JP6109031B2 - デニム調織物 - Google Patents

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Description

本発明はデニム調織物に関する。
ジーンズやデニムジャケット等に用いられるデニム織物は、一般にインジゴ染料でロープ染色して得られた綿の太番手紡績糸を経糸に用いた先染織物である。綿に代えて合繊繊維を用いた織物も提案されているが、一般的に利用されているとはいえない。なぜなら、ポリエステル、ポリアミドなどの一般的な合成繊維は、強さやイージーケア性にすぐれているが、綿と比べて吸湿性に劣るため、生地の厚いデニムにすると蒸れるなど、着用快適性の点で問題を有するためである。
合成繊維を用いたときのこのような問題を克服するために、繊維素材にナイロンを選定し、その断面を中空として綿並の吸水性を発揮させたナイロンスパン織物が提案されている(特許文献1)。しかし、通常のポリアミド繊維は溶融紡糸により製造されるため、高中空構造になりにくく、また、ポリマー自体のモジュラスが低いことから、紡績、織布、染色など各工程を通過する際にかかる様々な圧力で中空構造がつぶれてしまうという問題点がある。
中空部を維持することで、吸水性を綿並みに維持し、かつ軽量感や保温性も狙ったナイロンデニムも提案されている(特許文献2参照)。これは、芯部にポリエステルを配置するとともに鞘部にポリアミドを配置した芯鞘複合の短繊維にて構成された紡績糸を使用し、製織後にアルカリ処理によりエステル部分を溶解溶出して綿の断面のように中空軽量とするものである。ナイロン紡績糸とすることで保温性の向上効果にもつながるという利点がある。しかし、アルカリ溶解という後工程は環境負荷が大きく、また特許文献2のナイロンデニムでは伸縮性に関する対応がなされていない。
特にレディースのジーパンでは、細くかつ股上の浅い、下半身に密着したデザインの流行により、座位時のパンツの伸縮が望まれている。つまり、ストレッチデニムへの要求が強まっている。これに対応するために、スパンデックス等を混用したストレッチデニム(特許文献3)や、スパンデックス以外でもポリエステル捲縮糸を用いたもの(特許文献4)が提案されている。
しかしながら、スパンデックス等を混用したストレッチデニム、すなわち綿とポリウレタン複合糸を緯糸に使用したデニムでは、伸長性はあるものの回復性に劣るためにひざ抜けが発生しやすく、しかもデニム自体が重量のある織物であるだけに速乾性に劣り、したがって濡れたときに乾き難いといった問題がある。また、特許文献4に記載のようにポリエステル捲縮糸を使用した場合は、吸湿性の低下やポリエステル独特のドライ感から、風合い面では従来の綿デニムよりも劣るといった問題点がある。
特開2002−302844号公報 特開2004−316003号公報 特表平10−508913号公報 特開2002−155449号公報
本発明は、綿デニムに要求されるのと同等の吸水性および吸湿性を備えたうえで、さらに、吸水速乾性、接触涼感性、緯方向の伸長回復性に優れ、軽量感があり、着用時の風合いにも優れたデニム調織物を提供することを技術的な課題とする。
本発明者らは、ポリアミド系吸放湿性繊維の捲縮加工糸とポリウレタン糸との複合糸を緯糸に使用することで、綿素材と同等の吸水性、吸湿性を達成したうえで、伸びだけでなく戻り性も良好であり、着用時の接触涼感性や風合いにも優れるとともに、経糸に配する綿スラブ糸に綿番手8/1より細番手を使用した生地設計とすることで、従来にない軽量感と速乾性を合わせもったデニム調織物とすることができることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち本発明のデニム調織物は、経糸が綿番手8/1よりも細手の綿スラブ糸であり、緯糸がポリアミド系吸放湿性繊維を用いた捲縮加工糸とポリウレタン糸との複合糸であり、目付が300g/m以下であることを特徴とする。
本発明のデニム調織物によると、経糸を綿スラブ糸にて構成するとともに、緯糸度をポリアミド系吸放湿性繊維を含む複合糸にて構成したため、綿デニムと同等の吸水性、吸湿性を達成することができる。また300g/m以下の低目付であることから吸水速乾性を達成することができ、ポリアミド系吸放湿性繊維によって接触涼感性を達成することができる。緯糸をポリアミド系吸放湿性繊維を用いた捲縮加工糸とポリウレタン糸との複合糸にて構成したため、緯方向の伸長回復性に優れ、さらに300g/m以下の低目付であることにもとづく軽量感と、ポリアミド系吸放湿性繊維を構成するポリアミド特有の着用時のソフトな風合いにも優れたデニム調織物を提供することができる。
