JP6991020B2 - 多孔質材料、ハニカム構造体、及び多孔質材料の製造方法 - Google Patents

多孔質材料、ハニカム構造体、及び多孔質材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質材料、ハニカム構造体、及び多孔質材料の製造方法に関する。更に詳しくは、高強度の多孔質材料、ハニカム構造体、及び当該多孔質材料を製造するための多孔質材料の製造方法に関する。
炭化珪素粒子(SiC粒子)等の骨材を、コージェライトなどの酸化物相の結合材を用いて結合した複数の細孔を備える多孔質材料は、耐熱衝撃性等の優れた特性を有している。これらの多孔質材料を用い、隔壁によって区画形成された複数のセルを有するハニカム構造体を形成し、当該ハニカム構造体を触媒担体やDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)として、排気ガスの浄化処理等の種々の用途に用いることが行われている(例えば、特許文献1,2参照)。
なお、特許文献3では、骨材としての炭化珪素粒子と、結合材としての酸化物とを含み、酸化物の添加量が炭化珪素粒子の表面積に対して0.5g/m以上3.0g/m未満であり、酸化物がSi元素およびSrを含む炭化珪素質多孔体が開示されている。また、特許文献4では、触媒用支持体である成形セラミック基材では、ナトリウム含有量を低く維持することが、高い触媒活性を維持するために望ましいことが記載されている。
特許第4111439号公報 特許第4227347号公報 特許第5478259号公報 特表2016-523800号公報
近年において、上記多孔質材料を用いた触媒担体やDPFは、使用する用途によって大型のサイズのものが求められることがあった。そのため、広いハニカム径を有し、軸方向の長さ(ハニカム長さ)の長い大型のハニカム構造体が製造されている。一方、高機能化や高性能化を図るため、セル構造を複雑化したものや、圧力損失を抑制するために、セルを区画形成する隔壁を薄壁化した、大型のハニカム構造体以外のハニカム構造体も製造されている。
これらのハニカム構造体には、使用時に大きな熱的負荷や力学的負荷が加わる。そのため、多孔質材料で形成されたハニカム構造体は、耐熱衝撃性に加え、力学的負荷に対する十分な強度(機械的強度)を備えることが求められている。
そこで、本発明は上記実情に鑑み、高強度の多孔質材料、当該多孔質材料を用いたハニカム構造体、及び多孔質材料の製造方法の提供を課題とするものである。
本発明に係る一の多孔質材料は、焼成体であり、骨材と、細孔を形成した状態で前記骨材間を結合する結合材とを備え、前記多孔質材料の全体に対して、MgO成分を0.1~10.0質量%、Al成分を0.5~25.0質量%、SiO成分を5.0~45.0質量%含み、Sr成分をSrO換算で0.311.20質量%含み、前記結合材が、前記結合材の全体に対して、Sr成分をSrO換算で1.34.3質量%含む。
本発明に係る他の多孔質材料は、焼成体であり、骨材と、細孔を形成した状態で前記骨材間を結合する結合材とを備え、前記結合材が、前記結合材の全体に対して、MgO成分を5.0~15.0質量%、Al成分を30.0~60.0質量%、SiO成分を30.0~55.0質量%含み、Sr成分をSrO換算で1.34.3質量%含む。
本発明の一の好ましい形態では、前記結合材が、前記結合材の全体に対して、コージェライトを50質量%以上含む。
本発明の他の好ましい形態では、前記結合材の質量の比率が、前記多孔質材料の全体に対して8~40質量%である。
本発明の他の好ましい形態では、前記多孔質材料に含まれるアルカリ金属成分の質量の比率が、前記多孔質材料の全体に対して酸化物換算で0.1質量%未満である。
例えば、前記多孔質材料が、前記アルカリ金属成分としてNaまたはKを含む。
本発明の他の好ましい形態では、前記骨材が、SiC粒子である粒子本体を含む。
この場合に、前記骨材が、前記粒子本体の表面に設けられた酸化膜をさらに含むことが好ましく、前記酸化膜が、クリストバライトを含むことがより好ましい。前記酸化膜の厚さは、例えば0.3~5.0μmである。
好ましくは、前記結合材に含まれる前記Sr成分の少なくとも一部が、SrAlSiとして存在する。前記SrAlSiの質量の比率は、前記多孔質材料の全体に対して、例えば0.1~10.0質量%である。
前記多孔質材料の断面における前記結合材のエッジにおいて、曲率が局所的に最大となる位置における接線方向に対して、前記結合材のエッジが立ち上がる角度の代表値が、0度よりも大きく、かつ、25度以下であることが好ましい。
本発明に係るハニカム構造体は、上記多孔質材料により形成され、内部が隔壁により複数のセルに仕切られた筒状部材である。
本発明に係る一の多孔質材料の製造方法は、a)骨材原料、結合材原料および造孔材を混合した混合物を成形して成形体を得る工程と、b)前記成形体を焼成することにより、焼成体である多孔質材料を得る工程とを備え、前記多孔質材料が、前記多孔質材料の全体に対して、MgO成分を0.1~10.0質量%、Al成分を0.5~25.0質量%、SiO成分を5.0~45.0質量%含み、Sr成分をSrO換算で0.311.20質量%含み、前記結合材が、前記結合材の全体に対して、Sr成分をSrO換算で1.34.3質量%含む。
本発明に係る他の多孔質材料の製造方法は、a)骨材原料、結合材原料および造孔材を混合した混合物を成形して成形体を得る工程と、b)前記成形体を焼成することにより、焼成体である多孔質材料を得る工程とを備え、前記多孔質材料の結合材が、前記結合材の全体に対して、MgO成分を5.0~15.0質量%、Al成分を30.0~60.0質量%、SiO成分を30.0~55.0質量%含み、Sr成分をSrO換算で1.34.3質量%含む。
好ましくは、多孔質材料の製造方法が、c)前記多孔質材料に対して酸化処理を施す工程をさらに備え、前記骨材原料が、SiC粒子を含む。前記c)工程における前記酸化処理の温度は、例えば1200~1350℃である。
本発明によれば、多孔質材料の機械的強度を向上することができる。
多孔質材料の構造を示す図である。 多孔質材料の一例を示す写真である。 多孔質材料の一例を示す写真である。 比較例の多孔質材料の構造を示す図である。 比較例の多孔質材料を示す写真である。 比較例の多孔質材料を示す写真である。 立ち上がり角の測定を説明するための図である。 立ち上がり角の測定を説明するための図である。 多孔質材料を製造する処理の流れを示す図である。 多孔質材料の開気孔率とハニカム曲げ強度との関係を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態の多孔質材料、ハニカム構造体、及び多孔質材料製造方法の実施の形態についてそれぞれ説明する。なお、本発明の多孔質材料、ハニカム構造体、及び多孔質材料の製造方法は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の設計の変更、修正、及び改良等を加え得るものである。
(1)多孔質材料:
図1は、多孔質材料1の構造を模式的に示す図である。図2および図3は、実際に製造した多孔質材料1の一例を示す図であり、走査型電子顕微鏡を用いて撮像した写真である。図2では、多孔質材料1の表面を示し、図3では、鏡面研磨した多孔質材料1の断面を示している。
