JP6114133B2 - クコシエキス含有内服液剤、可溶化剤および可溶化方法 - Google Patents

クコシエキス含有内服液剤、可溶化剤および可溶化方法 Download PDF

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Description

本発明は、良好な服用感でありながら、安定かつ沈殿を生じないクコシ由来抽出物含有内服液に関するものである。
クコシ(Lycii fructus)は、疲労回復、強壮、血行促進および視力回復の効果があり、漢方生薬などに利用されている。しかし、クコシエキスは、液状組成物中では混濁を生じ易く、長期間保存すると特に低pHにおいて沈殿物が発生するため、安定性向上のための対策が必要である。
一方、ビタミンB1類は、滋養強壮、疲労回復のための内服液剤に広くに調合されているビタミン群であるが、高pHにおいては長期保存の安定性が悪い。そのため、ビタミンB1類を内服液に配合する場合、内服液剤のpHを低pHとすることが望ましいとされている。
したがって、クコシエキスおよびビタミンB1類を同時に内服液剤に配合しようとすると、ビタミンB1類の安定化のために低pHとするとクコシエキスが沈殿し易く、クコシエキスの沈殿を防ぐために高pHとするとビタミンB1類が不安定化するという問題が生じる。
このように、pHに対して相反する安定性を有しているクコシエキスおよびビタミンB1類を含有する内服薬の様々な処方が試みられてきた。クコシエキスの沈殿を防止するために、様々な界面活性剤または可溶化剤により、乳化または可溶化することが知られている。例えば、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone、PVP、ポビドン、Povidone)を添加する技術が知られている。
特許文献1には、クコシ由来抽出物、ビタミンB1、PVPを含有することで、沈殿を生じない内服液が開示されているが、液性pH4.5と中性に近いものである。また、特許文献2には、クコシ、ビタミンB1、PVPを含有し、pH3.5とすることで、良好な服用感が得られる例が実施例2に開示されているが、クコシエキスの安定性については言及されていない。
また、生薬を含有する内服液剤の添加剤としてプロピレングリコール(propylene glycol、PG)が知られており、特許文献3には、沈殿を防止する技術として、PVPとともにPGを添加することが開示されている。しかし、特許文献3に開示された技術におけるPVPおよびPGの添加量はともに多量であり、更には生薬抽出物への言及は無い。また、特許文献4においては、甘草等とビタミンB1を含有する内服液にPVPおよびPGが添加されているが、生薬がクコシの場合について記載はない。
さらに、PVPおよびPGは不快な風味を有しており、一定量以上を内服液に含有すると内服液の服用感を悪化させる性質を持つことから、甘味剤などの添加によりその風味をマスキングするなどの対応が必要となっていたが、その効果は十分ではなかった。
特許第4742289号公報 特開2001−213764号公報 特許第407312号公報 特開2007−153833号公報
クコシエキスを含有する内服液にビタミンB1類を配合した場合、pH3.5以下において安定化し、pH3.5を超えると不安定となる。しかし、上述したように、クコシエキスは、液状組成物中では混濁を生じ易く、長期間保存すると特に低pHにおいて沈殿物が発生する。商品としての内服液においては、視覚に訴える外観および服用感は重要な要素であるため、長期保管によっても安定して沈殿を生じず、清澄であることが求められている。
したがって、本発明は、クコシエキスおよびビタミンB1類の安定化が可能であり、長期間保存した場合にも沈殿物を生じにくく清澄であるとともに、服用感に優れた内服液剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、クコシエキスおよびビタミンB1類を含有する内服液剤に、特定量のPVPおよび特定量のPGを可溶化剤として配合することにより、pH3.5以下においても安定で沈殿物を生じず、服用感も損なわないことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)クコシエキス、ビタミンB1類、ポリビニルピロリドンおよびプロピレングリコールを含有する内服液剤であって、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、ポリビニルピロリドンを300〜800mgおよびプロピレングリコールを250〜3000mg含有し、且つpH2.3〜3.5である内服液剤。
(2)生薬に換算したクコシエキス1000mgに対しポリビニルピロリドンを300〜600mgを含有する(1)に記載の内服液剤。
(3)生薬に換算したクコシエキス1000mgに対しビタミンB1類を1〜25mg含有する(1)または(2)に記載の内服液剤。
(4)ビタミンB1類が、チアミン、硝酸チアミン、塩酸チアミンおよびフルスルチアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である(1)〜(3)のいずれか1に記載の内服液剤。
