以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態)を詳細に説明する。
〈画像形成装置の構成〉
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置100のシステム構成とその周囲の構成とを示している。
情報処理装置20はパーソナルコンピュータ(PC)などで構成されており、LAN(Local Area Network)などのネットワーク30を介して、プリントジョブを画像形成装置100に供給する。
画像形成装置100は、プリンタコントローラ110と画像形成部120を備えて構成される。プリンタコントローラ110は、LAN(Local Area Network)などのネットワーク30を介してパーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置20と接続されており、情報処理装置20から送られてくるプリントジョブをラスタライズ処理して画像データを生成する処理(RIP処理)を実行する機能を果たす。なお、画像データは画像形成に使用されるビットマップ形式のデータである。
プリンタコントローラ110が情報処理装置20から受信するプリントジョブは、文字や図形をコードデータやベクトルデータで表したプリントデータ、たとえば、PDL(Page Description Language:ページ記述言語)で記述されたプリントデータを含むものである。プリンタコントローラ110におけるラスタライズ処理(RIP処理)は、コードデータやベクトルデータで構成されるプリントデータをビットマップ形式の画像データに展開する処理である。
画像形成部120は、プリンタコントローラ110から画像データを含むプリントジョブのデータ(以後、これをジョブデータと呼ぶ。)を受信し、該画像データに基づいて記録紙上にカラー画像またはモノクロ画像を形成して出力するプリント出力機能を果たす。ここでは、画像形成部120はプリント出力機能のほかに、原稿を光学的に読み取りその複製画像を記録紙上に形成するコピー機能などを備えた、所謂、デジタルカラー複合機として構成されている。
プリンタコントローラ110は、当該プリンタコントローラ110の動作を統括制御するCPU(Central Processing Unit)111と、ネットワーク30に接続するための通信機能を果たすLAN−IF部112と、RIP処理により生成された画像データなどを記憶する画像メモリ113と、ネットワーク30から受信したプリントデータやRIP処理の処理過程で生成される中間データなどを蓄積するハードディスク装置(HDD)114と、画像メモリ113へのデータのリード/ライト機能および画像形成部120との間で各種データの送受信機能を果たすDRAM制御部115とを有している。
このほか、図示省略してあるが、CPU111には、当該CPU111が読み出して実行するプログラムや固定データを記憶したROM(Read Only Memory)およびCPU111がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するためのワークメモリなどが接続されている。
図2は、画像形成部120の概略の機械構成を示している。画像形成部120は、自動原稿送り装置121を備えたスキャナ部122と、操作表示部123と、記録紙上に画像を形成して出力するプリンタ部124と、主制御部150を備えて構成される。
自動原稿送り装置121は、原稿載置トレイ121aに積載された原稿Jを1枚ずつスキャナ部122の読取箇所に送り込み、読み取りの済んだ原稿J’を排紙トレイ121bに排出する機能を果たす。
スキャナ部122は、原稿Jをカラーもしくはモノクロで光学的に読み取って対応する画像データを取得する機能を果たす。スキャナ部122は、光源とミラーとから成る露光走査部と、原稿からの反射光を受光しその光強度に応じた電気信号を色別に出力するカラーのラインイメージセンサ122aと、原稿からの反射光をラインイメージセンサ122aへ導く各種のミラーや集光レンズなどを備えている。スキャナ部122は、自動原稿送り装置121によって原稿を搬送することにより原稿を読み取り位置に対して相対移動させながら読み取る流し読み形式のほか、原稿をプラテンガラス上に載置した状態で読み取ることができる。
プリンタ部124は、複数段の像形成部を備えており、無端環状の中間転写ベルト148と、中間転写ベルト148上にそれぞれ単一色のトナー像を形成する複数の像形成部140Y、140M、140C、140Kと、画像形成される記録紙を給紙する給紙部132と、給紙された記録紙を搬送する搬送部133と、定着装置134とを備えている。ここで、像形成部140Y、140M、140C、140Kは、静電潜像からトナー像を形成する。
なお、画像を形成するために用いられる材料としての色材ではトナーやインクが該当するが、この実施形態では、電子写真方式の画像形成としてトナーを色材の具体例としている。
また、カラー画像を形成する場合には、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)などのトナーが主に用いられる。なお、像形成部140Y、140M、140C、140Kの配置順は一例であって、これに限定されるものではない。また、モノクロ画像を形成する場合には、ブラック(K)のトナーが主に用いられる。
ここで、像形成部140Yはイエロー(Y)色の画像を中間転写ベルト148上に形成し、像形成部140Mはマゼンタ(M)色の画像を中間転写ベルト148上に形成し、像形成部140Cはシアン(C)色の画像を中間転写ベルト148上に形成し、像形成部140Kはブラック(K)色の画像を中間転写ベルト148上に形成するものである。
