JP3929383B2 - 産業用ロボットのカメラ及び力センサケーブル処理構造 - Google Patents

産業用ロボットのカメラ及び力センサケーブル処理構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業用のロボットとカメラ用あるいは力センサを含むロボットシステムにおけるカメラ用あるいは力センサ用のケーブル配線処理構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ロボットの知能化の為、視覚センサや力センサをロボットに搭載するケースが増加している。ロボットに視覚センサや力センサを搭載する場合、視覚センサを制御するカメラ用ケーブルや力センサを制御する力センサ用ケーブルをロボットに擬装する必要がある。例えば、特許文献1には、ロボットに搭載された内視鏡(カメラ)用のケーブルの配線の様子が示されている。
【0003】
最近の傾向として、視覚センサにデジタルカメラが使用されることが多くなっている。従って、カメラ用ケーブルには、画像信号・カメラ制御信号置を伝送するツイストペア信号ケーブルとカメラ電源用ケーブルが含まれるケースが一般的となっている。また、力センサ用ケーブルは、一般に、力センサ内の歪ゲージの検出信号を伝送するツイストペア信号ケーブルと力センサ用電源ケーブルを含んでいる。
【0004】
そして、カメラの画像信号や力センサの歪ゲージ検出信号が外部からのノイズの影響を受けないよう、また、外部へノイズが流出しないように、これらのケーブル全体をシールド部材及びシースで覆うケーブル構造が広く採用されている。その為、可動範囲の大きい手首軸を有する前腕部においては、ケーブルの寿命の問題から、前腕外側においてケーブルをハンガで吊るすなど、外部の支持部材でケーブルを支持して取り回す形態がとられている。
【0005】
図1は、この様子を例示した図で、符号1で表わしたロボットの手首近傍にハンド5と並んでカメラあるいは力センサC/Sが取り付けられている。カメラあるいは力センサC/Sに接続されるケーブルを含む諸ケーブルの束は、ロボット1のベース2に設けられたコネクタ付の分線盤3からロボット機構部の内部に通され、前腕4の手前でロボット機構部の外部に引き出されている。なお、以下の説明においては、これら諸ケーブルを符号CBを付して「制御ケーブルCB」の呼称で代表させることにする。
【0006】
ロボット本体の外部に引き出された制御ケーブルCBは、前腕4の近くに装着したハンガ9で吊した状態で手首先端まで取り回し、前腕4の外側を通ってカメラあるいは力センサC/Sまで到達させている。
【0007】
【特許文献1】
特開20001−145634号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来のケーブル配線処理構造では、ロボットの手首先端近傍に装着されたカメラのためのカメラ用ケーブル又は力センサのための力センサ用ケーブルは、前腕の手前まではロボットアームに内蔵されているが、前腕部から手首先端まではロボットアームの外側に装着されたハンガなどで吊るされた状態で手首先端まで取り回されていた。
【0009】
そのため、ロボットシステムの実使用時には、この外部に露出した部分のケーブルが周辺機器と干渉を起こし易く、信頼性の点で問題となるケースが多々あった。本発明は、このような問題を回避することができるように改良されたロボットシステムにおけるカメラ用ケーブル及び力センサ用ケーブルの配線処理構造を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水平多関節型ロボット又は垂直多関節型ロボットと前記ロボットの手首先端近傍に取り付けられたカメラ又は力センサとを含むロボットシステムにおいて、前記カメラ又は力センサに繋がるケーブルの配線処理構造を改良し、ロボットの前腕内部を無理なく通せるようにすることで、上記課題を解決するものである。
【0011】
