JP6116640B1 - 留め具 - Google Patents
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Abstract
Description
多くの留め具は、繰り返し着脱して使用できるように着脱自在な構造となっているが、中には、一度取り付けると二度と取り外せない方が望ましい用途に使用される留め具もある。
例えば組み立て式のダンボール製ボックス等では、組み立ての際に、隣り合う側面どうしが一部重なるようにダンボール紙の側面の一部をコーナー部分で折り曲げ、重ね合わされたダンボール紙どうしを留め具で固定するようにしてある。このとき、コーナーを固定するための「コーナー留め」として雌雄一対の留め具が用いられるが、この場合の留め具は、一旦固定した後は決して外れたり破断したりしないようにすることが必要になる。
また、図8は雄体10aの斜視図であり、図9は雌体20aの斜視図(a)と分割溝28の形成方向から見た正面図(b)であり、図10は留め具1aの使用状態における断面図である。
雄体10aは、内側表面11が平面、外側表面12が凸面である円板状の雄体基部13と、内側表面11から立設する係合突起14とからなる。
係合突起14は、雄体基部13に近い側で柱状の軸体をなす雄体軸部15と、雄体軸部15の先端に設けられる鍔部16とからなる。鍔部16と雄体軸部15との境界部分には、鍔部16よりも外径の小さい括れ部17aが形成してある。括れ部17aは雄体軸部15の先端側を先細りのテーパー状の外周面として形成してあり、鍔部16の外径と雄体軸部15の基部側の外径とは略同径にしてある。この括れ部17aが形成されることにより、鍔部16の下面となる下向きの段差面が形成されている。この段差部分は後述する雌体20aの段差面26aと係合する際の係合面となる。鍔部16上面の周縁は丸く面取りしてある。
また、雌体20aが弾性変形することにより段差面26aの位置の孔径を大きく変化させることができるので、段差面26aで鍔部16の段差と接する部分の面積を十分に大きくとることができるようになっている。
雄体10aは、第一部材1Dに形成された貫通孔に係合突起14を貫通させるとともに、雄体基部13の内側表面11が第一部材1Dに当接するようにして取り付けてある。同様に雌体20aは、第二部材2Dに形成された貫通孔に雌体軸部24を貫通させるとともに、雌体基部23の内側表面21が第二部材2Dに当接するようにして取り付けてある。
すなわち、雄体10aの括れ部17aの段差が雌体20aの段差面26aと当接しているため、これが強い抵抗となって引き抜けなくなる。しかも大きな引き抜き力が加わるほど、雌体20aにおける分割溝28で分割された雌体基部23側の各分割片は、分割溝28の底(図10のS−S’線の位置)を支点(軸)とし、段差面26aを力点とする力のモーメントが働き、鍔部16側面や括れ部17a近辺を周囲から強く圧接するようになる。この作用によって引き抜き力に対する抵抗がさらに強まって係合が堅固になる。
このように、留め具1aを使用することにより、一旦雄体10aと雌体20aとが固定されてしまうと堅固に固定され、簡単には取り外せないようにすることができる。
一方、用途によっては固定後の取り外しを不可能とするだけでなく、雌体に対して雄体を回転できなくすることが求められる場合もある。
例えば図10の使用例において、雄体10aと雌体20aとに挟まれた第一部材1Dと第二部材2Dの互いに接する面どうしが回転しないように固定したい場合には、雄体10aが雌体20aに対し回転できないように固定することができれば、雄体10aの内側表面11を第一部材1Dに接着剤等で接着させ、雌体20aの内側表面21を第二部材2Dに接着させておくだけで、第一部材1Dと第二部材2Dとの回転を阻止することができる。