本発明のデニム調織物は、通常のデニムと同等の実用性を維持しながら、吸水性、吸湿性を阻害することなく、吸水速乾性、接触涼感性、緯方向の伸長回復性、軽量性、風合いに優れたものである。詳細には、本発明のデニム調織物は、ポリアミド系吸放湿性繊維を用いた捲縮加工糸と、ポリウレタン糸との複合糸を緯糸に使用し、経糸には綿番手8/1よりも細番手の綿スラブ糸を使用した生地設計としたものである。これにより、通常の綿デニムと同等の吸水性、吸湿性を阻害することなく、伸びだけでなく戻り性すなわち伸びからの回復性も良好であり、着用時の接触涼感性に優れるとともに、単位面積あたりの織物の目付けが軽く、風合いも良好なデニム調織物を実現することができる。
本発明のデニム調織物は、その単位面積あたりの質量(目付)が300g/m以下であることが必要であり、また着用時の清涼感を示す接触涼感性Qmaxが0.20w/cm以上であることが好ましい。
従来から知られているデニムは、一般に高密度、太番手で織物に形成されることから、必然的に高質量となり、500g/m前後の目付が普通である。しかし、かかる高質量にもとづく重量感が着用快適性を著しく損ねる結果を招いている現状がある。また、重量感を有するものであるため、すなわち高目付であるため、洗濯後に乾き難く、速乾性に劣る。一方、機能性を付加したデニムの開発志向が進むにつれて、速乾性やドライ感に優れた機能性ポリエステル加工糸を活用した製品も、多数上市されている。しかし、それら機能性ポリエステル加工糸を活用した製品は、直接肌に接する部分にポリエステルが配されるため、着用時の風合いとしてのソフト感や滑らかさという面では、決して満足のいくものではない。
本発明のデニム調織物は、目付が300g/m以下であることから吸水した後の速乾性を有する。速乾性の指標としては、吸水した後の乾燥時において、残留水分率が10%に至るまでの時間を用いることができる。本発明のデニム調織物は、この時間を90分以下とすることができる。
本発明のデニム調織物は、代表的には夏場の汗ばむ季節に快適性を維持して着用できる用途に供され得るものであるが、そのために、吸水性だけではなく、綿同等の吸湿性や、着用時の動きに追随するストレッチ性、また速乾性といった機能が重要である。しかも、上述のように生地の目付が300g/m以下であるという軽量性が重要である。
目付を300g/m以下とするために、本発明においては、後述のように経糸に用いる綿スラブ糸として8/1よりも細番手のものを使用することが必要である。さらに、目付を300g/m以下とするためには、ポリアミド系吸放湿性繊維を用いた捲縮加工糸とポリウレタン糸との複合糸にて構成される緯糸の繊度などを適宜に調整することが必要である。
本発明のデニム調織物は、かかる軽量感を実現した上で、接触涼感を表す接触涼感性(Qmax)が0.2W/cm以上の高い値を示すことが可能である。ポリアミド系吸放湿性繊維を用いているためである。このQmaxが0.2W/cm以上であるとは、着用時に実感できる接触量感性能を満足するものである。
本発明のデニム調織物のストレッチ性に関しては、緯方向の伸長率が20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましい。回復率は65%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。伸長率が20%を下回ると、着用時の動きに対して追随性が悪く不快な着用感となりやすい。また回復性が65%を下回ると、ひざ抜け等が発生しやすく外観的な品位の低下につながりやすい。このような緯方向の伸長率及び回復率は、緯糸を構成する複合糸におけるポリウレタン糸によって達成することができる。詳細には、所要の伸長率及び回復率は、市場で入手できる一般的なポリウレタン糸によって達成することができる。そして、緯糸を構成する複合糸がポリウレタン糸とポリアミド系吸放湿性繊維を用いた捲縮加工糸とによって形成されているため、捲縮加工糸はポリウレタン糸の伸縮を阻害することがなく、よってポリウレタン糸による所要の伸長率および回復率を存分に発現させることができる。