具体的に言えば、ロボットシステムがロボットの手首先端近傍に取り付けられたカメラを含む場合には、カメラケーブルとして画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブル及びカメラ用電源ケーブルを含むものを用いる。そして、カメラケーブルを、ロボットを駆動するモータのための制御用ケーブル、及び/又は、ロボットに取付けられるハンドのための制御用ケーブルと共にロボットの前腕の内部を通すように配線する。
【0012】
ここで、これらケーブルをロボットの前腕の内部を通すにあたって、(1)画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブル及びカメラ用電源ケーブルについては、ロボットの前腕の内部において、個別にシールド部材で覆われた状態とする一方、(2)それら以外のケーブルについては、シールド部材で覆われた状態で、略円形断面を持つケーブル保護チューブに挿通させる。そして、更に、(3)このケーブル保護チューブの外周部に対して、シールド部材で覆われた画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブル及びカメラ用電源ケーブルを螺旋状に取回すようにする。
【0013】
また、画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブル及びカメラ用電源ケーブルをロボットの前腕の内部を通すにあたって、上記(1)〜(3)に代えて、(4)画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブルのみをシールド部材で覆われた状態とし、且つ、(5)ロボットの前腕内部を通された画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブル以外のケーブルについては、ロボットの前腕の内部において、略円形断面を持つケーブル保護チューブに挿通させる。そして、更に、(6)シールド部材で覆われた画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブルを、ケーブル保護チューブの外周部に対して螺旋状に取回すようにする。
【0014】
次に、ロボットシステムがロボットの手首先端近傍に取り付けられた力センサを含む場合には、力センサケーブルとして、力センサ内の歪ゲージの検出データ伝送用ツイストペア信号ケーブル、及び、力センサ用電源ケーブルを含むものを用いる。そして、力センサケーブルを、ロボットを駆動するモータのための制御用ケーブル、及び/又は、ロボットに取付けられるハンドのための制御用ケーブルと共にロボットの前腕の内部を通すように配線する。
【0015】
ここで、これらケーブルをロボットの前腕の内部を通すにあたって、(7)検出データ伝送用信号用ツイストペア信号ケーブル及び力センサ用電源ケーブルについては、ロボットの前腕の内部において、個別にシールド部材で覆われた状態とする一方、(8)それら以外のケーブルについては、シールド部材で覆われた状態で、略円形断面を持つケーブル保護チューブに挿通させる。そして、更に、(9)このケーブル保護チューブの外周部に対して、シールド部材で覆われた検出データ伝送用信号用ツイストペア信号ケーブル及び力センサ用電源ケーブルを螺旋状に取回すようにする。
【0016】
また、検出データ伝送用ツイストペア信号ケーブル及び力センサ用電源ケーブルをロボットの前腕の内部を通すにあたって、上記(7)〜(9)に代えて、(10)検出データ伝送用信号用ツイストペア信号ケーブルのみをシールド部材で覆われた状態とし、且つ、(11)ロボットの前腕内部を通された検出データ伝送用信号用ツイストペア信号ケーブル以外のケーブルについては、ロボットの前腕の内部において、略円形断面を持つケーブル保護チューブに挿通させる。そして、更に、(12)シールド部材で覆われた検出データ伝送用信号用ツイストペア信号ケーブルを、ケーブル保護チューブの外周部に対して螺旋状に取回すようにする。
【0017】
なお、上記各ケースにおいて、カメラケーブルあるいは力センサケーブルを、ロボットの前腕の後部の回転軸中心付近から同前腕の内部に通し、同前腕の前部片側側面より外部に引出すようにしても良い。
【0018】