なお、像形成部140Yは、表面に静電潜像が形成される円筒状の静電潜像担持体としての感光体141Yと、感光体141Yを帯電させる帯電装置142Yと、静電潜像を現像する現像装置143Yと、感光体141Yの余剰トナーを除去するクリーニング装置144Yと、感光体141Yに露光する露光ユニット145Yと、感光体141Y上のトナー像を中間転写ベルト148に転写(一次転写)する転写ローラ146Yと、を備えている。
感光体141Yは、図示省略の駆動部に駆動されて一定方向(図中の矢印A方向)に回転し、帯電装置142Yは、感光体141Yを一様に帯電させる。露光ユニット145Yは、イエロー(Y色)の画像データに応じてオン/オフされたレーザー光で感光体141Yを走査することにより、感光体141Yの表面に静電潜像を形成する。
現像装置143Yは、感光体141Y上の静電潜像をイエローのトナーによって顕像化してトナー像を生成する。感光体141Yの表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト148と接触する箇所で、転写ローラ146Yにより中間転写ベルト148に転写(一次転写)される。クリーニング装置144Yは、転写後に感光体141Yの表面に残留するトナーをブレード等で擦って除去し回収する機能を果たす。
像形成部140M、像形成部140C、像形成部140Kはトナーの色が相違することと、それぞれの色に対応する画像データで露光ユニットのレーザー光がオン/オフされる点を除いて像形成部140Yと同一の構成であり、それらの重複した説明は省略する。なお、図中、色違いであるが同じ構成の要素には、数字が同一であって添え字をY(Y色に対応)に代えてその色を示す記号M(M色に対応)、C(C色に対応)、K(K色に対応)とした符号を付してある。
中間転写ベルト148は複数のローラに掛け渡すようにして巻回されており、画像形成中は図中の矢印B方向に周回する。周回する過程で、(Y)、(M)、(C)、(K)の順に各色の画像(トナー像)が像形成部140Y、140M、140C、140Kによって中間転写ベルト148上に重ねるように一次転写されてカラー画像が合成される。
このカラー画像は、二次転写位置Dで、転写部147によって中間転写ベルト148から記録紙に転写(二次転写)される。
また、転写部147上に付着しているトナーを、ブレード147CLblによって掻き落として除去するためのクリーニング装置147CLが設置されている。
さらに、中間転写ベルト148の周回方向で二次転写位置Dの下流には、二次転写後に中間転写ベルト148上に残留しているトナーをクリーニングブレード148CLblによって掻き落として除去するためのベルトクリーニング装置148CLが設置されている。
給紙部132は、画像形成に供される記録紙を収納する複数の給紙カセット132a〜132cを有し、選択された給紙カセット132a〜132cのいずれかから記録紙を1枚ずつ搬送部133に向けて送り出す機能を果たす。なお、搬送部133は、給紙部132から繰り出された記録紙を二次転写位置Dおよび定着装置134を通過させて、図示省略の後処理装置もしくは排紙トレイへ排出する通常経路133aのほか、定着装置134を通った記録紙の表裏を反転させた後、二次転写位置Dの上流で再び通常経路133aへ合流させる反転経路133bを備えており、両面印刷に対応している。
後処理装置は、記録紙に折り目をつけたり、複数の記録紙を束ねてステイプルで綴じたり、パンチで穴を開けたりする機能などを備えた装置であり、画像形成部120の後段に接続される。後処理装置での処理内容は、画像形成部120の主制御部150から後処理装置へ出力する制御コマンドにより指定される。
図1に戻って画像形成部120の電気的構成を説明する。画像形成部120は、当該画像形成部120の動作を統括制御する主制御部150に、スキャナ部122とプリンタ部124と操作表示部123とを接続して構成される。
スキャナ部122は、図2に示すラインイメージセンサ122aのほか、当該スキャナ部122の動作全体を制御するスキャナ制御部122bを備えている。
プリンタ部124は画像データに応じてオン/オフされる各レーザーダイオード(LD)124aのほか、中間転写ベルト148や像形成部140Y、140M、140C、140K、給紙部132、搬送部133、定着装置134などの動作を制御するプリンタ制御部124bを有している。このほか、図示省略してあるが、プリンタ制御部124bには中間転写ベルト148、像形成部140Y、140M、140C、140K、給紙部132、搬送部133などを作動させるためのモータ、ソレノイド、センサなどが接続されている。
また、像形成部140Y、140M、140C、140Kにおいて、帯電装置142Y〜142Kの帯電電圧、現像装置143Y〜143Kの現像バイアス電圧、転写部147の転写電流、についても、プリンタ制御部124bにより制御される。なお、以上のプリンタ制御部124bによる制御は、主制御部150からの指示に基づいて実行される。
操作表示部123は、各種設定画面や操作画面、ジョブ選択画面、ジョブ編集画面、出力予約ジョブリスト画面などを表示する機能、オペレータに向けて各種案内情報や通知、警告などを表示する機能、オペレータから各種の設定/選択操作や編集操作、出力指示(画像形成の開始指示)を受け付ける機能を果たす。操作表示部123は、液晶ディスプレイからなる表示部123aと、その画面上に敷設されたタッチスイッチおよびその他のスイッチから成る操作部123bと、表示部123aおよび操作部123bを制御する操作制御部123cとを有して構成される。