本実施形態の多孔質材料1は、骨材2と、細孔4を形成した状態で骨材2間を結合する結合材3とを具備して主に構成されるセラミックス材料である。骨材2および結合材3の合計質量に占める骨材2の質量の比率、すなわち、多孔質材料1の全体に対する骨材2の質量の比率は、50質量%以上である。換言すると、結合材3の質量の比率は、多孔質材料1の全体に対して50質量%以下である。好ましくは、結合材3の質量の比率は、多孔質材料1の全体に対して8質量%以上である。これにより、多孔質材料1においてある程度の機械的強度(典型的には、曲げ強度であり、以下、単に「強度」ともいう。)が確保される。多孔質材料1の強度をさらに向上するには、多孔質材料1における結合材3の比率が10質量%以上であることが好ましく、12質量%以上であることがより好ましい。多孔質材料1における結合材3の比率が40質量%を超えると、多孔質材料1において高気孔率を実現するための困難性が増大するため、当該比率は40質量%以下であることが好ましい。多孔質材料1において高気孔率を容易に実現するには、多孔質材料1における結合材3の比率が35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
結合材3は、結合材3の全体に対して、マグネシウム(Mg)成分を酸化マグネシウム(MgO)換算で5.0~15.0質量%(すなわち、5.0質量%以上かつ15.0質量%以下であり、以下同様である。)、アルミニウム(Al)成分を酸化アルミニウム(Al)換算で30.0~60.0質量%、珪素(Si)成分を二酸化珪素(SiO)換算で30.0~55.0質量%含む。換言すると、結合材3は、結合材3の全体に対して、MgO成分を5.0~15.0質量%、Al成分を30.0~60.0質量%、SiO成分を30.0~55.0質量%含む。後述するように、好ましい結合材3は、MgO成分、Al成分およびSiO成分により形成されるコージェライトを含む。また、結合材3は、結合材3の全体に対して、ストロンチウム(Sr)成分5を、酸化ストロンチウム(SrO)換算で0.3~15.0質量%含む。なお、多孔質材料1において、骨材2以外の物質は、原則として結合材3に含まれるものとする。多孔質材料1の典型例では、図1に模式的に示される断面微構造のように、骨材2と結合材3と細孔4の交わる三相界面の表面が“滑らかに結合した”状態で形成されている。
ここで、三相界面の表面が“滑らかに結合している”とは、骨材2の間を結合する結合材3が、一方の骨材2と結合材3と細孔4の交わる三相界面(例えば、図1中の三相界面A(矢印参照))付近から、滑らかに、或いは、緩やかな曲線状(または曲面状)に変化しながら他方の骨材2の方向に向かって伸びて形成されているものである。図1において、一箇所の三相界面Aを示したが、これに限定されるものではなく、その他の骨材2と結合材3と細孔4の交わる三相界面は、図1においても複数存在している。
本実施形態の多孔質材料1において、“三相界面”とは、厳密に言えば、図1に示すように、骨材2aや骨材2bと結合材3と細孔4とが交わる箇所に限定されるものの、本明細書において、骨材2の表面が結合材3によって薄く覆われ、骨材2の表面と細孔4とが近接した状態のものも含むものとする。
本実施形態の多孔質材料1の場合、骨材2を固体、高温の焼成時の結合材3の少なくとも一部が液体の状態となると仮定すると、固体の骨材2の表面(固相表面)に対し、液体の結合材3は接触角が小さな状態で付着し、係る状態を保ったままで焼成を完了し、冷却されることで、上記図1に示すような微構造とすることができる。
これにより、骨材2の一部(若しくは大部分)が結合材3によって被覆された状態となる。その結果、骨材2の角張ったエッジ部分が当該結合材3に被覆されることで、全体として幾分丸みを帯びた形状となる。更に、これらの骨材2及び結合材3が接する細孔4のエッジ形状も曲線的なものとなる。このように、特に骨材2、結合材3、及び細孔4の交わる三相界面で曲線部分を多く含んだ状態の構造を、本明細書中において、“滑らかに結合”した状態として表現するものとする。
図4は、比較例の多孔質材料10の構造を模式的に示す図である。図5および図6は、実際に製造した比較例の多孔質材料10を示す図であり、走査型電子顕微鏡を用いて撮像した写真である。図5および図6は、図2および図3にそれぞれ対応する。比較例の多孔質材料10では、結合材12がSr成分を含まない点で、図1の多孔質材料1と相違する。
比較例の多孔質材料10の断面微構造の場合、直線的な鋭いエッジを有する角張った骨材11がそのまま観察され、更に、骨材11同士を結合する結合材12は、骨材11と結合材12と細孔13の交わる三相界面B付近(図4における矢印参照)において、直線的な形状で他方の骨材11に向かって延びている。したがって、上記に定義したような“滑らかに結合”した状態のものではない。更に、骨材11の表面の大部分(例えば、50%以上)は、細孔13と接しており、本実施形態の多孔質材料1のように、結合材3によって骨材2の表面の大部分(例えば、50%以上)が被覆され、細孔4と結合材3とが接するものでない。
すなわち、比較例の多孔質材料10の場合、本実施形態の多孔質材料1と比較して、結合材12が骨材11の界面付近で曲線的な形状を示すものではなく、その骨材11及び細孔13の形状も丸みを帯びたものではなく、角張った部分や直線的に構成されたり、或いはいびつな形状で構成されたりしているものが多い。本実施形態の多孔質材料1は、微構造の点において比較例の多孔質材料10と大きく相違する。
本実施形態の多孔質材料1は、骨材2と結合材3と細孔4の交わる三相界面が滑らかに結合し、骨材2及び結合材3の接触面積が大となることが予想される。その結果、骨材2及び結合材3の間の結合力を高くすることができ、多孔質材料1中のそれぞれの骨材2及び結合材3のそれぞれの界面における結合力が増すことで、多孔質材料1の全体としての強度(機械的強度)が高くなる。
図1に示すように、“滑らかに結合”した微構造を有する多孔質材料1は、鋭いエッジで構成される微構造の多孔質材料10(図4参照)と比較すると、エッジの部分に掛かる応力集中を曲線的な形状によって緩和することができる。そのため、多孔質材料1の全体としての強度が高くなる。
ここで、多孔質材料1の上記微構造の定量化について説明する。多孔質材料1では、鏡面研磨した断面を示す画像において、結合材3と細孔4との境界線(以下、単に「結合材のエッジという。)が丸みを帯びた形状となる。したがって、上記微構造の定量化の一例では、結合材3のエッジの丸みが数値化される。具体的には、まず、樹脂で包含した多孔質材料1を鏡面研磨して得られる断面を、走査型電子顕微鏡により1500倍の倍率で撮像することにより、図7Aに示す画像(反射電子像)が得られる。画像の倍率は、適宜変更されてよい。
続いて、当該画像において、結合材3のエッジ上の測定位置P1が特定される。測定位置P1は、結合材3のエッジにおいて、曲率が局所的に最大となる位置である。多孔質材料1の上記微構造では、2つの骨材2間を結合する結合材3のエッジが、一方の骨材2における三相界面付近と、他方の骨材2における三相界面付近との間で凹状となる。典型的には、これらの三相界面の間では、結合材3のエッジの傾きが連続的に変化し、角張った部分はほとんどない。測定位置P1の一例は、結合材3のエッジにおいて、これらの三相界面の間における最大の曲率の位置である。なお、比較例の多孔質材料10では、結合材12のエッジが丸みを帯びた形状とならないため、結合材12のエッジにおいて、窪んだ部位の頂部が測定位置P1として特定される。
