JP6108393B2 - 機能層を形成する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の硬化塗膜面に親水性、撥水性、撥油性等の機能層を形成する方法に関する。
従来、プラスチック基材、無機基材等に様々な機能を付与する試みがなされている。例えば、基材表面に親水性あるいは撥水性を付与するために、これら機能を発現する塗料を塗布して機能塗膜を形成する方法や、プラスチック基材に火焔処理、コロナ処理、プラズマ処理等を行って基材表面に極性基を導入して機能層を形成する方法などが知られている。
具体例として特許文献1では、撥水撥油性を有しているブロック重合体を含む表面処理剤を基材面に塗布することが提案されており、特許文献2ではメルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ハロアルキル基及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種の有機官能基を含有するシリコーン化合物を含有する親水化処理剤溶液を塗布する方法が提案されている。
また特許文献3では、基材上に光重合開始部が化学的に結合した高分子からなる下塗り層が積層され、その表面に、親水性もしくは撥水性の機能性モノマーを接触させた状態で紫外線を照射し、該下塗り層に機能性モノマーをグラフト重合させて、基材密着性の良好な表面層を有する物品を製造する方法が提案されており、特許文献4では、プラズマ処理、コロナ放電処理、UV処理、及び電子線処理から選択された物理的方法による処理がされた基材表面に、親水性基あるいは撥油・撥水性基と重合性不飽和二重結合とを側鎖に有する高分子化合物を接触させ、その後、露光により基材表面に発生したラジカルを起点として、重合性不飽和二重結合を側鎖に有する高分子化合物をグラフト重合して、前記基材に直接結合したグラフトポリマーを生成させて基材表面を改質する方法が提案されている。
特開2009−242550号公報 特開2011−212568号公報 特開平9−077891号公報 特開2007−161857号公報
しかしながら、上記の特許文献1や特許文献2の機能を発現する塗料を塗布する方法では、基材面によって密着性が不十分となったり仕上がり性が劣る場合があり、また特許文献3や特許文献4の方法では形成する機能層によって基材面の一部が被覆されず露出するため、特に基材面が塗膜面である場合にはその特性に影響を受け、また塗膜面の本来の特性を生かせない場合があり、機能の持続性の点でも問題があった。
本発明の目的は、特定の硬化塗膜面に親水性、撥水性、撥油性等の機能層を形成する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の硬化塗膜面に生成せしめた水酸基とイソシアネート基含有不飽和化合物やイソシアネート基含有シラン化合物中のイソシアネート基が反応することにより、イソシアネート基含有不飽和化合物中の不飽和基やイソシアネート基含有シラン化合物中のアルコキシシリル基等が反応性基として硬化塗膜面に導入されることとなり、これらと反応し得る反応性基を有する機能層を硬化塗膜と結合させるにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ガラス転移温度が80℃以上である硬化塗膜(I)の表面に、酸化処理を行ない、次いで該処理面にイソシアネート基含有不飽和化合物及びイソシアネート基含有シラン化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する組成物(A)を塗布し乾燥させてプライマー層(II)を形成した後、該プライマー層と反応し得る反応性基を有する機能層(III)を形成することを特徴とする機能層を形成する方法、及び該機能層を有する塗装物品に関する。
本発明によれば、特定のガラス転移温度を有する硬化塗膜面に、均一且つ持続性に優れた改質を簡便に行うことができ、仕上がり性、耐汚染性に優れ、且つ親水性、撥水性、撥油性等の各種機能を有する層を形成することができる。
硬化塗膜(I)
本発明においてガラス転移温度が80℃以上である硬化塗膜(I)は、基材面に前記範囲のガラス転移温度を有する硬化塗膜を形成し得る塗料組成物を塗装し硬化することによって得られるものである。
上記基材としては、例えば、例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂類、これらの樹脂の混合物、各種の繊維強化プラスチック等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材;紙、布等の繊維材料等を挙げることができ、特に金属材料、プラスチック材料が好ましい。
上記金属材料は、必要に応じてリン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理などの表面処理が施されたものであってもよく、さらに、その上に電着塗料による下塗り塗膜や中塗り塗膜、上塗り塗膜等が形成されているものであってもよい。またプラスチック材料は、必要に応じて、表面処理、プライマー塗装、上塗り塗装等を行ったものであってもよい。また、該プラスチック材料と上記金属材料とが組合わさったものであってもよい。
硬化塗膜(I)を形成し得る塗料組成物としては、前記範囲のガラス転移温度を有する硬化塗膜を形成し得る塗料組成物であれば特に制限なく、公知の熱硬化性塗料組成物、活性エネルギー線硬化性塗料組成物、活性エネルギー線及び熱硬化性塗料組成物等をいずれも使用できる。
熱硬化性塗料組成物としては、例えば、架橋性官能基を有する基体樹脂及び硬化剤を含有する有機溶剤型、水性、粉体型等の形態の塗料組成物を挙げることができる。基体樹脂が有する架橋性官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、シラノール基等を挙げることができ、基体樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などを挙げることができる。硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、カルボキシル基含有化合物、カルボキシル基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、エポキシ基含有化合物などを挙げることができる。
硬化塗膜(I)としては、特に水酸基価80〜200mgKOH/g、好ましくは100〜170mgKOH/gの水酸基含有樹脂及びポリイソシアネート化合物を含有する塗料組成物から形成されることが望ましい。ポリイソシアネート化合物の使用量は、この中に含まれるイソシアネート基(NCO)が、上記水酸基含有樹脂中の水酸基(OH)に対して、NCO/OHの当量比で、通常、0.5〜1.5となる範囲内となるように選択されることが適当である。
上記活性エネルギー線硬化性塗料組成物としては、例えばラジカル重合性不飽和基含有化合物及び光重合開始剤を含有する有機溶剤型、水性、粉体型等の形態の塗料組成物を挙げることができ、特にラジカル重合性不飽和基含有化合物として1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート、不飽和基含有アクリル樹脂や不飽和基含有ウレタン樹脂などを使用した活性エネルギー線硬化型組成物、さらにはこれらラジカル重合性不飽和基含有化合物に無機微粒子として不飽和シランで処理されていても良いシリカ微粒子などが配合された活性エネルギー線硬化型のハードコート膜形成用組成物を使用することができる。
