JP4630438B2 - クリップ - Google Patents
クリップ Download PDFInfo
- Publication number
- JP4630438B2 JP4630438B2 JP2000294028A JP2000294028A JP4630438B2 JP 4630438 B2 JP4630438 B2 JP 4630438B2 JP 2000294028 A JP2000294028 A JP 2000294028A JP 2000294028 A JP2000294028 A JP 2000294028A JP 4630438 B2 JP4630438 B2 JP 4630438B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- shaft portion
- projecting
- rib
- shaft
- ribs
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Slide Fasteners, Snap Fasteners, And Hook Fasteners (AREA)
- Insertion Pins And Rivets (AREA)
- Buckles (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の部材を連結したり、パネルに取付部材を固定するような場合に好適なクリップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は実公平6−450048号記載のクリップを示している。このクリップは雄部材30及び雌部材36からなり、例えば、パネル40に取付部材45を固定するようなときに用いられる。雌部材36は、筒形胴部37及び胴部37の上外周から張り出したフランジ部38並びに胴部37の下端から略筒状に配された複数の弾性脚片39を有している。雄部材30は、頭部31、軸部32、先端部33を一体に形成し、軸部32と先端部33との間に設けられた仮止め用凹部34と、凹部34の上側に設けられた本止め用係止部35とを有している。
【0003】
そして、雄部材30は、雌部材36に対し軸部32が胴部37内から脚片39同士の内側中空部に挿入され、先端部33が脚片39を貫通すると、各脚片39が凹部34と係合し同(b)の如く仮止め態様となる。クリップは該仮止め態様で搬送など一体物として取り扱われる。使用時には同(b)の如くパネル40及び取付部材45の各取付孔40a,45aに共通に差し込まれる。雄部材30は、軸部32の更なる押し入れにより前記係合を解除した後、脚片39が凹部34の上側に位置する係止部35の径大周囲により拡径されつつ係止部35と係合すると、同(a)の如く脚片39の拡径部分とフランジ部38との間にパネル40及び取付部材45を挟み込んで取付部材45をパネル40に固定する本止め態様となる。修理等で取付部材45をパネル40から外す場合には、例えば、雄部材30の頭部31の下側に工具を差し込んで、脚片39と係止部35の係合力に抗し雄部材30を引き抜いて同(b)の仮止め態様にし、雄・雌部材30,35を取付孔40a,45aから一体物として引き抜くが、多数のクリップが使用されている場合には各クリップを仮止め態様にした後、取付部材45をパネル40から離間操作して全てのクリップを取付孔40aから同時に引き抜くことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなクリップは樹脂成形品であり、脚片39が長期間、拡径した状態にされると、樹脂弾性が損なわれ、雄部材30を少し引き抜いて本止め態様から仮止め位置にしても、初期形状に復元されなく、同(c)の如く脚片39が拡径されたままの状態になり易い。そのような事態になると、上述した如く多数のクリップを順に仮止め位置まで引き抜いてから、取付部材45をパネル40から離間操作するときに次のような不具合を生じる。
即ち、同図の如くクリップが下向きの状態で使用されている場合には、雄部材30を工具などにて仮止め位置まで引き抜き該引き力を解放すると、雄部材30は同(d)の如く係止部35の径大付近が拡径した脚片39に引っ掛かるまで自重により下へ落ち込むため、取付部材45を上に持ち上げたとしても脚片39の先端が係止部35の径大部分に当たって縮径方向への移動が規制されて、パネル40から離間できないか、取付部材45に対する過大な持ち上げ力が必要となる。
