JP6117431B2 - 多孔質体、多孔質接合体、金属溶湯用濾過フィルタ、焼成用治具および多孔質体の製造方法 - Google Patents

多孔質体、多孔質接合体、金属溶湯用濾過フィルタ、焼成用治具および多孔質体の製造方法 Download PDF

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Description

開示の実施形態は、多孔質体、多孔質接合体、金属溶湯用濾過フィルタ、焼成用治具および多孔質体の製造方法に関する。
従来、排気ガスなどの高温の気体に含まれる粒子を除去するための炭化珪素からなる多孔質体の一例である濾過フィルタが知られている(たとえば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、上記した濾過フィルタにあっては、たとえばアルミニウム合金などの金属を溶解させた金属溶湯に含まれる介在物を除去する金属溶湯用濾過フィルタとしては利用できない。しかも上記した濾過フィルタは、耐熱衝撃性および高温強度の点で改善の余地がある。
また従来、衛生陶器などのセラミックス部材を焼成するための炭化珪素からなる焼成用治具が知られている(たとえば、特許文献3参照)。
特開昭60−255671号公報 特開平2−180612号公報 特開昭62−021762号公報
近年、電子部品焼成用等の窯道具は、電子部品の小型化に伴って迅速焼成が主流となりつつあることから、焼成時のさらなる急熱・急冷に対応できる熱伝導の良い炭化珪素からなる焼成用治具が用いられている。しかしながら、上記の炭化珪素からなる焼成用治具は、気孔率を増やすことができないため、電子部品の焼成過程での均一な脱バインダ処理ができず、品質管理上問題があった。さらに、かかる焼成用治具は、耐熱衝撃性および高温強度の点で耐久性に改善の余地がある。
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、耐熱衝撃性および高温強度に優れた多孔質体、多孔質接合体、金属溶湯用濾過フィルタ、焼成用治具および多孔質体の製造方法を提供することを目的とする。
実施形態の一態様に係る多孔質体は、平均粒子径が800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材と、前記骨材を結合する炭化珪素の結合材とを含む。また、多孔質体は、平均気孔径が200μm以上、気孔率が30体積%以上であり、かつ、15mm以上100mm以下の厚みを有する。
実施形態の一態様によれば、耐熱衝撃性および高温強度に優れた多孔質体、多孔質接合体、金属溶湯用濾過フィルタ、焼成用治具および多孔質体の製造方法を提供することができる。
図1Aは、実施形態に係る多孔質体の製造方法の概要を説明する説明図である。 図1Bは、実施形態に係る多孔質体の製造方法の概要を説明する説明図である。 図2Aは、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタの概要を説明する説明図である。 図2Bは、図2AのA−A’断面図である。 図3は、実施形態に係る多孔質体の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図4は、実施形態に係る多孔質体の製造方法の第1変形例を示すフローチャートである。 図5は、実施形態に係る多孔質体の製造方法の概要を説明する説明図である。 図6は、実施形態に係る多孔質体の製造方法の第2変形例を示すフローチャートである。 図7は、実施形態に係る多孔質体の製造方法の概要を説明する説明図である。 図8Aは、実施形態に係る焼成用治具の概要を説明する説明図である。 図8Bは、図8AのB−B’断面図である。 図9は、実施形態に係る多孔質接合体の概要を説明する断面図である。 図10Aは、実施形態に係る多孔質接合体の概要を説明する斜視図である。 図10Bは、図10Aの上面図である。 図10Cは、図10BのC−C’断面図である。
以下、添付図面を参照して、本願の開示する多孔質体、多孔質接合体、金属溶湯用濾過フィルタ、焼成用治具および多孔質体の製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1A、図1Bは、実施形態に係る多孔質体の製造方法の概要を説明する説明図である。実施形態に係る多孔質体の製造方法は、造粒、成形、乾燥および焼成の各工程を含む。
まず、造粒工程について、図1Aを用いて説明する。造粒工程は、実施形態に係る多孔質体を製造するための原材料の混合物から造粒体を調製する工程である。具体的には、第1の結合材粒子1と、第2の結合材粒子2とを含む結合材粒子3を、液状の媒体(液状媒体)にバインダを溶解させた溶解液を噴霧させながら高速で攪拌させることにより、造粒体4が調製される。造粒体4は、第1の結合材粒子1および第2の結合材粒子2が均一に分散された状態で造粒される。
ここで、結合材粒子3を構成する第1の結合材粒子1および第2の結合材粒子2としてはいずれも、炭化珪素を適用することができる。また、第1の結合材粒子1の平均粒子径は、好ましくは0.2μm以上250μm以下であり、より好ましくは1μm以上100μm以下である。
また、第2の結合材粒子2の平均粒子径は、第1の結合材粒子1の平均粒子径よりも大とすることができる。具体的には、第2の結合材粒子2の平均粒子径は、好ましくは0.4μm以上500μm以下であり、より好ましくは2μm以上200μm以下である。このように第1の結合材粒子1および第2の結合材粒子2の平均粒子径を規定することにより、後述する造粒体4の大きさを適切に制御することができる。ここで、「平均粒子径」とは、レーザ回折式粒度分布測定装置(湿式法)において、球相当径に換算した体積基準の粒度分布に基づいて得られたメジアン径(d50)を指す。
また、造粒体4における第1の結合材粒子1と第2の結合材粒子2との配合比は、質量換算でたとえば10:90〜90:10とすることができる。このように第1の結合材粒子1と第2の結合材粒子2との配合比を規定することにより、造粒体4を実使用に適したものとすることができる。
また、高速混合・造粒機によって攪拌される結合材粒子3に噴霧される溶解液を構成する液状媒体には、揮発性が比較的高いものが適用される。具体的には、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、液状媒体に溶解させるバインダには、液状媒体の種類に応じた1または2種以上のものが適用される。具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)およびアクリル系樹脂などの有機バインダが挙げられるが、これらに限定されない。
また、造粒体4の平均粒子径は、好ましくは10μm以上500μm以下であり、より好ましくは15μm以上300μm以下である。このように造粒体4の平均粒子径を規定することにより、実施形態に係る多孔質体の耐熱衝撃性および高温強度を向上させることができる。
なお、上記した実施形態では、結合材粒子3は第1の結合材粒子1および第2の結合材粒子2の両方を含むとして説明したが、第1の結合材粒子1および第2の結合材粒子2のうち、いずれか一方のみを使用してもよい。
次に、成形、乾燥および焼成の各工程について、図1Bを用いて順に説明する。まず、成形工程について説明する。成形工程は、骨材粒子5を上記した造粒体4とともに型に入れて加圧圧縮し、成形体6を作製する工程である。具体的には、造粒体4および骨材粒子5を予め定められた割合となるように混合し、さらにデキストリンやグルコースなどの多糖類系のバインダおよび水を適量加えて混練すると、骨材粒子5の周囲を造粒体4が取り囲むようにして分散される。そして、造粒体4および骨材粒子5を含む混合物(坏土)を型(図示せず)に入れた後、予め定められた圧力を加えてプレス成形すると、図1Bの中段に示すように骨材粒子5の大きさおよび嵩比重に応じた空隙7を含む成形体6が得られる。