そこで本発明は、一旦固定した後の取り外しを不可能とするとともに、雌体に対し雄体が回転できない構造の留め具を提供することを第一の目的とする。
そこで本発明は、取り外しが困難な完全固定状態の前段階として、取り外しが可能な仮止め状態にすることができる留め具を提供することを第二の目的とする。
すなわち、本発明の留め具は、雄体および雌体からなる留め具であって、前記雄体は、板状の雄体基部、前記雄体基部の内側表面から立設する雄体軸部、前記雄体軸部の周壁よりも大径であり下向き段差部を形成するようにして当該雄体軸部の先端に延設される鍔部、前記雄体軸部の互いに離隔した少なくとも2箇所の周壁の位置から前記鍔部と同径となるように側方に突出し、前記鍔部と前記雄体基部との間を軸方向に沿って連結する側方ガイド壁とが設けられた係合突起を備え、前記雌体は、板状の雌体基部と、前記雌体基部の内側表面から立設し、前記雄体の鍔部より大径の雌体軸部とを備え、前記雌体軸部を貫通して前記雌体基部の外側表面に開口し、前記係合突起が挿入される軸孔が形成され、前記軸孔は、前記鍔部が嵌合される径の嵌合空間が前記雌体基部の外側表面の開口部分に形成され、当該嵌合空間の下面となる位置に内径が前記鍔部および前記側方ガイド壁の径よりも小さく前記鍔部の下向き段差部と係合する上向き段差部が形成され、前記上向き段差部の下側に軸方向に沿って内径が前記鍔部および前記側方ガイド壁の径と同径になるまで拡大するテーパー状の内周面が形成されるとともにその下側に前記鍔部および前記側方ガイド壁と同径の内周面が形成され、さらに、前記軸孔に挿入された前記係合突起の前記側方ガイド壁が突出する位置と周方向の位置を対応させた少なくとも2箇所の位置で、前記雌体基部から前記上向き段差部および前記テーパー状の内周面を含めた前記雌体軸部の一部に至る部分を、前記軸孔の軸方向に沿って、前記側方ガイド壁が嵌入可能な溝幅の分割溝が形成され、前記係合突起は、前記側方ガイド壁と前記分割溝との周方向の位置を対応させて前記雌体の前記軸孔に挿入されたときに、前記分割溝で分割されている上向き段差部が一時的に押し広げられて貫通することにより、前記下向き段差部が前記上向き段差部と係合されるとともに前記鍔部が前記嵌合空間に嵌合され、前記下向き段差部が、前記上向き段差部に係合された後に前記係合突起を前記軸孔から引き抜く方向の力が作用したときに、前記上向き段差部を押圧するとともに前記鍔部を側方から圧接する力が働くように構成され、さらに前記分割溝に前記側方ガイド壁が嵌入されて前記雄体の周方向の回転が制限されるように構成され、前記係合突起は、前記側方ガイド壁と前記分割溝との周方向の位置が位置ずれした状態で前記雌体の前記軸孔に挿入されたときには、上向き段差部が押し広げられた状態のままで貫通することにより、前記側方ガイド壁の外周面に上向き段差部が圧接して仮止め状態となるように構成される。
したがって、側方ガイド壁と分割溝の互いの周方向の位置が一致するように対応させて、雌体の軸孔に雄体の係合突起を挿入していくと、鍔部により雌体の上向き段差部が押し広げられて貫通し、雄体の下向き段差部と雌体の上向き段差部とが係合されるとともに鍔部が嵌合空間に嵌合され、さらに分割溝に側方ガイド壁が嵌入される。
その結果、雄体が雌体に固定された後に、係合突起を軸孔から引き抜く方向の力、および、係合突起を回転する力が作用したときには、下向き段差部が上向き段差部を押圧するとともに鍔部を側方から圧接する力が働くようになって引き抜きが困難になるだけでなく、側方ガイド壁が分割溝に嵌入されていることにより雄体の周方向の回転も制限される。
また、側方ガイド壁と分割溝との周方向の位置が位置ずれした状態で、係合突起が雌体の軸孔に挿入されたときには、上向き段差部が押し広げられた状態のまま鍔部が貫通することにより、側方ガイド壁の外周面に上向き段差部が圧接するようになって仮止め状態となる。この仮止め状態のときに再び引き抜く方向の力を作用させると、上向き段差部が側方ガイド壁の外周面を圧接する摩擦力を超える力を加えるだけで引き抜くことができる。一方、仮止め状態から雄体軸部を回転して位置ずれをなくすことにより、側方ガイド壁が分割溝に嵌入するとともに上向き段差部と下向き段差部とが係合するようになり、堅固な固定が実現される。
