JP6122731B2 - ロボットアームの配線構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ロボットアームにおける線条体(ケーブルや配管)の配線構造に関するものである。
従来から、パラレルリンク機構を用いた産業用ロボット(以下、ロボットと略す)が知られている。このロボットは、支持基盤であるベース部と、エンドエフェクタが備えられるヘッド部と、ベース部とヘッド部とを各々繋ぐ複数のアームとを備え、ベース部に搭載されるモータによって各アームが個別にかつ連携して駆動されることで、ヘッドの位置や姿勢を変化させる。ヘッドには、電動モータやエアシリンダ等のアクチュエータで作動するエンドエフェクタが搭載され、各種作業がこのエンドエフェクタにより実行される。
この種のロボットでは、エンドエフェクタ駆動用の電力やエア等を供給するためのケーブルや配管は、各アームと干渉しない範囲で余裕を持って空中配線されるか、若しくは各アームに沿って配索され、結束バンド等の固定手段により当該アームに固定される場合が多い。最近では、例えば特許文献1に開示されるように、中空のロッドによりアームを構成し、このロッド自体をエア配管として利用したものも提案されている。
特開2009−248288号公報
パラレルリンク機構を用いた上記ロボットは、パック詰め食品の仕分けなど、食料品関係の用途に用いられることが少なく無い。そのため、衛生面等の理由から、アームを中空のロッドで構成し、ロッドの内部にケーブル等を配索することで、ケーブル等の露出を抑えることが考えられる。例えば特許文献1のように、上記アームが、モータで直接駆動される第1アームと、この第1アームに自在軸継手を介して揺動可能に連結される第2アームとから構成されるロボットでは、第1アーム側から第2アームに配索されるケーブル等を、自在軸継手の側面から第2アームの内部にほぼL字に屈曲させた状態で導入し、当該第2アーム内を経由してエンドエフェクタ側に配索することが考えられる。
しかし、このような配線構造の場合には、第1アームと第2アームとの間でケーブル等の長さに十分な余裕があったとしても、ケーブル等は、径寸法の小さい第2アームの内部ではその挿通の方向を変えるような動きに対する自由度がほとんど無い状態でL字に屈曲させられているので、自身が有する復元力によって第2アームへの導入口縁部(すなわち、第1アーム側の縁部)にケーブル等が強く押し付けられることになる。そして、このような状態で第1アームと第2アームとがその相対角度を変える動きを繰り返すことでケーブル等が損傷を受けることが考えられる。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、ロボットアームを構成するアーム部材の内部に配索される線条体(ケーブルや配管)がその導入部分などで自身が有する復元力によって損傷を受けることを防止しつつ、線条体をアーム部材の内部に配索することができる技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一の局面に係るロボットアームの配線構造は、筒状のロッドと当該ロッドの一端部に固定される第1継手部材と前記ロッドの他端部に固定される第2継手部材とを備え、かつ、前記第1継手部材を介して第1相手側部材に揺動可能に連結されるとともに、前記第2継手部材を介して第2相手側部材に揺動可能に連結されるアーム部材と、前記第1継手部材から前記アーム部材内に挿入され、前記第2継手部材から導出される線条体と、前記アーム部材に挿入される前記線条体を保護する保護部材と、を含み、前記第1及び第2継手部材は、前記ロッドをその軸方向に受け入れる筒状部と、この筒状部の側面に形成される開口部を有しかつ当該筒状部に受け入れられた前記ロッドの端部に通じる通路とを有し、前記線条体は、前記開口部から屈曲した状態で前記通路を通じて前記アーム部材に挿入されており、前記保護部材は、少なくとも前記線条体の屈曲部分の外側に位置するように、前記開口部に設けられているものである。
この配線構造によれば、上記保護部材が、少なくとも線条体の屈曲部分の外側に位置するように開口部に設けられているため、線条体自身が有する復元力を効果的に緩衝することができる。そのため、開口部の縁部に線条体が押し付けられて損傷を受けることが有効に防止される。
この配線構造において、前記保護部材は、少なくとも前記開口部の縁部において前記線条体を包囲しているのが好適である。
この配線構造によれば、線条体が自身の有する復元力によって開口部の縁部に押し付けられることが防止される。
この場合、前記保護部材は、前記線条体の屈曲部分の外側に位置する部分の肉厚であって前記筒状部の軸方向の肉厚が、当該軸方向と直交する方向の肉厚よりも大きいのが好適である。