続いて、図7Bに示すように、測定位置P1における結合材3のエッジに対する接線方向を示す直線が、基準線L1として設定される。また、測定位置P1の近傍において、測定位置P1から結合材3のエッジに沿って一方側に向かって立ち上がる直線が、立ち上がり線L2として設定される。立ち上がり線L2は、例えば、結合材3のエッジにおいて、測定位置P1から一方側に所定の微小距離(例えば、1~5μm)だけ離れた位置と、測定位置P1とを結ぶ直線である。そして、基準線L1と立ち上がり線L2とがなす角度が、立ち上がり角θとして取得される。このように、立ち上がり角θは、多孔質材料1の任意の断面における結合材3のエッジにおいて、曲率が局所的に最大となる測定位置P1における接線方向に対して、結合材3のエッジが測定位置P1から立ち上がる角度を示す。
例えば、複数の測定位置P1を特定して複数の立ち上がり角θが求められ、これらの平均値が、エッジの立ち上がり角の代表値として求められる。上記微構造を有する多孔質材料1では、典型的には、立ち上がり角の代表値が、0度よりも大きく、かつ、25度以下となる。一方、比較例の多孔質材料10では、結合材12のエッジが丸みを帯びた形状とならず、結合材12のエッジにおいて窪んだ部位の頂部が測定位置P1として特定されるため、立ち上がり角の代表値が、25度よりも大きくなる。立ち上がり角の代表値は、平均値以外に、中央値等であってもよい。また、立ち上がり角の代表値を求める際に、特定される測定位置P1の個数は、好ましくは5個以上である(例えば、100個以下)。
本実施形態の多孔質材料1では、骨材2同士を結合するために用いられる結合材3がSr成分5を含むことにより、上記の微構造が得られている。多孔質材料1において、骨材2と結合材3と細孔4の交わる三相界面の表面が滑らかに結合した状態は、必ずしも明確でなくてもよい。換言すると、多孔質材料1における結合材3の質量比率や、骨材2の粒子径等によっては、上記三相界面の表面が滑らかに結合した状態が不明確となることも想定される。このような場合でも、上記Sr成分5を結合材に含む多孔質材料1では、機械的強度を向上することができる。
Sr成分5のストロンチウム源としては、例えば、炭酸ストロンチウム(SrCO)、酸化ストロンチウム(SrO)、或いは水酸化ストロンチウム(Sr(OH))等の各種酸化物やその他のストロンチウム塩等を用いることができる。複数種類のストロンチウム源が用いられてもよい。Sr成分5が予め規定された比率で結合材3に含まれることで、典型的には、三相界面の表面が滑らかに結合した状態とすることができる。その結果、上記に示すような、微構造を有する高強度の多孔質材料1を得ることが可能となる。
既述のように、結合材3に含まれるSr成分5の質量比率は、結合材3の全体に対し、SrO換算で0.3~15.0質量%の範囲に設定される。Sr成分5の質量比率がSrO換算で0.3質量%より低い場合、Sr成分5による効果が乏しく、骨材2及び結合材3の三相界面が“滑らかに結合した”状態となりにくくなる。
一方、Sr成分5の質量比率がSrO換算で15.0質量%より高い場合、焼成時において、液化する結合材3の量が過度に多くなることが予想される。前述したとおり、焼成時に高温の焼成温度に晒される結合材3は、その一部が液化すると想定される。そのため、多くの結合材3が液化することで、その一部が発泡を生じる可能性がある。これにより、結合材3の中に発泡による気泡が生じやすくなり、これが冷えて固まることにより、結合材3の中に複数の空隙(図示しない)が発生する可能性がある。その結果、骨材2及び結合材3の間に生じた空隙によって、骨材2-結合材3の間の結合力が弱くなり、多孔質材料1の強度が低下する可能性がある。したがって、結合材3に含まれるSr成分5の質量比率は、上記数値の範囲内に設定される。高強度の多孔質材料1を安定して得るという観点では、Sr成分5の質量比率は、結合材3の全体に対し0.5~12.0質量%であることが好ましく、1.0~8.0質量%であることがより好ましい。Sr成分5の質量比率は、多孔質材料1の全体に対して規定することも可能である。この場合、Sr成分5の質量比率は、SrO換算で0.01~5.5質量%である。多孔質材料1の全体に対するSr成分5の質量比率は、0.1~5.0質量%であることが好ましく、0.3~3.0質量%であることがより好ましい。
多孔質材料1の一例では、結合材3に含まれるSr成分5の少なくとも一部が、SrAlSiとして存在する。SrAlSiの質量比率は、多孔質材料1の全体に対して0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。SrAlSiの質量比率は、例えば10.0質量%以下である。結合材3は、必ずしもSrAlSi相を含む必要はなく、Sr成分5は、結合材3の他の結晶相に固溶していてもよい。もちろん、Sr成分5は、複数種類の結晶相に含まれてもよく、非晶質相に含まれてもよい。
既述のように、結合材3は、結合材3の全体に対して、MgO成分を5.0~15.0質量%、Al成分を30.0~60.0質量%、SiO成分を30.0~55.0質量%含む。好ましい多孔質材料1では、結合材3が、結合材3の全体に対して、コージェライトを50質量%以上含む、すなわち、結合材3が、コージェライトを主成分とする。結合材3の全体に対するコージェライトの質量比率の上限値は、例えば、99.7質量%である。また、結合材3における非晶質成分は、50質量%未満であることが好ましい。多孔質材料1では、Sr成分5、MgO、Al、SiO以外の成分が結合材3に含まれていてもよい。例えば、結合材3が、二酸化セリウム(CeO)を含んでもよい。MgO成分、Al成分およびSiO成分の質量比率は、多孔質材料1の全体に対して規定することも可能である。この場合、多孔質材料1は、多孔質材料1の全体に対して、MgO成分を0.1~10.0質量%、Al成分を0.5~25.0質量%、SiO成分を5.0~45.0質量%含むことが好ましい。なお、上記成分の一部が、骨材2に由来してもよい。多孔質材料1の一例では、SiO成分の一部が、骨材2の後述の酸化膜に由来する。
本実施形態の多孔質材料1は、上記の通り、Sr成分5を結合材3に含むことで、典型的には、骨材2及び結合材3が上記の微構造を備えることとなり、多孔質材料1の全体としての強度が向上する。そして、曲げ強度は、少なくとも5.5MPa以上となる。これにより、多孔質材料1を用いて触媒担体等の他の製品を作製する場合、実用上の十分な強度を有することになる。なお、曲げ強度は、例えば、0.3mm×4mm×20~40mmの試験片をそれぞれ作製し、JIS R1601に準拠した三点曲げ試験等を行うことによって測定し、評価することができる。
本発明の多孔質材料1は、平均細孔径の下限値が10μmであることが好ましく、15μmであることが更に好ましい。また、平均細孔径の上限値は、40μmであることが好ましく、30μmであることが更に好ましい。平均細孔径が10μm未満であると、圧力損失が大きくなることがある。平均細孔径が40μmを超えると、本発明の多孔質材料をDPF等として用いたときに、排ガス中の粒子状物質の一部が捕集されずにDPF等を通過することがある。本明細書において、平均細孔径は、水銀圧入法(JIS R1655準拠)で測定した値である。