また、クリップが図6を天地逆転した上向きの状態で使用されている場合には、雄部材30が本止め態様から工具などで引き抜き操作されるとき、同(c)の仮止め位置から更に引き出されて、雌部材36から離れ落下されることも多い。これは、先端部33の形状が雌部材36内への挿入性を維持するため、脚片39の拡径した先端同士の最大内径よりも小さく形成されているためである。なお、同(b)の如く脚片39が正常に縮径している場合は取付部材45から抜け落ちる。本発明は以上のような課題を解消して使い勝手を向上することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1の本発明は、図1〜図5に例示される如く、雄部材10が頭部11及び軸部12を有し、前記雌部材20が筒形胴部21及び該胴部21の上外周に張り出したフランジ部22並びに該胴部21の下端に上下スリット25を介して略筒状に配された複数の弾性脚片24を有し、前記雄・雌部材10,20が、前記軸部12の前記胴部21内への押し入れによって仮止め態様となり、前記軸部12の更なる押し入れによって前記脚片24を拡径して前記フランジ部22との間に部材1,2を挟み込む本止め態様となるクリップにおいて、前記軸部12の周囲180度変位した箇所に突出した対のリブ16、及び前記リブと略90度変位した箇所に突出されているリブ17bと、前記胴部21の上下貫通した筒孔内面に設けられて前記上下スリット25と連通しているリブ案内用の上下溝28と、前記雌部材20と前記雄部材10との間に設けられ、前記脚片24が拡径した状態から元の縮径した状態への変位を許容する位置に前記雄部材10の動きを規制保持する保持手段3A又は/及び3Bとを有し、更に、前記保持手段は、前記胴部21の筒孔内面にあって前記上下溝同士の間に設けられた突起27の上端にて形成される段差部27a、及び前記軸部の周囲に設けられて上下の軸部分より一段張り出して前記段差部と係脱する凸部15からなる構成、又は/及び、前記周囲180度変位した箇所に突出した対のリブ16と前記リブと略90度変位した箇所に突出したリブ17bとで区画される各リブ同士の間の空間部に配された弾性変形可能な複数の突出片からなり、前記各突出片で形成される膨出部13の最大外径が前記拡径した脚片先端同士の間の最大内径より大きく形成されている構成であることを特徴としている。
このクリップ構造では、脚片24が拡径した状態で弾性を減衰し仮止め態様にしたときに当初の形状に縮径しなくなったとしても、保持手段3A又は/及び3Bの作動によって、例えば、図3(b),(c)の如く軸部12を仮止め位置まで引き抜き、部材2を部材1から離間すると拡径した脚片12を取付孔1aなどから受ける応力で縮径可能となり、従来の問題を解消できる。ここで、保持手段3Aは、特に部材1,2に対しクリップが図3の例の如く上から下向きに配されるときに有効となり、保持手段3Bはクリップが図3を天地逆転して下から上向きに配されるときに有効となる。
【0006】
また、請求項2の発明は、パネル1に取付部材2を取り外し可能に固定する場合に上記クリップを用いるときに特定したものであり、前記フランジ部22の下面に突設されて前記雌部材20を前記取付部材2に単独で取付可能にする係合爪部29と、前記軸部12の周囲180度変位した箇所に突出した対のリブ16、及び前記リブと略90度変位した箇所に突出されているリブ17bと、前記胴部21の上下貫通した筒孔内面に設けられて前記上下スリット25と連通しているリブ案内用の上下溝28と、前記雌部材20と前記雄部材10との間に設けられ、前記脚片24が拡径した状態から元の縮径した状態への変位を許容する位置に前記雄部材10の動きを規制保持する保持手段3A又は/及び3Bとを有し、更に、前記保持手段は、前記胴部21の筒孔内面にあって前記上下溝同士の間に設けられた突起27の上端にて形成される段差部27a、及び前記軸部の周囲に設けられて上下の軸部分より一段張り出して前記段差部と係脱する凸部15からなる構成、又は/及び、前記周囲180度変位した箇所に突出した対のリブ16と前記リブと略90度変位した箇所に突出したリブ17bとで区画される各リブ同士の間の空間部に配された弾性変形可能な複数の突出片からなり、前記各突出片で形成される膨出部13の最大外径が前記拡径した脚片先端同士の間の最大内径より大きく形成されている構成であることを特徴としている。
このクリップ構造では、上記した保持手段3A又は/及び3Bの作用に加えて、雌部材20が係合爪部29を介し取付部材2に単独で取り付けられることにより、前述のように取付部材2をパネル1から離間した後にも、雄・雌部材10,20が常に取付部材2に保持されて以後の取り扱いを容易にする。これは、取付部材1がパネル1に対し多数のクリップを使用して固定されるときに作業性を大きく改善できることに意義がある。