この配索構造によれば、線条体が相手側部材側以外の方向に引っ張られた場合についても、線条体が開口部の縁部に押し付けられることを防止しつつ、自身の復元力も効果的に緩衝することができる。
また、前記開口部は、前記筒状部の軸方向に細長い長孔であり、前記保護部材は、前記開口部の長径方向の肉厚が短径方向の肉厚に比べて大きいのが好適である。
この配線構造によれば、保護部材のうち、特に、線条体自身が有する復元力によって当接する部分の耐久性が向上する。そのため、保護部材全体が大型化することを抑制しつつ、線条体が自身が有する復元力によって開口部の縁部に押し付けられることを長期的に防止することが可能となる。
なお、この配線構造において、前記線条体は、前記屈曲部分の角度が鈍角であるのが好適である。換言すれば、前記保護部材は、前記線条体が通る挿通孔を有し、前記挿通孔は、その中心軸が前記筒状部の中心軸に対して鈍角に交わるように形成されているのが好適である。
この配線構造によれば、屈曲部分における線条体自身が有する復元力を軽減することが可能となる。そのため、径が大きく、自身の復元力も大きい線条体をアーム部材に配索する上で有利となる。
なお、上記の配線構造においては、さらに、前記線条体と前記保護部材との間に介在して前記線条体を覆う、可撓性を有する保護管を備えるのが好適である。
この構成によれば、保護部材および保護管により二重に線条体が保護されることとなるため、線条体が開口部の縁部に押し付けられて損傷を受けることがより確実に防止される。
なお、上記の配線構造は、アーム部材が中空かつ軸状のものであれば、その断面形状に拘わらず適用が可能であるが、アーム部材への緩衝材や線条体の組み付け作業性を向上させる上では、前記アーム部材の内周面は、前記アーム部材の軸方向に対する垂直方向の断面形状が円形であるのが好適である。
また、前記アーム部材は、互いに平行となるように一対配置されている。このように、例えば、所謂パラレルリンク機構を用いたロボットのように、径寸法の小さいアームであっても、その内部に線条体を配索することができる。
以上説明した本発明によれば、ロボットアームを構成するアーム部材の内部に配索される線条体(ケーブルや配管)がその導入部分などで自身が有する復元力によって損傷を受けることを防止しつつ、線条体をアーム部材の内部に配索することができる。
本発明が適用された産業用ロボット(パラレルリンク機構を用いた産業用ロボット)を示す斜視図である。 産業用ロボットの平面図である。 産業用ロボットのうち、ヘッド部を示す側面図である。 第2アームを示す平面図(部分断面図)である。 第2アームを構成するアーム部材の端部を示す図4の要部拡大図である。 アーム部材の端部を示す斜視図である。 アーム部材(変形例)の端部を示す断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
図1及び図2は、本発明に係る産業用ロボットを示しており、図1は斜視図で、図2は平面図で各々産業用ロボットを示している。
同図に示す産業用ロボット(以下、単にロボットと称す)は、パラレルリンク機構を用いたロボットである。当例のロボットは、その用途として物品の選別に用いられている。すなわち、ロボットは、例えば天井に垂下姿勢で固定されて、又は櫓状に構成された図外のフレーム部材に垂下姿勢で固定されて、当該ロボットの下方に配置されるベルトコンベア等の搬送手段によって搬送される物品を吸着し、移動させることにより選別する。
上記ロボットは、天井やフレーム部材に固定される支持基盤であるベース部1と、このベース部1の下方に位置するヘッド部2と、ベース部1とヘッド部2とを連結する各々屈曲可能な3本のアーム3とを備えており、各アーム3が個別に、かつ連携して駆動されることによりヘッド部2の位置や姿勢を変化させる。なお、ヘッド部2には、エンドエフェクタとして、物品を負圧吸着するための広口のノズル部材16が備えられている。
上記ベース部1は、同図に示すように、ベース本体5と、このベース本体5に各々搭載されて、上記アーム6をそれぞれ駆動する3つのアーム駆動モータ6とを備えている。
ベース本体5は、周方向に等間隔(120°間隔)で並ぶ3つのモータ固定部5aを有する。これらモータ固定部5aには、各々前記アーム駆動モータ6が横向きに、つまり、出力軸が水平方向に延びる姿勢で固定されており、前記アーム3がこれらアーム駆動モータ6の出力軸に各々連結されている。
各アーム3は、アーム駆動モータ6の出力軸に固定されて水平軸回りに駆動される第1アーム10と、この第1アーム10の先端部と前記ヘッド部2とに亘って連結される第2アーム12(本発明のロボットアームに相当する)とを含む。