ここで、骨材粒子5としては、たとえば、平均気孔径が200μm以上の炭化珪素を適用することができる。好ましくは、炭化珪素の純度を95%以上とすることができるが、これに限定されるものではない。また、骨材粒子5の平均粒子径は、好ましくは200μm以上5mm以下であり、より好ましくは300μm以上4mm以下である。このように骨材粒子5の平均粒子径を規定することにより、平均気孔径および気孔率を多孔質体としての実使用に適したものとすることができる。
また、成形体6における骨材粒子5と造粒体4との配合比は、質量換算でたとえば95:5〜70:30とすることができる。このように骨材粒子5と造粒体4との配合比を規定することにより、平均気孔径および気孔率を多孔質体としての実使用に適したものとすることができる。
次に、乾燥工程について説明する。乾燥工程は、上記した成形工程によって得られた成形体6を乾燥させる工程である。かかる乾燥工程により、成形体6から水分が除去される。なお、かかる乾燥工程は、成形体6の形状や含水量によっては省略してもよい。
最後に、焼成工程について説明する。焼成工程は、上記した乾燥工程において水分が除去された成形体6を、図示しない焼成装置で焼成する工程である。成形体6を炭素粉末およびシリカ粉末の混合粉末に埋設し、埋設された状態の成形体6を加熱して焼成させ、図1Bの下段に示す焼成体11を製造する工程である。上記した焼成体11は、詳しくは再結晶炭化珪素(RSiC)である。かかる焼成体11は、必要により端部の加工処理等が施された多孔質体(以下、「多孔質体11」ともいう)として、たとえば後述する金属溶湯用濾過フィルタや焼成用治具などの用途に利用される。
成形体6においては、焼成する際に、造粒体4に含まれる炭化珪素の拡散により、骨材粒子5同士を結合するネック10が形成される。なお、図1Bでは、理解を容易にするため、結合材9およびネック10を別体のようにして示したが、実際にはSEM観察では識別できない程度に一体化されてもよい。
また、本実施形態では、成形体6を炭素粉末に埋設して炭素源を添加するようにしたことから、焼結時の炭化珪素粉末の蒸発を促進することができる。また、本実施形態では、成形体6を炭素粉末およびシリカ粉末に埋設して焼成させることで、ネック10の成長を促進させることができる。
さらに、第1の結合材粒子1、第2の結合材粒子2および骨材粒子5の3種類の粒子がそれぞれ、上記した割合および大きさで存在していることにより、焼成が適度に進行し、炭化珪素を含有する各粒子の焼成およびネック10の生成を促進させることができる。
ここで、焼成装置での焼成温度は、たとえば2000℃以上、好ましくは2000℃〜2500℃として成形体6を焼成させる。これにより、成形体6を適切に焼成させることができる。このとき、たとえば、アルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気下で焼成が行われることが好ましい。
このように、実施形態に係る多孔質体11の製造方法によれば、骨材粒子5の大きさに応じた骨材8を有し、空隙7に応じた気孔12を含み、かつ造粒体4の組成および大きさに応じた結合材9およびネック10が形成された多孔質体11が得られる。ネック10が適切に形成されることにより、平均気孔径および気孔率に比して耐熱衝撃性および高温強度に優れた多孔質体11が得られる。
次に、実施形態に係る多孔質体11について説明する。多孔質体11は、平均粒子径が200μm以上の炭化珪素の骨材8を含む。ここで、骨材8の平均粒子径は、具体的には、たとえば、多孔質体11の断面のSEM(Scanning Electron Microscope)画像を撮像し、かかるSEM画像からインターセプト法により骨材8の粒子径を測定し、粒度分布を求める。
具体的な粒子径の測定手順としては、SEM画像に任意の線を引き、かかる線と交差した骨材8について、その長径と短径とを測定する。次いで、粒子形状を楕円とし、長径および短径の平均値を、その骨材8の粒子径とする。そして、別の視野の複数のSEM画像も撮像し、撮像した複数のSEM画像を用いて前述の測定を繰り返し、500個以上の骨材8の粒子径を測定した後、統計的に処理することで、多孔質体11の断面組織における骨材8の平均粒子径を求める。
また、多孔質体11は、骨材8を結合する炭化珪素の結合材9を含む。ここで、結合材9は、上記した多孔質体11の断面のSEM画像から、骨材8とは異なる組織であるとしてその相違を確認することができる。
また、多孔質体11は、平均気孔径が200μm以上であり、好ましくは300μm以上2000μm以下である。多孔質体11の平均気孔径が200μm未満だと、たとえば後述する金属溶湯用濾過フィルタとしての使用に適さず、目詰まりすることがある。また、多孔質体11の平均気孔径が200μm未満だと、たとえば後述する焼成用治具としての使用にも適さず、窯炉内に温度ムラを生じさせることで焼成用治具に載せた被焼成物を効率よく焼成させることができないことや、脱バインダが効率よく行われずに焼成不良を起こすことがある。ここで、「平均気孔径」とは、水銀ポロシメータにおいて、水銀の表面張力が大きいことを利用して粉体の細孔に水銀を浸入させるために圧力を加え、圧力と圧入された水銀量から得られた、気孔12を円柱近似した際の気孔径分布に基づいて得られたメジアン径(d50)をいう。
また、多孔質体11は、気孔率が30体積%以上であり、好ましくは40体積%以上70体積%以下である。気孔率が30体積%未満だと、多孔質体11としての実使用に適さない。ここで、「気孔率」とは、多孔質体11または多孔質体11の一部を使用した試料の寸法および質量に基づいて密度を算出し、炭化珪素の理論密度に対する比として算出したものをいう。
また、多孔質体11の嵩比重は、好ましくは1.5以上2.3以下であり、より好ましくは1.6以上2.0以下である。嵩比重を上記した範囲とすることで、平均気孔径および気孔率が用途に適した適切な範囲に収まりやすくなり、多孔質体11としての実使用に適したものとなる。ここで、「嵩比重」とは、多孔質体11または多孔質体11の一部を加工した試験片の寸法および質量に基づいて算出したものをいう。
また、多孔質体11は、金属珪素およびホウ素の含有量が1質量%以下であることが実使用上好ましく、より好ましくは0.5質量%以下である。金属珪素およびホウ素の含有量を上記した範囲とすることにより、後述する高温曲げ強度の低下を抑制することができる。また、かかる多孔質体11を後述する金属溶湯用濾過フィルタとして利用する場合には、さらに濾過後の金属溶湯への不純物の漏出を防止することができる。ここで、金属珪素およびホウ素の含有量とは、蛍光X線分析により得られた値をいう。
また、多孔質体11は、炭化珪素の含有量が95質量%以上であることが実用上好ましく、より好ましくは99%以上である。炭化珪素の含有量を上記した範囲とすることにより、後述する高温曲げ強度の低下を抑制することができる。また、かかる多孔質体11を後述する金属溶湯用濾過フィルタとして利用する場合には、さらに濾過後の金属溶湯への不純物の漏出を防止することができる。ここで、「炭化珪素の含有量」とは、蛍光X線分析、TC(トータルカーボン)分析およびFC(フリーカーボン)分析の結果に基づいて得られた値をいう。なお、炭化珪素の含有量が99.999%以上でも問題はないが、使用する各原料における炭化珪素の純度を高くする必要があり、コストが高くなるため好ましくない。