なお、スキャナ制御部122b、操作制御部123c、プリンタ制御部124bはそれぞれCPU(Central Processing Unit)およびROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを主要部とする回路で構成されており、ROMに格納されたプログラムに従って各種の制御を実行する。
主制御部150は、画像形成部120の動作を統括制御する機能を果たし、読み取り処理部152と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)制御部153と、圧縮IC154aと、伸張IC154bと、半導体メモリで構成された画像メモリ155と、書き込み処理部158と、CPU151と、ROM159aと、RAM159bと、不揮発メモリ159cと、ハードディスク装置156(HDDとも記す)などを備えて構成される。
CPU151は、画像形成部120の動作全体を制御する機能を果たす。ROM159aには、プログラムや各種固定データなどが記憶されており、CPU151はROM159aに格納されたプログラムに従って動作する。RAM159bは、CPU151がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリとして使用される。不揮発メモリ159cは、電源オフ後も記憶しておくべきユーザデータやシステムデータ、各種設定値などが記憶されるメモリである。後述するプリントキューはRAM159bまたは不揮発メモリ159cに作成され記憶される。
読み取り処理部152は、スキャナ部122の出力する画像データに対して拡大処理、鏡像処理、誤差拡散処理などを施す機能を果たす。
DRAM制御部153は、ダイナミックRAMからなる画像メモリ155へのリード・ライトおよびリフレッシュのタイミング制御や、画像データを圧縮して圧縮メモリ155bに格納したり、圧縮メモリ155bから圧縮画像データを読み出して伸張したりする際のタイミング制御などを行う。またDRAM制御部153にはPCI(Peripheral Component Interconnect)バス104を通じてプリンタコントローラ110のDRAM制御部115と接続されており、プリンタコントローラ110との間でPCIバス104を通じて各種のデータを授受する機能を果たす。
圧縮IC154aは画像データを圧縮し、伸張IC154bは圧縮された画像データ(圧縮画像データ)を元の非圧縮の画像データに伸張する機能を果たす。画像メモリ155は、非圧縮の画像データをページ単位で記憶可能なページメモリ155aとしての機能と、圧縮画像データを記憶する圧縮メモリ155bなどとして使用される。
ハードディスク装置156には、プリンタコントローラ110から受信した印刷ジョブのデータ(ジョブデータ)などが記憶され保存される。
書き込み処理部158は、圧縮メモリ155bから読み出して伸張された画像データに応じて各色露光ユニット145Y、145M、145C、145Kのレーザーダイオードをオン/オフさせるための信号を、プリンタ部124の動作に応じたタイミングで出力する機能を果たす。
なお、この図1では、プリンタコントローラ110は画像形成装置100の内部に組み込まれている状態を示している。プリンタコントローラ110を画像形成装置100の外部に設ける場合には、プリンタコントローラ110と画像形成部120との間でのデータの送受信は、それに適したインターフェイスで行われる。
〈画像形成装置の動作〉
以下、本実施形態の動作について順を追って説明する。
〈(1):用紙プロファイル登録、トナー付着量増加の設定〉
まず、画像形成装置100の画像形成で使用される用紙についての設定情報が給紙トレイと関連付けられた状態で、用紙プロファイルとして登録されて、不揮発メモリ159c等に記憶される。
ここで、用紙プロファイルとは、画像形成装置100で用いられる用紙についての設定情報であり、当該設定情報の中には、用紙関する情報(用紙情報)の他、用紙に対する画像形成の各種設定(画像形成条件)も含んでいる。具体的には、各用紙プロファイルには、「用紙種類」、「用紙名称」、「用紙サイズ」、「坪量」、…、「トナー付着量」、などの各種項目に対する設定内容が登録されている。
また、各用紙プロファイルは、例えば、「001」「002」等の異なる識別番号が付けられて、主制御部150により認識されている。
なお、「トナー付着量」とは、画像形成部120による画像形成の際のトナー付着量を決定するための項目である。また、用紙プロファイルにおける「トナー付着量」は、トナーの色毎に項目が分かれており、トナーの色毎にトナー付着量を設定することが可能となっている。
そして、給紙部132の各給紙トレイのそれぞれには、1つの用紙プロファイルが対応づけられて設定され、各給紙トレイに収容された用紙には、対応づけられた用紙プロファイルの画像形成条件に基づいて画像形成が行われるようになっている。
図3は用紙プロファイルの登録の手順を示すフローチャートである。操作表示部123においてユーザから用紙プロファイル登録の操作がなされた場合に、主制御部150は図3の手順で用紙プロファイル登録を行う。
図4のプロファイル一覧画面G1においてユーザが新規プロファイル作成を選択した場合には(図3中のステップS10でYES)、主制御部150は操作表示部123に新規の用紙プロファイル登録画面を表示する(図3中のステップS11)。
図4のプロファイル一覧画面G1では、D1〜D3の3つの用紙プロファイルは既に登録されており、ユーザがD4を選択することで、新規の用紙プロファイルが登録可能になる。この用紙プロファイル登録画面について図示は省略するが、上述した、「用紙種類」、「用紙名称」、「用紙サイズ」、「坪量」、…、「トナー付着量」、などの各種項目に対する設定が可能な画面である。
