心間の距離dは、2mm以上80mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着シート。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シートが複数枚積層された積層型粘着シート。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シートがロール状に巻き取られて形成されるシートロール。
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