JP6450137B2 - 留め具 - Google Patents
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Description
多くの留め具は、繰り返し着脱して使用できるように着脱自在な構造となっているが、中には、一度取り付けると二度と取り外せない方が望ましい用途に使用される留め具もある。
この止め具は、対をなす第一部材110(雄体)と第二部材120(雌体)とからなる。第一部材110は、第一被取付物102に取り付けられる基部111と、基部111の表面から突出したテーパー状の突出部116と、突出部116の先端に設けられた鍔部114を有する係合突起113と、基部111裏面から係合突起113内部にかけて形成され、突出部116の外周面と内周面との肉厚を薄肉とする穴112とからなる。
第二部材120は、第二被取付物103に取り付けられる基部121と、基部121表面に開口する円形の凹み122と、基部121裏面および凹み122の上面に開口する貫通穴123と、この貫通穴123周縁に環状に4分割されて立設された係合爪124とからなる。係合爪124はテーパー状に形成されるとともに、その先端開口部124aが鍔部114の外径よりも小さく、かつ、突出部116の小径部分の外径よりも大きく形成されている。
そこで本発明は、従来の留め具と同程度の大きさでありながら、係合させるときは小さな押圧力で係合させることができ、固定後には従来よりもはるかに大きな引き抜き力が働いた場合でも破壊されることなく係合状態を維持できる堅固な中空孔付きの留め具を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の留め具は、雄体および雌体からなる留め具であって、前記雄体は、内側表面および外側表面を有する雄体基部と、前記雄体基部の内側表面から立設する雄体軸部および前記雄体軸部の先端に鍔部が設けられた係合突起とを備え、前記雄体軸部は前記雄体基部に近い側に柱状外周部分が設けられるとともに前記鍔部に近い側に先細りのテーパー状外周部分が形成されて前記鍔部との境界に平坦な面によって当該鍔部より小径となる括れ部が設けられ、前記雄体軸部の前記柱状外周部分の外径と前記鍔部の外径とは略同径にされ、前記係合突起を前記雄体軸部の軸線に沿って貫通し前記雄体基部の外側表面に開口する中空孔が形成され、前記雌体は、内側表面および外側表面を有する雌体基部と、前記雌体基部の内側表面から立設し、前記雄体の鍔部より大径の雌体軸部とを備え、前記雌体軸部を貫通して前記雌体基部の外側表面に開口し、前記雌体軸部の側の開口から前記係合突起が挿入される軸孔が形成され、前記軸孔には前記雄体軸部の柱状外周部分に対応する筒状内周面およびテーパー状外周部分に対応するテーパー状内周面が形成されるとともに内径が前記鍔部の径よりも小さく平坦な面によって前記括れ部と係合する段差面が形成され、前記段差面から前記雌体基部の外側表面まで前記筒状内周面と同径の上部筒状内周面からなり前記鍔部が嵌合される嵌合空間が形成され、さらに、前記雌体基部の外側表面から始まり前記段差面を経て前記テーパー状の内周面を超え前記筒状内周面に至る部分を、前記軸孔の軸方向に沿って少なくとも2つに分割する分割溝が形成され、前記係合突起は、前記雌体の前記軸孔に挿入されるときに前記分割溝で分割されている段差面が一時的に押し広げられて貫通することにより、前記括れ部が前記段差面に係合されるとともに前記鍔部が前記嵌合空間に嵌合され、前記括れ部が、前記段差面に係合された後に前記係合突起を前記軸孔から引き抜く方向の力が作用したときに、前記段差面を押圧するとともに前記鍔部を側方に向けて圧接し続ける力が働くように構成されている。
その後、雄体に対し、軸孔から引き抜く方向の力が働くと、係合部分で鍔部の下面の段差が段差面を押圧するだけではなく、力のモーメント(分割溝の底を軸とし段差面を力点とするモーメント)が働くことで、分割された雌体の嵌合空間の内壁面が雄体の鍔部の側面を強く押圧するようになり、これら双方の押圧作用で引き抜く力に抗するようになる。その結果、従来よりも広い面積の段差面で受ける力と鍔部の側面に働く力のモーメントとによって引き抜く力に抗することができるようになり、一旦係合状態になった後は堅固な係合を実現することができる。
そして、雄体には中空孔が形成されているので、雄体を雌体に係合させるだけで、貫通孔が形成され、この孔を介して紐等を通すことができる。
図1は本発明の一実施形態である合成樹脂製(ポリエチレン等)の雄体10と雌体20とからなる留め具1の係合状態を示した斜視図である。また、図2(a)は雄体10を正面から見たときの断面図、(b)は雄体10の平面図であり、図3(a)は雌体20を正面から見た断面図、(b)は平面図、(c)は斜視図である。そして図4は、図1の留め具1の係合状態における断面図である。
係合突起14は、雄体基部13に近い側で柱状の軸体をなす雄体軸部15と、雄体軸部15の先端に設けられる鍔部16とからなる。鍔部16と雄体軸部15との境界部分には、鍔部16よりも外径の小さい括れ部17が形成されている。括れ部17は雄体軸部15の先端側を先細りのテーパー状の外周面として形成されており、鍔部16の外径と雄体軸部15の基部側の外径とは略同径となっている。この括れ部17によって鍔部16の下面となる段差が形成されている。この段差部分は、後述する雌体の段差面26と係合する際の係合面となる。なお、鍔部16の上面の周縁は丸く面取りされている。また、係合突起14を軸線に沿って貫通し、雄体基部13の外側表面12に至る中空孔18が形成されている。