本発明の多孔質材料1は、細孔径10μm未満の細孔が細孔全体の20%以下であり、細孔径40μmを超える細孔が細孔全体の10%以下であることが好ましい。細孔径10μm未満の細孔が細孔全体の20%を超えると、細孔径10μm未満の細孔は触媒を担持する際に詰まりやすいため、圧力損失が拡大し易くなることがある。細孔径40μmを超える細孔が細孔全体の10%を超えると、細孔径40μmを超える細孔は粒子状物質が通過し易いため、DPF等のフィルタ機能を十分に発揮し難くなることがある。
なお、多孔質材料1を用い、ハニカム形状のハニカム構造体(図示しない)を作製した場合、当該ハニカム構造体の強度(ハニカム曲げ強度)は、少なくとも4.0MPa以上のハニカム曲げ強度で構成することが望ましい。これにより、十分な強度を有するハニカム構造体を用いて触媒担体やDPF等の製品を構築することができ、大きな力学的負荷が加わる等の過酷な使用環境での使用に耐え得ることができる。更に、ハニカム構造体の大型化に対する要求にも応えることができる。
本実施形態の多孔質材料1の骨材2は、粒子本体を含む。典型的には、粒子本体は、一種類の物質から構成される。粒子本体は、例えば、炭化珪素(SiC)の粒子である。当該粒子本体を構成する物質は、炭化珪素以外に、窒化珪素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、ムライト(AlSi13)、アルミナ(Al)、アルミニウムチタネート(AlTiO)、マグネシウムチタネート(MgTi)、または、ジルコン(ZrSiO)等であってもよい。例えば、骨材2の粒子本体は、多孔質材料1を構成する物質において、最も量が多い物質の粒子である。
粒子本体に非酸化物を用いた場合、骨材2は、粒子本体の表面(周囲と捉えられてもよい。)に設けられた酸化膜を含んでもよい。好ましくは、各骨材2は、粒子本体から構成される、または、粒子本体および酸化膜から構成される。ここで、酸化膜とは、非酸化物を粒子本体に用いた際、酸化性雰囲気における熱処理を経て形成された、粒子本体表面の酸化物層を示す。骨材2の粒子本体をSiC粒子またはSi粒子とした場合、骨材2は、上記酸化膜を含むことが好ましい。さらに、酸化膜としてはクリストバライト相を含むことが好ましく、SiOを含むことが好ましい。酸化膜の厚さは、例えば0.3~5.0μmであり、好ましくは、0.5~3.0μmである。クリストバライトの質量の比率は、多孔質材料1の全体に対して、例えば3.0~25.0質量%であり、好ましくは、7.0~20.0質量%である。粒子本体の表面に酸化膜が設けられることにより、例えば、多孔質材料1を自動車排ガス浄化触媒担体として用いた場合、優れた耐酸化性が得られる。
以下の説明において、本実施形態の多孔質材料1及び当該多孔質材料1を用いて形成されたハニカム構造体(図示しない)は、主としてSiC粒子を骨材2の粒子本体として使用した例を説明する。骨材2の粒子本体がSi粒子等で構成されるものであっても、多孔質材料1及びハニカム構造体の各種条件は同一とすることができる。
ハニカム構造体に用いられる多孔質材料1では、高い気孔率(ここでは、開気孔率)、および、高い強度が求められる。多孔質材料1において高気孔率を容易に実現するには、骨材2の平均粒子径は、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。多孔質材料1において過度に大きい細孔4が多く存在することを避けるには、骨材2の平均粒子径は、100μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。平均粒子径はレーザー回折法で測定可能である(以下同様)。
加えて、本実施形態の多孔質材料は、焼成後の多孔質材料1に含まれるナトリウム(Na)及びカリウム(K)を含むアルカリ金属成分の酸化物換算での合計含有率(合計質量の比率)が、多孔質材料1全体に対して0.1質量%未満(0質量%以上)に設定されている。骨材2を形成するための骨材原料及び結合材3を形成するための結合材原料の中には、微量のナトリウムまたはカリウム等のアルカリ金属成分が存在している。
ナトリウム等のアルカリ金属成分は、一般に多孔質材料の長期耐久性を低下させる要因となることが知られている。そのため、多孔質材料に含まれるアルカリ金属成分をできるだけ抑えるような試みがなされている。そこで、本実施形態の多孔質材料1においても、焼成後の多孔質材料1に含まれるナトリウム等のアルカリ金属成分の(合計)含有率を上記範囲に設定している。これにより、多孔質材料1の長期耐久性を向上させることができる。
また、多孔質材料1(ハニカム構造体)に、ゼオライト等のSCR触媒を担持させて使用する場合に、多孔質材料がアルカリ金属成分を含むときには、高温でのエージング(熱処理)によりNOx浄化性能が低下することが知られている。アルカリ金属成分の含有率(質量比率)を酸化物換算で0.1質量%未満とすることにより、上記エージングによるNOx浄化性能の低下を抑制することが可能となる。
ここで、アルカリ金属成分の含有率を(酸化物換算で)0.1質量%未満とする場合において、仮に、Sr成分を結合材に含めない場合には、既述の比較例の多孔質材料10のように、上記三相界面が滑らかに結合した状態とならず、多孔質材料の強度が低くなる。これに対し、本実施の形態に係る多孔質材料1では、アルカリ金属成分の含有率を0.1質量%未満とする場合において、結合材3にSr成分を含めることにより、高強度を確保することができる。
既述のように、多孔質材料1の一例では、焼成によりSr成分からSrAlSiが生成されるが、アルカリ金属成分の含有率を0.1質量%以上とすると、アルカリ金属成分が、Sr成分を含む結合材中の成分と非晶質相を形成しやすくなり、当該Sr成分も非晶質相に含まれやすくなる。アルカリ金属成分を0.1質量%未満とすることで、非晶質相が形成されにくくなり、結合材中のSr成分が非晶質相に含まれることが抑制される。その結果、SrAlSiの結晶相が形成されやすくなる。
ここで、多孔質材料1の曲げ強度やハニカム構造体のハニカム曲げ強度は、多孔質材料1自体の気孔率(開気孔率)によって影響を受けることが一般的に知られている。そこで、多孔質材料1及び多孔質材料1から形成されるハニカム構造体では、開気孔率の下限値は、40%であることが好適であり、更に下限値が50%であることがより好適である。一方、開気孔率の上限値は、90%であることが好適であり、更に上限値が70%であることが好適である。ここで、開気孔率が40%未満の場合、圧力損失が大きくなり、DPF等の製品として使用した場合の製品性能に及ぼす影響が大きい。一方、開気孔率が50%以上の場合、DPF等の使用が特に好適な低圧力損失の特性を有する。
更に、開気孔率が90%を超える場合、多孔質材料1の強度が低下し、DPF等の製品として使用した場合の実用上の十分な強度を確保することができない。一方、開気孔率が70%以下であれば、DPF等の製品に使用することが特に好適である。なお、開気孔率の算出方法の詳細については後述する。
(2)ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体(図示しない)は、上述した本実施形態の多孔質材料1を用いて構成される。ハニカム構造体は、「一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセル」を区画形成する隔壁を備える。すなわち、ハニカム構造体は、内部が隔壁により複数のセルに仕切られた筒状部材である。当該セルは流体の流路として機能するものである。ハニカム構造体の構造及び形状等については、既に周知であり、本実施形態の多孔質材料1を用いて任意の構造及びサイズのものを構築することができ、例えば、最外周に外周壁を有する構造であってもよい。また、隔壁の厚さの下限値は、例えば、30μmが好ましく、50μmが更に好ましい。隔壁の厚さの上限値は、1000μmが好ましく、500μmが更に好ましく、350μmが特に好ましい。セル密度の下限値は、10セル/cmが好ましく、20セル/cmが更に好ましく、50セル/cmが特に好ましい。セル密度の上限値は、200セル/cmが好ましく、150セル/cmが更に好ましい。
