JP6423726B2 - 金属溶湯用濾過フィルタおよび金属溶湯用濾過フィルタの製造方法 - Google Patents

金属溶湯用濾過フィルタおよび金属溶湯用濾過フィルタの製造方法 Download PDF

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Description

開示の実施形態は、金属溶湯用濾過フィルタおよび金属溶湯用濾過フィルタの製造方法に関する。
従来、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属を溶解させた金属溶湯に含まれる介在物を除去する金属溶湯用濾過フィルタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2011−79045号公報
上記した金属溶湯用濾過フィルタの介在物の捕集性能を向上させるには、フィルタとなるセラミックスの気孔径を小さくすれば良い。しかしながら、かかる場合には細かな介在物が気孔に滞留していき、濾過能力が低下しやすくなり、濾過フィルタの寿命が短くなってしまう。このように金属溶湯用濾過フィルタの介在物の捕集性能はさらなる改善の余地がある。
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、優れた介在物の捕集性能を有し、かつ長寿命な金属溶湯用濾過フィルタおよび金属溶湯用濾過フィルタの製造方法を提供することを目的とする。
実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタは、骨材の平均粒子径が200μm以上2500μm以下であり、内周面における前記骨材の平均粒子径が、外周面における前記骨材の平均粒子径の−10%以上+10%以下である円筒形状を有する。また、前記内周側から前記外周側にわたって気孔率が漸増する。
実施形態の一態様によれば、優れた介在物の捕集性能を有し、かつ長寿命な金属溶湯用濾過フィルタおよび金属溶湯用濾過フィルタの製造方法を提供することができる。
図1Aは、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタの概要を説明する説明図である。 図1Bは、図1AのA−A’断面図である。 図2は、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタにおける気孔率分布の一例を模式化したグラフである。 図3は、図1BのB−B’断面を拡大視した図である。 図4は、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタの製造方法の一例を示すフローチャートである。 図5は、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタの評価装置の概要を説明する模式図である。
以下、添付図面を参照して、本願の開示する金属溶湯用濾過フィルタおよび金属溶湯用濾過フィルタの製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
まず、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタについて、図1A〜図2を用いて説明する。図1Aは、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタの概要を説明する説明図、図1Bは、図1AのA−A’断面図である。また、図2は、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタにおける気孔率分布の一例を模式化したグラフである。
図1A、図1Bに示すように、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ1は、内周面2および外周面3を有するように構成された円筒形状の部材として形成される。金属溶湯内の介在物は、外周面3から内周面2に向けて金属溶湯が流通する間に捕集される。そして、清浄化された金属溶湯が内周面2で囲まれた中空部分から外部へ排出される。
かかる金属溶湯用濾過フィルタ1は、その内周側および外周側において平均粒子径に差がない骨材を含む。ここで、「平均粒子径に差がない骨材」とは、外周面3の平均粒子径の−10%以上+10%以下の範囲に内周面2の平均粒子径が入るものをいう。なお、骨材の平均粒子径については、図3を用いて後述する。
また、金属溶湯用濾過フィルタ1は、気孔率が内周側から外周側にわたって漸増するように形成されている。すなわち、図2に例示するように、内周側から外周側にわたり気孔率が連続的に増加する構成が実現される。このため、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ1によれば、気孔率に応じて介在物が金属溶湯用濾過フィルタ1の全体で適切に捕集され、介在物の捕集性能が向上する。