また、多孔質体11の熱伝導率は、10W/(m・K)以上80W/(m・K)以下であることが実用上好ましく、より好ましくは15W/(m・K)以上50W/(m・K)以下であり、さらに好ましくは18W/(m・K)以上40W/(m・K)以下である。熱伝導率を上記した範囲とすると、かかる多孔質体11をたとえば後述する金属溶湯用濾過フィルタとして利用した場合に、通湯前後における金属溶湯の温度低下を抑制することができる。また、かかる多孔質体11をたとえば後述する焼成用治具として利用した場合には、窯炉内の温度ムラを低減し、効率よく焼成することができる。ここで、「熱伝導率」とは、JISR2616:1995に規定された、熱流法による熱伝導率測定に基づいて得られた値をいう。
以下では、多孔質体11の具体的な適用例について、図2A、図2Bを用いて説明する。図2Aは、実施形態に係る多孔質体11の一例である金属溶湯用濾過フィルタの概要を説明する説明図、図2Bは、図2AのA−A’断面図である。
図2A、図2Bに示すように、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ110は、外周面113および内周面114を有するように構成された円筒形状の部材として形成される。金属溶湯内の介在物は、外周面113から内周面114に向けて金属溶湯が流通する間に捕集される。そして、清浄化された金属溶湯が内周面114で囲まれた中空部分から外部へ排出される。
実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ110は、平均粒子径が好ましくは600μm以上、より好ましくは800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材8を含む。骨材8が上記した平均粒子径を有するためには、たとえば、骨材粒子5の平均粒子径を好ましくは600μm以上、より好ましくは800μm以上4mm以下とすればよい。
また、金属溶湯用濾過フィルタ110の曲げ強度は、2MPa以上15MPa以下であることが実使用上好ましく、より好ましくは3MPa以上14MPa以下である。ここで、「曲げ強度」とは、JISR1601:2008に規定された3点曲げ試験に基づいて、常温(5〜35℃)で測定したものをいう。より具体的には、金属溶湯用濾過フィルタ110を20mm×10mm×50mmの直方体に加工した試料を用いて、スパン長さ30mmにて3点曲げ試験を実施し、評価したものである。
また、金属溶湯用濾過フィルタ110の1500℃以下における高温曲げ強度は、2MPa以上15MPa以下であることが実使用上好ましく、より好ましくは3MPa以上14MPa以下である。高温曲げ強度を上記した範囲とすることで、たとえば1500℃を超える比較的高い温度条件においても金属溶湯用濾過フィルタ110として使用することができる。ここで「1500℃以下における高温曲げ強度」とは、JISR1604:2008に規定された3点曲げ試験に基づいて、高温(1000〜1500℃)で測定したものをいう。より具体的には、金属溶湯用濾過フィルタ110を20mm×10mm×120mmの直方体に加工した試料を用いて、スパン長さ90mmにて3点曲げ試験を1500℃の大気雰囲気下で実施し、評価したものである。
また、金属溶湯用濾過フィルタ110の厚みt1は、好ましくは15mm以上100mm以下であり、より好ましくは20mm以上60mm以下である。厚みt1が15mm未満だと、たとえば変形が起こりやすくなり、耐用期間が短くなることがある。さらに、厚みt1が15mm未満だと、濾過機能を十分に発揮することができず、濾過したい介在物が捕捉されずに内周面114まで到達し、金属溶湯とともに中空部分に排出されることがある。また、厚みt1が100mmを超えると、たとえば金属溶湯用濾過フィルタ110を含む濾過装置(図示せず)の体格が大きくなり、実使用に適さない場合がある。
次に、実施形態に係る多孔質体11の他の適用例について、図8A、図8Bを用いて説明する。図8Aは、実施形態に係る多孔質体11の一例である焼成用治具の概要を説明する説明図、図8Bは、図8AのB−B’断面図である。
図8A、図8Bに示すように、実施形態に係る焼成用治具210は、上面211および下面212を有する上面視略矩形の平板状の焼成用棚板213を含む。焼成用治具210は、複数の支柱(図示せず)により焼成用棚板213の上面211が略水平となるように支持される。そして、焼成用棚板213の上面211には、被焼成体50,52が載置されている。
このような焼成用棚板213を含む焼成用治具210は、焼成用棚板213の上面211に被焼成物50,52が載置された状態で図示しない窯炉内に配置され、被焼成物50,52の焼成が実施される。
ここで、被焼成物50,52は、たとえば積層セラミックスコンデンサなどの電子部品や自動車排ガス浄化用ハニカム構造体である。すなわち、上記した焼成用治具210は、電子部品やハニカム構造体の焼成に用いることができる。なお、上記では、被焼成物50,52を積層セラミックスコンデンサやハニカム構造体としたが、これは例示であって限定されるものではない。すなわち、被焼成物50,52は、たとえばチップインダクタや半導体基板など、焼成が行われる部品であればどのような種類のものであってもよい。
実施形態に係る焼成用治具210は、平均粒子径が好ましくは3mm以下、より好ましくは600μm以上1.8mm以下の炭化珪素の骨材8を含む。骨材8が上記した平均粒子径を有するためには、たとえば、骨材粒子5の平均粒子径を好ましくは3mm以下、より好ましくは600μm以上1.8mm以下とすればよい。
また、焼成用治具210の曲げ強度は、7MPa以上30MPa以下であることが実使用上好ましく、より好ましくは10MPa以上25MPa以下である。
また、焼成用治具210の1500℃以下における高温曲げ強度は、7MPa以上30MPa以下であることが実使用上好ましく、より好ましくは10MPa以上25MPa以下である。高温曲げ強度を上記した範囲とすることで、たとえば1500℃を超える比較的高い温度条件においても適切に使用することができる。
また、焼成用治具210の厚みt2は、好ましくは5mm以上30mm以下であり、より好ましくは7mm以上15mm以下である。厚みt2が5mm未満だと、たとえば高温での変形が起こりやすくなり、耐用期間が短くなることがある。また、厚みt2が30mmを超えると、たとえば焼成用治具210の体格が大きくなり、実使用に適さない場合がある。
なお、図8A、図8Bでは、実施形態に係る焼成用治具210が一枚の焼成用棚板213を備える例について示したが、支柱で支持された二枚以上の焼成用棚板213を同時に使用してもよい。また、図8A、図8Bでは、一枚の焼成用棚板213に2つの被焼成物50,52を載置させた例について示したが、1または3以上の被焼成物を一枚の焼成用棚板213に載置させるようにしてもよい。また、図8A、図8Bでは、焼成用治具210が多孔質体11であるとして説明したが、これに限らない。焼成用治具210を構成する各部材のうち、たとえば、焼成用棚板213のみが多孔質体11で構成されるなど、焼成用治具210のうち少なくとも一部が多孔質体11で構成されていればよい。さらに、図8A、図8Bでは、焼成用棚板213の形状は上面視略矩形としたが、これに限定されるものではない。すなわち、焼成用棚板213の上面視した形状は、たとえば正方形や三角形などの多角形、または円形や楕円形などその他の形状であってもよい。
また、上記した実施形態では、単一の構造体で構成された単純形状の多孔質体11について説明したが、これに限らない。すなわち、上述のようにして得られた複数の多孔質体11を、接合材を用いて接合し、これを多孔質体11に代えて金属溶湯用濾過フィルタ110や焼成用治具210などに用いてもよい。この点について、図9〜図10Cを用いて説明する。まず、複数の多孔質体11を接合してなる多孔質接合体の一例について、図9を用いて説明する。
