以下、図面を参照して、本発明に従う、吐出具の様々な実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明において、「上方」とは、容器から内容物を取り出す取出し部が指向する方向であり、「下方」とは、容器の中心軸線O1(以下、単に「中心軸線O1」ともいう)方向に沿って「上方」と反対側に指向する方向である。「前方」とは、中心軸線O1と直交し、かつ、噴射口が指向する方向であり、「後方」とは、「前方」と反対側に指向する方向である。
まず図1〜4を参照して、本発明の第1実施形態の吐出具を備えるエアゾール容器を説明する。
図1中、符号1Aは、本発明の第1実施形態の吐出具である。次いで、符号2Aは、吐出具1Aを装着したエアゾール容器である。エアゾール容器2Aは、例えば金属製となる有底筒状の容器本体3に、例えば金属製となるマウンティングカップ4の外縁を巻き締めして(巻き締めした部位が環状縁部5となる)固着したものである。エアゾール容器2Aの内側には1種類の内容物Cが収容されている。またエアゾール容器2Aは、内容物Cの収容空間につながる1つのステム(取出し部)6を有している。本実施形態では、吐出具1Aには、2つのエアゾール容器2Aが並列に装着されている。
吐出具1Aは、カバー部材10を有する。本実施形態では、カバー部材10は、固定盤50を介して2つのエアゾール容器2Aに装着されている。固定盤50は、上方から見たときの外形輪郭形状がトラック状(2つの半円の両端をそれぞれ直線でつないで形作られた輪郭)の外形形状をしている。
カバー部材10は、2つのステム6とともに固定盤50を取り囲む外周部11を有する。図2(a)に示すように、外周部11は、上方から見たときの外形輪郭形状がトラック状の形状をしている。またカバー部材10は、その長手方向の反対側の位置にそれぞれ、互いに向い合うように2つの膨出部12が一体に設けられている。膨出部12は、外周部11を形成する外壁12aと内壁12bとを有し、外壁12aの上端と内壁12bの上端との間が天板部12cで一体に連結されている。
また膨出部12の相互間には、棚壁13が貫通孔A1を形成するように一体に掛け渡されている。棚壁13は、図1に示すように、膨出部12の内壁12b下端に一体に連結されている。これにより、カバー部材10には、膨出部12と棚壁13とで形作られた窪み部Dが形成される。窪み部Dは、上側が開放されている。
窪み部Dは、ノズル部材20を収容する収容部を形成する。本実施形態では、ノズル部材20は、2つのノズル本体21を有する。ノズル本体21はそれぞれ、ステム6に対して着脱可能な装着部21aと、この装着部21aからステム6(エアゾール容器2Aの中心軸線O1)に沿って上方に伸びる注出筒21bとを有する。2つのノズル本体21の内側にはそれぞれ、個々のステム6に対応した流路Rが形成されている。すなわち、ノズル部材20は、図2(a)に示すように、2つのステム6に対応して互いに独立して形成された2つの流路Rを有する。
本実施形態では、図2(b)に示すように、ノズル本体21は、装着部21aに形成された開口から流路R内にステム6を挿入することで、ステム6に対して取り外し可能に嵌合する。また、ノズル本体21の内側には、ノズル本体21の中心軸線周りを周回する環状凸部21cが設けられている。環状凸部21cは、ステム6に接触してステム6の挿入量を調整するストッパとして機能する。
図2(a)に示すように、2つのノズル本体21はそれぞれ、フランジ部22によって一体に連結されている。フランジ部22には、突出片23が一体に設けられている。本実施形態では、フランジ部22は、その上方から見たときの外形輪郭形状がトラック状の形状をしている。突出片23は、フランジ部22の短手方向から突出するとともに長手方向に沿って延在している。
さらに、ノズル部材20の突出片23には、図2(b)に示すように、ノズル本体21の注出筒21bとの間に間隔を置いて仕切部24が一体に設けられている。本実施形態では、仕切部24は、ノズル本体21に沿って伸びるとともにフランジ部22の長手方向に延在している。さらに仕切部24には、ノズル本体21の注出筒21bに向かって突出する係止突起25が設けられている。なお、突出片23と仕切部24との間には、補強リブ26が設けられている。