本発明のデニム調織物は、緯糸がポリアミド系吸放湿性繊維を含み、また経糸が綿スラブ糸にて構成されるために、高度な吸放湿性を有する。例えば、25℃×60%RHの雰囲気から34℃×90%RHの雰囲気に移した時の吸湿率の増加(RMA)が3%以上であり、逆に34℃×90%RHの雰囲気から25℃×60%RHの雰囲気に移した時の吸湿率の減少、すなわち放湿率(RMD)が3%以上である吸放湿性を有することができるものである。これによって、吸放湿性に優れて蒸れ感を軽減する効果を発揮することができる。これは、25℃×60%RHの雰囲気で運動して発汗したときの衣服と肌との間の雰囲気が34℃×90%RHにあるといわれていることから、発汗状態での衣服への吸湿により衣服と肌との間の湿気を吸収することで良好な着用感を維持させるものである。
このようなデニム調織物の緯糸を構成するポリアミド系吸放湿性繊維としては、吸放湿性を有する化合物とポリアミドとをブレンドして紡糸した繊維や、吸放湿性を有する化合物を芯成分とするかあるいは吸放湿性を有する化合物とポリアミドとのブレンド物を芯成分とし、ポリアミドを鞘成分として紡糸した芯鞘型複合繊維などが挙げられる。そして本発明のポリアミド系吸放湿性繊維は、仮撚加工等の施された捲縮糸であることが必要であり、それによって所要の緯方向の伸長回復性を発現することが可能である。
ここで用いられるポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等が挙げられる。ポリアミド系吸放湿性繊維の性状は、デニム調織物の特性上、長繊維糸条が適している。
吸放湿性を有する化合物としては、良好な吸放湿性を有し、色調変化の少ないものであればよい。詳細には、ポリアルキレンオキサイドとポリオールと脂肪族ジイソシアネート化合物との反応によって得られるポリアルキレンオキサイド変性物が好ましい。このポリアルキレンオキサイド変性物の原料として用いられるポリアルキレンオキサイドとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、両者の共重合体が例示される。ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類が例示される。脂肪族ジイソシアネートとしては、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。このようなポリアルキレンオキサイド変性物を吸放湿性化合物として用いると、芳香族イソシアネート化合物を用いた場合に見られるような、イソシアネート基と芳香環との共鳴構造により形成されるイミド環に起因する黄変が抑制される。すなわち、長時間使用しても繊維が黄変することがなく、耐候性に優れた複合繊維とすることができる。
ポリアミド系吸放湿性繊維のための吸放湿性化合物としてポリアルキレンオキサイド変性物を用いる場合、この化合物の含有率は、そのポリアミド系吸放湿性繊維において0.5〜60質量%の範囲にあることが好ましい。ポリアルキレンオキサイド変性物の含有率が0.5質量%未満では目的とする吸放湿性が得られない場合があり、反対に含有率が60質量%を超えると紡糸性に問題が生じるおそれがある。
ポリアミド系吸放湿性繊維が、吸放湿性を有する化合物とポリアミドとのブレンド物を芯成分とし、ポリアミドを鞘成分として紡糸した芯鞘型複合繊維である場合において、その芯鞘複合比は、質量比で芯/鞘=15/85〜85/15の範囲にあることが好ましく、これよりも芯成分の割合が低いと吸放湿性に劣り、芯成分の割合が高いと紡糸性に問題が生じる恐れがある。
本発明で使用するポリアミド系吸放湿性繊維とポリウレタン糸との複合糸としては、上記ポリアミド系吸放湿性繊維とポリウレタン糸とをエアーで交絡させた混繊糸や、ポリウレタン糸をポリアミド系吸放湿性繊維でシングルカバーもしくはダブルカバーしたいわゆるFTYタイプの複合糸などを例示することができる。複合するときのポリウレタンのドラフト率は、本発明のデニム調織物の伸長性すなわちストレッチ性の観点から、3.0〜3.5であることが好ましい。
本発明のデニム調織物の織物設計の観点としては、経糸がインジゴ染料によりロープ染色された綿スラブ糸であり、緯糸に使用するポリアミド系吸放湿性繊維とポリウレタン糸との複合糸は、白糸のままとすることができる。織物の軽量感および速乾性を表現するために、経糸には綿番手8/1よりも細番手を使用することが必要である。好ましくは、綿番手14/1〜18/1である。8/1より太番手になると生地重量が重たくなりすぎ、速乾性も著しく低下する。反対に20/1以上の細番手になるとデニム特有の風合い、強度、布厚が不足する。