図9は、実施形態に係る多孔質接合体の概要を説明する断面図である。図9に示すように、実施形態に係る多孔質接合体310は、第1の部材311および第2の部材312と、接合層313とを含む。第1の部材311および第2の部材312はそれぞれ、単純形状の多孔質体11で構成される。接合層313は、第1の部材311と第2の部材312との間に挟まれるように配置されており、多孔質体11で構成された第1の部材311と第2の部材312とを含む複雑形状の多孔質接合体310を形成させる。このような構成を有する多孔質接合体310は、たとえば、以下のようにして作製される。
接合層313は、第1の部材311および第2の部材312を接合させるための接合材を焼成することで形成される。すなわち、かかる接合材を第1の部材311および第2の部材312で挟むように保持し、第1の部材311および第2の部材312とともに焼成すると、接合層313を含む多孔質接合体310が得られる。これにより、単純形状を有する複数の多孔質体11を組み合わせて複雑形状を有する多孔質接合体310を形成することができる。このとき、接合材が炭化珪素粉末を含むと、接合部分での割れや剥離等の発生が抑制され、高強度・高耐熱性の一体化された多孔質接合体310を得ることができるため好ましい。
ここで、多孔質接合体310についてさらに説明する。多孔質接合体310は、炭化珪素からなる骨材の平均粒子径が好ましくは200μm〜5mmであり、より好ましくは300μm〜4mmである。骨材の平均粒子径を上記した範囲とすることにより、上記した多孔質体11と同等の性能を確保することができる。ここで、多孔質接合体310における骨材の平均粒子径は、上記した方法と同様に測定することができる。すなわち、接合層313を含む多孔質接合体310を用意し、その断面のSEM(Scanning Electron Microscope)画像を撮像し、かかるSEM画像からインターセプト法により骨材の粒子径を測定し、粒度分布を求める。
また、多孔質接合体310の気孔率、平均気孔径、曲げ強度、高温曲げ強度、熱伝導率、耐熱衝撃性および耐熱温度については、金属溶湯用濾過フィルタ110や焼成用治具210など、多孔質体11の代替として適用される用途に応じた性能を有することが好ましい。ここで、多孔質接合体310の気孔率、平均気孔径、曲げ強度、高温曲げ強度、熱伝導率、耐熱衝撃性および耐熱温度は、中央に接合層313を含むことを除き、単層の多孔質体11と同様の寸法となるように作製した試料をそれぞれ用い、単層の多孔質体11における曲げ強度、高温曲げ強度、熱伝導率、耐熱衝撃性および耐熱温度と同様の測定を行い、その結果を測定値とすることができる。なお、曲げ強度、高温曲げ強度については、長さ方向の中央に接合層313が含まれるようにし、接合層313付近に最大曲げ荷重が負荷されることとする。
次に、接合層313についてさらに説明する。接合層313は、平均粒子径が好ましくは500μm以下、より好ましくは50μm以上300μm以下の炭化珪素粉末を含む。炭化珪素粉末が上記した平均粒子径を有するためには、たとえば、接合材に含有させる炭化珪素粉末の平均粒子径を好ましくは500μm以下、より好ましくは50μm以上300μm以下とすればよい。炭化珪素粉末の平均粒子径を上記した範囲とすることにより、接合部分での割れや剥離等の発生が抑制され、高強度・高耐熱性の一体化された多孔質接合体310を得ることができる。なお、接合材の具体的な配合例については後述する。
また、接合層313の気孔率は、好ましくは10体積%以上40体積%以下である。接合層313の気孔率を上記した範囲とすることにより、接合層313と接する多孔質体11との連通を確保でき、たとえば焼成用治具として使用する際の脱ガス性が良好となったり、適度な気孔が存在することで耐熱衝撃性が良好となったりする。
また、接合層313の嵩比重は、好ましくは1.9以上2.9以下である。接合層313の嵩比重を上記した範囲とすることにより、気孔率が用途に適した適切な範囲に収まりやすくなり、実使用に適した多孔質接合体310を容易に形成することができる。
また、接合層313は、炭化珪素の含有量が95質量%以上であることが実用上好ましく、より好ましくは99%以上である。炭化珪素の含有量を上記した範囲とすることにより、後述する高温曲げ強度の低下を抑制することができる。
また、接合層313の厚さは、好ましくは500μm以上3mm以下である。接合層313の厚さを上記した範囲とすることにより、接合部分での割れや接合界面での剥離等の発生が抑制される。なお、上記した接合層313における炭化珪素粉末の平均粒子径は、単層の多孔質体11における骨材8の平均粒子径と同様の方法により測定することができる。また、接合層313の厚さは、断面を撮像したSEM画像に基づいて測定することができる。また、接合層313の気孔率および接合層313の嵩比重は、単層の多孔質体11における気孔率および嵩比重の測定と同様の方法により測定値を得ることができる。
次に、接合層313を形成するために適用される接合材について説明する。かかる接合材は、具体的には、たとえば平均粒子径が160〜240μmの炭化珪素粉末Aを30〜70質量%と、平均粒子径が8〜12μmの炭化珪素粉末Bを5〜15質量%と、平均粒子径が1〜5μmの炭化珪素粉末Cを30〜50質量%と、平均粒子径が0.3〜0.7μmの黒鉛を0.3〜0.8質量%と、2種類の多糖類系バインダであるデキストリン3〜7質量%およびセルロース0.02〜0.5質量%と、水10〜20質量%とを含む。このように、平均粒子径の異なる複数の炭化珪素粉末を組み合わせて使用したものを接合材として適用することが好ましい。これらの材料を混合容器内に投入し、混合攪拌機を用いて均一に撹拌することにより、上記した接合材が得られる。
こうして得られた接合材を用いて接合された、複雑形状を有する多孔質接合体310は、単一の構造体である多孔質体11と同様の強度と耐熱衝撃性を具備している。すなわち、接合界面での割れや剥離等が発生することがない。なお、接合材は、必ずしも上記した組成および配合割合に限らず、必要とされる強度と耐熱衝撃性を有する多孔質接合体310が得られるものであればいかなる組成および配合割合であってもよい。
次に、複数の多孔質体11を接合してなる多孔質接合体のその他の例について、図10A〜図10Cを用いて説明する。図10Aは、実施形態に係る多孔質接合体の概要を説明する斜視図である。また、図10Bは、図10Aの上面図であり、図10Cは、図10BのC−C’断面図である。
図10A〜図10Cに示すように、実施形態に係る多孔質接合体410は、側板411,412,413および414と、底板415とを備える。側板411〜414および底板415はいずれも、平板状の多孔質体11で構成されており、多孔質接合体410は、底板415の上側部分が開口した箱形状を有する。
多孔質接合体410は、互いに隣り合う部材が接合層を介して接合され、一体化されている。具体的には、図10Cに示すように、側板413,414と底板415とが、接合材の焼成により形成された接合層416を介してそれぞれ接合されている。また、図示による説明は省略するが、側板411,412と底板415とは、接合層416を介してそれぞれ接合されている。また、詳細な説明は省略するが、側板411〜414についても、互いに隣り合う部材が接合層416を介してそれぞれ接合されている。ここで、接合層416としては、上記した接合層313と同様の性能を有するものを適用することができる。
かかる多孔質接合体410は、たとえば、金属溶湯に含まれる介在物を除去して清浄化された金属溶湯を貯留するいわゆるボックスフィルタ(以下、「ボックスフィルタ410」ともいう)として用いることができる。
ボックスフィルタ410を用いて、金属溶湯中に含まれる介在物を除去する手法の一例について以下に示す。まず、底板415の外側、すなわち下側から側板411,412,413および414の外壁面の一部がアルミニウムその他の金属溶湯に浸漬するようにボックスフィルタ410を配置させる。金属溶湯は、側板411,412,413および414、底板415ならびに接合層416の外壁面から内側に向かって流通し、金属溶湯内の介在物は、側板411,412,413および414、底板415ならびに接合層416で捕集される。そして、ボックスフィルタ410の内部には清浄化された金属溶湯が貯留されることとなる。