【0007】
以上の各発明は次のような利点も有している。
第1に、前記保持手段3Aにおいて、段差部27a及び凸部15は、単純な形状でよく、凸部15が軸部12の雌部材20内への押し入れ方向から段差部27aに係合することにより、図3(b)の例において、脚片24が拡径した状態で弾性を減衰し当初の形状に縮径しなくなったとしても、脚片24が仮止め位置に引き抜かれたときに雄部材10の下移動を防ぐ。
第2に、前記保持手段3Bにおいて、膨出部13は、各脚片24の先端24a同士の間の最大内径より大きいことから、各脚片24の先端24a同士の間を一旦貫通されると、脚片24が拡径した状態で弾性を減衰し当初の形状に縮径しなくなったとしても、例えば、図3(b)を天地逆転した状態において、脚片24が仮止め位置に引き抜かれたときに雄部材10の下移動を防ぐ。
第3に、前記膨出部13が弾性変形可能な複数の突出片からなる。これは、 以下の形態例の如く突出片の形状を先端から上向きに拡大するよう傾斜する等工夫することにより、膨出部13つまり複数の突出片が胴部21内や脚片24同士の間や、取付孔1aに弾性縮径しつつ押し入れられる作用と、図3(c)の如く取付孔1aから弾性縮径しつつ引き抜かれる作用とを充足容易にすることに意義がある。
第4に、前記軸部12が軸部の周囲180度変位した箇所に突出した対のリブ16を有し、該リブ16が前記胴部21に設けた上下溝28から脚片24間の上下スリット25へ挿入される。これは、軸部12が雌部材20の胴部21及び脚片24同士の間の内側へ押し入れるときにリブ16と上下溝28との嵌合つまりガイド作用を伴って行われるようにする。加えて、リブ16と上下溝28とは、雄部材10と雌部材20との相対的な位置を確定して、前記した保持手段3Aや3Bの係合状態を確実に得られるよう機能する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1はクリップを構成している雄部材と雌部材との関係を示す概略外観図である。図2(a)は前記クリップを仮止め態様で、図2(b)は本止め態様でそれぞれ示す断面図である。図3(a)〜(c)は取付部材をパネルから離間して外すときの上記クリップの作用を示している。なお、図2及び図3のクリップは雌部材が図4(a)のC−C線に沿って断面された状態である。図4は雌部材単品を示し、同(a)は上から見た図、同(b)は(a)のA−A線に沿って一部を破断した側断面図、同(c)は(a)のB−B線に沿って一部を破断した側断面図、同(d)は下から見た図である。図5は雄部材単品を示し、同(a)は正面図、同(b)は側面図、同(c)は下から見た図、同(d)は(a)のD−D線断面図、同(e)は(a)のE−E線断面図、同(f)は(a)のF−F線断面図である。
【0009】
形態例のクリップは、樹脂成形品である雄部材10及び雌部材20からなる点、雄部材10が頭部11及び軸部12を有している点、雌部材20が胴部21、フランジ部22、略筒状に配された複数の脚片24を有している点、雄・雌部材10,20が軸部12の脚片24同士の内側への押し入れよって仮止め態様となり、軸部12の更なる押し入れによって脚片24を拡径した本止め態様となる点で従来と同じ。改良した点は、特に、雌部材20が取付部材2に係合爪部29を介して単独で取り付けられること、仮止め態様において脚片24が拡径しているときに雄部材10の上下動を規制保持する保持手段3A,3Bを有した構造等にある。以下の説明では、雄・雌部材10,20の各部材構造を基本作動と共に明らかにし、その後、要部作動に言及する。
なお、この形態例は、作図上、それぞれ一個のクリップだけを示しているが、実際には複数のクリップを用いて取付部材2をパネル1に複数箇所で固定するようになっている。パネル1には使用クリップに応じた数だけ取付孔1aが設けられている。取付部材2には、取付孔1aに対応する取付孔2aと、後述する係合爪部29に対応した貫通孔2bとが設けられている。
【0010】
(雄部材)形態例の雄部材10は、図1と図5に示される如く略円盤状の頭部11に対し軸部12を頭部11の下面から垂直に突設している。この軸部12は、頭部11の下面から先端に向けて、第1軸部分12a、第2軸部分12b、第3軸部分12c、傾斜軸部分12d、第4軸部分12e、先端部12fを順に配置している。また、軸部12には、先端部12fから上向きに設けられた膨出部13と、周囲180度変位した箇所にあって頭部11の下から先端部12fまで連続して突出形成された対の上下連続リブ16と、各上下連続リブ16から略90度変位した箇所にあって第1軸部分12aの周囲面に突出形成された上短リブ17a(17)及び、傾斜軸部分12dと先端部12fとの間に突出形成された下短リブ17b(17)とを有している。