この図示省略された用紙プロファイル登録画面において「トナー付着量」の項目が選択された場合には(図3中のステップS12)、主制御部150は操作表示部123に付着量設定画面(図5のG10)を表示し、ユーザからトナー付着量増加についての指示を受け付ける(図3中のステップS13)。
また、図6のプロファイル一覧画面G2においてユーザが既存のプロファイルを選択した場合には(図3中のステップS10でNO)、主制御部150は操作表示部123に既存の用紙プロファイル登録(修正)画面を表示する(図3中のステップS15)。
図6のプロファイル一覧画面G2では、D1〜D3の3つの用紙プロファイルは既に登録されており、ユーザがD1〜D3のいずれかを選択することで、既存の用紙プロファイルの修正登録が可能になる。
この用紙プロファイル登録画面について図示は省略するが、上述した、「用紙種類」、「用紙名称」、「用紙サイズ」、「坪量」、…、「トナー付着量」、などの各種項目に対する設定が可能な画面である。
この図示省略された用紙プロファイル登録画面において「トナー付着量」の項目が選択された場合には(図3中のステップS16)、主制御部150は操作表示部123に付着量設定画面(図5のG10)を表示し、ユーザからトナー付着量増加についての指示を受け付ける(図3中のステップS17)。
トナー付着量設定画面G10は、用紙プロファイルの選択画面G1にて新規作成される用紙プロファイルや、後述するように選択された既存の用紙プロファイルのトナー付着量を設定するために使用される。具体的に、トナー付着量設定画面G10では、YMCKの各色の、用紙上の単位面積あたりのトナー重量(トナー付着量)を設定することができる。
用紙プロファイルの新規作成の操作がなされた場合(図3中のステップS10でYES)、トナー付着量増加を含めて各種の設定(図3中のステップS12,S13)が完了すると、主制御部150により新規の用紙プロファイルとして登録される(図3中のステップS14)。
また、用紙プロファイルの新規作成ではなく既存の選択がなされた場合(図3中のステップS10でNO)、トナー付着量増加を含めて各種の設定(図3中のステップS12,S13)が完了した時点で、選択された用紙プロファイルの設定変更がなければ(図3中のステップS18でNO)、処理を終了する(図3中のエンド)。また、選択された用紙プロファイルの設定変更があれば(図3中のステップS18でYES)、主制御部150により用紙プロファイルの内容が書き換えられる(図3中のステップS19)。
なお、この場合に、既存の用紙プロファイルの同名上書きでも良いが、図6中のD2とD3のように名称変更して登録でもよい。図6において、D2はProfile-002、D3はProfile-002(追い刷り)といったように、基本的に同じ用紙を用いる場合の用紙プロファイルでも、用紙の状況に応じてトナー付着量の状態を変えることが出来る。ここでは、既存の用紙プロファイル(D2)にトナー付着量増加を設定して、新たな用紙プロファイル(D3)として登録している。これは、一度プリントが実施された用紙について再度給紙してプリントを重ねる場合において、表面状態が変わっている用紙を通紙する場合などにも、適切な濃度を再現するためのトナー付着量増加である。
なお、以上の場合において、図5のトナー付着量設定画面G10には、YMCKの何れかを選択する色選択ボタン(図5中の「Y」、「M」、「C」、「K」)と、複数段階に濃度を設定可能な濃度設定ボタン(図5中の0〜3)と、が表示されている。
ユーザは、トナー付着量に関する設定をトナーの色ごとに設定可能である。即ち、色選択ボタンによりYMCKの何れかを選択した後、濃度設定ボタンにより選択した色に対して所望の濃度を設定することができる。ここでは、0が普通濃度であり、1,2,3と順にトナー付着量が増加する。なお、かかる濃度設定に応じて、各色の感光体の電位(感光体電位)、現像バイアス電圧等が変更され、トナー付着量が増量することとなる。
そして、このトナー付着量設定画面G10により行われたトナー付着量の設定は、上記した用紙プロファイル登録画面G1により選択された用紙プロファイルのトナー付着量の項目、又は後述する用紙プロファイル選択画面G2により登録された用紙プロファイルのトナー付着量の項目に反映されることとなる。
以下、用紙プロファイルにおけるトナー付着量制御について説明する。
用紙の上の単位面積あたりのトナー重量(以下、トナー付着量)が同じであっても、紙種などの影響により最終的に出力される画像の濃度は、異なることが知られている。
例えば、目が細かく表面が滑らかな塗工紙ではトナー濃度が濃くなり、表面が滑らかではなく目の粗いような紙ではトナー濃度が薄くなるように観察される。これは、定着工程での紙へのトナーの浸透度合いが大きく影響を及ぼしているためであり、同じ量のトナーを用紙に定着させた場合でも、トナー濃度の視認性が異なってくる。
その結果、プリント濃度基準を塗工紙のような濃度を出しやすい紙を基準に設計された機械で、目の粗いような紙を用いてプリントすると画像が薄くなる問題が生じる。わずかな濃度低下であれば、通常の濃度調整により濃度を濃くすることで問題を解決することが出来るが、調整の範囲を超えてしまう場合が生じる。
ただし、トナーの材質によっても、あるいは、トナーの材質と用紙との影響によっても、トナー濃度の変化量が異なること、さらに、ユーザーによってもトナー濃度不足の感じ方が異なる。このことから、このトナー付着量増加は、図5に示すように、色毎に選択することができ、かつトナー付着量増加のレベルも各色で複数段階で切り替えできることが望ましい。
ユーザーがプリント画像の濃度が足りないと感じたときに、図5の付着量設定画面により、トナー付着量増加を設定する。色毎にレベルを設定することが可能で、レベルに応じて、各色のドラム電位(帯電電圧)、現像バイアス電圧等を変更して付着量を増加する。