このように、本発明においては、カメラケーブル又は力センサケーブルと他のケーブルとともにロボットの前腕の内部を通すにあたって、カメラ用あるいは力センサ用のケーブルに含まれる画像信号・カメラ制御信号用又は検出信号伝送用のツイストペア信号ケーブルと、カメラ用又は力センサ用の電源ケーブルを個別にシールド部材で覆うか、あるいは、画像信号・カメラ制御信号用又は検出信号伝送用のツイストペア信号ケーブルのみをシールド部材で覆う。
【0019】
そのために、一般には、複合ケーブルを構成しているカメラ用ケーブルあるいは力センサ用ケーブルのシースとシールド(複合ケーブルのシールド)を取除き、その上で画像信号・カメラ制御信号用又は検出信号伝送用のツイストペア信号ケーブルと電源ケーブルの両者を個別にシールド部材で覆うか、あるいは、前者のみをシールド部材で覆う。
【0020】
これにより、ロボットの前腕内における各ケーブルの自由度を大きくすることが可能になるので、ロボットの前腕の回転運動によってカメラ用又は力センサ用のケーブルに曲げやネジリの力が繰り返し作用しても、それによるケーブル寿命の短縮はゆるやかなものとなる。
【0021】
また、前腕内部を通されたツイストペア信号ケーブル及び電源ケーブル以外のケーブル(場合によっては、ツイストペア信号ケーブル以外のケーブル)については、略円形断面を持つケーブル保護チューブに通すことで、ツイストペア信号ケーブル及び電源ケーブル(場合によっては、前者のみ)のシールド部材により、それら他のケーブルが傷つけられることも防止される。
【0022】
なお、ケーブル保護チューブを複数本用意し、ツイストペア信号ケーブル及び電源ケーブル以外のケーブルをこれら複数本のケーブル保護チューブに通すようにしても良い。
【0023】
また更に、ツイストペア信号ケーブル及び電源ケーブル(場合によっては、ツイストペア信号ケーブルのみ)は、ケーブル保護チューブの外周部を通すため、ケーブルの寿命確保の観点から、少なくとも上腕回転時にツイストペア信号ケーブル及び電源ケーブル(場合によっては、ツイストペア信号ケーブルのみ)がケーブル保護チューブの外周部に螺旋状に巻付くようにすることで、ケーブル長の内外周差を吸収することができる。
【0024】
本発明によれば、これらの工夫により、カメラ用又は力センサ用のツイストペア信号ケーブルと電源ケーブルを含むカメラ用又は力センサ用ケーブルをロボットの前腕の内部に通しても、急激な寿命短縮などの支障がないようにすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態は一応、ロボットの手首付近にカメラ(デジタルカメラ)が取り付けられ、使用されるケーブルはカメラ用ケーブルであるケースを中心に説明するが、カメラを力センサに、カメラ用ケーブルを力センサケーブルに置き換えることが可能なので、適宜括弧書きでロボットの手首付近に力センサが取り付けられ、使用されるケーブルが力センサ用ケーブルであるケースについても書き添えることにする。
【0026】
図2は、本発明を適用して、カメラ用ケーブル(又は力センサ用ケーブル)が前腕に内蔵されるロボットを含むロボットシステムの全体構成を示した図である。同図に示したように、ロボット(機構部)10の手首先端付近には、視覚センサ用のカメラ(又は力センサ)C/S及びハンド5が搭載されており、このカメラ(又は力センサ)C/S及びハンド5は、エンドエフェクタ制御部30に制御ケーブルCBで接続されている。
【0027】
カメラが使用される場合、エンドエフェクタ制御部30に、カメラとともに視覚センサを構成するための画像処理装置が含まれる。また、力センサが使用される場合には、エンドエフェクタ制御部30に、歪ゲージの出力を例えば6軸力に変換する装置等が含まれる。
【0028】
ロボット(機構部)10の各軸のモータの駆動制御は、ロボット制御部20で行なわれる。そのためのケーブルは、前述したように、制御ケーブルCBに含まれている。なお、エンドエフェクタ制御部30は、ロボット制御部20の中に組み込まれる場合もある。産業用ロボットでは、これらのケーブルはロボット周辺の機器との干渉を避ける為に、ロボットのアームと一体的に構成されている方が望ましい。
【0029】