また、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ1は、単層で構成される。このため、気孔径および/または気孔率の異なる複数の層を積層した構成とは異なり、接合面およびその近傍のみならず厚さ方向の全体にわたり、金属溶湯に含まれる介在物の大きさに見合う気孔径を有する金属溶湯用濾過フィルタ1の内部で介在物が捕集される。また、金属溶湯用濾過フィルタ1は気孔が不連続となりうる接合面を有せず、たとえばかかる接合面において金属溶湯が滞留し、円滑な流通が阻害されることはない。さらに、金属溶湯用濾過フィルタ1は接合面を有しないので、たとえば熱膨張率の相違等に基づいて積層構造が接合面から剥離することもない。このように、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ1によれば、上記したような積層構造に起因する不具合を生じることなく、長期にわたり介在物の捕集性能を維持することができる。
次に、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ1の製造方法の一例について説明する。金属溶湯用濾過フィルタ1は、混練、充填、成形、乾燥、脱脂および焼成の各工程を含む製造方法により製造される。以下では、上記した各工程について順に説明する。
まず、混練工程について説明する。混練工程は、骨材粒子と無機結合材とを含む混合物を混練し、坏土を調製する工程である。具体的には、骨材粒子と、無機結合材と、有機バインダと、水とを含み、金属溶湯用濾過フィルタ1の原材料を構成する混合物が、たとえば混合攪拌機などの図示しない混練装置を用いて混練される。
ここで、原料となる骨材粒子としては、たとえば、電融アルミナ、焼結アルミナなどのアルミナのうち1種以上を適用することができるが、これに限定されるものではない。
また、骨材粒子の平均粒子径は200μm以上2500μm以下であり、好ましくは250μm以上2000μm以下であり、より好ましくは500μm以上1700μm以下である。このように原料となる骨材粒子の平均粒子径を規定することにより、金属溶湯用濾過フィルタ1における骨材の平均粒子径を制御することができる。ここで、「骨材粒子の平均粒子径」とは、JISR6002:1998により篩を用いて測定したものである。具体的には、一つの篩の上に残った骨材粒子の粒子径は、すぐ上の篩の目開きの寸法と骨材粒子が上に残った篩の目開きの寸法との平均値とする。そして、各粒子径を有する骨材粒子の質量が骨材全体の質量に対して占める割合を度数とする度数分布に基づいて骨材粒子の平均粒子径が算出される。
また、無機結合材としては、三酸化ホウ素、アルミナ、酸化マグネシウムおよびシリカのうち1種以上を適用することができるが、これに限定されるものではない。このうち、三酸化ホウ素およびアルミナを適用すると、焼成によりその一部が反応し、9Al・2Bの針状結晶が生成する。
また、有機バインダとしては、たとえば、デンプン系、セルロース系および多糖類系のうち1種以上を適用することができるが、これに限定されるものではない。
また、水としては、含有する不純物が少ない脱イオン水または蒸留水が好適に使用される。
なお、骨材粒子を適切に焼成させるために、焼成助剤を添加して混練してもよい。また、必要であれば有機造孔剤、潤滑剤、可塑剤および離型剤などの各種添加剤を添加して混練してもよい。
次に、充填工程について説明する。充填工程は、上記した混練工程によって得られた坏土を、予め用意した成形用の型に充填する工程である。
次に、成形工程について説明する。成形工程は、上記した充填工程によって充填された坏土に対し、内周側の圧力が外周側の圧力よりも高くなるように圧力を加える工程である。具体的には、たとえば、モールド内に充填された坏土を、先端が平たい鏨を用いて、4気圧のエアバイブレーターで内周側のみを振動加圧するように圧縮すると、内周側の圧力を外周側の圧力よりも高くすることができるが、これに限定されない。このように内周側と外周側との間で充填された坏土に加える圧力を異ならせることで、坏土の嵩比重が内周側から外周側にわたって徐々に低下するように成形される。かかる成形工程は、上記した充填工程と並行して、または充填工程と交互に行うことが好ましいが、坏土の性状によっては充填工程の後に行ってもよい。
次に、乾燥工程について説明する。乾燥工程は、上記した成形工程によって得られた成形体を乾燥させる工程である。かかる乾燥工程により、成形体から水分が除去される。
次に、脱脂工程について説明する。脱脂工程は、上記した乾燥工程において水分が除去された成形体から有機バインダ等の有機成分を除去する工程である。具体的には、予め定められた温度、時間等の諸条件下に成形体が晒されることにより、成形体に含まれる有機成分が分解、除去される。また、有機造孔剤が除去された場合には、有機造孔剤の形状に対応する気孔が生成する。
最後に、焼成工程について説明する。焼成工程は、上記した脱脂工程において有機成分が除去された成形体を、図示しない焼成装置で焼成する工程である。焼成により得られる焼成体は、成形体における坏土の嵩比重に対応するように内周側から外周側にわたって気孔率が漸増するように構成される。かかる焼成体は、必要により端部の加工処理等が施され、金属溶湯用濾過フィルタ1として利用される。