また図2(b)に示すように、窪み部Dには、筒状のノズルホルダ14が配置されている。ノズルホルダ14は、ヒンジH1(揺動部)を介してカバー部材10に一体に設けられている。本実施形態では、ノズルホルダ14は、ヒンジH1を介してカバー部材10の外周部11に一体に設けられている。さらに詳細には、ノズルホルダ14は一体に設けられたベース15を有し、このベース15を、カバー部材10に貫通孔A1を形作る縁部のうち、前方に配置された外周部11側の縁部にヒンジH1を介して一体に連結することで設けられている。これにより、ノズルホルダ14にノズル部材20を装着すれば、ノズル部材20は、ヒンジH1を基点に、カバー部材10に対して上下に円弧状に揺動させることができる。なお、ヒンジH1は揺動部として、ノズル部材20をカバー部材10に対して揺動可能に軸支する軸構造に置き換えることもできる。
ノズルホルダ14には、ノズル部材20を着脱可能な貫通路Pが形成されている。本実施形態では、ノズルホルダ14は、2つのノズル本体21を貫通路Pに収めて、その上方から見たときの外形輪郭形状がトラック状の中空形状をしている。ノズルホルダ14は、その上端部14aに形成された開口から貫通路Pを通して、2つのノズル本体21を着脱可能に嵌合させる。これにより、ノズルホルダ14は、ノズル部材20を上下方向に着脱可能に装着させることができる。
さらに、本実施形態では、ノズルホルダ14の上端部14aをノズル部材20に設けたノズル本体21(注出筒21b)と仕切部24との間に嵌合させることができる。これにより、ノズル部材20は、ノズルホルダ14内でより強固に保持される。加えて、本実施形態では、ノズルホルダ14とノズル部材20との間に、係止手段Mが設けられている。本実施形態では、ノズル部材20の仕切部24の内側に設けた係止突起25とともに、ノズルホルダ14の外側に係止凹部16が形成されている。ノズル部材20の仕切部24に設けた係止突起25は、ノズルホルダ14に形成された係止凹部16に対して係止させることができる。これにより、ノズル部材20は、ノズルホルダ14内でさらに強固に保持される。また係止突起25と係止凹部16との係止は、ノズル部材20をノズルホルダ14に対して一定以上の力で引っ張ることで解除することができる。
一方、2つのエアゾール容器2Aにカバー部材10を装着するための固定盤50は、図1に示すように、ステム6をそれぞれ露出させる2つの開口部A2を残してエアゾール容器2Aのマウンティングカップ4の上端に接触する天壁51を有する。天壁51からは、各エアゾール容器2Aの環状縁部5に嵌合する装着筒52が一体に垂下する。各装着筒52の下端内側には、各エアゾール容器2Aの環状縁部5下端に取り付けられる係合爪53が一体に設けられている。本実施形態では、図1に示すように、各装着筒52にスリット54を形成することで、マウンティングカップ4に係止させる際に装着筒52が撓むようにしている。
さらに、装着筒52には、その左右両側の位置に、径方向外向きに爪部55が設けられている。一方、カバー部材10の外周部11は、固定盤50の装着筒52を内側に収めて、装着筒52の断面輪郭形状と略等しいトラック状の外形を有している。これにより、固定盤50全体がカバー部材10によって覆われることになるので、固定盤50に特別な装飾効果を施す必要がなくなる。また、カバー部材10の外周部11には、固定盤50の装着筒52に設けた爪部55に係合する係合孔A3を形成した揺動片60が設けられている。ここで揺動片60は、図1の破線で示す連結片61によって左右方向の2箇所の位置で外周部11に連結されるものであり、連結片61よりも上方に位置する揺動片60の上部域を内側に押圧すれば、揺動片60は連結片61を中心に揺動し、係合孔A3が外側に変位して爪部55との係合が解除される。このような固定盤50を介してカバー部材10の取り付けを行えば、主要部分は変更すること無く、カバー部材10を一部変更するだけで、吐出具1Aを2つのエアゾール容器2Aに対して取り付けられるため、開発効率が高まる上、コストを抑制することができる。
