JP6110061B2 - 放射性物質で汚染された土壌、汚泥又は焼却灰の処分方法 - Google Patents
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Description
一方、広い範囲に拡散された放射性物質は、雨水や下水に流されて下水処理場にあつまり、下水処理後の汚泥から高濃度の放射性物質が検出される事態となっている。また、ゴミの焼却場でも多くのゴミを焼却した後に残る焼却灰は放射性物質が濃縮され、高い濃度の放射線を放出するものとなっている。
このような放射性物質を含む土壌や廃棄物の処理については、長期間にわたって放射線を放出することを考慮し、周辺環境に及ぼす影響が無いように処分される必要がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、多量に存在する放射性物質で汚染された土壌、放射性廃棄物を、放射線を遮蔽した状態にして処分するとともに、これを利用して社会資産を構築することを目的とするものである。
なお、本発明における土壌には、放射性物質で汚染された田畑、森林、道路、グランド、宅地等における地表面付近の土壌の他、津波や地震で破壊された建物や構造物の材料等、いわゆる瓦礫を粉砕したもの等も含むものである。
図1は、本発明の一実施形態である方法の概略を示すフロー図である。
この方法では、放射性物質で汚染された土壌、放射性物質を含む下水処理後の汚泥もしくは放射性物質を含むゴミ焼却灰をブロック状に固化する(ST1〜ST5)。そして、形成された汚染土成型ブロック1は、図2に示すように放射線遮蔽シート2で被覆し(ST6)、周辺で計測される放射線量を低減した後、最終処分として提体や盛土に埋め込むものである(ST12)。
仮置場や中間処理施設において仮に貯蔵されている汚染土壌や汚泥等の放射性廃棄物(ST1)を加工場に搬入して粒度を調整する(ST2)。原子力発電所から放出された放射性物質で汚染された地表面付近の土壌や下水の処理汚泥、焼却灰等は、粒径がほぼ80mm以下となっており、これらはそのまま固化処理を行うことができる。この他、汚染土には、地震や津波で破壊された建物や構造物の残骸を含むものであり、木材等の可燃物、鉄骨等の再利用が可能なものを除いて、コンクリート片等をクラッシャー等で破砕し、粒
径を80mm以下とする。
なお、上記汚染土成型ブロック1は、汚染土が硬化した時の強度が、例えば500N/cm2から1000N/cm2程度となるようにセメント又はセメント系の固化材を添加するものとする。また、汚染土成型ブロック1の形状は直方体とし、大きさは例えば1m×1m×6mとすることができる。寸法は、この値に限定されるものではないが、水平方向の一辺の長さが水平方向の他の辺の2倍よりおおきくして、積層して配列するときに、井桁状に積み上げることができる寸法とするのが望ましい。
この放射線遮蔽シート2は、鉛をシート状に形成した遮蔽層11と、この遮蔽層11の両面に積層される緩衝層12と、緩衝層12の一方を被覆する表面被覆層13と、緩衝層12の他方の表面に積層される剥離紙14とからなるものである。
この他、遮蔽層としては、比重の大きい金属としてタングステン等を採用することもできる。また、要求される放射線の遮蔽性能によっては、アルミニウム 鋼等の金属を用いることもできる。
なお、上記緩衝層12は、厚さを調整することができるとともに、不織布等を含まずにゴム化アスファルト層のみで使用することもできるし、不織布、織布、金属メッシュ等をゴム化アスファルトに埋め込むように形成したものを用いることもできる。
このような放射線遮蔽シート2は、ロール状に巻き回して又は積層して貯蔵及び搬送することができ、使用する直前に剥離紙14をはがして、ゴム化アスファルトが備える接着力を利用することができる。
上記放射線遮蔽シート2は、汚染土成型ブロック1が形成された現場において対応する大きさに切断し、剥離紙14を剥がして汚染土成型ブロック1の表面に押し付ける。ゴム化アスファルトからなる緩衝層12は粘着力を備えており、放射線遮蔽シート2が汚染土成型ブロック1に接着される。貼り付ける放射線遮蔽シート2の端縁付近は隣り合うように貼り付けられる放射線遮蔽シート2と互いに重ねあわせる。このように放射線遮蔽シート2を汚染土成型ブロック1の表面の全てに隙間なく貼り付けることにより、汚染土成型ブロック1に含まれる放射性物質からの放射線を遮蔽することができる。