活性エネルギー線及び熱硬化性塗料組成物としては、上記ラジカル重合性不飽和基含有化合物及び光重合開始剤に加えて前記熱硬化性塗料組成物の説明で列記した成分を含有する有機溶剤型、水性、粉体型等の形態の塗料組成物を挙げることができる。
上記の各塗料組成物には、必要に応じて、顔料類、染料等を含有させることができ、さらに硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤等の塗料用添加剤を適宜含有せしめることができ、硬化塗膜(I)はクリヤ塗膜であっても着色塗膜であっても良い。
上記硬化塗膜(I)のガラス転移温度は、塗装物品の仕上がり性や耐汚染性確保、後述の機能層による機能発現の点から、80℃以上、特に85〜110℃の範囲内となるようにする。
本明細書において、硬化塗膜のガラス転移温度は、例えばDINAMIC VISCOELASTOMETER MODEL VIBRON(ダイナミックビスコエラストメータ モデルバイブロン)DDV−IIEA型(東洋ボールドウィン社製、自動動的粘弾性測定機)を用いて周波数110Hzにおける温度分散測定によるtanδの変化から求めた極大値の温度を測定することにより求めることができる。
本発明では、上記硬化塗膜(I)の表面に、酸化処理を行なう。酸化処理には、硬化塗膜(I)の表面が活性化され水酸基を生成し得る処理であれば、特に制限なく従来公知の方法を採用でき、例えばプラズマ処理、コロナ放電、活性エネルギー線処理、及び火炎処理からなる群から選ばれた方法により行うことができる。
<プラズマ処理>
プラズマ処理は、具体的には、例えば、東芝メカニクス(株)社製のマイクロプラズマ処理装置TMP−7048A、TMW−7407、TMZ−9602−A、IPC社製の200S高周波プラズマ処理装置、及びヤマト科学(株)社製のPR−510、PDC210、及びウェッジ(株)社製のPS−1200AW等を用いて行うことができる。
プラズマ処理を行う場合の処理エネルギー量は、単位面積当たりのエネルギー(J/m)で表すことができる。本発明における処理エネルギー量としては、水酸基の生成確保の観点から、30〜3000J/m、特に、40〜2000J/mの範囲内であることが好ましい。プラズマ処理を行う場合の処エネルギー理量は、基材の種類等に応じて設定することができる。
<コロナ放電処理>
コロナ放電処理は、市販のコロナ機、具体的には例えば、ピラー社製のソリッドステートコロナ処理機、SOFTAL社製のTreating Generator、及びVETAPHONE高周波インパルス表面処理機(例えば、T−2000、T−4000)等を用いて行うことができる。
コロナ放電処理を行う場合の処理エネルギー量は、単位面積当たりのエネルギー(J/m)で表すことができる。本発明における処理エネルギー量としては、水酸基の生成確保の観点から、30〜3000J/m、特に、40〜2000J/mの範囲内であることが好ましい。コロナ放電処理を行う場合の処理エネルギー量は、基材の種類等に応じて設定することができる。
<活性エネルギー線処理>
活性エネルギー線処理の活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、電磁波等を挙げることができる。紫外線処理は、具体的には例えば、エキシマーレーザー、高圧水銀灯、アーク灯等の光源を用いて行うことができる。
紫外線処理を行う場合の処理量は、深さ方向のエッチング量Åで表すことができる。本発明における処理量としては、水酸基の生成確保の観点から、10〜100Å、特に、30〜70Åの範囲内であることが好ましい。紫外線処理を行う場合、露光エネルギー、露光時間、照射距離等を、上記処理量とするための条件は、基材の種類等に応じて設定することができる。
電子線処理は、市販の電子線描写装置、具体的には例えば、日立製作所(株)製のHL750等を用いて行うことができる。電子線処理を行う場合の処理量は、加速電圧と電子流とにより表すことができる。本発明における処理量としては、水酸基の生成確保の観点から、加速電圧は10kV〜300kV、特に、20kV〜200kVの範囲内であることが好ましい。また、電子流は5〜500mA、特に、10〜300mAの範囲内であることが好ましい。電子線処理を行う場合の処理量は、基材の種類等に応じて設定することができる。
<火炎処理>
火炎処理は、バーナーなど火炎噴射装置を使用して火炎を基材表面に吹き付けることにより行うことができる。処理量としては、水酸基の生成量確保の観点から、硬化塗膜(I)面の水接触角が50°以下となる程度に行うことが好ましい。
プライマー層(II)
本発明では、上記の通り水酸基を生成せしめ硬化塗膜(I)の処理面に、イソシアネート基含有不飽和化合物、イソシアネート基含有シラン化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する組成物(A)を塗布し乾燥させてプライマー層(II)を形成する。
プライマー層(II)は、後述の機能層(III)と硬化塗膜(I)の中間層として形成されるものであり、イソシアネート基含有不飽和化合物やイソシアネート基含有シラン化合物中のイソシアネート基が、硬化塗膜(I)面に生成せしめた水酸基と反応することにより、イソシアネート基含有不飽和化合物中の不飽和基やイソシアネート基含有シラン化合物中のアルコキシシリル基が反応性基として硬化塗膜(I)面に導入されることとなり、これらと反応し得る反応性基を有する機能層(III)を硬化塗膜(I)と結合させることできる。
上記イソシアネート基含有不飽和化合物としては、分子内に1個以上のイソシアネート基及び1個以上の不飽和基を有する化合物であれば、特に制限なく従来公知の化合物が使用できる。
不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基等の重合性不飽和基を挙げることができる。これらの不飽和基のうち、反応性に優れる観点から、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
上記イソシアネート基含有不飽和化合物としては、例えば、イソシアネート基と重合性不飽和基とをそれぞれ1つ有する化合物、ポリイソシアネート化合物のイソシアネートの一部を水酸基含有不飽和化合物と反応させることによる得られるイソシアネート基と重合性不飽和基を有し且つこれらのいずれかを2つ以上有する化合物等を挙げることができる。
イソシアネート基と重合性不飽和基とをそれぞれ1個有する化合物としては、例えば、イソシアネートメチル(メタ)アクリレート、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、イソシアネートプロピル(メタ)アクリレート、イソシアネートブチル(メタ)アクリレート、イソシアネートオクチル(メタ)アクリレート、p−メタクリロキシ−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネート、m−アクリロキシ−α,α´−ジメチルベンジルイソシアネート、m−又はp−イソプロペニル−α,α´−ジメチルベンジルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、商品名「カレンズMOI」)、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、商品名「カレンズAOI」)、商品名「カレンズMOI−EG」(昭和電工社製);イソホロンジイソシアネートの如き(反応性の異なる)2つのイソシアネート基を有する化合物と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの等モル付加反応物等を挙げることができ、これらは1種単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの総称であり、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸の総称である。
ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の一部を水酸基含有不飽和化合物と反応させることによる得られるイソシアネート基と重合性不飽和基を有し且つこれらのいずれかを2つ以上有する化合物としては、例えばヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート2モルとトリイソシアネート化合物1モルとの反応生成物、トリオールのジ(メタ)アクリレート1モルとジイソシアネート化合物1モルとの反応生成物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート1モルとジオールとジイソシアネート化合物を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー1モルとの反応生成物、等を挙げることができる。
上記水酸基含有不飽和化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;該ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール、さらに、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート化合物等を挙げることができ、これらは1単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
上記ポリイソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であって、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物、アロファネート付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物、アロファネート付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4´−トルイジンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエーテルジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)等の芳香族ジイソシアネート化合物及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物、アロファネート付加物;トリフェニルメタン−4,4´,4´´−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4´−ジメチルジフェニルメタン−2,2´,5,5´−テトライソシアネート等の1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物、アロファネート付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量となる比率でポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物、アロファネート付加物等を挙げることができ、これらは1単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
上記水酸基含有不飽和化合物とポリイソシアネート化合物との反応は、水酸基含有化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させる際の公知の方法によって行うことができ、通常、有機溶液中で行うことができる。有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。反応温度は、通常、常温〜100℃程度、反応時間は1〜10時間程度で行うことができる。
上記反応においては、必要に応じてジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエート、ジブチルスズサルファイト等の触媒を使用することができる。触媒の使用量は、反応原料の総量に対して0.01〜1質量%、特に0.1〜0.5質量%であることが好ましい。また、必要に応じてハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤を使用することもできる。重合禁止剤量は、反応原料の総量に対して0.01〜1質量%であることが好ましい。
上記イソシアネート基含有不飽和化合物としては、機能層の機能向上等の観点から、分子内に2個以上の不飽和基を有する化合物が好適に使用できる。
また上記イソシアネート基含有不飽和化合物は、プライマー層の強度向上等の観点から、重量平均分子量が100〜4,000、特に500〜2,500の範囲内であることが好ましい。
ここで本明細書において重量平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した保持時間(保持容量)を、ポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000XL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1ml/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
イソシアネート基含有シラン化合物としては、分子内に1個以上のイソシアネート基及び1個以上のアルコキシシリル基又はフェノキシシリル基を有する化合物であれば、特に制限なく従来公知の化合物が使用できる。
上記イソシアネート基含有シラン化合物としては、例えば下記一般式(1)で表わされる化合物を挙げることができる。
Figure 0006108393
(式中R、R及びRはそれぞれ同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はフェノキシ基であって、R、R及びRの内の少なくとも1つは炭素数1〜4のアルコキシ基又はフェノキシ基であり、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を示す。)
上記一般式(1)で表わされる化合物としては、具体的には、例えば、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリブトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジプロポキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジブトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリメトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリエトキシシラン、2−イソシアネートエチルメチルジメトキシシラン、2−イソシアネートエチルメチルジエトキシシランなどが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
プライマー層(II)では、後述の機能層(III)と反応し得る反応性基を導入することを必須とするため、かかる反応性基を消耗したり、硬化塗膜(I)面の性状を損なわないように、上記イソシアネート基含有不飽和化合物やイソシアネート基含有シラン化合物を含有する組成物(A)は、イソシアネート基含有不飽和化合物以外の不飽和化合物やイソシアネート基含有シラン化合物以外のシラン化合物を含有しないことが好ましい。