本発明のデニム調織物においては、この織物が綾織り組織で構成されていると、最も効果的にデニム調を表現することができる。しかし、接触涼感性をより高めるために、緯糸を少しでも肌面に配置する効果をねらった朱子織を用いても構わない。
製織工程は、通常のスパン布帛と同様の工程とすることができる。たとえば使用できる織機としては、エアジェット織機、レピア織機などの革新織機や、通常の織機などに充分対応することが可能である。
本発明のデニム調織物は、綿素材のみを用いた通常の綿デニムと同等の吸水性、吸放湿性を阻害することなく、吸水速乾性、接触涼感性、緯方向の伸長回復性、軽量感、風合いに優れた性能を兼ね備えた特長を有する。このためジーンズ用途に好適であり、ジーンズに用いたときにその機能特性を充分に発揮することができる。更には、前記特長を生かした他の用途、たとえばアウトドア衣料/用品、山岳衣料/用品等にも用いることが可能である。
以下の実施例、比較例における織物の評価は、下記の方法にて実施した。
(1)目付
織物地から25cm×25cmの試験片を採取し、平衡水準率以下となるまで充分に乾燥した後、20℃×65%RHの室内に24時間放置し、水準平衡とした後に、その試験片の質量を測定した。得られた試験片の質量を1mあたりに換算し、試験片2枚についての平均値で目付を表した。
(2)吸水性
JIS L1907に規定される滴下法にて評価した。詳細には、保持枠に取り付けた試験片に水滴を滴下させ、水滴が試験片に到達してから、吸水により水の鏡面反射がなくなるまでの時間(秒)を測定し、その時間によって吸水性を評価した。
(3)吸放湿性能
試料を温度105℃で2時間乾燥したうえで質量W0を測定した後、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿したうえで質量W1を測定し、下式(a)により初期水分率M0を求めた。次いでこの試料を温度34℃、相対湿度90%の条件下で24時間吸湿させた後、質量W2を測定し、吸湿後の水分率M1を下式(b)により算出した。そして、M1とM0との差を吸湿性(RMA)として下式(c)で算出した。
M0[%]={(W1−W0)/W0}×100 (a)
M1[%]={(W2−W0)/W0}×100 (b)
吸湿性(RMA)=M1−M0 (c)
上記の条件で吸湿させた後の試料を、温度25℃、相対湿度60%の条件で24時間放湿させた後、質量W3を測定し、放湿後の水分率M2を下式(d)により算出した。そして、M2とM1との差を放湿性(RMD)として下式(e)で算出した。
M2[%]={(W3−W0)/W0}×100 (d)
放湿性(RMD)=M1−M2 (e)
(4)接触涼感性
精密迅速熱物性測定装置(カトーテック社製、品名:THERMO RABO II)を用い、ΔT=20℃の条件での最大熱吸収速度(Qmax)[W/cm]を測定し、その測定値によって接触涼感性を評価した。
(5)緯方向の伸長率および回復率
JIS L 1096 伸長回復率 B法(定荷重法)および「伸長回復率及び残留ひずみ率」B−1法(定荷重法)に準じて測定した。その詳細は次のとおりである。
・伸長率
寸法変化が安定した状態となるように調整した試料から、経方向6cm緯方向30cmの試験片3枚を採取し、幅方向すなわち経方向の両端より等本数の糸を抜き取り、5cm幅の試験片とした。引張試験機を用い、この試験片の長さ方向すなわち緯方向の一端を上部クランプで固定し、目付(g/m)の5%の重量に相当する荷重を初荷重としてかけた状態で、20cm間隔に一対の印を付けた。そして、無荷重に相当する初荷重の状態から静かに14.7Nの荷重を加え、1分間放置後の一対の印間の長さ(cm)を測り、次式によって伸長率(%)を求めた。3回求めた伸長率の平均値を算出し、小数点以下1桁に丸めて測定値とした。
EP={(L1−L0)/L0}×100
ここに、EP:伸長率(%)、L0:もとの印間の長さ(20cm)、L1:14.7Nの荷重を加え1分間放置後の印間の長さ(cm)である。
・伸長回復率