【0011】
軸部12のリブ16,17を除く外径は、第2軸部分12bが最大径L2、第4軸部分12eが最小径L4であり、第1軸部分12aの径L1が第3軸部分12cの径L3よりも小径となっていて、第2軸部分12bの径L2>第3軸部分12cの径L3>第1軸部分12aの径L1>第4軸部分12eの径L4に設定されている。傾斜軸部分12dは、第3軸部分12cの下側を一回り径大にし、該径大部14から第4軸部分12eに向けて次第に低くなるよう傾斜されている。径大部14と第3軸部分12cとの間には、本止め態様において脚片24の先端と係合する係合段部14aが形成されている。対の上下連続リブ16は、図5(b)の如く最大径の第2軸部分12bよりも外へ張り出す高さのリブであり、下端が先端部12fの丸味に沿って傾斜している。上短リブ17a及び下短リブ17bは、図5(a)の如く第3軸部分12cの外径と同じ高さのリブで、上下連続リブ16よりも若干低く形成されている。従って、軸部12の周囲は、第3軸部分12cを除いて、対の上下連続リブ16及び対の上下短リブ17a,17bにより横断面が略十の字に対応して区画されている。そして、第4軸部分12eの周囲には、対の上下連続リブ16及び対の下短リブ17bにより区画された4つの係合凹所18が形成されている。この係合凹所18は、仮止め態様において脚片24の先端と係合する箇所となる。
【0012】
ここで、第2軸部分12bは、両上下連続リブ16で周囲を2等分されると共に、第1軸部分12a及び第3軸部分12cから見ると一段張り出した凸部15を形成している。この凸部15は、後述する雌部材20の段差部27aと係合して、図3(b)の状態で雄部材10の雌部材20内への落ち込みを阻止する。要は凸部15及び段差部27aにより本発明の一方の保持手段3Aを構成している。
また、膨出部13は、先端部12fの第4軸部分12e側に位置する端面から上向きに突設された弾性変形可能な4つの突出片から構成されている。各突出片は、図5(f)の如く上下連続リブ16と下短リブ17bとで区画される各リブ同士の間の空間部に位置し、図5(a)の如く中間部が先端部12fより一回り外側に張り出し、上側13aが第4軸部分12eの方向へ傾斜されている。この膨出部13つまり各突出片は、各突出片で形成される最大外径が図3(b)の如く拡径した各脚片24の先端同士の間の最大内径よりも大きく形成されおり、胴部21及び脚片24同士の内側に弾性縮径しながら挿通され、脚片24同士の先端から一旦突出されると拡径した初期状態に復元される。そして、この膨出部13は、図3(b)を天地逆転したときに雄部材10の雌部材20からの抜け落ちを阻止する。要は本発明のもう一方の保持手段3Bを構成している。
【0013】
(雌部材)形態例の雌部材20は、図1と図4に示される如くフランジ部22を胴部21の上外周に鍔状に設け、4個の脚片24を胴部21の下端に上下スリット(隙間と同じ)25を介して略円筒状に配置している。胴部21は、上下貫通した筒孔内面にあって、対向した2つの突起27と、対向した2つの上下溝28とを互いに略十字形の関係となるよう形成している。各上下溝28は、脚片24同士の間の上下スリット25のうち、180度ずれた2箇所の上下スリット25と連通していて、軸部12が胴部21内に挿通されるとき、各上下連続リブ16と嵌合し当該リブ16をここから対応する上下スリット25内に入るよう案内する。各突起27は、胴部21の筒孔内面にあって、上下溝28同士の間の内面、つまり上下連続リブ16が嵌合しない残りの2箇所の上下スリット25の真上に位置し、上端に傾斜した段差部27aを形成している。この段差部27aは、凸部15と共に本発明の一方の保持手段3Aを構成し、図3(b)の如く凸部15と係合して雄部材10の雌部材20内への落ち込みを阻止する。
【0014】
フランジ部22は、頭部11を収容する凹部23と、凹部23内にあって胴部21の筒孔を縁取っているリング形の縁取り部26と、下面側に突設された係合爪部29とを形成している。縁取り部26には頭部11が密に当接される。係合爪部29は、図4の如く胴部21の左右2箇所に突設されていて、先端に掛止め爪29aを有し、図2の如く取付部材2に対し雌部材20を単独で取付可能にする。各脚片24は、上下スリット25を介し独立した揺動片に形成されている。上下スリット25の幅は、上下連続リブ16に対応した寸法に設定され、当該リブ16が挿入可能になっている。各脚片24の先端24aは筒中心に絞られてその端面に掛止め爪を形成している。