次に、図3以下を参照図に加えて、本実施形態におけるケーブルの処理構造について説明する。先ず図3は、実施形態で採用されるケーブルのルーティングの概略を正面図(a)及び右側面図(b)で示したものである。図4は、図3に示したケーブルのルーティングについて、前腕付近におけるケーブル取回しの様子を示す拡大図である。図5は、図3に示したケーブルのルーティングについて、やや詳しく示した図で、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【0030】
これらの図を参照すると、カメラ用ケーブル及びハンド用制御ケーブル及びサーボモータ用制御ケーブルは、制御装置(図2におけるロボット制御部20あるいはエンドエフェクタ制御部30)からロボット本体ベース2の後方のコネクタ付の分線盤3を介し、ロボット機構部10内に引き込まれる。
【0031】
カメラに代えて力センサがロボットが取り付けられる場合には、力センサ用ケーブル及びハンド用制御ケーブルが、制御装置(図2におけるロボット制御部20あるいはエンドエフェクタ制御部30)からロボット本体ベース2の後方のコネクタ付の分線盤3を介し、ロボット機構部10内に引き込まれる。前述したように、これらケーブルはまとめて制御ケーブルCB(破線及び実線)で代表描示されている。制御ケーブルCBには、ハンドあるいはモータでそれぞれ必要とされる入出力信号の伝送線、電力供給線、エア供給配管等が含まれている。
【0032】
ロボット機構部10内に引き込まれた制御ケーブルCBは、旋回胴11の中心の中空部を通され、サーボモータ制御ケーブルから一部分岐したケーブルは、第1軸駆動モータ及び第2軸駆動モータに接続される(詳細は図示省略)。
【0033】
残りのケーブルは、上腕12に沿ってロボットアームに内蔵され、前腕13まで導かれる。
【0034】
前腕13まで導かれて以降については、ケーブル取回しの様子を示す拡大図4(a)、(b)及びやや詳細を示した図5(a)、(b)を特に参照する。前腕13まで導かれた制御ケーブルCBは、サーボモータ制御ケーブルから一部分岐したケーブルが、それぞれギア付の第3軸駆動モータ(J3モータ)及び第4軸駆動モータ(J4モータ)へ接続され、残りのケーブルは前腕内部に通される。符号41は、前腕手前に設けられたクランプ部材で、ここからJ3モータ及びJ4モータのための制御ケーブルが分岐している。
【0035】
前腕13の内部を通されたカメラ用あるいは力センサ用ケーブルは、前腕回転動作時に前腕回転軸近傍で繰り返し曲げ・ネジリの作用を受ける為、従来構造のままでは寿命短縮が激しく、実際の使用上大きな支障を来す。
【0036】
即ち、従来構造のカメラ用あるいは力センサ用ケーブルは、図6(a)に示したような複合ケーブルを形成し、画像信号・カメラ制御信号用又は検出信号伝送用ツイストペア信号ケーブル61(信号線61a及び61bで構成)と、カメラ用又は力センサ用電源ケーブル62(給電線62a及び62bで構成)をまとめてシールド70で覆い、その外側を更にシース60で覆ったものとなっているため、径が太く剛性も大きくなってしまう。従って、このままで前腕内に通すと、曲げやネジリの作用に対して弱くなることが避け難い。
【0037】
そこで、本実施形態では、画像信号・カメラ制御信号用又は検出信号伝送用ツイストペア信号ケーブル61(61a、61b)とカメラ用又は力センサ用電源ケーブル62(62a、62b)を個別にシールド81及び81で覆う構造とした。そのために、少なくとも前腕内通過区間の大部分においては、シース60とシールド70は除去され、その上でツイストペア信号ケーブル61と電源ケーブル62の両者を個別にシールド部材81、82で覆った構造となっている。
【0038】
このようにすれば、各々シールド部材81、82を含む各ケーブルの剛性を低下させ、曲げやネジリに対する柔軟性を持たせることが出来る。但し、ツイストペア信号ケーブル61及び電源ケーブル62のシールド部材81、82がむき出しとなることで、他のケーブルを傷付ける可能性が生じる。
【0039】