このように、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ1の製造方法によれば、骨材粒子の平均粒子径および配合量ならびに成形工程において坏土に加えられる圧力等に基づき、内周側から外周側にわたって気孔率が漸増する単層構造の金属溶湯用濾過フィルタ1が製造される。
なお、金属溶湯用濾過フィルタ1の製造方法は、上記したものに限定されず、いかなる方法であってもよい。以下では、上記した製造方法によって製造される金属溶湯用濾過フィルタ1について、図3を用いてさらに説明する。
図3は、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ1を概略的に説明するための図である。かかる図3は、図1BのB−B’断面を拡大視した図に相当する。
図3に示すように、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ1は、骨材4と、骨材4同士を結合させる図示しない無機結合材とを含み、気孔率が内周側から外周側にわたって漸増するように気孔5が形成されている。
骨材4の平均粒子径は200μm以上2500μm以下であり、好ましくは250μm以上2000μm以下であり、より好ましくは500μm以上1700μm以下である。骨材4の平均粒子径を上記した範囲とすることにより、たとえば後述する気孔率および気孔径を適切に制御することができる。
また、金属溶湯用濾過フィルタ1の内周面2における骨材4の平均粒子径は、外周面3における骨材4の平均粒子径の−10%以上+10%以下であることが好ましい。このように内周側から外周側にわたり骨材4の平均粒子径を同程度とすることにより、たとえば後述する気孔率および気孔径を適切に制御することができる。
ここで、「骨材4の平均粒子径」は、厚さ方向に切断した金属溶湯用濾過フィルタ1のSEM(Scanning Electron Microscope)画像を撮像し、かかるSEM画像からラインインターセプト法により算出した値である。具体的には、まず、金属溶湯用濾過フィルタ1の切断面を撮像したSEM画像において、内周面2(または外周面3)から厚さ方向に所定の間隔(具体的には、200μm)ごとに、この厚さ方向に垂直、すなわち長さ方向に全長L(具体的には、10mm)のライン6を引く。次いで、このライン6上に存在する骨材4の粒子径を、(長径+短径)/2としてそれぞれ算出し、その総和をライン6上に存在する骨材4の個数n(図3では、n=4)で除した値を、その厚さにおける骨材4の平均粒子径と規定する。そして、各厚さにおいて同様に算出した骨材4の平均粒子径をさらに平均した値を、金属溶湯用濾過フィルタ1の平均粒子径と規定する。
また、内周面2/外周面3における骨材4の平均粒子径は、上記したライン6を内周面2/外周面3に一致させたときに算出される骨材4の平均粒子径をいう。
なお、図3に示すライン6から、平均気孔径についても算出することができる。すなわち、ライン6上に沿って気孔5の長さを計測し、その総和をライン6上に存在する気孔5の数m(図3では、m=4)で除した値を、その厚さにおける平均気孔径と規定する。以下では、金属溶湯用濾過フィルタ1における好ましい平均気孔径について説明する。
すなわち、金属溶湯用濾過フィルタ1の内周面2の平均気孔径は、好ましくは100μm以上500μm以下であり、より好ましくは100μm以上400μm以下であり、さらに好ましくは100μm以上300μm以下である。内周面2の平均気孔径が100μm未満だと、たとえば金属溶湯の流通量を確保することができず、濾過を円滑に行うことが困難となる場合がある。また、内周面2の平均気孔径が500μmを超えると、たとえば金属溶湯内の介在物が捕集されずに金属溶湯用濾過フィルタ1を通過してしまう場合がある。
さらに、金属溶湯用濾過フィルタ1の外周面3の平均気孔径は、好ましくは150μm以上1500μm以下であり、より好ましくは320μm以上1500μm以下であり、さらに好ましくは550μm以上1500μm以下である。外周面3の平均気孔径が150μm未満だと、たとえば金属溶湯の流通量を増大させることができず、短時間で濾過を行うことが困難となる場合がある。また、外周面3の平均気孔径が1500μmを超えると、たとえば金属溶湯内の比較的大きな介在物の大部分が金属溶湯用濾過フィルタ1の外周面3の近傍で捕集されないまま内周面2の近傍まで達し、フィルタ寿命の低下に直結する場合がある。
また、金属溶湯用濾過フィルタ1は、内周面2から外周面3までの厚さに対して内周面2から10%以上の厚さにわたり、好ましくは平均気孔径が500μm以下であり、より好ましくは400μm以下であり、さらに好ましくは300μm以下である。また、金属溶湯用濾過フィルタ1の厚さが2000μm以上の場合、内周面2から厚さ2000μm以上にわたり平均気孔径が500μm以下であることが好ましい。内周側の平均気孔径を上記した範囲とすることにより、たとえば長期にわたり介在物を適切に捕集することができる。