試験片の調整、初荷重の付与、印付けは、伸長率の測定の場合と同じとした。次いで、静かに14.7Nの荷重を加え、1時間放置後の一対の印間の長さ(cm)を測った。次いで荷重を取り除き、30秒後に再度初荷重を加えて、再び印間の長さ(cm)を測り、次式によって伸長回復率(%)を求めた。3回求めた伸長回復率の平均値を算出し、小数点以下1桁に丸めて測定値とした。
Er={(L1−L1a)/(L1−L0)}×100
ここに、Er:伸長回復率(%)、L0:もとの印間の長さ(20cm)、L1:14.7Nの荷重を加え1時間放置後の印間の長さ(cm)、L1a:荷重を取り除いて30秒後に初荷重を加えた時の印間の長さ(cm)である。
(6)速乾性(拡散性残留水分率)
天秤の上に乗せたガラス板の中央部の上に0.6gの蒸留水を滴下した。これに10cm×10cmにカットした試験片をその裏面(肌面)に滴下蒸留水が接するように乗せた。その後、蒸留水を含んだ試験片の重量変化を測定し、残留水分率が10%に至るまでの時間(分)を測定し、その測定値を速乾性の指標とした。
(7)風合い
デニム調織物において緯糸が配置された肌面側を手指によって触ることで官能検査を行い、下記の基準にもとづき判定した。
〇:織物の柔らかさ、織物表面のすべり性とも良好
△:織物の柔らかさ、織物表面のすべり性ともやや劣る
<実施例1>
m−クレゾール溶媒中で濃度0.5g/L、20℃にて測定した相対粘度が2.6のナイロン6を85質量部と、ポリエチレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、ジシクロヘキシルメタン4,4ジイソシアネートの反応物であるポリアルキレンオキサイド変性物(1gの吸湿能35g)15質量部とをブレンドした混合物を芯成分とした。また、上記相対粘度が2.6のナイロン6を鞘成分とした。そして、芯成分/鞘成分の質量比を50/50として、芯鞘型複合紡糸・延伸を行い、仮撚数3400T/M、仮撚温度180℃、仮撚オーバーフィード率−5%で仮撚加工を施して、84dtex24f(単繊維繊度:3.5dtex)のポリアミド系芯鞘型吸放湿性長繊維の仮撚加工糸を得た。この仮撚加工糸すなわち吸放湿性繊維におけるポリアルキレンオキサイド変性物の含有率は、7.5%であった。
こうして得られたポリアミド系芯鞘型吸放湿性長繊維仮撚加工糸84dtex24fを2本と、3.5倍にドラフトされたポリウレタン糸22dtex(東レオペロンテックス社製のライクラT−127C)とを混繊加工機で複合し、総合繊度:170dtexのストレッチ複合糸を得た。
次に、あらかじめ準備していたインジゴロープ染色綿スラブ糸16/1を経糸に使用するとともに、ストレッチ複合糸170dtexを緯糸に使用して、織物組織を斜子織とし、エアジェットルームにて製織して、デニム調の生地を作製した。
得られたデニム調の生地すなわち織物についての上述の初期水分率M0は6.1%、吸湿後の水分率M1は10.0%、放湿後の水分率質M2は6.4%であった。
このデニム調の生地に対し、引き続き、定法にて仕上げ加工を施した。その後の仕上げ密度は、経100本/25.4mm(インチ)×緯84本/25.4mm(インチ)であった。こうして得られたデニム調織物は、素材混率が質量比で綿/ポリアミド系吸放湿性繊維/ポリウレタン=70/28/2、目付が241g/m、緯伸長率が28.5%、緯回復率が80.4%、吸水性能が2.3秒、吸湿性能(RMA)が3.9、放湿性能(RMD)が3.6、接触涼感性(Qmax)が0.23W/cm、残留水分率が10%に至るまでの時間は82分、風合いは「〇」であった。
<実施例2>
実施例1と比べて、緯糸にポリアミド系芯鞘型吸放湿性長繊維仮撚加工糸84dtex24fを3本と、3.5倍にドラフトされたポリウレタン糸44dtex(東レオペロンテックス社製のライクラT−127C)とを混繊加工機で複合した複合混繊糸を使用する点を相違させた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、仕上げ密度が経98本/25.4mm(インチ)×緯80本/25.4mm(インチ)となる実施例2のストレッチデニムを得た。こうして得られたストレッチデニムは、素材混率が質量比で綿/ナイロン/ポリウレタン=65/32/3、目付が280g/m、緯伸長率が29.5%、緯回復率が83.0%、吸水性能が2.3秒、吸湿性能(RMA)が4.2、放湿性能(RMD)が4.0、接触涼感性(Qmax)が0.24W/cm、残留水分率が10%に至るまでの時間は88分、風合いは「○」であった。
<比較例1>