そこで、本実施形態では、図6(b)に示したように、シールド部材81、82で覆われたツイストペア信号ケーブル61及び電源ケーブル62以外のケーブル(モータのための制御用ケーブル及びハンドのための制御用ケーブルの少なくとも一方を含む)については、略円形断面を持つケーブル保護チューブ91に挿通してツイストペア信号ケーブル61及び電源ケーブル62のシールド部材81、82と区分けし、シールド部材81、82が他のケーブルと接触しないようにすることで、損傷を防止している。ケーブル保護チューブ91には、テフロン(登録商標)製のチューブなど線材との滑り摩擦が小さい材料からなるものを用いることが好ましい。
【0040】
更に、ツイストペア信号ケーブル61及び電源ケーブル62は、図7に示したように、夫々シールド部材81、82で覆われた状態で、ケーブル保護チューブ91の外周部に螺旋状に取回しされ、前腕13の回転動作時にねじりを吸収できるように処理されている。
【0041】
更に、場合によっては、画像信号・カメラ制御信号用又は検出信号伝送用ツイストペア信号ケーブル61(61a、61b)とカメラ用又は力センサ用電源ケーブル62(62a、62b)の内、前者のみをシールド81で覆う構造を採用しても良い。この場合、少なくとも前腕内通過区間の大部分において、シース60とシールド70は除去され、その上でツイストペア信号ケーブル61のみをシールド部材81、82で覆った構造とする。
【0042】
そして、シールド部材81で覆われたツイストペア信号ケーブル61以外のケーブル(モータのための制御用ケーブル及びハンドのための制御用ケーブルの少なくとも一方の他に電源ケーブル62を含む)については、略円形断面を持つケーブル保護チューブ92に挿通してツイストペア信号ケーブル61のシールド部材81と区分けし、シールド部材81が他のケーブルと接触しないようにする。これにより、シールド部材81が他のケーブルを傷つけることが防止される。
【0043】
そして、ツイストペア信号ケーブル61は、図8に示したように、シールド部材81で覆われた状態で、ケーブル保護チューブ92の外周部に螺旋状に取回しされ、前腕13の回転動作時にねじりを吸収できるように処理される。なお、この場合のケーブル保護チューブ92についても、テフロン(登録商標)製のチューブなど線材との滑り摩擦が小さい材料からなるものを用いることが好ましい。
【0044】
また、前腕13の手前まで導かれた該制御ケーブルCBからは、サーボモータ制御ケーブルが、第5軸モータ及び第6軸モータへの接続のために引き出され、残りのカメラ又は力センサ用とハンド用制御ケーブルが前腕13の前部の片側側面から前腕13の外に引き出され、更に、前腕13の側面に沿って配線され、ある余長を持たせた状態で、エンドエフェクタ取付面44まで導かれる。
【0045】
制御ケーブルCBは、手首揺動動作時に曲げを受ける為、必要な余長を持たせる必要があるが、力センサを搭載したロボットの場合には、通常、水平面より下側に向かって作業することが多く、手首揺動動作の範囲は130度程度に制限可能である。従って、この部分の力センサ用ケーブルは、シース及びシールドを取除く必要はなく、前腕13に沿った状態で取回わすことが可能である。
【0046】
エンドエフェクタ取付面44まで導かれた制御ケーブルは、カメラ又は力センサC/SとハンドHをオフセットして取付ける為に設けられた部材の空間を利用して、制御ケーブルを周回させた状態で収められ、最終的にエンドエフェクタ取付面44に取り付けられたカメラ又はセンサC/Sに接続される。
【0047】
なお、力センサが搭載されたロボットは、ワーク上部から様々な角度にワークの位相を回転させ、位相を合わせる嵌合動作を含む作業に用いられることが多いので、±180度以上の動作範囲が望まれる。また、カメラを搭載した場合も、動作範囲が望ましいことは同様である。
【0048】
本発明の実施例においては、カメラ又は力センサC/SとハンドHをエンドエフェクタ取付面44に対し、オフセットして取付ける為の空間を有効に利用しており、特別なケーブル処理の専用の空間をエンドエフェクタ取付面44の周辺に用意することを不要としている。そのため、エンドエフェクタ周辺部をコンパクトにまとめることが可能となっている。
【0049】
以上実施形態を用いて説明したように、本発明を適用したロボットシステムでは、ケーブルの取り回しのために周囲へ出張る部分を作らずに、カメラ又は力センサまでカメラ用又は力センサ用ケーブルを取り回すことが可能になる。その結果、ロボットの前腕周辺における周辺機器との干渉の問題が解消する。