次に、吐出具1Aを2つのエアゾール容器2Aに装着する方法とともに、吐出具1Aを用いた内容物の噴射方法、及び、ノズル部材20を洗浄する方法を説明する。
図1に示すように、吐出具1Aを2つのエアゾール容器2Aに装着するときにはまず、2つのエアゾール容器2Aのマウンティングカップ4に固定盤50を装着する。次いで、吐出具1Aのカバー部材10を固定盤50へ装着する。これにより、吐出具1Aを2つのエアゾール容器2Aに装着できる。
内容物Cを噴射するときには、図3(a)に示すように、ノズル部材20に設けた突出片23を下方に押し込む。このとき、ノズル部材20は、ノズルホルダ14とともにカバー部材10に対してヒンジH1を基点に下向きに揺動することで、2つのステム6をそれぞれ、エアゾール容器2A内に一体かつ同時に押し下げる。これにより、ノズル部材20に形成された2つの噴射口1aを通して各ステム6からエアゾール容器2A内の内容物Cを別個独立に噴射できる。なお、本実施形態では、ステム6の押下げは、図3(a)に示すように、ノズルホルダ14の下端部(以下、「ノズルホルダ下端部」ともいう)14e又はノズル部材20に設けられたノズル本体21の下端部(以下、「ノズル本体下端部」ともいう)21eが、エアゾール容器2Aのマウンティングカップ4の上端に接触することで制限される。
内容物Cを噴射したのち、洗浄を行うときには、ノズル部材20を吐出具1Aから取り外す。本実施形態ではまず、図3(b)に示すように、ノズル部材20に設けた突出片23を摘んで上側に引き上げる。このとき、ノズル部材20は、係止手段Mによってノズルホルダ14に係止されているため、ノズルホルダ14とともにカバー部材10に対してヒンジH1を基点に上向きに揺動する。これにより、エアゾール容器2Aのステム6から吐出具1Aに設けられたノズル部材20のみを容易に取り外せる。次いで、突出片23をさらに引っ張れば、ノズルホルダ14がヒンジH1を介してカバー部材10と一体であるため、係止手段Mによる係止が解除される。これにより、吐出具1Aに設けたノズル部材20のみを、吐出具1Aに設けたノズルホルダ14から容易に取り外すことができる。これにより、吐出具1Aから取り外したノズル部材20のみを洗浄することができる。
あるいは、ノズル部材20をステム6から取り外したのち、カバー部材10に設けた揺動片60を操作すれば、ノズル部材20を着けたままの吐出具1Aを固定盤50から取り外すことができる。これにより、ノズル部材20を吐出具1Aごと洗浄することができる。このときも、カバー部材10を保持しつつ、突出片23をさらに引っ張れば、ノズル部材20のみをノズルホルダ14から容易に取り外すことができる。これにより、ノズル部材20を吐出具1Aから分離して洗浄することもできる。
上述のとおり、本実施形態の吐出具1Aによれば、エアゾール容器2Aのステム6から吐出具1Aに設けたノズル部材20のみを容易に取り外せるとともに、このノズル部材20を取り外したまま保持することができる。従って、吐出具1Aによれば、エアゾール容器2Aのステム6から吐出具1Aに設けたノズル部材20のみを取り外して容易に洗浄することができるとともに、ノズル部材20を取り外したままでも洗浄作業を中断することができる。なお、洗浄方法としては例えば、一般的な水洗いが挙げられる。
次に、図4〜5を参照して、本発明の第2実施形態の吐出具を備えるエアゾール容器を説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と実質的に同一の部分は、同一符号をもってその説明を省略する。