(5)生薬換算量で0.2〜6.7質量%のクコシエキス、0.001〜0.08質量%のビタミンB1類、0.3〜3.0質量%のポリビニルピロリドンおよび0.25〜10質量%のプロピレングリコールを含有する(1)〜(4)のいずれか1に記載の内服液剤。
(6)さらにジョテイシエキスを含有する(1)〜(5)のいずれか1に記載の内服液剤。
(7)クコシエキスおよびビタミンB1類を配合し、pHが2.3〜3.5である内服液剤の製造において、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、ポリビニルピロリドンを300〜800mgおよびプロピレングリコールを250〜3000mgを添加するクコシエキスの可溶化方法。
(8)クコシエキスおよびビタミンB1類を配合し、且つpH2.3〜3.5である内服液剤に添加する可溶化剤であって、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、300〜800mgのポリビニルピロリドンおよび250〜3000mgのプロピレングリコールを含有する可溶化剤。
本発明の内服液剤は、クコシエキスおよびビタミンB1類を含有する内服液剤に、特定量のPVPおよび特定量のPGを可溶化剤として配合し、pHを3.5以下と低pHであっても、クコシエキスの沈殿物が生じず、長期保管が可能であり、更に、PVP由来の不快な服用感が改善された内服液剤である。また、本発明の内服液剤は、pHを2.3以上であることにより、クコシエキスの沈殿物が生じず、pHを3.5以下とすることによりビタミンB1類の安定性に優れている。
本発明の内服液剤は、クコシエキス、ビタミンB1類、ポリビニルピロリドンおよびプロピレングリコールを含有する内服液剤であって、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、ポリビニルピロリドンを300〜800mgおよびプロピレングリコールを250〜3000mg含有し、且つpH2.3〜3.5であることを特徴とする。
内服液剤は、その他の生薬エキスを配合してもよく、例えば、ジョテイシ(Ligustrum lucidum aiton)エキス、ニンジン(Ginseng radix)エキス、オウギ(Astragali radix)エキス、オウセイ(Polygonati rhizoma)エキス、ブクリョウ(Poria)エキス、ジオウ(Rehmanniae Radix)エキス、トウキ(Angelicae radix)エキス、ケイヒ(Cinnamomi cortex)エキス、ロクジョウ(Cervi parvum cornu)エキス、インヨウカク(Epimedii herba)エキス、トウチュウカソウ(Cordyceps)エキス、チンピ(Citri reticulatae pericarpium)エキス、ムイラプアマ(Ptychopetalum olacoides)エキス、ジコッピ(Lycil cortex)エキスおよびトウジン(Codonopsitis radix)エキスが挙げられる。風味、薬効および製剤設計上の点からジョテイシエキスを配合することが好ましい。
内服液剤における生薬エキスの含有量は、生薬換算量で0.3〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.9〜10質量%である。生薬エキスの含有量が0.3質量%以上とすることにより、生薬の効果、効能を発現し易くなり、10質量%以下とすることにより、ビタミンB1類の安定性を確保し易くなるからである。
内服液剤におけるクコシエキスの含有量は、生薬換算量で0.2〜6.7質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜6.7質量%、さらに好ましくは1〜6.7質量%である。クコシエキスの含有量を生薬換算量で0.2質量%以上とすることにより、生薬の効果、効能を発現し易くなり、6.7質量%以下とすることにより、製剤設計上において特に有効である。
内服液剤にジョテイシエキスを含有する場合、内服液剤におけるジョテイシエキスの含有量は、生薬換算量で0.1〜3.4質量%が好ましく、より好ましくは0.25〜3.4質量%、さらに好ましくは0.5〜3.4質量%である。ジョテイシエキスの含有量を0.1質量%以上とすることにより、生薬の効果、効能を発現し易くなり、3.4質量%以下とすることにより、製剤設計上において特に有効である。
生薬エキスの製造は通常の方法、エキスの製造は通常の方法、例えば、抽出溶媒を用いて、適当な温度(低温または加熱)にて、生薬原料から抽出する方法などにより行う。抽出溶媒は生薬に応じて適当に選択できるが、好ましくは、水、親水性溶媒(特にエタノール)およびこれらの混合溶媒が用いられる。
本発明におけるエキスとは、液状抽出物をそのまま使用できるほか、水などで希釈したもの、液状抽出物の濃縮物、液状抽出物の乾固物としても使用できる。すなわち、本発明におけるエキスは、乾燥エキス、軟エキス、流エキスまたはチンキなどいずれのものも包含する。