上記イソシアネート基含有不飽和化合物やイソシアネート基含有シラン化合物を含有する組成物(A)は、溶融物、溶液、懸濁液、エマルションのいずれの形態であってもよいが、溶液の形態であることが、生産性及び作業性の観点から好ましい。
上記イソシアネート基含有不飽和化合物やイソシアネート基含有シラン化合物を含有する組成物(A)には、必要に応じて触媒、溶媒、消泡剤、乳化剤、界面活性剤、防汚剤、湿潤剤等の塗装の分野で通常使用される他の添加成分を適宜含有させることができる。
上記触媒は、硬化塗膜(I)面に生成せしめた水酸基とイソシアネート基含有不飽和化合物やイソシアネート基含有シラン化合物中のイソシアネート基との反応を促進する目的で好適に使用されるものである。このような触媒としては、通常のウレタン化反応の触媒を使用することができ、具体的には、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエート、ジブチルスズサルファイト、ヘキソエートカルシウム、オクチル酸亜鉛等の触媒を挙げることができる。
触媒を使用する場合、その触媒量としては、イソシアネート基含有不飽和化合物やイソシアネート基含有シラン化合物の固形分質量に対して、0.01〜0.5質量%、特に0.01〜0.1質量%の範囲内であることが好ましい。
上記溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、石油系炭化水素等の有機溶剤を挙げることができる。
組成物(A)中のイソシアネート基含有不飽和化合物やイソシアネート基含有シラン化合物の含有量は、組成物(A)の総量に対して、0.01〜30質量%、特に、0.1〜20質量%、さらに特に、1〜15質量%の範囲内であることが好ましい。
組成物(A)の塗布は、例えばスポンジやクロス等の塗り広げ材などによって塗り広げる方法、スプレー塗装、ハケ塗装、浸漬塗装、ロール塗装等により行うことができる。乾燥は、この分野において公知の手法を適宜使用することができ、例えば、熱風、熱ガス、IRラジエータ、オーブン、熱ローラーおよびマイクロ波等を使用して行うことができる。乾燥温度は、生産性、作業性及び有機基材の熱安定性等の観点から決定されるが、比較的低温の条件で乾燥を行うという観点から、室温〜120℃、特に室温〜100℃、さらに特に、室温〜90℃程度の温度で乾燥を行うことが好ましい。
上記乾燥等を行うことにより、プライマー層(II)が形成される。必要に応じて硬化塗膜(I)面と化学的に結合が形成されずに残存したイソシアネート基含有不飽和化合物やイソシアネート基含有シラン化合物等を除去することもできる。
機能層(III)
本発明では、上記のとおり形成されたプライマー層と反応し得る反応性基を有する機能層(III)を形成する。反応性基としては、重合性不飽和基、アルコキシシリル基等が挙げられる。かかる機能層(III)の形成により、硬化塗膜(I)、プライマー層(II)及び機能層(III)が一体となって強固に結合した、表面が改質され新たに機能性が付与された塗装物品を得ることができる。
機能層(III)は、例えば、機能性付与基含有不飽和化合物及び光重合開始剤を含有する組成物(B−1)から形成することができる。また機能層(III)は、機能性付与基含有シラン化合物を含有する組成物(B−2)から形成することができる。
機能層(III)における所望の機能性は、機能性付与基含有不飽和化合物や機能性付与基含有シラン化合物中の機能性付与基を適宜選択することにより、最終的に基材に対して付与することができる。
上記機能性付与基含有不飽和化合物は、分子内に1個以上の機能性付与基及び1個以上の不飽和基を有する化合物であり、不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基等の重合性不飽和基を挙げることができる。これらの不飽和基のうち、反応性に優れる観点から、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
上記機能性付与基含有シラン化合物としては、分子内に1個以上の機能性付与基及び1個以上のアルコキシシリル基又はフェノキシシリル基を有する化合物である。
本発明において機能性付与基とは、硬化塗膜(I)面に所望の表面特性を付与することができる機能を有する官能基のことである。
具体的には、例えば、
1)親水性を付与するための、親水性基、
2)撥水性/撥油性を付与するための、撥水性/撥油性基、
3)屈折率変動を付与するための、屈折率変動基、
4)紫外線吸収特性を付与するための、紫外線吸収性を有する官能基、
5)光安定性を付与するための、光安定性を有する官能基、
等を挙げることができる。
上記の親水性基としては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基;カルボキシベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン等のべタイン構造含有基;ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン(オキシプロピレン)基等のポリオキシアルキレン基;水酸基、アミド;3級アミノ基、4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
親水性基含有不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩、アミン塩及びアンモニウム塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩、アミン塩及びアンモニウム塩、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピルアクリレート、これらスルホン酸のアルカリ金属塩、アミン塩及びアンモニウム塩、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、これらリン酸のアルカリ金属塩、アミン塩及びアンモニウム塩;メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチル−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−メチルカルボキシベタイン;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムジメチルホスフェート等を挙げることができる。
撥水性/撥油性基含有不飽和化合物としては、例えば、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)よりなる群から選ばれる少なくとも1種のフッ素含有不飽和化合物が挙げられる。
CH=CRCOORRf・・・(I)
〔式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは−C2P−、−C(C2P+1)H−、−CHC(C2P+1)H−又は−CHCHO−、Rfは−C2n+1、−(CF)nH、−C2n−CF、−(CF)pOC2n2j+1、−(CF)pOC2m2iH、−N(C2P+1)COC2n+1、−N(C2P+1)SO2n+1である。但し、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、jは0〜10、iは0〜16の整数である。〕
CF=CFOR ・・・(II)
(式中Rは炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表わす。)
CH=CHR・・・(III)