さらに、金属溶湯用濾過フィルタ1は、内周面2から外周面3までの厚さに対して外周面3から10%以上の厚さにわたり、好ましくは平均気孔径が150μm以上であり、より好ましくは320μm以上であり、さらに好ましくは550μm以上である。また、金属溶湯用濾過フィルタ1の厚さが3000μm以上の場合、外周面3から厚さ2500μm以上にわたり平均気孔径が150μm以上であることが好ましい。外周側の平均気孔径を上記した範囲とすることにより、たとえば金属溶湯の流通量を確保することで金属溶湯の濾過を長期にわたり円滑に行うことができる。
また、金属溶湯用濾過フィルタ1は、内周面2の気孔率が25%以上45%以下であることが好ましい。内周面2の気孔率が25%未満だと、たとえば金属溶湯の流通量を確保することができず、濾過を円滑に行うことが困難となる場合がある。また、内周面2の気孔率が45%を超えると、たとえば微細な介在物を除去することができない場合がある。なお、気孔率については、図3を用いて後述する。
さらに、金属溶湯用濾過フィルタ1は、外周面3の気孔率が45%以上65%以下であることが好ましい。外周面3の気孔率が45%未満だと、たとえば金属溶湯の流通量を確保することができず、濾過を円滑に行うことが困難となる場合がある。また、外周面3の気孔率が65%を超えると、たとえば金属溶湯用濾過フィルタ1の機械的強度を確保することができない場合がある。ここで、気孔率について、たとえば「外周面3の気孔率」は、以下のように算出される。
すなわち、厚さ方向に切断した金属溶湯用濾過フィルタ1のSEM画像(図3参照)において、外周面3から厚さ方向に所定の幅(具体的には、2mm)を有し、この厚さ方向に垂直、すなわち長さ方向に所定の長さ(具体的には、10mm)を有する領域7を区画する。次いで、この領域7の内部にある気孔5の総面積を算出する。そして、領域7の面積に対する気孔5の総面積の割合を外周面3の気孔率と規定する。同様に、外周面3から厚さ方向にある幅だけ内周側にずらした測定箇所(たとえば、外周面3から2mm〜4mm)において上記した領域7を区画したときに、上記した外周面3の気孔率と同様にして算出された気孔率の値を、当該測定箇所における気孔率と規定する。
また、「内周側から外周側にわたって気孔率が漸増する」とは、たとえば内周面2から外周面3に向けて、金属溶湯用濾過フィルタ1の全体の厚さに対し、厚さ方向に1/3ごとに領域7を区画し、上記した方法により測定した領域7ごとの気孔率が、内周側から外周側に向かうに従い漸増していることをいう。この漸増の程度は連続的であるほど望ましい。具体的には、たとえば、上記した内周面2から外周面3に向けて領域7を区画する間隔(ピッチともいう)を、好ましくは200μm、より好ましくは150μm、さらに好ましくは100μmとした場合においても内周側から外周側に向かうに従って気孔率が漸増している構成が好ましい。
また、金属溶湯用濾過フィルタ1は、X線回折法で測定される、α−アルミナ(2θ=35.1±0.5°、43.4±0.5°、57.5±0.5°)のピーク強度の合計Tに対する9Al・2B(2θ=16.4±0.5°、20.3±0.5°、26.4±0.5°)のピーク強度の合計kの比k/Tは0.1以上1以下であることが好ましい。k/Tを上記した範囲とすることにより、たとえば介在物の捕集能力がさらに向上する。
次に、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ1の製造方法について、図4を用いて説明する。図4は、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ1を製造する処理手順を示すフローチャートである。
図4に示すように、まず、骨材粒子と、無機結合材と、有機バインダと、水とを含む混合物を混練して坏土を調製する(ステップS11)。有機造孔剤などの各種添加剤は、このタイミングで添加するとよい。
続いて、ステップS11において調製した坏土を充填する(ステップS12)。次に、充填した坏土を、内周側の圧力が外周側の圧力よりも高くなるように加圧して成形する(ステップS13)。続いて、加圧して成形された成形体を乾燥させる乾燥(ステップS14)および有機バインダ等の有機成分を除去する脱脂(ステップS15)を順次行い、引き続いて成形体を焼成する(ステップS16)。以上の各工程により、実施形態に係る一連の金属溶湯用濾過フィルタ1の製造が終了する。
上述してきたように、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ1は、骨材の平均粒子径が200μm以上2500μm以下であり、内周面における前記骨材の平均粒子径が、外周面における前記骨材の平均粒子径の−10%以上+10%以下である円筒形状を有し、内周側から外周側にわたって気孔率が漸増する。
したがって、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタ1によれば、介在物の捕集性能を向上させるとともに、長寿命とすることができる。