図5において、通常のトナー濃度である「0」からトナー付着量増加で「1」,「2」,「3」が設定された場合に、基準となる感光体電位、現像バイアス電圧を1.2倍,1.4倍,1.6倍に制御することで、トナーの付着性が高まってトナー付着量増加につながる。
また、トナー付着量増加設定については、用紙プロファイルと関連付けたトナー付着量制御とは別に、画像形成動作全体に一括して影響するようなトナー付着量制御を実行することも可能である。例えば、操作表示部123に表示されている画像形成についてのプロセス調整画面など(図示せず)において、最高濃度調整を開始する操作がユーザからなされた場合、主制御部150は最高濃度調整画面(図8参照)を操作表示部123に表示する(図7中のステップS21)。
この場合、図8に示すように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色について、画像形成装置100の状態や、ユーザの好みに応じて、最高濃度の調整を操作表示部123を介して主制御部150が受け付ける。そして、最高濃度の調整値が前回と異なる場合には(図7中のステップS22でYES)、主制御部150は、新たな設定値を新たな最高濃度値として不揮発メモリ159c等に記憶する(図7中のステップS23)。この図8に示す例では、各色について、−10〜0〜+10の20段階の設定が可能である。
この最高濃度調整の場合には、−10〜−1,+1〜+10の設定に応じて、最高濃度時のトナー付着量の目標値(最高濃度目標トナー付着量)を定め、最高濃度目標トナー付着量が実現されるように主制御部150の指示によりプリンタ部124が安定化補正処理を実行する。そして、最高濃度目標トナー付着量を実現できた際の感光体電位と現像バイアス電圧とが、最高濃度の設定値に対応して不揮発メモリ159cに記憶される。
〈(2):画像形成装置100の全体動作〉
以下、図9を参照して、画像形成装置100の全体動作を説明する。なお、ここでは、画像形成装置100の動作として、トナー付着量制御に関する部分を詳細に説明し、その他の一般的な動作説明については簡単に説明する。また、この実施形態では、トナー付着量制御においてトナー付着量増加が指定されている場合の画質劣化や生産性低下を防止するという課題に鑑みて、トナー付着量増加の場合について説明する。
ユーザが操作表示部123を操作して電源オンすることにより、この電源オン操作を検知した主制御部150は各部に初期化の指示を与え、これにより各部が初期動作を行う(図9中のステップS100)。
ここで、操作表示部123を介してユーザからプリント開始の指示がなされないアイドル状態において(図9中のステップS101でNO)、主制御部150は、トナー帯供給制御実行タイミングであるか否かを判断し(図9中のステップS102)、トナー帯供給制御実行タイミングであれば(図9中のステップS102でYES)、トナー帯Tb(図10参照)を形成するようにトナー帯供給制御を実行する(図9中のステップS103)。なお、トナー帯供給制御実行タイミングの判断とトナー帯供給制御とについては、以下のステップS112,S113において、併せて説明する。
ここで、プリント開始の指示が操作表示部123を介してユーザからなされると(図9中のステップS101でYES)、主制御部150は、プリントを実行するジョブで指定されている用紙に対応する給紙トレイを確定する(図9中のステップS104)。
そして、主制御部150は、給紙トレイに対応付けられている用紙プロファイルを読み出し、この用紙プロファイルから用紙情報や画像形成条件など各種の設定を取り込む(図9中のステップS105)。
ここで、主制御部150は、以上の用紙情報や画像形成条件を参照して、トナー付着量が基準値になるよう、基準となる感光体電位(基準感光体電位)、基準となる現像バイアス電圧(基準バイアス電圧)とを算出する(図9中のステップS106)。なお、この段階では、トナー付着量制御を考慮しない状態、すなわち、トナー付着量が基準値における基準感光体電位と基準バイアス電圧とを算出する。
主制御部150は、画像形成に用いられる各色のある1色を対象色として着目し、この対象色についてトナー付着量増加の設定がなされているかを確認する(図9中のステップS107)。ここで、トナー付着量増加の設定とは、上述した図3〜図6における用紙プロファイルに含まれる各色のトナー付着量制御の設定、あるいは、上述した図7〜図8における画像形成全般に対しての最高濃度調整の設定、である。
対象色についてトナー付着量増加の設定がなされている場合には(図9中のステップS107でYES)、主制御部150は、トナー付着量が増加するように、対象色の感光体電位と現像バイアス電圧を基準の値より変更する(図9中のステップS108)。なお、用紙プロファイルに対応したトナー付着量制御と最高濃度調整との両方が設定されている場合には、主制御部150は、両方の状態を満足するように、対象色の感光体電位と現像バイアス電圧を基準の値より変更する(図9中のステップS108)。また、一般的な電子写真方式の画像形成装置の場合には、感光体電位と現像バイアス電圧を基準の値よりアップさせる。
対象色についてトナー付着量増加の設定がなされていない場合には(図9中のステップS107でNO)、主制御部150は、対象色の感光体電位と現像バイアス電圧を上述した基準値(基準感光体電位と基準バイアス電圧)に設定する(図9中のステップS109)。
そして、以上のトナー付着量増加設定の確認と、トナー付着量に応じた感光体電位と基準バイアス電圧の設定とを、画像形成を行う全ての色について実行する(図9中のステップS107、S108、S109、S110、S111)。