【0050】
【発明の効果】
本発明により、カメラ用ケーブル又は力センサ用ケーブルをロボットの前腕内を支障なく通すことが出来るため、同前腕の周辺部分における周辺機器との干渉の問題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術におけるカメラ用あるいは力センサ用のケーブルの配線処理構造について説明する図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明を適用して、カメラ用ケーブル(又は力センサ用ケーブル)が前腕に内蔵されるロボットを含むロボットシステムの全体構成を示した図である。
【図3】本発明の実施形態で採用されるケーブルのルーティングの概略を、正面図(a)、右側面図(b)で示したものである。
【図4】図3に示したケーブルのルーティングについて、前腕部におけるケーブル取回しの様子を拡大して示した正面図(a)及び右側面図(b)である。
【図5】図3に示したケーブルのルーティングについて説明する図で、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図6】本発明で使用されるカメラ用又は力センサ用ケーブルの構成を示したもので、(a)はシールド及びシース内にある状態を示す断面図、(b)はツイストペア信号ケーブルと電源ケーブルを個別にシールドで覆った状態を示す断面図である。
【図7】ツイストペア信号ケーブルと電源ケーブルを個別にシールドで覆った状態でケーブル保護チューブの外周部に対して螺旋状に取り回すことについて説明する図である。
【図8】ツイストペア信号ケーブルのみをシールドで覆った状態でケーブル保護チューブの外周部に対して螺旋状に取り回すことについて説明する図である。
【符号の説明】
1 ロボット
2 ロボット本体のベース
3 コネクタ付の分線盤
4、13 前腕
5 ハンド
9 ハンガ
10 ロボット機構部
11 旋回胴
12 上腕
13 前腕
20 ロボット制御部
30 エンドエフェクタ制御部
41、42、43 クランプ部材
44 エンドエフェクタ取付面
60 シース
61 ツイストペア信号ケーブル
62 電源ケーブル
70、81、82 シールド(シールド部材)
91、92 ケーブル保護チューブ
CB 制御ケーブル
C/S カメラ又は力センサ

Claims (6)

  1. 水平多関節型ロボット又は垂直多関節型ロボットと前記ロボットの手首先端近傍に取り付けられたカメラとを含むロボットシステムにおける前記カメラに繋がるカメラケーブルの配線処理構造において、
    前記カメラケーブルは、画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブル及びカメラ用電源ケーブルを含み、
    前記カメラケーブルは、前記ロボットを駆動するモータのための制御用ケーブル、及び/又は、前記ロボットに取付けられるハンドのための制御用ケーブルと共に前記ロボットの前腕の内部を通されており、
    前記画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブル及び前記カメラ用電源ケーブルは、前記前腕の内部において、個別にシールド部材で覆われており、且つ、
    前記前腕内部を通された前記画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブル及びカメラ用電源ケーブル以外のケーブルは、前記前腕の内部において、シールド部材で覆われた状態で、略円形断面を持つケーブル保護チューブに挿通されており、
    更に、前記シールド部材で覆われた前記画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブル及び前記カメラ用電源ケーブルは、前記ケーブル保護チューブの外周部に対して螺旋状に取回しされていることを特徴とする、カメラケーブルの配線処理構造。