更に、ハニカム構造体の形状としては、特に限定されず、従来から周知の円柱状、底面が多角形(三角形、四角形、五角形、六角形等)の角柱状等を挙げることができる。加えて、ハニカム構造体のセルの形状は、特に限定されない。例えば、セルの延びる方向(軸方向)に直交する断面におけるセル形状としては、多角形(三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)、円形、またはこれらの組み合わせ等を挙げることができる。
加えて、ハニカム構造体の大きさは、用途に合わせて適宜決定することができる。本実施形態のハニカム構造体は、高強度の特性を有する本実施形態の多孔質材料1を用いて構成されるため、特に力学的負荷に対する耐性を備えている。そのため、大型のDPF等を構築するための大型ハニカム構造体を構成することもできる。例えば、ハニカム構造体の体積が10cm~2.0×10cm程度のものを想定することができる。
本実施形態のハニカム構造体は、既に示したように、DPFや触媒担体として用いることができる。また、DPFに触媒を担持することも好ましい態様である。本実施形態のハニカム構造体をDPF等として使用する場合には、以下のような構造であることが好ましい。すなわち、一方の端面における所定のセルの開口部及び他方の端面における残余のセルの開口部、に配設された目封止部を備えるものであることが好ましい。両端面において、目封止部を有するセルと目封止部を有さないセルとが交互に配置され、市松模様が形成されていることが好ましい。
(3)多孔質材料(ハニカム構造体)の製造方法:
本発明の多孔質材料の製造方法について、以下に説明する。図8は、多孔質材料1を製造する処理の流れを示す図である。なお、以下に説明する多孔質材料の製造方法は、多孔質材料によって構成されるハニカム形状を呈するハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法でもある。
始めに、骨材2の原料となる粉末状の炭化珪素と、焼成によって結合材3が生成する粉末状の結合材原料とを混合し、必要に応じて、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する(成形原料調製工程)。好ましくは、不純物としてのアルカリ金属成分が少ない原料が用いられる。このとき、添加する水の中に、予め規定された含有率に調製された粉末状のストロンチウム(例えば、炭酸ストロンチウム)等をSr成分5として成形原料中に加える(含める)。なお、Sr成分5を加える方法は、上記手法に限定されるものではなく、例えば、バインダ等のその他の成分と同様に、粉末の状態で炭化珪素や結合材原料に直接投入するものであってもよい。正確には、Sr成分5も結合材原料の一部である。既述のように、結合材3は、二酸化セリウム(CeO)等を含んでもよく、この場合、二酸化セリウム等も結合材原料の一部となる。
結合材原料は、アルミニウム(Al)成分と、珪素(Si)成分と、マグネシウム(Mg)成分とを含み、典型的には、酸化アルミニウム(Al)と、二酸化珪素(SiO)と、酸化マグネシウム(MgO)とを含む。好ましい製造例では、上記した結合材原料を焼成することで、結合材3の主成分となる「コージェライト」が生成する。焼成によりコージェライト結晶が生成するコージェライト化原料としては様々なものが利用可能である。成形原料において、骨材原料および結合材原料(すなわち、無機原料)の合計質量を100質量%とした場合、結合材原料の質量比率は、例えば8~70質量%である。結合材原料におけるアルミニウム成分の比率は、酸化アルミニウム換算で例えば30~75質量%である。同様に、珪素成分の比率は、二酸化珪素換算で例えば28~55質量%である。マグネシウム成分の比率は、酸化マグネシウム換算で例えば5~15質量%である。結合材原料におけるSr成分5の比率は、例えばSrO換算で0.1~15質量%である。
更に、バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の周知の有機バインダを挙げることができる。特に、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、例えば、成形原料全体に対して2~10質量%であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、一種類の界面活性剤のみを使用するものであっても、二つ以上の種類の界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、成形原料全体に対して、例えば、2質量%以下であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、成形原料全体に対して、例えば、40質量%以下であることが好ましい。また、造孔材の平均粒子径の下限値は10μmであることが好ましく、特に、造孔材の平均粒子径の上限値は30μmであることが好ましい。ここで、造孔材の平均粒子径が10μmより小さいと、多孔質材料1における気孔(細孔4)を十分形成できないことがある。一方、造孔材の平均粒子径が30μmより大きいと、押出成形を行う口金に成形原料(坏土)が詰まる可能性がある。なお、上記した造孔材の平均粒子径は、レーザー回折方法等で測定することができる。また、造孔材として、吸水性樹脂が使用される場合には、当該平均粒子径は吸水後の吸水性樹脂を測定した値である。
成形原料に加えられる水は、押出成形等の成形加工が容易な坏土硬度となるように適宜調整することができる。例えば、成形原料全体に対して、20~80質量%の水を添加することが好適である。
次に、各成分を規定量投入することで得られた前述の成形原料を混練し、坏土を形成する。このとき、坏土の形成には、ニーダー、真空土練機等を用いることができる。
その後、混練された坏土を押出成形してハニカム成形体を形成する(成形体形成工程)。ここで、坏土を押出成形するためには、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚さ、セル密度等を有する口金を取付けた押出成形機が主に用いられる。ここで、なお、口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。ハニカム成形体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と最外周に位置する外周壁とを有する構造である。ハニカム成形体の隔壁厚さ、セル密度、外周壁の厚さ等は、乾燥、焼成における収縮を考慮し、作製しようとするハニカム構造体の構造に合わせて適宜決定することができる。以上のように、骨材原料、結合材原料および造孔材を混合した混合物を成形することにより、成形体が得られる(ステップS11)。