第2アーム12は、互いに平行に延びる一対のアーム部材13と、これらアーム部材13をそれらの軸方向の所定位置で互いに連結する連結部材14とを含む。第2アーム12は、後に詳述するように、第1アーム10及びヘッド部2に対して揺動自在に連結されている。なお、当例では、第1アーム10が本発明の第1相手側部材に相当し、ヘッド部2が本発明の第2相手側部材に相当する。
前記ヘッド部2は、図3に示すように、第2アーム12が連結されるブラケット15と、このブラケット15の中心にベアリング等を介して回転自在に保持される前記ノズル部材16と、このノズル部材16を回転駆動するノズル駆動モータ18とを含む。ノズル部材16は、ブラケット15ら下側に突出しており、ノズル駆動モータ18は、ノズル部材16の真上に配置された状態で前記ブラケット15に固定されている。
次に、上記第2アーム12の具体的な構成と、当該第2アーム12と第1アーム10及びヘッド部2との連結構造について説明する。
第2アーム12は、上記の通り、互いに平行に延びる一対のアーム部材13と、これらアーム部材13を連結する連結部材14とを含む。
図3〜図5に示すように、アーム部材13は中空かつ軸状である。詳しくは、アーム部材13は、軽量かつ高強度を有する炭素繊維強化プラスチック等から形成される円筒状のロッド20と、このロッド20の両端に各々固定されるエンドキャップ22とを含む。
エンドキャップ22は、ほぼ軸状であり、一端側(図5では左端側)に、ロッド20の端部を受け入れる筒状部23を備え、他端側に、後述するボールスタッド46と協働して球継手(ボールジョイント)を構成する、カップ型のソケット部24を備えている。なお、当例では、ロッド両側のエンドキャップ22のうち、第1アーム10に連結される側が本発明の第1継手部材に相当し、ヘッド部2に連結される側が本発明の第2継手部材に相当する。
前記筒状部23は、反ソケット部側に向かって開口する大径部26aと、これよりも内径が小さい小径部26bとが軸方向に並んだ段付穴25を有している。そして、前記段付穴25にロッド20の一端が圧入された状態、詳しくは、大径部26aと小径部26bとの境に形成される段差部分にロッド20の端部が突き当たるようにロッド20が段付穴25に圧入された状態で、ロッド20とエンドキャップ22とが互いに接着されている。これにより、ロッド20の両端にエンドキャップ22が固定されている。
前記ソケット部24には、ボールスタッド46の球頭部46aを受けるアダプタ30が設けられている。このアダプタ30には、球頭部46aが摺接する、断面半円形の摺接凹部30aが形成されており、アダプタ30は、この摺接凹部30aがエンドキャップ22(アーム部材13)の軸方向と直交する方向を向くようにソケット部24に設けられている。
なお、アーム部材13の各エンドキャップ22は、摺接凹部30aが互いに同じ方向を向くように周方向に位置決めされた状態で各々ロッド20に固定されている。そして、ソケット部24の摺接凹部30a同士が内側を向く状態で、第2アーム12の各アーム部材13が連結部材14を介して互いに連結されている。当例では、図1及び図3に示すように、各アーム部材13は、各エンドキャップ22の位置で連結部材14により互いに連結されている。
前記連結部材14は、エンドキャップ22に軸支される2つ一組の連結片40(図5では省略)と、各アーム部材13の連結片40に亘って掛け渡される引張りコイルばね等のばね部材(図示省略)と、このばね部材を覆うカバー部材42とを備えている。
一方、第2アーム12が連結される第1アーム10およびヘッド部2には、各々アーム部材13の上記ソケット部24(エンドキャップ22)と協働して球継手(ボールジョイント)を構成するボールスタッド46が組み付けられている。
詳しく説明すると、図3に示すように、ヘッド部2のブラケット15には、その周方向における各第1アーム10に対応する位置に、各々第2アーム12の連結部44が設けられている。これら連結部44は、対応する第1アーム10の回転軸(アーム駆動モータ6の出力軸)と平行な方向に延びる軸状を成しており、その両端部には、球頭部46aが互いに反対側を向く状態で各々ボールスタッド46が固定されている。同様に、各第1アーム10の先端部であって当該第1アーム10の幅方向両側(アーム駆動モータ6の出力軸と平行な方向における両側)には、図2に示すように、球頭部46aが互いに反対側を向く状態で各々ボールスタッド46が固定されている。
