JP6107989B2 - 熱電発電装置 - Google Patents
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Description
近年、製鉄工場等の製造設備では、例えば、上記のような熱電発電素子を用いた発電により、これまで廃熱として棄ててきたエネルギー、例えば、鋼材の輻射による熱エネルギーを利用する取組みが推進されている。
特許文献2には、廃熱として処理されている熱エネルギーに、熱電素子モジュールを接触させて電気エネルギーに変換し、回収する方法が記載されている。
本発明は上記知見に立脚するものである
1.鋼材の輻射による熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電発電ユニットを具える熱電発電装置において、
上記熱電発電ユニットが、上記鋼材に対峙し、かつ上記鋼材の温度に応じて設置されており、
さらに、前記鋼材の温度を測定する温度計と、
予め求めた熱電発電効率のよい距離と鋼材温度との関係に基づいて、前記温度計で測定された鋼材温度に応じて前記熱電発電ユニットと前記鋼材との距離を制御する手段、とを有することを特徴とする熱電発電装置。
本発明に用いる熱電発電ユニット7の基本構成を図1に示す。図中、1は熱電素子、2は電極であり、これらで熱電発電モジュール3を構成する。また、4は絶縁材、5は熱伝導シート、6は保護板、そして、7で熱電発電ユニットを示す。
本発明に用いる熱電発電ユニット7の基本構成は、図1に示したとおり、両側に電極2を備えたP型およびN型の熱電素子1と、その両側に配置したセラミックス製の絶縁材4とからなる。
具体的には、熱電発電ユニットを、高温部に対して低温部では近接して設置した熱電発電装置とすることが好ましい。かかる装置は、特に、温度の変更があまりない大規模な連続鋳造ラインに向いている。というのは、鋼材の幅方向(鋼材の進行方向に直角な方向)の温度分布を、あらかじめ測定して、上記の距離に反映することで、単に平坦に熱電発電ユニットを設置した場合に比べて、熱電発電ユニットの発電効率を最適化することができるからである。
なお、この実施形態に対し、熱電発電ユニットと鋼材との距離を制御する手段を付加すれば、実操業における熱源の温度変動等があった場合でも、適切に熱電発電ユニットと鋼材との距離を制御して、一層効率良く発電できる熱電発電装置とすることができる。
なお、上記の実施形態は、ユニット中の熱電モジュールの配置を粗密にしても良いし、ユニット自体を粗密に配置しても良い。
かかる熱反射材を用いることによって、個々の熱電発電ユニットに対する集熱効果が上がり、効率の良い熱電発電を行うことができる。また、この実施形態は、熱電発電ユニットの任意の箇所に集熱させることができるので、以下に述べるように、熱電発電装置の設置裕度が一層向上するという利点がある。
また、本発明における熱反射材の形状は、平面だけでなく曲率を持った楕円状の面など、曲面を有するものであっても構わない。
もちろん、全ての実施形態の機能を同時に備えていても良いことは言うまでもない。
この熱電発電ユニットの大きさは、1m2以下とすることが好ましい。ユニットを1m2以下とすることで熱電発電モジュールの相互間や、熱電発電ユニット自体の変形を抑制することができるからである。より好ましくは、2.5×10-1m2以下である。
かかる構成とすることで、鋼材に、例えば、製品ロットの切り替え等で温度変動等があった場合でも、その温度変動等に適格に対応して、熱電発電を行うことができ、結果的に、熱電発電の効率が向上する。なお、図中、9は取鍋、10はタンディッシュ、11は鋳型、12はローラーエプロン、13は矯正ロール等ローラー群、14は切断テーブル、15は切断機、16は温度計、17は熱電発電ユニット、18はローラー群の脇、19はローラー群の下部の隙間である。
そして、上述したように、予備試験等で最も熱電発電の効率のよい距離と鋼材温度との関係を、あらかじめ求めておけば、温度計の測定値に応じて、熱電発電ユニット17と鋼材との距離を、適切に制御することができるのである。なお、熱電発電ユニット17は、鋼材の温度によっては、ローラー群の脇18、ローラー群の下部19に設置することもできる。
発明例1は、鋼材温度が1100℃の場合、熱電発電ユニットと鋼材との距離を275mmに、鋼材温度が1000℃の場合、上記距離を60mmに、それぞれ制御した。一方、比較例1は、上記距離を275mmに固定し、保温板を設置しなかった。
それぞれ、1m2の面積を有する熱電発電ユニットを設置し、鋼材温度が1100℃で0.5時間、鋼材温度が1000℃で0.5時間の熱電発電を行った。
その結果、発明例1では、5kWの発電することができたのに対し、比較例1では、鋼材温度が変化した際に発電量が低下して、2kWの発電量となった。