すなわち、軸孔25は外側表面22に向かって開口する部分に鍔部16と嵌合する嵌合空間27が形成され、嵌合空間27の奥には鍔部16の外径よりも小径の孔で鍔部16下面の段差と係合する段差面26が形成されており、また、段差面26からテーパー状内周面25aが形成され、このテーパー状内周面25aの先には、雄体軸部15基部側の柱状部分が挿入される筒状内周面25bが形成されている。
また、雌体20が弾性変形することにより段差面26の位置の孔径を大きく変化させることができるので、段差面26で鍔部16の段差と接する部分の面積を十分に大きくとることができるようになっている。
雄体10は、第一部材Aに形成された貫通孔に係合突起14を貫通させるとともに、雄体基部13の内側表面11が第一部材Aに当接するようにして取り付けられる。同様に雌体20は、第二部材Bに形成された貫通孔に雌体軸部24を貫通させるとともに、雌体基部23の内側表面21が第二部材Bに当接するようにして取り付けられる。
すなわち、雄体10の括れ部17の段差が雌体20の段差面26と当接しているため、これが強い抵抗となって引き抜くことができなくなる。しかも大きな引き抜き力が加わるほど、雌体20における分割溝28で分割された雌体基部23側の各分割片は、分割溝28の底(図4のS−S’線の位置)を支点(軸)とし、段差面26を力点とする力のモーメントが働き、鍔部16側面や括れ部17近辺を周囲から強く圧接するようになる。この作用によって引き抜き力に対する抵抗がさらに強まって係合が強固になる。
特許文献1の従来例(図7参照)のように、雌体120の係合爪124による弾性変形を利用する場合は、雌体120の内壁から突出する係合爪124による弾性力と力のモーメントの作用で引き向き力に対する抗力を生じるようにしていたため、十分な抗力が得られなかったが、分割溝28が形成された本発明では、従来よりもはるかに大きな引き抜き力が働いた場合でも破壊されることなく係合状態を維持できるようになる。
そして、本発明における係合後の雄体10には中空孔18が設けられているので、これに紐等を通すことにより、持ち手等とすることもできる。
また上記の実施形態では、係合突起14の軸線に垂直な方向の断面を円形にして雄体が回転できる形態を示ししたが、非円形にして回転を制限するようにしてもよい。
例えば図5の平面図に示すように、雌体30の軸孔31を四角形とし、対応する雄体の係合突起の形状についてもこれに挿入可能な四角形とすればよい。また、図5に示した四角形に代えて、その他の多角形、多辺形としてもよい。また円形断面の軸孔の一部に凹部となるスリット(キー溝)を形成した断面形状とし、雄体にはこのスリットに対応する凸部となるキーを設けて回転を制限するようにしてもよい。あるいは軸孔、係合突起の断面を楕円形にしてもよい。このように、少なくとも軸孔や係合突起の軸線に対して垂直方向となる断面の一部を円形以外の形状とすれば回転を制限することができる。
10 雄体
11 内側表面
12 外側表面
13 雄体基部
14 係合突起
15 雄体軸部
16 鍔部
17 括れ部
18 中空孔
20 雌体
21 内側表面
22 外側表面
23 雌体基部
24 雌体軸部
25 軸孔
25a テーパー状内周面
25b 筒状内周面
26 段差面
27 嵌合空間
28 分割溝
Claims (2)
- 雄体および雌体からなる留め具であって、
前記雄体は、内側表面および外側表面を有する雄体基部と、前記雄体基部の内側表面から立設する雄体軸部および前記雄体軸部の先端に鍔部が設けられた係合突起とを備え、前記雄体軸部は前記雄体基部に近い側に柱状外周部分が設けられるとともに前記鍔部に近い側に先細りのテーパー状外周部分が形成されて前記鍔部との境界に平坦な面によって当該鍔部より小径となる括れ部が設けられ、前記雄体軸部の前記柱状外周部分の外径と前記鍔部の外径とは略同径にされ、前記係合突起を前記雄体軸部の軸線に沿って貫通し前記雄体基部の外側表面に開口する中空孔が形成され、
前記雌体は、内側表面および外側表面を有する雌体基部と、前記雌体基部の内側表面から立設し、前記雄体の鍔部より大径の雌体軸部とを備え、前記雌体軸部を貫通して前記雌体基部の外側表面に開口し、前記雌体軸部の側の開口から前記係合突起が挿入される軸孔が形成され、前記軸孔には前記雄体軸部の柱状外周部分に対応する筒状内周面およびテーパー状外周部分に対応するテーパー状内周面が形成されるとともに内径が前記鍔部の径よりも小さく平坦な面によって前記括れ部と係合する段差面が形成され、前記段差面から前記雌体基部の外側表面まで前記筒状内周面と同径の上部筒状内周面からなり前記鍔部が嵌合される嵌合空間が形成され、さらに、前記雌体基部の外側表面から始まり前記段差面を経て前記テーパー状の内周面を超え前記筒状内周面に至る部分を、前記軸孔の軸方向に沿って少なくとも2つに分割する分割溝が形成され、
前記係合突起は、前記雌体の前記軸孔に挿入されるときに前記分割溝で分割されている段差面が一時的に押し広げられて貫通することにより、前記括れ部が前記段差面に係合されるとともに前記鍔部が前記嵌合空間に嵌合され、
前記括れ部が、前記段差面に係合された後に前記係合突起を前記軸孔から引き抜く方向の力が作用したときに、前記段差面を押圧するとともに前記鍔部を側方に向けて圧接し続ける力が働くように構成されることを特徴とする留め具。
- 前記雄体の前記係合突起は、軸線に垂直な断面が非円形であり、
前記雌体の前記軸孔は、軸線に垂直な断面が前記雄体の係合突起の非円形の断面に合わせて嵌合可能な非円形の孔形状にしてあり、前記雄体の係合突起が前記雌体の軸孔に挿入された状態で前記雄体の回転が制限される請求項1に記載の留め具。
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