そして、図4に示すように、第2アーム12の上端部において、各アーム部材13のソケット部24(摺接凹部30a)が第1アーム10の各ボールスタッド46の球頭部46aに対して外側(第1アーム10の幅方向外側)から被せられる一方、第2アーム12の下端部において、各アーム部材13のソケット部24(摺接凹部30a)がブラケット15(連結部44)の各ボールスタッド46の球頭部46aに対して外側(連結部44の軸方向外側)から各々被せられることで、第2アーム12が第1アーム10およびヘッド部2に対して揺動可能に連結されている。
なお、第2アーム12の各アーム部材13は、前記連結部材14のばね部材の弾発力により互いに接近する方向に付勢されており、これにより、ボールスタッド46の球頭部46aにソケット部24の摺接凹部30aを摺接させた状態で、第1アーム10およびヘッド部2に対するヘッド部2の連結状態が維持されるようになっている。
次に、このロボットにおけるケーブル等の配線構造について説明する。
図1に示すように、上記ロボットの3つのアーム3のうち、一つには、ヘッド部2に搭載されるノズル部材16に負圧を供給するための配管と、ノズル駆動モータ18を駆動制御するためのケーブル(電力線及び信号線)とを含む線条体8が配線(配索)されている。
この線条体8は、概略的には、ベース本体5から第1アーム10の内部および第2アーム12の内部を経由してヘッド部2に配線されている。詳しくは、線条体8は、第1アーム10の基端部からその内部に導入され、当該第1アーム10の先端から導出されている。そして、若干の遊び(弛み)が設けられた状態で、第2アーム12の一対のアーム部材13のうち、片側のアーム部材13の上端部からその内部に導入され、このアーム部材13を軸方向に貫通して当該アーム部材13の下端部から導出され、若干の遊び(弛み)が設けられた状態でヘッド部2に配線されている。
なお、アーム部材13の端部には、上述した通り、第1アーム10及びヘッド部2のボールスタッド46を受けるソケット部24が設けられており、従って、線条体8は、このソケット部24を避けてアーム部材13を貫通するように配線されている。
具体的には、図4及び図5に示すように、第2アーム12の一対のアーム部材13のうち、線条体8が配線されるアーム部材13のエンドキャップ22の筒状部23の側面には、前記段付穴25の小径部26bに通じる開口部27が形成されている。この開口部27は、エンドキャップ22の長手方向に適度に細長い楕円形であり、筒状部23の側面のうち、摺接凹部30a側とは反対側の位置に形成されている。これにより、段付穴25の小径部26bと開口部27とにより、エンドキャップ22の側面から直角に屈曲してロッド20の端部に通じる、配線用の通路が形成されている。
そして、線条体8が、第1アーム10側のエンドキャップ22の開口部27からほぼ直角に屈曲する状態でアーム部材13に挿入され、前記ロッド20を貫通してほぼ直角に屈曲する状態で、ヘッド部2側のエンドキャップ22の開口部27から導出されている。これにより、線条体8が、両端のソケット部24を避けた状態でアーム部材13を貫通している。
前記アーム部材13の内部には、ロッド20の内周面と線条体8との間に介在して、ロッド20の径方向における当該線条体8の変位を規制する、弾性材料からなる緩衝材28が配設されている。当例において、緩衝材28は、発砲ポリエチレンなどの発砲樹脂から形成されている。緩衝材28は、アーム部材13のほぼ全域、具体的にはロッド20の長手方向の全域に亘って連続的に線条体8を包囲する筒状を成しており、当例では、発泡樹脂から形成された帯状体が線条体8に縦添え巻きされることにより、緩衝材28が筒状を成している。このような構成により、アーム3の作動中に、ロッド20の内面に線条体8が衝突して異音が発生することが有効に防止されるようになっている。
図5及び図6に示すように、前記アーム部材13の各エンドキャップ22の開口部27には、ゴム製のグロメット50が装着されており、線条体8は、このグロメット50の挿通孔52を通じてアーム部材13に配線されている。このように開口部27において線条体8がグロメット50で包囲されていることにより、線条体8が開口部27の縁部に接触して損傷を受けることが防止されるようになっている。
前記グロメット50は、エンドキャップ22の前記開口部27に挿入される固定部54と、エンドキャップ22の外側で線条体8を保持する保持部55とを有している。固定部54及び保持部55は、共にエンドキャップ22(アーム部材13)の軸方向に細長い楕円形の輪郭を有しており、これら固定部54及び保持部55の中心に断面がほぼ真円形の前記挿通孔52が形成されている。つまり、グロメット50は、開口部27の長径方向における肉厚が短径方向における肉厚に比べて大きく形成されている。