【0015】
(作動)以上のクリップの使い方は、雄部材10が雌部材20に対し軸12を胴部21及び脚片24同士の内中空部に押し入れられて、図2(a)の如く4つの脚片24の先端24aが対応する係合凹所18と係合した仮止め態様となり、更に押し入れられると図2(b)の如く各脚片24の先端24aが係合段部14aと係合した本止め態様となって、脚片24の拡径部分とフランジ部22との間に取付部材2及びパネル1を挟み連結、又は、取付部材2をパネル1に固定する点で、従来と同じ。この基本作用において、従来と異なることは次の点にある。
ア)、雌部材20が取付部材1に対し係合爪部29を介し単独でも取り付けることができる。このため、この構造では、例えば、複数のクリップについて、雄・雌部材10,20の仮止め態様から、貫通孔2bと係合爪部29との係合を介し取付部材2に取り付ける。その後、取付部材2をパネル1に位置決め配置することにより各クリップを同時に図2(a)の状態、つまり雌部材20の脚片24をパネル1の取付孔1aに挿通した後、各雄部材10に押し込め力を加えて図2(b)の本止め態様にすることができる。
イ)、図1の状態から雄部材10の軸部12を雌部材20内に入れる際、上下連続リブ16が胴部21内の対応する上下溝28と嵌合され、軸部12が該嵌合を伴って胴部21及び脚片24同士の間に押し入れられる。このため、この構造では、雄部材10を仮止め態様へ押し入れる操作、雄部材10を更に本止め態様まで押し入れる操作、本止め態様の係合を解除したり、仮止め位置まで雄部材10を相対的に引き抜く操作を、上下連続リブ16と胴部21の上下溝28との嵌合つまり案内作用を伴ってスムースに行うことができる。
ウ)、この構造では、上述した上下連続リブ16と上下溝28の嵌合により雄・雌部材10,20同士の周方向の移動(相対的に回転しようとする動き)が阻止されるため、次の保持手段3A,3Bの作動も確実に得られること、段差部27aを形成している突起27をこの形態の如く部分的に形成しても凸部15と確実に係合できる等の利点を具備できる。
【0016】
ここで、図3は、取付部材2をパネル1から外すときの操作要領と作動を模式的に示している。実際には取付部材2がパネル1に複数のクリップにて固定されている。各クリップは、時間経過により雌部材20の脚片24が樹脂弾性を減衰し、雄部材10が本止め態様から仮止め位置まで引き抜かれても拡径状態を維持し弾性縮径されない状態となっている。
エ)、図3(a)と(b)は、各クリップについて、雄部材10が雌部材20に対し脚片24を縮径可能な位置、つまり仮止め位置まで引き抜く操作を示している。この場合には、頭部11の下側に工具などを差し込み図3(a)の如く雄部材10が脚片先端24aと係合段部14aとの係合力に抗し、また、途中では凸部15が段差部27aを形成している突起27を乗り越えるときの抵抗に抗して抜き操作され、図3(b)の如く脚片24が縮径可能な位置まで上移動される。このときには、雄部材10が過大な引き抜き力を受けることもあり、その場合に従来構造だと雄部材の軸部が雌部材から完全に抜かれることもあったが、この構造では軸部12の先端に設けられた膨出部13(保持手段3B)が拡径した脚片先端24aに当たるためそのような不具合は生じない。
【0017】
オ)、雄部材10は、以上の引き抜き操作において、引き抜き力が解放されると、図3(b)の如く凸部15が段差部27aに係合(保持手段3A)してそれ以上、下方向へ移動されないよう規制保持される。この保持手段3Aの規制保持は、従来の図6(d)の如く雄部材30が拡径された脚片39の先端部に当たるまで下方向へ落ち込むことを防ぐことを意味する。そして、この構造では、図3(b)の状態から、取付部材2をパネル1から離間する矢印方向へ持ち上げると、脚片24が取付孔1aの内周から受ける内向き応力により図3(c)の如く強制縮径されつつ取付孔1aから外れ、続いて膨出部13つまり突出片が取付孔1aを弾性縮径しつつ通り抜ける。これにより、各クリップが取付部材2の離間操作によりパネル1の取付孔1aから同時に外れるため、取付部材2の取り外し操作を迅速に行える。
カ)、取付部材2とパネル1は図3を天地逆転した状態となる仕様もある。その場合には、図3(b)を天地逆にした状態において、雄部材10の引き抜き力が解放されると、膨出部13つまり突出片(保持手段3B)が脚片24の先端24a同士の間の最大内径よりも大きいことから該先端24aに当たり、雌部材20からそれ以上、下方向へ移動されないよう規制保持される。このため、この構造では、そのような仕様においても、取付部材2をパネル1から離間する下方向へ押し下げると、脚片24が取付孔1aの内周から受ける内向き応力により強制縮径されつつ取付孔1aから外れ、続いて膨出部13つまり突出片が取付孔1aを弾性縮径しつつ通り抜ける。即ち、オ)に記載したと同様な利点を具備できる。