  2. 水平多関節型ロボット又は垂直多関節型ロボットと前記ロボットの手首先端近傍に取り付けられた力センサとを含むロボットシステムにおける前記力センサに繋がる力センサケーブルの配線処理構造において、
    前記力センサケーブルは、前記力センサ内の歪ゲージの検出データ伝送用ツイストペア信号ケーブル、及び、前記力センサ用電源ケーブルを含み、
    前記力センサケーブルは、前記ロボットを駆動するモータのための制御用ケーブル、及び/又は、前記ロボットに取付けられるハンドのための制御用ケーブルと共に前記ロボットの前腕の内部を通されており、
    前記前腕内部を通された前記検出データ伝送用ツイストペア信号ケーブル及びセンサ用電源ケーブル以外のケーブルは、前記前腕の内部において、個別にシールド部材で覆われており、略円形断面を持つケーブル保護チューブに挿通されており、
    更に、前記シールド部材で覆われた前記検出データ伝送用ツイストペア信号ケーブル及び前記センサ用電源ケーブルは、前記ケーブル保護チューブの外周部に対して螺旋状に取回しされていることを特徴とする、力センサケーブルの配線処理構造。
  3. 水平多関節型ロボット又は垂直多関節型ロボットと前記ロボットの手首先端近傍に取り付けられたカメラとを含むロボットシステムにおける前記カメラに繋がるカメラケーブルの配線処理構造において、
    前記カメラケーブルは、画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブル及びカメラ用電源ケーブルを含み、
    前記カメラケーブルは、前記ロボットを駆動するモータのための制御用ケーブル、及び/又は、前記ロボットに取付けられるハンドのための制御用ケーブルと共に前記ロボットの前腕の内部を通されており、
    前記前腕の内部において、前記画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブルのみがシールド部材で覆われており、
    且つ、前記前腕内部を通された前記画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブル以外のケーブルは、前記前腕の内部において、略円形断面を持つケーブル保護チューブに挿通されており、更に、前記シールド部材で覆われた前記画像信号・カメラ制御信号用ツイストペア信号ケーブルは、前記ケーブル保護チューブの外周部に対して螺旋状に取回しされていることを特徴とする、カメラケーブルの配線処理構造。
  4. 水平多関節型ロボット又は垂直多関節型ロボットと前記ロボットの手首先端近傍に取り付けられた力センサとを含むロボットシステムにおける前記力センサに繋がる力センサケーブルの配線処理構造において、
    前記力センサケーブルは、前記力センサ内の歪ゲージの検出データ伝送用ツイストペア信号ケーブル、及び、前記力センサ用電源ケーブルを含み、
    前記力センサケーブルは、前記ロボットを駆動するモータのための制御用ケーブル、及び/又は、前記ロボットに取付けられるハンドのための制御用ケーブルと共に前記ロボットの前腕の内部を通されており、
    前記前腕の内部において、前記検出データ伝送用ツイストペア信号ケーブルのみがシールド部材で覆われており、
    且つ、前記前腕内部を通された前記検出データ伝送用ツイストペア信号ケーブル以外のケーブルは、前記前腕の内部において、略円形断面を持つケーブル保護チューブに挿通されており、更に、前記シールド部材で覆われた前記検出データ伝送用ツイストペア信号ケーブルは、前記ケーブル保護チューブの外周部に対して螺旋状に取回しされていることを特徴とする、力センサケーブルの配線処理構造。
  5. 前記カメラケーブルは、前記前腕の後部の回転軸中心付近から前記前腕内部に通され、前記前腕の前部片側側面より外部に引出されることを特徴とする、請求項1又は請求項3に記載のカメラ及び力センサケーブルの配線処理構造。
  6. 前記力センサケーブルは、前記前腕の後部の回転軸中心付近から前記前腕内部に通され、前記前腕の前部片側側面より外部に引出されることを特徴とする、請求項2又は請求項4に記載の力センサケーブルの配線処理構造。
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