このようにして得られたハニカム成形体を焼成工程の前に乾燥させることが好ましい(乾燥工程)。ここで、乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。更に、電磁波加熱方式及び外部加熱方式を併用するものであってもよい。例えば、ハニカム成形体の全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥するために、始めに電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させる二段階の乾燥を行うものであってもよい。この場合、乾燥の条件として、電磁波加熱方式を用いて、乾燥前の水分量に対して30~99質量%の水分を除去した後、外部加熱方式を用いて、3質量%以下になるまで水分の除去をするものであってもよい。なお、電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好適であり、一方、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好適である。
更に、乾燥後のハニカム成形体に対して、ハニカム成形体のセルの延びる方向(軸方向)における長さ(ハニカム長さ)が、所望の長さではない場合は、両端面(両端部)を切断して所望の長さにしてもよい(切断工程)。切断方法は特に限定されないが、周知の丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。
次に、ハニカム成形体を焼成することにより、焼成体である多孔質材料が、ハニカム構造体として得られる(ステップS12)。ここでは、焼成の前に、バインダ等を除去するため、仮焼を行うことが好ましい(焼成工程)。仮焼は、大気雰囲気において、200~600℃で、0.5~20時間行うことが好ましい(脱脂工程)。焼成は、窒素、アルゴン等の非酸化雰囲気下(酸素分圧は10-4気圧以下)で行うことが好ましい(本焼成工程)。焼成温度の下限値は1300℃であることが好ましい。焼成温度の上限値は1600℃であることが好ましい。焼成時の圧力は常圧であることが好ましい。焼成時間の下限値は、1時間であることが好ましい。焼成時間の上限値は、20時間であることが好ましい。
好ましくは、焼成工程の後、多孔質材料に対して酸化性雰囲気下での熱処理(酸化処理)が行われる(ステップS13)。酸化性雰囲気は、例えば大気雰囲気(水蒸気を含んでいてもよい。)である。既述のように、本製造例では、骨材原料はSiC粒子を含んでおり、酸化処理を行うことにより、細孔に露出したSiC表面に酸化膜が形成される。これにより、多孔質材料を例えばDPF等の自動車排ガス浄化触媒担体に用いた場合、優れた耐酸化性が得られる。酸化膜は、SiC表面において結合材に覆われる部位に形成されることもある。酸化処理の温度の下限値は1100℃であることが好ましく、1200℃であることがより好ましい。酸化処理の温度の上限値は1400℃であることが好ましく、1350℃であることがより好ましい。酸化処理の時間の下限値は、1時間であることが好ましい。酸化処理の時間の上限値は、20時間であることが好ましい。なお、仮焼、焼成及び酸化処理は、例えば、電気炉、ガス炉等を用いて行うことができる。
次に、実施例について述べる。ここでは、実施例1~14、並びに、比較例1~4として、表1中に示す条件にて多孔質材料(ハニカム構造体)を作製した。
Figure 0006991020000001
(実施例1~14、並びに、比較例1~4)
まず、骨材原料である粉末状の炭化珪素(SiC)と、粉末状の結合材原料とを混合して「ベース粉末」を作製した。ベース粉末における骨材原料の質量比率、および、結合材原料の質量比率(いずれもベース粉末の全体に対する質量比率)は、表1中の「骨材原料の割合」および「結合材原料の割合」に示す通りである。また、結合材原料の各成分の質量比率(結合材原料の全体に対する質量比率)は、「結合材原料の組成」に示す通りである。ここでは、Sr成分として炭酸ストロンチウム(SrCO)を添加しているが、表1では、Sr成分の質量比率をSrO換算して示している。
更に、上記調製されたベース粉末に、造孔材として吸水性樹脂およびデンプン、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、さらに、水を添加して「成形原料」とした。なお、ベース粉末を100質量%とした場合に、吸水性樹脂は5.0質量%、デンプンは28質量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは7.0質量%添加した。その後、ニーダーを用いて混練し、可塑性の坏土(成形原料)を得た。
次に、得られた坏土(成形原料)を真空土練機を用いて円柱状(シリンダー状)に成形加工し、得られた円柱状の坏土を押出成形機に投入し、ハニカム状のハニカム成形体を押出成形によって得た。得られたハニカム成形体をマイクロ波乾燥した後、更に熱風乾燥機を用いて80℃で12時間乾燥する二段階の乾燥を実施することで未焼成のハニカム乾燥体を得た。
その後、得られたハニカム乾燥体の両端部を切断し、所定の長さ(ハニカム長さ)に整えた後、始めに大気雰囲気下で450℃の加熱温度で脱脂する脱脂処理を行い(仮焼成工程)、更に、不活性ガス雰囲気下(アルゴンガス雰囲気下)で1350℃~1450℃の焼成温度で焼成し、更に大気中で1210℃~1310℃の温度で酸化処理を行った(表1参照)。これにより、実施例1~14、並びに、比較例1~4のハニカム構造の多孔質材料(ハニカム構造体)を得た。
実施例1、2および4では、SrCOの添加量のみをそれぞれ変更している。実施例3では、実施例2から酸化処理の温度のみを変更し、実施例5は、二酸化セリウム(CeO)を添加しない点で実施例2と相違する。実施例6および7では、酸化処理の温度を相違させており、実施例8ないし10では、焼成温度を相違させている。なお、実施例10では、CeOの添加を省略するとともに、骨材原料の粒子径(平均粒子径)も大きくしている。実施例11では、骨材原料の質量比率を変更し、実施例12では、結合材原料の組成比を変更している。実施例13および14では、酸化処理を省略するとともに、CeOの添加の有無を変更している。比較例1および2では、CeOの添加量を変更しつつSrCOの添加を省略し、比較例3では、Sr成分が規定範囲以上となるようにSrCOの添加量を高くしている。比較例4では、SrCOの添加を省略しつつ、ナトリウム(Na)含有率が高い原料を用いている。
(多孔質材料の各種測定)
作製した多孔質材料に対して、多孔質材料における各酸化物成分(SiO、MgO、Al、CeOおよびSrO)の質量比率、結合材における各成分(SiO、MgO、Al、CeOおよびSrO)の質量比率、多孔質材料における微量成分(NaOおよびKO)の質量比率、多孔質材料におけるSiC、SiO(クリストバライト)、コージェライト、ムライト、SrAlSi(単斜晶)、SrAlSi(六斜晶)およびCeOの結晶相の質量比率、骨材粒子における酸化膜の有無および厚さ、開気孔率、ハニカム曲げ強度、曲げ強度、並びに、熱処理前後のNOx浄化率の変化を測定または算出した。実施例1~14、並びに、比較例1~4の多孔質材料に対する測定結果を表2および表3に示す。
Figure 0006991020000002
Figure 0006991020000003