ここで、主制御部150は、トナー帯供給制御実行タイミングであるか否かを判断する(図9中のステップS112)。なお、図9に示すフローチャートでは、1枚の画像の形成(ページプリント、図9中のステップS114)の前にトナー帯供給制御実行タイミングであるかの判断を行っているが、トナー帯供給制御実行タイミング判断は、ページプリント前、ページプリント中、ページプリント後のいずれであっても良い。
このトナー帯供給制御実行タイミング判断としては、中間転写ベルト148の走行距離(速度×時間)が予め定められた所定距離に達したか否かに基づいて行われる。すなわち、中間転写ベルト148上に残留しているトナーをクリーニングブレード148CLblによって掻き落として除去しているが、中間転写ベルト148とクリーニングブレード148CLblとの接触が上記所定距離を超えると摩擦が増大してくる。そして、クリーニングブレード148CLblが中間転写ベルト148に対して捲れた状態になり、中間転写ベルト148上の残留トナーをクリーニングブレード148CLblが除去できなくなる可能性がある。
ここで、トナー帯供給制御実行タイミングであれば(図9中のステップS112でYES)、図10に示されるトナー帯Tbを形成するように後述するトナー帯供給制御を実行する(図9中のステップS113)。
すなわち、トナー帯供給制御実行タイミングとして、中間転写ベルト148の走行距離が所定距離になる毎に、一定量のトナー帯(図10中のTb)を中間転写ベルト148上に意図的に形成し、クリーニング装置148CLに供給することで、トナーに含まれる潤滑成分の効果によってクリーニングブレード148CLblの捲れが予防されることになる。
なお、トナー帯供給制御の実行タイミング判定基準としては、中間転写ベルト148の走行距離のほかに、用紙サイズとプリント枚数の乗算結果でもよく、また、これらに温度や湿度などの環境条件を加味するようにしても良い。
なお、図10に示されるトナー帯Tbは、中間転写ベルト148の搬送方向を基準として、搬送方向に直行する長さはL、搬送方向の帯幅はW、高さはh0である。Lはクリーニングブレード148CLblの長さと等しく定められる。また、高さh0としては、クリーニングブレード148CLblが除去できる能力に応じて定められている。また、帯幅Wとしては、所定距離毎に、十分な潤滑性能が得られるトナー量になるように、高さh0との関係で定められる。
一方、トナー帯供給制御実行タイミングでなければ(図9中のステップS112でNO)、トナー帯供給制御を実行しない。
そして、プリンタ部124が1ページの画像を形成するように主制御部150が制御し(図9中のステップS114)、以上の処理(図9中のステップS104〜S114)をジョブの最終ページまで繰り返し実行する(図9中のステップS115)。
また、主制御部150は、操作表示部123において電源オフを検知するまで(図9中のステップS116でNO)、以上の処理(図9中のステップS102〜S114)をジョブの最終ページまで繰り返し実行し(図9中のステップS115)、操作表示部123で電源オフを検知した場合には(図9中のステップS116でYES)停止処理として各部を停止状態になるようにしてから各部への電源供給を遮断する(図9中のステップS117、エンド)。
〈(3):トナー帯供給制御〉
以下、図9ステップ113に示されるトナー帯供給制御について詳細に説明する。
このトナー帯供給制御(図9中のステップS113)として、主制御部150は、どのようなトナー帯を供給するかを決定するトナー帯供給決定制御(図11中のステップS201)と、二次転写出力や露光強度を制御しつつトナー帯を供給するトナー帯供給実行制御(図11中のステップS202)とを、実行するように各部を制御する。
ここで、トナー帯供給決定制御(図11中のステップS201)として、主制御部150は、最高濃度調整(図7、図8参照)の各色の調整値を取得し(図12中のステップS301)、用紙プロファイルに対応したトナー付着量制御の調整値を取得する(図12中のステップS302)。
なお、ここでのトナー付着量制御における用紙プロファイルとは、プリントジョブの実行中のトナー帯供給制御(図9中のステップS113)であれば、そのジョブで指定されている用紙に対応する給紙トレイに対応付けられている用紙プロファイルである(図9中のステップS105参照)。また、アイドル状態でのトナー帯供給制御(図9中のステップS103)であれば、用紙プロファイルに対応したトナー付着量制御の調整値は「0」とする。
主制御部150は、以上の最高濃度調整の調整値と用紙プロファイル対応トナー帯供給制御の調整値との合計による、トナー帯供給制御で使用される色のトナーについてのトナー付着量を求める(図12中のステップS303)。なお、ここでは、単位面積あたりのトナー付着量、あるいは、トナー付着時の高さ(図10のh0参照)を求める。
トナー帯供給制御が単色のトナー帯でなされる場合にはその色のトナーについて上述した調整値を参照してトナー付着量を求め、トナー帯供給制御が複数色混合のトナー帯でなされる場合には用いられる各色の調整値を参照してトナー付着量を求める。
そして、主制御部150は、求められたトナー付着量、あるいはトナー付着時の高さが、クリーニング装置148CLのクリーニングブレード148CLblのトナー除去能力を超えているか否かを判断する(図12中のステップS304)。
なお、クリーニングブレード148CLblのトナー除去能力としては、単位面積あたりのトナー付着量、あるいは、トナー付着時の高さのいずれかで表される。また、このトナー除去能力は、使用されるクリーニングブレード148CLbl、あるいは、そのクリーニングブレード148CLblの取り付け状態(角度や圧着圧力)などにより定まるものであり、不揮発メモリ159cに記憶されている。また、クリーニングブレード148CLbl当初と異なる能力の部品に交換される場合には、新たなトナー除去能力が不揮発メモリ159cに記憶されることが望ましい。