また、グロメット50の保持部55のうち、その先端部分(反固定部54側の部分)は楕円錐状に形成されている。これにより、開口部27の縁部と接触することによる損傷から線条体8を保護する一方で、第1アーム10に対する第2アーム12の揺動に追従して線条体8がグロメット50の部分で比較的容易に屈曲し得るようになっている。
線条体8のうち、アーム3から外部に露出する部分、すなわち、第1アーム10と第2アーム12との間の部分、および第2アーム12とヘッド部2との間の部分は、図5及び図9に示すように、可撓性を有するビニール製、具体的にはシリコン製のチューブ9(本発明の保護管に相当する)に挿入されている。当該チューブ9の端部は、線条体8と共にグロメット50を通じてアーム部材13内に挿入されており、これにより、エンドキャップ22の前記開口部27の位置において、線条体8がチューブ9およびグロメット50により二重に保護されている。
なお、図5及び図6中において、符号29は、連結部材14の前記連結片40を軸支するための軸部材が挿着される貫通孔であり、エンドキャップ22をその軸方向と直交するように貫通している。
以上説明した上記ロボットによれば、ノズル部材16に負圧を供給するための配管や、ノズル駆動モータ18を駆動制御するためのケーブルを含む線条体8の大部分がアーム3内に配線されている。そのため、ロボット稼働中に、アーム3の外側で線条体8が振り回されることがなく、衛生面等で有利である。よって、食品関係の用途にも好適に用いることができる。
しかも、線条体8は、エンドキャップ22の装着されたグロメット50を介してアーム部材13の内部に配索されているので、アーム3の揺動に伴い、線条体8が開口部27の縁部に押し付けられて損傷を受けることが有効に防止される。より具体的には、上記のように、ソケット部24を避けてエンドキャップ22の側面からアーム部材13内に線条体8が配線される構造では、例えば図4中の実線矢印に示す方向に第2アーム12が揺動すると、第1アーム10と第2アーム12との間で線条体8の長さに十分な余裕があったとしても、線条体8は、径寸法の小さいアーム部材13(第2アーム12)の内部ではその挿通の方向を変えるような動きに対する自由度がほとんど無い状態でL字に屈曲させられているので、自身が有する復元力によって上側のエンドキャップ22の開口部27の縁部(第1アーム10側の縁部)に線条体8が強く押し付けられる。そのため、グロメット50が設けられていない場合には、開口部27に挿通された線条体8が、当該開口部27のソケット部24側(第1アーム10側)の縁部に強く押し付けられて損傷を受けることが考えられる。同様に、図4中の破線矢印に示す方向に第2アーム12が揺動すると、アーム部材13の下側のエンドキャップ22の開口部27に挿通された線条体8が自身の復元力によって当該開口部27のソケット部24側(ヘッド部2)の縁部に強く押し付けられて損傷を受けることが考えられる。しかし、上記実施形態のロボットによれば、エンドキャップ22に装着されたグロメット50を介して線条体8がアーム部材13の内部に配索されているので、このような不都合が効果的に防止される。
特に、グロメット50は、上記の通り、エンドキャップ22の軸方向に細長い楕円形に形成されている。すなわち、開口部27の長径方向における肉厚が短径方向における肉厚に比べて大きく形成されているので、上記のように線条体8が自身の復元力によって当接する部分の耐久性が高い。従って、グロメット50全体が大型化することを抑制しつつ、線条体8が自身の復元力によって開口部27の縁部に押し付けられることを長期的に防止することができるという利点もある。しかも、上記実施形態によれば、エンドキャップ22の開口部27が楕円形に形成される一方で、グロメット50の固定部54も断面楕円形に形成されているので、アーム作動中に、グロメット50が回転して意図せぬ方向に向くことを防止できるという利点もある。
また、線条体8は、可撓性を有するビニール製のチューブ9に挿入され、このチューブ9と共にグロメット50に挿入されることにより、グロメット50及びチューブ9により二重に保護されている。従って、線条体8が開口部27の縁部に押し付けられて損傷を受けることが、より高度に防止されるという利点もある。
ところで、以上説明したロボットは、本発明にかかるロボットアームの配線構造が適用された産業用ロボットの好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、グロメット50の挿通孔52は、その中心軸がエンドキャップ22(筒状部23)の中心軸に対して直交する、すなわち、図5に示すように、開口部27からロッド20に配索される線条体8の屈曲部分の角度がほぼ直角となるように設けられているが、例えば、グロメット50の挿通孔52は、図7に示すように、その中心軸Oがエンドキャップ22(筒状部23)の中心軸Oに対して鈍角に交わる、すなわち、上記屈曲部分の角度が鈍角となるように設けられていてもよい。このようは構成によれば、屈曲部分における線条体8の曲げ応力を軽減することができるので、例えば、配管やケーブルの数が多く線条体8の径が大きいような場合には有利となる。