放射線を計測して(ST7)、その値が予め規定されている値以下の場合には、放出される放射線量が低いものとして、B集積所に一旦貯蔵する(ST10)。一方、測定された放射線量が規定値を超える場合には、さらに放射線遮蔽シートで汚染土成型ブロックを被覆する。そして、再度放射線量を測定し(ST8)、規定されている値以下となったときにはB集積所に貯蔵する(ST10)。測定値が規定された値を超えるときには、放出される放射線量が高いものとして、A集積所に貯蔵する(ST9)。
この提体31は、防潮堤とするものであり、所定の間隔で構築された2つの地下連続壁体32a,32bの間に形成するもので、それぞれの地下連続壁体32a,32bは海岸線に沿った方向に連続するように構築する。地下連続壁体32は、鋼矢板又は鋼管矢板を打ち込むことによって形成するものであってもよいし、泥水等で壁面を安定させながら穴を掘削し、鉄筋又はH型鋼を配置して、これらを埋め込むようにコンクリートを打設して形成するものであってもよい。
本実施の形態では、提体31の海側の地下連続壁体32a及び陸側の地下連続壁体32bのそれぞれが、鋼管矢板を2列に打ち込んで形成されており、提体を形成する領域を2重に囲むものとしている。
なお、地盤改良によって形成した不透水層34の上に敷設する上記放射線遮蔽シート35は、図4に示す放射線遮蔽シート2と同様にシート状に引き延ばした鉛の両面にゴム化アスファルトからなる緩衝層を形成し、されに表面被覆層を設けたものを用いることができる。ここで用いる放射線遮蔽シート35は、遮蔽層の両面に張り合わされた緩衝層の双方を表面被覆層で覆うものが望ましい。
また、防水シート36はゴム系の材料で形成されたものを用いることができ、ゴミ処分場等において汚染水が地下に浸透するのを防ぐために用いられるシート等を採用することができる。
なお、複数層に汚染土成型ブロック1又は汚染土収容ブロック24を積み上げるときに、一層毎に放射線遮蔽シートで層全体を被覆するのが望ましい。
配列された汚染土成型ブロック1又は汚染土収容ブロック24の間隙には、積層されたブロックの最下層から最上層に至り、先端が提体の表面に達する管部材を配置して点検孔41を設ける。この管部材は、直径が100mm程度で周面がメッシュ状となったもの又は多数の小孔が設けられたものとする。点検孔41は、提体1の完成後の長期間にわたって、放射線の濃度の観測を可能とするものである。また、ブロックを被覆している放射線遮蔽シート2の破損等によって放射線が漏洩した時には、この点検孔41を介してセメントグラウトを注入することもできる。
なお、点検孔41は複数を設けるのが望ましく、例えば50m2〜100m2に一ヶ所を設けることがよい。
この提体51は、図6に示す提体31と同様に、2列の地下連続壁体52a,52bを形成し、これらの間に構築するものである。この提体51では、2つの地下連続壁体52a,52b間を掘削し、掘削した後の底部を地盤改良して不透水層53を形成する。不透水層53の形成は、図6に示す提体31と同様に行うことができる。不透水層53の上には、放射線遮蔽シート54及びゴム系の防水シート55を敷設し、その上にワイヤ56を敷き並べてメッシュ状とする。ワイヤ56は、地下連続壁体52と隣接する位置から連続して該地下連続壁体52の壁面に沿って上方へ引き上げ、端部は地下連続壁体52上に支持される擁壁57に連結する。ワイヤ56の擁壁57への連結は、図6に示す提体と同様に行うことができる。
また、配列された汚染土成型ブロック1又は汚染土収容ブロック24の間隙には、積層されたブロックの最下層から最上層に至り、先端が提体の表面に達する管部材を点検孔59として配置する。
このような提体51では、放射性物質で汚染された土壌、汚泥、焼却灰等を含む汚染土成型ブロック1又は汚染土収容ブロック24を、地下連続壁体52と、底部の地盤改良によって形成された不透水層53と、天端コンクリート60とで囲まれた内側に収容して放射線を遮蔽することができる。また、この提体51では、積層されたブロック群の重量の一部がワイヤ56によって地下連続壁体52の頂部で支持されており、地震等の大きな水平力が作用したときに、積層されたブロック群が両側に形成されている地下連続壁体52間で揺動することが許容される。したがって、提体に作用する水平力が緩和され、地震時においても安定した強固な提体51となる。そして、このような提体は、河川部の堤防、防潮堤等として長く利用することが可能となる。