(式中Rは炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表わす。)
CH=CRCOOROCOCR=CH ・・・(IV)
〔式中、R、Rは水素原子又はメチル基、R、Rは−C2q−、−C(C2q+1)H−、−CHC(C2q+1)H−又は−CHCHO−、Rjは−C2tである。但し、qは1〜10、tは1〜16の整数である。〕
CH=CHRCOOCH(CH)CHOCOCR=CH・・・(V)
(式中、R、Rは水素原子又はメチル基、Rは−C2y+1である。但し、yは1〜16の整数である。)
上記のフッ素含有不飽和化合物としては、以下の具体例を挙げることができる。
一般式(I)で示されるモノマーとしては、例えば、CF(CFCHCHOCOCH=CH、CFCHOCOCH=CH、CF(CFCHCHOCOC(CH)=CH、C15CON(C)CHOCOC(CH)=CH、CF(CFSON(CH)CHCHOCOCH=CH、CF(CFSON(C)CHCHOCOCH=CH、CSON(CFCHCHOCOC(CH)=CH、(CFCF(CF(CHOCOCH=CH、(CFCF(CF10(CHOCOC(CH)=CH、CF(CFCH(CH)OCOC(CH)=CH、CFCHOCHCHOCOCH=CH、C(CHCHO)CHOCOCH=CH、(CFCFO(CHOCOCH=CH、CF(CFOCHCHOCOC(CH)=CH、CCON(C)CHOCOCH=CH、CF(CFCON(CH)CH(CH)CHOCOCH=CH、H(CFC(C)OCOC(CH)=CH、H(CFCHOCOCH=CH、H(CFCHOCOCH=CH、H(CF)CHOCOC(CH)=CH、CF(CFSON(CH)CHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFSON(CH)(CH10OCOCH=CH、CSON(C)CHCHOCOC(CH)=CH、CF(CFSON(CH)(CHOCOCH=CH、CSON(C)C(C)HCHOCOCH=CH等が挙げられる。
また、一般式(II)及び(III)で表わされるフルオロアルキル化オレフィンとしては、例えばCCH=CH、CCH=CH、C1021CH=CH、COCF=CF、C15OCF=CF及びC17OCF=CFなどが挙げられる。
一般式(IV)及び(V)で表わされるモノマーとしては例えば、CH=CHCOOCH(CFCHOCOCH=CH、CH=CHCOOCHCH(CH17)OCOCH=CHなどが挙げられる。
撥油/撥水性基含有不飽和化合物としては、また、Si−CH基もしくは−O−Si−CH基を有する不飽和化合物を挙げることができる。具体的には、ポリシロキサン鎖を有するアクリレートやメタクリレートであり、市販品では、例えば「サイラプレーンFM−0711」、「サイラプレーンFM−0721」、「サイラプレーンFM−0725」(いずれもJNC社製)等が挙げられる。
屈折率変動基としては、ベンジル基、部分的もしくは完全にハロゲン化されたベンジル基、または部分的もしくは完全にハロゲン化されたアルカン、アルケンまたはアルキン基を挙げることができ、屈折率変動基含有不飽和化合物としては、例えば、ベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、1H,1H−ヘプタフルオロブチルアクリレートおよびトリフルオロエチルアクリレート等を挙げることができる。
紫外線吸収性官能基含有不飽和化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2´−ヒドロキシ−5´−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
光安定性官能基含有不飽和化合物としては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等を挙げることができる。
親水性基含有シラン化合物としては、例えば、一般式(2)
Si(X) (2)
(但し、Xはアルコキシ基又はハロゲン原子を表し、Rが親水性基を表す)により表されるものが使用でき、親水性基は前述で列記の中から適宜選択される基を末端に有するものが挙げられ、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン、スルホエチルトリメトキシシランなどが例示できる。
撥水性/撥油性基含有シラン化合物としては、例えば、3−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3−ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランなどのフルオロアルキル基含有シラン化合物が挙げられる。
上記機能性付与基含有不飽和化合物や機能性付与基含有シラン化合物は単独であるいは2種以上を使用することができる。
前記組成物(B−1)に配合される光重合開始剤としては、例えばベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン化合物;ベンゾイン等のアシロイン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル化合物;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン化合物;ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;ミヒラーケトン化合物;アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α′−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2′−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、α−イソヒドロキシイソブチルフェノン、α,α′−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のアセトフェノン化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(アシル)フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン;フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン化合物;ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として使用できる。
光重合開始剤の市販品としては、例えば、イルガキュア(IRGACURE)−127、イルガキュア−184、イルガキュア−261、イルガキュア−369、イルガキュア−500、イルガキュア−651、イルガキュア−754、イルガキュア−819、イルガキュア−907、イルガキュア−CGI−1700、イルガキュア−2959(BASF社製、商品名)、ダロキュア(Darocur)−1173、ダロキュア−1116、ダロキュア−2959、ダロキュア−1664、ダロキュア−4043(メルクジャパン社製、商品名)、カヤキュアー(KAYACURE)−MBP、カヤキュアー−DETX−S、カヤキュアー−DMBI、カヤキュアー−EPA、カヤキュアー−OA(日本化薬社製、商品名)、ビキュア(VICURE)−10、ビキュア−55〔ストウファー社(STAUFFER Co., LTD.)製、商品名〕、トリゴナル(Trigonal)P1〔アクゾ社(AKZO Co., LTD.)製、商品名〕、サンドレイ(SANDORAY)1000〔サンドズ社(SANDOZ Co., LTD.)製、商品名〕、ディープ(DEAP)〔アプジョン社(APJOHN Co., LTD.)製、商品名〕、カンタキュア(QUANTACURE)−PDO、カンタキュア−ITX、カンタキュア−EPD〔ウォードブレキンソプ社(WARD BLEKINSOP Co., LTD.)製、商品名〕等を挙げることができる。