なお、図5や図7の例では、本発明の保護部材として、線条体8の全周を包囲するもの(グロメット50)を設けているが、ソケット部24を避けてエンドキャップ22の側面からアーム部材13内に線条体8が配線される構造において特に防止すべきことは、上記のように、線条体8が自身の復元力によって開口部27の縁部に押し付けられることである。従って、保護部材は、必ずしも線条体8を包囲している必要はなく、少なくとも線条体8の屈曲部分の外側、つまり、開口部27を基準とするとソケット部24側に位置するように設けられていればよい。また、保護部材(グロメット50)は、ゴム製に限らず樹脂製であってもよい。
また、上記実施形態では、本発明にかかる産業用ロボットを物品の選別に用いた例について説明したが、当該ロボットの用途は物品の選別に限らず、種々の用途に適用可能である。
1 ベース部
2 ヘッド部
3 アーム
10 第1アーム
12 第2アーム
13 アーム部材
20 ロッド本体
22 エンドキャップ
27 開口部
50 グロメット
52 挿通孔

Claims (9)

  1. 筒状のロッドと当該ロッドの一端部に固定される第1継手部材と前記ロッドの他端部に固定される第2継手部材とを備え、かつ、前記第1継手部材を介して第1相手側部材に揺動可能に連結されるとともに、前記第2継手部材を介して第2相手側部材に揺動可能に連結されるアーム部材と、
    前記第1継手部材から前記アーム部材内に挿入され、前記第2継手部材から導出される線条体と、
    前記アーム部材に挿入される前記線条体を保護する保護部材と、を含み、
    前記第1及び第2継手部材は、前記ロッドをその軸方向に受け入れる筒状部と、この筒状部の側面に形成される開口部を有しかつ当該筒状部に受け入れられた前記ロッドの端部に通じる通路とを有し、
    前記線条体は、前記開口部から屈曲した状態で前記通路を通じて前記アーム部材に挿入されており、
    前記保護部材は、少なくとも前記線条体の屈曲部分の外側に位置するように、前記開口部に設けられていることを特徴とするロボットアームの配線構造。
  2. 請求項1に記載のロボットアームの配線構造において、
    前記保護部材は、少なくとも前記開口部の縁部において前記線条体を包囲していることを特徴とするロボットアームの配線構造。
  3. 請求項2に記載のロボットアームの配線構造において、
    前記保護部材は、前記線条体の屈曲部分の外側に位置する部分の肉厚であって前記筒状部の軸方向の肉厚が、当該軸方向と直交する方向の肉厚よりも大きいことを特徴とするロボットアームの配線構造。
  4. 請求項3に記載のロボットアームの配線構造において、
    前記開口部は、前記筒状部の軸方向に細長い長孔であり、
    前記保護部材は、前記開口部の長径方向の肉厚が短径方向の肉厚に比べて大きいことを特徴とするロボットアームの配線構造。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載のロボットアームの配線構造において、
    前記線条体は、前記屈曲部分の角度が鈍角であることを特徴とするロボットアームの配線構造。
  6. 請求項1乃至4の何れか一項に記載のロボットアームの配線構造において、
    前記保護部材は、前記線条体が通る挿通孔を有し、
    前記挿通孔は、その中心軸が前記筒状部の中心軸に対して鈍角に交わるように形成されていることを特徴とするロボットアームの配線構造。
  7. 請求項1乃至5の何れか一項に記載のロボットアームの配線構造において、
    前記線条体と前記保護部材との間に介在して前記線条体を覆う、可撓性を有する保護管を有することを特徴とするロボットアームの配線構造。
  8. 請求項1乃至6の何れか一項に記載のロボットアームの配線構造において、
    前記アーム部材の内周面は、前記アーム部材の軸方向に対する垂直方向の断面形状が円形であることを特徴とするロボットアームの配線構造。
  9. 請求項1乃至7の何れか一項に記載のロボットアームの配線構造において、
    前記アーム部材は、互いに平行となるように一対配置されていることを特徴とするロボットアームの配線構造。
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