求められたトナー付着量、あるいはトナー付着時の高さが、クリーニング装置148CLのクリーニングブレード148CLblのトナー除去能力を超えていなければ(図12中のステップS304でNO)、主制御部150は、実行するトナー帯供給制御を通常トナー帯供給制御に決定する(図12中のステップS305)。ここで、通常トナー帯供給制御とは、中間転写ベルト148上にあらかじめ定められた通常状態のトナー帯Tbを形成してクリーニング装置148CLのクリーニングブレード148CLblに供給する制御である。
一方、求められたトナー付着量、あるいはトナー付着時の高さが、クリーニング装置148CLのクリーニングブレード148CLblのトナー除去能力を超えていれば(図12中のステップS304でYES)、主制御部150は、実行するトナー帯供給制御を低減トナー帯供給制御に決定する(図12中のステップS306)。ここで、低減トナー帯供給制御とは、上述したトナー付着量制御によって中間転写ベルト148上に形成するトナー帯Tb’が通常よりもトナー付着量が増加してしまう状態(図14(a)参照)において該トナー付着量制御の制御状態を変更せずに、後述する別の制御手段を用いてトナー帯のトナー量を減少(図14(b)参照)させる制御を意味する。
以上のようにして、トナー付着量制御とクリーニングブレード148CLblのトナー除去能力とに基づいて決定されるトナー帯供給決定制御の内容(通常トナー帯供給制御、低減トナー帯供給制御のいずれか)を、主制御部150は不揮発メモリ159c又はRAM159b等に記憶する(図12中のステップS307)。なお、ここでは、トナー付着量とトナー除去能力との比較を行って制御内容を決定しているが、トナー付着量が通常値よりも多いかといった判断基準で制御内容を決定しても良い。
引き続き、主制御部150は、トナー帯供給制御(図9中のステップS113)として、二次転写出力や露光強度を制御しつつトナー帯を供給するトナー帯供給実行制御(図11中のステップS202)を実行するように各部を制御する。
ここで、トナー帯供給決定制御(図11中のステップS202)として、主制御部150は、トナー帯を中間転写ベルト148上に形成するタイミングでなければ(図11中のステップS400でNO)待機し、トナー帯を中間転写ベルト148上に実際に形成するタイミングになれば(図11中のステップS400でYES)、以下の処理に進む。そして、主制御部150は、トナー帯決定制御(図12参照)で決定されたトナー帯供給制御が、通常トナー帯供給制御であるか低減トナー帯供給制御であるかを判断する(図13中のステップS401)。
トナー帯決定制御(図12参照)で決定されたトナー帯供給制御が、低減トナー帯供給制御でなければ(図13中のステップS401でNO)、主制御部150は、通常トナー帯供給制御として図10に示されるトナー帯Tbを中間転写ベルト148上に形成する(図13中のステップS402、S405)。
トナー帯決定制御(図12参照)で決定されたトナー帯供給制御が、低減トナー帯供給制御であれば(図13中のステップS401でYES)、主制御部150は、低減トナー帯供給制御として(図13中のステップS403)、転写部147をON状態にするか、あるいは、トナー帯供給制御でトナー帯を形成する際の露光ユニット145の露光強度を低減させるように制御し(図13中のステップS404)、トナー付着量制御によって通常よりもトナー付着量が増加してしまうトナー帯Tb’(図14(a)参照)が形成されてしまう状況において、該トナー付着量制御の制御状態を変更せずに、トナー付着量が低減された状態のトナー帯Tb”(図14(b))を中間転写ベルト148上に形成する(図13中のステップS405)。
この場合、トナー付着量制御によって通常よりもトナー付着量が増加してしまうトナー帯Tb’(図14(a)の高さh0’参照)が形成されてしまう状況において、転写部147をON状態にすることで、トナー帯Tb’のトナーの一部が転写部147側に転写されるため、トナー付着量が低減された状態のトナー帯Tb”(図14(b)の高さh0参照)が中間転写ベルト148上に形成される。なお、転写部147の転写ローラに付着したトナーは、クリーニング装置147CLのクリーニングブレード147CLblにより除去される。
また、同様にして、トナー付着量制御によって通常よりもトナー付着量が増加してしまうトナー帯Tb’(図14(a)の高さh0’参照)が形成されてしまう状況において、露光ユニット145の露光強度を低減させることで、トナー付着量が低減された状態のトナー帯Tb”(図14(b)の高さh0参照)が中間転写ベルト148上に形成される。
以上の図14(b)のように、トナー帯供給制御において中間転写ベルト148上に形成されるトナー帯Tb”で、図10のトナー帯Tbの高さh0と等しくなるため、クリーニングブレード148CLblの除去能力を超えることはなく、画質の劣化を生じさせずに、トナーに含まれる潤滑成分の効果によってクリーニングブレード148CLblの捲れが予防されることになる。
なお、転写部147については、トナー帯Tb’をトナー帯Tb”とするように、すなわち、トナー帯Tb’の一部のトナーを転写部147側に転写させるような転写電流となるように、主制御部150が制御する。すなわち、主制御部150は、通常の画像形成の際にトナー像を用紙側に転写させる際の転写電流よりも、弱い転写電流となるようにトナー帯供給制御時において制御する。