ボックスフィルタ410に貯留された金属溶湯は、たとえば、ダイカストその他の成形用材料として利用される。なお、ボックスフィルタ410の形状および構成は、図10A〜図10Cに示したものに限らず、いかなる形状であってもよい。
次に、実施形態に係る多孔質体11を製造する方法について、図3を用いて詳細に説明する。図3は、実施形態に係る多孔質体11を製造する処理手順を示すフローチャートである。
図3に示すように、まず、第1の結合材粒子1と、第1の結合材粒子1よりも平均粒子径の大きい第2の結合材粒子2とを含む結合材粒子3を混合する(ステップS11)。次に、ステップS11において混合した結合材粒子3に液状媒体およびバインダを含む溶解液を噴霧させ、混合することで造粒する(ステップS12)。
続いて、ステップS12において得られた炭化珪素の造粒体4を炭化珪素の骨材粒子5と混合する(ステップS13)。次に、ステップS13において作製された造粒体4および骨材粒子5を含む混合物を混練し、用途に応じた形状を有する型に入れてプレス成形により成形する(ステップS14)。
さらに、成形により得られた成形体6を乾燥し(ステップS15)、次いでシリカ粉末および炭素粉末に埋めた状態で成形体6を焼成する(ステップS16)。以上の各工程により、実施形態に係る一連の多孔質体11の製造が終了する。
なお、上記した実施形態では、ステップS12として攪拌造粒法を適用した造粒体4の作製例について説明したが、同様の造粒体4を作製することができる方法であればこれに限定されず、例えば、転動造粒法や噴霧乾燥法などを適用してもよい。
また、上記した実施形態では、ステップS14としてプレス成形法を適用した成形体6の作製例について説明したが、型に入れた混合物を同様に加圧し、成形することができる方法であればこれに限定されず、例えば、静水圧成形法などを適用してもよい。
さらに、実施形態に係る多孔質体の製造方法は、上記したものに限定されない。以下ではまず、実施形態に係る多孔質体を製造する方法の第1変形例について、図4、図5を用いて説明する。
図4は、実施形態に係る多孔質体を製造する処理手順を示すフローチャートであり、図5は、実施形態に係る多孔質体の製造方法の概要を説明する説明図である。
図4に示すように、まず、結合材粒子と分散媒とを混合する(ステップS21)。ここで、結合材粒子には、上記した結合材粒子3と同様のものを適用することができる。すなわち、結合材粒子は上記した第1の結合材粒子1および第2の結合材粒子2の両方を含んでもよく、またいずれか一方のみを適用してもよい。
また、分散媒には、揮発性が比較的高い液状媒体が適用される。具体的には、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、液状媒体の種類に応じた1または2種以上の有機バインダを溶解させたものを分散媒として適用してもよい。このような有機バインダとして、具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)およびアクリル系樹脂などを例示することができるが、これらに限定されない。
次に、ステップS21において得られたスラリー16を骨材粒子15に流し込んで成形する(ステップS22)。具体的には、図5の上段に示すように炭化珪素の骨材粒子15を図示しない型の中に敷き詰めておき、スラリー16をこの型の中に流し入れた後、残余のスラリー16を型から排出させる。骨材粒子15の表面には、スラリー16の粘性等の性状に応じてほぼ均等の厚さを有するスラリー16の層が形成される一方、隣り合う骨材粒子15と接触または近接している箇所では、スラリー16に含まれる分散媒が有する表面張力に応じてスラリー16が他の部分よりも膜厚に付着する(図5の中段参照)。このように、骨材粒子15とスラリー16に含まれる結合材粒子とを備え、スラリー16が満たされない箇所に空隙17が形成された成形体18が得られる。ここで、骨材粒子15には、上記した骨材粒子5と同様のものを適用することができ、詳細な説明は省略する。
さらに、成形により得られた成形体18を乾燥し(ステップS23)、次いでシリカ粉末および炭素粉末に埋めた状態で成形体18を焼成する(ステップS24)。以上の各工程により、図5の下段に示す焼成体(多孔質体)21の製造が終了する。
このように、実施形態に係る多孔質体21の製造方法によれば、骨材粒子15の大きさに応じた骨材19およびスラリー16の組成に応じた結合材20を有し、空隙17に応じた気孔22を含む多孔質体21が得られる。かかる多孔質体21は、隣り合う骨材粒子15間で密に残留する結合材粒子が、骨材粒子15の結合を適切に補助することにより、平均気孔径および気孔率に比して耐熱衝撃性および高温強度に優れたものとなる。
なお、図5の下段では、隣り合う骨材19と近接している箇所にのみ結合材20が配置された多孔質体21について図示したが、骨材19の一部または全体を覆うように結合材20がさらに配置されてもよい。
次に、実施形態に係る多孔質体を製造する方法の第2変形例について、図6、図7を用いて説明する。
図6は、実施形態に係る多孔質体を製造する処理手順を示すフローチャートであり、図7は、実施形態に係る多孔質体の製造方法の概要を説明する説明図である。
図6に示すように、まず、結合材粒子と固形化剤と分散媒とを混合する(ステップS31)。ここで、結合材粒子には、上記したスラリー16で使用したものと同様のものが適用される。すなわち、結合材粒子は上記した第1の結合材粒子1および第2の結合材粒子2の両方を含んでもよく、またいずれか一方のみを適用してもよい。
また、固形化剤には、たとえば、ゲル化剤および硬化剤として知られている1または2種類以上のものが適用される。具体的には、たとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂およびポリアミン系硬化剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
また、分散媒には、上記したスラリー16で使用したものと同様の液状媒体が適用される。具体的には、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
次に、ステップS31において得られたスラリー26を骨材粒子25に付着させる(ステップS32)。具体的には、たとえばスラリー26と骨材粒子25とを適切な割合で混合させると、スラリー26の粘性等の性状に応じて、骨材粒子25の表面にほぼ均等の厚さを有するようにスラリー26が付着する。ここで、骨材粒子25には、上記した骨材粒子5,15と同様のものを適用することができ、詳細な説明は省略する。また、スラリー26と骨材粒子25との配合比は、質量換算でたとえば10:90〜30:70とすることができる。このようにスラリー26と骨材粒子25との配合比を規定することにより、平均気孔径および気孔率を多孔質体としての実使用に適したものとすることができる。
次に、スラリー26を付着させた骨材粒子25を型に入れて成形する(ステップS33)。上記した成形体24において、隣り合う骨材粒子25と接触または近接している箇所では、スラリー26中の結合材粒子が他の部分よりも多く付着するようにスラリー26に含まれる分散媒が有する表面張力に応じて移動する。これにより、スラリー26を付着させた骨材粒子25の間に空隙27が形成された成形体24が得られる(図7の上段参照)。
続いて、成形により得られた成形体24中のスラリー26を硬化させる(ステップS34)。具体的には、スラリー26中に含まれる固形化剤の種類に応じて、自然乾燥や加熱や光照射などの適切な操作で作用させることにより、隣り合う骨材粒子25の間および骨材粒子25の外周に硬化スラリー28が形成される(図7の中段参照)。