例えば、図8に示すように地盤61上に防水シート62を敷設し、この上に汚染土成型ブロック1又は汚染土収容ブロック24を配列して、これらのブロック群を埋め込むように盛土63を施して提体64を形成することができる。また、図9に示すように、対向して形成された2つの地下連続壁体71又は所定の範囲を囲むように形成された地下連続壁体の内側を掘削し、掘削した範囲内に汚染土成型ブロック1又は汚染土収容ブロック24を配列し、これを掘削土72で埋め込んで提体73を形成することもできる。
なお、図9中に示す符号73は不透水層を、符号74は地下連続壁体71上に支持される擁壁を示すものである。
例えば、2つの地下連続壁体間に設ける不透水層は、地盤改良によって形成されるものに限定されず、コンクリートの打設によって形成されるもの、アスファルト層の敷設によって形成されるもの、防水シートによって遮水するもの等を採用することもできる。
また、ワイヤ37,56を擁壁38,57に連結する構造も、ワイヤの引張力が擁壁に伝達されるように連結されるものであれば、上記以外の構造を適宜に採用することができる。
21:コンクリートの函体, 22:汚染土, 23:コンクリートの蓋, 24:汚染
土収容ブロック, 31:提体, 32:地下連続壁体, 33:地下連続壁体間の地盤, 34:不透水層, 35:放射線遮蔽シート, 36:防水シート, 37:ワイヤ, 38:擁壁, 39:サドル, 40:連結ワイヤ, 41:点検孔, 42:放射性物質で汚染されていない土, 43:法面を保護するコンクリート層,
51:提体, 52:地下連続壁体, 53:不透水層, 54:放射線遮蔽シート,5
5:防水シート, ワイヤ:56, 57:擁壁, 58:掘削土, 59:点検孔,
60:天端コンクリート、 61:地盤, 62:防水シート, 63:盛土, 64:提体, 71:地下連続壁体, 72:掘削土, 73:提体, 74:不透水層, 75:擁壁
Claims (2)
- 放射性物質で汚染された土壌、放射性物質を含む下水処理後の汚泥もしくは放射性物質を含むゴミ焼却灰に固化材を添加してブロック状に成形した汚染土成型ブロック、又は前記土壌、汚泥もしくは焼却灰をコンクリート函体に収容して密閉した汚染土収容ブロックを形成し、
前記汚染土成型ブロック又は前記汚染土収容ブロックの外周面を放射線の遮蔽性を有する金属層を含む放射線遮蔽シートで被覆したものを地盤上に複数を配列し、
複数層を積み上げた後に土を被せて転圧し、提体又は盛土を形成するものとし、
前記放射線遮蔽シートは、放射線の遮蔽性を有する金属を板状又はシート状にした遮蔽層と、柔軟なアスファルト系材料を前記遮蔽層の両面に積層した緩衝層と、を有するものを用い、
該放射線遮蔽シートを前記汚染土成型ブロック又は前記汚染土収容ブロックに押し付け、前記アスファルト系材料が有する粘着力によって前記汚染土成型ブロック又は前記汚染土収容ブロックの表面に貼り付けて被覆することを特徴とする放射性物質で汚染された土壌、汚泥又は焼却灰の処分方法。 - 放射性物質で汚染された土壌、放射性物質を含む下水処理後の汚泥もしくは放射性物質を含むゴミ焼却灰に固化材を添加してブロック状に成形した汚染土成型ブロック、又は前記土壌、汚泥もしくは焼却灰をコンクリート函体に収容して密閉した汚染土収容ブロックを形成し、
前記汚染土成型ブロック又は前記汚染土収容ブロックの外周面を放射線の遮蔽性を有する金属層を含む放射線遮蔽シートで被覆し、
所定の範囲の土地を囲んで平面視が閉じた形状となるように地下連続壁体を形成し、又は所定の範囲の土地の両側で対向するように地下連続壁体を形成し、
平面視が閉じた形状となった前記地下連続壁体の内側又は対向する前記地下連続壁体の間に、複数のワイヤを敷き並べ、
該ワイヤの両端部は前記地下連続壁体の上部に連結し、
該ワイヤの上に複数の前記汚染土成型ブロック又は汚染土収容ブロックを配列し、複数層を積み上げ、
複数層を積み上げた後に土を被せて転圧し、提体又は盛土を形成することを特徴とする放射性物質で汚染された土壌、汚泥又は焼却灰の処分方法。
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