ビタミンB1類には、ビタミンB1およびその誘導体が含まれる。ビタミンB1類としては、例えば、チアミン、チアミンの塩およびチアミンのエステル並びにその他のチアミン誘導体などが挙げられる。具体的には、例えば、チアミン、硝酸チアミン、塩酸チアミン、フルスルチアミン、ビスベンチアミン、ベンフォチアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、チアミンプロピルジスルフィド、チアミンヒドロキシエチルテトラヒドロフルフリルジスルフィド、チアミン−8−(メチル−6−アセチルジヒドロチオクテート)ジスルフィドおよびチアミンエチルジスルフィドが挙げられる。本発明は、これらの中でも、チアミン、塩酸チアミン、硝酸チアミンおよびフルスルチアミンの安定性向上に特に有効である。
内服液剤におけるビタミンB1類の含有量は、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、1〜25mgであることが好ましく、ビタミンB1類含有内服液の風味の観点からより好ましくは5〜12mgである。
内服液剤におけるビタミンB1類の含有量は、0.001〜0.08質量%が好ましく、ビタミンB1類含有内服液の風味の観点からより好ましくは0.005〜0.04質量%である。
内服液剤におけるポリビニルピロリドンの含有量は、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、300〜800mgであり、好ましくは300〜600mg、より好ましくは400〜600mgである。生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、ポリビニルピロリドンの含有量が300mg未満であると、長期間保存において経時的に発生する沈殿または懸濁の防止が困難である。また、800mgを超えると可溶化剤の不快な風味が現れる。
内服液剤におけるポリビニルピロリドンの含有量は、0.3〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜2質量%であり、さらに好ましくは0.4〜2質量%である。ポリビニルピロリドンの含有量を0.3質量%以上とすることにより、長期間保存において経時的に発生する沈殿または懸濁を防止でき、また、3.0質量%以下とすることにより、可溶化剤の不快な風味が抑制できる。
ポリビニルピロリドンとともにプロピレングリコールを内服液剤に含有することにより、より効果的に沈殿を可溶化することができ内服液剤の安定性が向上する。内服液剤におけるプロピレングリコールの含有量は、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、250〜3000mgであり、好ましくは500〜2000mg、より好ましくは500〜1000mgである。生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、プロピレングリコールの含有量が250mg未満であると、長期間保存において経時的に発生する沈殿または懸濁の防止が困難である。また、3000mgを超えると可溶化剤の不快な風味が現れる。
内服液剤におけるプロピレングリコールの含有量は、0.25〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜6.7質量%であり、さらに好ましくは0.5〜3.4質量%である。プロピレングリコールの含有量を0.25質量%以上とすることにより、長期間保存において経時的に発生する沈殿または懸濁を防止でき、また、10質量%以下とすることにより、可溶化剤の不快な風味が抑制できる。
内服液剤におけるポリビニルピロリドンとプロピレングリコールとの質量比は、前者:後者として好ましくは1:0.3〜10、より好ましくは1:0.6〜7となるように調製するのが好ましい。この比を採用することにより、経時的に発生する沈殿または懸濁の防止という効果が奏される。
内服液剤のpH(25℃におけるpH)は、2.3〜3.5であり、好ましくは2.5〜3.0であり、より好ましくは2.5〜2.8である。pHが3.5を超えると、ビタミンB1類が不安定となる。また、pHが2.3未満であると、沈殿が生じる。
内服液剤のpHは、pH調整剤を配合することにより調節できる。pH調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸、希塩酸、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム、グリシン、コハク酸、酢酸、酒石酸、D−酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、乳酸、乳酸カルシウム、氷酢酸、フマル酸一ナトリウム、プロピオン酸、マレイン酸、無水クエン酸、DL−リンゴ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アジピン酸、グルコン酸、フマル酸、ホウ酸、吉草酸、酪酸、イソ酪酸、メチル酪酸および炭酸水素ナトリウムが挙げられる。これらの中でも、希塩酸、酢酸、酪酸、水酸化ナトリウムが、水性内服液剤組成物の風味が良好であるため好ましい。上記のpH調整剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