組成物(B−1)における光重合開始剤の量は、硬化性等の観点から、機能性付与基含有不飽和化合物の総量に対して、0.1〜20質量%、特に0.5〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
組成物(B−1)は、上記機能性付与基含有不飽和化合物及び光重合開始剤を必須成分とするものであるが、機能層の硬化性向上等の観点から、プライマー層との付着性及び機能性発現効果を阻害しない範囲で、機能性付与基含有不飽和化合物以外の不飽和化合物等も含有することができる。
機能性付与基含有不飽和化合物以外の不飽和化合物としては、単官能不飽和基含有化合物、多官能不飽和基含有化合物を挙げることができる。
単官能不飽和基含有化合物としては、例えば、一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物等を挙げることができる。
多官能不飽和基含有化合物としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のトリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート化合物;その他、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、例えばポリイソシアネート化合物、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート及びポリオール化合物を原料として用い、イソシアネート基に対してヒドロキシル基が等モル量もしくは過剰になるような量で反応させて得ることができる。これらは単独で又は2種以上を使用することができる。
上記機能性付与基含有不飽和化合物以外の不飽和化合物のうち、機能層の硬化性向上等の観点から、多官能不飽和基含有化合物を好適に使用することができる。
機能性付与基含有不飽和化合物以外の不飽和化合物を使用する場合、その使用量は、機能性付与基含有不飽和化合物の総量に対して、5〜100質量%、特に、5〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
組成物(B−2)は、上記機能性付与基含有シラン化合物を必須成分とするものであるが、機能層の硬化性向上等の観点から、プライマー層との付着性及び機能性発現効果を阻害しない範囲で、機能性付与基含有シラン化合物以外のシラン化合物等も含有することができる。
機能性付与基含有シラン化合物以外のシラン化合物としては、例えば、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン等のアルコキシシラン、及びこれらの低縮合物が挙げられる。
組成物(B−1)及び組成物(B−2)は、溶融物、溶液、懸濁液、エマルションのいずれの形態であってもよいが、溶液の形態であることが、生産性及び作業性の観点から好ましい。
組成物(B−1)及び組成物(B−2)には、必要に応じて溶媒、消泡剤、乳化剤、界面活性剤、防汚剤、湿潤剤等の塗装の分野で通常使用される他の添加成分を適宜含有させることができる。
上記溶媒としては、水、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
組成物(B−1)及び組成物(B−2)中の機能性付与基含有不飽和化合物や機能性付与基含有シラン化合物の含有量は、組成物の総量に対して、0.01〜30質量%、特に、0.1〜20質量%、さらに特に、1〜15質量%の範囲内であることが好ましい。
組成物(B−1)及び組成物(B−2)による機能層は、例えばスポンジやクロス等の塗り広げ材などによって塗り広げる方法、スプレー塗装、ハケ塗装、浸漬塗装、ロール塗装等の方法により塗布後、組成物(B−1)による機能層は活性エネルギー線を照射することにより形成され、組成物(B−2)による機能層は室温〜120℃の温度で加熱乾燥することにより形成される。このように形成される機能層の硬化後の厚さは、通常、1μm以下である。
上記活性エネルギー線としては、公知のものを使用することができる。具体的には、紫外線、可視光線、レーザー光(近赤外線、可視光レーザー、紫外線レーザー等)、マイクロ波、電磁波等を挙げることができる。また加熱手段としては、熱風、熱ガス、IRラジエータ、オーブン、及び熱ローラー等を使用することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
水酸基含有樹脂の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコにエトキシエチルプロピオネート31部を仕込み、窒素ガス通気下で155℃に昇温した。155℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、表1に示すモノマー及び重合開始剤の混合物を4時間かけて滴下した。155℃で窒素ガスを通気しながら2時間熟成させた後、100℃まで冷却し、酢酸ブチル32.5部で希釈することにより、固形分60%の各水酸基含有アクリル樹脂1〜5の溶液を得た。
Figure 0006108393
クリヤ塗料の製造
上記製造例で得られた各水酸基含有アクリル樹脂及びポリイソシアネート化合物等を表2に示す配合にてディスパーを用いて攪拌混合して塗料化を行い、熱硬化性のクリヤ塗料1〜3を得た。
各塗料を、ブリキ板上に硬化膜厚が30μmになるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた後に塗膜を剥離して短冊状(0.5×2cm)の遊離膜に調製したものを試料とし、DINAMIC VISCOELASTOMETER MODEL VIBRON(ダイナミックビスコエラストメータ モデルバイブロン)DDV−IIEA型(東洋ボールドウィン社製、自動動的粘弾性測定機)を用いて、硬化塗膜のガラス転移温度の測定を行った。測定結果を表2に併せて示す。
なお、表2に示す各クリヤ塗料の配合は各成分の固形分質量比である。また表2における(注1)〜(注3)は、それぞれ下記の意味を有する。
(注1)スミジュールN−3300:住化バイエルウレタン社製、ポリイソシアネート化合物
(注2)TINUVIN384:BASF社製、紫外線吸収剤
(注3)TINUVIN292:BASF社製、光安定剤
Figure 0006108393
着色塗料の製造
上記製造例で得られた水酸基含有アクリル樹脂4を固形分量で95部、水酸基含有アクリル樹脂5を固形分量で5部、「スミジュールN−3300」を54部、ジブチル錫ジラウレートを0.005部、トリエチルアミンを1.2部、オクチル酸を0.8部及びチタン白60部を均一に混合し、さらに酢酸ブチルでディスパーを用いて攪拌混合して塗料化を行い、熱硬化性の着色塗料1を得た。得られた着色塗料1による硬化塗膜のガラス転移温度は106℃であった。
試験板(I)〜(III)の作成