図4中、符号1Bは、本発明の第2実施形態の吐出具である。次いで符号2Bは、吐出具1Bを装着したエアゾール容器である。エアゾール容器2Bは、第1実施形態と同様、有底筒状の容器本体3に、マウンティングカップ4の外縁を巻き締めして固着したものである。エアゾール容器2Bは、その内側に2種類の内容物が別個に収容されている。またエアゾール容器2Bは、それぞれの内容物の収容空間につながる総計2つのステム6を有している。本実施形態では、マウンティングカップ4の中央部には、上方から見てその外形輪郭形状がトラック状となる突起部7が台座部8から突出し、この突起部7から、2つのステム6が一括りに突出している。なお、突起部7を上方から見たときの外形輪郭形状は、矩形状でも楕円状でもよい。また、本実施形態では、台座部8を上方から見たときの外形輪郭形状は、真円形状である。
これに対し、ノズル部材20は、第1実施形態のノズル部材20と基本的に同じ構成であるが、本実施形態では、2つのノズル本体21をフランジ部22とともに連結部26によって一体に形成している。
カバー部材30は、2つのステム6を取り囲んだ状態でエアゾール容器2Bに装着される。カバー部材30は、マウンティングカップ4を取り囲む外周部31を有する。図5(a)に示すように、外周部31は、上方から見たときの外形輪郭形状が真円形状をしている。またカバー部材30には、外周部31からカバー部材30の中心軸線(本実施形態では、エアゾール容器2Bの中心軸線O1と同軸)を挟んで対向する位置にそれぞれ、膨出部32が一体に設けられている。
膨出部32は、外周部31を形成する外壁32aと内壁32bとを有し、外壁32aの上端と内壁32bの上端との間が天板部32cで一体に連結されている。また膨出部32の相互間には、棚壁33が貫通孔A1を形成するように一体に掛け渡されている。棚壁33は、図4に示すように、膨出部32の内壁32b下端に一体に連結されている。これにより、カバー部材30には、膨出部32と棚壁33とで形作られた窪み部Dが形成される。窪み部Dには、第1実施形態と同様、ノズル部材20がノズルホルダ14とともに配置される。本実施形態では、ノズルホルダ14は、第1実施形態と同様、ヒンジH1を介してカバー部材30に一体に設けられている。
さらに、図4に示すように、カバー部材30の内側には、装着筒34が一体に設けられている。装着筒34の下端内側には、エアゾール容器2Bの環状縁部5下端に取り外し可能に係止される係合爪35が一体に設けられている。これにより、カバー部材30は、エアゾール容器2Bに対して直接着脱できる。本実施形態では、図5(b)に示すように、装着筒34の後方下端に切り欠き34sを形成することで着脱を容易にしている。さらに、カバー部材30の内側には、環状縁部5の上端に接触する支持筒36が一体に設けられている。支持筒36は、環状縁部5の上端に接触することで、係合爪35の係合力を確実なものとする。なお、本実施形態では、図5(b)に示すように、支持筒36は、その前方下端を切り欠いたことで、ノズルホルダ14とカバー部材30とを繋ぐベース15の揺動軌道を確保している。
加えて、カバー部材30の内側には、位置決め壁37が設けられている。位置決め壁37は、図5(b)に示すように、エアゾール容器2Bの突起部7を形作る側面のうち、長手方向に延在する側面に接触させることができる。この場合、カバー部材30を中心軸線O1周りに回転させて位置決め壁37を突起部7の側面に合わせることで、カバー部材30を中心軸線O1周りに位置決めすることができる。これにより、カバー部材30を中心軸線O1周りの適正位置に位置決めすることができる。本実施形態では、位置決め壁37は、棚壁33に一体に設けられている。また位置決め壁37は、貫通孔A1を形作る縁部のうち、後方側の縁部から垂下している。
次に、吐出具1Bをエアゾール容器2Bに装着する方法とともに、吐出具1Bを用いた内容物の噴射方法、及び、ノズル部材20を洗浄する方法を説明する。