【0018】
なお、本発明は請求項で特定される技術要素を備えておればよく、例えば、脚片24や上下スリット25の個数、膨出部13の具体的な形状等、色々変形可能なものである。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明のクリップにあっては、雌部材の脚片が拡径した状態で弾性を減衰し仮止め態様にしたときに当初の形状に縮径しなくなったとしても、保持手段の作動によって、雄部材の軸部を仮止め位置まで引き抜いた後、例えば、取付部材をパネルから離間すると拡径した脚片が縮径可能となり、従来の問題を解消できる。この場合、請求項2の如く雌部材が係合爪部を介し取付部材に単独で取り付けられるようにすると、前述した例の如く取付部材をパネルから離間した後にも、雄・雌部材が常に取付部材に保持され、以後の取り扱いを容易にして作業性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明形態のクリップである雄・雌部材を示す概略外観図である。
【図2】 上記クリップを仮止め態様と本止め態様で示す模式断面図である。
【図3】 上記クリップを用いたときの利点を示す作用断面図である。
【図4】 上クリップの雌部材単品を示す図である。
【図5】 上記クリップの雄部材単品を示す図である。
【図6】 従来クリップの問題を説明するための図である。
【符号の説明】
1…パネル(部材、1aは取付孔)
2…取付部材(部材、2aは取付孔)
10…雄部材
11…頭部
12…軸部
13…膨出部(保持手段3B)
15…凸部(保持手段3A)
16…上下連続リブ
20…雌部材
21…胴部
22…フランジ部
24…脚片
27…突起
27a…段差部(保持手段3A)
22…フランジ部
24…脚片
25…上下スリット(隙間)
28…上下溝
29…係合爪部
Claims (2)
- 雄部材が頭部及び軸部を有し、雌部材が筒形胴部及び該胴部の上外周に張り出したフランジ部並びに該胴部下端に上下スリットを介して略筒状に配された複数の弾性脚片を有し、前記雄・雌部材が、前記軸部の前記胴部内への押し入れによって仮止め態様となり、前記軸部の更なる押し入れによって前記脚片を拡径して前記フランジ部との間に部材を挟み込む本止め態様となるクリップにおいて、
前記軸部の周囲180度変位した箇所に突出した対のリブ、及び前記リブと略90度変位した箇所に突出したリブと、
前記胴部の上下貫通した筒孔内面に設けられて前記上下スリットと連通しているリブ案内用の上下溝と、
前記雌部材と前記雄部材との間に設けられ、前記脚片が拡径した状態から元の縮径した状態への変位を許容する位置に前記雄部材の動きを規制保持する保持手段とを有し、
更に、前記保持手段は、前記胴部の筒孔内面にあって前記上下溝同士の間に設けられた突起の上端にて形成される段差部、及び前記軸部の周囲に設けられて上下の軸部分より一段張り出して前記段差部と係脱する凸部からなる構成、又は/及び、前記軸部先端側に設けられて前記周囲180度変位した箇所に突出した対のリブと前記リブと略90度変位した箇所に突出したリブとで区画される各リブ同士の間の空間部に配された弾性変形可能な複数の突出片からなり、前記各突出片で形成される膨出部の最大外径が前記拡径した脚片先端同士の間の最大内径より大きく形成されている構成であることを特徴とするクリップ。 - パネルに取付部材を取り外し可能に固定する場合に用いられ、雄部材が頭部及び軸部を有し、雌部材が筒形胴部及び該胴部の上外周に張り出したフランジ部並びに該胴部の下端に上下スリットを介して略筒状に配された複数の弾性脚片を有し、前記雄・雌部材が、前記軸部の前記胴部内への押し入れによって仮止め態様となり、前記軸部の更なる押し入れによって前記脚片を拡径して前記フランジ部との間にパネル及び取付部材を挟み込む本止め態様となるクリップにおいて、
前記フランジ部の下面に突設されて前記雌部材を前記取付部材に単独で取付可能にする係合爪部と、
前記軸部の周囲180度変位した箇所に突出した対のリブ、及び前記リブと略90度変位した箇所に突出したリブと、
前記胴部の上下貫通した筒孔内面に設けられて前記上下スリットと連通しているリブ案内用の上下溝と、
前記雌部材と前記雄部材との間に設けられ、前記脚片が拡径した状態から元の縮径した状態への変位を許容する位置に前記雄部材の動きを規制保持する保持手段とを有し、