多孔質材料におけるSiC、クリストバライト、コージェライト、ムライト、SrAlSi(単斜晶)、SrAlSi(六斜晶)およびCeOの結晶相の質量比率は、以下のようにして求めた。X線回折装置を用いて多孔質材料のX線回折パターンを得る。X線回折装置としては、多機能粉末X線回折装置(Bruker社製、D8Advance)を用いる。X線回折測定の条件は、CuKα線源、10kV、20mA、2θ=5~100°とする。そして、解析ソフトTOPAS(BrukerAXS社製)を用いてリートベルト法により、得られたX線回折データを解析して各結晶相を定量する。検出できた全ての結晶相の質量の和を100質量%として、各構成結晶相の質量比率を算出する。実施例1~14、並びに、比較例1~4の多孔質材料では、いずれも結合材が、結合材の全体に対して、コージェライトを50質量%以上(詳細には、65質量%以上)含んでいた。
多孔質材料における微量成分(NaOおよびKO)の質量比率は、多孔質材料全体を100質量%として、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光法で定量した。アルカリ金属成分のうちNa成分の質量比率は、NaO換算の値であり、K成分の質量比率は、KO換算の値である。実施例1~14の全ての多孔質材料、並びに、比較例1~3の多孔質材料では、NaOおよびKOの質量比率の合計、すなわち、酸化物換算でのアルカリ金属成分の質量比率は、0.1質量%未満であった。比較例4の多孔質材料では、アルカリ金属成分の質量比率が酸化物換算で0.1質量以上であった。
多孔質材料における各酸化物成分(SiO、MgO、Al、CeOおよびSrO)の質量比率も、多孔質材料全体を100質量%として、ICP発光分光法により定量した(表2の「酸化物の組成比」参照)。ここでCのみ、JIS-Z2615(金属材料の炭素定量方法)、2616(金属材料の硫黄定量方法)に基づく、酸素気流中燃焼-赤外線吸収方式を用いて定量した。このCが全て骨材の粒子本体であるSiC由来であるものとしてSiCの質量比率を算出し、ICP発光分光法にて定量したSiからSiCを除いた残りのSi成分をSiO由来であるものとして、多孔質材料全体に含まれるSiOの質量比率を得た。また、結合材におけるSiO、MgO、Al、CeOおよびSrOの各成分の質量比率(結合材の全体に対する質量比率)は、X線回折解析により定量したクリストバライトの質量比率を、ICP発光分光法により定量したSiOの上記質量比率から差し引き、残りのSiOの質量比率、並びに、同じくICP発光分光法により定量したMgO、Al、CeOおよびSrOの質量比率の合計を100質量%とした場合に得られる値とした(表2の「結合材の組成比」参照)。
骨材における酸化膜(SiO膜)の観察方法としては、樹脂にて包含した多孔質材料をダイヤモンドスラリー等を用いて鏡面研磨したものを観察試料とし、この断面研磨面を1500倍の倍率でSiCの周囲の酸化膜を観察した。表3では、上記観察条件で酸化膜が確認できたものを「有」として示し、確認できなかったものを「無」として示している。酸化処理を行った実施例1~12、並びに、比較例1~4の多孔質材料では、酸化膜が確認され、かつ、クリストバライトが検出されたのに対し、酸化処理を行わなかった実施例13および14の多孔質材料では、酸化膜が確認されず、クリストバライトも検出されなかった。したがって、酸化膜はクリストバライトであるといえる。
骨材における酸化膜(SiO膜)の厚さの測定方法としては、樹脂にて包含した多孔質材料をダイヤモンドスラリー等を用いて鏡面研磨したものを観察試料とし、この断面研磨面を750倍の倍率でSiCの周囲の酸化膜を観察し、酸化膜と細孔との界面から、酸化膜とSiC粒子との界面までの厚さを計測し酸化膜の厚さとした。750倍の倍率の視野の中から、15箇所の任意の箇所を選び、計測した酸化膜の厚さの平均値を、多孔質材料の酸化膜厚さとした。実施例6および7より、酸化処理の温度が高い場合に、酸化膜の厚さ、および、クリストバライトの質量比率が増大することが判る。
開気孔率は、多孔質材料から20mm×20mm×0.3mmの大きさに切り出した板片を用いて、純水を媒体としてアルキメデス法により測定した。ハニカム曲げ強度の測定では、ハニカム構造体(多孔質材料)においてセルが貫通する方向を長手方向とした試験片(3セル×5セル×30~40mm)を用い、JIS R1601に準拠して、セルの長手方向に垂直に四点曲げ試験を行った。曲げ強度の測定では、ハニカム構造体を縦0.3mm×横4mm×長さ40mmに加工し、ハニカム曲げ強度の測定と同様に、JIS R1601に準拠した曲げ試験を行った。
熱処理前後のNOx浄化率の変化は、以下のようにして求めた。まず、得られた多孔質材料を乳鉢でNo.100の篩(目開き150μm)が通る程度まで粉砕する。粉砕した基材とNOx浄化用ゼオライト触媒とを3:1の重量比率で混合する。混合した粉末を、直径30mmの金型を用いて一軸プレス成形する。成形して得たペレットを2~3ミリメートルの粒状に解砕し、これを評価試料とした。当該試料を10%の水蒸気を含んだ酸化性雰囲気で、900℃、2時間保持し、熱処理したものを熱処理後の評価試料とした。
これらの試料について、自動車排ガス分析装置(SIGU1000:堀場製作所社製)を用いて評価を行った。評価条件としては、200~500℃であり、Oを10%、COを8%、HOを5%、NOを150ppm、NHを300ppm含む混合ガスを反応ガスとして導入し、測定試料を経た排出ガスの各成分の濃度を排ガス測定装置(MEXA-6000FT:堀場製作所社製)を用いて分析し、NOガスの減少した比率を評価した。熱処理を施していない試料と、熱処理を施した試料で、同じ試験を行い、各測定温度でのNOx変換率に所定値以上の変化が無いものを○、いずれかの測定温度でのNOx変換率に所定値以上の変化があるものを×とした。アルカリ金属成分の質量比率が0.1質量%以上となる比較例4の多孔質材料においてのみ、NOx変換率に所定値以上の変化が確認された。
図9は、実施例1~14、並びに、比較例1~3により製造された多孔質材料(ハニカム構造体)の開気孔率とハニカム曲げ強度との関係を示す図である。図9では、実施例1~14の多孔質材料の測定結果を白い丸でプロットし、比較例1~3の多孔質材料の測定結果を黒い丸でプロットしている。なお、図9では、NOx変換率に所定値以上の変化が確認された比較例4の多孔質材料を省略している。また、図9では、比較例1~3の多孔質材料において得られる、開気孔率とハニカム曲げ強度との相関関係を示す直線Lを図示している。
図9に示すように、実施例1~14の多孔質材料に対するプロットは、直線Lよりも上側に位置しており、実施例1~14の多孔質材料では、比較例1~3の多孔質材料よりも機械的強度が高いといえる。また、上記直線Lでは、開気孔率が65.0%である場合に、ハニカム曲げ強度が1.9MPaとなる。結合材がSr成分を1.3質量%含む実施例1の多孔質材料の測定結果では、開気孔率が同等である比較例1よりも十分に高い曲げ強度が得られているため、結合材におけるSr成分の質量比率が、SrO換算で0.3質量%以上であれば、多孔質材料の機械的強度を向上することができると考えられる。表2より、比較例1~3の多孔質材料では、多孔質材料の全体に対するSr成分の質量比率が、SrO換算で0.01~5.5質量%の範囲から外れるのに対し、実施例1~14の多孔質材料では、Sr成分の質量比率が当該範囲内となる。また、結合材原料が、CeOを含まない実施例5、10および14の多孔質材料においても高い曲げ強度が得られており、結合材原料におけるCeOの有無は任意に決定されてよいことが判る。