また、転写部147側にトナーを転写させると、転写部147内に廃トナーが蓄積されていくため、転写部147を用いた低減トナー帯供給制御と露光強度低下による低減トナー帯供給制御とを併用する、あるいは、転写部147を用いた低減トナー帯供給制御を所定回数実行した後は露光強度低下による低減トナー帯供給制御に切り替える、といった制御も有効である。
さらに、高さh0’のトナー帯Tb’を、高さh0のトナー帯Tb”とするだけでなく、クリーニングブレード148CLblの除去能力に応じて適切な高さのトナー帯となるように、転写部147の転写電流や露光ユニット145の露光強度を調整することも望ましい。この場合、クリーニングブレード148CLblの除去能力の範囲内でトナー帯の高さをできるだけ高くすると、潤滑性が高まって、クリーニングブレード148CLblの捲れが最大限予防される。
また、以上の説明では、図9中のステップS112でトナー帯供給制御実行タイミングか否かを判断していたが、図13のトナー帯供給実行制御の開始時においてトナー帯供給制御実行タイミングか否かを判断して実行するようにしてもよい。
なお、帯幅Wを減らすことでもトナー量は減ることになるが、この場合には面積は変わるものの、単位面積あたりの付着量は変化せず、クリーニングブレード148CLblの除去能力を超えたトナー帯による悪影響を解消できない。よって、本実施形態ではトナー帯の高さを適切な値に制御することを特徴とする。
〈本実施形態により得られる効果の検証〉
以下、本実施形態により得られる効果を具体的に検証する。
図15は、比較例として、トナー付着量制御を伴った状態で画像形成を実行している際に、トナー付着量制御を解除して適切なトナー帯供給制御を実行し、トナー帯供給制御を完了した時点でトナー付着量制御を再開する様子を示すタイムチャートである。
静電潜像像担持体としての感光体141に対して現像部143から現像剤中のキャリアが飛散することを防止するため、トナー付着量増加制御状態から通常状態に戻す際に、感光体の表面電位(帯電電位)を切り替えた(図15中の(a)(1))後に、現像バイアス電圧を切り替える(図15中の(b)(2))といった時間差での処理を行う(図15中の前調整時間)。また、トナー付着量を通常状態からトナー付着量増加制御状態に戻す際には、同様にキャリア飛散を防止するため、現像バイアス電圧を切り替え(図15中の(b)(3))た後に、感光体141の表面電位を切り替える(図15中の(a)(4))といった時間差での処理を行う(図15中の後調整時間)。
このように、トナー付着量制御が増量状態になっている状態において、トナー付着量制御を一時的に解除してトナー帯供給制御を実行し(図15中の(c))、トナー帯供給制御が完了した後にトナー帯供給制御を再開する実験では、
調整時間
=前調整時間+後調整時間
=(1)+(2)+(3)+(4)
=163ms+70ms+70ms+140ms
=443ms
となった。
一方、以上の場合と同様なトナー付着量制御が増量状態になっている状態において、本実施形態によってトナー帯供給制御を実行する実験では、図16に示すように、トナー付着量制御によるトナー付着量増加の制御状態を変更せずに、別の制御手段として二次転写出力を変更する(図16中の(a)(5)、(6))ことで、トナー帯供給制御(図16中の(b))のトナー帯のトナー量を減少させる制御を実行するため、
調整時間
=前調整時間+後調整時間
=(5)+(6)
=50ms+50ms
=100ms
となる。
よって、図15に示す比較例に比べると、図16の本実施形態では、トナー付着量制御によるトナー付着量増加の制御状態を変更せずに、別の制御手段として二次転写出力を変更してトナー帯供給制御のトナー量を減少させる制御を実行するため、極めて短い時間で調整が完了することになる。この結果、トナー帯供給制御の際に多くの調整時間をとる必要がなくなるため、画像形成の生産性を低下させることなく、像担持体表面に残留トナーを生じさせずにトナー帯供給制御を実行することが可能になる。
また、本実施形態の他の制御例として、トナー帯供給制御時にトナー帯を形成するための露光ユニットにおける露光強度を低下させることも可能であり、この場合も極めて短い時間で調整が完了することになる。この結果、トナー帯供給制御の際に多くの調整時間をとる必要がなくなるため、画像形成の生産性を低下させることなく、像担持体表面に残留トナーを生じさせずにトナー帯供給制御を実行することが可能になる。
〈その他の実施形態〉
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、以上の実施形態の説明では、トナー帯供給制御を中間転写ベルト148におけるクリーニング装置148CLのクリーニングブレード148CLblに対するものとしていたが、これに限定されるものではない。例えば、感光体141Y〜144Kにおけるクリーニング装置144のクリーニングブレードに対する制御に対しても、以上の実施形態を適用することが可能である。この場合も、トナー付着量を増加させている場合には、転写ローラ146Y〜146Kを用いた低減トナー帯供給制御や、露光ユニット145Y〜145Kにおける露光強度低下を伴う低減トナー帯供給制御を実行することで、良好な結果が得られる。
また、以上の実施形態の説明では、像担持体として感光体141Y〜144Kと中間転写ベルト148とを有する画像形成装置を具体例にしたがこれに限定されることなく、中間転写ベルトを有しない画像形成装置の感光体に接するクリーニング装置に対するトナー帯供給制御にも適用することが可能である。
また、以上の実施形態の説明でクリーニングブレード148CLblの捲れ防止のためにトナー帯を形成していたが、このトナー帯としては図10や図14,15に示される一列の帯に限られるものではない。例えば、各種形状のドットやパッチが多数存在していて、全体として帯状になっているドット群であっても、上述したトナー帯に含まれるものとする。