発明例2は、図2に示したように、中央部分は、熱電発電ユニットと鋼材との距離を275mmに、端部分はその距離を250mmに制御した。一方、比較例2は、単純に熱電発電ユニットを平面的に配置した。
それぞれ、1m2の面積を有する熱電発電ユニットを設置し、鋼材温度が1100℃で1時間の熱電発電を行った。
その結果、発明例2では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例2では、2kWの発電量にとどまった。
発明例3は、熱電発電ユニット中の熱電モジュールの配置を、図3の中央部分で60mm間隔とし、端部分で80mm間隔とした。比較例3は、単純に熱電発電ユニットを平面的に配置した。
それぞれ、1m2の面積を有する熱電発電ユニットを設置し、鋼材温度が1100℃で1時間の熱電発電を行った。
その結果、発明例3では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例3では、2kWの発電量にとどまった。
発明例4は、図4aに示したように、熱電発電ユニットを平面的に配置し、さらに熱を集約する熱反射材を配置した。比較例4は、熱反射材が無く、単純に熱電発電ユニットを平面的に配置した。
それぞれ、1m2の面積を有する熱電発電ユニットを設置し、鋼材温度が1100℃で1時間の熱電発電を行った。
その結果、発明例4では、5kWの発電量を達成したのに対し、比較例4では、2kWの発電量にとどまった。
発明例5は、鋼材の直上において、鋼材温度が1100℃の場合、熱電発電ユニットと鋼材との距離を275mmに、鋼材温度が1000℃の場合、その距離を60mmに制御した。さらに、熱電発電ユニットの端においては、上記距離を、それぞれ、250mm、50mmに制御した。
1m2の面積を有する熱電発電ユニットを用い、鋼材温度が1100℃で0.5時間、鋼材温度が1000℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例5では、6kWの発電量を実現した。
発明例6は、熱電発電ユニット中の熱電モジュールを中心部では60mm間隔に配置し、端部分では80mm間隔配置とし、さらに、鋼材温度が1100℃の場合、ユニットと鋼材との距離を275mmに、また鋼材温度が1000℃の場合は、その距離を60mmに制御した。
1m2の面積を有する熱電発電ユニットを用い、鋼材温度が1100℃で0.5時間、鋼材温度が1000℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例6では、6kWの発電量を実現した。
発明例7は、鋼材温度が1100℃の場合、熱電発電ユニットと鋼材との距離を275mmに、鋼材温度が980℃の場合、その距離を50mmに制御した。さらに、熱電発電ユニットの端部における上記距離を、それぞれ、250mm、45mmに制御した。加えて、熱電発電ユニット中の熱電モジュールを60mm間隔に配置し、端部分は80mm間隔に配置した。
1m2の面積を有する熱電発電ユニットを用い、鋼材温度が1100℃で0.5時間、鋼材温度が980℃で0.5時間の熱電発電を行ったところ、発明例7では、7kWの発電量を実現した。
2 電極
3 熱電発電モジュール
4 絶縁材
5 熱伝導シート
6 保護板
7 熱電発電ユニット
8 熱反射材
9 取鍋
10 タンディッシュ
11 鋳型
12 ローラーエプロン
13 矯正ロール等ローラー群
14 切断テーブル
15 切断機
16 温度計
17 熱電発電ユニット
18 ローラー群の脇(鋼材の側面)
19 ローラー群の下部の隙間
Claims (4)
- 鋼材の輻射による熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電発電ユニットを複数具える熱電発電装置において、
上記熱電発電ユニットを、上記鋼材に対峙し、かつ上記鋼材の幅方向における温度に応じ、高温部より低温部で近接させて設置することを特徴とする熱電発電装置。 - さらに、前記鋼材の温度を測定する温度計と、
予め求めた熱電発電効率のよい距離と鋼材温度との関係に基づいて、前記温度計で測定された鋼材温度に応じて前記熱電発電ユニットと前記鋼材との距離を制御する手段、
とを有することを特徴とする請求項1に記載の熱電発電装置。 - 前記熱電発電ユニットを、鋼材の温度分布に応じ、低温部より高温部で密に設置することを特徴とする請求項1または2に記載の熱電発電装置。
- 前記鋼材の両脇に、熱反射材を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱電発電装置。
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