なお、上記した実施形態では、脱脂工程(ステップS15)は必須の工程として説明したが、有機バインダなどの有機成分の種類および配合量によっては省略してもよい。かかる場合、有機成分は焼成工程(ステップS16)において分解、除去される。
(実施例1)
平均粒子径が200μmの電融アルミナ(「骨材粒子」に対応)100質量部と、無機結合材10質量部とを含む混合物に、アルカリ分、有機バインダおよび水を適量添加して混練し、坏土を調製した。次いで、坏土に対し、内周側の圧力が外周側の圧力よりも高くなるように圧力を加えつつ円筒状の成形体を作製し、乾燥、脱脂の後、1250℃で焼成し、外径100mm×内径60mm×長さ870mmの金属溶湯用濾過フィルタ1を作製した。
(実施例2〜実施例16、比較例1〜比較例9)
骨材粒子の平均粒子径、無機結合材の組成および坏土に加える圧力を変更したことを除き、実施例1と同様にして金属溶湯用濾過フィルタ1をそれぞれ作製した。得られた金属溶湯用濾過フィルタ1の外周面2、中間部分(外周面2から9〜11mmの領域7)および内周面3における、骨材4の平均粒子径、気孔率および平均気孔径、ならびにX線回折法で測定される、α−アルミナ(2θ=35.1±0.5°、43.4±0.5°、57.5±0.5°)のピーク強度の合計Tに対する9Al・2B(2θ=16.4±0.5°、20.3±0.5°、26.4±0.5°)のピーク強度の合計kの比k/Tについて、実施例1の結果とともに表1に示す。
次に、上記した実施例および比較例において得られた金属溶湯用濾過フィルタ1に対し、介在物の捕集性能およびフィルタ寿命に関する評価を行った。以下では、まず、使用する評価装置の概要について、図5を用いて説明する。
図5は、実施形態に係る金属溶湯用濾過フィルタの評価装置の概要を説明する模式図である。まず、外径100mm×内径60mm×長さ20mmの円筒状となるように金属溶湯用濾過フィルタ1を加工した試験体11を作製し、図5に示す評価装置10に取り付ける。このとき、試験体11の外周面2から内周面3に向けて金属溶湯13が確実に通湯するように、試験体11の長さ方向の端面には封止部材12が取り付けられている。評価装置10の内部を加圧すると、金属溶湯13中の介在物14は、試験体11の気孔径に応じて捕集され、評価装置10から排出される金属溶湯13は、試験体11を通湯させる前よりも清浄化されている。
このような評価装置10を用いて、以下のようにして介在物の捕集性能およびフィルタ寿命に関する評価を行った。
(介在物の捕集性能の評価)
各実施例および比較例において作製した金属溶湯用濾過フィルタ1の試験体11を評価装置10に装着した。介在物14に見立てた1μm〜1000μmのスピネル粒子を混合した10kgの純アルミニウム製の金属溶湯13を評価装置10に入れ、評価装置10の上部から加圧して金属溶湯13を押し出すことにより試験を行った。濾過前後の金属溶湯13をサンプリングしてそれぞれのMg濃度を分析し、Mg濃度の減少量から、スピネル粒子(介在物14)の捕集性能を評価した。結果を表1に示す。なお、表1では、Mg濃度の残留量で試験体11(金属溶湯用濾過フィルタ1)による介在物14の捕集性能を評価した。すなわち、濾過後のMg濃度が濾過前のMg濃度の5%以下であれば「5」、5%を超え10%以下であれば「4」、10%を超え20%以下であれば「3」、20%を超え40%以下「2」、40%以上であれば「1」とする5段階評価で示した。
(フィルタ寿命の評価)
上記した評価装置10においては、装置内部の圧力を高めることにより加圧して金属溶湯13を通湯させる構成を有している。金属溶湯用濾過フィルタ1に介在物14が捕集されることで金属溶湯13が通湯する流路が少なくなると、評価装置10において一定条件下で加圧を続けた場合であっても金属溶湯用濾過フィルタ1が受ける圧力は徐々に高くなる。金属溶湯用濾過フィルタ1が受ける圧力が高くなると、金属溶湯13の濾過時間が長くなり、あるいはより高い圧力を加えることにより金属溶湯13を通湯させることで金属溶湯用濾過フィルタ1がその圧力に耐えられず、破損するといった懸念がある。そこで、試験終了直前において試験体11が受ける圧力を比較することにより、試験体11の寿命を評価した。結果を表1に示す。なお、表1では、試験体11が受ける圧力がゲージ圧で0.01MPa未満で推移すれば「5」、0.01MPa以上〜0.02MPa未満であれば「4」、0.02MPa以上〜0.03MPa未満であれば「3」、0.03MPa以上〜0.04MPa未満であれば「2」、0.04MPa以上に圧力が上昇すれば「1」とする5段階評価で示した。
Figure 0006423726
表1では、介在物14の捕集性能は「2」以上であることを必須の要件とし、さらに寿命に関する評価が良いものが金属溶湯用濾過フィルタ1として適したものであるとして総合的に判断した。
