JP6119478B2 - バッチ焼鈍用熱延鋼板 - Google Patents
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Description
焼鈍の加熱保持中は、Fe3Cを完全に分解させることも必要である。Fe3Cが分解してしまわずに残存している場合、焼鈍冷却過程において、それがFe3C析出場所として作用するため、他に析出場所が形成されにくくなる。その結果、本願発明の狙いである焼鈍工程終了後の固溶炭素量低減が困難になる。
Cは、鋼板の強度など基本的な特性を保つために必要な元素であるが、製造された鋼板にこれが固溶状態で残存すると、時効劣化を引き起こす。
炭素量は多くなるにつれ、焼鈍後の鋼板の鋼板強度は高くなり、延性低下も起こるため、加工性が低下する。また、ある量よりも多くなると、本発明の方法によっても焼鈍後に固溶炭素が残存し、時効劣化が起こる。時効劣化を防止し、高い加工性を保った鋼板とするためには、上限を0.065%とする。
一方、0.015%よりも少ない場合、炭化物サイズを小さくすることはできるが、600〜650℃の焼鈍加熱中において鋼中へ溶け出す炭化物の絶対量が少ないことから、焼鈍における加熱保持中の鋼中の固溶炭素量が充分に高くならない。そのため、焼鈍の冷却段階においてFe3Cの析出速度が遅くなり、焼鈍工程終了後の固溶炭素量があまり低減できず、時効劣化の原因となる。そのために、Cの範囲は0.015〜0.065%が必要である。冷間加工性やバッチ式焼鈍後の鋼板の加工性を良好にするためには、0.015〜0.045%が好ましい。
Siは、鋼板の強度を高めるために添加する。0.200%を超えて添加すると、表面性状が低下するため、0.200%を上限とする。なお、Siの下限は特に限定するものではないが、Siが溶銑中に含有されていることからして0.001%とすることが好ましい。
Mnは、鋼板の強度を高めるために必要であり、さらには鋼中に残存するSによる熱延割れの防止のために必要な元素である。本発明で添加されるSによる熱延鋼板割れ防止のためには0.10%以上は必要である。しかし、0.80%を超えるとその効果が飽和するため、0.80%を上限とする。
Pは、鋼板を製造する際に含まれる不純物元素であるが、少量で鋼板の強度を上昇させることができる元素である。しかし、0.040%を超えて添加すると鋼板の延性を低下させる。そのため、添加上限を0.040%とした。
Sは、鋼板を製造する際に含まれる不純物元素である。この量が0.020%を超えると熱延中に鋼板に割れが発生する原因となり、焼鈍後の鋼板の延性低下の原因ともなる。そのため、上限を0.020%とした。
Alは、Bと並んで鋼中のNと結びついて固溶窒素による時効劣化を防止するために必要な元素である。AlNを形成させるために必要なAlの量はN量の1.9倍であるが、熱延工程のように短時間で冷却される際にNとの結合を効率よく行わせるためには、これよりも多い添加量が必要である。本発明のように525℃以下の巻き取り温度においてAl単独で効果を発揮させるためには、0.034%以上の添加が必要である。しかし、0.080%を超えて添加しても効果が飽和するため、0.080%を上限とした。したがって、sol.Alは0.034〜0.080%とした。また、鋼中にBが0.0010%以上含有される場合は、固溶窒素はAl以外にBとも結合することができるため、Alの下限はより低くても時効劣化を防止することができ、下限が0.001%まで許容できる。したがって、Bが含有される場合には、sol.Alは0.001〜0.080%とする。
Nは、鋼を製造する過程で鋼中に不可避的に含有される元素であり、これが固溶状態で残存することによって製造された鋼板の時効劣化を引き起こす原因となる元素のひとつである。Nによる時効劣化は、Al、Bの一方またはその両方と鋼中で結合させることにより、防止できるが、そのためには0.0080%以下でなければならない。
Bは、Alと並んで鋼中でNと結合することで固溶窒素による時効劣化を防止する元素であり、必要に応じて添加する。その効果は0.0010%以上で発揮される。しかし0.0050%を超えると効果は飽和する。したがって添加量は0.0010〜0.0050%とした。
なお、上記に述べた化学成分の残部はFeおよび不可避的不純物である。
690℃以下の温度域では、冷却が進むにつれ、このオーステナイト結晶粒がフェライト結晶粒に変化していき、この変化に伴い結晶粒界面からFe3Cが生成する。Fe3Cの生成量は鋼中のC含有量によっても影響を受ける。
・対象となる熱延鋼板のFe3C:Fe3C1は、主に熱延鋼板の結晶粒界に存在し、図1のA〜Dに示すようにフェライト結晶粒2の粒界に直線状(A)、塊状(B)、不定形(C)または曲線状(D)、のいずれかの形態をなしている。