吐出具1Bをエアゾール容器2Bに装着するときにはまず、カバー部材30をマウンティングカップ4へ装着する。ここで、図5(b)に示す位置決め壁37が、エアゾール容器2Bの突起部7の長手方向側面と合っている場合には、支持筒36の下端が環状縁部5の上端に当接する高さまでカバー部材30が下がることになるが、互いの向きがずれている場合には、位置決め壁37の下端が突起部7の上面に当接して所定の高さよりも高い所に位置することとなる。すなわち、カバー部材30の高さの違いで両者の向きが合っているか否かを判断することができるので、組み立て作業がより簡単になる。また、カバー部材30を中心軸線O1周りに回転させると、両者の向きが合ったところでカバー部材30が下方に移動するので、触覚をもって位置合わせの完了を知ることもできる。その後、カバー部材30を押し込めば、図5(b)に示すように装着筒34が外側へ変形することにより、係合爪35が環状縁部5の下端に係合する。これにより、吐出具1Bは、エアゾール容器2Bに対して、中心軸線O1周りの適正位置に位置決めすることができる。
内容物Cを噴射するときには、第1実施形態と同様、ノズル部材20に設けた突出片23を下方に押し込むことで、ノズル部材20に形成された2つの噴射口1aを通して各ステム6からエアゾール容器2B内の内容物Cを別個独立に噴射できる。なお、本実施形態も、ステム6の押下げは、ノズルホルダ下端部14e又はノズル部材20に設けられたノズル本体下端部21eがエアゾール容器2Bのマウンティングカップ4(突起部7)の上端に接触することで制限される。
内容物Cを噴射したのち、洗浄を行うときも、第1実施形態と同様、ノズル部材20に設けた突出片23を摘んでヒンジH1を基点に上側に引き上げることで、エアゾール容器2Bのステム6からノズル部材20のみを容易に取り外すことができる。さらに吐出具1Bも、エアゾール容器2Bから取り外すこともできる。これにより、吐出具1Bに設けたノズル部材20を容易に洗浄することができる。なお、洗浄を行うにあたっては、第1実施形態と同様、ノズル部材20のみを取り外しても、吐出具1Bごと取り外してもよく、その順番についても、第1実施形態と同様、様々に選択できる。
次に、図6〜9を参照して、本発明の第3実施形態の吐出具を備えるエアゾール容器を説明する。なお、以下の説明において、他の実施形態と実質的に同一の部分は、同一符号をもってその説明を省略する。
図6中、符号1Cは、本発明の第3実施形態の吐出具である。吐出具1Cは、第2実施形態と同様、エアゾール容器2Bに装着されるカバー部材30にヒンジH1を介してノズルホルダ14を設け、このノズルホルダ14にノズル部材40を装着したものである。
またノズル部材40は、他の実施形態と同様、エアゾール容器2Bのステム6に対応して、2つのノズル本体21を有する。2つのノズル本体21はそれぞれ、第2実施形態と同様、連結部26によって一体に連結されている。また、ノズル部材40は、2つのノズル本体21の注出筒21bがそれぞれ、装着部21aから前方に向かって伸びている。流路Rはそれぞれ、ステム6に通じるステム側流路R1と、このステム側流路R1に通じるとともに前方に向かって伸びる噴射口側流路R2とで形成されている。なお、本実施形態では、ステム側流路R1は、開口孔として形成されている。
さらに、本実施形態では、突出片23は、連結基部27を介してノズル部材40の上端に設けられている。突出片23は、図7(a)に示すように、連結基部27から後方に向かって伸びている。
ノズルホルダ14は、他の実施形態と同様、ノズル部材40を着脱可能な貫通路Pが形成されている。本実施形態では、ノズルホルダ14は、2つのノズル本体21の注出筒21bをそれぞれ貫通路Pに収めて、その前方から見たときの外形輪郭形状が、図6に示すようにトラック状の中空形状をしている。ノズルホルダ14は、2つの注出筒21bを着脱可能に嵌合させる。これにより、ノズル部材40は、図7(a)に示すように、その注出筒21bをノズルホルダ14の後端部14b(図9(a)参照)から貫通路P内に挿入することで、ノズルホルダ14に対して着脱可能に装着できる。