実施例1と比べて、経糸に綿スラブ糸9/1を使用し、緯糸に綿CSY(商品名)20番手/1(芯部:ポリウレタン70d、鞘部:多数の綿繊維、撚りが掛けられたもの)を使用する点を相違させた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、仕上げ密度が経85本/25.4mm(インチ)×緯57本/25.4mm(インチ)となる比較例1の綿ストレッチデニムを得た。こうして得られた綿ストレッチデニムは、素材混率が質量比で綿/ポリウレタン=98/2、目付が414g/m、緯伸長率が22.4%、緯回復率が64.3%、吸水性能が16秒、吸湿性能(RMA)が3.8、放湿性能(RMD)が3.4、接触涼感性(Qmax)が、0.19W/cm、残留水分率が10%に至るまでの時間は113分、風合いは「△」であった。
<比較例2>
実施例1と比べて、経糸に綿スラブ糸9/1を使用し、緯糸にフルダルポリエステル加工糸(167T144f)2本とポリウレタン糸44dtexとの複合混繊糸を使用する点を相違させた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、仕上げ密度が経89本/25.4mm(インチ)×緯54本/25.4mm(インチ)となる比較例2のストレッチデニムを得た。こうして得られたストレッチデニムは、素材混率が質量比で綿/ポリエステル/ポリウレタン=72/26/2、目付が320g/m、緯伸長率が23.7%、緯回復率が86.0%、吸水性能が12秒、吸湿性能(RMA)が2.8、放湿性能(RMD)が2.6、接触涼感性(Qmax)が0.16W/cm、残留水分率が10%に至るまでの時間は75分、風合いは「△」であった。
<比較例3>
実施例1と比べて、経糸に綿スラブ糸9/1を使用し、緯糸に、ポリアミド系芯鞘型吸放湿性長繊維仮撚加工糸84dtex24fを3本と、3.5倍にドラフトされたポリウレタン糸44dtex(東レオペロンテックス社製のライクラT−127C)とを混繊加工機で複合した複合混繊糸を使用する点を相違させた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、仕上げ密度が経89本/25.4mm(インチ)×緯56本/25.4mm(インチ)となる比較例3のストレッチデニムを得た。こうして得られたストレッチデニムは、素材混率が質量比で綿/ナイロン/ポリウレタン=71/27/2、目付が305g/m、緯伸長率が24.6%、緯回復率が87.0%、吸水性能が3.5秒、吸湿性能(RMA)が4.0、放湿性能(RMD)が3.9、接触涼感性(Qmax)が0.22W/cm、残留水分率が10%に至るまでの時間は97分、風合いは「○」であった。
上記実施例、比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 0006109031
表1に示すように、実施例1、2のデニム調織物は、目付が低くしたがって軽量で、伸長回復性、接触涼感性、速乾性、ポリアミド特有のソフトな風合いに優れる織物であった。これに対し、比較例1の綿ストレッチデニムは、軽量感に欠け、回復率も低く、また接触涼感、速乾性にも劣るものであった。比較例2のポリエステルストレッチデニムは、軽量感に欠け、接触涼感性や特に吸湿性の面で劣るものであった。比較例3のデニム調織物は、目付が305g/mを超えていたことから、軽量感に欠け、速乾性の面で劣るものであった。

Claims (3)

  1. 経糸が綿番手8/1よりも細手の綿スラブ糸であり、緯糸がポリアミド系吸放湿性繊維を用いた捲縮加工糸とポリウレタン糸との複合糸であり、目付が300g/m以下であることを特徴とするデニム調織物。
  2. ポリアミド系吸放湿性繊維が、ポリアルキレンオキサイドとポリオールと脂肪族ジイソシアネート化合物との反応によって得られたポリアルキレンオキサイド変性物とポリアミドとの混合物にて構成された芯成分と、ポリアミドにて構成された鞘成分とを有する芯鞘複合型吸放湿性繊維であることを特徴とする請求項1記載のデニム調織物。
  3. 残留水分率が10%に至るまでの時間が90分以内であり、緯方向の伸長回復率が75%以上であり、接触涼感性Qmax(ΔT=20)が0.2W/cm以上であることを特徴とする請求項1または2記載のデニム調織物。
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