比較例1〜9においてはいずれも、介在物14の捕集性能とフィルタ寿命は両立していない。このため、比較例1〜9の金属溶湯用濾過フィルタ1は、実使用に適さないという結果が得られた。これに対し、実施例1〜16ではいずれも、介在物14の捕集性能とフィルタ寿命の双方が良好である。すなわち、実施例1〜16によれば、高い介在物14の捕集性能を維持したまま長期間の使用に耐えうる、実使用に適した金属溶湯用濾過フィルタ1が得られた。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 金属溶湯用濾過フィルタ
2 内周面
3 外周面
4 骨材
5 気孔
10 評価装置
11 試験体
12 封止部材
13 金属溶湯
14 介在物

Claims (15)

  1. 骨材の平均粒子径が200μm以上2500μm以下であり、内周面における前記骨材の平均粒子径が、外周面における前記骨材の平均粒子径の−10%以上+10%以下である円筒形状を有し、
    前記内周側から前記外周側にわたって気孔率が漸増すること
    を特徴とする金属溶湯用濾過フィルタ。
  2. 前記内周面の気孔率が25%以上45%以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  3. 前記内周面の平均気孔径が100μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項に記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  4. 前記内周面側から厚さ2000μm以上にわたり平均気孔径が500μm以下であることを特徴とする請求項に記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  5. 前記内周面から前記外周面までの厚さに対して前記内周面側から10%以上の厚さにわたり平均気孔径が500μm以下であることを特徴とする請求項に記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  6. 前記外周面の気孔率が45%以上65%以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  7. 前記外周面の平均気孔径が150μm以上1500μm以下であることを特徴とする請求項に記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  8. 前記外周面側から厚さ2500μm以上にわたり平均気孔径が150μm以上であることを特徴とする請求項またはに記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  9. 前記内周面から前記外周面までの厚さに対して前記外周面側から10%以上の厚さにわたり平均気孔径が150μm以上であることを特徴とする請求項またはに記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  10. 前記骨材が、電融アルミナおよび焼結アルミナのうち1種以上を含むものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  11. 無機結合材をさらに含み、
    前記無機結合材が、三酸化ホウ素、アルミナ、酸化マグネシウムおよびシリカのうち1種以上を含むものであることを特徴とする請求項1〜1のいずれか1つに記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  12. X線回折法で測定される、α−アルミナ(2θ=35.1±0.5°、43.4±0.5°、57.5±0.5°)のピーク強度の合計Tに対する9Al・2B(2θ=16.4±0.5°、20.3±0.5°、26.4±0.5°)のピーク強度の合計kの比k/Tが0.1以上1以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属溶湯用濾過フィルタ。
  13. 円筒形状を有する金属溶湯用濾過フィルタの製造方法であって、
    無機結合材と平均粒子径が200μm以上2500μm以下である骨材粒子とを含む混合物を混練する混練工程と、
    前記混練工程によって得られた坏土を略円筒形状となるように充填する充填工程と、
    前記充填工程によって充填された前記坏土を振動加圧し、内周側の圧力が外周側の圧力よりも高くなるように前記坏土を圧縮して成形する成形工程と、
    前記成形工程によって得られた成形体を焼成する焼成工程と、を含むこと
    を特徴とする金属溶湯用濾過フィルタの製造方法。
  14. 前記混合物が、有機バインダおよび有機造孔剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の金属溶湯用濾過フィルタの製造方法。
  15. 前記成形工程は、前記充填工程と並行して、または前記充填工程と交互に行われることを特徴とする請求項13または14に記載の金属溶湯用濾過フィルタの製造方法。
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