「パルボンド#3020」(日本パーカライジング社製、りん酸亜鉛処理)を施した冷延鋼板(大きさ400×300×0.8mm)に、「エレクロンGT−10」(関西ペイント社製、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱して硬化させ、該塗膜上に「TP−65」(関西ペイント社製、商品名、ポリエステル・メラミン樹脂系自動車中塗塗料)を乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させた。次いでその上に、水性ベースコート「WBC713T」(関西ペイント社製、商品名、アクリル・メラミン樹脂系自動車上塗ベースコート塗料、白塗色)を乾燥膜厚15μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で10分間プレヒートを行なった後、未硬化の該塗膜上に、上記の通り製造したクリヤ塗料1を乾燥膜厚30μmとなるように塗装した後、140℃で30分間加熱硬化させることにより硬化塗膜面を有する試験板(I)を得た。
上記試験板(I)の作成において、クリヤ塗料1の代わりにクリヤ塗料2を用いる以外は同様にして試験板(II)を得た。
また上記試験板(I)の作成において、クリヤ塗料1の代わりにクリヤ塗料3を用いる以外は同様にして試験板(III)を得た。
試験板(IV)の作成
上記試験板(I)の作成において、水性ベースコート「WBC713T」を乾燥膜厚15μmとなるように塗装するまでは同様にして、ベースコート塗膜を140℃で30分間加熱硬化させた。その後、クリヤ塗料4(注4)を乾燥膜厚が20μmになるように塗装し、高圧水銀灯180W/cmにて線量700mJ/cmとなるよう照射して、クリヤ塗膜を硬化させることにより硬化塗膜面を有する試験板(IV)を得た。
(注4)クリヤ塗料4:不飽和基含有アクリル樹脂(注5)30部、トリメチロールプロパントリアクリレート 50部、フェニルイソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートの付加反応物20部、「IRGACURE651」(光重合開始剤、BASF社製)5部を混合して塗料化を行い、活性エネルギー線硬化型のクリヤ塗料4を得た。得られたクリヤ塗料4による硬化塗膜のガラス転移温度は104℃であった。
(注5)不飽和基含有アクリル樹脂:スチレン400部、メタクリル酸n−ブチル600部、アクリル酸n−ブチル600部、アクリル酸200部、トルエン1,800部、アゾビスイソブチロニトリル90部を4つ口フラスコ中に入れ撹拌し110℃で5時間保ち、カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液を作成した。次いでこれに、グリシジルメタクリレート380部とテトラエチルアンモニウムブロマイド5部を添加し撹拌しながら110℃2時間保ち、十分にグリシジルメタクリレートが反応したのを確認したのち、減圧してトルエンを脱溶剤し冷却してエチレン性不飽和基含有アクリル樹脂(固形分100%)を得た。
試験板(V)の作成
表面を脱脂したABS板(大きさ100×150×3mm)に、上記の通り製造した着色塗料1を乾燥膜厚30μmとなるように塗装し、室温で5分間放置してから、80℃で20分間加熱硬化させることにより硬化塗膜面を有する試験板(V)を得た。
プライマー層形成用溶液の調整
調製例1
イソシアネート基含有不飽和化合物(1)(注6)10部、「ネオスタンU−100」」(商品名、日東化成社製、ジブチル錫ジラウレート)0.05部及び酢酸ブチル90部を混合して溶液(A−1)を得た。
(注6)イソシアネート基含有不飽和化合物(1):「スミジュールN−3300」(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物、住化バイエルウレタン社製、固形分100%)1molと「プラクセルFA−2」(商品名、ダイセル化学社製、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート)2molとの付加反応物。1分子中に、平均してイソシアネート基を1個、不飽和基を2個有する。
調製例2
イソシアネート基含有不飽和化合物(1)10部及び酢酸ブチル90部を混合して溶液(A−2)を得た。
調製例3
イソシアネート基含有不飽和化合物(1)10部、「ネオスタンU−100」 0.05部及びスワゾール1000(石油系炭化水素溶剤)90部を混合して溶液(A−3)を得た。
調製例4
イソシアネート基含有不飽和化合物(1)10部、ヘキサエートカルシウム 0.05部及びスワゾール1000(石油系炭化水素溶剤)90部を混合して溶液(A−4)を得た。
調製例5
イソシアネート基含有不飽和化合物(2)(注7)10部、「ネオスタンU−100 」0.05部及びスワゾール1000(石油系炭化水素溶剤)90部を混合して溶液(A−5)を得た。
(注7)イソシアネート基含有不飽和化合物(2):イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの等モル付加物。1分子中に、平均してイソシアネート基を2個、不飽和基を1個有する。
調製例6
イソシアネート基含有不飽和化合物(3)(注8)10部、「ネオスタンU−100」0.05部及びスワゾール1000(石油系炭化水素溶剤)90部を混合して溶液(A−6)を得た。
(注8)イソシアネート基含有不飽和化合物(3):「DESMOLUX XP2765」(バイエル社製、イソシアネート基含有アリファティックウレタンアクリレート)、1分子中に、平均してイソシアネート基を2.5個、不飽和基を2個有する。重量平均分子量2300。
調製例7
イソシアネート基含有シラン化合物(1)(注9)10部、「ネオスタンU−100」0.05部及び酢酸エチル90部を混合して溶液(A−7)を得た。
(注9)イソシアネート基含有シラン化合物(1):「KBE−9007」(信越化学工業社製、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン)
調製例8
「スミジュールN−3300」10部、「ネオスタンU−100」0.05部及び酢酸エチル90部を混合して溶液(A−8)を得た。
調製例9
ペンタエリスリトールテトラアクリレート10部及び酢酸エチル90部を混合して溶液(A−9)を得た。
なお、調製例8及び9の溶液(A−8)及び溶液(A−9)は比較例用である。
機能付与組成物の調製
調製例10
メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−メチルカルボキシベタイン10部、「IRGACURE184」(光重合開始剤、BASF社製)1部、エタノール80部及び脱イオン水10部を混合して組成物(B1−1)を得た。
調製例11
メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチル−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン10部、「IRGACURE184」1部、エタノール80部及び脱イオン水10部を混合して組成物(B1−2)を得た。
調製例12
ビニルスルホン酸10部、「IRGACURE184」1部、エタノール80部及び脱イオン水10部を混合して組成物(B1−3)を得た。
調製例13
ビニルスルホン酸10部、水酸化ナトリウム3.7部及び脱イオン水10部を混合し、さらに「IRGACURE184」1部、エタノール80部を加えて混合して組成物(B1−4)を得た。
調製例14
ビニルスルホン酸10部、ジメチルエタノールアミン8.2部及び脱イオン水10部を混合し、さらに「IRGACURE184」1部、エタノール80部を加えて混合して組成物(B1−5)を得た。
調製例15
ビニルスルホン酸10部、28%アンモニア水5.6部及び脱イオン水6部を混合し、さらに「IRGACURE184」1部、エタノール80部を加えて混合して組成物(B1−6)を得た。
調製例16
アリルスルホン酸ソーダ10部、「IRGACURE184」1部、エタノール80部及び脱イオン水10部を混合して組成物(B1−7)を得た。
調製例17