さらに、スラリー26を硬化させて硬化スラリー28が形成された成形体24を脱脂する(ステップS35)。具体的には、骨材粒子25や結合材粒子の種類に応じて、予め定められた温度条件下で固形化剤等の有機成分を分解して除去する処理を実行する。なお、かかるステップS35または上記したステップS34において、必要に応じて、成形体24中の水分を除去する乾燥処理を行ってもよい。また、固形化剤等の有機成分の種類および配合量によってはかかるステップS35を省略してもよい。
最後に、シリカ粉末および炭素粉末に埋めた状態で成形体24を焼成する(ステップS36)。以上の各工程により、図7の下段に示す焼成体(多孔質体)31の製造が終了する。
このように、実施形態に係る多孔質体31の製造方法によれば、骨材粒子25の大きさに応じた骨材29およびスラリー26の組成に応じた結合材30を有し、空隙27に応じた気孔32を含む焼成体31が得られる。かかる焼成体31は、隣り合う骨材粒子25間で密に残留する結合材粒子が、骨材粒子25の結合を適切に補助することにより、平均気孔径および気孔率に比して耐熱衝撃性および高温強度に優れたものとなる。
なお、図7の下段では、隣り合う骨材29と近接している箇所にのみ結合材30が配置された焼成体31について図示したが、骨材29の一部または全体を覆うように結合材30がさらに配置されてもよい。
また、図9では、第1の部材311および第2の部材312がいずれも多孔質体11であるとして説明したが、第1の部材311および第2の部材312のうち一方またはその両方が多孔質体21であってもよく、また、多孔質体31であってもよい。
また、上記した実施形態では、第1の部材311および第2の部材312として焼成済みの多孔質体11(21,31)を適用し、これらを接合材で接合させて多孔質接合体310を形成するとして説明したが、多孔質接合体310の作製方法はこれに限らない。たとえば、第1の部材311および第2の部材312に対応する焼成前の成形体6で接合材を挟むように保持し、これらを焼成させることで多孔質接合体310を形成するようにしてもよい。
上述してきたように、実施形態に係る多孔質体は、平均粒子径が800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材と、骨材を結合する炭化珪素の結合材とを含む。また、平均気孔径が200μm以上、気孔率が30体積%以上であり、かつ、15mm以上100mm以下の厚みを有する。
したがって、実施形態に係る多孔質体によれば、耐熱衝撃性および高温強度に優れた多孔質体を提供することができる。
(実施例1)
平均粒子径が4μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「第1の結合材粒子1」に対応)65質量%と、平均粒子径が10μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「第2の結合材粒子2」に対応)15質量%と、有機バインダ(PVA)2質量%と、水18質量%とを、高速混合・造粒機にて混合および造粒し、平均粒子径が50μmの造粒体4を得た。
平均粒子径が2mmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「骨材粒子5」に対応)75質量%と、得られた造粒体4を15質量%と、多糖類系バインダ(デキストリン)5質量%と、水5質量%とを、混合攪拌機を用いて攪拌し、混合物を得た。次に、得られた混合物を0.05ton/cm以上の圧力でプレス成形し、成形体6を得た。そして、成形体6を炭素粉末およびシリカ粉末に埋めた状態で焼結温度2300℃のアルゴン雰囲気にて焼成し、厚さt1が25mmの多孔質体11(金属溶湯用濾過フィルタ110)を得た。
(実施例2)
平均粒子径が4μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「結合材粒子3」に対応)80質量%と、有機バインダ(PVA)2質量%と、水18質量%とを、高速混合・造粒機にて混合および造粒し、平均粒子径が40μmの造粒体4を得た。
平均粒子径が2mmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「骨材粒子5」に対応)75質量%と、得られた造粒体4を15質量%と、多糖類系バインダ(デキストリン)5質量%と、水5質量%とを、混合攪拌機を用いて攪拌し、混合物を得た。次に、得られた混合物を0.05ton/cm以上の圧力でプレス成形し、成形体6を得た。そして、成形体6を炭素粉末およびシリカ粉末に埋めた状態で焼結温度2350℃のアルゴン雰囲気にて焼成し、厚さt1が70mmの多孔質体11(金属溶湯用濾過フィルタ110)を得た。
(実施例
平均粒子径が4μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「第1の結合材粒子1」に対応)65質量%と、平均粒子径が10μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「第2の結合材粒子2」に対応)15質量%と、有機バインダ(PVA)2質量%と、水18質量%とを、高速混合・造粒機にて混合および造粒し、平均粒子径が55μmの造粒体4を得た。
平均粒子径が2mmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「骨材粒子5」に対応)60質量%と、得られた造粒体4を30質量%と、多糖類系バインダ(デキストリン)5質量%と、水5質量%とを、混合攪拌機を用いて攪拌し、混合物を得た。次に、得られた混合物を0.05ton/cm以上の圧力でプレス成形し、成形体6を得た。そして、成形体6を炭素粉末およびシリカ粉末に埋めた状態で焼結温度2450℃のアルゴン雰囲気にて焼成し、厚さt1が18mmの多孔質体11(金属溶湯用濾過フィルタ110)を得た。
(実施例
平均粒子径が4μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「結合材粒子」に対応)60質量%と、有機バインダ(PVA)2質量%と、水38質量%とをボールミルにて混合し、スラリー16を得た。
平均粒子径が2mmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「骨材粒子15」に対応)50質量%を金属メッシュ上に置かれた型に敷き詰める。上記の手順で得られた50質量%のスラリー16を型に敷き詰められた骨材粒子15に流し込み、残余のスラリー16は金属メッシュ上の型から排出させることで、80質量%の骨材粒子15および20質量%のスラリー16を含有する成形体18を得た。得られた成形体18を乾燥させた後、カーボンおよびシリカに埋めた状態で焼結温度2250℃のアルゴン雰囲気にて焼成し、厚さt1が30mmの多孔質体21(金属溶湯用濾過フィルタ110)を得た。
(実施例
平均粒子径が4μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「結合材粒子」に対応)75質量%と、固形化剤としてゲル化剤(エポキシ樹脂)1質量%および硬化剤(ポリアミン系硬化剤)1質量%と、水23質量%とをボールミルにて混合し、スラリー26を得た。
次いで、得られたスラリー26を25質量%と、平均粒子径2mmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「骨材粒子25」に対応)75質量%とを混合攪拌機を用いて混合し、骨材粒子25の表面にスラリー26を付着させた。