また、本実施形態では、図7(b)に示すように、ノズルホルダ14の下端部には、ノズルホルダ14の後端側から前方に伸びる下端部側切欠き14s1が形成されている。下端部側切欠き14s1は、ノズルホルダ14の後端側からノズル部材40を貫通路P内に挿入したとき、ノズル部材40に設けた2つの装着部21aを収容する。また、ノズルホルダ14の上端部には、ノズルホルダ14の後端側から前方に伸びる上端部側切欠き14s2が形成されている。上端部側切欠き14s2は、ノズルホルダ14の後端側からノズル部材40を貫通路P内に挿入したとき、ノズル部材40に設けた突出片23を繋ぐ連結基部27を収容する。
さらに、本実施形態では、カバー部材30は、図7(b)に示すように、後方に配置された棚壁33が水平面(中心軸線O1に対して直交する面)を形成する。また棚壁33の上端には、2つの傾斜突起38が一体に設けられている。傾斜突起38はそれぞれ、前方に向かって上昇する傾斜面38aと、この傾斜面38aに繋がる上端面38bとで形作られている。加えて、傾斜突起38はそれぞれ、図7(a)に示すように、ノズル部材40の装着部21aに対して前後方向に整列する位置に配置されている。
次に、吐出具1Cを用いた内容物Cの噴射方法及び、ノズル部材40を洗浄する方法を説明する。
内容物Cを噴射するときには、他の実施形態と同様、図8(a)に示すように、ノズル部材40に設けた突出片23を下方に押し込むことで、ノズル部材40に形成された2つの噴射口1aを通して各ステム6からエアゾール容器2B内の内容物Cを別個独立に噴射できる。なお、本実施形態では、ステム6の押下げは、ノズル部材40のノズル本体(装着部21a)がカバー部材30に設けた傾斜突起38に接触することで制限される。
内容物Cを噴射したのち、洗浄を行うときは、他の実施形態と同様、ノズル部材40に設けた突出片23を摘んでヒンジH1を基点に上側に引き上げることで、エアゾール容器2Bのステム6からノズル部材40のみを容易に取り外すことができる。さらに突出片23を後方に引っ張れば、図8(b)に示すように、ノズル部材40をノズルホルダ14から後方に引き出すことができる。これにより、吐出具1Cに設けたノズル部材40を容易に洗浄することができる。なお、洗浄を行うにあたっては、他の実施形態と同様、ノズル部材40のみを取り外しても、吐出具1Cごと取り外してもよく、その順番についても、他の実施形態と同様、様々に選択できる。
さらに、傾斜突起38は、ノズル部材40がノズルホルダ14とともにヒンジH1周りを揺動するときに、その揺動を案内する。このため、本実施形態では、以下のとおり、ノズルホルダ14から取り外したノズル部材40を再度、ノズルホルダ14に簡単に装着できる。
本実施形態では、ノズルホルダ14がノズル部材40を装着していない初期状態のとき、図9(a)に示すように、ノズルホルダ14の下端内周面の高さと、カバー部材30の棚壁33に設けた傾斜突起38の上端面38bの高さが、同一高さになるように設定されている。またノズル部材40も、その装着部21aが棚壁33に載せ置かれたとき、注出筒21bがそれぞれ、棚壁33に設けた傾斜突起38の上端面38bに支持されるように設定されている。このため、カバー部材30の棚壁33とともに、この棚壁33に設けた傾斜突起38の上端面38bを案内に、ノズル部材40をノズルホルダ14の後端側から押し込めば、ノズル部材40の注出筒21bはそれぞれ、図9(a)に示すように、ノズルホルダ14の貫通路Pに対して容易に挿入することができる。
ノズル部材40をさらに押し込めば、図9(b)に示すように、ノズル部材40の装着部21aが棚壁33に設けた傾斜突起38の傾斜面38aに沿ってスライドして上端面38bに至ったのち、この上端面38bを乗り越えることで、ノズル部材40は、ノズルホルダ14とともにヒンジH1を基点として、カバー部材30に対して上下に揺動する。これにより、ノズル部材40はノズルホルダ14に対してさらに容易に挿入できる。ノズル部材40の挿入が完了したのち、ノズル部材40に設けた突出片23を押し下げれば、図7(b)に示すように、ノズル部材40に設けた装着部21aをそれぞれ、各ステム6に対して容易に装着することができる。
なお、ノズル部材40の挿入は、例えば、ノズル部材40の装着部21aがノズルホルダ14に形成した下端部側切欠き14s1の突き当たり端縁に接触することで、あるいは、ノズル部材40の連結基部27がノズルホルダ14に形成した上端部側切欠き14s2の突き当たり端縁に接触することで制限される。