「ファンクリルFA−400M」(メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、日立化成工業社製)10部、「IRGACURE184」1部、エタノール80部及び脱イオン水10部を混合して組成物(B1−8)を得た。
調製例18
「ノストラ H2」(親水基含有UV硬化コート剤、三井化学社製、固形分80%)12.5部、「IRGACURE184」 1部、エタノール77.5部及び脱イオン水10部を混合して組成物(B1−9)を得た。
調製例19
「フルオレスター」(2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、東ソーエフテック社製、固形分100%)10部、「IRGACURE184」1部及びスワゾール1000 90部を混合して組成物(B1−10)を得た。
調製例20
「フルオレスター」8部、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート 2部、「IRGACURE184」1部及びスワゾール1000 90部を混合して組成物(B1−11)を得た。
調製例21
「サイラプレーンFM−0711」(α−ブチル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、重量平均分子量1000、JNC社製、固形分100%)10部、「IRGACURE184」1部及びスワゾール1000 90部を混合して組成物(B1−12)を得た。
調製例22
「LAMBIC−400EP」(親水基含有アルコキシシラン、10%エタノール溶液、大阪有機化学社製)を組成物(B2−1)として使用した。
調製例23
「KBE−7803」(ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、信越化学工業製)10部、イソプロパノール90部を混合して組成物(B2−2)を得た。
なお、調製例10〜18の組成物(B1−1)〜(B1−9)及び調整例22の組成物(B2−1)は親水性付与機能を有する組成物であり、調製例19〜21の組成物(B1−10)〜(B1−12)及び調整例23の組成物(B2−2)は撥水性付与機能を有する組成物である。
機能層形成試験板の作成
実施例1
コロナ処理(注10)を行った試験板(I)のクリヤ塗膜面に、溶液(A−1)を、マイクロワイプ(不織布)を用いて塗り伸ばした後、別の清浄なクロスでむらがなくなるまでふき取った後、赤外線ヒーターを用いて80℃で30分間加熱を行った。
次にさらに組成物(B1−1)を、マイクロワイプを用いて塗り伸ばした後、別の清浄なクロスでむらがなくなるまでふき取った。
次いで、その塗布面にUV照射装置(「CV−1200−G」、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製)を使用して、塗布面と高圧水銀灯との距離を15cmに設定し、放射照度120mW/cm、放射エネルギー量500mJ/cmの条件で、速度3m/分で2パスさせてUV照射を行なった後、水洗して室温で自然乾燥させることにより、機能層形成試験板を得た。
実施例2〜52、比較例1〜7
試験板、プライマー層形成用溶液及び機能付与組成物として、表3に記載のものを使用し、試験板の処理及びプライマー層形成用溶液塗布後の加熱条件を、表3に記載のとおりに変更する以外は、実施例1と同様にして、各機能層形成試験板を得た。
なお、実施例5、26、35及び44は、コロナ処理に代えて火炎処理(注11)を行ない、実施例21、52では機能付与組成物塗布後に、UV照射に代えて140℃で30分間加熱を行なった。また機能付与組成物の塗布を行わない比較例1、2では、UV照射等は行わなかった。
(注10)コロナ処理:
コロナ装置(CG−102型コロナ放電発生装置、春日電機(株)社製)に試験板の塗膜面と放電管の距離を2mmに設定し、電流設定値3Aで放電させながら、試験板を1m/秒の速度で10パスさせた。水接触角が50°以下になっていることを確認してから各プライマー層形成用溶液を塗布した。
(注11)火炎処理:
ブタンガスのカートリッジがついたガスバーナーの火炎を試験板の塗膜面との距離を2cmに設定して、試験板上を速度5cm/秒で2パスさせた。水接触角が50°以下になっていることを確認してから各プライマー層形成用溶液を塗布した。
機能層形成試験板の評価
得られた機能層形成試験板の親水性及び撥水性を、水接触角を測定することにより評価した。水接触角の測定結果を表3に併せて示す。
水接触角の測定は、協和界面化学社製のCA−X型接触角計を用いて、23℃、65%RHの雰囲気下で脱イオン水10mgの水滴を試験板上に滴下し、滴下から1分後の接触角を測定することにより行った。
各機能層形成試験板につき、初期、テープ剥離試験後及び温水浸漬試験後の3条件で接触角を測定した。
テープ剥離試験:機能層形成面にセロハン粘着テープを密着させ、急激に剥がした。その試験部につき、接触角の測定を行った。
温水浸漬試験:機能層形成試験板を40℃の温水に10日間浸漬し、乾燥させた後、接触角の測定を行った。
初期の接触角に対して、テープ剥離試験後の水接触角の値の変化が小さいほど、機能層の付着性が優れていることを、また、温水浸漬試験後の水接触角の値の変化が小さいほど、機能層の持続性が優れていることを示していることとなる。
また得られた機能層形成試験板の耐汚染性を下記方法で評価した。結果を表3に併せて示す。
耐汚染性:各試験板に下記の汚染液を霧吹きにて均一に散布し、その試験板を20℃で16時間放置し、続いて80℃の乾燥機中で6時間乾燥させた。これを1サイクルとして4サイクル行い、その後流水で試験板を濡らしながらネルで軽く洗浄し、塗膜の汚染度を塗板の明度差(ΔL*)により下記の基準により評価した。ΔL*は下記式により求めた。
ΔL*=(耐汚染性試験前のL*値)−(耐汚染性試験後のL*値)
上記L*値は、CIE等色関数に基づくL*値を測定することにより評価した。測定はBYKガードナー社製、カラーガイド45/0を用いて行なった。ΔL*値が小さい程、耐汚染性が良好であることを表わす。△L*値が1以下を○、1を超え〜3以下を△、3を超えるとき×とする。
Figure 0006108393
Figure 0006108393
Figure 0006108393

Claims (5)

  1. 水酸基価80〜200mgKOH/gの水酸基含有樹脂及び硬化剤を含有する塗料組成物、またはラジカル重合性不飽和基含有化合物及び光重合開始剤を含有する塗料組成物から形成されるガラス転移温度が80℃以上である硬化塗膜(I)の表面に、酸化処理を行ない、次いで該処理面にイソシアネート基含有不飽和化合物及びイソシアネート基含有シラン化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する組成物(A)を塗布し乾燥させてプライマー層(II)を形成した後、該プライマー層と反応し得る反応性基を有する機能層(III)を形成することを特徴とする機能層を形成する方法。
  2. 酸化処理が、プラズマ処理、コロナ放電、活性エネルギー線処理、及び火炎処理からなる群から選ばれた方法により行なわれる請求項1記載の方法。
  3. 機能層(III)が、機能性付与基含有不飽和化合物及び光重合開始剤を含有する組成物から形成されるものである請求項1または2に記載の方法。
  4. 機能層(III)が、機能性付与基含有シラン化合物を含有する組成物から形成されるものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法により得られる機能層を有する塗装物品。
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