・観察に供する部分は、熱延鋼帯の幅1/4付近より採取する
・観察位置:熱延鋼板を圧延方向に切断した断面のうち、鋼板表面から板厚内部に向かって厚み1/4の位置で、200μm四方の領域を3か所観察する。
・(2)に示す位置の鋼板断面を研磨した後、ピクリン酸5%を含むアルコール溶液に3〜7分間浸すことで、炭化物を明瞭化させる。
・特に倍率に規定はないが、より正確な測定を行うため、500倍の倍率が望ましい。
・昇温:常温から0.3〜1.0℃/minの速度範囲で昇温し、600℃以上650℃未満の温度で保持する。
・昇温加熱後の保持時間:2〜30hrその温度に保持する。
・冷却:保持終了後に、0.2〜1℃/minで、150℃以下の温度まで冷却し、その後は自然放冷を行う。
No.1〜35の熱延鋼板は、いずれも板厚4mmの厚みに仕上げ、これを冷間圧延により0.8mmの厚みとした。
・炉内ガス雰囲気:窒素に3%の水素を混合した炉内ガス雰囲気とした。
・昇温加熱:冷延コイルを1minあたり0.5℃ずつの加熱速度で630℃に至るまで昇温。
・昇温加熱後の保持:昇温後、5hrの間630℃の温度に保持。
・冷却:保持終了後に、630℃から1minあたり0.5℃ずつ、100℃に至るまで冷却し、その後35℃以下に至るまで自然放冷で冷却を行った。
圧下率0.8%の冷間圧延を実施。
・製造された鋼板が使用されるまでの保管環境による鋼板特性の劣化を調査するため、測定は、40℃の温度において60日間の保持を行った後に、機械的性質および表面外観の調査を実施した。
・表面外観は、鋼板を幅150mm、長さ500mmに切り出し、半径50mmの丸棒に1/4周巻きつける曲げ加工を行い、巻きつけ部の表裏面外観のいずれか片方または両方に凹凸(腰折れ)が発生しているかを目視調査した。
・機械的性質は、JIS5号試験片に加工し、引張り試験で降伏点伸びを測定した。その際、降伏点伸び値と曲げ加工後の表面凹凸との関係があることから、上記表裏面の外観評価以外に、降伏点伸びの値も表2−2に記載した。
図4には表1−2及び表2−2に記載のFe3C最大厚み(μm)と降伏伸び(%)の関係を合わせて示した。図4中に示す◇印は、発明例に該当しない比較例を示し、◆印は発明例に該当する本発明例を示している。なお、図4中の◇印のN〜Tは、表1−2に記載した曲げ加工後の外観に微細凹凸が生じた試験番号の例で、◇印の25〜31及び35は、表2−2に比較例として記載した曲げ加工後の外観に微細凹凸が生じた試験番号の例である。◆印は、表1−2及び表2−2に記載した本発明例に相当する試験番号の例(番号は図示していない)を合わせて示してある。図4に示すように、Fe3Cの最大厚みが3.0μm以下で、本発明の化学成分範囲を満たす鋼板については時効劣化がなく、曲げ加工後の外観が良好であることが分る。この際の降伏伸び値は0.25%以下となっていたが、本発明の化学成分範囲を満たさない鋼板についてはFe3Cの最大厚みが3.0μm以下であっても(例えばNo.25、No.26及びNo.35)、時効劣化が生じ、曲げ加工後の外観が不良となっていた。また、図4に示すように、降伏伸び(%)が低くなるほど曲げ加工後の外観が良好となり、降伏伸び(%)が高くなるほど曲げ加工後の外観が不良となる。
No.28は、熱延後の850〜770℃範囲の冷却速度が遅いことから、Fe3Cの最大厚みが3.0μmを超えていて、曲げ加工後に表面微細凹凸が発生し、外観評価が低下する。
2 フェライト結晶粒
3 内接円
4 最大径
Claims (2)
- 質量%で、
C:0.015〜0.065%、
Si:0.200%以下、
Mn:0.10〜0.80%、
P:0.040%以下、
S:0.020%以下、
sol.Al:0.034〜0.080%、
N:0.0080%以下
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、金属組織がフェライトとFe3Cで構成され、かつ結晶粒界に存在するFe3Cの最大厚みが3.0μm以下であることを特徴とするバッチ焼鈍用の冷間圧延鋼板の素材となる熱延鋼板。 - 質量%で、
C:0.015〜0.065%、
Si:0.200%以下、
Mn:0.10〜0.80%、
P:0.040%以下、
S:0.020%以下、
sol.Al:0.001〜0.080%、
N:0.0080%以下、
B:0.0010〜0.0050%
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、金属組織がフェライトとFe3Cで構成され、かつ結晶粒界に存在するFe3Cの最大厚みが3.0μm以下であることを特徴とするバッチ焼鈍用の冷間圧延鋼板の素材となる熱延鋼板。
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