図10及び11は、本発明の第4実施形態の吐出具を備えるエアゾール容器である。なお、以下の説明において、他の実施形態と実質的に同一の部分は、同一符号をもってその説明を省略する。
図10中、符号1Dは、本発明の第4実施形態の吐出具である。吐出具1Dは、第1実施形態と同様、2つのエアゾール容器2Aに装着される固定盤50を介してカバー部材10に装着するものである。
カバー部材10には、図11(a),(b)に示すように、ヒンジH1を介してノズルホルダ14を設け、このノズルホルダ14にノズル部材40を装着している。またカバー部材10の棚壁13には、図11(a),(b)に示すように、傾斜突起38が設けられている。
ノズル部材40は、基本的に第3実施形態と同様の構成であるが、図11(a)に示すように、ノズル本体21の注出筒21bは、外径の大きい大径部21b1と、この大径部21b1よりも外径の小さい小径部21b2とで形成されている。また図11(b)に示すように、ノズル本体21の装着部21aに形成されたステム側流路R1は通路として形成されている。さらに、2つのノズル本体21は、図11(a),(b)に示すように、突出片23によって一体に連結されている。
本実施形態も、内容物Cを噴射するときには、第3実施形態と同様、ノズル部材40に設けた突出片23を下方に押し込むことで、ノズル部材40に形成された2つの噴射口1aを通して各ステム6からエアゾール容器2A内の内容物Cを別個独立に噴射できる。
内容物Cを噴射したのち、洗浄を行うときは、第3実施形態と同様、ノズル部材40に設けた突出片23を摘んでヒンジH1を基点に上側に引き上げることで、エアゾール容器2Bのステム6からノズル部材40のみを容易に取り外すことができる。さらに突出片23を後方に引っ張れば、ノズル部材40をノズルホルダ14から後方に引き出すことができる。これにより、吐出具1Dに設けたノズル部材40を容易に洗浄することができる。なお、洗浄を行うにあたっては、他の実施形態と同様、ノズル部材40のみを取り外しても、吐出具1Dごと取り外してもよく、その順番についても、他の実施形態と同様、様々に選択できる。
さらに、本実施形態も、カバー部材10の棚壁13に設けた傾斜突起38を介してノズルホルダ14から取り外したノズル部材40を再度、ノズルホルダ14に簡単に装着できる。
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。例えば、上述した実施形態ではいずれも、2剤を互いに独立して噴射させる形態で説明したが、流路Rは、その途中で互いに合流させることもできる。また、上述した実施形態では、複数のステム6に対応させて吐出具の流路も独立して形成された複数の流路としたが、本発明を、通常のエアゾール容器のように、1つのステムを有するエアゾール容器に対応させて単一の流路に形成した吐出具に適用させることも可能である。
また上述した実施形態のように、上側を開放した窪み部Dにノズルホルダ14とともにノズル部材20,40を収容すれば、ノズルホルダ14とともにノズル部材20,40を、ヒンジH1を基点に容易に揺動させるができる。ただし本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば、カバー部材10,30に設けた2つの膨出部12,32の間に架橋部を掛け渡し、この架橋部にヒンジを介してノズル部材20,40を押し下げるレバーを設けたカバー部材を用いた吐出具としてもよい。
さらに、本発明の吐出具は、エアゾール容器は勿論、変形及び復元が可能なスクイズ容器等にも用いることができる。スクイズ容器の場合、ノズル部材20,40に設けた装着部21aは、スクイズ容器の口部を取出し部として装着されるとともに、ノズル部材20,40に設けた突出片23は、この口部から取り外すためにのみ利用される。また、上述の各実施形態の構成要素は、互いに適宜置き換え、或いは、組み合わせ等を行うことができる。