図1は本発明の一実施形態である留め具1を示す斜視図である。留め具1は雄体10と雌体20とからなり、図1では互いを係合させて固定した状態(使用状態)を示している。
図2は雄体10の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)におけるA−A’線断面図、(d)は(a)におけるB−B’線断面図である。
図3は雌体20の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は一部断面正面図である。
図4は図1の留め具1の固定状態における断面図である。
なお、図7〜10の従来例において説明した留め具1aの雌体20aは分割溝28で4分割されているのに対し、本実施形態では雌体20が3分割されている点が異なるが、この点以外の同じ機能を有する構成部分については、同じ符号を付すことにより説明を省略する。
雄体10は、内側表面11、外側表面12が平らな円板状の雄体基部13と、内側表面11から立設する係合突起14とからなる。雄体基部13は、作製時に使用する樹脂量を節約するとともに加工時に安定した加工を実施するため、肉抜きの開口13aが設けてある。
鍔部16と雄体軸部15との境界部分で、側方ガイド壁18が突出して鍔部16と同径になっていない位置には、鍔部16の下面として段差をなす下向き段差部17が形成してある。下向き段差部17は後述する雌体20の上向き段差部26と係合する際の係合面となる。鍔部16上面の周縁は丸く面取りしてある。
また、上向き段差部26より下側で、分割溝28の溝底よりも上側の領域の軸孔25には、下側へ向かうにつれて内径が拡大するテーパー状内周面25aが形成してあり、それよりも下側の軸孔25の内径は再び鍔部16の外径に合わせてある。
分割溝28によって雌体基部23は3分割されているが、このような分割溝28を形成することにより、雌体基部23は弾性変形が可能になって半径方向に大きく広がることができるようにしてある。また、分割溝28の溝幅Wは、雄体10の側方ガイド壁18が嵌り込む幅に形成してある。
鍔部16が上向き段差部26を完全に貫通する位置まで挿入されて下向き段差部17が上向き段差部26を越えると、弾性変形が元に戻り、図4に示すように上向き段差部26と下向き段差部17とが面接するようになる。
図5に示すように、雌体20の上向き段差部26は弾性変形した状態で、側方ガイド壁18の外周面18aを圧接するようになり、この圧接力によって仮止め状態が維持される。
したがって、仮止め状態のときに、このまま固定してよいかを確認することができ、問題なければ、雄体10を回転して側方ガイド壁18の外周面18aを分割溝28に嵌り込ませることで完全に固定することができる。
本発明は必ずしも上記の実施形態に特定されるものではなく、本発明の目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
例えば、上記の実施形態では留め具1の雄体10と雌体20とを別体としたが、一体で作製することもできる。具体的には、雄体と雌体とを変形自在な連結部材を介して一体接続して対にしておくことにより、雄体または雌体の一方の数が不足する不具合をなくすことができる。また、雄体と雌体のいずれかにフック機構を付設することで、留め具で固定した物品とフック機構とを一体にすることができる。
フック機構53は雌体51における雌体基部の一部を構成し、フック機構53の一部が連結部材52を兼ねている。連結部材52は中間部分54が屈曲できるように薄肉にしてあり、この部分で折り返すことにより雄体50と雌体51とが固定できるようにしてある。