スラリー26を付着させた骨材粒子25を型に入れ、成形体24を得た。得られた成形体24の乾燥およびスラリー26の硬化を80℃で行い、次いでカーボンおよびシリカに埋めた状態にて、2300℃のアルゴン雰囲気で焼成し、厚さt1が25mmの多孔質体31(金属溶湯用濾過フィルタ110)を得た。
(実施例
成形体6の形状を変更したことを除き、実施例1と同様の方法により、厚さt2が12mmの多孔質体11(焼成用治具210)を得た。
(実施例
成形体6の形状を変更したことを除き、実施例2と同様の方法により、厚さt2が30mmの多孔質体11(焼成用治具210)を得た。
(実施例
成形体6の形状を変更したことを除き、実施例と同様の方法により、厚さt2が6mmの多孔質体11(焼成用治具210)を得た。
(実施例
成形体18の形状を変更したことを除き、実施例と同様の方法により、厚さt2が16mmの多孔質体21(焼成用治具210)を得た。
(実施例1
成形体24の形状を変更したことを除き、実施例と同様の方法により、厚さt2が10mmの多孔質体31(焼成用治具210)を得た。
(実施例1
平均粒子径200μmの炭化珪素粉末50質量%と、平均粒子径10μmの炭化珪素粉末10質量%と、平均粒子径5μmの炭化珪素粉末40質量%と、平均粒子径0.5μmの黒鉛0.5質量%と、2種類の多糖類系バインダであるデキストリン5質量%およびセルロース0.1質量%と、水20質量%とを混合攪拌機を用いて撹拌し、接合材を得た。
次に、板状の多孔質体11(実施例で作製した焼成用治具210に相当)を2つ予め用意し、一方の多孔質体11の表面には得られた接合材を刷毛で塗布し、接合材が塗布された面を他方の多孔質体11の表面に重ねて圧接させた。次いで、接合材を挟んだ2つの多孔質体11を炭素粉末およびシリカ粉末に埋めた状態で焼結温度2300℃のアルゴン雰囲気にて焼成し、接合層313を挟んで2つの多孔質体11(第1の部材311および第2の部材312に相当)が接合された構造を有する多孔質接合体310を得た。
(比較例1)
平均粒子径が150μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「骨材粒子5」に対応)75質量%と、平均粒子径が4μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「第1の結合材粒子1」に対応)10質量%と、平均粒子径が10μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「第2の結合材粒子2」に対応)5質量%と、有機バインダ(デキストリン)5質量%と、水5質量%とを、混合攪拌機を用いて攪拌し、混合物を得た。
次に、得られた混合物を0.05ton/cm以上の圧力でプレス成形し、成形体6を得た。そして、成形体6を炭素粉末およびシリカ粉末に埋めた状態で焼結温度2300℃のアルゴン雰囲気にて焼成し、厚さt1が30mmの焼成体(金属溶湯用濾過フィルタ)を得た。
(比較例2)
平均粒子径が150μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「骨材粒子5」に対応)75質量%と、平均粒子径が4μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「第1の結合材粒子1」に対応)10質量%と、平均粒子径が10μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「第2の結合材粒子2」に対応)5質量%と、有機バインダ(デキストリン)5質量%と、水5質量%とを、混合攪拌機を用いて攪拌し、混合物を得た。
次に、得られた混合物を0.05ton/cm以上の圧力でプレス成形し、成形体6を得た。そして、成形体6を炭素粉末およびシリカ粉末に埋めた状態で焼結温度2400℃のアルゴン雰囲気にて焼成し、厚さt1が40mmの焼成体(金属溶湯用濾過フィルタ)を得た。
(比較例3)
平均粒子径が4μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「第1の結合材粒子1」に対応)30質量%と、平均粒子径が10μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「第2の結合材粒子2」に対応)10質量%と、平均粒径が2μmの金属珪素を40質量%と、有機バインダ(PVA)2質量%と、水18質量%とを、高速混合・造粒機にて混合および造粒し、平均粒子径が50μmの造粒体4を得た。
平均粒子径が150μmの炭化珪素粉末(SiC含有量99質量%以上、「骨材粒子5」に対応)80質量%と、得られた造粒体4を10質量%と、多糖類系バインダ(デキストリン)5質量%と、水5質量%とを、混合攪拌機を用いて攪拌し、混合物を得た。次に、得られた混合物を0.05ton/cm以上の圧力でプレス成形し、成形体6を得た。そして、成形体6を炭素粉末およびシリカ粉末に埋めた状態で焼結温度2250℃のアルゴン雰囲気にて焼成し、厚さt1が20mmの焼成体(金属溶湯用濾過フィルタ)を得た。
(比較例4)
成形体6の形状を変更したことを除き、比較例1と同様の方法により、厚さt2が10mmの焼成体(焼成用治具)を得た。
(比較例5)
成形体6の形状を変更したことを除き、比較例2と同様の方法により、厚さt2が30mmの焼成体(焼成用治具)を得た。
(比較例6)
成形体6の形状を変更したことを除き、比較例3と同様の方法により、厚さt2が15mmの焼成体(焼成用治具)を得た。
各実施例および比較例における骨材の平均粒子径、多孔質体(焼成体)の気孔率、平均気孔径、嵩比重、曲げ強度、高温曲げ強度(1500℃)、金属珪素およびホウ素の含有量、SiCの含有量、熱伝導率、耐熱衝撃性および耐熱温度を表1にまとめて示す。ここで、「耐熱衝撃性」は、以下のようにして測定した。
まず、多孔質体を400mm×400mm×厚さ30mmとなるように焼成および加工した試料を作製した。次に、同サイズの煉瓦質セッターの上に、四隅に配置した支柱を介してこの試料を配置し、電気炉にて高温加熱して1時間以上所望の温度に保持した後に、電気炉からすばやく取り出して室温の大気に晒し、肉眼にてサンプルの割れの有無を評価した。設定温度を300℃から550℃まで50℃ずつ昇温させながら順次評価を行い、割れの生じない温度の上限を「耐熱衝撃性」の値として規定した。
また、「耐熱温度」は、以下のようにして測定した。まず、多孔質体を20mm×10mm×厚さ120mmとなるように焼成および加工した試料を作製した。スパン長さを90mmとした冶具を電気炉内に設置し、その冶具上に試料を載せた。次に、試料中央に常温曲げ強度の50%に相当する荷重を加え、高温加熱して4時間以上所望の設定温度に保持した後に、温度を室温まで降温し、試料のたわみを確認した。たわみの確認は、試料の長さ方向に直尺をあて、直尺と試料との隙間を隙間ゲージにて評価した。設定温度を800℃から1700℃まで50℃ずつ昇温させながら順次評価を行い、試料が破損もしくは3mm以上たわんだときの温度を「耐熱温度」の値として規定した。
また、実施例1については、接合層313における炭化珪素粉末の平均粒子径、接合層313の厚さ、接合層313の気孔率および接合層313の嵩比重を、接合層313を含む多孔質接合体310全体における骨材の平均粒子径、気孔率、平均気孔径、曲げ強度、破壊のモード、高温曲げ強度(1500℃)、高温での破壊のモード、熱伝導率、耐熱衝撃性および耐熱温度とともに表2に示す。
なお、多孔質接合体310の破壊のモードは、上記した曲げ強度の評価後、破壊した試料の引張面を観察し、その破壊個所によって3つに分類し評価したものである。具体的には、破壊が母材、すなわち第1および第2の部材311,312から生じる場合を母材割れ、接合界面から生じる場合を界面割れ、接合層313から生じる場合を接合層割れと評価した。また、多孔質接合体310の高温での破壊のモードは、高温曲げ強度の評価後、上記した多孔質接合体310の破壊のモードと同様に観察した結果を評価したものである。