表3では、実施例1、2、4、5および14、並びに、比較例1、2および4の多孔質材料に対する、結合材のエッジの立ち上がり角の代表値も「立ち上がり角」の列に示している。結合材のエッジの立ち上がり角は、図7Aおよび図7Bを参照して説明した手法にて求めた。ここでは、断面研磨面を1500倍の倍率で撮像した画像において、10個の測定位置を特定し、10個の立ち上がり角の平均値を求めた。結合材がSr成分を含む実施例1、2、4、5および14の多孔質材料では、立ち上がり角の代表値が、25度以下であった。これらの多孔質材料は、多孔質材料の全体に対して、Sr成分をSrO換算で0.3~1.2質量%含む(表2参照)。また、結合材が、結合材の全体に対して、Sr成分をSrO換算で1.3~12.0質量%含む。これに対し、結合材がSr成分を含まない比較例1、2および4の多孔質材料では、立ち上がり角の代表値が、25度よりも高くなった。なお、実施例5および14の多孔質材料では、結合材がCeOを含まない。
上記多孔質材料1、ハニカム構造体および多孔質材料の製造方法では様々な変形が可能である。
多孔質材料1は、ハニカム構造体以外の形態に形成されてよく、フィルタ以外の様々な用途に用いられてよい。多孔質材料1の用途によっては、骨材2は、複数種類の物質の粒子を含んでもよい。
多孔質材料1およびハニカム構造体の製造方法は、上述のものには限定されず、様々に変更されてよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
本発明の多孔質材料は、触媒担体用材料、DPF用材料等として利用することができる。そして、本発明のハニカム構造体は、触媒担体、DPF等として利用することができる。更に、本発明の多孔質材料の製造方法は、上記多孔質材料を製造するために使用することができる。
1 多孔質材料
2,2a,2b 骨材
3 結合材
4 細孔
5 Sr成分
S11~S13 ステップ

Claims (18)

  1. 焼成体である多孔質材料であって、
    骨材と、
    細孔を形成した状態で前記骨材間を結合する結合材と、
    を備え、
    前記多孔質材料の全体に対して、MgO成分を0.1~10.0質量%、Al成分を0.5~25.0質量%、SiO成分を5.0~45.0質量%含み、Sr成分をSrO換算で0.311.20質量%含み、
    前記結合材が、前記結合材の全体に対して、Sr成分をSrO換算で1.34.3質量%含むことを特徴とする多孔質材料。
  2. 焼成体である多孔質材料であって、
    骨材と、
    細孔を形成した状態で前記骨材間を結合する結合材と、
    を備え、
    前記結合材が、前記結合材の全体に対して、MgO成分を5.0~15.0質量%、Al成分を30.0~60.0質量%、SiO成分を30.0~55.0質量%含み、Sr成分をSrO換算で1.34.3質量%含むことを特徴とする多孔質材料。
  3. 請求項1または2に記載の多孔質材料であって、
    前記結合材が、前記結合材の全体に対して、コージェライトを50質量%以上含むことを特徴とする多孔質材料。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の多孔質材料であって、
    前記結合材の質量の比率が、前記多孔質材料の全体に対して8~40質量%であることを特徴とする多孔質材料。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の多孔質材料であって、
    前記多孔質材料に含まれるアルカリ金属成分の質量の比率が、前記多孔質材料の全体に対して酸化物換算で0.1質量%未満であることを特徴とする多孔質材料。
  6. 請求項5に記載の多孔質材料であって、
    前記多孔質材料が、前記アルカリ金属成分としてNaまたはKを含むことを特徴とする多孔質材料。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の多孔質材料であって、
    前記骨材が、SiC粒子である粒子本体を含むことを特徴とする多孔質材料。
  8. 請求項7に記載の多孔質材料であって、
    前記骨材が、前記粒子本体の表面に設けられた酸化膜をさらに含むことを特徴とする多孔質材料。
  9. 請求項8に記載の多孔質材料であって、
    前記酸化膜が、クリストバライトを含むことを特徴とする多孔質材料。
  10. 請求項8または9に記載の多孔質材料であって、
    前記酸化膜の厚さが、0.3~5.0μmであることを特徴とする多孔質材料。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1つに記載の多孔質材料であって、
    前記結合材に含まれる前記Sr成分の少なくとも一部が、SrAlSiとして存在することを特徴とする多孔質材料。
  12. 請求項11に記載の多孔質材料であって、
    前記SrAlSiの質量の比率が、前記多孔質材料の全体に対して0.1~10.0質量%であることを特徴とする多孔質材料。
  13. 請求項1ないし12のいずれか1つに記載の多孔質材料であって、
    前記多孔質材料の断面における前記結合材のエッジにおいて、曲率が局所的に最大となる位置における接線方向に対して、前記結合材のエッジが立ち上がる角度の代表値が、0度よりも大きく、かつ、25度以下であることを特徴とする多孔質材料。
  14. 請求項1ないし13のいずれか1つに記載の多孔質材料により形成され、内部が隔壁により複数のセルに仕切られた筒状部材であることを特徴とするハニカム構造体。
  15. 焼成体である多孔質材料の製造方法であって、
    a)骨材原料、結合材原料および造孔材を混合した混合物を成形して成形体を得る工程と、
    b)前記成形体を焼成することにより、焼成体である多孔質材料を得る工程と、
    を備え、
    前記多孔質材料が、前記多孔質材料の全体に対して、MgO成分を0.1~10.0質量%、Al成分を0.5~25.0質量%、SiO成分を5.0~45.0質量%含み、Sr成分をSrO換算で0.311.20質量%含み、
    前記結合材が、前記結合材の全体に対して、Sr成分をSrO換算で1.34.3質量%含むことを特徴とする多孔質材料の製造方法。
  16. 焼成体である多孔質材料の製造方法であって、
    a)骨材原料、結合材原料および造孔材を混合した混合物を成形して成形体を得る工程と、
    b)前記成形体を焼成することにより、焼成体である多孔質材料を得る工程と、
    を備え、
    前記多孔質材料の結合材が、前記結合材の全体に対して、MgO成分を5.0~15.0質量%、Al成分を30.0~60.0質量%、SiO成分を30.0~55.0質量%含み、Sr成分をSrO換算で1.34.3質量%含むことを特徴とする多孔質材料の製造方法。
  17. 請求項15または16に記載の多孔質材料の製造方法であって、
    c)前記多孔質材料に対して酸化処理を施す工程をさらに備え、
    前記骨材原料が、SiC粒子を含むことを特徴とする多孔質材料の製造方法。
  18. 請求項17に記載の多孔質材料の製造方法であって、
    前記c)工程における前記酸化処理の温度が、1200~1350℃であることを特徴とする多孔質材料の製造方法。
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