なお、本実施例では連結部材52、フック機構53は変形しにくい厚さにしているが、フック機構53を設けずに連結部材52を細くして自由に変形できるようにすれば、雌体51に対して雄体50を仮止め状態にして使用することができるようになる。
なお、図6ではフック機構53を雌体51の一部に設けているが、これに代えて連結部材52、あるいは雄体50に設けるようにしてもよい。
10、50 雄体
11 内側表面
13 雄体基部
14 係合突起
15 雄体軸部
16 鍔部
17 下向き段差部
18 側方ガイド壁
18a 外周面
20、51 雌体
21 内側表面
22 外側表面
23 雌体基部
24 雌体軸部
25 軸孔
25a テーパー状内周面
26 上向き段差部
27 嵌合空間
28 分割溝
52 連結部材
53 フック機構
Claims (3)
- 雄体および雌体からなる留め具であって、
前記雄体は、板状の雄体基部、前記雄体基部の内側表面から立設する雄体軸部、前記雄体軸部の周壁よりも大径であり下向き段差部を形成するようにして当該雄体軸部の先端に延設される鍔部、前記雄体軸部の互いに離隔した少なくとも2箇所の周壁の位置から前記鍔部と同径となるように側方に突出し、前記鍔部と前記雄体基部との間を軸方向に沿って連結する側方ガイド壁とが設けられた係合突起を備え、
前記雌体は、板状の雌体基部と、前記雌体基部の内側表面から立設し、前記雄体の鍔部より大径の雌体軸部とを備え、前記雌体軸部を貫通して前記雌体基部の外側表面に開口し、前記係合突起が挿入される軸孔が形成され、
前記軸孔は、前記鍔部が嵌合される径の嵌合空間が前記雌体基部の外側表面の開口部分に形成され、当該嵌合空間の下面となる位置に内径が前記鍔部および前記側方ガイド壁の径よりも小さく前記鍔部の下向き段差部と係合する上向き段差部が形成され、前記上向き段差部の下側に軸方向に沿って内径が前記鍔部および前記側方ガイド壁の径と同径になるまで拡大するテーパー状の内周面が形成されるとともにその下側に前記鍔部および前記側方ガイド壁と同径の内周面が形成され、
さらに、前記軸孔に挿入された前記係合突起の前記側方ガイド壁が突出する位置と周方向の位置を対応させた少なくとも2箇所の位置で、前記雌体基部から前記上向き段差部および前記テーパー状の内周面を含めた前記雌体軸部の一部に至る部分を、前記軸孔の軸方向に沿って、前記側方ガイド壁が嵌入可能な溝幅の分割溝が形成され、
前記係合突起は、前記側方ガイド壁と前記分割溝との周方向の位置を対応させて前記雌体の前記軸孔に挿入されたときに、前記分割溝で分割されている上向き段差部が一時的に押し広げられて貫通することにより、前記下向き段差部が前記上向き段差部と係合されるとともに前記鍔部が前記嵌合空間に嵌合され、
前記下向き段差部が、前記上向き段差部に係合された後に前記係合突起を前記軸孔から引き抜く方向の力が作用したときに、前記上向き段差部を押圧するとともに前記鍔部を側方から圧接する力が働くように構成され、
さらに前記分割溝に前記側方ガイド壁が嵌入されて前記雄体の周方向の回転が制限されるように構成され、
前記係合突起は、前記側方ガイド壁と前記分割溝との周方向の位置が位置ずれした状態で前記雌体の前記軸孔に挿入されたときには、上向き段差部が押し広げられた状態のままで貫通することにより、前記側方ガイド壁の外周面に上向き段差部が圧接して仮止め状態となるように構成されることを特徴とする留め具。 - 前記雄体と前記雌体とが変形自在な連結部材を介して一体に接続される請求項1に記載の留め具。
- 前記雄体または前記雌体または前記連結部材の少なくともいずれかにフック機構が付設される請求項1または請求項2に記載の留め具。
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