更に、前記保持手段は、前記胴部の筒孔内面にあって前記上下溝同士の間に設けられた突起の上端にて形成される段差部、及び前記軸部の周囲に設けられて上下の軸部分より一段張り出して前記段差部と係脱する凸部からなる構成、又は/及び、前記軸部先端側に設けられて前記周囲180度変位した箇所に突出した対のリブと前記リブと略90度変位した箇所に突出したリブとで区画される各リブ同士の間の空間部に配された弾性変形可能な複数の突出片からなり、前記各突出片で形成される膨出部の最大外径が前記拡径した脚片先端同士の間の最大内径より大きく形成されている構成であることを特徴とするクリップ。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000294028A JP4630438B2 (ja) | 2000-09-27 | 2000-09-27 | クリップ |
TW90120199A TW520419B (en) | 2000-09-27 | 2001-08-17 | Clip |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000294028A JP4630438B2 (ja) | 2000-09-27 | 2000-09-27 | クリップ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002106531A JP2002106531A (ja) | 2002-04-10 |
JP4630438B2 true JP4630438B2 (ja) | 2011-02-09 |
Family
ID=18776717
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000294028A Expired - Fee Related JP4630438B2 (ja) | 2000-09-27 | 2000-09-27 | クリップ |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4630438B2 (ja) |
TW (1) | TW520419B (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2882797B1 (fr) * | 2005-03-02 | 2007-05-25 | Itw De France Soc Par Actions | Attache adaptee a etre fixee dans une cavite de contour predetermine |
DE202007002595U1 (de) * | 2007-02-22 | 2007-08-30 | Trw Automotive Electronics & Components Gmbh & Co. Kg | Befestigungsvorrichtung |
CN102203438A (zh) * | 2008-11-05 | 2011-09-28 | 百乐仕株式会社 | 卡子与安装目标件的安装结构 |
JP5210207B2 (ja) * | 2009-02-27 | 2013-06-12 | 株式会社パイオラックス | クリップと取付部材との組付構造 |
JP5357824B2 (ja) * | 2010-04-28 | 2013-12-04 | 株式会社ニフコ | 留め付け構造 |
JP2012202450A (ja) * | 2011-03-24 | 2012-10-22 | Kumi Kasei Kk | クリップ受け構造 |
CN103671414B (zh) * | 2012-09-10 | 2016-08-10 | 上海利富高塑料制品有限公司 | 卡扣 |
CN104407464A (zh) * | 2014-12-09 | 2015-03-11 | 京东方科技集团股份有限公司 | 一种拼接显示器及显示系统 |
JP6850773B2 (ja) * | 2018-08-22 | 2021-03-31 | 株式会社ニフコ | クリップ |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS55158311U (ja) * | 1979-05-02 | 1980-11-14 | ||
JPH0744555U (ja) * | 1993-10-29 | 1995-11-21 | 加藤発条株式会社 | 係止具 |
-
2000