Figure 0006117431
Figure 0006117431
なお、記載は省略したが、実施例1〜および比較例1〜3とは形状のみが異なる実施例7〜1および比較例4〜6について、上記した実施例1〜および比較例1〜3とそれぞれ同様の測定結果が得られた。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 第1の結合材粒子
2 第2の結合材粒子
3 結合材粒子
4 造粒体
5,15,25 骨材粒子
6,18,24 成形体
7,17,27 空隙
8,19,29 骨材
9,20,30 結合材
10 ネック
11,21,31 多孔質体(焼成体)
12,22,32 気孔
16,26 スラリー
28 硬化スラリー
110 金属溶湯用濾過フィルタ
113 外周面
114 内周面
210 焼成用治具
213 焼成用棚板
310 多孔質接合体
410 多孔質接合体(ボックスフィルタ)

Claims (23)

  1. 平均粒子径が800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材と、
    前記骨材を結合する炭化珪素の結合材と
    を含み、
    平均気孔径が200μm以上、気孔率が30体積%以上であり、かつ、15mm以上100mm以下の厚みを有する、多孔質体。
  2. 嵩比重が1.5以上2.3以下である、請求項1に記載の多孔質体。
  3. 炭化珪素の含有量が95質量%以上である、請求項1または2に記載の多孔質体。
  4. 熱伝導率が10W/(m・K)以上80W/(m・K)以下である、請求項1〜のいずれか1つに記載の多孔質体。
  5. 複数の多孔質体と、
    前記複数の多孔質体を接合する接合層とを備え、
    前記複数の多孔質体はそれぞれ、請求項1〜のいずれか1つに記載の多孔質体である、多孔質接合体。
  6. 平均粒子径が800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材と、
    前記骨材を結合する炭化珪素の結合材とを含み
    平均気孔径が200μm以上、気孔率が30体積%以上の多孔質体を含む、金属溶湯用濾過フィルタ。
  7. 複数の多孔質体と、
    前記複数の多孔質体を接合する接合層とを備える多孔質接合体を含み、
    前記複数の多孔質体はそれぞれ、
    平均粒子径が800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材と、
    前記骨材を結合する炭化珪素の結合材とを含み、
    平均気孔径が200μm以上、気孔率が30体積%以上の多孔質体である、金属溶湯用濾過フィルタ。
  8. 曲げ強度が2MPa以上15MPa以下である、請求項またはに記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  9. 1500℃以下における高温曲げ強度が2MPa以上15MPa以下である、請求項のいずれか1つに記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  10. 15mm以上100mm以下の厚みを有する、請求項のいずれか1つに記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  11. 平均粒子径が800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材と、
    前記骨材を結合する炭化珪素の結合材とを含み
    平均気孔径が200μm以上、気孔率が30体積%以上の多孔質体を含む、焼成用治具。
  12. 複数の多孔質体と、
    前記複数の多孔質体を接合する接合層とを備える多孔質接合体を含み、
    前記複数の多孔質体はそれぞれ、
    平均粒子径が800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材と、
    前記骨材を結合する炭化珪素の結合材とを含み
    平均気孔径が200μm以上、気孔率が30体積%以上の多孔質体である、焼成用治具。
  13. 曲げ強度が7MPa以上30MPa以下である、請求項1または1に記載の焼成用治具。
  14. 1500℃以下における高温曲げ強度が7MPa以上30MPa以下である、請求項1〜1のいずれか1つに記載の焼成用治具。
  15. 5mm以上30mm以下の厚みを有する、請求項1〜1のいずれか1つに記載の焼成用治具。
  16. 前記骨材の平均粒子径が3mm以下である、請求項1〜1のいずれか1つに記載の焼成用治具。
  17. 結合材粒子を含む混合物を造粒する造粒工程と、
    前記造粒工程によって得られた平均粒子径10μm以上の炭化珪素の造粒体と、平均粒子径800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材粒子との混合物を成形する成形工程と、
    前記成形工程によって得られた成形体を焼成する焼成工程と、を含む多孔質体の製造方法であって、
    前記多孔質体は、
    平均粒子径が800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材と、
    前記骨材を結合する炭化珪素の結合材とを含み
    平均気孔径が200μm以上、気孔率が30体積%以上である、製造方法
  18. 結合材粒子と分散媒とを混合する混合工程と、
    前記混合工程によって得られたスラリーを平均粒子径800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材粒子に流し込んで成形する成形工程と、
    前記成形工程によって得られた成形体を焼成する焼成工程と、を含む多孔質体の製造方法であって、
    前記多孔質体は、
    平均粒子径が800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材と、
    前記骨材を結合する炭化珪素の結合材とを含み
    平均気孔径が200μm以上、気孔率が30体積%以上である、製造方法
  19. 結合材粒子と、固形化剤と、分散媒とを混合する混合工程と、
    前記混合工程によって得られたスラリーを平均粒子径800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材粒子に付着させる付着工程と、
    スラリーが付着した骨材粒子を型に入れて成形する成形工程と、
    前記成形工程によって得られた成形体中のスラリーを硬化させる硬化工程と、
    スラリーを硬化させた成形体を焼成する焼成工程と、を含む多孔質体の製造方法であって、
    前記多孔質体は、
    平均粒子径が800μm以上4mm以下の炭化珪素の骨材と、
    前記骨材を結合する炭化珪素の結合材とを含み
    平均気孔径が200μm以上、気孔率が30体積%以上である、製造方法
  20. 前記結合材粒子が、第1の結合材粒子と、前記第1の結合材粒子よりも平均粒子径が大きい第2の結合材粒子とを含む、請求項119のいずれか1つに記載の多孔質体の製造方法。
  21. 前記多孔質体が金属溶湯用濾過フィルタである、請求項1〜2のいずれか1つに記載の多孔質体の製造方法。
  22. 前記多孔質体が焼成用治具である、請求項1〜2のいずれか1つに記載の多孔質体の製造方法。
  23. 前記骨材粒子の平均粒子径が3mm以下である、請求項2に記載の多孔質体の製造方法。
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