内服液剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の任意成分を含有してもよい。該任意成分としては、例えば、ビタミンB1類以外の各種ビタミン類やその他の生理活性成分、甘味剤、増粘剤、溶解補助剤、保存剤(防腐剤)、安定化剤、果汁、香料および色素が挙げられる。これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量配合することができる。
ビタミン類には、ビタミンおよびその誘導体が含まれる。ビタミン類としては、例えば、ビタミンAまたはその誘導体(レチノール、パルミチン酸レチノール等)、ビタミンBまたはその誘導体(リン酸リボフラビンナトリウム等のビタミンB2、ピリドキシン塩酸塩等のビタミンB6、ビタミンB12、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム等のビタミンB5等)、ビタミンCまたはその誘導体(アスコルビン酸等)、ビタミンDまたはその誘導体、ビタミンEまたはその誘導体(トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル等)が挙げられる。
その他の生理活性成分としては、例えば、ニコチン酸アミド、カフェイン、ローヤルゼリー、塩化カルニチン、タウリン、γ−アミノ酪酸、グルコサミン、ヒアルロン酸およびカプサイシンが挙げられる。
甘味剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ショ糖、液糖、果糖、果糖ブドウ糖液、ブドウ糖果糖液糖、還元麦芽糖水アメ、黒砂糖、高果糖液糖、ブドウ糖、粉末還元麦芽糖水アメ、水アメ、高ブドウ糖水アメ、乳糖、白糖、精製白糖、精製白糖球状顆粒、ハチミツ、精製ハチミツ、単シロップ、エリスリトール、キシリトール、D−ソルビトール、D−ソルビトール液、マルチトール、マルチトール液、マルトース、D−マンニトール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アマチャ抽出物、甘草抽出物、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビア抽出精製物、ネオテーム、ソーマチン、グリシン、グリセリン、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムおよび甘草が挙げられる。上記の甘味剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
増粘剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カラギーナン、ジェランガム、プルランおよびアラビアゴムなどの天然水溶性高分子;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどの合成水溶性高分子が挙げられる。増粘剤を含有させることにより、各成分の液中での安定性が向上する。
溶解補助剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤、多価アルコールおよびエタノール等の低級アルコールが挙げられる。
保存剤(防腐剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、エタノール、エデト酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、カンテン、dl−カンフル、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム、グリセリン、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸フェニル、ジブチルヒドロキシトルエン、D−ソルビトール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、白糖、ハチミツ、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、l−メントールおよびユーカリ油が挙げられる。これらの保存剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニコチン酸アミド、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸ナトリウム、アミノエチルスルホン酸、DL−アラニン、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、L−アルギニン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、アルブミン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、イオウ、イノシトール、エタノール、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、エルソルビン酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩酸システイン、カカオ脂、果糖、カルボキシビニルポリマー、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、乾燥亜硫酸ナトリウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、乾燥炭酸ナトリウム、キサンタンガム、キシリトール、クエン酸カルシウム、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、グリチルリチン酸二ナトリウム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、酢酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸フェニル、β−シクロデキストリン、ジブチルヒドロキシトルエン、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化カルシウム、精製ゼラチン、精製大豆レシチン、精製白糖、セタノール、ゼラチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンセスキオレイン酸エステル、D−ソルビトール、D−ソルビトール液、大豆油不けん化物、デキストラン、天然ビタミンE、トコフェロール、d−δ−トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、乳糖、濃グリセリン、白糖、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸メチル、パントテン酸カルシウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブドウ糖、フマル酸一ナトリウム、ベントナイト、没食子酸プロピル、ポリアクリル酸部分中和物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・ジブチルエーテル混合物、マクロゴール、マルトース、D−マンニトール、無水ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メチルセルロース、l−メントール、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、薬用炭、ラウリル硫酸ナトリウムおよび卵白アルブミンが挙げられる。これらの安定化剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
内服液剤の調製方法は、特に制限はなく、公知の方法を適宜用いることができる。例えば、日本薬局法製剤総則に準じて製造することができる。
本発明のクコシエキスの可溶化方法は、クコシエキスおよびビタミンB1類を配合し、pHが3.5以下である内服液剤の製造において、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、ポリビニルピロリドンを300〜800mgおよびプロピレングリコールを250〜3000mg添加することを特徴とする。
本発明のクコシエキスの可溶化方法において、ポリビニルピロリドンの含有量は、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、好ましくは300〜800mg、より好ましくは400〜600mgである。
本発明のクコシエキスの可溶化方法において、内服液剤のpH(25℃におけるpH)は、適宜pH調整剤を添加することにより調整することができる。例えば、pH調整剤を含む水溶液を添加することにより調整することができる。好ましくは2.5〜3.0であり、より好ましくは2.5〜2.8である。
また、本発明の可溶化剤は、クコシエキスおよびビタミンB1類を配合し、且つpH3.5以下である内服液剤に添加する可溶化剤であって、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、ポリビニルピロリドンを300〜800mgおよびプロピレングリコールを250〜3000mg添加することを特徴とする。
本発明の可溶化剤において、ポリビニルピロリドンの含有量は、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、好ましくは300〜800mg、より好ましくは400〜600mgである。
本発明の可溶化剤において、内服液剤のpH(25℃におけるpH)は、適宜pH調整剤を添加することにより調整することができる。例えば、pH調整剤を含む水溶液を添加することにより調整することができる。好ましくは2.5〜3.0であり、より好ましくは2.5〜2.8である。
以下に実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、PVPはポリビニルピロリドン、PGはプロピレングリコールの略号である。
1.溶解性に関する分析
(参考例1〜8)
表1に示す処方で、クコシエキス生薬換算量1000mg、ジョテイシエキス原生薬換算量200mg、チアミン硝化物10mg、リボフラビンリン酸エステルナトリウム5mg、PVP 400mg、PG 500mgを精製水に溶解し、2mol/L水酸化ナトリウム液でpHを調整し、全量50mLとなるように、参考例1〜8を調製した。この製剤について調製直後(製造時)の沈殿および濁りの発生を肉眼で観察した結果、透明であった。
また、製剤を褐色ガラス瓶に充填し、密栓後70℃にて保存し、沈殿および濁りの発生を肉眼により調べた結果、およびビタミンB1類の残存率を表1に示す。なお、ビタミンB1類は、残存率が70%以上である場合に安定である。表1において、「−」は澄明で沈殿および濁りの発生なし、「+」は沈殿または濁りの発生有りを示す。
表1に示すように、内服液剤のpHが3.5以下であると、沈殿が発生することがわかった。一方、pHが3.5を超すと、ビタミンB1の安定性が低下することが確認された。
(参考例9)
参考例1の処方からジョテイシエキスを除いた処方で全量50mLの製剤を調製した。
(参考例10)
参考例1の処方からクコシエキスを除いた処方で全量50mLの製剤を調製した。
pHを2.7に調整した参考例9および参考例10の製剤を調製直後(製造時)の沈殿および濁りの発生を肉眼で観察した。その結果を表2に示す。表2において、「−」は澄明で沈殿および濁りの発生なし、「+」は沈殿または濁りの発生有りを示す。
表2に示すように、ジョテイシエキス未添加製剤である参考例10はpH2.7において沈殿を生じたのに対し、クコシエキス未添加製剤である参考例9は沈殿を生じなかった。この結果から、低pHとすることにより生じる沈殿の原因はクコシエキスに由来することがわかった。
2.可溶化剤による効果の分析
参考例1と同様に、表3に示す処方により、可溶化剤としてポリビニルピロリドン(ポピドンK30、PVP)およびプロピレングリコール(PG)を用いて、全量50mLとなるように実施例1、2および比較例1〜4を調製した。
この製剤について調製直後(製造時)の沈殿および濁りの発生を肉眼で観察した。また、製剤を褐色ガラス瓶に充填し、密栓後70℃にて保存し、沈殿および濁りの発生を肉眼により調べた結果、およびビタミンB1類の残存率を表3に示す。
表3において、「−」は澄明で沈殿および濁りの発生なし、「±」は僅かな沈殿または濁りの発生有り、「+」は沈殿または濁りの発生有りを示す。なお、製造時は、実施例1、2および比較例1〜4のいずれも「−」であった。
表3に示すように、PVPとPGを併用した実施例1および2は澄明で沈殿および濁りの発生がなかったことから、PVPとPGの併用により、より効果的に沈殿を可溶化できることがわかった。これに対し、PVPまたはPGのいずれかを用いた比較例1〜4では、沈殿および濁りの発生を十分に抑制することができなかった。
3.可溶化剤の添加量についての検討
実施例1と同様に、クコシエキス生薬換算量1100mgを利用して、表4に示す処方により、全量50mLとなるように実施例3〜5および比較例5〜11を調製した。
この製剤について調製直後(製造時)の沈殿および濁りの発生を肉眼で観察した。また、製剤を褐色ガラス瓶に充填し、密栓後70℃にて保存し、沈殿および濁りの発生を肉眼により調べた結果、および70℃または40℃にて保存しビタミンB1類の残存率を調べた結果を表4に示す。表4において、「−」は澄明で沈殿および濁りはない、「±」は沈殿はないが僅かな濁りがある、「+」は少量の沈殿はあるが濁りはない、「++」は少量の沈殿および僅かに濁りがある、「+++」は沈殿および濁りがあることを示す。
表4に示すように、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、300mg以上のPVPおよび250mg以上のPGを製剤に含有することにより、pH3.5以下において、沈殿が可溶化し、澄明な製剤が得られることがわかった。
4.低pH域での沈殿発生有無の確認
実施例5と同様に、表5に示す処方により、全量50mLとなるように、実施例6〜9を調製した。
この製剤について調製直後(製造時)の沈殿および濁りの発生を肉眼で観察した。その結果を表5に示す。表5において、「−」は澄明で沈殿および濁りの発生なしを示す。
表5に示すように、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、300mg以上のPVPおよび250mg以上のPGを製剤に含有することにより、pH3.0以下の低pH域において、沈殿が可溶化し、澄明な製剤が得られることがわかった。
5.ビタミンB1類の製剤pH依存性、製剤外観および服用感についての分析
表6または表7に示す処方により、全量50mLとなるように実施例10〜18および比較例12〜22を調製した。
この製剤について調製直後(製造時)の沈殿および濁りの発生を肉眼で観察した。また、製剤を褐色ガラス瓶に充填して70℃にて保存し、沈殿および濁りの発生を肉眼により調べた結果、および70℃保存しビタミンB1類の残存率を調べた結果を表6および表7に示す。
表6において、「−」は澄明で沈殿または濁りの発生なし、「±」は沈殿または濁りを僅かに認める、「+」は少量の沈殿または濁りを認める、「++」は中量の沈殿または濁りを認める、「+++」は多量の沈殿または濁りを認めることを示す。
この製剤について、それぞれ2名の試験者により官能試験を実施し、服用感について評価した。服用感の評価としては下記評価基準によるものとし、1から4点の4段階の点数評価によって評価した。その結果を表6に示す。
4点:不快な味を強く感じる
3点:不快な味を感じる
2点:やや不快な味を感じる
1点:不快な味を感じない
表6および表7に示すように、ビタミンB1類の安定性は、賦形剤量等に依存せず、保存温度およびpH依存的に低下することがわかった。また、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、800mgのPVPを含有し且つPGを含有しない例5−1は服用感が悪いのに対し、800mgのPVPを含有し且つPGを含有する例5−2および5−3は服用感が良く、PVPとともにPGを含有することにより、服用感が向上することがわかった。
また、製剤のpHを3.5以下とすることにより、ビタミンB1類の安定性が確保されることがわかった。さらに表7に示すようにpH2.2である比較例22は沈殿を生じたことから、pHを2.3以上とすることにより、クコシエキスの沈殿が生じないことがわかった。
6.処方例
(処方例1)
クコシ軟エキス275mg(生薬換算量1100mg)、ジョテイシ軟エキス55mg(生薬換算量220mg)、チアミン硝化物10mg、リボフラビンリン酸エステルナトリウム5mg、ピリドキシン塩酸塩10mg、ニコチン酸アミド25mg、無水カフェイン50mg、PVP 400mg、PG 0.5g、クエン酸水和物269mg、果糖10g、安息香酸ナトリウム28mgおよび没食子酸プロピル3mgを精製水に溶解し、2mol/L水酸化ナトリウム液でpHを3.0に調整し、全量50mLの内服液剤を調製した。
(処方例2)
クコシ軟エキス250mg(生薬換算量1000mg)、チアミン硝化物10mg、PVP 400mgおよびPG 0.5gを精製水に溶解し、2mol/L水酸化ナトリウム液でpHを2.6に調整し、全量50mLの内服液剤を調製した。
(処方例3〜7)
処方例1または処方例2と同様にして、表8に示す各成分を精製水に攪拌溶解し、2mol/L水酸化ナトリウム液で表8に示すpHに調整して、全量50mLの内服液剤を得た。

Claims (8)

  1. クコシエキス、ビタミンB1類、ポリビニルピロリドンおよびプロピレングリコールを含有する内服液剤であって、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、ポリビニルピロリドンを300〜800mgおよびプロピレングリコールを250〜3000mg含有し、且つpH2.3〜3.5である内服液剤。
  2. 生薬に換算したクコシエキス1000mgに対しポリビニルピロリドンを300〜600mgを含有する請求項1に記載の内服液剤。
  3. 生薬に換算したクコシエキス1000mgに対しビタミンB1類を1〜25mg含有する請求項1または2に記載の内服液剤。
  4. ビタミンB1類が、チアミン、硝酸チアミン、塩酸チアミンおよびフルスルチアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の内服液剤。
  5. 生薬換算量で0.2〜6.7質量%のクコシエキス、0.001〜0.08質量%のビタミンB1類、0.3〜3.0質量%のポリビニルピロリドンおよび0.25〜10質量%のプロピレングリコールを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の内服液剤。
  6. さらにジョテイシエキスを含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の内服液剤。
  7. クコシエキスおよびビタミンB1類を配合し、pHが2.3〜3.5である内服液剤の製造において、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、ポリビニルピロリドンを300〜800mgおよびプロピレングリコールを250〜3000mgを添加するクコシエキスの可溶化方法。
  8. クコシエキスおよびビタミンB1類を配合し、且つpH2.3〜3.5である内服液剤に添加する可溶化剤であって、生薬に換算したクコシエキス1000mgに対し、300〜800mgのポリビニルピロリドンおよび250〜3000mgのプロピレングリコールを含有する可溶化剤。
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