- 2000-09-27 JP JP2000294028A patent/JP4630438B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2001
- 2001-08-17 TW TW90120199A patent/TW520419B/zh not_active IP Right Cessation
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS55158311U (ja) * | 1979-05-02 | 1980-11-14 | ||
JPH0744555U (ja) * | 1993-10-29 | 1995-11-21 | 加藤発条株式会社 | 係止具 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
TW520419B (en) | 2003-02-11 |
JP2002106531A (ja) | 2002-04-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5850676A (en) | Clip with engaging mechanism | |
US5085545A (en) | Expansible rivet for securing together overlapped panels | |
US6514024B2 (en) | Clip having retention members | |
JP5243749B2 (ja) | クリップ及び支持部材 | |
US4952106A (en) | Fastener having separate portions for engaging two panels to be secured together | |
US5632581A (en) | Clip | |
US7690876B2 (en) | Clip | |
JP4630438B2 (ja) | クリップ | |
US5370484A (en) | Push rivet having unfastening means | |
JPH084733A (ja) | クリップ | |
US6910671B1 (en) | Shock mount assembly with polymeric thimble tube | |
US8393058B2 (en) | Clip | |
US5211519A (en) | Plastic grommet | |
US2552764A (en) | Three side lock snap fastener | |
JP2003222113A (ja) | クリップ | |
JP4525923B2 (ja) | クリップ | |
JP2008002646A (ja) | クリップを用いた取付構造 | |
JP2005041027A (ja) | タイヤ製造用コア | |
US4832547A (en) | Breaking type expansion fastener | |
CN111567999A (zh) | 一种手链锁扣结构 | |
JP5134204B2 (ja) | グロメット | |
JP2000283132A (ja) | クリップ | |
JPH08270862A (ja) | 管継手 | |
JP2512362Y2 (ja) | 留め具 | |
JP2606056Y2 (ja) | 散水ノズル |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070517 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090730 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100325 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100524 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20101104 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20101115 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131119 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |