(ハイブリッド車両の説明)
図1に基づき、本発明の実施形態によるハイブリッド車両用駆動装置1について説明する。図1は、ハイブリッド車両用駆動装置1が搭載されたハイブリッド車両(以下、車両と略す)の概略を示している。図1において、太線は各装置間の機械的な接続を示し、破線による矢印は制御用の信号線を示し、一点鎖線による矢印は車両の電力の供給線を示している。
図1に示すように、ハイブリッド車両用駆動装置1は、エンジン2、クラッチ5、自動変速機100、モータジェネレータ6、クラッチアクチュエータ53、インバータ装置15、バッテリ16、制御部10とから構成されている。ハイブリッド車両用駆動装置1は、駆動輪18R、18Lに駆動力を付与するものである。
車両は、エンジン2、クラッチ5、自動変速機100、モータジェネレータ6、デファレンシャル17が、この順番に、直列に配設されている。また、デファレンシャル17には、車両の駆動輪18R、18Lが接続されている。なお、駆動輪18R、18Lは、車両の前輪又は後輪、或いは、前後輪である。
エンジン2は、ガソリンや軽油等の炭化水素系燃料を使用するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等である。エンジン2は、出力軸21、スロットルバルブ22、及び燃料噴射装置23を有し、制御部10によって制御される。出力軸21は、ピストンにより回転駆動されるクランク軸と一体的に回転して駆動力を出力する。
スロットルバルブ22は、エンジン2の内部に空気を取り込む経路の途中に配設されている。燃料噴射装置23は、エンジン2の内部に空気を取り込む経路及び燃焼室の少なくとも一方に燃料を噴射するものである。なお、本実施形態では、エンジン2の出力軸21は、後述するクラッチ5の入力部材である駆動側部材51に接続している。
クラッチ5は、エンジン2の出力軸21と自動変速機100の入力軸81とを接続又は切断するものである。クラッチ5は、湿式多板摩擦クラッチや乾式単板摩擦クラッチである。クラッチ5は、出力軸21に連結された入力部材である駆動側部材51と、入力軸81に連結された出力部材である従動側部材52を備えている。
駆動側部材51と従動側部材52は、クラッチアクチュエータ53によって、接続状態及び切断状態に切り替えられる。本実施形態では、クラッチ5は、クラッチアクチュエータ53が作動していない時に、切断状態となるノーマールオープンクラッチである。
自動変速機100は、入力軸81の回転速度を出力軸82の回転速度で除した変速比がそれぞれ異なる複数のギヤ段(リバース含む)を選択的に切り替える変速機構を有している有段変速機である。入力軸81には、エンジン2からの駆動力が入力される。自動変速機100は、制御部10からの指令に基づいて変速機構を作動させ、複数のギヤ段を選択的に切り替えて変速を実装するシフト操作装置200を備えている。この自動変速機100やシフト操作装置200の構成については、後で詳細に説明する。
自動変速機100は、入力軸81の回転速度を検出し、検出信号を制御部10に出力する入力軸回転速度センサ83を有している。自動変速機100は、出力軸82の回転速度を検出し、検出信号を制御部10に出力する出力軸回転速度センサ84を有している。
モータジェネレータ6は、駆動輪18L、18Rに駆動力を付与するとともに減速時に発電する。モータジェネレータ6は、円筒状のステータと、このステータの内周側に回転可能に配設されたロータとから構成されている。ステータは、ステータコアに巻線が巻回されて構成されている。ロータは、ロータコアに永久磁石が取り付けられて構成されている。本実施形態では、モータジェネレータ6は、三相同期機である。ロータは、出力軸82に連結されるとともに、デファレンシャル17に連結している。
インバータ装置15は、バッテリ16から供給される直流電流を、交流電流に変換するとともに、交流電流の電圧の周波数及び実効値を可変してモータジェネレータ6に供給する。また、インバータ装置15は、モータジェネレータ6が発電した交流電流を降圧するとともに直流電流に変換して、バッテリ16を充電する。
制御部10は、ハイブリッド車両用駆動装置1を制御するものである。制御部10は、スロットルバルブ22、燃料噴射装置23、クラッチアクチュエータ53、セレクトアクチュエータ251、シフトアクチュエータ252と接続している。制御部10は、CPU、RAM、記憶部、及びこれらを接続するバスを有する。CPUは、図9〜図12に示すフローチャートに対応したプログラムを実行する。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものである。記憶部は、不揮発性メモリー等で構成され、前記プログラムを記憶するものである。
制御部10は、アクセルペダル31の操作量を検出するアクセルセンサ32から、前記操作量の相対値を意味するアクセル開度Acの情報を取得する。制御部10は、アクセル開度Acに基づいて、「要求駆動力」を演算する。制御部10は、バッテリ16の充電状態や車速V等の情報に基づいて、「モータジェネレータ駆動力」を演算する。制御部10は、「要求駆動力」及び「モータジェネレータ駆動力」に基づいて「エンジン駆動力」を演算する。制御部10は、「エンジン駆動力」に基づいて、スロットルバルブ22の開度及び燃料噴射装置23の燃料噴射量を制御し、エンジン2が出力する駆動力が「エンジン駆動力」となるように制御する。
制御部10は、インバータ装置15の動作を制御することで、モータジェネレータ6の駆動モードと発電モードの切り替え制御を行うとともに、モータジェネレータ6のモータジェネレータ回転速度Nm及び「モータジェネレータ駆動力」の制御を行う。
制御部10は、クラッチアクチュエータ53を作動させて、クラッチ5を接続状態又は切断状態にし、出力軸21と入力軸81とを接続又は切断する。このように、制御部10は、クラッチ5を切断することにより、駆動輪18R、18Lをモータジェネレータ6のみにより駆動する「電動走行モード」に切り替えるとともに、クラッチ5を接続することにより、エンジン2及びモータジェネレータ6により駆動する場合「スプリット走行モード」に切り替える。
制御部10は、アクセル開度Acの情報及び出力軸回転速度センサ84から出力軸回転速度Noの情報(車速Vに関する情報)を取得し、それらからなる車両の走行状態を、「変速マップデータ」(不図示)に参照させることにより、自動変速機100の最適なギヤ段を判断する。そして、制御部10は、後述するセレクトアクチュエータ251及びシフトアクチュエータ252に駆動電流を供給するとともに制御し、自動変速機100のギヤ段を変更する(変速)。
(自動変速機)
以下に、図2を用いて、自動変速機100について説明する。本実施形態の自動変速機100は、シフト操作装置200によって「セレクト動作」及び「シフト動作」が実行される所謂オートメイテッドマニュアルトランスミッションである。
自動変速機100は、入力軸81、出力軸82、第一ドライブギヤ141、第二ドライブギヤ142、第三ドライブギヤ143、第四ドライブギヤ144、第五ドライブギヤ145、リバースドライブギヤ146、第一ドリブンギヤ151、第二ドリブンギヤ152、第三ドリブンギヤ153、第四ドリブンギヤ154、第五ドリブンギヤ155、リバースドリブンギヤ156、出力ギヤ157、リバースアイドラギヤ161、第一選択機構110、第二選択機構120、第三選択機構130を有する。
入力軸81と出力軸82は、自動変速機100のハウジング101(図4示)に回転可能に平行に軸支されている。
第一ドライブギヤ141、第二ドライブギヤ142、第三ドライブギヤ143、第四ドライブギヤ144、第五ドライブギヤ145、リバースドライブギヤ146は、入力軸81に相対回転不能に設けられた固定ギヤである。
第一ドリブンギヤ151、第二ドリブンギヤ152、第三ドリブンギヤ153、第四ドリブンギヤ154、第五ドリブンギヤ155、リバースドリブンギヤ156、出力ギヤ157は、出力軸82に遊転可能(相対回転可能)又は嵌合可能に設けられた遊転ギヤである。
第一ドライブギヤ141と第一ドリブンギヤ151は、互いに噛合し、1速段を構成するギヤである。第二ドライブギヤ142と第二ドリブンギヤ152は、互いに噛合し、2速段を構成するギヤである。第三ドライブギヤ143と第三ドリブンギヤ153は、互いに噛合し、3速段を構成するギヤである。第四ドライブギヤ144と第四ドリブンギヤ154は、互いに噛合し、4速段を構成するギヤである。第五ドライブギヤ145と第五ドリブンギヤ155は、互いに噛合し、5速段を構成するギヤである。
第一ドライブギヤ141、第二ドライブギヤ142、第三ドライブギヤ143、第四ドライブギヤ144、第五ドライブギヤ145の順にギヤ径が大きくなっている。第一ドリブンギヤ151、第二ドリブンギヤ152、第三ドリブンギヤ153、第四ドリブンギヤ154、第五ドリブンギヤ155の順にギヤ径が小さくなっている。
リバースアイドラギヤ161は、リバースドライブギヤ146とリバースドリブンギヤ156の間に配設され、リバースドライブギヤ146及びリバースドリブンギヤ156と噛合している。リバースアイドラギヤ161、リバースドライブギヤ146及びリバースドリブンギヤ156は、リバース用のギヤである。
(選択機構)
[第一選択機構]
第一選択機構110は、第一ドリブンギヤ151又は第二ドリブンギヤ152を選択して、出力軸82に相対回転不能に連結するものである。第一選択機構110は、図2や図3に示すように、第一クラッチハブH1と、第一速係合部材E1と、第二速係合部材E2と、第一シンクロナイザリングR1、第二シンクロナイザリングR2と、第一スリーブS1とから構成されている。
第一クラッチハブH1は、第一ドリブンギヤ151と第二ドリブンギヤ152との軸方向間となる出力軸82にスプライン嵌合されている。このため、第一クラッチハブH1は、出力軸82に相対回転不能且つ前記軸の軸線方向に移動可能となっている。第一速係合部材E1及び第二速係合部材E2は、第一ドリブンギヤ151及び第二ドリブンギヤ152のそれぞれに、例えば圧入などにより固定される部材である。
第一シンクロナイザリングR1は、第一クラッチハブH1と第一速係合部材E1の間に設けられている。第一シンクロナイザリングR1は、第一スリーブS1の軸線方向の移動により、第一スリーブS1とスプライン噛合又は第一スリーブS1から離脱するようになっている。第一シンクロナイザリングR1と第一速係合部材E1には、それぞれ、互いに当接する円錐面のコーン面c1、C1が形成されている。第一スリーブS1は、第一クラッチハブH1の外周に軸方向移動自在にスプライン係合される。
第二シンクロナイザリングR2は、第一クラッチハブH1と第二速係合部材E2の間に設けられている。第二速係合部材E2と第二シンクロナイザリングR2には、それぞれ、互いに当接する円錐面のコーン面c2、C2が形成されている。第二スリーブS2は、第二クラッチハブH2の外周に軸方向移動自在にスプライン係合される。
この第一選択機構110は、第一ドリブンギヤ151及び第二ドリブンギヤ152の一方を出力軸82に同期しつつ、第一ドリブンギヤ151及び第二ドリブンギヤ152の一方を出力軸82に係合し、かつ、第一ドリブンギヤ151及び第二ドリブンギヤ152の両者を出力軸82に対して離脱する状態にすることができる周知のシンクロメッシュ機構を構成している。
第一選択機構110の第一スリーブS1は、図2に示す「中立位置」では第一速係合部材E1及び第二速係合部材E2のいずれにも係合されていない。第一スリーブS1の外周には、環状の第一係合溝S1−1が形成されている。第一係合溝S1−1には、第一シフトフォークF1−1が係合している。
第一シフトフォークF1−1により第一スリーブS1が第一ドリブンギヤ151側にシフトされれば、第一スリーブS1が第一シンクロナイザリングR1にスプライン係合するともに、第一スリーブS1によって第一シンクロナイザリングR1が第一速係合部材E1側に移動される。すると、第一シンクロナイザリングR1のコーン面c1が第一速係合部材E1のコーン面C1に当接し、これらコーン面c1、C1同士の摩擦力により、出力軸82と第一ドリブンギヤ151の回転速度が徐々に同期される。
出力軸82と第一ドリブンギヤ151の回転速度が同期すると、第一スリーブS1は、更に第一速係合部材E1側に移動し、第一速係合部材E1の外周の外歯スプラインと係合し、第一ドリブンギヤ151を出力軸82に相対回転不能に連結して1速段を形成する。
また、第一シフトフォークF1−1により第一スリーブS1が第二ドリブンギヤ152側にシフトされれば、第二シンクロナイザリングR2は同様にして出力軸82と第二ドリブンギヤ152の回転を同期させた後に、この両者を相対回転不能に連結して2速段を形成する。
[第二選択機構]
第二選択機構120は、第三ドライブギヤ143又は第四ドライブギヤ144を選択して、出力軸82に相対回転不能に連結するものである。第二選択機構120は、第二クラッチハブH2と、第三速係合部材E3と、第四速係合部材E4と、第三シンクロナイザリングR3、第四シンクロナイザリングR4と、第二スリーブS2とから構成されている。
第二選択機構120は、第一選択機構110と同様のシンクロメッシュ機構であり、第二クラッチハブH2が、第三ドライブギヤ143と第四ドライブギヤ144の間の出力軸82に固定され、第三速係合部材E3と第四速係合部材E4が、それぞれ第三ドライブギヤ143と第四ドライブギヤ144に固定されている点が異なっているだけである。第二選択機構120は、「中立位置」ではいずれの係合部材E3、E4とも係合されていない。第二スリーブS2の外周には、環状の第二係合溝S2−1が形成されている。第二係合溝S2−1には、第二シフトフォークF2−2が係合している。
第二シフトフォークF2−2により第二スリーブS2が第三ドライブギヤ143にシフトされれば、出力軸82と第三ドライブギヤ143の回転が同期された後に、この両者が一体的に連結されて3速段が形成される。また、第二シフトフォークF2−2により第二スリーブS2が第四ドライブギヤ144側にシフトされれば、出力軸82と第四ドライブギヤ144の回転が同期された後に、この両者が直結されて4速段が形成される。
[第三選択機構]
第三選択機構130は、第五ドライブギヤ145又はリバースドライブギヤ146を選択して、出力軸82に相対回転不能に連結するものである。第三選択機構130は、第三クラッチハブH3と、第五速係合部材E5と、リバース係合部材ERと、第五シンクロナイザリングR5、リバースシンクロナイザリングRRと、第三スリーブS3とから構成されている。
第三選択機構130は、第一選択機構110と同様のシンクロメッシュ機構であり、第三クラッチハブH3が、第五ドライブギヤ145とリバースドライブギヤ146の間の出力軸82に固定され、第五速係合部材E5とリバース係合部材ERが、それぞれ第四ドライブギヤ144とリバースドライブギヤ146に固定されている点が異なっているだけである。第三選択機構130は、「中立位置」ではいずれの係合部材E5、ERとも係合されていない。第三スリーブS3の外周には、環状の第三係合溝S3−1が形成されている。第三係合溝S3−1には、第三シフトフォークF3−3が係合している。
第三シフトフォークF3−3により第三スリーブS3が第五ドライブギヤ145にシフトされれば、出力軸82と第五ドライブギヤ145の回転が同期された後に、この両者が一体的に連結されて5速段が形成される。また、第三シフトフォークF3−3により第三スリーブS3がリバースドライブギヤ146側にシフトされれば、出力軸82とリバースドライブギヤ146の回転が同期された後に、この両者が直結されてリバース段が形成される。
(シフト操作装置)
次に、図4〜図7を用いて、シフト操作装置200について説明する。シフト操作装置200は、第一シフトフォーク部材F1〜第三シフトフォーク部材F3、シフトシャフト201、セレクト部材202、ゲート部材203、ゲートピン101c、セレクト伝達部材205、支持部材206、セレクトラック部材207、シフト伝達部材208、シフトラック部材209、セレクトアクチュエータ251、シフトアクチュエータ252を有している。
第一シフトフォーク部材F1、第二シフトフォークF2部材、第三シフトフォークF3部材は、それぞれ、出力軸82の軸線方向に移動可能に、ハウジング101内に配設されている。出力軸82の軸線方向を、以下の説明において「シフト方向」と略す。そして、「シフト方向」と直交する方向を「セレクト方向」と略す。シフトフォーク部材F1〜F3は、遊転ギヤ151〜156を出力軸82に係脱させるものである。
図4や図6に示すように、第一シフトフォーク部材F1は、上述の第一シフトフォークF1−1、第一フォークシャフトF1−4、第一シフトヘッドF1−2が一体に構成されている。図6に示すように、第一フォークシャフトF1−4は、第一シフトフォークF1−1と接続し、「セレクト方向」に延在するシャフトである。第一シフトヘッドF1−2は、第一フォークシャフトF1−4の末端に形成されている。第一シフトヘッドF1−2には、第一セレクト溝F1−3が凹陥形成されている。
第二シフトフォーク部材F2は、第一シフトフォーク部材F1と同様の構造であり、上述の第二シフトフォークF2−1、第二フォークシャフトF2−4、第二シフトヘッドF2−2が一体に構成されている。また、第三シフトフォーク部材F3は、第一シフトフォーク部材F1と同様の構造であり、上述の第三シフトフォークF3−1、第三フォークシャフトF3−4、第三シフトヘッドF3−2が一体に構成されている。
図4に示すように、シフトシャフト201は、「セレクト方向」に延在し、ハウジング101の保持穴101a、101bに挿通して、軸線方向移動可能且つ回転可能にハウジング101に取り付けられている。
図4に示すように、シフトシャフト201の末端には、係合部201aが凹陥形成されている。セレクト伝達部材205は、棒状である。セレクト伝達部材205の一端に形成された連結部205bは、係合部201aと係合して、セレクト伝達部材205がシフトシャフト201の末端に連結している。なお、シフトシャフト201は、セレクト伝達部材205に対して回転可能となっている。セレクト伝達部材205は、セレクト伝達部材205の中間部分に形成された支点部205aにおいて、支持部材206を介してハウジング101に揺動可能に取り付けられている。
セレクトラック部材207は、棒状であり、「セレクト方向」に延在している。セレクトラック部材207の一端は、セレクト伝達部材205の他端に形成された軸着部205cと軸着している。セレクトラック部材207の他端部には、ラック溝207aが形成されている。
セレクトアクチュエータ251は、本実施形態では、電動のサーボモータである。セレクトアクチュエータ251は、回転軸251aを有している。回転軸251aには、ラック溝207aと噛合するピニオンギヤ251bが取り付けられている。
このような構成により、セレクトアクチュエータ251が駆動すると、セレクトラック部材207が「セレクト方向」に移動し、セレクト伝達部材205が支点部205aを中心に揺動し、シフトシャフト201が「セレクト方向」に移動する。
図4や図7に示すように、シフト伝達部材208は、シフトシャフト201の末端に固着している。図7に示すように、シフトラック部材209は、棒状であり、「シフト方向」に延在している。シフトラック部材209の一端は、シフト伝達部材208の末端に形成された軸着部208cと軸着している。シフトラック部材209の他端部には、ラック溝209aが形成されている。
シフトアクチュエータ252は、本実施形態では、電動のサーボモータである。シフトアクチュエータ252は、回転軸252aを有している。回転軸252aには、ラック溝209aと噛合するピニオンギヤ252bが取り付けられている。
このような構成により、シフトアクチュエータ252が駆動すると、シフトラック部材209が「シフト方向」に移動し、シフト伝達部材208が揺動し、シフトシャフト201が回転する。
セレクト部材202は、複数のシフトフォーク部材F1〜F3のうち1のシフトフォーク部材F1〜F3と選択的に係合するとともに、当該係合したシフトフォーク部材F1〜F3を「シフト方向」に移動させるものである。セレクト部材202は、シフトシャフト201の軸線方向中間部分の外周面に取り付けられている。セレクト部材202には、セレクトピン202aが突設されている。セレクトピン202aは、シフトシャフト201の軸線方向の移動に伴い、第一セレクト溝F1−3〜第三セレクト溝F3−3のいずれかと選択的に係合し又は第一セレクト溝F1−3〜第三セレクト溝F3−3のいずれもと係合しない。
セレクトピン202aが第一セレクト溝F1−3〜第三セレクト溝F3−3のいずれかと選択的に係合している状態で、シフトシャフト201が回転すると、セレクトピン202aと係合し選択されている第一シフトフォーク部材F1〜第三シフトフォーク部材F3が、「シフト方向」に移動する。
ゲート部材203は、シフトシャフト201の軸線方向中間部分の外周面に取り付けられている。図8に示すように、ゲート部材203には、ゲート溝203aが凹陥形成されている。ゲート溝203aは、第一シフトゲート溝203b、第二シフトゲート溝203c、第三シフトゲート溝203d、セレクトゲート溝203eとから構成されている。
第一シフトゲート溝203b、第二シフトゲート溝203c、及び第三シフトゲート溝203dは「シフト方向」に形成され、それぞれ、「セレクト方向」に並設されている。セレクトゲート溝203eは、「セレクト方向」に形成し、第一シフトゲート溝203b、第二シフトゲート溝203c、及び第三シフトゲート溝203dの中間部(中立位置)と接続している。
ゲート溝203aには、ハウジング101の内側から突設したゲートピン101cと係合している。このように、ゲート溝203a及びゲートピン101cは、シフトシャフト201の軸線方向移動及び回動を規制している。
ゲートピン101cが、セレクト溝203eに位置している状態で、セレクト溝203eの第一シフトゲート溝203b、第二シフトゲート溝203c、及び第三シフトゲート溝203dのいずれかと交わる「ゲート位置」に位置していなければ、ゲートピン101cは第一シフトゲート溝203b、第二シフトゲート溝203c、及び第三シフトゲート溝203dのいずれかにおいて「シフト方向」に相対移動しない。
以下に、「ゲート位置」について詳細に説明する。第一シフトゲート溝203b、第二シフトゲート溝203c、及び第三シフトゲート溝203dは、「セレクト方向」に所定の幅を持っている。これにより、ゲートピン101cの「セレクト方向」の可動範囲である「セレクト可動範囲」が規定されている。「セレクト可動範囲」の両端が、ゲートピン101cの「セレクト方向」の移動を阻止する「ゲートストッパ点」である。そして、「セレクト方向」に関して、「セレクト可動範囲」の中間位置、つまり、一対の「ゲートストッパ点」の中間位置が「ゲート位置」である。
セレクト溝203e内にあるゲートピン101cが、「ゲート位置」に位置している状態では、セレクトピン202aは、シフトフォーク部材F1〜F3のいずれかと係合している。
シフトフォーク部材F1〜F3F3のいずれかがセレクトピン202aと係合し選択されている状態で、シフトシャフト201が回動すると、選択されたシフトフォーク部材F1〜F3が「シフト方向」に移動する。
ゲートピン101cが第一シフトゲート溝203b〜第三シフトゲート溝203dのいずれかの端部に当接すると、選択されたシフトフォーク部材F1〜F3の「シフト方向」の移動が阻止される。このように、シフトフォーク部材F1〜F3のシフト方向の移動が阻止される位置を「ストッパ点」という。
このように、ゲートピン101cの第一シフトゲート溝203b内での相対可動範囲が、第一シフトフォーク部材F1の可動範囲となっている。また、ゲートピン101cの第二シフトゲート溝203c内での相対可動範囲が、第二シフトフォーク部材F2の可動範囲となっている。更に、ゲートピン101cの第三シフトゲート溝203d内での相対可動範囲が、第三シフトフォーク部材F3の可動範囲となっている。
シフトフォーク部材F1〜F3が「ストッパ点」にある状態では、第一シフトフォークF1−1〜第三シフトフォークF3−3のいずれかと係合している第一〜第三スリーブS1〜S3が、これに対応する第一速係合部材E1〜第五速係合部材E5、及びリバース係合部材ERのいずれかと係合して、ギヤ段(リバース含む)が形成されている。
第一シフトフォークF1−1〜第三シフトフォークF3−3の「シフト方向」の可動範囲の中間は、「中立位置」となっている。シフトフォーク部材F1〜F3の「シフト方向」に関して、「中立位置」にある状態では、ゲートピン101cは第一シフトゲート溝203b〜第三シフトゲート溝203dの中間位置である「中立位置」に位置している。第一シフトフォークF1−1〜第三シフトフォークF3−3が「中立位置」にある状態では、それぞれ、第一〜第三スリーブS1〜S3が、図3に示す「中立位置」にある。
「中立位置」と「ストッパ点」の間には、「ボーク点」が存在する。シフトフォーク部材F1〜F3(ゲートピン101c)が、「ボーク点」にある状態では、第一シンクロナイザリングR1〜〜第五シンクロナイザリングR5、及びリバースシンクロナイザリングRRのコーン面c1〜5、cRのいずれかと、これに対応する第一速係合部材E1〜第五速係合部材E5、及びリバース係合部材ERのコーン面C1〜C5、CRとが当接している。
つまり、第一シフトフォークF1−1〜第三シフトフォークF3−3のいずれか(ゲートピン101c)が、「ボーク点」に達すると、出力軸82と、第一ドリブンギヤ151〜第五ドリブンギヤ155及びリバースドリブンギヤ156のいずれかとの同期が開始する。
(本発明の概要)
本発明は、車両がモータジェネレータ6の駆動力のみによって走行している「電動走行モード」時、つまり、クラッチ5が切断している走行状態で、シフトアクチュエータ252やセレクトアクチュエータ251を駆動することにより、上述した「ボーク点」、「ストッパ点」、及び「ゲート位置」を検出する技術である。以下、詳細に説明する。
(検出時期判断処理)
以下に、図9に示すフローチャートを用いて、「検出時期判断処理」について説明する。車両が走行可能な状態となると、プログラムはS11に進む。
S11において、制御部10は、車両が「電動走行モード」であると判断した場合には(S11:YES)、プログラムはS12に進み、車両が「電動走行モード」でないと判断した場合には(S11:NO)、S11の処理を繰り返す。
S12において、制御部10は、1速〜5速及びリバースのいずれかがボーク点検出時期であると判断した場合には(S12:YES)、プログラムをS13に進め、1速〜5速及びリバースのいずれもがボーク点検出時期でないと判断した場合には(S12:NO)、プログラムをS14に進める。なお、制御部10は、あるギヤ段(リバース含む)が、車両が走行可能な状態において、前回「ボーク点」の検出を行ってから所定時間以上経過していると判断した場合には、当該ギヤ段がボーク点検出時期であると判断する。
S13において、制御部10は、「ボーク点検出処理」を実行する。「ボーク点検出処理」については、図10を用いて後述する。S13が終了すると、プログラムは、S11に戻る。
S14において、制御部10は、1速〜5速及びリバースのいずれかがストッパ点検出時期であると判断した場合には(S14:YES)、プログラムをS15に進め、1速〜5速及びリバースのいずれもがストッパ点検出時期でないと判断した場合には(S14:NO)、プログラムをS15に進める。なお、制御部10は、あるギヤ段(リバース含む)が、車両が走行可能な状態において、前回「ストッパ点」の検出を行ってから所定時間以上経過していると判断した場合には、当該ギヤ段がストッパ点検出時期であると判断する。
S15において、制御部10は、「ストッパ点検出処理」を実行する。「ストッパ点検出処理」については、図11を用いて後述する。S15が終了すると、プログラムは、S11に戻る。
S16において、制御部10は、1速〜5速及びリバースのいずれかがゲート位置検出時期であると判断した場合には(S16:YES)、プログラムをS17に進め、1速〜5速及びリバースのいずれもがゲート位置検出時期でないと判断した場合には(S16:NO)、プログラムをS11に戻す。なお、制御部10は、あるギヤ段(リバース含む)が、車両が走行可能な状態において、前回「ゲート位置」の検出を行ってから所定時間以上経過していると判断した場合には、当該ギヤ段がゲート位置検出時期であると判断する。
S17において、制御部10は、「ゲート位置検出処理」を実行する。「ゲート位置検出処理」については、図12を用いて後述する。S17が終了すると、プログラムは、S11に戻る。
(ボーク点検出)
以下に、図10に示すフローチャート及び図13に示す説明図を用いて、「ボーク点検出処理」について説明する。なお、図13における「シフトストローク」とは、シフトアクチュエータ252によってストロークする部材であるシフトラック部材209のストローク量であり、シフトアクチュエータ252の回転回数や回転角度によって検出される。「ボーク点検出処理」が開始すると、プログラムはS21に進む。
S21において、制御部10は、セレクトアクチュエータ251に制御信号を出力することにより、図9のS12においてボーク点検出時期と判断されたギヤ段に対応するシフトフォーク部材F1〜F3を選択する。S21が終了すると、プログラムはS22に進む。
S22において、制御部10は、シフトアクチュエータ252に制御信号を出力することにより、図9のS12においてボーク点検出時期と判断されたギヤ段方向へのシフトフォーク部材F1〜F3の移動を開始させる。S22が終了すると、プログラムはS23に進む。
S23において、制御部10は、出力軸82と、第一ドリブンギヤ151〜第五ドリブンギヤ155及びリバースドリブンギヤ156のいずれかとの同期が開始したと判断した場合には(S23:YES、図13の(1))、プログラムをS24に進め、上記の同期が開始していないと判断した場合には(S23:NO)、S23の処理を繰り返す。なお、制御部10は、入力軸回転速度センサ83からの検出信号に基づき、入力軸81の回転開始を検知した場合には、上記同期が開始したと判断する。
S24において、制御部10は、「シフト荷重推定値」が「ボーク荷重判定値」以上であると判断した場合には(S24:YES、図13の(2))、プログラムをS25に進め、「シフト荷重推定値」が「ボーク荷重判定値」より小さいと判断した場合には(S24:NO)、S24の処理を繰り返す。なお、制御部10は、シフトアクチュエータ252に供給している駆動電流の電流値に基づき「シフト荷重推定値」を演算する。また、上記同期が開始すると、「シフト荷重推定値」が上昇する。
S25において、制御部10は、図9のS12においてボーク点検出時期と判断されたギヤ段についての「ボーク点」を記憶する。具体的には、制御部10は、上記ギヤ段についてシフトアクチュエータ252の回転回数や回転角度を記憶する。S25が終了すると、プログラムはS26に進む。
S26において、制御部10は、シフトアクチュエータ252に制御信号を出力することにより、S21において選択されたシフトフォーク部材F1〜F3を「中立位置」に移動させて戻す。S26が終了すると、「ボーク点検出処理」が終了する。
(ストッパ点検出)
以下に、図11に示すフローチャート及び図13に示す説明図を用いて、「ストッパ点検出処理」について説明する。「ストッパ点検出処理」が開始すると、プログラムはS31に進む。
S31において、制御部10は、セレクトアクチュエータ251に制御信号を出力することにより、図9のS14においてストッパ点検出時期と判断されたギヤ段に対応するシフトフォーク部材F1〜F3を選択する。S31が終了すると、プログラムはS32に進む。
S32において、制御部10は、シフトアクチュエータ252に制御信号を出力することにより、図9のS14においてストッパ点検出時期と判断されたギヤ段方向へのシフトフォーク部材F1〜F3の移動を開始させる。S32が終了すると、プログラムはS33に進む。
S33において、制御部10は、シフト荷重を発生させても、シフトアクチュエータ252のストロークが増大しないと判断した場合には(S33:YES、図13の(5))、プログラムをS33に進め、シフトアクチュエータ252のストロークが増大すると判断した場合には(S33:NO、図13の(3)〜(4)の間)、S33の処理を繰り返す。
S34において、制御部10は、図9のS14においてストッパ点検出時期と判断されたギヤ段についての「ストッパ点」を記憶する。具体的には、制御部10は、上記ギヤ段についてシフトアクチュエータ252の回転回数や回転角度を記憶する。S34が終了すると、プログラムはS35に進む。
S35において、制御部10は、シフトアクチュエータ252に制御信号を出力することにより、S31において選択されたシフトフォーク部材F1〜F3を「中立位置」に移動させて戻す。S35が終了すると、「ストッパ点検出処理」が終了する。
(ゲート位置検出処理)
以下に、図12に示すフローチャート及び図14に示す説明図を用いて、「ゲート位置検出処理」について説明する。なお、図14における「セレクトストローク」とは、セレクトアクチュエータ251によってストロークする部材であるセレクトラック部材209(図7示)のストローク量であり、セレクトアクチュエータ251の回転回数や回転角度によって検出される。「ゲート位置検出処理」が開始すると、プログラムはS41に進む。
S41において、図9のS16においてゲート位置検出時期と判断されたギヤ段に対応するシフトフォーク部材F1〜F3を選択する。S41が終了するとプログラムは、S42に進む。
S42において、制御部10は、シフトアクチュエータ252に制御信号を出力して、図9のS16においてゲート位置検出時期と判断されたギヤ段方向に、ゲートピン101cを移動させる。移動距離は、「ボーク点」の手前であることが好ましい。S42が終了すると、プログラムはS43に進む。
S43において、制御部10は、セレクトアクチュエータ251に制御信号を出力して、ゲートピン101cの一方の「セレクト方向」への移動を開始させる(図14の(1))。S43が終了すると、プログラムは、S44に進む。
S44において、制御部10は、セレクト荷重を発生させても、セレクトアクチュエータ251のストロークが増大しないと判断した場合には(S44:YES、図14の(2))、プログラムをS45に進め、セレクトアクチュエータ251のストロークが増大すると判断した場合には(S44:NO、図14の(1)〜(2)の間)、S44の処理を繰り返す。
S45において、制御部10は、図9のS16においてゲート位置検出時期と判断されたギヤ段についての一方の「ゲートストッパ点」を記憶する。具体的には、制御部10は、上記ギヤ段についてセレクトアクチュエータ251の回転回数や回転角度を記憶する。S45が終了すると、プログラムはS35に進む。
S46において、制御部10は、セレクトアクチュエータ251に制御信号を出力して、ゲートピン101cの他方の「セレクト方向」への移動を開始させる(図14の(3))。S46が終了すると、プログラムは、S47に進む。
S47において、制御部10は、セレクト荷重を発生させても、セレクトアクチュエータ251のストロークが増大しないと判断した場合には(S47:YES、図14の(4))、プログラムをS48に進め、セレクトアクチュエータ251のストロークが増大すると判断した場合には(S47:NO、図14の(3)〜(4)の間)、S47の処理を繰り返す。
S48において、制御部10は、図9のS16においてゲート位置検出時期と判断されたギヤ段についての他方の「ゲートストッパ点」を記憶する。具体的には、制御部10は、上記ギヤ段についてセレクトアクチュエータ251の回転回数や回転角度を記憶する。S48が終了すると、プログラムはS49に進む。
S49において、制御部10は、S45及びS48で記憶した一対の「ゲートストッパ点」の中間値を演算して、図9のS16においてゲート位置検出時期と判断されたギヤ段についての「ゲート位置」として記憶する。S49が終了すると、プログラムはS50に進む。
S50において、制御部10は、セレクトアクチュエータ251及びシフトアクチュエータ252に制御信号を出力することにより、ゲートピン101cを「中立位置」に戻す。S50が終了すると、「ゲート位置検出処理」が終了する。
(本実施形態の効果)
上述した説明から明らかなように、制御部10は(位置検出部)は、クラッチ5が切断している「電動走行モード」で走行している場合において(図9のS11でYESと判定)、セレクトアクチュエータ251及びシフトアクチュエータ252を作動させて、セレクト部材202が係合しているシフトフォーク部材F1〜F3の「シフト方向」の位置又はセレクト部材202がシフトフォーク部材F1〜F3と係合する「セレクト方向」の位置を検出する。
このように、クラッチ5が切断している状態で、上述した検出を行うので、エンジン2の振動が自動変速機100に伝達されない。このため、エンジン2の振動に起因する検出精度の悪化を防止することができ、セレクト部材202が係合しているシフトフォーク部材F1〜F3の「シフト方向」の位置又はセレクト部材202がシフトフォーク部材F1〜F3と係合する位置を精度高く検出することができる。
なお、制御部10が検出するシフトフォーク部材F1〜F3の「シフト方向」の位置は、シンクロナイザリングR1、R2よるスリーブS1と遊転ギヤ151〜156の回転の同期が開始する位置である「ボーク点」である。
また、制御部10が検出するシフトフォーク部材F1〜F3の「シフト方向」の位置は、シフトフォーク部材F1〜F3の「シフト方向」の可動端である「ストッパ点」である。
このように、クラッチ5が切断している状態において、「ボーク点」や「ストッパ点」を検出するので、エンジン2の振動に起因する検出精度の悪化を防止することができる。このため、精度高く「ボーク点」や「ストッパ点」の検出を行うことができる。
このように、精度高く「ボーク点」を検出することができるので、シフトアクチュエータ252によって、シフトフォーク部材F1〜F3を「ボーク点」まで素早く移動させることができるので、自動変速機100における変速時間を短縮することができる。
また、シフトフォーク部材F1〜F3が「ボーク点」に達した後には、シフトアクチュエータ252がシフトフォーク部材F1〜F3を移動させる回転トルクを増大させることにより、シンクロナイザリングR1、R2によるスリーブS1と遊転ギヤ151〜156の回転の同期を確実に行うことができる。
更に、シンクロナイザリングR1、R2による上述の同期が完了した後には、シフトアクチュエータ252によって、シフトフォーク部材F1〜F3を「ストッパ点」まで素早く移動させることができるので、自動変速機100における変速時間を短縮することができる。また、制御部10は、シフトアクチュエータ252によるシフトフォーク部材F1〜F3の移動を、「ストッパ点」の手前で減速させることにより、ゲートピン101cやゲート部材203、或いは、シフトフォーク部材F1〜F3の破損を防止することができる。
また、シフト操作装置200は、セレクト部材202の移動可能範囲を規制するゲートピン101c及びゲート部材203(規制部)を有している。そして、制御部10は、「シフト方向」に移動したシフトフォーク部材F1〜F3と係合しているセレクト部材202の「セレクト方向」の可動範囲の中間位置を検出して(図12のS43〜S49)、セレクト部材202がシフトフォーク部材F1〜F3と係合する位置である「ゲート位置」を検出する。
これにより、クラッチ5が切断している状態において、「ゲート位置」を検出するので、エンジン2の振動に起因する検出精度の悪化を防止することができる。また、「シフト方向」に移動したシフトフォーク部材F1〜F3と係合しているセレクト部材202の「セレクト方向」の可動範囲の中間位置を検出することにより、「ゲート位置」を検出することにしているので、正確に「ゲート位置」の検出を行うことができる。
また、変速時に限らず、「電動走行モード」であれば、任意の時期に「ボーク点」や「ストッパ点」、「ゲート位置」の検出を行うことができる。
(別の実施形態)
以上説明した実施形態では、シンクロナイザリングR1〜RRを有する自動変速機100について本発明を説明した。しかし、ドグクラッチにより、遊転ギヤ151〜156を出力軸82に相対回転不能に連結する自動変速機100を有するハイブリッド車両用駆動装置1にも本発明の技術的思想が適用可能なことは言うまでもない。
以上説明した実施形態では、シフトシャフト201にゲート部材203が取り付けられ、ハウジング101の内側にゲートピン101cが突設されている。しかし、シフトシャフト201にゲートピン101cが突設され、ハウジング101の内側にゲート部材203が取り付けられている実施形態であっても差し支え無い。
また、以上説明した実施形態では、セレクト部材202の移動可能範囲を規制してシフトフォーク部材F1〜F3の「シフト方向」の移動範囲を規制する規制部は、ゲート部材203やゲートピン101cである。しかし、シフトフォーク部材F1〜F3の「シフト方向」の移動範囲を直接規制して、シフトフォーク部材F1〜F3の移動を「ストッパ点」で阻止する規制部が設けられている実施形態であっても差し支え無い。また、或いは、スリーブS1の「シフト方向」の移動範囲を直接規制して、シフトフォーク部材F1〜F3の移動を「ストッパ点」で阻止する規制部が設けられている実施形態であっても差し支え無い。このような実施形態にも、本発明の技術的思想が適用可能なことは言うまでもない。
以上説明した実施形態では、第一ドライブギヤ141〜リバースドライブギヤ146は、入力軸81に相対回転不能に設けられた固定ギヤであり、第一ドリブンギヤ151〜リバースドリブンギヤ156は、出力軸82に遊転可能に設けられた遊転ギヤである。しかし、第一ドライブギヤ141〜リバースドライブギヤ146のいずれかが、入力軸81に相対回転可能に設けられた遊転ギヤであり、第一ドリブンギヤ151〜リバースドリブンギヤ156のいずれかが、出力軸82に相対回転不能に設けられた固定ギヤである実施形態であっても差し支え無い。